説明

カリウムチャネル開口薬

【課題】カリウムチャネル開口活性、特にBKチャネル開口活性を有し、医薬品として有用である新規な化合物を提供することである。さらに本発明の目的は、当該化合物の合成方法、当該化合物の合成に有用な中間体、および当該化合物を含む医薬組成物を提供することである。
【解決手段】式(I):


[式中、R、R、R、R、R、R、RおよびXは、本明細書中に定義されたとおりである]で表される化合物、または医薬として許容なその塩、もしくはその溶媒和物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カリウムチャネル開口薬、特にCa2+依存性カリウムチャネルの開口薬として作用する化合物、または医薬として許容なその塩、もしくはその溶媒和物に関する。さらに、本発明は、当該化合物の製造方法、および当該化合物の製造に有用な合成中間体に関する。さらに本発明は、当該化合物を含む医薬組成物、および当該化合物のカリウムチャネル開口剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
平滑筋細胞に発現するCa2+依存性カリウムチャネル(large conductance Ca2+−activated K channel;Maxi KチャネルまたはBKチャネル)は平滑筋の弛緩に関わるイオンチャネルであり、脳梗塞をはじめ脳血管虚血や虚血性心疾患、過活動膀胱、頻尿・尿失禁疾患や気管支喘息など我々のクオリティーオブライフに直結する幅広い疾患に関与する。化合物によるBKチャネルの開口の調節は創薬のターゲットとして注目されている。
【0003】
BKチャネルは、細胞内Ca2+濃度の上昇による生体膜の脱分極に反応し,速やかに開口して膜の過分極をおこし、Ca2+の流入を減少させ細胞死を回避する一種の生体防衛機構としての役割を果たしている。BKチャネルはαサブユニットとβサブユニットの各4分子から構成され,αサブユニットがチャネルの本体を形成し,βサブユニットはαサブユニットの機能を修飾する。BKチャネルをはじめとするKチャネルは4回回転対称性(ホモ・テトラマー)を有することが知られている(非特許文献1)。そのため、BKチャネル開口薬の結合部位も回転対称に4カ所配置していると考えられている。
【0004】
α,βサブユニットの結合の仕方や機能調節の分子レベルでのメカニズムは不明であるが、αサブユニットに結合し開口活性を示す天然化合物が既に見いだされている。ピマル酸(式A)にはBKチャネルのαサブユニットと相互作用し開口する活性があるが、ピマル酸と高度に構造が類似するアビエチン酸(式B)には開口活性がないことが確認されている(非特許文献2)。一方でジクロロデヒドロアビエチン酸(式C)にはαサブユニットを介した開口活性があることが確認されている(特許文献1、非特許文献3)。
【0005】
【化1】

【0006】
さらに、BKチャネル開口活性を有する化合物として、1,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[b]アゼピン−2−オン骨格を有する化合物(例えば、式Dの化合物など)が報告されている(特許文献2および非特許文献4)。
【0007】
【化2】

【0008】
【特許文献1】国際公開WO2002/087559号
【特許文献2】特開2007−186480号公報
【非特許文献1】J.Pharmacol.Sci.第94巻(4):第339〜347頁、2004年;
【非特許文献2】Molecular Pharmacology、第62巻、第836〜846頁、2002年;
【非特許文献3】Bioorganic Medicinal Chemistry Letters、第13巻、第3971〜3974頁、2003年
【非特許文献4】Bioorg.Med.Chem.、14巻、8014−8031頁、2006年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
BKチャネル開口活性を有する既存の化合物についてはいずれも十分な活性を有するとはいえず、活性のさらなる向上が求められている。また、BKチャネル開口薬として上市され臨床で使用されている医薬品は存在せず、BKチャネル開口活性を有する新規な化合物の発見が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意研究を進めたところ、2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[c]アゼピン−1−オン骨格を有する新規な化合物がBKチャネル開口活性を有することを発見して本発明を完成させた。
【0011】
本発明の目的は、カリウムチャネル開口活性、特にBKチャネル開口活性を有し、医薬品として有用である新規な化合物を提供することである。さらに本発明の目的は、当該化合物を含む医薬組成物を提供することである。
【0012】
すなわち、本発明の一つの側面によれば、式(I):
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、−NR1112、−S(O)1−6アルキル(ここでnは0〜2から選択される整数である)およびC1−6アルキルカルボニルから選択され、ここで前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシおよび−S(O)1−6アルキルは、炭素原子上を1以上のハロゲン原子またはヒドロキシにより置換されていてもよく;
11およびR12は、独立に、水素原子、C1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボニルから選択され、または結合する窒素原子と一緒になって、5〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
は、−COOR13、−CONR1415またはテトラゾール−5−イルであり;
13は、水素原子、または1以上のRaにより置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
14およびR15は、独立に、水素原子および1以上のRaにより置換されていてもよいC1−6アルキルから選択され、または結合する窒素原子と一緒になって、5〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
およびRは、独立に、水素原子、ヒドロキシおよびC1−10アルキルから選択され;
Xは、水素原子、1以上のRaにより置換されていてもよいC1−10アルキル、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−10アルケニル、または1以上のRaにより置換されていてもよいC2−10アルキニルであり;
Raは、独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルコキシ、1以上のRbにより置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリール、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリールオキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、−NR2122、および−S(O)23(ここでnは0〜2から選択される整数である)から選択され;
21およびR22は、独立に、水素原子、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルキル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリール、および1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリルから選択され;
23は、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
Rbは、独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいアリール、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリールオキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいC7−14アラルキルオキシ、ヘテロシクリルC1−6アルコキシ(当該基に含まれるヘテロシクリル部分は、1以上のRcにより置換されていてもよい)、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−6アルコキシ、C7−14アラルキルオキシC1−6アルコキシ(当該基に含まれるアリール部分は、1以上のRcにより置換されていてもよい)、ヘテロシクリルC1−6アルコキシC1−6アルコキシ(当該基に含まれるヘテロシクリル部分は、1以上のRcにより置換されていてもよい)、−NR2425および−S(O)26(ここでnは0〜2から選択される整数である)から選択され;ここで、上記基に含まれるアルコキシ部分は1以上のハロゲン原子で置換されていてもよく;
24およびR25は、独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
26は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
Rcは、独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいフェノキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいヘテロシクリル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、アミノC1−6アルキル、およびアミノC1−6アルコキシから選択され;
さらに式中のシクロヘキサン環に含まれる置換可能な炭素原子は、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびオキソから選択される置換基により独立に置換されていてもよく、式中のアゼピン環に含まれる置換可能な炭素原子は、ヒドロキシおよびC1−6アルキルから選択される置換基により独立に置換されていてもよい]
で表される化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0015】
本発明の別の側面によれば、式(Ia):
【0016】
【化4】

【0017】
[式中、R、R、R、R、R、R、RおよびXは、独立に、本明細書において定義されたとおりである]
で表される化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物が提供される。
【0018】
本発明の別の側面によれば、式(I)または式(Ia)の化合物であって、以下の化合物:
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8−クロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8−クロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,6,11b−トリメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,6,11b−トリメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8−クロロ−9−イソプロピル−4,6,11b−トリメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8−クロロ−9−イソプロピル−4,6,11b−トリメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−(ペント−4−イニル)−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−(ペント−4−イニル)−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−6−[5−(4−ヨードフェニル)−ペント−4−イニル]−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−6−[5−(4−ヨードフェニル)−ペント−4−イニル]−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−6−[5−(3−ヨードフェニル)−ペント−4−イニル]−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−6−[5−(3−ヨードフェニル)−ペント−4−イニル]−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−6−[5−(2−ヨードフェニル)−ペント−4−イニル]−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−6−[5−(2−ヨードフェニル)−ペント−4−イニル]−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−(5−フェニルペント−4−イニル)−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル;
[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−(5−フェニルペント−4−イニル)−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
を含まない、前記化合物が提供される。
【0019】
本発明の1つの態様において、式(I)および式(Ia)のRは、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または−S(O)1−6アルキル(ここでnは0〜2から選択される整数である)であり、ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよび−S(O)1−6アルキルは、炭素原子上を1以上のハロゲン原子またはヒドロキシにより置換されていてもよい。
【0020】
本発明のさらなる態様において、式(I)および式(Ia)のXは、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルキル、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルケニル、または1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルキニルであり;Raは、既に定義されたとおりである。
【0021】
本発明のさらなる態様において、式(I)および式(Ia)のXは、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルキル、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルケニル、または1以上のRdにより置換されているC2−4アルキニルであり;Rdは、独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルコキシ、1以上のRbにより置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリール、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリールオキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、−NR2122、および−S(O)23(ここでnは0〜2から選択される整数である)から選択され;Ra、Rb、R21、R22およびR23は、既に定義されたとおりである。
【0022】
本発明のさらなる態様において、式(I)および式(Ia)のXは、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−10アルキル、または1以上のRaにより置換されていてもよいC2−10アルケニルである。
【0023】
本発明のさらなる態様において、式(I)および式(Ia)のRは、水素原子またはハロゲン原子である。
本発明のさらなる態様において、式(I)および式(Ia)のRは、ハロゲン原子である。
【0024】
本発明のさらなる態様において、式(I)および式(Ia)のRは、−COOR13である。
本発明のさらなる側面によれば、式(I)または式(Ia)で表される化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物を含む医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、特に限定はされないが、例えば、脳梗塞、脳血管虚血、虚血性心疾患、頻尿、尿失禁疾患、過活動膀胱および気管支喘息から選択される疾患の治療または予防のために使用することができる。
【0025】
本発明のさらなる側面によれば、式(I)または式(Ia)で表される化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物を含むカリウムチャネル開口薬、特に、BKチャネルに作用するカリウムチャネル開口薬もまた提供される。
【0026】
本明細書において「C1−10アルキル」とは、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状、環状または部分的に環状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3−エチルブチル、および2−エチルブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロプロピルメチルなどが含まれ、例えば、C2−10アルキル、C1−6アルキルおよびC1−3アルキルなども含まれる。また、本明細書において「C1−6アルキル」には、例えばC1−3アルキルなども含まれる。
【0027】
本明細書において「C2−10アルケニル」とは、炭素数2〜10の直鎖状、分岐鎖状、環状または部分的に環状のアルケニル基を意味し、例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、1−メチルビニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルなどが含まれ、例えば、C2−6アルケニルおよびC2−4アルケニルなども含まれる。
【0028】
本明細書において「C2−10アルキニル」とは、炭素数2〜10の直鎖状、分岐鎖状、環状または部分的に環状のアルケニル基を意味し、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル(プロパルギル)、2−シクロプロピルエチニルなどが含まれ、例えば、C2−6アルキニルおよびC2−4アルキニルなども含まれる。
【0029】
本明細書において「C1−10アルコキシ」とは、アルキル部分として既に定義した炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキルオキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、1−メチルブトキシ、1−エチルプロポキシ、n−ヘキシルオキシ、4−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−メチルペントキシ、1−メチルペントキシ、3−エチルブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロプロピルメチルオキシなどが含まれ、例えば、C1−6アルコキシおよびC1−3アルコキシなども含まれる。また、本明細書において「C1−6アルコキシ」には、例えばC1−3アルコキシなども含まれる。
【0030】
本明細書において「−S(O)1−6アルキル」とは、C1−6アルキルチオ、C1−6アルキルスルフェニル、またはC1−6アルキルスルホニルを意味し、これらの基のアルキル部分は、既に定義したC1−6アルキル基である。−S(O)1−6アルキルには−S(O)1−3アルキルも含まれる。
【0031】
本明細書において「C1−6アルキルカルボニル」とは、アルキル部分として既に定義したC1−6アルキル基を有するアルキルカルボニル基を意味し、例えばC1−3アルキルカルボニルが含まれる。
【0032】
本明細書において「C7−14アラルキル」とはアリール基を含む炭素数が7〜14のアリールアルキル基を意味し、例えば、ベンジル、1−フェネチル、2−フェネチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチルなどが含まれる。
【0033】
本明細書において「アリール」とは、特に限定されないが、炭素数6〜14、例えば炭素数6〜10の芳香族炭化水素環を有するアリール基を意味し、例えば、フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルなどが含まれる。
【0034】
本明細書においてハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子などが挙げられる。
本明細書において、窒素原子と一緒になって5〜7員ヘテロ環を形成する場合の「5〜7員ヘテロ環」は、飽和、部分不飽和、または不飽和の含窒素5〜7員ヘテロ環を意味し、当該ヘテロ環は、さらなる1以上の窒素原子を含んでいてもよく、および/または酸素原子および硫黄原子から選択される1以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。5〜7員ヘテロ環の例としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ホモピペリジン、ホモピペラジンおよびモルホリンなどが挙げられる。
【0035】
本明細書において「ヘテロシクリル」とは、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、部分不飽和、または不飽和の4〜10員ヘテロ環式基を意味する。ヘテロシクリルの例としては、ピリジル、ピリミジル、ピラジル、トリアジニル、キノリル、キノキサリル、キナゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、ホモピペリジル、ホモピペラジニルおよびモルホリルなどが挙げられる。
【0036】
本明細書において、「アリールオキシ」、「ヘテロシクリルオキシ」および「C7−14アラルキルオキシ」に含まれる、「アリール」、「ヘテロシクリル」および「C7−14アラルキル」は、それぞれ既に定義したとおりである。
【0037】
本発明の化合物には、互変異性体、幾何異性体、光学異性体等の各種の立体異性体、およびそれらの混合物が含まれる。
本明細書における「医薬として許容な塩」とは、医薬品として使用されうる塩であれば特に限定されず、上記式(I)および(Ia)の化合物は、例えばRがカルボキシの場合、カルボン酸塩であってもよい。本発明化合物が塩基と形成する塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基との塩;リシン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩およびアンモニウム塩が挙げられる。当該塩は、酸付加塩であってもよく、かかる塩としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩が挙げられる。
【0038】
本発明化合物には、水和物、医薬として許容される各種溶媒和物(例えば、水和物など)、および結晶多形等も含まれる。
本発明に係る式(I)の化合物は、例えば、以下のスキームに示す工程により合成することができる。
【0039】
【化5】

【0040】
[式中、R、R、R、R、R、RおよびRは本明細書で既に定義したとおりであり、R10は水素原子、または−SO−R16であり、R16はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、フェニル(ここで、当該フェニルは、C1−6アルキルまたはハロゲン原子により置換されていてもよい)である]。
【0041】
工程1−1は、適当な酸化剤(例えば、CrO、SeO、KMnO、O/CuCl(CuCl)、NaIO、NaBrO、H、tBuOOHなど)を使用し、適当な溶媒(例えば、酢酸、アセトニトリルなど)中で行うことができ、系中に添加物(例えば無水酢酸など)を存在させることが好ましい。例えば、無水酢酸の存在下、酢酸中でCrOを使用して本工程における酸化を行うことができる。当該工程は、特に限定はされないが、0〜150℃、好ましくは40〜60℃の反応温度、および1〜17時間、好ましくは5〜10時間の反応時間で行うことができる。
【0042】
工程1−2は、工程1−1で得たケトンとヒドロキシアミン塩酸塩を適当な溶媒(例えば、エタノール、水、t−ブタノール、アセトニトリルなど)中で、塩基(例えばピリジン、3級アミン、NaHCO、NaOHなど)の存在下反応させることにより行うことができる。当該工程は、特に限定はされないが、0〜150℃、好ましくは50〜100℃の反応温度、および30分〜17時間、好ましくは2時間〜5時間の反応時間で行うことができる。得られたオキシムをそのまま次の反応に使用することもできるが、より収率よく工程1−3を行うために、R10が−SO−R16(例えば、メシル、トシル、ベンゼンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニルなど)である化合物に変換してもよい。当該変換は、適当な試薬(例えば、トシルクロリド、メシルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、無水トリフルオロメタンスルホン酸など)を使用して、適当な溶媒(例えば、ピリジンなど)中で、塩基(例えばピリジン、3級アミン、水酸化ナトリウムなど)の存在下行うことができる。反応条件は、特に限定はされないが、0〜150℃、好ましくは20〜50℃の反応温度、および1時間〜3日、好ましくは10時間〜20時間の反応時間で行うことができる。
【0043】
工程1−3は、工程1−2で得られたオキシムまたはその誘導体を酸性条件下で反応させることにより行うことができる。使用できる酸としては、例えば、HPO、CFCOH、Pなどが挙げられ、反応条件は、特に限定はされないが、0〜150℃、好ましくは10〜30℃の反応温度、および10分〜17時間、好ましくは30分〜2時間の反応時間で行うことができる。
【0044】
【化6】

【0045】
[式中、R、R、R、R、R、R、RおよびXは、本明細書で既に定義したとおりであり、Lは脱離基(例えば、ハロゲン原子、メシル基、トシル基、トリフルオロメタンスルホニル基を含む)である]。
【0046】
工程2−1は、適当な塩基(例えば、水素化ナトリウム、水酸化カリウムなど)の存在下、適当な溶媒(例えば、DMF、THF、メタノール、エチレングリコールなど)中で行うことができ、さらに適当な添加物(例えば、クラウンエーテル(18−クラウンエーテル−6など)など)を使用してもよい。反応条件は、特に限定はされないが、0〜200℃、好ましくは50〜80℃の反応温度、および1時間〜3日、好ましくは15時間〜20時間の反応時間で行うことができる。本スキームにおいて、好ましい脱離基Lとしては、ハロゲン原子(例えばヨウ素原子および臭素原子)、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、トシルオキシ、メシルオキシなどが挙げられる。
【0047】
本工程で使用される試薬L−Xとしては、例えば、置換基を有してもよいC1−10アルキルハライド、置換基を有してもよいC2−10アルキニルハライド、置換基を有してもよいC2−10アルケニルハライドが挙げられ、好ましくは置換基を有するC1−10アルキルブロミド、置換基を有するC2−10アルキニルブロミド、置換基を有するC1−10アルケニルブロミドが挙げられる。試薬L−Xは、購入により入手可能であるか、文献において既知であるか、または標準的な合成手段によって調製可能である。
【0048】
上記スキーム中において、保護が必要な官能基について保護基を導入してもよい。当該保護基の選択およびその導入方法は、当該技術分与における当業者によって容易に成し遂げることができると解される。例えば、式(I)および(Ia)においてRがカルボキシである場合は、当該カルボキシを適当なエステル(例えば、C1−10アルキルエステル、C7−14アラルキルエステルなど)に変換して反応を行い、その後に適当な条件(酸もしくはアルカリ加水分解、または水素添加など)により脱保護することにより目的の化合物を得ることができる。
【0049】
本発明の医薬組成物は、種々の剤形、例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁液、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができ、非経口剤としては、例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤などの注射剤;経皮投与または貼付剤、軟膏またはローション;口腔内投与のための舌下剤、口腔貼付剤;ならびに経鼻投与のためのエアゾール剤とすることができるが、これらには限定されない。これらの製剤は、製剤工程において通常用いられる公知の方法により製造することができる。
【0050】
当該医薬組成物は、一般に用いられる各種成分を含みうるものであり、例えば、1種以上の薬学的に許容され得る賦形剤、崩壊剤、希釈剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、補助剤、防腐剤、緩衝剤、結合剤、安定剤、コーティング剤等を含みうる。また本発明の医薬組成物は、持続性または徐放性剤形であってもよい。
【0051】
本発明の医薬組成物の投与量は、投与経路、患者の体型、年齢、体調、疾患の度合い、発症後の経過時間等により、適宜選択することができ、本発明の医薬組成物は、治療有効量および/または予防有効量の上記式(I)または(Ia)の化合物を含むことができる。本発明において上記式(I)または(Ia)の化合物は、一般に0.1〜20000mg/日/成人、例えば10〜200mg/日/成人、好ましくは30〜100mg/日/成人の用量で使用されうる。当該医薬組成物の投与は、単回投与または複数回投与であってもよく、例えば降圧薬(カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬)、気管支拡張薬(β2受容体作動薬)、尿失禁治療薬(ムスカリン受容体拮抗薬)などの作用性を有する他の薬剤と組み合わせて使用することもできる。
【実施例】
【0052】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
試薬およびデータ測定
試薬は特に言及がない限り購入したものをさらに精製することなく使用した。H−NMRは、ケミカルシフトをppmで表示し、測定溶媒として重クロロホルム(CDCl)を使用した場合はテトラメチルシラン(TMS)を内部標準とし、重ジメチルスルホキシド((CDSO)を使用した場合はそれ自身のピークを内部標準とした。質量分析はJEOL MStation JMS−700スペクトロメーターを使用し、元素分析はYanaco CHN CORDERスペクトロメーターを使用した。フラッシュカラムクロマトグラフィーには、関東化学silica gel 60N(40−50μm)を使用した。融点はhot−stage microscopeを使用して測定し、補正は行わなかった。収率は精製後の単離収率を表示した。
【0054】
実施例1:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0055】
【化7】

【0056】
6,8−ジクロロ−7−イソプロポキシ−1,4a−ジメチル−9−トシルオキシイミノ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(製造例1;3.39g、5.98mmol)をトリフルオロ酢酸(27.2mL)に0℃で加え、混合物を室温で2.5時間攪拌した。減圧下で濃縮し、トルエンで共沸することにより溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(1.98g、収率80.3%)。
【0057】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.15(1H、s)、4.04(1H、m)、3.62(3H、s)、3.36(1H、m)、2.86(1H、dd、J=16.1Hz、J=6.4Hz)、2.60−2.78(1H、brs)、2.46(1H、d、J=7.3Hz)、2.36−2.51(1H、m)、1.55−1.90(8H、m)、1.31−1.50(9H、m)。
【0058】
出発物質として使用した6,8−ジクロロ−7−イソプロポキシ−1,4a−ジメチル−9−トシルオキシイミノ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルは、以下の方法で製造した。
【0059】
製造例1
[工程1]6,8−ジクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸の調製
【0060】
【化8】

【0061】
四塩化炭素(18mL)中の7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸(6.00g、20mmol)の溶液に、10%FeCl/SiO(300mg)および1%DDQ/SiO(300mg)を加えた。反応混合物を室温で撹拌し、暗所にてCl/四塩化炭素溶液(2.4M、120ml)を0℃で一度に加え、その後室温で一晩攪拌した。得られた溶液を飽和NaSO水溶液(100mL)に注ぎ、CHCl(70×3ml)で抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して減圧下溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)で洗浄し、表題の化合物を無色の固体として得た(4.71g、収率63.8%)。
【0062】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.23(1H、s)、3.88(1H、brs)、2.91(1H、dd、J=19.6Hz、5.3Hz)、2.65−2.78(1H、m)、2.22(1H、d、J=13.0Hz)、2.11(1H、d、J=13.0Hz)、1.71−1.75(5H、m)、1,61−1.66(2H、m、)、1.37(6H、d、J=7.20Hz)、1.25(3H、s)、1.10−1.25(1H、m)。
【0063】
[工程2]6,8−ジクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0064】
【化9】

【0065】
メタノール(25mL)およびトルエン(50mL)中の6,8−ジクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸(4.71g、12.7mmol)の溶液に、TMSCHN/EtO溶液(2.0M、8.6ml)を滴下して加え、反応混合物を室温で15分間攪拌した。その後、酢酸を加えてクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=20:1)で精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(4.60g、収率87%)。
【0066】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.13(1H、s)、4.00(1H、m)、3.68(3H、s)、3.45(1H、d、J=13.2Hz)、2.68−2.87(2H、m)、2.05(1H、d、J=11.6Hz)、1.58−1.77(5H、m)、1.46(3H、s)、1.38(6H、d、J=7.20Hz)、1.27(3H、s)、1.10−1.25(1H、m)。
【0067】
[工程3]6,8−ジクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−9−オキソ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0068】
【化10】

【0069】
酢酸(75mL)中の6,8−ジクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(4.60g、12mmol)の溶液に、AcO(60mL)および酢酸(30mL)中のCrO(1.52g、15.2mmol、1.2当量)の溶液を0℃で10分間かけて滴下して加えた。反応混合物を50℃で一晩攪拌し、その後冷却して、氷水(200mL)に注ぎ込み、CHCl(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、水(100mL)、飽和NaHCO水溶液(100mL×3)および食塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、その後減圧下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)で洗浄し、表題の化合物を無色の固体として得た(3.17g、収率72.5%)。
【0070】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.15(1H、s)、4.04(1H、m)、3.67(3H、s)、3.46(1H、d、J=13.6Hz)、2.61−2.72(2H、m)、2.36−2.46(1H、m)、1.61−1.82(5H、m)、1.54(3H、s)、1.40(6H、d、J=6.8Hz)、1.31(3H、s)。
【0071】
[工程4]6,8−ジクロロ−9−ヒドロキシイミノ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0072】
【化11】

【0073】
EtOH(33.5mL)中の6,8−ジクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−9−オキソ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(3.17g、7.98mmol)、ピリジン(1.05mL)、NHOH・HCl(864mg、12.4mmol、1.5当量)の混合物を100℃で一晩攪拌し、その後冷却した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)により精製して、表題の化合物を無色の固体として得た(3.17g、収率96.4%)。
【0074】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.15(1H、s)、4.06(1H、m)、3.67(3H、s)、3.41(1H、d、J=12.0Hz)、2.95−3.01(1H、m)、2.31(1H、dd、J=18.7Hz、13.8Hz)、2.21(1H、dd、J=18.7Hz、5.7Hz)、1.55−1.75(5H、m)、1.41(6H、d、J=16.0Hz)、1.35(3H、s),1.25(3H、s)。
【0075】
[工程5]6,8−ジクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−9−トシルオキシイミノ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0076】
【化12】

【0077】
ピリジン(24mL)中の6,8−ジクロロ−9−ヒドロキシイミノ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(3.17g、7.69mmol)の溶液に、トシルクロリド(2.20mg、11.54mmol、1.5当量)を室温で加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ、CHCl(50mL×3)で抽出した。有機相を、塩酸(50mL)および水(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)により精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(3.39g、収率77.8%)。
【0078】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.87(2H、d、J=8.4Hz)、7.31(2H、d、J=8.4Hz)、3.96(1H、m)、3.67(3H、s)、3.37(1H、d、J=13.6Hz)、2.96(1H、dd、J=13.6Hz、19.2Hz)、2.47(1H、d、J=5.6Hz)、2.43(3H、s)、2.14(1H、dd、J=13.7Hz、5.7Hz)、1.5−1.68(5H、m)、1.50−1.80(9H、m)、1.21(3H、s)。
【0079】
実施例2:[4R,4aR,11bS]−8,10,11−トリクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0080】
【化13】

【0081】
5,6,8−トリクロロ−7−イソプロポキシ−1,4a−ジメチル−9−トシルオキシイミノ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(製造例2;2.50g、4.17mmol)をトリフルオロ酢酸(17mL)に0℃で加え、混合物を室温で2.5時間攪拌した。溶媒を減圧下でトルエンと共沸留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(1.50g、収率81%)。
【0082】
出発物質として使用した5,6,8−トリクロロ−7−イソプロポキシ−1,4a−ジメチル−9−トシルオキシイミノ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルは、以下の方法で製造した。
【0083】
製造例2
[工程1]5,6,8−トリクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸の調製
【0084】
【化14】

【0085】
四塩化炭素(7mL)中の7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸(2.01g、6.69mmol)の溶液に、FeCl(503mg、3.10mmol)および1%DDQ/SiO(119mg)を加えた。反応混合物を室温で撹拌し、暗所にてCl/四塩化炭素溶液(2.4M、40ml)を0℃で一度に加え、その後室温で一晩攪拌した。得られた溶液を飽和NaSO水溶液(100mL)に注ぎ、CHCl(70×3ml)で抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して減圧下溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)で洗浄し、表題の化合物を無色の固体として得た(0.97g、収率35%)。
【0086】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=4.01(1H、m)、3.45(1H、d、J=1.24Hz)、2.81−2.90(2H、m)、2.06(1H、d、J=11.2Hz)、1.60−1.90(5H、m)、1.51−1.59(2H、m)、1,48(3H、s)、1.38(6H、d、J=7.20Hz)、1.29(3H、s)、1.10−1.25(1H、m)。
【0087】
[工程2]5,6,8−トリクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0088】
【化15】

【0089】
メタノール(26mL)およびトルエン(52mL)中の5,6,8−トリクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸(2.51g、6.20mmol)の溶液に、TMSCHN/EtO溶液(2.0M、5.4ml、10.8mmol)を滴下して加え、反応混合物を室温で15分間攪拌した。その後、酢酸を加えてクエンチし、減圧下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=20:1)で精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(2.26g、収率87%)。
【0090】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=4.00(1H、m)、3.68(3H、s)、3.45(1H、d、J=13.2Hz)、2.68−2.87(2H、m)、2.05(1H、d、J=11.6Hz)、1.58−1.77(5H、m)、1.46(3H、s)、1.38(6H、d、J=7.20Hz)、1.27(3H、s)、1.10−1.25(1H、m)。
【0091】
[工程3]5,6,8−トリクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−9−オキソ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0092】
【化16】

【0093】
酢酸(100mL)中の5,6,8−トリクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(6.82g、14.6mmol)の溶液に、AcO(100mL)および酢酸(50mL)中のCrO(2.30g、23.0mmol、1.5当量)の溶液を0℃で10分間かけて滴下して加えた。反応混合物を50℃で一晩攪拌し、その後冷却して、氷水(200mL)に注ぎ込み、CHCl(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、水(100mL)、飽和NaHCO水溶液(100mL×3)および食塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、その後減圧下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)で洗浄し、表題の化合物を無色の固体として得た(3.19g、収率51%)。
【0094】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=4.04(1H、m)、3.67(3H、s)、3.46(1H、d、J=13.6Hz)、2.61−2.72(2H、m)、2.36−2.46(1H、m)、1.61−1.82(5H、m)、1.54(3H、s)、1.40(6H、d、J=6.8Hz)、1.31(3H、s);MS m/z453.1([M(35Cl)+H])、455.1([M(35Cl37Cl)+H])、456.1([M(35Cl37Cl)+H])、458.1([M(37Cl)+H])、469.1([M(35Cl)+Na])、471.1([M(35Cl37Cl)+Na])、473.1([M(35Cl37Cl)+Na])、475.1([M(37Cl)+Na])、497.1([M(35Cl)+K])、499.1([M(35Cl37Cl)+K])、501.1([M(35Cl37Cl)+K])、503.1([M(37Cl)+K])。
【0095】
[工程4]5,6,8−トリクロロ−9−ヒドロキシイミノ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0096】
【化17】

【0097】
エタノール(3.7mL)中の5,6,8−トリクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−9−オキソ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(354mg、0.851mmol)、ピリジン(0.14mL)、NHOH・HCl(102mg、1.46mmol、1.7当量)の混合物を100℃で一晩攪拌し、その後冷却した。溶媒を減圧下で留去し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)により精製して、表題の化合物を無色の固体として得た(334mg、収率91%)。
【0098】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=4.06(1H、m)、3.67(3H、s)、3.41(1H、d、J=12.0Hz)、2.95−3.01(1H、m)、2.31(1H、dd、J=18.7Hz、13.8Hz)、2.21(1H、dd、J=18.7Hz、5.7Hz)、1.55−1.75(5H、m)、1.41(6H、d、J=16.0Hz)、1.35(3H、s),1.25(3H、s);MS m/z446.1([M(35Cl)+H])、448.1([M(35Cl37Cl)+H])、450.1([M(35Cl37Cl)+H])、452.1([M(37Cl)+H])、468.1([M(35Cl)+Na])、470.1([M(35Cl37Cl)+Na])、472.1([M(35Cl37Cl)+Na])、474.1([M(37Cl)+Na])、484.1([M(35Cl)+K])、486.1([M(35Cl37Cl)+K])、488.1([M(35Cl37Cl)+K])、490.1([M(37Cl)+K])。
【0099】
[工程5]5,6,8−トリクロロ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−9−トシルオキシイミノ−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステルの調製
【0100】
【化18】

【0101】
ピリジン(8mL)中の5,6,8−トリクロロ−9−ヒドロキシイミノ−7−イソプロピル−1,4a−ジメチル−1,2,3,4,4a,9,10,10a−オクタヒドロ−フェナントレン−1−カルボン酸メチルエステル(986mg、2.29mmol)の溶液に、トシルクロリド(640.2mg、3.358mmol、1.5当量)を室温で加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を水(50mL)に注ぎ、CHCl(50mL×3)で抽出した。有機相を、塩酸(50mL)および水(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1)により精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(1.15g、収率86%)。
【0102】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.87(2H、d、J=8.4Hz)、7.31(2H、d、J=8.4Hz)、3.96(1H、m)、3.67(3H、s)、3.37(1H、d、J=13.6Hz)、2.96(1H、dd、J=13.6Hz、19.2Hz)、2.47(1H、d、J=5.6Hz)、2.43(3H、s)、2.14(1H、dd、J=13.7Hz、5.7Hz)、1.5−1.68(5H、m)、1.50−1.80(9H、m)、1.21(3H、s);MS m/z600.1([M(35Cl)+H])、602.1([M(35Cl37Cl)+H])、604.1([M(35Cl37Cl)+H])、606.1([M(37Cl)+H])、622.1([M(35Cl)+Na])、624.1([M(35Cl37Cl)+Na])、626.1([M(35Cl37Cl)+Na])、628.1([M(37Cl)+Na])、638.1([M(35Cl)+K])、640.1([M(35Cl37Cl)+K])、642.1([M(35Cl37Cl)+K])、644.1([M(37Cl)+K])。
【0103】
実施例3:[4R,4aR,11bS]−6−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0104】
【化19】

【0105】
DMF(4mL)中の水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁物、24.0mg、0.6mmol、1.5当量)の懸濁液に、0℃で、DMF(1.0mL)中の[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル(165mg、0.4mmol)を滴下して加えた。2−ベンジルオキシエチルブロミド(107mg、0.5mmol、1.25当量)を加え、混合物を70℃で40時間攪拌した。その後、反応混合物を水に注ぎ、EtO(10mL×3)で抽出した。合わせた有機相を食塩水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=3:1)で精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(138.5mg、収率63%)。
【0106】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.26−7.33(5H、m)、7.19(1H、bs)、4.51(2H、s)、4.42−4.49(1H、m)、3.94(1H、bs)、3.66−3.80(3H、m)、3.56(3H、s)、3.10−3.17(1H、m)、3.03(1H、d、J=12.3Hz)、2.16(1H、d、J=8.4Hz)、1.69−1.93(6H、m)、1.39(12H、m);MS m/z546.2([M+H])。
【0107】
実施例4:[4R,4aR,11bS]−6−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0108】
【化20】

【0109】
メタノール(3mL)中の[4R,4aR,11bS]−6−[2−(ベンジルオキシ)エチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル(138.5mg、0.25mmol)、水酸化カリウム(140mg、2.5mmol、10当量)および18−クラウンエーテル−6(166mg、0.63mmol、2.5当量)の混合物を80℃で40時間攪拌し、溶媒を減圧下留去した。残渣を水(5mL)で希釈し、2N塩酸で酸性化し、CHCl(10mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(155.0mg、収率95%)。
【0110】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.26−7.33(5H、m)、7.17(1H、bs)、4.49(2H、s)、4.27−4.40(1H、m)、3.98(1H、bs)、3.68−3.80(3H、m)、3.10−3.18(2H、m)、2.13(1H、d、J=8.4Hz)、1.69−1.93(6H、m)、1.45(3H、s)、1.39-1.42(9H、m);MS m/z530.1865([M−H])。
【0111】
実施例5:[4R,4aR,11bS]−6−[4−(ベンジルオキシ)ブチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0112】
【化21】

【0113】
2−ベンジルオキシエチルブロミドに代えて4−ベンジルオキシブチルブロミドを使用した以外は、実施例3と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率67%)。
【0114】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.26−7.33(5H、m)、7.17(1H、bs)、4.53(2H、s)、4.39−4.46(1H、m)、3.96(1H、bs)、3.64(3H、s)、3.57−3.60(4H、m)、2.77−2.95(2H、m)、2.21(1H、d、J=8.4Hz)、1.69−1.95(9H、m)、1.45(3H、s)、1.39−1.42(9H、m);MS m/z574.2491([M+H])。
【0115】
実施例6:[4R,4aR,11bS]−6−[4−(ベンジルオキシ)ブチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0116】
【化22】

【0117】
出発物質として[4R,4aR,11bS]−6−[4−(ベンジルオキシ)ブチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステルを使用した以外は、実施例4と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率95%)。
【0118】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.29−7.32(5H、m)、7.17(1H、bs)、4.48(2H、s)、4.24−4.35(1H、m)、3.93(1H、bs)、3.61−3.70(2H、m)、3.42−3.54(2H、m)、2.80−2.89(2H、m)、2.17(1H、d、J=8.4Hz)、1.63−1.94(9H、m)、1.40(6H、d、J=10.0Hz)、1.39(6H、d、J=6.8Hz);MS m/z558.2([M−H])。
【0119】
実施例7:[4R,4aR,11bS]−6−[5−(ベンジルオキシ)ペンチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0120】
【化23】

【0121】
2−ベンジルオキシエチルブロミドに代えて5−ベンジルオキシペンチルブロミドを使用した以外は、実施例3と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率75%)。
【0122】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.26−7.35(5H、m)、7.17(1H、bs)、4.48(2H、s)、4.24−4.32(1H、m)、3.94(1H、bs)、3.61(3H、s)、3.57−3.61(1H、m)、3.42−3.50(3H、m)、2.71−2.83(2H、m)、2.18(1H、d、J=14.3Hz)、1.59−1.92(11H、m)、1.41(6H、d、J=10.0Hz)、1.38(6H、d、J=6.8Hz);MS m/z588.2647([M+H])。
【0123】
実施例8:[4R,4aR,11bS]−6−[5−(ベンジルオキシ)ペンチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0124】
【化24】

【0125】
出発物質として[4R,4aR,11bS]−6−[5−(ベンジルオキシ)ペンチル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステルを使用した以外は、実施例4と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率95%)。
【0126】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.27−7.33(5H、m)、7.17(1H、bs)、4.47(2H、s)、4.24−4.34(1H、m)、3.93(1H、bs)、3.61−3.64(1H、m)、3.42−3.50(3H、m)、2.78−2.83(2H、m)、2.16(1H、d、J=8.3Hz)、1.59−1.96(11H、m)、1.44(3H、m)、1.37−1.41(9H、m);MS m/z572.2334([M−H])。
【0127】
実施例9:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−6−[3−(4−メチルベンジルオキシ)プロピル]−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0128】
【化25】

【0129】
2−ベンジルオキシエチルブロミドに代えて3−(4−メチルベンジルオキシ)プロピルブロミドを使用した以外は、実施例3と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率87%)。
【0130】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.11−7.27(5H、m)、4.49(2H、s)、4.34−4.45(1H、m)、3.93(1H、bs)、3.77−3.89(3H、m)、3.10−3.18(2H、m)、2.24(3H、s)、2.13(1H、d、J=8.4Hz)、1.69−1.93(9H、m)、1.39−1.46(12H、m);MS m/z574.2491([M+H])。
【0131】
実施例10:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−6−[3−(4−メチルベンジルオキシ)プロピル]−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0132】
【化26】

【0133】
出発物質として[4R,4aR,11bS]−6−[3−(4−メチルベンジルオキシ)プロピル]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステルを使用した以外は、実施例4と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率55%)。
【0134】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.26−7.33(5H、m)、4.50(2H、s)、4.39−4.46(1H、m)、3.94(1H、bs)、3.68−3.80(2H、m)、3.11−3.16(2H、m)、2.34(3H、s)2.13(1H、d、J=8.4Hz)、1.69−1.92(9H、m)、1.57(3H、m)、1.37−1.45(9H、m);MS m/z558.2([M−H])。
【0135】
実施例11:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−6−[3−(2−ナフチル)ペンチル]−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0136】
【化27】

【0137】
2−ベンジルオキシエチルブロミドに代えて5−(2−ナフチル)ペンチルブロミドを使用した以外は、実施例3と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率62%)。
【0138】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.73−7.80(3H、m)、7.58(1H、s)、7.37−7.45(2H、m)、7.30(1H、d、J=8.4Hz)、7.17(1H、bs)、4.27−4.36(1H、m)、3.93(1H、bs)、3.60(3H、s)、2.76−2.82(1H、m)、2.65−2.73(3H、m)、2.16(1H、d、J=8.4Hz)、1.59−1.91(13H、m),1.53(3H、m)、1.41(6H、s)、1.38(3H、s)。
【0139】
実施例12:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−6−[3−(2−ナフチル)ペンチル]−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0140】
【化28】

【0141】
出発物質として[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−6−[3−(2−ナフチル)ペンチル]−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステルを使用した以外は、実施例4と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率77%)。
【0142】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.73−7.80(3H、m)、7.58(1H、s)、7.37−7.45(2H、m)、7.30(1H、d、J=8.4Hz)、7.17(1H、bs)、4.27−4.36(1H、m)、3.93(1H、bs)、2.76−2.82(1H、m)、2.65−2.73(3H、m)、2.16(1H、d、J=8.4Hz)、1.64−1.92(13H、m),1.47(3H、m)、1.38−1.42(9H、m);MS m/z592.2([M−H])。
【0143】
実施例13:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−6−[5−(ペンタフルオロフェニル)ペンチル]−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0144】
【化29】

【0145】
2−ベンジルオキシエチルブロミドに代えて5−(ペンタフルオロフェニル)ペンチルブロミドを使用した以外は、実施例3と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率63%)。
【0146】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.17(1H、bs)、4.27−4.36(1H、m)、3.94(1H、bs)、3.63(3H、s)、2.76−2.82(1H、m)、2.65−2.73(3H、m)、2.19(1H、d、J=8.4Hz)、1.57−1.96(13H、m)、1.39−1.44(12H、m)。
【0147】
実施例14:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0148】
【化30】

【0149】
2−ベンジルオキシエチルブロミドに代えて5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチルブロミドを使用した以外は、実施例3と同様の手法により、表題化合物を無色の固体として得た(収率70%)。
【0150】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=7.65(1H、s)7.58(1H、s)、7.60(1H、s)、7.19(1H、bs)、3.80−3.92(1H、m)、3.40−3.63(3H、m)、2.60−2.75(3H、m)、2.47(1H、dd、J=2.4Hz、10.8Hz)、2.23(1H、d、J=8.4Hz)、1.55−1.94(11H、m)、1.45(3H、m)、1.38(6H、m)、1.27(3H、s)。
【0151】
実施例15〜31
実施例15〜31の化合物を以下の手法により合成した。
【0152】
【化31】

【0153】
DMF(2mL)中の水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁物;19mg、0.405mmol、1.5当量)の懸濁液に、0℃で、DMF(1.3mL)中の[4R,4aR,11bS]−8,10,11−トリクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル(120mg、0.270mmol)の溶液を滴下して加え、その後、DMF(1.3mL)中の目的物に対応するベンジルブロミド(0.484mmol、1.8当量)を滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌し、その後水へ注ぎ込み、CHCl(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をオープンクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=5:1)で精製し、目的の化合物を得た。
【0154】
得られた化合物(実施例15〜31)の物性データなどを以下に示す。
【0155】
【表1−1】

【0156】
【表1−2】

【0157】
【表1−3】

【0158】
【表1−4】

【0159】
実施例32〜47
実施例32〜47の化合物を以下の手法により合成した。
【0160】
【化32】

【0161】
メタノール/THF(15/1)中の実施例15〜31で製造したメチルエステル、KOH(0.4M、10当量)および18−クラウンエーテル−6(0.1M、2.5当量)の溶液を80℃で一晩攪拌した。冷却後、減圧下で溶媒を除去し、残渣を水(5mL)で希釈し、2N塩酸で酸性化し、CHCl(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下溶媒を留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=2:1)で精製し、原料に対応する目的のカルボン酸を得た。なお、実施例36、37、40、42、43については、反応をマイクロ波照射下145℃で45分間行った。
【0162】
得られたカルボン酸(実施例32〜47)の物性データなどを以下に示す。
【0163】
【表2−1】

【0164】
【表2−2】

【0165】
【表2−3】

【0166】
【表2−4】

【0167】
実施例48:[4R,4aR,11bS]−8,10、11−トリクロロ−6−シクロヘキシルメチル−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0168】
【化33】

【0169】
DMF(4mL)中の水素化ナトリウム(60%鉱油懸濁物;32mg、0.67mmol、1.5当量)の懸濁液に、0℃で、DMF(1.5mL)中の[4R,4aR,11bS]−8,10,11−トリクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステルの溶液(200mg、0.45mmol)を滴下して加えた。DMF(1.5mL)中のブロモメチルシクロヘキサン(100μL、1.4g/mL、0.82mmol、1.8当量)を反応混合物に滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌した後に、水に注ぎ込み、CHCl(30mL×3)で抽出した。合わせた有機相を水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下で溶媒を留去した。残渣をオープンカラム(ヘキサン:AcOEt=5:1)で精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(227.7mg、収率94%)。
【0170】
H−NMR(400MHz/CDCl):δ=4.14(1H、m)、4.03(1H、m)、3.68(1H、m)、2.78(1H、m)、2.50−2.70(3H、m)、2.37(1H、d、J=7.6Hz)、1.56−1.95(12H、m)、1.34−1.50(9H、s)、1.06−1.31(4H、m)、0.88−1.05(2H、m)。
【0171】
実施例49:[4R,4aR,11bS]−8,10、11−トリクロロ−6−シクロヘキシルメチル−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0172】
【化34】

【0173】
メタノール(3.7mL)およびTHF(0.7mL)中の[4R,4aR,11bS]−8,10、11−トリクロロ−6−シクロヘキシルメチル−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル(158.8mg、0.298mmol)、KOH(168mg、3.00mmol、10当量)および18−クラウンエーテル−6(198mg、0.7mmol、2.5当量)の混合物を80℃で一晩攪拌した。冷却後、溶媒を減圧下留去し、残渣を水(5mL)で希釈し、2N塩酸で酸性化し、CHCl(10mL×3)で抽出した。合わせた有機相を食塩水(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=2:1)で精製し、表題の化合物を無色の固体として得た(114.2mg、0.218mmol、収率73%)。
【0174】
融点:229.5−231.0℃(CHCl/ヘキサンから再結晶);H−NMR(400MHz/CDCl):δ=4.14(1H、m)、4.03(1H、m)、3.68(1H、m)、2.78(1H、m)、2.50−2.70(3H、m)、2.37(1H、d、J=7.6Hz)、1.56−1.95(12H、m)、1.34−1.50(9H、s)、1.06−1.31(4H、m)、0.88−1.05(2H、m);MS m/z528.17([M(35Cl)+H])、532.177([M(35Cl37Cl)+H])、542.19([M(35Cl)+Na])、544.18([M(35Cl37Cl)+Na])、546.18([M(35Cl37Cl)+Na]);元素分析、計算値(C2832ClNO:C、62.64;H、6.01;N、2.61;実測値:C、62.81;H、6.18;N、2.53。
【0175】
実施例50:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−ペント−4−イニル−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル
【0176】
【化35】

【0177】
DMF(10ml)中の[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル(596mg、1.45mmol)の溶液に、0℃で、水素化ナトリウム(76.0mg、1.90mmol)を加え、0℃で10分間攪拌した。その後、5−ヨードペント−1−イン(1.40g、7.22mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。水を加えて反応をクエンチし、EtOで抽出した。有機相を、水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=7:1 v/v)で精製し、白色の固体として表題の化合物を得た(562mg、81%)。
【0178】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=7.17(1H、bs)、4.24−4.31(1H、m)、3.93(1H、bs)、3.62−3.70(1H、m)、3.62(3H、s)、3.01−3.08(1H、m)、2.86(1H、d、J=16.2Hz)、2.17(1H、d、J=8.5Hz)、2.24−2.29(2H、m)、1.96−1.98(1H、m)、1.72−1.90(5H、m)、1.63−1.72(3H、m)、1.43(3H、s)、1.38(9H、m)。
【0179】
実施例51:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−ペント−4−イニル−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0180】
【化36】

【0181】
メタノール(50ml)中の[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−ペント−4−イニル−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メチルエステル(2.00g、4.18mmol)の溶液に、水酸化カリウム(2.35g、41.9mmol)、18−クラウンエーテル−6(2.76g、10.4mmol)を加え、80℃で一晩撹拌した。反応混合物をCHClで抽出し、有機相を2M塩酸、その後水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=3:1 v/v)で精製し、表題の化合物を白色の固体として得た(1.86g、96%)。
【0182】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=7.17(1H、bs)、4.28(1H、m)、3.92(1H、bs)、3.69(1H、dd、J=16.1Hz、J=8.6Hz)、3.04(1H、m)、2.97(1H、d、J=16.3Hz)、2.26(2H、m)、2.14(2H、d、J=8.4Hz)、1.81−2.00(6H、m)、1.72(2H、m)、1.37−1.43(12H、m)。
【0183】
実施例52:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−(2−ピリジル)ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0184】
【化37】

【0185】
EtN(3ml)中の[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−ペント−4−イニル−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸(100mg、0.215mmol)の溶液に、2−ヨードピリジン(52.9mg、0.258mmol、1.2当量)、[Pd(Ph)]Cl(20.0mg、0.0285mmol)、およびCuI(20.0mg、0.105mmol)を加え、反応混合物を室温で一晩攪拌した。水を加えて反応をクエンチし、EtOで抽出した。有機相を、2M塩酸、その後水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=3:1 v/v)で精製し、表題の化合物を無色の油状物として得た(19.7mg、収率17%)。得られた油状物は、後に固化した。
【0186】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=8.49(1H、m)、7.72(1H、t、J=6.2Hz)、7.42(1H、d、J=7.9Hz)、7.27−7.31(1H、m)、7.18(1H、bs)、4.28−4.35(1H、m)、3.92(1H、bs)、3.80(1H、d、J=16.2Hz)、3.50−3.65(2H、m)、2.58−2.65(1H、m)、2.44−2.52(1H、m)、2.25−2.40(1H、m)、1.78−2.05(6H、m)、1.60−1.64(2H、m)、1.52(3H、s)、1.45(3H、s)、1.37−1.43(6H、m);13C−NMR(100MHz、CDCl):δ=179.6、168.1、147.8、146.7、142.0、141.0、137.9、135.9、133.5、128.2、123.3、92.5、79.8、53.6、50.6、48.5、46.7、40.8、38.9、35.7、26.1、23.2、19.6、19.3、19.2、18.6、16.2;ESI−HRMS:計算値(C3033Cl)([M−H]):539.1868;実測値:539.1872;融点:135.5〜136.0℃。
【0187】
実施例53:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−(3−チエニル)ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0188】
【化38】

【0189】
2−ヨードピリジンに代えて3−ヨードチオフェンを使用した以外は、実施例52と同じ手法により、表題の化合物を得た(収率14%)。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=7.29(1H、dd、J=3.0Hz、J=1.1Hz)、7.12(1H、dd、J=5.0Hz、J=3.0Hz)、7.17(1H、bs)、7.00(1H、dd、J=5.0Hz、J=1.2Hz)、4.30(1H、m)、3.94(1H、bs)、3.57(1H、dd、J=16.0Hz、J=8.7Hz)、3.09(1H、m)、2.88(1H、d、J=16.3Hz)、2.45(2H、t、J=7.1Hz)、2.06(1H、d、J=8.4Hz)、1.97−2.04(1H、m)、1.75−1.95(5H、m)、1.70(2H、m)、1.37−1.46(12H、m);13C−NMR(100MHz、CDCl):δ=182.8、168.3、146.1、141.2、136.1、133.8、129.9、127.9、125.0、122.5、88.4、76.6、50.5、49.6、48.5、47.2、39.7、39.0、37.0、27.2、21.8、19.6、19.3、18.1、17.9、16.8;質量分析 計算値(C2933ClNOS):C:63.73、H:6.09、N:2.56;実測値C:64.11、H:6.49、N:2.44;ESI−HRMS:(C2932ClNOS([M−H])):544.1480;実測値:544.1483;融点:124.0〜124.3℃(AcOEt/ヘキサンから再結晶、無色の立方体状結晶)。
【0190】
実施例54:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−ペント−4−イニル−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メトキシメチルエステル
【0191】
【化39】

【0192】
トリエチルアミン(4ml)中の[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−ペント−4−イニル−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸(261mg、0.562mmol)の溶液に、メトキシメチルクロリド(91.0mg、1.13mmol)を加え、室温で30分撹拌した。反応混合物に水を加え、EtOで抽出し、有機相を2M塩酸、その後水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=5:1 v/v)で精製し、表題の化合物を白色の固体として得た(258mg、90%)。
【0193】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=7.17(1H、bs)、5.17(2H、dd、J=20.2Hz、J=5.9Hz)、4.27(1H、m)、3.92(1H、bs)、3.68(1H、dd、J=16.1Hz、J=8.6Hz)、3.41(3H、s)、3.04(1H、m)、2.93(1H、d、J=16.2Hz)、2.25(2H、td、J=7.1Hz、J=1.7Hz)、2.19(1H、d、J=8.5Hz)、1.80−2.00(7H、m)、1.72(2H、m)、1.44(3H、s)、1.37−1.40(9H、m)。
【0194】
実施例55:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−(ピラジン−2−イル)ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メトキシメチルエステル
【0195】
【化40】

【0196】
トリエチルアミン(3ml)中の[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−ペント−4−イニル−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メトキシメチルエステル(100mg、0.197mmol)の溶液に、2−ヨードピラジン(48.7mg、0.236mmol、1.2当量)、[Pd(Ph)]Cl(20.0mg、0.0285mmol)、およびCuI(20.0mg、0.105mmol)を加え、室温で一晩攪拌した。反応混合物に水を加え、EtOで抽出し、2M塩酸、その後水で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=3:1 v/v)により精製し、表題の化合物を白色の固体として得た(94.6mg、収率82%)。
【0197】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=8.62(1H、m)、8.46(1H、m)、8.42(1H、m)、7.18(1H、bs)、5.12(2H、m)、4.37(1H、m)、3.93(1H、bs)、3.71(1H、dd、J=16.1Hz、J=8.7Hz)、3.37(3H、s)、3.06(1H、m)、2.90(1H、d、J=16.1Hz)、2.57(2H、t、J=7.2Hz)、2.20(1H、d、J=8.6Hz)、1.75−2.10(6H、m)、1.71(2H、m)、1.45(3H、s)、1.35−1.45(9H、m)。
【0198】
実施例56:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−(ピラジン−2−イル)ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0199】
【化41】

【0200】
3M塩酸/THF(2ml/2ml)中の[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−(ピラジン−2−イル)ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メトキシメチルエステル(100mg、0.17mmol)の溶液を50℃で8時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、EtOで抽出した。有機相を水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:AcOEt=4:1 v/v)により精製し、表題の化合物を白色の固体として得た(66.4mg、収率72%)。
【0201】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=8.68(1H、m)、8.51(1H、m)、8.46(1H、m)、7.16(1H、bs)、4.34(1H、m)、3.93(1H、bs)、3.64(1H、m)、3.52(1H、m)、3.38−3.47(1H、m)、2.65(1H、m)、2.54(1H、m)、2.20−2.30(1H、m)、1.75−2.00(6H、m)、1.63−1.66(2H、m)、1.49(3H、s)、1.35−1.45(9H、m);13C−NMR(100MHz、CDCl):δ=180.1、168.3、148.0、146.3、143.4、142.6、141.1、139.8、136.0、133.5、95.4、78.0、51.7、50.1、48.3、47.0、40.1、38.9、36.4、26.2、22.3、19.5、19.2、18.4、18.2、16.6;ESI−HRMS:計算値(C2934Cl([M+H])):542.1977;実測値:542.1972;融点:134.6−135.0℃。
【0202】
実施例57:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−{4−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノメチル]フェニル}ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メトキシメチルエステル
【0203】
【化42】

【0204】
2−ヨードピラジンに代えて1−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−4−ヨードベンゼンを使用した以外は、実施例55と同じ手法により、表題の化合物を得た(収率39%)。
【0205】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=7.33(2H、m)、7.15−7.21(3H、m)、4.97−5.22(2H、m)、4.82(1H、bs)、4.35(1H、m)、4.26(2H、d、J=5.5Hz)、3.94(1H、bs)、3.72(1H、dd、J=16.1Hz、J=8.7Hz)、3.34(3H、s)、3.09(1H、m)、2.93(1H、d、J=16.2Hz)、2.47(2H、t、J=6.9Hz)、2.20(1H、d、J=8.4Hz)、1.50−2.10(8H、m)、1.35−1.50(21H、m)。
【0206】
実施例58:[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−{4−(アミノメチル)フェニル}ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸
【0207】
【化43】

【0208】
出発物質として[4R,4aR,11bS]−8,10−ジクロロ−9−イソプロピル−4,11b−ジメチル−7−オキソ−6−[5−{4−[(tert−ブトキシ)カルボニルアミノメチル]フェニル}ペント−4−イニル]−2,3,4,4a,5,6,7,11b−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[c,e]アゼピン−4−カルボン酸メトキシメチルエステルを使用した以外は、実施例56と同じ手法により、表題の化合物を得た(収率66%)。
【0209】
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=7.36(2H、d、J=8.3Hz)、7.25(3H、m)、4.18(1H、m)、3.80−3.96(3H、m)、3.54(1H、dd、J=16.0Hz、J=8.9Hz)、3.22(1H、m)、3.14(1H、m)、3.07(1H、d、J=16.0Hz)、2.42(2H、t、J=7.0Hz)、2.23(1H、d、J=8.6Hz)、1.75−2.00(4H、m)、1.50−1.75(4H、m)、1.30−1.50(12H、m);13C−NMR(100MHz、CDOD):δ=185.3、170.9、149.6、142.2、137.6、134.7、134.6、133.6、130.1、126.3、91.5、81.9、53.4、51.5、51.4、50.2、44.4、41.5、40.9、39.2、28.4、22.7、20.3、20.1、20.0、17.9;ESI−HRMS:計算値(C3239Cl([M+H])):569.2338;実測値:569.2342;融点:196.4−197.0℃。
【0210】
生物活性試験
Ion Works Quattro(Molecular Device社製)を使用したオートメーションパッチクランプ法により、ヒトBKチャネルのαサブユニットを発現させたCHO細胞(理化学研究所バイオリソースセンターより入手)を用いて化合物の活性評価を行った。試験は、V.H.John et al. J Biol Screen 2007;12;50-60、A.Finkel et al. J Biol Screen 2006;11;488-496の記載に基づいて行った。また測定は、Finke, A.; Wittel, A.; Yang, N.; Handram, S.; Hughes, J.; Costantin, J., Journal of Biomolecular Screening, 2006, 11 (5), 488-496に記載されたPopulation Patch Clamp法に準じた。
【0211】
本試験は、384ウェルのPatchPlate PPCTMデバイスを使用して行った。各ウェルにExternal buffer(NaCl 137mM, KCl 4mM, MgCl2/6H2O 1mM, CaCl2/2H2O 2mM, Glucose 10mM, HEPES 10mM (pH 7.4))を10μL添加し、その後、CHO細胞懸濁液(External buffer中、2.0×106cells/mlの細胞濃度)を5mLとBAPTA-AM(同仁化学薬品)を20μMとなるように添加した。その後、Internal buffer(KCl 140mM, MgCl2/6H2O 1mM, HEPES 20mM (pH 7.3))にAmphotericin B(イオノフォア)(Sigma-Aldrich)を終濃度が108μMとなるように添加し、細胞膜にイオンを透過させるポアを形成し、Pre電流を測定した。その後、DIDS(Ca2+ 依存性Cl- Channel の阻害剤、Sigma-Aldrich)を終濃度300μMとなるように、およびIonomycin (細胞内Ca2+濃度を上昇させる、Sigma-Aldrich)を終濃度1.2μMとなるようにそれぞれExternal bufferに添加し、Post-1st電流測定した。その後、試験化合物(DMSO溶液、終濃度30μM)をExternal bufferに添加し、post-2nd電流を測定した。なお、電流の各測定は100mVで電位固定して行った。測定した化合物添加前のPre電流を100とした場合の、試験化合物添加時の電流の値を、試験化合物のヒトBKチャネル開口活性値として図1に示す。
【0212】
[試験結果]
比較例としてIpA(下式):
【0213】
【化44】

【0214】
を使用した。当該試験結果より、本発明に係る化合物がヒトBKチャネル開口活性を有することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の化合物のヒトBKチャネル開口活性を示す、オートメーションパッチクランプ法による試験結果の一例を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、R、R、RおよびRは、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、−NR1112、−S(O)1−6アルキル(ここでnは0〜2から選択される整数である)およびC1−6アルキルカルボニルから選択され、ここで前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシおよび−S(O)1−6アルキルは、炭素原子上を1以上のハロゲン原子またはヒドロキシにより置換されていてもよく;
11およびR12は、独立に、水素原子、C1−6アルキルおよびC1−6アルキルカルボニルから選択され、または結合する窒素原子と一緒になって、5〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
は、−COOR13、−CONR1415またはテトラゾール−5−イルであり;
13は、水素原子、または1以上のRaにより置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
14およびR15は、独立に、水素原子および1以上のRaにより置換されていてもよいC1−6アルキルから選択され、または結合する窒素原子と一緒になって、5〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
およびRは、独立に、水素原子、ヒドロキシおよびC1−10アルキルから選択され;
Xは、水素原子、1以上のRaにより置換されていてもよいC1−10アルキル、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−10アルケニル、または1以上のRaにより置換されていてもよいC2−10アルキニルであり;
Raは、独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルコキシ、1以上のRbにより置換されていてもよいC3−10シクロアルキル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリール、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリールオキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、−NR2122、および−S(O)23(ここでnは0〜2から選択される整数である)から選択され;
21およびR22は、独立に、水素原子、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルキル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリール、および1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリルから選択され;
23は、1以上のRbにより置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
Rbは、独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいアリール、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリル、1以上のRcにより置換されていてもよいアリールオキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、1以上のRcにより置換されていてもよいC7−14アラルキルオキシ、ヘテロシクリルC1−6アルコキシ(当該基に含まれるヘテロシクリル部分は、1以上のRcにより置換されていてもよい)、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルコキシC1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−6アルコキシC1−6アルコキシ、C7−14アラルキルオキシC1−6アルコキシ(当該基に含まれるアリール部分は、1以上のRcにより置換されていてもよい)、ヘテロシクリルC1−6アルコキシC1−6アルコキシ(当該基に含まれるヘテロシクリル部分は、1以上のRcにより置換されていてもよい)、−NR2425および−S(O)26(ここでnは0〜2から選択される整数である)から選択され;ここで、上記基に含まれるアルコキシ部分は1以上のハロゲン原子で置換されていてもよく;
24およびR25は、独立に、水素原子およびC1−6アルキルから選択され;
26は、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルであり;
Rcは、独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1−6アルコキシカルボニル、C1−6アルキルカルボニルオキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいフェノキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいヘテロシクリルオキシ、1以上のハロゲン原子で置換されていてもよいヘテロシクリル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、アミノC1−6アルキル、およびアミノC1−6アルコキシから選択され;
さらに式中のシクロヘキサン環に含まれる置換可能な炭素原子は、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびオキソから選択される置換基により独立に置換されていてもよく、式中のアゼピン環に含まれる置換可能な炭素原子は、ヒドロキシおよびC1−6アルキルから選択される置換基により独立に置換されていてもよい]
で表される化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物。
【請求項2】
が、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、または−S(O)1−6アルキル(ここでnは0〜2から選択される整数である)であり、ここで前記C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよび−S(O)1−6アルキルは、炭素原子上を1以上のハロゲン原子またはヒドロキシにより置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物。
【請求項3】
Xが、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルキル、1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルケニル、または1以上のRaにより置換されていてもよいC2−4アルキニルであり;Raは、請求項1に定義されたとおりである;請求項1または2に記載の化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物。
【請求項4】
が、水素原子またはハロゲン原子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物。
【請求項5】
が、ハロゲン原子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物。
【請求項6】
が−COOR13である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物。
【請求項7】
式(Ia):
【化2】

[式中、R、R、R、R、R、R、RおよびXは、独立に、請求項1〜6のいずれか1項に定義されたとおりである]
で表される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、医薬として許容なその塩、またはその溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項9】
脳梗塞、脳血管虚血、虚血性心疾患、頻尿、尿失禁疾患、過活動膀胱および気管支喘息から選択される疾患の治療または予防のために使用する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物、または医薬として許容なその塩、もしくはその溶媒和物を含むカリウムチャネル開口薬。
【請求項11】
BKチャネルに作用する、請求項10に記載のカリウムチャネル開口薬。

【図1】
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【公開番号】特開2009−209068(P2009−209068A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52623(P2008−52623)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】