説明

カラー・マネージメントのための方法及び装置

【課題】カラー・マネージメントのための方法および装置を提供することにある。
【解決手段】ディスプレイまたはプリンタなどのエンドポイント装置で提示されるカラー・マネージメントは、カラー・マネージメント・リソース(CMR)の実現に基づくものである。CMRは、印刷ファイル、文書、ページ、またはデータ・オブジェクトを表現するために必要なカラー・マネージメント情報のすべてを伝達するために使用されるプリント・サーバまたはその他のプロセッサにとってアクセス可能に記憶された設計済みリソースである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー印刷に関し、詳細には、カラー印刷の出力の正確さおよび整合性を改善することに関する。
【背景技術】
【0002】
高機能印刷(AFP:Advanced Function Presentation)アーキテクチャなどのプレゼンテーション・アーキテクチャは、モノクロ/カラー、インパクト/ノンインパクト、連続用紙/カット・シートなどの多種多様なタイプのプリンタ、ならびにディスプレイなどのその他の出力技術において、入力ストリームおよびデータと、出力情報とを処理するために使用される。出力すべき情報がカラー・データを含む場合、すべての装置技術にわたってカラーが正確かつ一貫してレンダリングされる(演色される)ことが重要である。カラー装置では、装置全般(device gamut)が許す限り正確にカラーをレンダリングしなければならず、モノクロ装置では、正確かつ満足なグレースケールでカラーをシミュレートしなければならない。
【0003】
これまで、様々な出力装置にわたって出力の整合性が達成されることを保証する際に問題が発生していた。これは、一つには、カラー・レンダリングするための装置の機能が様々であることによって発生し、一つには、結果的にカラー情報が装置特性によってひずむ(スキューする)可能性があることによって発生する。
【0004】
カラー・マネージメント・システムは、Windows(登録商標)およびMacintosh(R)などのいくつかのオペレーティング・システム・プラットフォーム上で使用可能であったが、これらのオペレーティング・システムを使用するシステムとともに機能するプリンタおよびディスプレイに適用可能である。しかし、AFP環境などの生産印刷環境(production print environment)で使用される総合的なカラー・マネージメント・システムとして現在知られているものはまったく存在しない。以下で使用する特定の用語は頭文字または頭字語によって表されている。このような用語が文脈から不明瞭であれば、IBM社によって提供され、G544−3973−00という資料として識別される辞書など、印刷業界で使用される用語の標準的な辞書を参照することによって、より十分な理解を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PostScriptおよびPDFなどのデータ・ストリーム内で現在使用可能なカラー・マネージメント・メカニズムは、入力カラー・データを特徴付けるためのいくつかの方法を提供するが、装置独立方式でハーフトーン化などの出力操作を指定するためのメカニズムが欠けている。装置独立(device independent)命令は、このようなデータ・ストリーム内に完全に含めることができないが、本発明で記載したものなどの総合的なシステムの一部でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、本発明は、出力用文書(document for outputting)を受信するステップと、カラー・マネージメント・リソース(CMR:color management resource)が出力用文書からのコンポーネント(要素)の少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップと、ターゲット出力装置で文書を出力するために出力データ・ストリーム内にコマンドを追加するステップとを含み、そのコマンドがターゲット装置でコンポーネントの少なくとも一部の出力中に関連付けされたCMRを呼び出すためのものであり、CMRがその出力中にコンポーネントの少なくとも一部のカラーをレンダリング(表現)するときに使用するための詳細を含む、方法を提供する。
【0007】
第2の態様によれば、本発明は、出力用文書を受信するための文書受信器(document receiver)と、カラー・マネージメント・リソース(CMR)が出力用文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するための関連判断器(association determiner)と、ターゲット出力装置で文書を出力するために出力データ・ストリーム内にコマンドを追加するためのコマンド追加器(command adder)とを含み、そのコマンドがターゲット装置でコンポーネントの少なくとも一部の出力中に関連付けされたCMRを呼び出すためのものであり、CMRがその出力中にコンポーネントの少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を含む、データ処理装置を提供する。
【0008】
第3の態様によれば、本発明は、コンピュータによって読取り可能なプログラム記憶媒体を含むシステムであって、その媒体が、出力用文書を受信するステップと、カラー・マネージメント・リソース(CMR)が出力用文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップと、ターゲット出力装置で文書を出力するために出力データ・ストリーム内にコマンドを追加するステップとを含み、そのコマンドがターゲット装置でコンポーネントの少なくとも一部の出力中に関連付けされたCMRを呼び出すためのものであり、CMRがその出力中にコンポーネントの少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を含む、方法を実行するためにコンピュータによって実行可能な複数命令からなる1つまたは複数のプログラムを記録する、システムを提供する。
【0009】
任意選択で、CMRは、出力用文書に含まれ、出力データ・ストリームにコピーされる。代わって、ターゲット出力装置はCMRのコピーを有し、その場合、出力データ・ストリームにCMRを含めることは不要である。代わって、出力用文書は、CMRに関する名前を指定する、CMRへの参照を含む。この場合、その名前はメモリ内のCMRを見つける(locate)ために使用され、見つけられたCMRは出力データ・ストリームに追加される。
【0010】
メモリ内のCMRを見つける場合、まず出力文書について検索が実行され、CMRが検出された場合、それが使用される。しかし、それが検出されない場合、CMRを見つけるために、CMRの検索可能リストがアクセスされ検索される。
【0011】
コンポーネントの少なくとも一部に関連するCMRは、ターゲット出力装置に固有のものであるかまたは装置独立のものである可能性がある。それが、装置独立のものである場合、任意選択で、ターゲット出力装置に固有のCMRで置き換えられる。この場合、その関連(association)は、ターゲット出力装置に固有の装置固有CMRに対するものになるように変更される。
【0012】
印刷用文書は、CMRに関連付けられていないコンポーネントの少なくとも一部を含むことができる。任意選択で、コンポーネントの少なくとも一部から属性が入手され、その後、その属性はそれに関連付けるための適切なCMRを選択するために使用される。任意選択で、適切なCMRが使用不能である場合、その属性はコンポーネントの少なくとも一部に関連付けることができるCMRを生成するために使用される。
【0013】
たとえば、CMRは、コンポーネントの少なくとも一部について実行される予定の処理を定義する命令CMR(instruction CMR)と、コンポーネントの少なくとも一部について実行された処理を定義する監査CMR(audit CMR)のうちの一方である。
【0014】
たとえば、CMR内の詳細(details)は、カラー変換、リンク・カラー変換、ハーフトーン画面、および較正曲線のうちの少なくとも1つと関係がある。
【0015】
任意選択で、CMRを呼び出すためのコマンドは、CMRに関する呼出しの(有効)範囲(scope)を指定する。たとえば、この範囲は、コンポーネントの少なくとも一部をレンダリングする場合のみCMRが使用されることを指定し、代わって、この範囲は、CMRが複数のコンポーネントまたはサブコンポーネントあるいはその両方に使用されることを指定することもできる。
【0016】
たとえば、本発明の第1ないし第2の態様の一実施形態は、ターゲット装置で出力するためにアプリケーション・ジェネレータからMO:DCA−P文書を受信するプリント・サーバの一部として提供することができるであろう。MO:DCA−P文書は、文書のコンポーネントの少なくとも一部を出力するときに使用するためのCMRの詳細を含む場合もあれば、コンポーネントの少なくとも一部を出力するときに使用すべきCMRを選択するためにプリント・サーバが使用できる定義済み属性とともにコンポーネントの少なくとも一部を含む場合もある。プリント・サーバは、ターゲット装置に送信するためのIPDSコマンド・ストリームを生成するためにMO:DCA−P文書を使用し、そのIPDSコマンド・ストリームはMO:DCA−P文書を出力するときにCMRを呼び出すためのコマンドを含む。
【0017】
第4の態様によれば、本発明は、出力用文書を定義する出力データ・ストリームを受信するステップと、第1のカラー・マネージメント・リソース(CMR)が文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップであって、CMRがその出力中にコンポーネントの少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を含むステップと、コンポーネントの少なくとも一部の出力中にCMRを呼び出すステップとを含む、方法を提供する。
【0018】
第5の態様によれば、本発明は、出力用文書を定義する出力データ・ストリームを受信する受信器と、第1のカラー・マネージメント・リソース(CMR)が文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するための関連判断器であって、CMRがその出力中にコンポーネントの少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を含む関連判断器と、コンポーネントの少なくとも一部の出力中にCMRを呼び出すためのCMR呼び出し器(CMR invoker)とを含む、データ処理装置を提供する。
【0019】
第6の態様によれば、本発明は、コンピュータによって読取り可能なプログラム記憶媒体を含むシステムであって、その媒体が、出力用文書を定義する出力データ・ストリームを受信するステップと、第1のカラー・マネージメント・リソース(CMR)が文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップであって、CMRがその出力中にコンポーネントの少なくとも一部のカラーを表現するときに使用するための詳細を含む、ステップと、コンポーネントの少なくとも一部の出力中にCMRを呼び出すステップとを含む、方法を実行するためにコンピュータによって実行可能な複数命令からなる1つまたは複数のプログラムを記録する、システムを提供する。
【0020】
文書は、コンポーネントの少なくとも一部に対して異なる(第2の)CMRに関連付けられるコンポーネントの少なくとも一部のサブコンポーネントを含むことができる。任意選択で、この状況が存在するという判断が行われ、サブコンポーネントの少なくとも一部の出力中に第1のカラー・マネージメント・リソースを置き換えるために第2のCMRが呼び出される。さらにこの場合、任意選択で、サブコンポーネントの少なくとも一部の出力が完了したときに第1のCMRが再呼出しされる。
【0021】
たとえば、CMRは、コンポーネントの少なくとも一部について実行される予定の処理を定義する命令CMRと、コンポーネントの少なくとも一部について実行された処理を定義する監査CMRのうちの一方である。
【0022】
たとえば、CMR内の詳細は、カラー変換、リンク・カラー変換、ハーフトーン画面、および較正曲線のうちの少なくとも1つと関係がある。
【0023】
たとえば、第4および第5の態様は、プリント・サーバから受信されたIPDSコマンド・ストリームを使用してMO:DCA−P文書を出力するための出力装置の一部として提供することができ、そのIPDSコマンド・ストリームはMO:DCA−P文書のコンポーネントの少なくとも一部の出力中にCMRを呼び出すためのコマンドを含むことができるであろう。
【0024】
本発明の諸実施形態は、ある範囲の装置全体にわたって出力の整合性の向上を達成し、サポート対象装置の機能の及ぶ限り、正確なカラー表現を提供し、様々なアプリケーションによって作成される様々なタイプのデータ全体にわたって整合した出力を可能にし、これらの目的を達成する際にユーザに柔軟性を提供する。
【0025】
次に、添付図面に例示されているその好ましい諸実施形態に関して、一例としてのみ、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好ましい実施形態が有利に適用されるAFP環境例の概略図である。
【図2】混合オブジェクト:文書コンテンツ・アーキテクチャ−プレゼンテーション(MO:DCA−P)文書を含む主なコンポーネントの階層を例示する図である。
【図3】カラー装置およびモノクロ装置上で整合した出力を生成するために使用されるカラー・マネージメント・システムを含むAFP環境例の概略図である。
【図4】MO:DCA−P文書コンポーネントに関するカラー・マネージメント・リソースを参照するときにMDR構造化フィールドで使用できるトリプレットを例示する図である。
【図5】MO:DCA−P書式定義(FormDef)から参照されるCMR例が印刷ファイル内のすべての文書にどのように関連付けられるかを示す概略図である。
【図6】MO:DCA−P書式定義から参照されるCMR例が印刷ファイル内の特定の文書にどのように関連付けられるかを示す概略図である。
【図7】MO:DCA−Pページ/オーバーレイから参照されるCMR例が印刷ファイル内の文書の特定のページ/オーバーレイにどのように関連付けられるかを示す概略図である。
【図8】MO:DCA−Pデータ・オブジェクトから参照されるCMR例が印刷ファイル内の文書の特定のデータ・オブジェクトに関連付けられる2通りの方法のうちの一方を示す概略図である。
【図9】MO:DCA−Pデータ・オブジェクトから参照されるCMR例が印刷ファイル内の文書の特定のデータ・オブジェクトに関連付けられる2通りの方法のうちの一方を示す概略図である。
【図10】CMRを定義するために使用されるデータ構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
高機能印刷(AFP)環境内のカラー・マネージメントに関して、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、当業者であれば、PostScript、PDF、およびPCLなどのその他のプレゼンテーション環境にこの技法をどのように適用できるかを認識するであろう。
【0028】
本発明の好ましい実施形態は、文書を受信し、それを処理し、プリンタ、印刷エンジン、ディスプレイなどのエンドポイント・プレゼンテーション装置(end point presentation device)にデータ・ストリームとしてそれを転送する、たとえば、プリント・サーバなどのプロセッサの使用を伴うものである。典型的には、本発明によって企図されるように、このようなプロセッサは、望み通り、プロセッサ上で実行するために命令およびプロファイルなどのプログラム・モジュールをアクセス可能に記憶することができるディスク・ファイルなどの関連する記憶機能を有する。次にこれについてAFP環境に関して説明する。
【0029】
AFPアーキテクチャでは、複数の文書を含むことができる混合オブジェクト文書コンテンツ・アーキテクチャ(MO:DCA)(Mixed Object: Document Content Architecture)印刷ファイルがプリント・サーバに提供される。次に、プリント・サーバは、印刷ファイルを出力するために、プリンタまたはその他の出力装置に送信するための高機能プリンタ・データ・ストリーム(IPDS:Intelligent Printer Data Stream)コマンド・ストリームを生成する。その最も複雑な形式では、MO:DCA文書は、文書のレイアウトおよび文書構成(composition)の特徴を定義するデータ構造とともにデータ・オブジェクトを含む。この形式は、MO:DCAプレゼンテーション(MO:DCA−P)文書と呼ばれる。MO:DCA−P文書に関して、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0030】
図1は、本発明の好ましい実施形態が有利に適用されるAFP環境例の概略図である。同図のAFPアプリケーション・ジェネレータ101は、出力のためにプリント・サーバ102にMO:DCA−P文書を送信する。この説明のため、MO:DCA−P文書がプリント・サーバ102にとってアクセス可能なデータ・オブジェクトへの参照を含むものと想定されていることに留意されたい。このデータ・オブジェクトは、たとえば、TIFF/JPEG/GIFオブジェクト、EPS/PDFオブジェクト、FS45オブジェクト、または定義済みフォーマットのその他のオブジェクトにすることができるであろう。このようなデータ・オブジェクトはオブジェクト・インストーラ104を介してインストールされ、そのオブジェクト・インストーラ104はデータ・オブジェクトをデータ・オブジェクト・リソース・ライブラリ105に記憶し、さらにそれがインストールされた場合にデータ・オブジェクトの詳細をデータ・オブジェクト・リソース・アクセス・テーブル(RAT:Resource Access Table)103の項目(エントリー)に記憶する。データ・オブジェクトRAT103は、事実上、プリント・サーバ102が記憶域(ストレージ)内のデータ・オブジェクトを見つけるために使用できるインデックスである。
【0031】
プリント・サーバ102は、AFPアプリケーション・ジェネレータ101からMO:DCA−P文書を受信すると、出力装置に転送するためにそれをIPDSコマンド・ストリームに変換する。このプロセスの一部として、それは、文書に含まれるデータ・オブジェクト参照から名前を入手し、そのデータ・オブジェクトと関係があるデータ・オブジェクトRAT103内の項目を見つけるためにその名前を使用する。これにより、プリント・サーバは、データ・オブジェクト・リソース・ライブラリ105からデータ・オブジェクトを入手し、それをIPDSコマンド・ストリーム内に組み込む(imbed)。完成したIPDSコマンド・ストリームは、次にプリンタ・サーバ102によって適切な出力装置(106、107、108)に転送される。この出力装置は、たとえば、プリンタ、カラー・ディスプレイ、またはその他のプレゼンテーション装置にすることができ、さらに、異なる装置による後続出力のためにIPDSコマンド・ストリームを処理する装置にすることができるであろう。
【0032】
MO:DCA−P文書のコンポーネントは、自己記述型構造からなる構文(syntax)で定義される。構造化フィールドは主なMO:DCA構造であり、これらはMO:DCAコマンドをエンコード(コード化)するために使用される。構造化フィールドは接頭部(introducer)から始まり、その接頭部はコマンドを固有に識別し、コマンドの全長を示し、埋め込み(padding)バイトが存在するかどうかなどの追加の制御情報を指定する。接頭部のあとには、32759バイトまでのデータが続く。データは、固定パラメータ、リピーティング・グループ(repeating group)、キーワード、およびトリプレットを使用してエンコードすることができる。固定パラメータは、それらを含む構造に関連する場合のみ意味を有する。リピーティング・グループは、複数回現れる可能性のあるパラメータのグループ化を指定するために使用される。キーワードは、1バイトのキーワード値があとに続く1バイトの固有キーワードIDからなる自己識別型パラメータである。トリプレットは、1バイトの長さと、1バイトの固有トリプレットIDと、252バイトまでのデータとを含む自己識別型パラメータである。キーワードとトリプレットは、それらがどこで使用される場合でも同じセマンティクス(意味体系)を有する。これらの構造は相俟って、順序正しい構文解析および柔軟な拡張性を提供するMO:DCA文書に関する構文を定義する。
【0033】
MO:DCA−P印刷ファイルはコンポーネントの階層として定義され、印刷ファイル・コンポーネントはその階層の最高レベルである。文書は、次のレベルにあって、ページから構成することができ、ページ・コンポーネントはその階層の中間レベルにある。さらに、ページはオブジェクトから構成することができ、オブジェクト・コンポーネントはその階層の最低レベルにある。オブジェクト・コンポーネントは、たとえば、バーコード、グラフィックス、イメージ、および表示テキスト(presentation text)にすることができる。複数の文書をまとめて1つの印刷ファイルにグループ化することができる。
【0034】
階層の各レベルでは、MO:DCA構造化フィールドの特定のセットが許容される。文書、ページ、およびオブジェクトは開始/終了対(begin-end pair)として知られる1対の構造化フィールドによって境界が示され、開始/終了対はそのデータ・ストリーム・コンポーネントに関するエンベロープを定義する。この特徴により、MO:DCAに完全に準拠していないプロセッサは、その有効範囲を超えるオブジェクトを迂回し、その能力の及ぶ限り、MO:DCA−P印刷ファイルを処理することができる。
【0035】
図2は、印刷用の文書250を定義するMO:DCA−P文書例に関するこの階層の主なコンポーネントを例示する図である。文書250は複数のページを含み、ページ1の内容が例示されている。このページは、イメージ・オブジェクト251と、テキスト・セクション252と、棒グラフなどのグラフィックス・オブジェクト253とを含む。
【0036】
図2のMO:DCA−P文書の最高レベルのコンポーネントは、「文書開始」(BDT:Begin Document)構造化フィールド201と「文書終了」(EDT:End Document)構造化フィールド202とを含む開始/終了対によって定義される文書コンポーネントである。文書内の各ページは任意の他のページから独立しており、BDT構造化フィールドのあとには印刷すべき各ページの個別詳細203が続く。このような個別詳細203のそれぞれは、「ページ開始」(BPG:Begin Page)構造化フィールド211と「ページ終了」(EPG:End Page)構造化フィールド212とを含む開始/終了対によって定義されるページ・コンポーネント210を含む。BPG構造化フィールドのあとには、測定単位、ページ幅、およびページ行数などのページに関するリソースおよびレイアウト情報を定義するアクティブ環境グループ(AEG:Active Environment Group)220が続く。また、ページ・コンポーネント210は、ページを構成するオブジェクトのそれぞれに関する詳細も含む。このような詳細は、イメージ・オブジェクト詳細213と、表示テキスト・オブジェクト詳細214と、グラフィックス・オブジェクト詳細215とを含む。たとえば、グラフィックス・オブジェクト詳細は、「グラフィックス・オブジェクト開始」(BGR:Begin Graphics Object)構造化フィールド231と「グラフィックス・オブジェクト終了」(EGR:End Graphics Object)構造化フィールド232とを含む開始/終了対によって定義されるグラフィック・オブジェクト・コンポーネント230に含まれる。BGR構造化フィールドのあとには、オブジェクト環境グループ(OEG:Object Environment Group)240とグラフィックス・オブジェクト・データ233が続く。OEG240は、ページ上のグラフィックス・オブジェクトの配置および向き方向など、グラフィックス・オブジェクトに関するリソースおよびレイアウト情報を定義する。同図には示されていないが、イメージ・オブジェクト詳細213および表示テキスト詳細214は、グラフィックス・オブジェクト・コンポーネント230と同様であるが、適切な開始/終了対を有するイメージ・オブジェクト・コンポーネントおよび表示テキスト・コンポーネントをそれぞれ含むことに留意されたい。
【0037】
MO:DCA−P文書に実際のデータ・オブジェクトを含めることに代わって、たとえば、グラフィックス・オブジェクト233に関して図2に示す通り、そのデータ・オブジェクトへの参照を含めることができることに留意されたい。たとえば、データ・オブジェクト・コンポーネントの代わりにリソース・オブジェクト・コンポーネントにデータ・オブジェクトへの参照を含めることができ、このようなリソース・オブジェクト・コンポーネントはリソース開始(BRS:Begin Resource)構造化フィールドとリソース終了(ERS:End Resource)構造化フィールドとを含む開始/終了対によって定義される。さらに、このようなリソース・オブジェクトは、2次リソース・オブジェクトへの参照を含むことができる。
【0038】
図2に関してMO:DCA−P文書の可能なコンポーネントすべてについて説明したわけではないことにさらに留意されたい。たとえば、この文書は、それぞれの環境パラメータを定義するページ様(page-like)コンポーネントであるオーバーレイ(overlay)・コンポーネントを含むことができる。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、カラー・マネージメント・リソース(CMR)と呼ばれるオブジェクトは、正確かつ一貫してカラーをレンダリングするためのプレゼンテーション・プロセスで使用される。各CMRは、単一タイプのカラー・マネージメント・リソースを伝達する。CMRタイプの例としては、カラー変換、ハーフトーン画面(halftone screen)、較正曲線、およびリンク・カラー変換がある。
【0040】
カラー変換CMRは、カラーをCIELabなどの装置独立カラー・スペース(色空間)に結合することにより、装置依存カラー、たとえば、スキャナなどの入力装置によって生成されるカラーまたはプリンタなどの出力装置によってレンダリング(表現)されるカラーを定義する。たとえば、これは、ICCプロファイルを伝達するためにカラー変換CMRを使用することによって達成することができる。
【0041】
リンク・カラー変換CMRは、異なる装置依存カラーを有する出力装置上で装置依存カラーを有するオブジェクトのレンダリングを可能にする情報を定義する。たとえば、このCMRは、RGBからCMYKに直接変換するために使用できるルックアップ・テーブルを使用して、オブジェクト内のRGBからプリンタ内のCMYKへの変換を定義する。
【0042】
ハーフトーン画面CMRは、たとえば、8ビットで記述されるカラーから8ビット未満で記述されるカラーに変換するための情報を定義する。たとえば、ハーフトーン画面CMRは、出力の外観を変更し調整するために使用することができる。
【0043】
較正曲線CMRは、たとえば、コンポーネント出力を明るくするかまたは暗くするために、コンポーネントの出力カラーを変更するために使用できる情報を定義する。たとえば、プリンタ内の各プロセス・カラー(C、M、Y、K)は、256通りの輝度レベルを示す8ビットで指定することができ、このCMRは、プリンタがカラー・コンポーネント(カラー要素)内の所与の輝度レベルを異なる輝度レベルに変換することを指定することができる。たとえば、これは、ハーフトーン画面CMRが適用される前にコンポーネント・カラーを変更するために使用することができる。
【0044】
CMRは、監査CMRまたは命令CMRにすることができる。この使用法の区別は、CMR呼出し制御によって指定される。監査CMRはオブジェクトについて実行された処理を反映し、命令CMRはオブジェクトについて実行される予定の処理を指定する。たとえば、監査CMRは、印刷ファイル内のカラーがどのように、たとえば、どのスキャナまたはデジタル・カメラによって作成されたかを定義する。たとえば、命令CMRは、ターゲット装置での出力中にオブジェクトのカラーをレンダリングする方法を定義する。
【0045】
さらに、CMRは、装置独立のものまたは装置固有のものにすることができる。たとえば、特定のタイプのオブジェクトまたは特定の出力装置に固有のものにすることができる。この場合、プリント・サーバはMO:DCA−P文書内に指定されたCMRを置き換えることができる。たとえば、データ・ストリームが装置独立CMRを指定する場合、プリント・サーバは、前にインストールされたより適切な装置固有CMRでそれを置き換えることができる。たとえば、前にインストールされたCMRに関しては、プリント・サーバは、このような置き換えを可能にするために、何らかの方法で1つまたは複数の装置固有CMRを装置独立CMRにリンクすることができる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、CMRは、そのCMRに含まれるヘッダに指定された固有の名前で識別され参照される。この名前は、装置固有CMRが装置独立CMRに置換される場合など、インテリジェント方式であるCMRを他のCMRに置換するために使用できるように、設計済み方式で構造化される。この設計済み命名規則により、置き換えるべきCMRがプレゼンテーション・システムにとって使用不能であっても、このような置換を行うことができる。たとえば、装置ID、装置型式番号、装置メーカ、CMRバージョン番号、品質機能ID、および外観意図(appearance intent)IDというパラメータのうちの1つまたは複数を使用して、CMR名を構成することができるであろう。
【0047】
CMRは、ワークステーション・ベースのCMRインストーラ(たとえば、True Type/Open Typeフォントのために開発されたWindows(登録商標)ベースのフォント・インストーラの拡張機能)を使用して、プリント・サーバによるアクセスのためにインストールされる。このプログラムは、(1)PSF/390、PSF/400、またはIPMプリント・サーバなどのサポート・システムのリソース・ライブラリにCMRをアップロードし、(2)CMR名をファイル名、オブジェクトID(OID:object ID)、およびおそらくより多くの装置固有CMRにマッピングするリソース・アクセス・テーブル(RAT)項目(エントリー)を構築することになる。
【0048】
CMRは、プレゼンテーション文書階層の各層のコンポーネント、たとえば、印刷ファイル(任意選択のインライン・リソースを有する文書のグループ)、文書、ページ/オーバーレイ、およびデータ・オブジェクトに関連付けることができる。この関連の一部として、コンポーネントに対して実行された処理をCMRが反映するか(「監査」処理モード)またはコンポーネントに対して実行される予定の処理をCMRが反映するか(「命令」処理モード)を指定する処理モードが定義される。たとえば、ダウンロードし、収集し、複数回のダウンロードの必要なしに繰り返して使用することができるように、CMRは、プリント・サーバによりAFPリソースとして処理される。
【0049】
たとえば、プリント・サーバにより印刷のために受信されるMO:DCA−P印刷ファイルは、1つまたは複数のCMRあるいはCMRへの1つまたは複数の参照あるいはその両方を含むことができる。含まれる(インライン)CMRは、印刷ファイルのリソース・グループに組み込まれる。参照される(外部)CMRは、CMRインストーラを使用してプリント・サーバ上に前にインストールされており、プリント・サーバのデータ・ソースを介してアクセス可能である。その結果として、プリント・サーバは、出力装置に転送されるIPDSコマンド・ストリームにこれらを追加する。たとえば、CMRインストーラは、入力装置または出力装置のためにICCプロファイルを取り、それらをCMRに変換し、そのCMRをプリント・サーバにアップロードすることができる。
【0050】
プリント・サーバにより受信されたMO:DCA−P印刷ファイルがデータ・オブジェクトまたはデータ・ソースを介してプリント・サーバでアクセス可能なデータ・オブジェクトへの参照を含む場合、このようなデータ・オブジェクトは、CMRへの参照を含むかまたはプリント・サーバによりCMRに関連付けることができる。いずれの場合も、プリント・サーバは出力装置に送信されるIPDSコマンド・ストリームにそのCMRの詳細を追加する。代わって、プリント・サーバはデータ・オブジェクトから属性を入手することができ、それにより、プリント・サーバは、その属性に基づいて選択され、プリント・サーバによりアクセス可能なCMRにそれを関連付けることができる。
【0051】
プリント・サーバが出力のために出力装置に提供するIPDSコマンド・ストリームは、必要に応じて必要なときにCMRを起動し呼び出すためのコマンドまたはトリプレットを含む。CMRは呼び出すために起動しなければならず、呼出しコマンド/トリプレットは、そのCMRが呼び出される時期を定義し、任意選択で、呼出しのための範囲を定義し、このような範囲はたとえば、特定の文書、ページ、またはデータ・オブジェクトの処理になる。前のCMRの範囲内で新しいCMRが呼び出される場合、前のCMRは新しいCMRの範囲についてサスペンド(中断)される。CMRを起動し呼び出すためのコマンド/トリプレットは、出力装置に送信されるIPDSコマンド・ストリームに含まれるように、プリント・サーバによって受信されるMO:DCA−P文書に指定することができ、代わって、コマンド/トリプレットはプリント・サーバによってIPDSコマンド・ストリームに追加される。
【0052】
図3は、カラー装置およびモノクロ装置上で正確かつ整合した出力を生成するために使用されるカラー・マネージメント・システムをAFP環境が含む、本発明の好ましい実施形態の概略図である。図3では、いくつかのコンポーネントが図1と共通し、図1と同じ参照番号を有することに留意されたい。これらは図1に関して説明したものと同様の機能を実行し、したがって、図3に関するこの説明は図1との違いがどこに存在するかについてのみ言及することになる。
【0053】
図3では、AFPアプリケーション・ジェネレータ101によってプリント・サーバ102に送信されるMO:DCA−P文書が、データ・オブジェクトへの参照に加えて、前にインストールされ、プリント・サーバ102にとってアクセス可能である外部CMRへの参照をさらに含むものと想定されている。
【0054】
図3では、CMRはCMRインストーラ301を介して前にインストールされており、そのCMRインストーラ301は、CMRリソース・ライブラリ302にCMRを記憶し、その名前および記憶域内の位置を含むCMRの詳細をCMRリソース・アクセス・テーブル(RAT)304の項目(エントリー)にさらに記憶している。CMRは、たとえば、ユーザ・インターフェースによるかまたはICCプロファイルなどの既存のプロファイルからCMRを生成するために使用できる共通カラー・エンジン(CCE)303を使用して作成されている。さらに、CMRは、たとえば、装置独立で複数の装置に使用可能なものにするか、または装置固有で特定の装置または特定のタイプの装置にのみ使用可能なものにすることができる。CMRが装置独立のものである場合、それを1つまたは複数の装置固有CMRにリンクする詳細も、そのCMRに関するCMR RAT304の項目に含めることができる。
【0055】
さらに、データ・ストリームで参照されるデータ・オブジェクトに関しては、これがオブジェクト・インストーラ104を使用してインストールされた場合、たとえば、前にインストールされたCMRへの参照を含むことができる。CMRへのこのような参照は、データ・オブジェクトに関するデータ・オブジェクトRAT項目に含めることができる。さらに、オブジェクト・インストーラ104は共通カラー・エンジン(CCE)305を組み込む可能性があり、これはCCE303と同じであるかまたは異なるCCEにすることができるであろう。このような組み込みは、たとえば、CMRへの参照なしにデータ・オブジェクトがインストールされた場合に必要である可能性があり、その場合、CCE305はデータ・オブジェクトの内容を検査し、データ・オブジェクトの内容に基づいて新しいCMRを生成するかまたはデータ・オブジェクトに適した既存のCMRを見つける。CCE305がデータ・オブジェクトのインストールに関与する場合、このようなアクセスは同図に示されていないが、CMR RAT304およびCRMリソース・ライブラリ302にもアクセスできることに留意されたい。
【0056】
プリント・サーバ102は、AFPアプリケーション・ジェネレータ101からMO:DCA−P文書を受信すると、それをIPDSコマンド・ストリームに変換する。このプロセスの一部として、それは、データ・ストリーム内の参照からCMRの名前を入手し、その名前を使用して、CMRと関係があるCMR RAT304内の項目を見つける。これにより、プリント・サーバ102は、CMRを入手し、それと、それを起動し呼び出すためのコマンドをIPDSコマンド・ストリームに組み込む。しかし、CMRが装置固有CMRにリンクされた装置独立CMRである場合、プリント・サーバは、意図された出力装置に固有の装置固有CMRで装置独立CMRを置き換えることができる。さらに、プリント・サーバ102は、データ・オブジェクト参照からデータ・オブジェクトの名前を入手し、その名前を使用して、データ・オブジェクトと関係があるデータ・オブジェクトRAT103内の項目を見つける。その結果として、プリント・サーバ102は、データ・オブジェクトを入手し、それをIPDSコマンド・ストリームに組み込む。しかし、データ・オブジェクトRAT102の項目は、データ・オブジェクトを処理するときに使用するためにCMRの詳細をさらに含むことができ、このような詳細としてはCMRの名前および処理モードを含み、処理モードはそれが監査CMRであるか命令CMRであるかを示す。その結果として、プリント・サーバ102は、CMR RAT304を介してCMRを入手し、それを、またはリンクされた装置固有CMRを、データ・オブジェクトが処理される前にそれを呼び出し、データ・オブジェクト期間の間、使用するためのコマンドとともに、IPDSコマンド・ストリームに組み込む。たとえば、監査CMRは、データ・オブジェクトを生成するために使用されたデジタル・カメラのICCプロファイルを含むカラー変換CMRにすることができるであろう。
【0057】
MO:DCA−P印刷ファイル内のマップ・データ・リソース(MDR:Map Data Resource)構造化フィールドは、フォントまたは参照されたデータ・オブジェクトなど、MO:DCA印刷ファイル・コンポーネントのプレゼンテーションに必要なリソースを指定するために使用される。本発明の好ましい実施形態では、MDR構造化フィールドは、印刷ファイル・コンポーネントを処理するときに使用すべきCMRを指定するためにさらに使用される。たとえば、MDR構造化フィールドは、印刷ファイルに関連するフォーマット定義内またはMO:DCA−P印刷ファイル内の適切な場所に含めることができる。図4は、CMRを指定するときにMDR構造化フィールドで使用されるトリプレットを示している。第1のトリプレットはX‘02’トリプレット401であり、これは、タイプ“DE”とともにCMRの名前を指定し、任意選択でタイプ“BE”とともにローカルID(LID:Local ID)を指定する。この名前は、CMR RATへのインデックスとして使用され、その結果として、CMR RAT内の項目を有する他のCMRからそのCMRを区別するのに十分なものでなければならない。このローカルIDは、CMRを参照するために何らかのデータ・オブジェクトにより内部で使用することができ、その場合、MDRはそのローカルIDをCMR名に結合する。次のトリプレットはX‘10’トリプレット402であり、これはMDRがCMRへの参照を含むことを示すために使用される。第3のトリプレットはX‘5A’トリプレット403であり、これはそのCMRが関係がある印刷ファイル内の特定の文書を識別するために使用される。したがって、このトリプレットはその文書が定義される印刷ファイルへのオフセットを指定し、したがって、CMRを特定の文書に関連付ける場合のみ必要である。最後に、X‘91’トリプレット404は、CMRに関する処理モードと、すなわち、CMRが監査CMRであるか命令CMRであるかと、CMRの範囲と、すなわち、それがページ、オーバーレイ、またはデータ・オブジェクトのいずれと関係があるかとの両方を指定するために使用される。
【0058】
図5ないし図9は、本発明の好ましい実施形態において、外部CMRがMO:DCA−P印刷ファイル上の様々なコンポーネントにどのように関連付けられるかを概略的に例示している。たとえば、非AFP環境では、CMRに印刷ファイル・レベルの範囲を与えるJDFジョブ・チケット(ticket)にそのCMRを結合できるであろう。
【0059】
図5は、印刷ファイル内のすべての文書コンポーネントに関連付けられる監査CMRの例についてこれを示している。たとえば、このようなCMRは、それをCIELabカラー・スペースに追加することにより、印刷ファイル内のすべての装置依存RGBカラーを定義するカラー変換CMRにすることができるであろう。CMRは、ジョブ・サブミッタ(job submitter)により印刷ファイルについて呼び出されるFormDef内のMDRを使用して、印刷ファイルに関連付けられる。同図の印刷ファイル500は、CMRリソース・ライブラリ302に記憶され、CMR RAT304から参照されるCMR「cmrpfile」520への参照を含む関連のフォーマット定義(FormDef)501を有する。CMRへの参照は、BFM(書式マップ開始(Begin Form Map))構造化フィールド502とEFM(書式マップ終了(End Form Map))構造化フィールド503とを含む開始/終了対によって定義されるFormDefに含まれる。BFM構造化フィールドのあとには、BDG(文書環境グループ開始(Begin Document Environment Group))構造化フィールド504とEDG(文書環境グループ終了(End Document Environmen Group))構造化フィールド505とを含む開始/終了対によって定義される文書環境グループ(DEG:Document Environment Group)が続く。文書環境グループ(DEG)内には、CMRを指定するMDR(マップ・データ・リソース(Mapped Data Resource))構造化フィールド506が含まれる。したがって、MDR構造化フィールド内のX‘02’トリプレット507はCMR「cmrpfile」の名前を指定し、X‘10’トリプレット508はMDRがCMRを参照することを指定し、X‘91’トリプレット509はCMRが監査CMRであることを指定する。したがって、プリント・サーバ102は、処理するために印刷ファイル500を受信すると、MDR構造化フィールド506からCMRの名前を入手し、それを使用して、CMR RAT304内のCMRに関する項目を見つける。この項目により、CMRリソース・ライブラリ302内のCMR520を見つけ、その後、適切な出力装置に送信されるIPDSコマンド・ストリーム内にそれを含める。
【0060】
図6は、本発明の好ましい実施形態において、監査CMR「cmrdoc」620が印刷ファイル内の特定の文書コンポーネントにどのように関連付けられるかを概略的に例示している。これは、印刷ファイル内、すなわち、FormDefの文書環境グループに指定されたMDR内のすべての文書コンポーネントにCMRが関連付けられるのと同様に達成される。しかし、この場合、CMRを識別するために使用されるMDR構造化フィールドは、CMRが関連付けられる予定の文書を示す追加のトリプレットを指定する。図6の印刷ファイル500は、CMR「cmrdoc」620を参照するFormDef501に関連付けられる。したがって、MDR構造化フィールド606が含まれ、そのフィールドで、X‘02’トリプレット607はCMR「cmrdoc」の名前を指定し、X‘10’トリプレット608はMDRがCMRを参照することを指定し、X‘91’トリプレット609はCMRが監査CMRであることを指定し、さらにX‘5A’トリプレット610はCMRが関連付けられる文書を指定し、たとえば、これは「n」が印刷ファイルのn番目の文書を指定するオフセットにすることができる。
【0061】
図7は、本発明の好ましい実施形態において、命令CMR「cmrpgov」720が文書コンポーネントのページまたはオーバーレイ・コンポーネントにどのように関連付けられるかを概略的に例示している。これは、そのページ/オーバーレイに関するアクティブ環境グループ(AEG)内のCMRを定義するMDRを含め、そのCMRがそのページ/オーバーレイに結合されることを示すことにより、達成される。図7の印刷ファイル701は、BPG(ページ開始)またはBMO(オーバーレイ開始(Begin Overlay))のいずれか一方の構造化フィールド702とEPG(ページ終了)またはEMO(オーバーレイ終了(End Overlay))のいずれか一方の構造化フィールド703とをそれぞれ含む開始/終了対によって定義されるページ/オーバーレイ・コンポーネントを含む。BPG/BMO構造化フィールドのあとには、BAG(アクティブ環境グループ開始(Begin Active Environment Group))構造化フィールド704とEAG(アクティブ環境グループ終了(End Active Environment Group))構造化フィールド705とを含む開始/終了対によって定義されるアクティブ環境グループが続く。アクティブ環境グループ内にはMDR(マップ・データ・リソース)構造化フィールド706が含まれ、そのフィールドで、X‘02’トリプレット707はCMR「cmrpgov」の名前を指定し、X‘10’トリプレット708はMDRがCMRを参照することを指定し、X‘91’トリプレット709はCMRが命令CMRであることと、CMRの範囲がページまたはオーバーレイ・コンポーネントであることの両方を指定する。
【0062】
データ・オブジェクト・コンポーネントに関しては、たとえば、データ・オブジェクト・コンポーネントがMO:DCA−P文書コンポーネント内にどのように指定されるかに応じて、さらに、適切なデータ・オブジェクトが前にインストールされた場合にはそれがインストール中にCMRに関連付けられたかどうかに応じて、これらをCMRに関連付けることができる、いくつかの方法が存在する。
【0063】
たとえば、データ・オブジェクトがワークステーション・ベースのオブジェクト・インストーラによってインストールされる場合、インストーラは、そのデータ・オブジェクトに関して構築されるRAT項目を使用する1つまたは複数のCMRでオブジェクトにタグを付けることを選択することができる。データ・オブジェクト自体は変更されず、そのネイティブ・フォーマット、すなわち、変更のないフォーマットでインストールすることができる。オブジェクト自体はいかなる方法でも関連を指定せず、それに気付かないので、これは、データ・オブジェクトに対するCMRの暗黙の関連である。たとえば、IOCA FS45をインストールする場合、インストーラは、Infoprint Color 130 Plusカラー・プロファイルを伝達する監査カラー変換CMRでこのオブジェクトにタグを付ける可能性があるであろう。この場合、MO:DCA−P文書コンポーネントは、CMRへの参照を含む必要はない。
【0064】
代わって、たとえば、MO:DCA−P文書コンポーネント内のデータ・オブジェクト・コンポーネントは、そのオブジェクト環境グループ(OEG)内のMDRを使用してCMRを参照することができ、これは、データ・オブジェクトCMR「cmrdatob」820に関して図8に概略的に示されている。同図の印刷ファイル801は、BBC(バーコード・オブジェクト開始(Begin Bar Code Object))、BGR(グラフィックス・オブジェクト開始(Begin Graphics Object))、BIM(イメージ・オブジェクト開始(Begin Image Object))、またはBOC(オブジェクト・コンテナ開始(Begin Object Container))のいずれかの構造化フィールド802と、EBC(バーコード・オブジェクト終了(End Bar Code Object))、EGR(グラフィックス・オブジェクト終了(End Graphics Object))、EIM(イメージ・オブジェクト終了(End Image Object))、またはEOC(オブジェクト・コンテナ終了(End Object Container))のいずれかの構造化フィールド803とをそれぞれ含む開始/終了対によって定義されるデータ・オブジェクト・コンポーネントを含む。BBC/BGR/BIM/BOC構造化フィールドのあとには、BOG(オブジェクト環境グループ開始)構造化フィールド804とEOG(オブジェクト環境グループ終了)構造化フィールド805とを含む開始/終了対によって定義されるオブジェクト環境グループが続く。オブジェクト環境グループ(OEG)構造化フィールド内にはMDR(マップ・データ・リソース)構造化フィールド806が含まれ、そのフィールドで、X‘02’トリプレット807はCMR「cmrdatob」の名前を指定し、X‘10’トリプレット808はMDRがCMRを参照することを指定し、X‘91’トリプレット809はCMRが監査CMRであることと、CMRの範囲がデータ・オブジェクトであることの両方を指定する。この場合、同図には示されていないが、MDRはそのMDRを含むページ/オーバーレイ・コンポーネントのアクティブ環境グループ(AEG)にも含まれていなければならないことに留意されたい。
【0065】
代わって、たとえば、データ・オブジェクトがインクルード・オブジェクト(IOB:Include Object)構造化フィールドを有するページ上に含まれる場合、IOBはCMRをそのオブジェクトに関連付けることができる。これは、データ・オブジェクトCMR「cmrdatob」920に関して図9に概略的に示されている。同図の印刷ファイル901は、BPG(ページ開始)またはBMO(オーバーレイ開始)のいずれか一方の構造化フィールド902とEPG(ページ終了)またはEMO(オーバーレイ終了)のいずれか一方の構造化フィールド903とをそれぞれ含む開始/終了対によって定義されるページ/オーバーレイ・コンポーネントを含む。ページ/オーバーレイのあとには、BAG(アクティブ環境グループ開始)構造化フィールド904とEAG(アクティブ環境グループ終了)構造化フィールド905とを含む開始/終了対によって定義されるアクティブ環境グループが続く。さらに、BPG/BMO構造化フィールドは、FQNタイプX‘01’を使用するX‘02’トリプレット907とX‘10’トリプレット908により「espologo」データ・オブジェクトを定義するインクルード・オブジェクト(IOB)構造化フィールド906を有するデータ・オブジェクトを含む。次に、このデータ・オブジェクトは、IOB構造化フィールド906において、FQNタイプX‘DE’を使用するX‘02’トリプレット909でCMR「cmrdatob」の名前と、X‘91’トリプレット910でそのCMRの処理モードおよび範囲とをさらに指定することにより、CMRに関連付けられる。この場合、同図には示されていないが、同じ情報を有するMDRはそのIOB構造化フィールドを含むページ/オーバーレイ・コンポーネントのアクティブ環境グループ(AEG)にも組み込まれていなければならないことに留意されたい。この組み込み(関連)は、オブジェクト内からCMRへの参照がまったく存在しない暗黙的なものにするか、CMRがローカルID(LID)によってオブジェクト内から参照される明示的なものにすることができ、このローカルIDはFQNタイプ「BE」トリプレットによりIOB上のCMR参照に結合されることにさらに留意されたい。
【0066】
データ・オブジェクト・コンポーネントに関連するCMRは任意選択で、CMR名に代わるものとしてCMRに関連するローカルID(LID)で明示的に参照することもできることに留意されたい。この場合、LIDは、データ・オブジェクトによって確立された規則により、データ・オブジェクト内で参照される。たとえば、LIDは、IOCA FS45オブジェクト内のイメージ・タイル(image tile)内から呼び出される可能性があるであろう。この場合、CMRは完全なデータ・オブジェクトに適用されない可能性があり、スコーピング規則はデータ・オブジェクト(この場合はIOCA FS45)によって定義される。LIDを使用してデータ・オブジェクト内でCMRが明示的に呼び出される場合、関連データ・オブジェクト・コンポーネントのOEG内のMDR内のCMR名にそのLIDをマッピングしなければならないか、またはLIDを指定し、CMRに関するFQNタイプX‘DE’の直後に続くFQNタイプX‘BE’を有するX‘02’トリプレットを使用して、データ・オブジェクトを含むIOB上でそのLIDを参照しなければならない。
【0067】
プリント・サーバは、MO:DCA−P文書内の外部CMRへの参照を処理する場合、CMRについて指定された名前を使用して、CMR RAT内の適切な項目を見つける。RAT項目は、CMR参照名(CMR名)をCMRのファイル名にマッピングし、CMRを処理するために必要なその他のパラメータにマッピングする。また、RAT項目は、RAT項目が関係があるCMRの代わりに使用しなければならないその他の装置固有CMRにCMR参照をマッピングすることもできる。
【0068】
本発明の好ましい実施形態では、CRMに使用されるRATは、MO:DCA TrueTypeフォントRATに類似しているが、「IBM_ColorManagementResource.rat」というファイル名を有する個別テーブルである。参照されるCMRに関するRAT項目は、リピーティング・グループ(RG)により構文的に定義される。各RGは、長さと、ヘッダと、処理情報を指定する1つまたは複数の自己識別型テーブル・ベクトル(TV)とを含む。ヘッダは、CMRに関する汎用オブジェクトタイプOIDと、CMR RAT RGに固有の1組のフラグを指定する。TVは、MO:DCAトリプレットと同様のものであり、それぞれのタイプによって区別される。以下のTVが定義される。
CMR名TV:CMRを参照するために使用されるCMR名を指定するものであり、この名前はRATへのインデックスとして使用される。
ファイル名TV:それによりCMRがインストールされるファイル名を指定するものである。
CMR OID TV:プリンタによってCMRを収集できるCMRオブジェクトOIDを指定するものである。このOIDは、設計済みアルゴリズム、たとえば、完全なオブジェクトのMD−5チェックサムを使用して計算され、CMRを固有に識別する。
装置固有CMR TV:参照されるCMRにマッピングされる装置固有CMRのCMR名を指定するものであり、このTVは、複数回指定することができる。装置タイプはCMR名から導くことができる。
【0069】
RAT項目(エントリー)のこの構造により、データ・ストリーム内で参照される装置独立CMRを装置固有CMRで置き換えることができる。これは、1つまたは複数の装置固有CMRにCMR名をマッピングするために使用される1つまたは複数の装置固有CMR TVをRAT RGが含むことができるからである。これにより、ターゲット装置タイプを把握しているプリント・サーバは、データ・ストリーム内で参照されるCMRの代わりに使用するための1つまたは複数の適切なCMRを選択することができる。装置固有CMRが関係がある装置は、CMRリソース名に指定され、次にそのCMRリソース名を使用してRATにアクセスし直し、ファイル名およびそのCMRに関するその他の処理情報を検出する。
【0070】
しかし、プリント・サーバがRAT内のCMRを検索している場合、その参照が監査CMRへのものであるかまたは命令CMRへのものであるかは分かっている。というのは、これはMO:DCA−P印刷ファイル内に指定されたCMRへの参照に指定されるからである。その参照が監査CMRへのものである場合、CMR名と一致することが検出された第1のCMRが使用され、そのRAT RG内で指定される可能性のある他のすべてのCMRは無視される。
【0071】
代わって、その参照が装置独立である命令CMRへのものである場合、プリンタ・サーバは、出力装置タイプが与えられた装置固有CMRを識別するTVについてRAT RGを検索する。適切な装置固有CMRが検出された場合、それが使用されるが、いかなるTVも検出されない場合、装置独立CMRが使用されることになる。その参照が装置固有である命令CMRへのものである場合、それはそのまま使用される。
【0072】
RGに指定されている装置固有CMRは、RATのインデックスを付け直すために装置固有名TVに指定された名前を使用して見つけられる。一致するRAT RGが検出されると、ファイル名またはオブジェクトOIDあるいはその両方を使用して、装置固有CMRを見つけ処理する。
【0073】
CMRはMO:DCA−P印刷ファイルの一部として印刷ファイル・レベルのリソース・グループでも伝達できることに留意されたい。このようなCMRは、印刷ファイルに含まれており、したがって、CMR RATを使用してそれを検索する必要がまったくないので、インラインCMRと呼ばれる。この場合、CMRはまずBOC/EOCオブジェクト・コンテナ内で折り返され、次にそれがBRS/ERSリソース・エンベロープ内で折り返される。MO:DCA−P文書コンポーネント内でCRM参照を解決する場合、プリント・サーバはまず、インラインCMRについて印刷ファイル・リソース・グループを検索しなければならない。存在する場合、そのCMR名は、リソース・コンテナのBRS構造化フィールド上に指定されたCMR名と突き合わされる。
一致がまったく検出されない場合、検索はRATについて継続する。一致(match)が検出された場合、そのCMRが装置独立のものであるか装置固有のものであるかを判断するためにCMRヘッダが検査される。
装置固有CMRが検出された場合、それが使用される。(インライン装置固有CMRは、BOC/EOC内で装置固有CMRを折り返し、次に装置独立CMR名と一致するBRS/ERSでそのコンテナを伝達することにより、装置独立CMRへのデータ・ストリーム参照を用いて呼び出すことができることに留意されたい。)
装置独立CMRが検出され、それが監査CMRである場合、それが使用される。
CMRが装置独立のものであり、それが命令CMRである場合、検索はRATについて継続する。RATがこのCMR参照に関する装置依存CMRを指定する場合、それらが使用され、指定しない場合、インラインCMRが使用される。
【0074】
適切な1つまたは複数のCMRを見つけると、プリント・サーバはMO:DCA−P印刷ファイルに関するIPDS(高機能プリンタ・データ・ストリーム)コマンド・ストリームを生成する。IPDSコマンド・ストリームでは、他のすべてのIPDSリソースのようにCMRが起動され停止される。ホスト割当てID(HAID:Host-Assigned ID)は起動中に割り当てられるが、CMRは明示的に呼び出されるまで使用されない。
【0075】
CMR呼出しに関しては、IPDSアーキテクチャは状態マシン(state machine)の概念を含み、そこでプリンタはIPDSコマンド・ストリームからの様々なコマンドを処理し、各コマンドは特定の状態内でのみ許可されるかまたは現在の状態から新しい状態への遷移を引き起こすことに留意されたい。これらの状態は事前定義され、1組の関連プリンタ機能を表し、たとえば、「ページ状態(page state)」はページを構築するための作業のすべてが実行される状態であり、「グラフィックス状態(graphics state)」はグラフィック描画が行われる状態であり、「ホーム状態(home state)」はほとんどのプリンタ制御機能が行われる開始状態である。
【0076】
本発明の好ましい実施形態では、CMRが呼び出される方法は、IPDS設計済み状態マシンの状態応じて異なる。「ホーム状態」レベルでは、ICMRコマンドを使用してCMRを呼び出すことができる。代わって、「ページ状態」または「オブジェクト状態(object state)」では、処理中のコンポーネントに関連付けられるIPDSコマンド上で指定されたICMRトリプレットを使用してCMRを呼び出す。
【0077】
ICMRコマンドおよびICMRトリプレットは、CMRが起動されたときに割り当てられたホスト割当てIDを使用して、また、任意選択で、CMRがオブジェクトの一部分のみに関連付けられている場合は内部IDを使用して、呼出し中のCMRを識別する。さらに、ICMRコマンドは、前のICMRコマンドによって呼び出されたすべてのCMRが呼び出されてはならないことを示すリセット・フラグを提供する。
【0078】
IPDSコマンド・ストリーム階層の種々のレベルにおけるCMRの対話(interaction)は、1組の所定の規則に基づくものである。たとえば、本発明の好ましい実施形態では、任意の所与の時間に特定のタイプの単一CMRのみが使用中である可能性がある。所与のレベルまたは状態でCMRが呼び出されると、それは、そのレベルまたは状態のみについて、より低いレベルで現在使用中の同じタイプの任意のCMRを置き換える。たとえば、カラー変換CMR(x)が「ホーム状態」で呼び出され、カラー変換CMR(y)が「グラフィックス状態」でIOCAオブジェクトについて呼び出された場合、カラー変換CMR(y)はIOCAオブジェクト処理の期間またはIOCAオブジェクト状態の期間の間、使用中のカラー変換CMRになる。IOCAオブジェクト状態が終了すると、カラー変換CMR(x)はもう一度、使用中のカラー変換CMRになる。
【0079】
たとえば、正式なCMR使用階層については、以下のように簡単に説明することができる。
印刷ファイルまたは文書レベルの呼出しは、「CMR呼出し」(ICMR:Invoke CMR)と呼ばれるホーム状態IPDSコマンドによって実施される。このコマンドは、HAIDによってCMRを呼び出し、CMR階層内のより低いレベルで適切なCMRがまったく指定されていない場合に必ずそのCMRが適切なカラー・データとともに使用されることを指定する。
ページまたはオーバーレイ・レベルの呼出しは、ページまたはオーバーレイに関する論理ページ記述子(Logical-Page-Descriptor)コマンド上またはオーバーレイ・インクルード(Include-Overlay)コマンド上に指定されたCMR呼出しトリプレットによって実施される。
データ・オブジェクト・レベルの呼出しは、データ・オブジェクトを開始するコマンド上またはページまたはオーバーレイ内にデータ・オブジェクトを含めるコマンド(データ・オブジェクト・インクルード(Include-Data-Object)コマンド)上に指定されたCMR呼出しトリプレットによって実施される。この場合、CMR呼出しトリプレットは、内部リソースIDをCMRに割り当てることができる。この内部リソースIDは、データ・オブジェクトの一部分に関するCMRを明示的に要求するためにそのデータ・オブジェクト内で使用される。
プリンタ・デフォルトCMRは、必要なタイプのホスト呼出しCMRがまったく提供されないときに使用するために用意される。
【0080】
本発明の好ましい実施形態のCMRスコーピング(scoping)規則では、どのCMRを使用するかを選択するときにプリンタなどの出力装置がCMR使用階層を適用することを要求している。たとえば、FormDefでは、文書内のすべてのCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)カラーを処理するためにInfoprint Color 130+カラー変換CMRが監査CMRとして使用されることを指定することができる。その文書内では、IOCA FS45は、カラー・プリンタ「x」用のCMYKで生成され、適切なカラー変換監査CMRでタグが付けられている可能性がある。本発明の好ましい実施形態のCMR使用階層により、FS45が処理されると、プリンタは、現在の130+カラー変換CMRをサスペンドし、FS45期間の間、カラー・プリンタ「x」のCMRを呼び出す。FS45処理が完了すると、プリンタは「現行」カラー変換CMRとして130+CMRを再開する。
【0081】
IPDSアーキテクチャ内では、カラー・マネージメント・リソース(CMR)は非プレゼンテーション・オブジェクト・コンテナ・リソースとして取り扱われる。
【符号の説明】
【0082】
101 AFPアプリケーション・ジェネレータ
102 プリント・サーバ
103 データ・オブジェクト・リソース・アクセス・テーブル
104 オブジェクト・インストーラ
105 データ・オブジェクト・リソース・ライブラリ
106〜108 出力装置
301 CMRインストーラ
302 CMRリソース・ライブラリ
303 共通カラー・エンジン
304 CMRリソース・アクセス・テーブル
305 共通カラー・エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力装置において出力するための高機能印刷(AFP)文書を受信するステップと、
カラー・マネージメント・リソース(CMR)が出力するための前記AFP文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップであって、前記CMRは、前記コンポーネントの少なくとも一部の出力中に前記コンポーネントの前記少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を有する、ステップと、
前記AFPを用いて高機能プリンタ・データ・ストリーム(IPDS)コマンド・ストリームを生成するステップであって、前記IPDSコマンド・ストリームは、前記出力装置における前記コンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記CMRを呼び出すためのコマンドを有する、ステップと、
前記IPDSコマンド・ストリームを前記出力装置に送信するステップと
を有する方法であって、
前記CMRは、装置独立で複数の装置に使用可能なものにするか、または装置固有で特定の装置または特定のタイプの装置にのみ使用可能なものにすることができ、
前記判断するステップは、前記CMRが装置独立のものであるか装置固有のものであるかを判断するようにCMRヘッダを検査するステップを有する
方法。
【請求項2】
コンポーネントの少なくとも一部に関連する前記CMRの名前を入手するステップと、
前記名前を使用してメモリ内の前記CMRを見つけるステップと、
前記CMRを前記IPDSコマンド・ストリームに追加するステップと
をさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記名前を使用してメモリ内の前記CMRを見つける前記ステップが、
出力するための前記AFP文書内の前記CMRを検索するステップと、
出力するための前記AFP文書内で前記CMRを検出しなかったことに応答して、CMRの集合内で前記CMRを検索するステップと
を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
判断する前記ステップが、
コンポーネントの前記少なくとも一部が装置独立CMRに関連付けられていると判断したことに応答して、前記出力装置に固有の装置固有CMRに対するものになるように前記関連を置き換えるステップ
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
判断する前記ステップが、
コンポーネントの前記少なくとも一部の属性を入手するステップと、
コンポーネントの前記少なくとも一部にCMRを関連付けるステップであって、入手された前記属性に基づいて前記CMRが選択されるステップと
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
入手された前記属性を使用して、コンポーネントの前記少なくとも一部に関連付けられる前記CMRを生成するステップをさらに有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記詳細が、カラー変換、リンク・カラー変換、ハーフトーン画面、および較正曲線のうちの少なくとも1つと関係がある、請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記CMRが、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行される予定の処理を定義する命令CMRと、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行された処理を定義する監査CMRのうちの一方である、請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記コマンドが前記CMRの前記呼出しに関する範囲を指定する、請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
出力装置において出力するための高機能印刷(AFP)文書を受信する文書受信器と、
カラー・マネージメント・リソース(CMR)が前記AFP文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断する関連判断器と、
前記AFPを用いて高機能プリンタ・データ・ストリーム(IPDS)コマンド・ストリームを生成し、前記IPDSコマンドを前記出力装置に送信するコマンド追加器であって、前記IPDSコマンド・ストリームは、前記出力装置における前記コンポーネントの出力中に前記CMRを呼び出すためのコマンドを有する、コマンド追加器と
を有するデータ処理装置。
【請求項11】
コンポーネントの少なくとも一部に関連する前記CMRの名前を入手する手段と、
前記名前を使用してメモリ内の前記CMRを見つける手段と、
前記CMRを前記IPDSデータ・ストリームに追加する手段と
をさらに有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記関連判断器が、
コンポーネントの前記少なくとも一部が装置独立CMRに関連付けられていると判断したことに応答して、前記出力装置に固有の装置固有CMRに対するものになるように前記関連を置き換える手段を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記関連判断器が、
コンポーネントの前記少なくとも一部の属性を入手する手段と、
コンポーネントの前記少なくとも一部にCMRを関連付ける手段であって、入手された前記属性に基づいて前記CMRが選択される手段と
を有する、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
入手された前記属性を使用して、コンポーネントの前記少なくとも一部に関連付けられる前記CMRを生成するための手段をさらに有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
コンピュータによって読取り可能なプログラム記憶媒体を含むシステムであって、
出力装置において出力するための高機能印刷(AFP)文書を受信するステップと、
カラー・マネージメント・リソース(CMR)が出力するための前記AFP文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップであって、前記CMRは、前記コンポーネントの少なくとも一部の出力中に前記コンポーネントの前記少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を有する、ステップと、
前記AFPを用いて高機能プリンタ・データ・ストリーム(IPDS)コマンド・ストリームを生成するステップであって、前記IPDSコマンド・ストリームは、出力中に前記コンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記CMRを呼び出すためのコマンドを有する、ステップと、
前記IPDSコマンド・ストリームを前記出力装置に送信するステップと
を有する、方法を実行するためにコンピュータによって実行可能な複数命令からなる1つまたは複数のプログラムを前記媒体が具現化する、システム。
【請求項16】
前記方法が、
コンポーネントの少なくとも一部に関連する前記CMRの名前を入手するステップと、
前記名前を使用してメモリ内の前記CMRを見つけるステップと、前記CMRを前記IPDSコマンド・ストリームに追加するステップと
をさらに有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
判断する前記ステップが、
コンポーネントの前記少なくとも一部が装置独立CMRに関連付けられていると判断したことに応答して、前記出力装置に固有の装置固有CMRに対するものになるように前記関連を置き換えるステップ
を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
判断する前記ステップが、
コンポーネントの前記少なくとも一部の属性を入手するステップと、
コンポーネントの前記少なくとも一部にCMRを関連付けるステップであって、入手された前記属性に基づいて前記CMRが選択されるステップと
を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記方法が、
入手された前記属性を使用して、コンポーネントの前記少なくとも一部に関連付けられる前記CMRを作成するステップ
をさらに有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
出力用高機能印刷(AFP)文書を定義する高機能プリンタ・データ・ストリーム(IPDS)出力データ・ストリームを受信するステップと、
第1のカラー・マネージメント・リソース(CMR)が前記AFP文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップであって、前記第1のCMRがその出力中にコンポーネントの前記少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を有するステップと、
コンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記第1のCMRを呼び出すステップと
を有する、方法。
【請求項21】
第2のCMRが前記文書からのコンポーネントの前記少なくとも一部のサブコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップと、
サブコンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記第1のCMRを置き換えるために前記第2のCMRを呼び出すステップと
をさらに有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
サブコンポーネントの前記少なくとも一部の出力が完了したときに前記第1のCMRを再呼出しするステップをさらに有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のCMRが、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行される予定の処理を定義する命令CMRと、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行された処理を定義する監査CMRのうちの一方である、請求項20ないし22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記詳細が、カラー変換、リンク・カラー変換、ハーフトーン画面、および較正曲線のうちの少なくとも1つと関係がある、請求項20ないし23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
出力用高機能印刷(AFP)文書を定義する高機能プリンタ・データ・ストリーム(IPDS)出力データ・ストリームを受信するための受信器と、
第1のカラー・マネージメント・リソース(CMR)が前記AFP文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断する関連判断器であって、前記第1のCMRがその出力中にコンポーネントの前記少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を含む、関連判断器と、
コンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記第1のCMRを呼び出すCMR呼び出し器と
を有する、データ処理装置。
【請求項26】
第2のCMRが前記AFP文書からのコンポーネントの前記少なくとも一部のサブコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断する手段と、
サブコンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記第1のCMRを置き換えるために前記第2のCMRを呼び出す手段と
をさらに有する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
サブコンポーネントの前記少なくとも一部の出力が完了したときに前記第1のCMRを再呼出しする手段をさらに有する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記第1のCMRが、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行される予定の処理を定義する命令CMRと、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行された処理を定義する監査CMRのうちの一方である、請求項25ないし27のいずれか1項に記載の装置。
【請求項29】
前記詳細が、カラー変換、リンク・カラー変換、ハーフトーン画面、および較正曲線のうちの少なくとも1つと関係がある、請求項25ないし28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
コンピュータによって読取り可能なプログラム記憶媒体を有するシステムであって、前記媒体が、
出力用高機能印刷(AFP)文書を定義する高機能プリンタ・データ・ストリーム(IPDS)出力データ・ストリームを受信するステップと、
第1のカラー・マネージメント・リソース(CMR)が前記AFP文書からのコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップであって、前記第1のCMRがその出力中にコンポーネントの前記少なくとも一部のカラーをレンダリングするときに使用するための詳細を含むステップと、
コンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記CMRを呼び出すステップと
を有する、方法を実行するためにコンピュータによって実行可能な複数命令からなる1つまたは複数のプログラムを記録する、システム。
【請求項31】
前記方法が、
第2のCMRが前記AFP文書からのコンポーネントの前記少なくとも一部のサブコンポーネントの少なくとも一部に関連付けられていることを判断するステップと、
サブコンポーネントの前記少なくとも一部の出力中に前記第1のCMRを置き換えるために前記第2のCMRを呼び出すステップと
をさらに有する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記方法が、
サブコンポーネントの前記少なくとも一部の出力が完了したときに前記第1のCMRを再呼出しするステップ
をさらに有する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1のCMRが、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行される予定の処理を定義する命令CMRと、コンポーネントの前記少なくとも一部について実行された処理を定義する監査CMRのうちの一方である、請求項30ないし32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記詳細が、カラー変換、リンク・カラー変換、ハーフトーン画面、および較正曲線のうちの少なくとも1つと関係がある、請求項30ないし33のいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−227962(P2012−227962A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167629(P2012−167629)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2007−512155(P2007−512155)の分割
【原出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(509129277)インフォプリント・ソリューションズ・カンパニー・エルエルシイ (26)
【Fターム(参考)】