説明

カルバゾールを含有する共役系ポリマー及びブレンド、その製造及びその使用

本発明は、特別なカルバゾール構造単位を有する共役系ポリマーに関する。本発明による材料は、前記単位を有していない対照ポリマーよりも、より急勾配な電流−電圧−曲線を示し、従って、有機発光ダイオード中での使用のためにより適している。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
約12年来、既にポリマー(有機)発光ダイオード(PLED)をベースとする表示エレメント及び照明エレメントの商品化を試みる研究がなされている。この開発は、欧州特許第423283号明細書(国際公開第90/13148号)に開示されている基礎開発によって引き起こされた。最近には、小さな表示装置の形の(PHILIPS N.V.社のひげ剃り装置の形の)初めての製品も市場で入手可能となっている。確かに、このディスプレーは現在市場に流通している液晶表示装置(LCD)との本格的な競争となるか、もしくはこの液晶表示装置を凌駕するためにはいまだになお明らかに改善する必要がある。特に、この場合には、市場の要求(最も重要とされているのは彩度、効率、作動寿命、電圧)に適合する全ての発光色(赤、緑、青)用のポリマーを提供する必要がある。
【0002】
フルカラー表示エレメント(いわゆるフルカラーディスプレー)用のポリマーとしては、すでに多様な種類の材料が提案もしくは開発されている。例えば欧州特許第0842208号明細書、国際公開第99/54385号パンフレット、国際公開第00/22027号パンフレット、国際公開第00/22026号パンフレット及び国際公開第00/46321号パンフレットに開示されているようなポリフルオレン誘導体が挙げられる。更に、欧州特許第0707020号明細書、欧州特許第0894107号明細書及び国際公開第03/020790号パンフレットに開示されたようなポリ−スピロビフルオレン−誘導体も可能である。国際公開第02/077060号パンフレットに開示されているような前記の両方の構成要素の組み合わせを有するポリマーもすでに提案されている。一般に、この種の使用のために、構成要素としてポリ−パラ−フェニレン(PPP)を含有するポリマーも可能である。すでに前記した種類の他に、ここでは例えば、いわゆる梯子形−PPP(ラダーPPP=LPPP)(例えば国際公開第92/18552号パンフレット)、ポリテトラヒドロピレン(例えば欧州特許出願公開第699699号明細書)、更にAnsa構造を有するPPP(欧州特許出願公開第690086号明細書)も挙げられる。
【0003】
前記された明細書のいくつかにおいてすでに指摘されていたように、全ての3つの発光色の作成のためには、所定のコモノマーを相応するポリマー内へ重合により組み込む必要がある(例えば、国際公開第00/46321号パンフレット、独国特許出願第10143353.0号及び国際公開第02/077060号パンフレット参照)。従って、通常では、青色に発光する基本ポリマー(バックボーン)から出発し、他の2種の原色の赤及び緑を作成することができる。
【0004】
更に、所定のアリールアミノ原子団の挿入により特性の改善が行われることが報告されている:
・国際公開第99/54385号パンフレットは、トリフェニルアミン、テトラフェニル−p−ジアミノ−ベンゼン又はテトラフェニル−4,4’−ジアミノ−ビフェニルの誘導体を相応するポリマーの主鎖中に一緒に組み込んで重合させることにより、効率及び閾電圧を改善することができるポリフルオレンを記載している。
【0005】
・独国特許第19846767号明細書は、置換されたジアリールアミノ単位を主鎖中に組み込むことにより、同様に効率及び閾電圧が改善されたポリフルオレンを記載している。
【0006】
・国際公開第01/49769号パンフレットは、一般的に、アリール基の少なくとも1つがヘテロアリール基である、トリアリールアミノ基を含有するポリマーを記載している。このポリマーの特別な利点は記載されていない。
【0007】
・国際公開第01/66618号パンフレットは、アリール単位の他に特別なトリアリールアミノ−もしくはテトラアリール−p−ジアミノ−アリーレン単位を主鎖中に含有するコポリマーを記載している。この相応するアミノ構成単位は、この場合にそれぞれトリフルオロメチル基で置換されたフェニルを含有し、このフェニルは窒素原子に直接結合していて、もちろん主鎖中には組み込まれていない。利点として、これらの材料は、特に、前記の国際公開第99/54385号パンフレットに記載された誘導体とは反対に、より良好に調節可能なHOMO−層を有し、このことが従って使用において利点をもたらすことに言及されている。
【0008】
上記の出願明細書中に挙げられた進歩にもかかわらず、相応する材料について未だになおかなり改善する必要が存在する。特に次の領域に関してなお明らかな改善が必要である:
(1)使用の際に十分に低い電圧でより大きな明度を達成し、それにより高い電力効率を達成するために、電流−電圧特性曲線はなお明らかにより急勾配にしなければならない。このことは極めて重要である、それというのも一方で同じ明度をより低いエネルギー消費で達成することができるためであり、このことは特にモバイル使用(携帯電話、PDA等のためのディスプレー)の際に極めて重要である。他方で、同じエネルギー消費でより高い明度が得られ、このことは例えば照明用途のために重要となりえる。
【0009】
(2)記載された多くの青色発光ポリマーは、飽和したディープブルーの発光を示さず、ライトブルーの発光を示し、このライトブルー発光の彩度は全ての用途にとって十分とはいえない。
【0010】
従来技術のこの記載から明らかなように、従って、光を発光するポリマーの分野に関してより大きく改善する必要がある。
【0011】
意外にも、所定のカルバゾール単位を有する今まで公知でないポリマーが、前記した2つの分野、つまり電流−電圧特性曲線の急傾斜化(ひいては作動電圧)に関して及び色に関してまさに明らかな改善をもたらすことが見出された。従って、このことは本願発明の対象である。
【0012】
本発明の対象は、従って、共役系ポリマー(POLY1)であり、前記共役系ポリマーは式(I):
【化3】

【0013】
式(I)
[式中、記号及び添え字は次の意味を有する:
Rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、3〜40個のC原子を有し、置換または非置換であり得るシクロアルキル系、2〜40個のC原子を有し、置換または非置換であり得る芳香族又はヘテロ芳香族環系、又は1〜16個のC原子を有する線状又は分枝状のアルキレン鎖を有し、置換または非置換であり得るアルキレンアリール系、アルキレンシクロアルキル系もしくはアルキレンヘテロアリール系であり;前記アリール系、ヘテロアリール系及びシクロアルキル系は、この場合に、より大きな縮合した芳香族又は脂肪族の環系の部分であることもでき;前記環系は任意の置換基Rをそれぞれの遊離位置に潜在的に有していることができ;
Arylは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、2〜40個のC原子を有し、置換または非置換であり得る芳香族又はヘテロ芳香族環系、又は置換された又は非置換のスチルベニレン単位又はトラニレン単位である;前記単位は、任意の置換基Rをそれぞれの遊離位置に潜在的に有することができ;
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜22個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル鎖又はアルコキシ鎖(前記鎖中において、1又は複数の非隣接C原子はN−R、O、S、−CO−O−、−O−CO−Oにより置き換えられていてもよく、その際、1つ又は複数のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい)、5〜40個のC原子を有するアリール基又はアリールオキシ基(その際、1つ又は複数のC原子はO、S又はNにより置き換えられていてもよく、これらの基は1つ又は複数の非芳香族基Rにより置換されていてもよい)、又はCl、F、CN、N(R、B(Rであり、その際、2つ又はそれ以上の基Rは相互に1つの環系を形成することもでき;
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜22個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル鎖又はアルコキシ鎖(前記鎖中において、1又は複数の非隣接C原子はN−R、O、S、−CO−O−、−O−CO−Oにより置き換えられていてもよく、その際、1つ又は複数のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい)、5〜40個のC原子を有するアリール基又はアリールオキシ基(その際、1つ又は複数のC原子はO、S又はNにより置き換えられていてもよく、これらの基は1つ又は複数の非芳香族基Rにより置換されていてもよい)又はCl、F、CN、N(R、B(Rであり;
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、H、1〜22個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル鎖(前記鎖中において、1又は複数の非隣接C原子はO、S、−CO−O−、−O−CO−Oにより置き換えられていてもよく、その際、1つ又は複数のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい)、5〜40個のC原子を有するアリール基(その際、1つ又は複数のC原子はO、S又はNにより置き換えられていてもよく、これらは1つ又は複数の非芳香族基Rにより置換されていてもよい)であり;
mは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1又は2であり;
oは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1又は2であるが、m=2の場合には、oは0であってはならないことを条件とし、
rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0又は1であり;
zは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1、2又は3であり;
波線の結合は、この場合にポリマー中の結合を意味し;これはこの場合にメチル基を表さない]の単位1〜100モル%、有利には5〜100モル%、特に有利には10〜100モル%を含有する。
【0014】
この場合、ポリマー鎖中でのカルバゾール単位についての多様な結合が可能である:複数箇所の1箇所だけとの結合は、末端基を生じさせるか又は側鎖中への式(I)の構造単位の組み込みを生じさせ;2箇所との結合はポリマーの主鎖中へのモノマーの組み込みを生じさせ;式(I)の構造単位の主鎖への組み込みは、有利にはカルバゾールの3,6−位又は2,7−位を介して行われるか又は同様に2,9−位又は3,9−位を介して行われ、後者の2つの場合には、Rは芳香族又はヘテロ芳香族環系を表し、それによりポリマーの共役が保持される。特に有利には3,6−位又は2,7−位を介して組み込みが行われるか又はRが芳香族又はヘテロ芳香族環系を表す場合に3,9−位を介して組み込みが行われる。更に特に有利には、3,6−位又は2,7−位を介して組み込みが行われる。明確にするために、次の構造式にカルバゾールの位置番号を示す:
【化4】

【0015】
本発明の意味範囲で共役系ポリマーとは、主鎖中に主にsp混成(もしくは同様にsp混成)炭素原子を含有し、前記混成炭素原子は相応するヘテロ原子により置き換えられていてもよいポリマーである。このことは、最も単純な場合に、主鎖中の二重結合及び単結合の交互の存在を意味する。主に、共役の中断を引き起こす自然に生じる欠陥は、「共役系ポリマー」の概念を無効にしないと考えられる。更に、この出願明細書において、主鎖中に例えばアリールアミン単位、例えば式(I)のカルバゾール又は他のこの種の単位及び/又は所定のヘテロサイクレン(つまりN−、O−又はS−原子を介した共役)及び/又は有機金属錯体(つまり金属原子を介した共役)が存在する場合にも、同様に共役と表される。これとは反対に、例えば単純な(チオ)エーテル架橋、エステル結合、アミド結合又はイミド結合のような単位は、非共役セグメントとして定義される。
【0016】
本発明によるこのポリマーは、式(I)の単位の他に、なお他の構成要素を有していてもよい。これは、特に前記の特許明細書中にすでに開示されているようなものである。ここでは、特に、すでに前記した出願明細書の国際公開第02/077060号パンフレット中に比較的広い範囲にわたり列挙されたものが指摘され;これはこの引用によって本発明の構成として見なされる。他の構造単位は、例えば次ぎに記載された種類から由来することができる:
1.ポリマー骨核を形成することができる構造単位、もしくは青色発光する単位:
・この場合に、まずポリ−フェニレン及び前記ポリフェニレンから誘導された構造を形成する単位が挙げられる。これは、例えば(それぞれ置換されているか又は非置換である)オルト−、メタ−又はパラ−フェニレン、1,4−ナフチレン、9,10−アントラセニレン、2,7−フェナントラセニレン、1,6−もしくは2,7−もしくは4,9−ピレニレン又は2,7−テトラヒドロピレニレンである。同様に、相応する複素環式「ポリ−フェニレン」−形成する構造、例えば2,5−チオフェニレン、2,5−ピロリレン、2,5−フラニレン、2,5−ピリジレン、2,5−ピリミジニレン又は5,8−キノリニレンが挙げられる。
【0017】
・更に、より複雑な単位、例えば上記のフルオレン、スピロ−9,9’−ビフルオレン、複数箇所架橋された単位(例えば上記のLPPP−ポリマーの短い部分セグメント)、同様に「二重のフルオレン」−単位(インデノフルオレン)も可能である。同様にこれらも置換されているかもしくは非置換であることができる。この場合に、例えば個々の環炭素原子がヘテロ原子、例えば硫黄により置き換えられている相応する複素環式構造も挙げられる。
【0018】
2.電荷注入特性もしくは電荷輸送特性を高める構造単位。これは、電子注入特性又は電子輸送特性(例えばオキサジアゾール単位のように)並びに正孔注入特性又は正孔輸送特性(例えばトリアリールアミン単位のように)に関連することができる。この場合にも、上記に引用した出願明細書国際公開第02/077060号パンフレット中でこの種の構造単位が広い範囲にわたり列挙されたものが指摘され;これはこの引用によって本発明の構成として見なされる。同様に、この目的のために、公開前の独国特許出願第10249723.0号に記載されているようなナフチル−アリール−アミンが挙げられる。
【0019】
3.例えば発光色をシフトさせる構造単位、これによりポリマーのバンドギャップも変更され、それにより一般に電荷注入特性もしくは電荷輸送特性も変更される:
・この場合に、例えば他の複素環式化合物、例えば前記の出願明細書国際公開第02/077060号パンフレットに式(XX)〜(XXXXV)として挙げられた構造を挙げることができる。
【0020】
・更に、この場合に、アリーレンビニレン構造又はアリーレンアセチレン構造、例えば置換された又は非置換のスチルベニレン、トラニレン、ビススチリルアリーレン、ビス(アリールアセチレン)アリーレンも挙げられる。
【0021】
・最後に、前記の色をシフトさせる効果を生じさせる比較的大きな芳香族単位、例えば、クリセン、ナフタセン、ペンタセン、ペリレン又はコロネンを組み込むこともできる。
【0022】
4.室温でも高い効率で三重項状態から光りを発光することができる構造単位:
・この場合に、まず特に、重原子、つまり元素の周期表の原子番号36より大きい原子を含有する化合物であると解釈される。
【0023】
・このために、上記の条件を満たすd−及びf−遷移金属を含有する化合物が特に適している。この場合に、第8族〜第10族の元素(つまりRu、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)の元素を含有する相応する構造単位が更に特に有利である。
【0024】
・本発明によるポリマーのための構造単位として、この場合に、例えば出願明細書の国際公開第02/068435号パンフレット、国際公開第02/081488号パンフレット、欧州特許第1239526号明細書及び公開前の独国特許出願第10238903.9号に記載された多様な錯体を挙げることができる。
【0025】
本発明によるポリマーの有利な他の単位の選択は、次の一覧表に列挙されている:
【表1】

【表2】

【表3】

【0026】
この場合に使用された記号のAryl、R及びRは、既に前記の記載と同様のものであると解釈される。
【0027】
nは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1、2、3又は4であり;
pは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1、2又は3であり;
qは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1又は2であり;
Mは、いずれの存在においても、同じか又は異なりRh又はIrであり;
示された波線の結合により、ポリマー中でのそれぞれの結合が表され;これはこの場合にメチル基を表さない。
【0028】
本発明によるポリマーはホモポリマー(つまりこのポリマーは式(I)の構造だけを含有する)であるか又はコポリマーである。この場合、式(I)の複数の異なる構造単位を含有するか又は式(I)の1種又は数種の構造単位の他に、1種又は数種の、前記したもしくは列挙された構造単位を含有することが有利である。
【0029】
本発明によるコポリマーはランダム型、交互型又はブロック状の構造を有することができるか又は複数のこの構造を交互に有していてもよい。複数の異なる構成要素を使用することにより、特性、例えば可溶性、固相モルホロジー、色等を調節することができる。
【0030】
前記したように、特に有利な本発明によるポリマーは、少なくとも10モル%の式(I)の構造単位を含有する。前記のPLED中に発光材料として使用するためには、この程度の割合が有利であることは判明した。他の使用のため、例えば有機電界効果トランジスター(OFET)中の電荷輸送層として使用するためには、明らかに高い割合(100モル%まで)も有利であることを示すことができる。
【0031】
式(I)の有利な構造については次のことが該当する:
Rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゼン、ピリジン、キノキサリン、フルオレン、スピロビフルオレン、ナフタレン、アントラセン、ピレン又はフェナントレンから選択される芳香族又はヘテロ芳香族環系(前記環系は遊離位置に0から3個の置換基Rを有する)、又はアルキレン−アリール−環系又はアルキレン−ヘテロアリール−環系(前記のアルキレン鎖は線状又は分枝状であることができ、かつ1〜16個のC原子からなり、かつこのアリール系及びヘテロアリール系は上記に個々に記載された系からなり、この系は遊離位置に0〜3個の置換基Rを有する)であり;
Arylは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、2〜40個のC原子を有する芳香族又はヘテロ芳香族環系であり、前記環系は置換されているか又は非置換であることができ;前記のアリール系及びヘテロアリール系は、より大きな縮合した芳香族環系の一部であることもでき;場合による置換基Rは、存在する場合に、それぞれの遊離位置に有することができる;
、R、R、r、zは前記の記載と同じであり;
mは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0又は1であり;
oは、いずれの存在においても、同じまたは異なり0、1又は2であり;
ポリマーの主鎖中での式(I)の構造単位の結合は、3,6位又は2,7位を介して又はRが芳香族又はヘテロ芳香族単位である場合に限り2,9位又は3,9位を介して行われる。
【0032】
式(I)の特に有利な構造については次のことが該当する:
Rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゼン、ピリジン、ナフタリン、アントラセン、ピレン又はフェナントレンから選択される芳香族又はヘテロ芳香族環系(前記環系は非置換であるか又は置換基R1で置換されていてもよい)又は9,9’−置換フルオレン又はメチレン−アリール環系又はメチレン−ヘテロアリール環系(前記環系のアリール系もしくはヘテロアリール系は上記の個々に記載された系からなり、前記系は、上記系と同じ置換パターンを有することができる)であり;
Arylは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、2〜20個のC原子を有する芳香族又はヘテロ芳香族環系であり、前記環系は置換されているか又は非置換であることができ;前記のアリール系及びヘテロアリール系は、より大きな縮合した芳香族環系の一部であることもでき;場合による置換基Rは、その際潜在的に、それぞれの遊離位置に有することができる;
、R、R、rは前記の記載と同じであり;
mは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0又は1であり;
oは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0又は1であり;
zは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0又は1であり;
ポリマーの主鎖中での式(I)の構造単位の結合は、3,6位、2,7位又はRがアリール系又はヘテロアリール系である場合に限り3,9位を介して行われる。
【0033】
式(I)の特に有利な構造は、次に記載した式(II)〜(XXXI)の置換された又は非置換の構造であり、その際、波線で示された結合は、ポリマー中の結合を定義し、かつ潜在的な置換基は、より明瞭にするために、一般に記載されていない:
【化5】

【化6】

【0034】
式(I)のさらに特に有利な構造については次のことが該当する:
Rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレン(これらは非置換であるか又は置換基Rで置換されている)から選択される芳香族又はヘテロ芳香族環系、又はベンジル基(このフェニル基は前記の系と同じ置換パターンを有することができる)であり、
Arylは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、2〜20個のC原子を有する芳香族又はヘテロ芳香族環系であり、前記環系は置換されているか又は非置換であることができ;前記のアリール系及びヘテロアリール系は、より大きな縮合した芳香族環系の一部であることもでき;場合による置換基R1は、その際潜在的に、それぞれの遊離位置に有することができる;
、R、R、rは前記の記載と同じであり;
mは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0又は1であり;
oは、いずれの存在においても、1であり;
この場合、ポリマー鎖中への結合はカルバゾールの3,6位又は2,7位を介して行われる。
【0035】
前記の記載からこのことが明らかであっても、ここでもう一度、式(I)の構造単位も、式(II)〜(XXXI)のそれぞれの構造単位も非対称に置換されていてもよく、つまり1つの単位に異なる置換基Rが存在することができるかもしくはこの置換基は異なる位置で結合していてもよいことを明確に指摘する。
【0036】
本発明によるポリマーは一般に10〜10000、有利には50〜5000、特に有利には50〜2000個の繰返単位を有する。この場合、多分散性PDは有利には10より少なく、特に有利には5より少ない。
【0037】
必要な可溶性は、特に、式(I)の構造に存在する、並びに前記したような相応するコポリマー中になお付加的に存在する構造に存在する置換基Rにより達成される。
【0038】
一般に、従って、前記置換基中に繰返単位当たり平均で少なくとも2個の非芳香族C原子が存在することが必要である。この場合、少なくとも4個のC原子が有利であり、少なくとも8個のC原子が特に有利である。このそれぞれのC原子は、同様にO又はSにより置き換えられていてもよい。これは、繰返単位の所定の部分が、式(I)の繰返単位でも、他の構造タイプの繰返単位でも、他の非芳香族置換基を有していないことは排除しない。
【0039】
皮膜のモルホロジーを悪化させないために、12個よりも多くのC原子を有する、有利には8個よりも多くのC原子を有する、特に有利には6個よりも多くのC原子を有する長鎖置換基を線状鎖中に有していないのが有利である。
【0040】
非芳香族C原子は、Rについての記載と同様に、相応する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル鎖又はアルコキシ鎖中に含まれる。
【0041】
従って、次のことが通用する本発明によるポリマーがさらに有利である:
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜10個のC原子を有する直鎖、分枝鎖、又は環状のアルキル鎖又はアルコキシ鎖(その際、1個又は数個のH原子はフッ素により置換されていてもよい)又は6〜14個のC原子を有するアリール基(この基は1個又は数個の芳香族基Rによっても置換されている)である。
【0042】
従って、次のことが通用する本発明によるポリマーがさらに特に有利である:
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜8個のC原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖又はアルコキシ鎖、又は6〜10個のC原子を有するアリール基(この基は1個又は数個の非芳香族基Rにより置換されている)である。
【0043】
本発明によるポリマーは、前記の従来技術と比較して特に次の意外な利点を有する:
・所定の電圧での電流は、同等のポリマーにおいてPLED中での使用の際に明らかに高く(表5中の記載、及び図1参照)、つまりポリマーが式(I)の構造単位を有する場合に、この電流−電圧−特性曲線はより急勾配である。これは、すでに前記したように、この用途のために明らかな利点をもたらす、それというのも、僅かなエネルギー消費量の有効なフルカラーディスプレーを製造するという目標が可能となるためである。
【0044】
・意外にも、青色発光を作成するために本発明によるポリマーを使用することはなおさらに利点を有する:この発光色は、式(I)の構造単位を含有しない同様のポリマーの場合の発光色よりもより深く(つまりダークブルー)となる(例えばポリマーP1及びP2とポリマーV1及びV2とを参照)。
【0045】
・相応するコポリマーは、全ての原色(赤、緑、青)を発光することができるように構成できる。
【0046】
・有機溶剤中の可溶性は、一般に良好であり、つまり溶剤、例えばトルエン、キシレン、アニソール、メチルアニソール又はメチルナフタレン中で、前記ポリマーは1から少なくとも30g/L(それぞれの分子量に応じて)の濃度で可溶である。
【0047】
本発明によるポリマーは、一般に、式(I)の少なくとも1種の構造単位を含有する1種又は数種のモノマーの重合により製造される。
【0048】
相応する重合反応は、原則として比較的多くの異なるタイプが存在し、これらはしかしながら、全てC−C結合を生じさせる次に記載するタイプが特に有利であると判明した:
(A)SUZUKIによる重合
(B)YAMAMOTOによる重合
(C)STILLEによる重合
(D)HARTWIG/BUCHWALDによる重合
これらの重合法(A)から(D)についてのより詳細な記載は、例えば公開前の独国特許出願第10249723.0号明細書において見ることができる。二重結合(アルケン単位)を有するポリマーのために、次の重合方法も挙げることができる:
(E)WITTIG−HORNERによる重合:この場合に、モノマーとして一方でビスアルデヒドを、他方でビスホスホナート又は相応するモノアルデヒド−モノホスホナートを使用し、かつ塩基性条件下で溶剤の存在で反応させて相応するアルケン化合物にする。共役系ポリマーを生じるこの種の反応はすでに記載されている:(i)A.P.Daveyら著,Synth.Met.1999,103,2478、(ii)S.−H.Jinら著,Eur.Polym.J.2002,38,895。従って、この相応する記載は、参照してここに組み込まれる。
【0049】
(F)プレカーソル法による重合(例えばスルホキシプレカーソル法):キノジメタンを形成することができるビス(クロロメチル)化合物から出発し、まず最初に一方の置換によりアルキルチオメチル−クロロメチル−中間体を得る。この中間体から、酸化によりスルホキシドが得られる。この前駆体モノマーは、Gilch重合の条件下で反応され、その際、効果的なモノマーはアルキルスルホキシキノジメタンである。こうして得られた比較的熱安定性の前駆体ポリマーは、ポリ(アリーレン−アルキルスルホキシエチレン)であり、200℃を下回る単なる熱処理によってアルキルスルフィン酸を脱離させ、完全な共役系ポリマーを形成させる。この反応は、特に次の箇所で実施されている:(i)国際公開第00/35987、(II)A.Issaris,D.Vanderzande著,Macromolecules 1998,31,4426−4431。従って、この相応する記載は、参照してここに組み込まれる。
【0050】
この重合をどのように有利に実施することができるか、及びこのポリマーを次いで反応溶液からどのように分離しかつ精製するかは、例えば公開前の独国特許出願第10249723.0号明細書に記載されている。
【0051】
相応する本発明によるポリマーを例えば前記の方法により製造するために、前記したように相応するモノマーを必要とする。
【0052】
式(I)の構造について、例えば次に記載されたと同様に得ることができる:
・3,6−ジブロモカルバゾールの合成は、文献:Smithら著,Tetrahedron 1992,48,7479−7488に記載されたように、カルバゾールの臭素化により行なわれる。
【0053】
・2,7ジブロモカルバゾールの合成は、文献:Tidwellら著,Eur.J.Med.Chem.1997,32,781−793に記載されたようにカルバゾールを構築することにより行われる。
【0054】
・モノマーとして使用することができる相応する官能化は(つまりハロゲン末端基の導入)、前駆体に行うか、又は最後の工程としてすでに完全に構築されたモノマーの骨核に行うことができる。2つのバリエーションは、得ようとする目的構造に応じて、利点並びに欠点を有する。
【0055】
・これらの官能基が相応するモノマーへの反応の際に反応しないか又は反応が著しく困難である場合には、あらかじめこれらの官能基はすでに存在することができる。これには、例えば簡単な置換反応の場合、又は多様な反応性(例えば臭素と比べたヨウ素、もしくは塩素と比べた臭素)を利用できる場合が該当する。例えば、式(III)の構造単位を生じさせるモノマーは、臭素と比べたヨウ素の選択性を利用しながら、実施例2に記載されたように製造することができる。
【0056】
・他方で、まずN−置換カルバゾール骨核を構築し、最後の工程でハロゲン化物を導入することも有利である(例えば存在する置換もしくは誘導する基の場合)。例えば、式(II)の構造のために、N−アリール置換に関してパラ位に置換基が存在する場合に、(例えば穏和なNBS臭素化により、例えばCreasonら著,J.Org.Chem,1972,37,4440参照)カルバゾールの3及び6位に臭素を導入することができる。前記したように、この方法は、(i)相応するブロックされた置換基、(ii)相応して誘導する基又は(iii)活性化されたもしくは非活性化されたヘテロサイクレンの存在の場合に、式(I)の他の構造のためにも一般に適用することができる。
【0057】
・カルバゾールのN−アルキル化又はN−ベンジル化は文献から公知である。同様に、N−アルキルアリール−カルバゾール及びN−シクロアルキル−カルバゾールを得ることができる。この合成は、例えばM.E.Wright,M.−J.Jin著,J.Org.Chem.1989,54,965−968に記載されているように、塩基性条件下でアルキル化剤とカルバゾールとの反応により行われる。
【0058】
・カルバゾールのN−アリール化は、Hartwig−Buchwaldにより行うことができ、カルバゾールについては例えばM.Watanabeら著,Tetrahedron Lett.2000,41,481−483に記載されている。
【0059】
・こうして製造されたハロゲン化物誘導体から出発して、標準方法を介して相応するビスボロン酸誘導体もしくはビススタンナン誘導体(これらは、タイプA及びCの前記重合法のために必要とされる)を介して製造することができる。これらの方法は当業者には十分に公知であり、一般に、存在するハロゲンが金属(例えばマグネシウム、リチウム)に交換され、かつこれは次いでホウ酸エステル化合物もしくはトリアルキルスズハロゲン化合物と反応させることにある。ボロン酸誘導体の製造のために、パラジウムの存在下でハロゲン化物を例えばジボランと直接反応させる接触法も公知である。同等の反応は、相応するスズ化合物についても公知である。相応するものハロゲン化物−モノボロン酸−誘導体もしくはモノハロゲン化物−モノスタンナン−化合物は適当な化学量論で得ることもできる。
【0060】
・ハロゲン化物誘導体から出発して、同様に相応するビスアルデヒド誘導体(この誘導体はタイプEの前記重合法のために必要とされる)を製造することもできる。この方法は当業者には十分に公知であり、一般に、存在するハロゲンが金属(例えばマグネシウム、リチウム)に交換され、かつこれは次いでギ酸誘導体(例えばジメチルホルムアミド)と反応させることにある。
【0061】
・相応するホスホナート誘導体(この誘導体はタイプEの前記重合法のために必要とされる)を、相応するハロゲン化メチレン化合物から出発して製造でき、これを次いで亜リン酸トリアルキルエステルと反応させる。この種の方法は当業者に十分に公知である。
【0062】
式(I)の構造に一致しないが、前記された構造を生じさせる他のモノマーの合成は、すでに前記の出願明細書及び特許公報に詳細に記載されている。これについての良好な外観はこの場合、出願明細書国際公開第02/077060号であり;この明細書になされた相応する記載は、参照してここに組み込まれる。
【0063】
こうして得られたポリマーは、個々の成分として次に詳細に記載された適用において使用することができる。前記ポリマーは、ブレンド(前記ポリマーと他の高分子量又は低分子量の成分との混合物)としても使用することができる。本発明の対象は、つまり本発明によるポリマーと、例えば共役又は非共役であることができる他のポリマーとのブレンドでもある。
【0064】
更に、非共役系ポリマー、例えばPVK(ポリビニルカルバゾール)と、いわゆる一重項励起子から三重項励起子への移行を可能にしかつ三重項状態から光を発光できる低分子量の金属錯体とのブレンド(混合物)が、金属錯体の有効なエレクトロルミネッセンスを生じることは公知でありかつ従来技術である。このような混合物は、例えばF.−C.Chenら著(Appl.Phys.Lett.2002,80,2308−2310)に記載されている。適用のために煩雑でかつ高コストのプロセスにおいて蒸着させなければならない金属錯体と比較して、このブレンドは、溶液から簡単でかつ低コストで加工可能であるという利点を有する。しかしながら、この系のための作動電圧は極めて高く、極めて低い電力効率が生じる。三重項状態から光りを発光する低分子量の金属錯体と、共役系ポリマーとからなるブレンドも、同様に文献に記載されている。T.F.Guoら著(Organic Electronics 2000,1,15)及びD.F.O’Brienら著(Synth.Met.2001,116,379)は、白金−ポルフィリン−錯体とポリフルオレンからなるブレンドの良好な量子効率を記載しており、その際、両方の場合、この効率は、小さな分子から構成された同等のデバイスの場合よりも明らかに低い。W.Zhuら著(Appl.Phys.Lett.2002,80,2045−2047)は、可溶性イリジウム−フェニルピリジン錯体とポリパラフェニレンとからなるブレンドを記載している。この文献では、より良好であるが、更に比較的低い量子効率が測定された。特に、この系のために極めて高い電圧が必要とされ、この電圧は工業的適用の障害となっている。この場合には、なおさらに大きな改善が必要となる。
【0065】
意外にも、次に記載されたポリマーとデンドリマー及び/又は低分子量の化合物及び場合により、しかしながら必須ではないが、他の共役系又は非共役系ポリマーとからなる今まで公知でないブレンド(つまり混合物)がこの適用のために予期せぬ利点をもたらすことが見出された。本発明によるポリマーPOLY1のように、この新規のブレンドも、急勾配の電流−電圧−特性曲線を生じ、それにより低い作動電圧が生じる。
【0066】
本発明の他の主題は、
(A)式(XXXII)の単位1〜100モル%、有利には5〜100モル%、特に有利には10〜100モル%を有する少なくとも1種の共役系ポリマー(POLY2)5〜99.5重量%
【化7】

【0067】
[式中、記号及び添え字は次の意味を有する:
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜40個のC原子を有する線状又は分枝状のアルキル鎖(これは置換されていても又は非置換であることもできる)、3〜40個のC原子を有するシクロアルキル系(これは置換されていても又は非置換であることもできる)、2〜40個のC原子を有する芳香族又はヘテロ芳香族関係(これはそれぞれ置換されていても又は非置換であることもできる)、又はアルキレンアリール系、アルキレンシクロアルキル系又はアルキレンへテロアリール系(これらは置換されていても又は非置換であることもできる)であり;場合による置換基Rはこの場合にそれぞれの遊離位置に潜在的に有していることができ;前記アリール系及びヘテロアリール系はより大きな縮合された芳香族環系の一部であることもでき;
他の記号及び添え字は、上記の式(I)において記載したものと同じ意味を有する]
及び
(B)純粋な又は希釈された皮膜の形で蛍光又は燐光を生じることができ、かつ適当な溶剤、有利にはトルエン、キシレン、アニソール、THF、メチルアニソール又はメチルナフタレン中で十分な可溶性を有し、ポリマーと一緒に混合したブレンドの形で、前記溶剤中の溶液から加工される、少なくとも1種の有機の又は有機金属のデンドリマー又は分子量範囲<10000の少なくとも1種の低分子量の分子(VERB1と表す)0.5〜95重量%
を有するブレンド(混合物)でもある。
【0068】
ブレンド中でのデンドリマー又は低分子量の化合物の割合は、有利には0.5〜80重量%、特に有利には1〜50重量%、殊に2〜25重量%である。
【0069】
ブレンド中でのポリマー(POLY2)の割合は、有利には20〜99.5重量%、特に有利には50〜99重量%、殊に75〜98重量%である。
【0070】
デンドリマーとは、この場合に、多官能性の中心(コア)から構築されていて、このコアに規則的な構造の形で分枝したモノマーが結合するため、樹木状の構造を有する、高度に分枝した化合物であると解釈される。この場合、中心も、モノマーも任意の分枝した構造をとることができ、前記の分枝した構造は純粋な有機単位からなることも、有機金属化合物又は配位化合物からなることもできる。デンドリマーは、ここでは一般に、例えばM.Fischer,F.Vogtle著,Angew.Chem.,Int.Ed.1999,38,885−905に記載されているようなものであると解釈される。
【0071】
式(XXXII)の構造単位は、式(I)の構造単位について既に記載されたようにホモポリマー及びコポリマーの構成要素である。この場合に、例えば実施例中に記載されたモノマーM1〜M23と同様のコモノマーも挙げられる。このポリマーの合成は、前記した方法により実施することができる。この場合、一重項状態から光を発光するブレンドについて、ポリマーPOLY2中で式(XXXII)の構造単位10モル%の範囲内の割合が良好な結果を達成することが明らかとなった。他の用途のために、特に三重項状態から光を発光するブレンドのために、ポリマーPOLY2中で式(XXXII)の構造単位が10モル%より高い割合で存在すること有利である。三重項状態から光を発光するブレンドのために、ポリマーPOLY2中で式(XXXII)の構造単位20〜100モル%の割合が有利である。このブレンドのために、式(XXXII)の構造単位30〜100モル%の割合が特に有利である。
【0072】
有利なポリマーPOLY2には次のことが該当する:
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜40個のC原子を有する線状又は分枝状のアルキル鎖(前記鎖は置換されているか又は非置換であることができる)、芳香族又はヘテロ芳香族環系(この環系はチオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゼン、ピリジン、キノキサリン、フルオレン、スピロビフルオレン、ナフタレン、アントラセン、ピレン又はフェナントレンから選択され、前記環系は遊離位置に0〜3個の置換基Rを有する)又はアルキレンアリール環系又はアルキレンへテロアリール環系(これらのアルキレン鎖は線状又は分枝状であることができ、かつ1〜16個のC原子からなり、かつこれらのアリール系及びヘテロアリール系は個々に前記された系からなり、これは遊離位置に0〜3個の置換基Rを有する)であり、
他の記号及び添え字は、式(I)の有利な構造についてすでに前記されたものと同じである。
【0073】
特に有利なポリマーPOLY2には次のことが該当する:
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、2〜30個のC原子を有する線状又は分枝状のアルキル鎖(前記鎖は置換されているか又は非置換であることができる)、芳香族又はヘテロ芳香族環系(この環系はチオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゼン、ピリジン、ナフタレン、アントラセン、ピレン又はフェナントレンから選択され、前記環系は非置換であるか又は置換基Rにより置換されている)又は9,9’−置換されたフルオレン又はメチレンアリール環系又はメチレンへテロアリール環系(このアリール系もしくはヘテロアリール系は個々に前記された系からなり、かつ前記された系と同様の置換パターンを有する)であり;
他の記号及び添え字は、式(I)の特に有利な構造についてすでに前記されたものと同じである。
【0074】
更に特に有利なポリマーPOLY2には次のことが該当する:
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、3〜20個のC原子を有する線状又は分枝状のアルキル鎖(前記鎖は置換されているか又は非置換であることができる)、芳香族又はヘテロ芳香族環系(この環系はチオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンから選択され、前記環系は非置換であるか又は置換基Rで置換されている)又はベンジル環系(このフェニル基は前記の系と同じ置換パターンを有していてもよい)であり;
他の記号及び添え字は、式(I)のさらに特に有利な構造についてすでに前記されたものと同じである。
【0075】
ブレンド中に使用されたデンドリマー又は低分子量の化合物VERB1は、多様な種類の物質から選択することができる。この場合ポリマーPOLY2と1種又は数種のデンドリマー又は1種又は数種の低分子量の化合物とからなるブレンドが有利であり、前記化合物はいわゆる一重項励起子から三重項励起子への移行を可能にしかつ室温で高効率で三重項状態から光りを発光できるのが有利である:これはまず特に、重原子、つまり元素の周期表の原子番号36より大きい原子を有する化合物である。このために、上記の条件を満たすd−及びf−遷移金属を含有する化合物が特に有利である。この場合に、第8族〜第10族の元素(つまりRu、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)の元素を含有する相応する構造単位が更に特に有利である。このような低分子量の構造単位として、この場合に、例えば、出願明細書の国際公開第02/068435号パンフレット、国際公開第02/081488号パンフレット、欧州特許第1239526号明細書及び公開前の独国特許出願第10238903.9号に記載された多様な錯体を挙げることができる。デンドリマー構造として、このために、たとえば、出願明細書国際公開第99/21935,国際公開第01/059030及び国際公開第02/066552に記載された錯体が挙げられる。これらの相応する記載は、従って、参照してここに組み込まれる。
【0076】
本発明によるブレンドは、前記の従来技術と比較して特に次の意外な利点を有する:
・所定の電圧での電流は、同等のブレンドにおいてPLED中での使用の際に明らかに高く(表6中の記載参照)、つまりブレンドのポリマー成分が式(XXXII)の構造単位を有する場合に、この電流−電圧−特性曲線はより急勾配である。これは、すでに前記したように、この用途のために明らかな利点をもたらす、それというのも、僅かなエネルギー消費量の有効なフルカラーディスプレーを製造するという目標が可能となるためである。
【0077】
・意外にも、三重項状態から発光する成分を有する本発明によるブレンドの使用はなお次の他の利点を有する:ポリマーから金属錯体へのエネルギー輸送は、本発明によるブレンドにおいて、ポリマーPOLY2を含有しない同等のブレンドと比較してより効率がよく進行し、これにより金属錯体のより効率のよい発光が生じる(表6中の記載、参照)。
【0078】
・有機溶剤中の可溶性は、一般に良好であり、つまり溶剤、例えばトルエン、キシレン、アニソール、メチルアニソール又はメチルナフタレン中で、前記ポリマーPOLY1及びブレンドは少なくとも1〜30g/L(それぞれの分子量に応じて)の範囲内のブレンド中の濃度で可溶である。溶剤及び溶剤混合物として、例えば出願明細書国際公開第02/072714に記載されたもしくは引用されたようなものが挙げられる。これは、従来技術と比較してそれ自体改善ではないが、新規の構造を導入する際にこの特性を維持することが重要である。
【0079】
本発明によるポリマー又は本発明によるブレンドは、PLED中で使用することができる。PLEDがどのように製造できるかは、一般的な方法として独国特許出願第10249723.0号に詳細に記載されており、この方法は個々の場合に相応して適合させることができる。
【0080】
・前記したように、本発明によるポリマーはこのように製造されたPLED又はディスプレー中でエレクトロルミネッセンス材料として更に特に適している。
【0081】
前記したように、本発明によるポリマー及びブレンドはこのように製造されたPLED又はディスプレー中でエレクトロルミネッセンス材料として更に特に適している。
【0082】
エレクトロルミネッセンス材料として、本発明の範囲内では、PLED中の活性層として使用することができる材料であると見なされる。活性層とは、前記の層が電場の印加の際に光りを放射でき(発光層)、及び/又は前記層が正電荷及び/又は負電荷の注入及び/又は輸送を改善(電荷注入層又は電荷輸送層)できることを意味する。
【0083】
本発明の対象は、従って、PLED中での、特にエレクトロルミネッセンス材料としての本発明によるポリマー又はブレンドの使用でもある。
【0084】
本発明の対象は、従って、1つ又は複数の活性層を有する同様にPLEDであり、その際、この活性層の少なくとも1つは、1種又は数種のポリマー及び/又はブレンドを含有する。この活性層は、例えば発光層及び/又は輸送層及び/又は電荷注入層であることができる。
【0085】
PLEDは、例えば自己発光する表示素子、例えばコントロールランプ、英数文字ディスプレー、多色又はフルカラーディスプレー、表示ラベル及びオプトエレクトロニックカップラーとして利用される。
【0086】
本願明細書の文面及び更に次の実施例において、PLED及び相応するディスプレーに関する本発明によるポリマー又はブレンドの使用が目的とされている。前記記載はこのように限定されているが、当業者には、他に発明的な関与なしに、本発明によるポリマー又はブレンドを、さらに他の電子デバイス(装置)に使用するために利用することも可能であり、例えばいくつかの用途を挙げてみると、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、非線形光学系又は有機レーザーダイオード(O−レーザ)に利用することも可能である。O−IC及びOFETのためにはまさに、式(I)の構成要素の比較的高い割合(有利には20モル%を上回る割合)を有する相応する本発明によるポリマーが使用することができる。
【0087】
本発明を次の実施例によって詳説するが、本発明は次の実施例に制限されるものではない。
【0088】
実施例
Aの部: モノマー及びブレンド成分の合成:
A1:式(I)の単位のためのモノマー
3,6−ジブロモカルバゾール及び2,7−ジブロモカルバゾールを、Smithら著,Tetrahedron 1992,48,7479−7488,及びTidwellら著,Eur.J.Med.Chem.1997,32,781−793に従って合成した。3,6−ジブロモ−N−エチルヘキシルカルバゾール(=EHC)を、J.Huangら著,Macromolecules 2002,35,6080−6082に従って合成した。全ての生成物の構造的な完全性は、H−NMR分光分析により確認し、この生成物の純度をHPLCにより決定した。
【0089】
実施例1:N−(4−tert−ブチルフェニル)−3,6−ジブロモカルバゾール(EM1)
【化8】

【0090】
キシレン1500mL中の1−ブロモ−4−tert−ブチルベンゼン17g(80mmol)の脱ガスされた溶液を1時間Nで飽和した。引き続き、この溶液に、ガラス球(6mm)500g及びKPO(160mmol)15.37gを添加し、15分間後攪拌した。5分間攪拌した後に、この反応混合物に酢酸パラジウム(II)(0.4mmol)90mg、P(t−Bu)(2mmol)400mg及びカルバゾール(60mmol)10gを添加した。この反応混合物を4時間還流させながら加熱した。冷却後に、この溶剤を真空中で除去し、生成物をn−ヘキサンから再結晶させた。HPLCによる純度:99.6%。収量:13g(68%)。
【0091】
H−NMR(CDCl,500MHz):1.42(s,9H),7.26(t,J=7.7Hz,2H),7.40(m,4H),7.48(d,J=8.7Hz,2H),7.59(d,J=8.7Hz,2H),8.14(d,J=8Hz,2H)。
【0092】
N−(4−tert−ブチルフェニル)カルバゾール(40mmol)12g及びシリカゲル70gをCHCl700mL中に装入した。引き続き、この溶液に、光の遮断下で、0℃で少量ずつNBS13g(80mmol)を添加し、この温度で2時間撹拌した。この混合物に水100mLを添加し、CHClで抽出した。この有機相をMgSOで乾燥し、溶剤を真空中で除去した。この生成物を熱いヘキサンと一緒に十分に撹拌し、濾過した。
【0093】
収量:11g(66%)無色の粉末、これは99.2%のHPLC純度を有していた。
【0094】
H−NMR(CDCl,500MHz):1.42(s,9H),7.25(d,J=8.7Hz,2H),7.39(d,J=8.3Hz,2H),7.48(dd,J=8.7Hz,J=2Hz,2H),7.61(d,J=8.7Hz,2H),8.18(d,J=8Hz,2H).
実施例2:N−(4−tert−ブチルフェニル)−2,7−ジブロモカルバゾール(EM2)
【化9】

【0095】
トルエン100mL中の塩化銅(I)489.5mg(0.156%)と1,10−フェナントロリン906mg(1%)mmol)との脱ガスした溶液を、1時間Nで飽和し、130℃に加熱した。引き続き、この溶液に2,7−ジブロモカルバゾール16.2g(50mmol)と1−ヨード−4−tert−ブチルベンゼン13.2g(50mmol)とを添加し、180℃で2時間加熱した。冷却後に、この混合物に水180mLを添加し、この有機相を分離し、溶剤を真空中で除去した。この生成物をn−ヘキサンから再結晶させた。収量:13g(59%)。HPLCによる純度:99.5%。
【0096】
H−NMR(CDCl,500MHz):1.43(s,9 H),7.21(t,J=7.7Hz,2H),7.23(t,J=7.7Hz,2H),7.32(dd,J=8.7Hz,J=1.6Hz,2H),7.50(d,J=1.6Hz,2H),7.89(d,J=8.7Hz,2H)。
【0097】
実施例3:N−(4−tert−ブチルフェニル)メチル−3,6−ジブロモカルバゾール(EM3)
【化10】

【0098】
還流冷却器を備えた250mLの一口フラスコ中に、保護ガス下でNaH990mg(41.2mmol)を乾燥DMF80mL中に懸濁させた。この反応混合物にDMF80mL中の3,6−ジブロモカルバゾール10g(30.8mmol)を室温で20分間滴加した。引き続き、DMF50mL中の4−(tert−ブチル)ベンジルブロミドの溶液を滴加し、60℃で8時間加熱した。室温に冷却後に、水300mL及び酢酸エチル200mLを注意深く滴加した。この有機相をHO4×50mLで洗浄し、MgSOで乾燥し、溶剤を真空中で除去した。n−ヘキサンからの再結晶により純粋な生成物が得られた。収量:11g(78%);HPLC純度99.4%。
【0099】
H−NMR(CDCl,500MHz):1.22(s,9H),5.42(s,2H),6.98(d,J=8.7Hz,2H),7.22(d,J=8.7Hz,2H),7.26(d,J=8.4Hz,2H),7.50(dd,J=8.4Hz,J=2Hz,2H),8.14(d,J=2Hz,2H)。
【0100】
実施例4:N−(4−tert−ブチルフェニル)メチル−2,7−ジブロモカルバゾール(EM4)
この合成は2,7−ジブロモカルバゾールから出発し、実施例3と同様に行った。収率は94%であった。
【0101】
H−NMR(CDCl,500MHz):1.21(s,9H),5.41(s,2H),6.97(d,J=8.7Hz,2H),7.23(d,J=8.7Hz,2H),7.33(dd,J=8.7Hz,J=1.6Hz,2H),7.51(d,J=1.6Hz,2H),7.88(d,J=8.7Hz,2H).
実施例5:N−(4−tert−ブチルフェニル)−カルバゾール−3,6−ビスカルバルデヒド(EM5)
【化11】

【0102】
250mLの三口フラスコ中で、保護ガス下でEM1 32mmolを乾燥THF100mL中に溶かした。−78℃に冷却した後、隔壁を介して予め冷却したBuLi(80mmol、15%)を撹拌しながら前記溶液中に注入した。さらに冷却しながら、−60℃で2時間後に、DMF5.2mLを滴加した。室温に加熱し、さらに一晩中撹拌した。引き続き、氷水200mLを注意深く滴加し、クロロホルムで抽出した。この有機相をMgSOで乾燥し、溶剤を真空中で除去した。n−ヘキサンからの再結晶により純粋な生成物が得られた。収量:8g(68%)。HPLCによる純度:99.1%。
【0103】
H−NMR(CDCl,500MHz):1.34(s,9H),6.38(d,J=8.1Hz,2H),6.82(d,J=8.7Hz,2H),7.04(d,J=8.1Hz,2H),7.18(d,J=8.7Hz,2H),7.31(d,J=8.7Hz,2H),9.2(s,2H).
実施例6:3,6−ビス−[2−(4−ブロモフェニル)エテニル]−N−(4−tert−ブチルフェニル)−カルバゾール(EM6)
【化12】

【0104】
4−ブロモベンジルジエチルホスホナート32mmolを、保護ガス下で乾燥DMF90mL中に溶かし、5℃に冷却した。引き続きNaOtBu60mmolを少量ずつ添加し、その際、温度は5℃を上回らなかった。30分後に、DMF25mL中のEM5 14.7mmolを5℃で滴加し、なおさらに30分間この温度で撹拌した。この反応混合物を冷却し、4M HCl 25mLを滴加し、沈殿物を吸引濾過した。引き続き、水100mLを注意深く滴加し、CHClで抽出した。この有機相をMgSOで乾燥し、溶剤を真空中で除去した。純粋な生成物が、酢酸エチル/CHCl混合物(1:1)からの再結晶により得られた。収量:79g(90%)。HPLCによる純度:99.6%。
【0105】
H−NMR(CDCl,500MHz):1.33(s,9H),6.34(d,J=8.1Hz,2H),7.02(d,J=8.1Hz,2H),7.08(d,J=16.4Hz,2H),7.30(d,J=16.4Hz,2H),7.37(d,J=8.3Hz,2H),7.41(d,J=8.3Hz,4H),7.48(d,J=8.3Hz,4H),7.64(dd,J=8.3Hz,J=1.6Hz,2H),8.23(d,J=1.6Hz,2H)。
【0106】
式(I)もしくは式(II)〜(XXXI)による他のモノマーは、上記の実施例と同様に合成された。
【0107】
A2:他の単位のためのモノマー
他のモノマーM1〜M23の合成は、既に国際公開第02/077060号パンフレット及びそのパンフレット中に引用された文献に詳細に記載されている。これらのモノマーは、より明瞭にするために次にもう一回記載する:
【化13】

【化14】

【0108】
A3:ブレンド中に使用するための低分子量の化合物
本発明によるブレンド中で例えば使用される低分子量の化合物は、例えばトリス(フェニルピリジル)−イリジウム(III)の可溶性誘導体である。この化合物の合成は、出願明細書国際公開第02/081488号パンフレット及び公開前の独国特許出願第10238903.9号明細書に既に記載されている。しかしながら、この箇所でもう一度、本発明によるブレンドが、ここで使用された低分子量の化合物に限定されるものではなく、この非高分子の成分は上記の詳細に説明した化合物VERB1であることができることを明確に指摘する。明瞭にするために、例えばこの場合に使用された2種のイリジウム錯体を次にもう一度記載する:
【化15】

【0109】
Bの部:ポリマー及びブレンドの製造
ポリマーP1の合成:
モノマーM2 3.2026g(4mmol)、モノマーM7 1.6237g(2.4mmol)、モノマーM9 0.6069g(0.8mmol)、EM1 0.3770g(0.8mmol)及びリン酸カリウム水和物3.91g(2.125当量)を、ジオキサン37.5mL、トルエン12.5mL及びHO 6.8mL中に溶かした(全ての溶剤は酸素不含)。この反応溶液を40℃で30分間アルゴンで脱ガスした。次いで、Pd(OAc) 0.45mg(0.025%)及びP(o−トリル) 3.65mg(0.15%)を触媒として添加し、この溶液を1.5時間撹拌しながらアルゴン雰囲気下で加熱した。この高粘度のポリマー溶液を、トルエン20mLで希釈した。次いで、ベンゼンボロン酸100mgを添加し、45分間還流させながら加熱し、次いでブロモベンゼン0.2mlを添加し、さらに45分間還流させながら加熱することにより、エンドキャッピングを実施した。このポリマー溶液を60℃で、0.01%のNaCN水溶液100mlと一緒に3時間撹拌した。次いで、この水相を分離し、有機相をHO 4×100mLで洗浄した。このポリマーを、2倍の容積のメタノールの添加により沈殿させ、濾過した。トルエン200mL中に60℃でアルゴン下で溶かし、ガラスフリットを通して濾過し、新たに2倍の容積のメタノールの添加により沈殿させることにより更に精製を行った。このポリマーを濾過し、真空中で乾燥させた。ポリマー4.85g(理論値の96%)を単離した、Mw=578000、Mn=156000、多分散性=3.7。
【0110】
ポリマーP2の合成:
このポリマーを、ポリマーP1と同様に、モノマーM2 3.2026g(4mmol)、モノマーM7 1.0825g(1.6mmol)、モノマーM9 0.6069g(0.8mmol)モノマーM19 0.8185g(0.8mmol)、EM4 0.3658g(0.8mmol)及びリン酸カリウム水和物3.91g(2.125当量)をジオキサン25mL、トルエン25mL及びHO 6.8mL中で用いて合成した。ポリマー4.57g(理論値の92%)を単離した、Mw=791000、Mn=239000、多分散性=3.3。
【0111】
他のポリマーは、P1についての記載と同様に実施した。この化学的特性を表4にまとめて記載した。ここにはいくつかの比較ポリマー(これらの比較ポリマーは式(I)による単位を有していない)も記載した。これも前記表中に一緒に記載した。
【0112】
ブレンドの製造:
ブレンドの合成は、ポリマーを、デンドリマー又は低分子量の化合物と一緒に、所望の割合で、適当な溶剤、例えばトルエン、キシレン、THF、クロロベンゼン又はアニソール中に溶かし、この溶液をブレンドの単離なしに直接加工して固体の物質にした。
【0113】
全てのポリマー及びブレンドを、PLED中の使用のために試験した。PLEDと表すことができるものは、一方では既に前記に説明されていて、かつCの部にも記載されている。
【0114】
いくつかのデバイス特性(色、効率及び作動電圧)も、表4中に一緒に記載した。
【0115】
表5及び図1には、いくつかのポリマーの電流−電圧−特性が示されている。この場合、曲線は本発明によるポリマーの場合に明らかに、比較ポリマーもしくは非共役ポリマーと従来技術による低分子量の化合物とからなるブレンドの場合よりもより急勾配に立ち上がっていて、かつ所定の電圧における電流も、本発明によるポリマー及びブレンドの場合に明らかに高い。
【0116】
表6中では、本発明によるブレンドのいくつかのデバイス特性(色、効率及び作動電圧)が記載されていて、かつ従来技術に該当するブレンドと比較されている。
【表4】

【0117】
表4
S=Suzuki重合により製造された(実施例P1参照)、Y=Yamamoto重合により製造された。
【0118】
**GPC測定THF:1ml/min、Plgel 10μm Mixed−B 2×300×7.5mm、35℃、Rl 検出はポリスチレンと比較して校正した。
【0119】
***ポリマーLEDの製造のために、Cの部参照。
【0120】
****CIE表色系:国際照明委員会の色度座標
*****トルエン中のポリマーの溶液(10mg/ml)を60℃に加熱し、1℃/minで冷却し、この粘度をブルックフィールドLVDV−IIIレオメーター(CP−41)中で測定した。このように測定されたゲル化温度で、粘度の上昇が生じる。
【0121】
ポリマーP6〜ポリマーP9は、ブレンドの形でのみ三重項発光(表6参照)で試験した。
【0122】
EHC=3,6−ジブロモ−N−エチルヘキシルカルバゾール
【表5】

【0123】
表5
多様な電圧での電流の比較(本発明によるポリマー及び類似の組成であるが式(I)の構造単位を含有していない2種のポリマーの例)
図1は、本発明によるポリマーP5(カルバゾール10%を含有する)と、比較ポリマーV2(ホール伝導体M9の10%を含有するが、カルバゾールを含有しない)及び比較ポリマーV4(他のホール伝導体は含有せず、同様にカルバゾールは含有しない)との電流−電圧−特性曲線の比較を示す。
【表6】

【0124】
表6
ポリマーLEDの製造のために、Cの部参照。
【0125】
****CIE表色系:1931年の国際照明委員会の色度座標
***PVK=ポリ(ビニルカルバゾール)
Cの部:LEDの製造及び特性決定:
全てのポリマー及びブレンドを、PLED中の使用のために試験した。このPLEDはそれぞれ二層系、つまり基板/ITO/PEDOT/ポリマー/カソードであった。PEDOTはポリチオフェン誘導体(Baytron P,H.C.Stark社,Goslar)である。カソードとして、全ての場合にBa/Ag(両方ともAldrich)を使用した。PLEDと表すことができるものは、独国特許出願第10249723.0号明細書及びそこに引用された文献に明確に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明によるポリマーP5(カルバゾール10%を含有する)と、比較ポリマーV2(ホール伝導体M9の10%を含有するが、カルバゾールを含有しない)及び比較ポリマーV4(他のホール伝導体は含有せず、同様にカルバゾールは含有しない)との電流−電圧−特性曲線の比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、記号及び添え字は次の意味を有する:
Rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、3〜40個のC原子を有し、置換又は非置換であり得るシクロアルキル系、2〜40個のC原子を有し、置換又は非置換であり得る芳香族又はヘテロ芳香族環系、又は1〜16個のC原子を有する線状又は分枝状のアルキレン鎖を有し、置換又は非置換であり得るアルキレンアリール系、アルキレンシクロアルキル系もしくはアルキレンヘテロアリール系であり;前記アリール系、ヘテロアリール系及びシクロアルキル系は、この場合に、より大きな縮合した芳香族又は脂肪族の環系の部分であることもでき;任意の置換基Rはそれぞれの遊離位置に潜在的に存在することができ;
Arylは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、2〜40個のC原子を有し、置換又は非置換であり得る芳香族又はヘテロ芳香族環系、又は置換された又は非置換のスチルベニレン単位又はトラニレン単位である;その際、任意の置換基Rはそれぞれの遊離位置に潜在的に存在することができ;
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜22個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル鎖又はアルコキシ鎖(前記鎖中において、1又は複数の非隣接C原子はN−R、O、S、−CO−O−、−O−CO−Oにより置き換えられていてもよく、その際、1つ又は複数のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい)、5〜40個のC原子を有するアリール基又はアリールオキシ基(その際、1つ又は複数のC原子はO、S又はNにより置き換えられていてもよく、これらは1つ又は複数の非芳香族基Rにより置換されていてもよい)、又はCl、F、CN、N(R、B(Rであり、その際、2つ又はそれ以上の基Rは相互に1つの環系を形成することもでき;
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜22個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル鎖又はアルコキシ鎖(前記鎖中において、1又は複数の非隣接C原子はN−R、O、S、−CO−O−、−O−CO−Oにより置き換えられていてもよく、その際、1つ又は複数のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい)、5〜40個のC原子を有するアリール基又はアリールオキシ基(その際、1つ又は複数のC原子はO、S又はNにより置き換えられていてもよく、これらは1つ又は複数の非芳香族基Rにより置換されていてもよい)又はCl、F、CN、N(R、B(Rであり;
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、H、1〜22個のC原子を有する直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル鎖(前記鎖中において、1又は複数の非隣接C原子はO、S、−CO−O−、−O−CO−Oにより置き換えられていてもよく、その際、1つ又は複数のH原子はフッ素により置き換えられていてもよい)、5〜40個のC原子を有するアリール基(その際、1つ又は複数のC原子はO、S又はNにより置き換えられていてもよく、これらは1つ又は複数の非芳香族基Rにより置換されていてもよい)であり;
mは、いずれの存在においても、同じまたは異なり0、1又は2であり;
oは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1又は2であるが、m=2の場合には、oは0であってはならないことを条件とし、
rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0又は1であり;
zは、いずれの存在においても、同じか又は異なり0、1、2又は3であり;
波線の結合は、この場合にポリマー中の結合を意味し;これはこの場合にメチル基を表さない]の単位1〜100モル%を含有することを特徴とする共役系ポリマー(POLY1)。
【請求項2】
式(I)の単位はポリマーの側鎖内へ結合され、カルバゾールの2位又は3位を介してポリマーの主鎖と結合していることを特徴とする請求項1記載のポリマー。
【請求項3】
式(I)の構造単位は、カルバゾールの3位及び6位を介して又は2位及び7位を介してポリマー主鎖内へ組み込まれていることを特徴とする請求項1記載のポリマー。
【請求項4】
式(I)の構造単位は、Rがアリール又はヘテロアリール系である場合に、カルバゾールの3位及び9位を介して又はカルバゾールの2位及び9位を介してポリマー鎖内へ組み込まれていて、鎖の共役が維持されていることを特徴とする、請求項1記載のポリマー。
【請求項5】
他の構成要素が存在することを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項6】
前記他の構成要素は、オルト−、メタ−又はパラ−フェニレン、1,4−ナフチレン、9,10−アントラセニレン、2,7−フェナントラセニレン、1,6−もしくは2,7−もしくは4,9−ピレニレン又は2,7−テトラヒドロピレニレン、オキサジアゾリレン、2,5−チオフェニレン、2,5−ピロリレン、2,5−フラニレン、2,5−ピリジレン、2,5−ピリミジニレン、5,8−キノリニレン、フルオレン、スピロ−9,9’−ビフルオレン、インデノフルオレン又はヘテロインデノフルオレンの群から選択されることを特徴とする、請求項5記載のポリマー。
【請求項7】
電荷輸送及び/又は電荷注入を改善する他の構成要素が存在することを特徴とする、請求項5記載のポリマー。
【請求項8】
前記他の構成要素は、トリアリールアミンもしくはオキサジアゾリレンの群から選択されていることを特徴とする請求項7記載のポリマー。
【請求項9】
前記他の構成要素は、発光色をシフトさせ、それによりポリマーのバンドギャップを変更し、かつ従って一般的に、電荷注入特性もしくは電荷輸送特性をも変化させる群から選択されていることを特徴とする請求項5記載のポリマー。
【請求項10】
他の構成要素は、アリーレンビニレン構造又はアリーレンアセチレン構造及び/又はより大きな芳香族単位の群から選択されていることを特徴とする、請求項9記載のポリマー。
【請求項11】
金属錯体を含有し、前記金属錯体は一重項励起子を三重項励起子に移行させることができ、かつ三重項状態から光を発光することを特徴とする請求項5記載のポリマー。
【請求項12】
前記金属錯体がd−及びf−遷移金属を含有することを特徴とする請求項11記載のポリマー。
【請求項13】
前記金属錯体が、8族〜10族の金属を含有することを特徴とする請求項12記載のポリマー。
【請求項14】
記号及び添え字が次のものを表す:
Rは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、チオフェン、ベンゾチオフェン、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレン(これらは非置換であるか又は置換基Rで置換されている)から選択される芳香族又はヘテロ芳香族環系、又はベンジル環系(このフェニル基は前記の系と同じ置換パターンを有する)であり、
Arylは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、チオフェン、ベンゼン、ピリジン、フルオレン、スピロビフルオレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、キノリン又はナフタレンから選択される芳香族又はヘテロ芳香族環系であり、これは遊離位置に0〜2個の置換基Rを有し;
、R、R、o、r、zは請求項1に記載したのと同様であり;
mは、いずれの存在においても、同じか又は異なり、0又は1である
ことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項15】
式(I)の構成要素は、置換又は非置換であり得る式(II)〜(XXXI)から選択されることを特徴とする請求項1から14までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項16】
繰返単位当たりで平均して少なくとも2個の非芳香族C原子が置換基中に存在することを特徴とする請求項1から15までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項17】
線状鎖中に12個より多いC原子を有する置換基は含まれないことを特徴とする請求項1から16までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項18】
SUZUKIカップリング、YAMAMOTOカップリング、STILLEカップリング、HARTWIG−BUCHWALDカップリング、WITTIG−HORNER反応又はプレカーソル法により製造されることを特徴とする請求項1から17までのいずれか1項記載のポリマー。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか1項記載のポリマーと、他のポリマーとの混合物。
【請求項20】
(A)式(XXXII)
【化2】

[式中、記号及び添え字は次の意味を有する:
は、いずれの存在においても、同じか又は異なり、1〜40個のC原子を有し、置換または非置換であり得る線状又は分枝状のアルキル鎖、3〜40個のC原子を有し、置換または非置換であり得るシクロアルキル系、2〜40個のC原子を有する芳香族又はヘテロ芳香族環系(この系はそれぞれ置換されていても又は非置換であることもできる)、又は置換または非置換であり得るアルキレンアリール系、アルキレンシクロアルキル系もしくはアルキレンへテロアリール系であり;その際、任意置換基Rはそれぞれの遊離位置に潜在的に存在していることができ;前記アリール系及びヘテロアリール系はより大きな縮合された芳香族環系の一部であることもでき;
他の記号及び添え字は請求項1に記載したものと同様である]による単位1〜100モル%を含有する少なくとも1種の共役系ポリマー(POLY2)5〜99.5重量%;
及び
(B)純粋な又は希釈された皮膜の形で蛍光又は燐光を生じることができ、かつ適当な溶剤中で十分な可溶性を有し、前記ポリマーと混合したブレンドの形で、前記溶剤中の溶液から加工される、少なくとも1種の有機又は有機金属デンドリマー又は分子量範囲<10000の少なくとも1種の低分子量の分子(VERB1)0.5〜95重量%
を含有する混合物。
【請求項21】
ブレンドの成分VERB1は1種又は複数種の金属錯体からなり、前記金属錯体はいわゆる一重項励起子を三重項励起子に移行させることができかつ三重項状態から発光することを特徴とする請求項20記載のブレンド。
【請求項22】
VERB1は少なくとも1種のd−遷移金属及び/又はf−遷移金属を含有することを特徴とする請求項20及び/又は21記載のブレンド。
【請求項23】
VERB1は少なくとも1種の、第8族〜第10族からの遷移金属を含有することを特徴とする請求項22記載のブレンド。
【請求項24】
POLY2が式(XXXII)の構造単位30〜100モル%を含有することを特徴とする請求項20から23までのいずれか1項記載のブレンド。
【請求項25】
有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、有機発光ダイオード(OLED)、有機レーザーダイオード(O−レーザー)又は非線形光学系のための、請求項1から24までのいずれか1項記載のポリマー又はブレンドの使用。
【請求項26】
1つ又は複数の活性層を有し、前記活性層の少なくとも1つが請求項1から24までのいずれか1項記載のポリマー又はブレンドの1種又は数種を含有する電子デバイス。
【請求項27】
有機発光ダイオードであることを特徴とする、請求項26記載の電子デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2006−516666(P2006−516666A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501725(P2006−501725)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000994
【国際公開番号】WO2004/070772
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(503279150)コビオン・オーガニック・セミコンダクターズ・ゲーエムベーハー (5)
【Fターム(参考)】