説明

カラー画像形成装置

【課題】ローラ、コロ、リブの影響を受けずに転写材上のテストパッチの色又は濃度を正確に検出できるようにする。
【解決手段】トナー画像を転写材1に定着させる定着部13を有する画像形成部と、トナー画像が定着された転写材1に接しつつ搬送させるローラ30、31を有する搬送手段と、転写材1上に定着された、色又は濃度検出用のトナーパッチを検出する検出部26を備え、検出部26の検出結果に基づき画像の色又は濃度を制御するカラー画像形成装置であって、ローラ30、31は、転写材1の搬送方向において、定着部13より下流で検知部26より上流に配置され、検出部26は、カラー画像形成装置から排出される前の転写材1上のトナーパッチを検出可能に配置され、画像形成部は、トナーパッチを、転写材1の移動方向と直交する方向の、ローラ30,31が接することのない所定位置に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、特に画像の色味や濃度の安定化を可能にするカラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、環境の変化や長時間の使用による装置各部の変動があると、得られる画像の濃度が変動してしまう。特にカラー画像形成装置の場合、わずかな濃度の変動でもカラーバランスが崩れてしまう恐れがあるので、常に一定の濃度−階調特性を保つ必要がある。
【0003】
そこで、電子写真方式のカラー画像形成装置では、各色のトナーに対して、絶対湿度に応じた数種類の露光量や現像バイアスなどのプロセス条件補正手段や、ルックアップテーブル(LUT)などの階調補正手段をもち、温湿度センサによって測定された絶対湿度に基づいて、その時のプロセス条件や階調補正の最適値を選択している。また、装置各部の変動が起こっても一定の濃度−階調特性が得られるように、各色のトナーで濃度検知用トナーパッチを中間転写体やドラム等の上に作成し、その未定着トナーパッチの濃度を未定着トナー用濃度検知センサで検知し、その検知結果より露光量、現像バイアスなどのプロセス条件にフィードバックをかけて濃度制御を行うことで、安定した画像が得られるように構成している。
【0004】
しかし、上記未定着トナー用濃度検知センサを用いた濃度制御は、トナーパッチを中間転写体やドラム等の上に形成し検知するもので、その後に行われる転写材への転写及び定着による画像のカラーバランスの変化については制御していない。転写材へのトナー像の転写における転写効率や、定着による加熱及び加圧によってもカラーバランスが変化する。この変化には、上記未定着トナー用濃度検知センサを用いた濃度制御では対応できない。
【0005】
そこで、転写、定着後に転写材上の単色トナー画像の濃度またはフルカラー画像の色度を検知する濃度又は色度センサ(以下カラーセンサという)を設置し、濃度または色度制御用カラートナーパッチ(以下パッチという)を転写材上に形成し、検知した濃度または色度を露光量、プロセス条件、ルックアップテーブル(LUT)などのプロセス条件にフィードバックし、転写材上に形成した最終出力画像の濃度または色度制御を行う画像形成装置が考えられている。
【0006】
このカラーセンサは、濃度または色度を検知するために、例えば発光素子として赤(R)、緑(G)、青(B)を発光する光源を用い、それぞれの発光素子を個別に発光させた際の反射光を一つの受光素子で検出する構成をとるか、発光素子として白色(W)を発光する光源を用い、受光素子上に赤(R)、緑(G)、青(B)等の分光透過率が異なる3種のフィルタを形成し、各色に対応した反射光成分を求める構成をとっている。このほか、プリズム等を用いてパッチからの反射光を分光しラインセンサにて各波長成分に対応した信号を得る構成をとる場合もある。このようにして得られるR出力、G出力、B出力といった異なる波長に対応した出力から、CMYKを識別することや、各濃度を検知することができる。また、R出力、G出力、B出力を線形変換等で数学的な処理をしたり、ルックアップテーブル(LUT)で変換することで色度を検知することができる。
【0007】
インクジェット方式のプリンタにおいても、インク吐出量の経時変化や環境差、インクカートリッジの個体差によりカラーバランスが変化し、濃度‐階調特性を一定に保てない。そこで、プリンタの出力部付近にカラーセンサを設置し、記録媒体上のパッチの濃度または色度を検知し、濃度または色度制御を行うことが考えられている。
【0008】
画像形装置において出力すべき画像のRGBデータは、カラーマッチングテーブルを用いて各画像形成装置で扱うデバイスRGB信号に変換され、デバイスRGB信は、色分解テーブルを用いて、トナーやインクの色に合ったYMCK信号に変換され、YMCK信号はキャリブレーションテーブルを用いて、各画像形成装置に固有な濃度―階調特性を補正したY’C’M’K’信号に変換される。このため、濃度または色度の制御方法はいくつか考えられる。
【0009】
例えば、測定した濃度からキャリブレーションケーブルを補正したり、測定した色度からカラーマッチングテーブルや色分解テーブルの補正を実施することにより、所望の色味の画像を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のカラー画像形成装置において安定した画像を得るために、定着後の転写材上のトナーパッチの色味や濃度検出を行うには、次のような問題があった。
【0011】
すなわち、転写材の供給口から定着器を経てセンサまでの搬送経路にはローラやコロやリブが存在するので、転写材がこれらとの摩擦により帯電し定着されていないトナーを吸着し、その表面にトナー汚れが発生する。また、ローラやコロなどがトナーパッチの表面をこするので、その表面にミクロな筋や紙の繊維によるがさつきが発生する。このような現象が発生すると、トナーパッチの色が混色し、明度が変わり、その正反射光がカラーセンサに混入し、正しい反射光の分光反射率測定が妨げられるという問題があった。特に、定着器の熱の影響を避けるために、カラーセンサを両面ユニットのスイッチバッチ機能内といった、定着器から離れた位置に設ける場合には、転写・定着後の搬送経路が長くなるため、ローラ、リブ、コロの影響をより受けやすくなるという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の従来技術に鑑みてなされたもので、定着後の転写材上のトナーパッチの色味や濃度を正確に検出することを可能とし、その検出結果によりエンジンの動作条件や画像処理にフィードバックをかける構成をすることにより、色再現性のよいカラー画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明が提供するカラー画像形成装置は、次の(1)〜(2)に記載のものである。
【0014】
(1)記録媒体に転写されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる定着手段を有する画像形成手段と、前記画像形成手段によりトナー画像が定着された前記記録媒体に接しつつ搬送させる搬送部を有する搬送手段と、前記画像形成手段により前記記録媒体上に定着された、色又は濃度検出用のトナーパッチを検出する検出手段と、を備え、前記検出手段の検出結果に基づき画像の色又は濃度を制御するカラー画像形成装置であって、前記搬送部は、前記記録媒体が搬送される搬送方向において、前記定着手段より下流で前記検出手段より上流に配置されており、前記検出手段は、前記カラー画像形成装置から排出される前の前記記録媒体に定着された前記トナーパッチを検出可能に配置されており、前記画像形成手段は、前記トナーパッチを、前記記録媒体の移動方向と直交する方向における所定位置であって、前記搬送手段が有する前記搬送部が接することのない所定位置に形成することを特徴とするカラー画像形成装置。
【0015】
(2)記録媒体に転写されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる定着手段を有する画像形成手段と、前記画像形成手段によりトナー画像が定着された前記記録媒体に接しつつ搬送させる搬送部を有する搬送手段と、前記画像形成手段により前記記録媒体上に定着された、色又は濃度検出用のトナーパッチを検出する検出手段と、を備え、前記検出手段の検出結果に基づき画像の色又は濃度を制御するカラー画像形成装置であって、前記搬送部は、前記記録媒体が搬送される搬送方向において、前記定着手段より下流で前記検出手段より上流に配置されており、前記検出手段は、前記カラー画像形成装置から排出される前の前記記録媒体に定着された前記トナーパッチを検出可能に配置されており、前記搬送部は、前記記録媒体上に形成された前記トナーパッチと接しない形状であり、前記記録媒体上に形成された前記トナーパッチに接しない位置に配置されていることを特徴とするカラー画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、記録媒体に転写されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる定着手段を有する画像形成手段と、前記画像形成手段によりトナー画像が定着された前記記録媒体に接しつつ搬送させる搬送部を有する搬送手段と、前記画像形成手段により前記記録媒体上に定着された、色又は濃度検出用のトナーパッチを検出する検出手段と、を備え、前記検出手段の検出結果に基づき画像の色又は濃度を制御するカラー画像形成装置であって、前記搬送部は、前記記録媒体が搬送される搬送方向において、前記定着手段より下流で前記検出手段より上流に配置されており、前記検出手段は、前記カラー画像形成装置から排出される前の前記記録媒体に定着された前記トナーパッチを検出可能に配置されており、前記画像形成手段は、前記トナーパッチを、前記記録媒体の移動方向と直交する方向における所定位置であって、前記搬送手段が有する前記搬送部が接することのない所定位置に形成することを特徴とするカラー画像形成装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明によれば、記録媒体に転写されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる定着手段を有する画像形成手段と、前記画像形成手段によりトナー画像が定着された前記記録媒体に接しつつ搬送させる搬送部を有する搬送手段と、前記画像形成手段により前記記録媒体上に定着された、色又は濃度検出用のトナーパッチを検出する検出手段と、を備え、前記検出手段の検出結果に基づき画像の色又は濃度を制御するカラー画像形成装置であって、前記搬送部は、前記記録媒体が搬送される搬送方向において、前記定着手段より下流で前記検出手段より上流に配置されており、前記検出手段は、前記カラー画像形成装置から排出される前の前記記録媒体に定着された前記トナーパッチを検出可能に配置されており、前記搬送部は、前記記録媒体上に形成された前記トナーパッチと接しない形状であり、前記記録媒体上に形成された前記トナーパッチに接しない位置に配置されていることを特徴とするカラー画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1のカラー画像形成装置におけるトナーパッチ、検出部とローラ、リブ、コロの位置関係を示す図
【図2】実施例1のカラー画像形成装置の構成を示す図
【図3】図1の検出部の構成を示す図
【図4】図3の検出部の回路を示す図
【図5】実施例2のカラー画像形成装置におけるトナーパッチ、検出部とローラ、リブ、コロの位置関係を示す図
【図6】実施例2のカラー画像形成装置における別のトナーパッチ、検出部とローラ、リブ、コロの位置関係を示す図
【図7】実施例3のカラー画像形成装置の搬送系を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1に実施例のカラー画像形成装置において用いるトナーパッチを形成した転写材と、トナーパッチの色味や濃度を検出する検出部と、転写材の搬送経路に配設されたローラ、コロ、リブの位置関係を示す。図2は本実施例の電子写真方式のカラー画像形成装置を示す。図3、図4はトナーパッチの色味や濃度を検出する検出部を示す。
【0021】
図1において26は図3、図4に例示する色味または濃度の検出部、1はトナーパッチ41を表面に形成した転写材、41はそのトナーパッチである。42は転写材1を搬送するローラ、44はコロ、43は転写材1をガイドするリブである。転写材1は矢印で示したように右から左にローラにより搬送され、トナーパッチ41は、検出部26の下を通過する。このとき、トナーパッチ41からの反射光から定着後のトナーパッチの色味や濃度の情報を得ることができる。本実施例では、トナーパッチ41は転写材1の表面のうち、ローラ42、コロ44、リブ43が接する位置を避けた場所、特にローラ、コロ、リブが配置される可能性の高い転写材1の搬送路の中央部を避けた場所に形成され、検出部26は、トナーパッチ形成位置に対応した場所に設けられている。このため、トナーパッチ41はトナーで汚れたり、コロ跡やリブ跡の影響を受けない。この構成によれば、トナーパッチの色味または濃度の検出が可能となり、その検出結果により正確にエンジンの動作条件や画像処理にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよい画像形成装置を実現できる。
【0022】
本実施例の電子写真方式のカラー画像形成装置は、図2に示すように、カラーレーザプリンタ、画像形成部において画像信号に基づいて形成される画像光により静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して可視画像を形成し、さらに、このカラー可視画像を記録媒体である転写材へ転写し、ついでカラー可視画像を定着させるものである。画像形成部は、現像色の数だけ並置したステーション毎の感光ドラム5Y、5M、5C、5K、一次帯電手段としての注入帯電手段7Y、7M、7C、7K、現像手段8Y、8M、8C、8K、トナーカートリッジ11Y、11M、11C、11K、中間転写体12、給材部、転写部および定着部13とによって構成されている。
【0023】
感光ドラム5Y、5M、5C、5Kは、アルミシリンダの外周に有機光導伝層を塗布して構成し、図示しない駆動モータの駆動力が伝達されて回転する。駆動モータは感光ドラム5Y、5M、5C、5Kを画像形成動作に応じて反時計周り方向に回転させる。感光ドラム5Y、5M、5C、5Kへの露光光は、スキャナ部10Y、10M、10C、10Kから送られ、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面を選択的に露光することにより、順次静電潜像を形成する。
【0024】
一次帯電手段として、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の感光ドラム5Y、5M、5C、5Kを帯電させるための4個の注入帯電器7Y、7M、7C、7Kを備え、各注入帯電器にはスリーブ7YS、7MS、7CS、7KSが装備されている。
【0025】
現像手段として、上記静電潜像を可視化するために、ステーション毎にイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の現像を行う4個の現像器8Y、8M、8C、8Kとを備え、各現像器にはスリーブ8YS、8MS、8CS、8CKが設けられている。なお、各々の現像器は装置本体に対して脱着可能に取り付けられている。
【0026】
中間転写体12は、駆動ローラ18a、および従動ローラ18b、18cに張設された無端ベルト体であって、感光ドラム5Y、5M、5C、5Kに接触しており、カラー画像形成時に時計周り方向に回転し、各色用の一次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kの作用によって順次転写を受ける。転写材の搬送経路としては給材トレー(図示せず)からのAルート、給材カセット(図示せず)からのBルート、両面ユニットからのCルートがある。転写材1は搬送ローラ24などにより構成される搬送経路で搬送されてレジストローラ23に到達する。この転写材1はレジ前センサ19によって検知される。
【0027】
画像形成時には、レジ前センサ19によって中間転写体12上のカラー可視画像が転写領域に到達するタイミングに合わせて、所定時間、転写材1の搬送を停止させる。転写材1がレジストローラ23から転写領域に送給され、中間転写体12に2次転写ローラ9が接触して転写材1が両者に狭持されて搬送されると、転写材1に中間転写体12上のカラー可視画像が同時に重畳転写される。
【0028】
2次転写ローラ9は、中間転写体12上にカラー可視画像を重畳転写している間は実線にて示すように中間転写体12に当接するが、印字処理終了時は、点線にて示す位置に離間する。
【0029】
定着部13は、転写材1を搬送しながら、転写されたカラー可視画像を定着させるものであり、図2に示すように、転写材1を加熱する定着ローラ14と転写材1を定着ローラ14に圧接させる加圧ローラ15とを備えている。定着ローラ14と加圧ローラ15は中空状に形成され、内部にそれぞれヒータ(図示せず)が内蔵されている。カラー可視画像を保持した転写材1は定着ローラ14と加圧ローラ15により搬送されるとともに、熱および圧力を加えることによりトナーが表面に定着される。
【0030】
可視画像定着後の転写材1は、その後排出ローラ29によって排材部(DまたはEルート)または、両面ユニット(ルートF)に排出して画像形成動作を終了する。転写材1の定着部13からの排出材は定着排材センサ20によって検知される。
【0031】
クリーニング手段21は、中間転写体12上に形成された4色のカラー可視画像を転写材1に転写した後の廃トナーを蓄える。
【0032】
色ずれ検出手段22は、転写材1上に色ずれ検出パターンを形成し、各色間の主走査、副走査方向のずれ量を検出し、画像データを微調整することにより色ずれを低減させるようにフィードバックをかける。
【0033】
転写材1上のトナーの色味または濃度を検出する検出部26は、定着部23の熱の影響を避けて図1に示す離間位置a〜cに設置するのが望ましい。ここでは離間位置aに設置する場合を説明する。転写材1上のトナーの検出を行う場合、両面フラッパ27はG1の位置となり、転写材1が両面ユニットに搬送されないような経路をとる。FU/FDフラッパ28はH1の位置となり、転写材1はフェイスダウン排材ユニット方向に搬送される。このとき、ローラ30、31の後に検出部26aを設け、定着部13により転写材1上に定着されたトナーの反射光を検出する。本実施例では、トナーパッチ41は、画像形成に不可欠な2次転写ローラ9や定着ローラ14、加圧ローラ15を除く給材トレーからローラ31までの転写材1の搬送経路に配設されるローラ、コロ、リブが転写材1に接しない位置に形成し、検出部26はトナーパッチ41に対応した位置に配置されている。
【0034】
最後に、図3、図4を用いて検出部26を説明する。図3は検出部26の構成を示す。発光部51で発せられた光は約45°で転写材1の上に形成された色味や濃度検出用のトナーパッチ41に入射し、そのトナー面で乱反射し上面に広がる。受光部52はこの反射光の乱反射成分を検出する。
【0035】
図4は検出部26の回路図である。発光部51は、LED61と電流制限抵抗62と、LEDのオン・オフを切り替えるスイッチとしてのNMOSFET63とからなる。制御信号64がロウのとき、NMOSFET63はオフし、LED61には電流が流れず消灯する。逆に制御信号64がハイのときNMOSFET63がオンし、電源からLED61に電流が流れ光源は点灯する。従って、制御信号64のハイ・ロウを切り替えることにより光源の点灯・消灯を選択することができる。トナーの色味をみる場合は、光源としては、白色LEDのように可視光全域にスペクトルを持つような光源を用いる。トナーの濃度のみを検出する場合は、赤外のLEDでよく、白色である必要はない。
【0036】
受光部52は、フォトダイオード65とフォトカレントをIV変換する抵抗66と、IV変換された電圧をバッファするボルテージフォロア構成のオペアンプ67とからなる。トナーの色味をみる場合、この受光部52を3系統設け、それぞれのフォトダイオードにR、G、Bのフィルタ(図示せず)を介した光を入射させ3つの出力をA/D変換器(図示せず)によりA/D変換し、その値からパッチの色味を演算により検出する。濃度を検出する場合、受光部52は1系統で良く、カラーフィルタも必要としない。
【0037】
上述のように、本実施例では、トナーパッチ41を転写材1の表面のうち、ローラ、コロ、リブが接しない位置に形成したので、トナーパッチ41がローラ等との摩擦により帯電し定着されてないトナーを吸着し、トナーで汚れたり、トナーパッチ41の表面にミクロな筋や紙の繊維のがさつきが発生したりしなくなる。これによりトナーパッチの混色や、明度の変動、正反射光がセンサに混入する等の弊害を防ぐことができるので、本実施例によれば、トナーパッチの色味や濃度を正確に検出し、その結果により正確なエンジンの動作条件や画像処理にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよい画像形成装置を実現できる。
【0038】
なお、ここでは、トナーの色を検出する場合、RGBの3つのフィルタを載せた3つのフォトダイオードを用いた場合の例を示した。しかし、センサはフォトダイオードである必要はなく、フォトトランジスタでも良いし、CCDやCMOSセンサのような蓄積タイプのセンサでも良い。また、フィルタが透過する波長もRGBに限られない。さらに、分光測光方式に対応しプリズム等で分光された光がそれぞれ入射するようにした多数のセンサを設けたラインセンサや、R、G、BのLEDといった異なる発光波長の光源のオン・オフを時分割で切り替えて1つのセンサでトナーパッチの反射光を測定する場合でも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0039】
また、図2では検出部26を離間位置aに設置する場合について説明したが、離間位置b、cまたはそれ以外の位置に設置する場合も、給材口から検出部までの経路が変わるだけで同様な効果が得られる。さらに、本実施例では、複数の感光ドラムを持つタンデム方式の画像形成装置を対象に説明を行ったが、1ドラム方式の画像形成装置であっても同様に説明できる。さらに、ここではローラ、リブ、コロについて説明したが、図2のフラッパ27、28のように転写材1に接するその他の部材についても、同様に転写材と接する位置を避けてトナーパッチを形成したほうが良いことは言うまでもない。
【実施例2】
【0040】
実施例1ではローラやコロを避けた位置にトナーパッチを形成する場合を説明した。しかし、検出部26の配置に制約があり必ずしも所望の位置に配置できない場合や、搬送性を高めるため転写材1の端までローラを設けたい場合などもある。そこで、本実施例ではこのような場合に対応し、検出部26の配置に合わせてトナーパッチ41を形成し、ローラ、コロ、リブは、このトナーパッチ41部分を避けるような構成とした例を示す。
【0041】
図5、図6は、本実施例でのトナーパッチ41と検出部26の配置、および、ローラ、コロ、リブの構成を示す。トナーパッチ41は、図5に示すように、検出部26の位置に合わせて転写材1上に形成され、ローラ45は、トナーパッチ41に対応する部位に小径部45aを設けて同部位を細くし、トナーパッチ41に直接接しない形状にしてある。
【0042】
パッチ幅は数mm〜10mm程度であるのでマージンをみてもローラ45に設ける小径部45aの長さは、A4やA3といった紙の幅に対して十分小さくできる。ここではローラ径を小さくしてトナーパッチ41に接しないようにした例を示したが、ローラの表面材であるゴム材を分割して両材の間にトナーパッチ41の幅相当の間隔を空けるようにしても良い。またリブ46やコロ47もトナーパッチ41が形成される場所を回避するように配置されている。
【0043】
従って、本実施例によれば、転写材1の搬送性には殆ど影響を与えることなく、トナーパッチ41へのローラ等の接触を回避できる。この場合、転写材1の中央部を避ける必然性はなく検出部26の配置可能な位置に応じて、ローラやリブの形状・配置を決めるとともに、対応する位置にトナーパッチを形成すれば良い。
【0044】
図6は、転写材1上の3つのトナーパッチ41の色味や濃度だけでなく、それらの面内ばらつきをも検知するために各パッチ41に対応する検出部25を3つ設けた例である。ローラ48は3つのトナーパッチ41に対応した位置でこれに接触しない形状となっており、コロ50およびリブ49は3つのトナーパッチに対応した位置を避けるように配置されている。
【0045】
以上説明したように、本実施例では、給材口から検出部までの転写材1の搬送経路に配置されるローラをトナーパッチと接触しないような形状にするとともに、コロやリブもトナーパッチを避けるようにしたので、トナーパッチ41がローラ等との摩擦により帯電し、定着されてないトナーを吸着し、トナーで汚れたり、トナーパッチ41の表面にミクロな筋や紙の繊維のがさつきが発生しなくなる。
【0046】
これによりトナーパッチの混色や明度の変動、正反射光がセンサに混入する等の弊害を防ぐことができるので、本実施例によれば、トナーパッチの色味や濃度を正確に検出し、その結果により正確なエンジンの動作条件や画像処理にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよい画像形成装置が実現できる。
【0047】
なお、ここではローラ、リブ、コロに関して説明したが、図1のフラッパ27、28のような転写材1に接するその他の部材についても、ローラと同様にトナーパッチが形成される位置の近傍は、トナーパッチに接しない形状としたほうが良いことは言うまでもない。
【実施例3】
【0048】
図7は本実施例のインクジェットプリンタの搬送系の断面図である。記録媒体81は搬送ローラ82に巻きつけられ、搬送ローラ82とフィードローラ85とにはさまれて搬送される。記録媒体81がプラテン88上に達すると、対向するヘッドカートリッジ89からインクが吐出されて色味や濃度検知用トナーパッチが記録される。
【0049】
さらに搬送された記録媒体81は排出ローラ86と拍車87とにより、ケースの排出口(図示せず)から排出される。記録媒体81が排出される前の同媒体の搬送経路には、図3、図4に示す検出部26が配置されている。この検出部26は、記録媒体81上に形成されたインクパッチの色味や濃度を検知し、インクの吐出量にフィードバックをかけることにより所望の濃度または色味を得るよう、不図示のプリンタの制御部が制御する。
【0050】
ヘッドカートリッジ89はキャリッジ83に搭載され、ガイド軸84に沿って主走査する。このとき、給材口から検出部までの間で記録媒体81と接する、搬送ローラ82、フィードローラ85、排出ローラ86、拍車87、さらにはガイド91につけたリブは、同媒体のインクパッチにかからないようになっている。具体的には、実施例1、2で説明したように、インクパッチの位置を選択するか、あるいは、ローラ形状や、リブの配置をインクパッチにかからないようなものにしてある。このため、インクパッチが搬送ローラ82等との摩擦により帯電し、定着されてないインクを吸着し、インクで汚れたり、インクパッチの表面にミクロな筋や紙の繊維によるがさつきが発生したりしなくなる。
【0051】
これによりインクパッチの混色や明度の変動、正反射光がセンサに混入する等の弊害を防ぐことができるので、本実施例によれば、インクパッチの色味や濃度を正確に検出し、その結果により正確なプリンタの動作条件や画像処理にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよいインクジェットプリンタを実現できる。
【0052】
以上説明したように、前述した実施例により、電子写真方式のカラー画像形成装置において、ローラ、リブ、コロの影響を受けない位置、特にローラが接触したり、コロ、リブが配置される可能性の高い転写材の搬送経路の中央部を避けて、トナーパッチを形成するので、ローラやコロ跡、リブ跡の影響を受けずにトナーパッチの色味の検出が可能となり、正確にエンジンの動作条件や画像処理にフィードバックをかけることができ、色再現性のよい画像形成装置を提供できる。トナーパッチをローラが接触しない位置、コロやリブの無い位置に設けることにより、摩擦によって転写材が帯電し定着されてないトナーが吸着することによるトナー汚れや、ミクロな筋や紙の繊維のがさつきによる色味や濃度の誤検知の防止ができる。
【0053】
また、電子写真方式のカラー画像形成装置において、ローラの形状をトナーパッチと接触しない形状をとるとともに、コロ、リブはコロ跡やリブ跡がつかないようにトナーパッチを避けるように配置したので、ローラやコロ跡、リブ跡の影響を受けずにトナーパッチの色味や濃度の検出が可能となり、正確にエンジンの動作条件や画像処理にフィードバックをかけるが可能となり、色再現性のよい画像形成装置を提供できる。ローラの形状でトナーパッチに接触しないようにすることや、コロやリブの配置によってトナーパッチを避けることにより、トナーパッチの位置に制約を与えず、トナー汚れやミクロな筋や紙の繊維のがさつきによる色味や濃度の誤検知の防止ができる。
【0054】
さらに、インクジェットプリンタにおいて印字ヘッドの排材側にセンサを設け、ローラやコロ、リブの影響を受けない位置にインクパッチを形成するので、ローラやコロ跡、リブ跡の影響を受けずにインクパッチの色味や濃度の検出が可能となり、正確にインクの吐出条件や画像処理にフィードバックをかけるが可能となり、色再現性のよいカラー画像形成装置を提供できる。トナーパッチをローラが接触しない位置、コロやリブの無い位置に設けることにより、ミクロな筋や紙の繊維のがさつきやインク汚れによる色味や濃度の誤検知の防止ができる。
【0055】
また、インクジェットプリンタにおいて、ローラの形状はインクパッチに接触しない形状とするとともに、コロ、リブは、コロ跡やリブ跡がつかないようにインクパッチを避けるように配置したので、ローラやコロ跡、リブ跡の影響を受けずにインクパッチの色味や濃度の検出が可能となり、正確にエンジンの動作条件や画像にフィードバックをかけることが可能となり、色再現性のよいカラー画像形成装置を提供できる。ローラの形状でインクパッチに接触しないようにすることや、コロやリブの配置によってインクパッチを避けることは、インクパッチの位置に制約を与えず、トナー汚れやミクロな筋や紙の繊維のがさつきによる色味や濃度の誤検知の防止ができる。
【符号の説明】
【0056】
1 転写材
5Y、5M、5C、5K 感光ドラム
6Y、6M、6C、6Y 一次転写ローラ
7Y、7M、7C、7K 注入帯電手段
7YS、7MS、7CS、7KS スリーブ
8Y、8M、8C、8K 現像手段
8YS、8MS、8CS、8CK スリーブ
9 2次転写ローラ
10Y、10M、10C、10K スキャナ
11Y、11M、11C、11K トナーカートリッジ
12 中間転写体
13 定着部
14 定着ローラ
15 加圧ローラ
18a 駆動ローラ
18b、18c 従動ローラ
19 レジ前センサ
20 定着排材センサ
21 クリーニング手段
23 レジストローラ
24、82 搬送ローラ
25 搬送路
26 検出部
41 パッチ
42、45、48 コロ
43、46、49 リブ
44、47、50 コロ
51 発光部
52 受光部
61 LED
62、66 抵抗
63 NMOSFET
65 フォトダイオード
67 オペアンプ
81 記録媒体
83 キャリッジ
84 ガイド軸
85 フィードローラ
86 排出ローラ
87 拍車
88 プラテン
89 ヘッドカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に転写されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる定着手段を有する画像形成手段と、
前記画像形成手段によりトナー画像が定着された前記記録媒体に接しつつ搬送させる搬送部を有する搬送手段と、
前記画像形成手段により前記記録媒体上に定着された、色又は濃度検出用のトナーパッチを検出する検出手段と、を備え、
前記検出手段の検出結果に基づき画像の色又は濃度を制御するカラー画像形成装置であって、
前記搬送部は、前記記録媒体が搬送される搬送方向において、前記定着手段より下流で前記検出手段より上流に配置されており、
前記検出手段は、前記カラー画像形成装置から排出される前の前記記録媒体に定着された前記トナーパッチを検出可能に配置されており、
前記画像形成手段は、前記トナーパッチを、前記記録媒体の移動方向と直交する方向における所定位置であって、前記搬送手段が有する前記搬送部が接することのない所定位置に形成することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
記録媒体に転写されたトナー画像を前記記録媒体に定着させる定着手段を有する画像形成手段と、
前記画像形成手段によりトナー画像が定着された前記記録媒体に接しつつ搬送させる搬送部を有する搬送手段と、
前記画像形成手段により前記記録媒体上に定着された、色又は濃度検出用のトナーパッチを検出する検出手段と、を備え、
前記検出手段の検出結果に基づき画像の色又は濃度を制御するカラー画像形成装置であって、
前記搬送部は、前記記録媒体が搬送される搬送方向において、前記定着手段より下流で前記検出手段より上流に配置されており、
前記検出手段は、前記カラー画像形成装置から排出される前の前記記録媒体に定着された前記トナーパッチを検出可能に配置されており、
前記搬送部は、前記記録媒体上に形成された前記トナーパッチと接しない形状であり、前記記録媒体上に形成された前記トナーパッチに接しない位置に配置されていることを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記トナーパッチに対して光を照射し、前記光を照射したときの反射光を受光することで前記トナーパッチを検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記搬送部には、前記記録媒体を搬送する為のローラ、コロ、或いはリブが含まれていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送部は、前記記録媒体の画像が形成されるべき面に部分的に接しつつ前記記録媒体を搬送することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−98758(P2012−98758A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−27039(P2012−27039)
【出願日】平成24年2月10日(2012.2.10)
【分割の表示】特願2001−293631(P2001−293631)の分割
【原出願日】平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】