説明

カルボン酸エステルを製造するための触媒及び該触媒を使用したカルボン酸エステルの製造方法

【課題】カルボン酸エステルを製造する触媒と、カルボン酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の触媒は、分子酸素の存在下に、アルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する反応を触媒するための触媒で、シリカ含有担体に担持される金属からなり、金属は、パラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブとジルコニウムの少なくとも一方からなることを特徴とする。本発明のカルボン酸エステルの製造方法は、分子酸素と上述の触媒の存在下で、アルデヒドとアルコールを反応させる工程からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸エステルを製造するための触媒及びカルボン酸エステルの製造方法に関するものであって、特に、アルデヒドとアルコールから、一工程の反応でカルボン酸エステルを製造するための触媒、及び、この触媒を使用したカルボン酸エステルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルデヒドからカルボン酸エステルを製造する公知の方法は、まず、アルデヒドの酸化によりカルボン酸を製造し、次いで得られたカルボン酸をアルコールと反応させる。この方法には、しかしながら、二工程の反応操作(酸化とエステル化)を必要とするので、大量の出発原料を必要とするという欠点がある。更に、この方法では、反応に用いられる触媒の効果不足により、得られるカルボン酸エステルの収率も不十分である。
【0003】
特定の触媒の存在下に、アルデヒドとアルコールから一工程の液相反応で、カルボン酸エステルを高収率で製造することに関する幾つかの方法が示されている。例えば、特公昭57−35856公報では、炭酸カルシウムを担体としたパラジウムと鉛ベースの触媒が、特公平4−72578号公報では、酸化亜鉛を担体とした鉛ベースの触媒が、特開昭57−50545号公報と特開昭61−243044号公報では、様々なタイプのパラジウム/鉛ベースの触媒が、特公昭61−60820号公報では、パラジウム/ビスマスベースの触媒が、特公昭62−7902号公報と特開平5−148184号公報では、パラジウム、及び、鉛とビスマスから選択される少なくとも一つの元素からなる触媒が、特公昭57−35860号公報では、パラジウム/チタン/水銀ベースの触媒が、それぞれ開示されている。
【0004】
前述の触媒を用いてカルボン酸エステルを製造する方法には、しかしながら、反応速度が遅かったり、好ましくない副産物が生成するなどの欠点がある。
【0005】
【特許文献1】特公昭57−35856公報
【特許文献2】特公平4−72578号公報
【特許文献3】特開昭61−243044号公報
【特許文献4】特公昭61−60820号公報
【特許文献5】特公昭62−7902号公報
【特許文献6】特開平5−148184号公報
【特許文献7】特公昭57−35860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、アルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する方法の、いくつかの改良が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、分子酸素の存在下に、アルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する反応を触媒するための触媒を提供することを目的とする。触媒は、シリカ含有担体に担持される金属からなり、金属は、パラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブとジルコニウムの少なくとも一方からなる。
【0008】
本発明は、更に、カルボン酸エステルを製造する方法を提供する。本方法は、分子酸素と前述の触媒の存在下に、アルデヒドとアルコールを反応させる工程からなる。
【0009】
更に具体的には、上記製造方法は、分子酸素、及び、シリカ含有担体に担持される金属からなる触媒であって、金属は、パラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブとジルコニウムの少なくとも一方からなる触媒の存在下に、アルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造するためのものである。
【発明の効果】
【0010】
分子酸素の存在下に、アルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する反応を触媒するための触媒及び該触媒を使用したカルボン酸エステルの製造方法を提供し、上述した従来技術の問題を改善する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
カルボン酸エステルを製造するための本発明による触媒の具体例は、以下のようである。触媒に使用される担体は、酸化物である。好ましくは、担体はシリカ含有担体で、これは主にシリカを含有し、例えばシリカ担体、アルミナ−シリカ担体(高シリカ−アルミナ担体(high silica-alumina support)、低シリカ−アルミナ担体(low silica-alumina support)を含む)、シリカ−アルミナ−マグネシア担体、結晶性アルミケイ酸塩担体、ゼオライト、或いは、それらの混合物などである。例えば、富士シリシア化学株式会社製のシリカゲルCARIACT(商標)等のシリカ含有担体が市販されている。シリカは担体として機能するだけでなく、触媒素子としての機能も果たすと考えられる。
【0012】
担体に担持される金属は、パラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブとジルコニウムの少なくとも一方からなり、担体上に、金属及び/又は金属化合物を蒸着することにより形成される。
【0013】
担体上のパラジウム化合物は、例えばホルムアルデヒド、ギ酸、ヒドラジン、メタノール、或いは、それらの組み合わせなどである有機還元剤を用いて還元することにより、パラジウム金属に変換される。担体上のパラジウムは、希釈し或いは希釈しない、例えば水素や同類の還元ガスを用いて還元することにより、パラジウム金属に変換することもできる。
【0014】
更に、触媒は以下のような方法で製造される。
【0015】
まず、ニオブ化合物とジルコニウム化合物の少なくとも一方が水に溶解され、そして得られた溶液にシリカ含有担体が加えられ、浸漬される。この混合物は、その後、減圧下で乾燥され、300℃以上、好ましくは、300〜800℃で焼成され、ニオブ及び/又はジルコニウムで修飾されたシリカ含有担体を得る。本発明に用いられるニオブ化合物の例は、酢酸ニオブ、炭酸ニオブ、塩化ニオブ、クエン酸ニオブ、硝酸ニオブ、シュウ酸ニオブ、硫酸ニオブ、酒石酸ニオブ、或いは、同類のものである。本発明に用いられるジルコニウム化合物の例は、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、クエン酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、シュウ酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、酒石酸ジルコニウム、或いは、同類のものである。
【0016】
次いで、鉛化合物とアルカリ或いはアルカリ土類金属化合物が水に溶解され、そして得られた溶液にニオブ及び/又はジルコニウムで修飾されたシリカ含有担体が加えられ、浸漬される。この混合物は、その後、減圧下で乾燥され、300℃以上、好ましくは、300〜800℃で焼成され、ニオブ及び/又はジルコニウム/鉛/アルカリ或いはアルカリ土類金属で修飾されたシリカ含有担体が製造される。本発明に用いられる鉛化合物は、酢酸鉛、炭酸鉛、塩化鉛、クエン酸鉛、硝酸鉛、シュウ酸鉛、硫酸鉛、酒石酸塩鉛、或いは、それらの組み合わせである。溶解性が高いので、それらの中でも酢酸鉛と硝酸鉛が好ましい。本発明に用いられるアルカリ或いはアルカリ土類金属化合物は、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム或いはカルシウム等のアルカリ或いはアルカリ土類金属の有機塩或いは無機塩類、酸化物或いは水酸化物である。ナトリウム、カリウム、マグネシウム或いはカルシウムの、例えば酢酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、水酸化物、硝酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、酒石酸塩或いはそれらの組み合わせである、アルカリ或いはアルカリ土類金属の可溶性化合物が、アルカリ或いはアルカリ土類金属の構成材としてより好ましく用いられる。
【0017】
最後に、パラジウム化合物が水に溶解されて溶液が製造され、そして得られた溶液にニオブ及び/又はジルコニウム/鉛/アルカリ或いはアルカリ土類金属で修飾されたシリカ含有担体が加えられ、浸漬されて、懸濁液が形成される。懸濁液は濃縮されて、混合物が形成される。混合物は、その後、還元及びろ過され、得られた固形は水で洗浄され、乾燥されて、ニオブ及び/又はジルコニウム/鉛/アルカリ或いはアルカリ土類金属/シリカの触媒が生じる。
【0018】
シリカ含有担体を100重量部とすると、触媒のパラジウム元素は、1〜15重量部、好ましくは3〜12重量部である。触媒の鉛元素も、シリカ含有担体を100重量部とすると、1〜15重量部、好ましくは3〜12重量部である。触媒のアルカリ或いはアルカリ土類金属は、シリカ含有担体を100重量部とすると、0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜6重量部である。少なくとも一方のニオブとジルコニウムは、シリカ含有担体を100重量部とすると、0.1〜15重量部で、好ましくは0.5〜12重量部である。
【0019】
前述の触媒を用いたカルボン酸エステルを製造する方法も開示される。本方法は、分子酸素と触媒の存在下に、アルデヒドをアルコールと反応させることからなる。
【0020】
出発原料となるアルデヒドは、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、p−トルアルデヒド、ベンズアルデヒド或いはそれらの組み合わせなどの、飽和アルデヒド、不飽和アルデヒド、芳香族アルデヒド或いはそれらの組み合わせからなる。高い工業価値を持つメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの製造における原料となるので、上述のアルデヒド中でも、メタクロレイン、アクロレイン及びそれらの混合物は、更に重要である。
【0021】
もう一つの出発原料となるアルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、メタリルアルコール或いはそれらの組み合わせからなる。高い工業価値を持つメチルメタクリレート(MMA)、メチルアクリレートの製造における原料となるので、上述のアルコール中でも、メタノールは更に重要である。
【0022】
アルデヒドとアルコールのモル比率は、1:100〜2:3で、好ましくは1:10〜1:1である。
【0023】
酸素、空気或いは酸素富化空気(oxygen-enriched air)は、分子酸素の供給源となり、反応溶液に吹き込むことにより供給される。更に、過酸化水素が、反応溶液中に、酸化剤として存在してもよい。
【0024】
本方法は、20〜110℃、好ましくは50〜100℃の温度範囲で実施される。本方法は、加圧下、標準圧下或いは減圧下で実施される。ヒドロキノン、メチルエチルヒドロキノン或いはp−メトキシフェノール等の重合防止剤は、選択的に反応溶剤中に加えられる。注意すべきは、アルデヒドとアルコールを反応させる方法は、連続的、半連続的或いは回分式(batch wise)に実施されることである。更に、上述の反応は、連続的な取水工程あり/なしで実施される。
【0025】
一般に、本方法に用いられる触媒は、時間が経過するにつれて、活性が徐々に減少する。回分式反応に繰り返し用いられる触媒や、連続的な反応に長時間用いられる触媒により製造されるカルボン酸エステルの収率は、大幅に減少する。触媒活性の減少は、反応中における鉛の損失に起因すると考えられるので、所望量の鉛を、更に反応溶液に加えることも可能である。
【0026】
以下の実施例は、発明の範囲を限定することなく、本発明をより充分に説明するためのもので、種々の変更が可能であることは、この技術に精通した者にとって明確である。
【実施例】
【0027】
別の表記がなければ、全ての部とパーセンテージは、液体と固体に関しては重量により与えられ、気体の組成は、モルパーセントとして与えられ、流速は、標準的な一時間当たりの立方メートルで与えられ、即ち、0℃、760mm−Hgである。MMAに変換された、反応後のメタクロレインには、通常のように、選択率が与えられる。
【0028】
理解を深めるために、以下で、本実施例及び比較例で用いられる試薬の入手先と特性が開示される。
シュウ酸ニオブ:NOAHのNb2(OOC-COO)5
オキシ硝酸ジルコニウム:昭和化学工業株式会社のZrO(N03)2・2H20、純度99%
酢酸鉛:昭和化学工業株式会社のPb(CH3COO)2・3H20、純度99.5%
酢酸マグネシウム:昭和化学工業株式会社のMg(CH3COO)2・4H20、純度98%
塩化パラジウム:石福金属興業株式会社、純度99%
脱イオン水
シリカ担体:富士シリシア化学株式会社のCARIACT(キャリアクト)Q−10(商標)、粒子尺寸62−105μ
【0029】
触媒を製造する工程
実施例1
ニオブで修飾された酸化エステル化触媒
11.08グラムのシュウ酸ニオブが、170gの脱イオン水に加えられた。溶解後、50gのシリカ担体が上述の溶液中に加えられて、混合物1Aを形成した。混合物1Aは、その後、減圧下で乾燥、焼成されて、ニオブで修飾されたシリカ担体を与えた。
【0030】
4.33gの酢酸鉛と8.28gの酢酸マグネシウムが、141gの脱イオン水に加えられた。溶解後、47.43gのニオブで修飾されたシリカ担体が上述の溶液中に加えられて、混合物1Bを形成した。混合物1Bは、減圧下で乾燥された後、焼成されて、ニオブ/鉛/マグネシウムで修飾されたシリカ担体を与えた。
【0031】
4.16gの塩化パラジウムが、199.4gの脱イオン水に加えられた。溶解後、49.85gのニオブ/鉛/マグネシウム修飾されたシリカ担体が、上述の溶液中に加えられ、得られた懸濁液は濃縮され、暗褐色の混合物1Cを形成した。混合物1Cは、その後、還元、ろ過され、得られた固形物は脱イオン水で洗浄後に乾燥されて、シリカ担体に担持されたパラジウム/ニオブ/鉛/マグネシウムからなる黒色の触媒Aを与えた。
【0032】
触媒Aは、シリカ担体を100重量%とすると、5重量%のパラジウム、5重量%の鉛、6.58重量%のニオブ、2重量%のマグネシウムを含む。
【0033】
実施例2
ジルコニウムで修飾された酸化エステル化触媒
18.99グラムのオキシ硝酸ジルコニウムが、350gの脱イオン水に加えられた。溶解後、100gのシリカ担体が上述の溶液中に加えられて、混合物2Aを形成した。混合物2Aは、その後、減圧下で乾燥、焼成されて、ジルコニウムで修飾されたシリカ担体を与えた。
【0034】
8.07gの酢酸鉛と15.52gの酢酸マグネシウムが、363.4gの脱イオン水に加えられた。溶解後、87.71gのジルコニウムで修飾されたシリカ担体が、上述の溶液中に加えられて、混合物2Bを形成した。混合物2Bは、減圧下で乾燥された後、焼成されて、ジルコニウム/鉛/マグネシウムで修飾されたシリカ担体を与えた。
【0035】
7.93gの塩化パラジウムが、382.3gの脱イオン水に加えられた。溶解後、105.96gのジルコニウム/鉛/マグネシウムで修飾されたシリカ担体が、上述の溶液中に加えられて、得られた懸濁液は濃縮され、暗褐色の混合物2Cを形成した。混合物2Cは、その後、還元、ろ過され、得られた固形物は脱イオン水で洗浄後に乾燥されて、シリカ担体に担持されたパラジウム/鉛/ジルコニウム/マグネシウムからなる黒色の触媒Bを与えた。
【0036】
触媒Bは、シリカ担体を100重量%とすると、5重量%のパラジウム、5重量%の鉛、6.45重量%のジルコニウム、2重量%のマグネシウムを含む。
【0037】
比較例1
4.80gの酢酸鉛と9.17gの酢酸マグネシウムが、156.4gの脱イオン水に加えられた。溶解後、55.15gのシリカ担体が、上述の溶液中に加えられて、混合物3Aを形成した。混合物3Aは、減圧下で乾燥された後、焼成されて、鉛/マグネシウムで修飾されたシリカ担体を与えた。
【0038】
4.57gの塩化パラジウムが、220.4gの脱イオン水に加えられた。溶解後、55.1gの鉛/マグネシウムで修飾されたシリカ担体が、上述の溶液中に加えられて、得られた懸濁液は、濃縮され、暗褐色の混合物3Bを形成した。その混合物3Bは、その後、還元、ろ過され、得られた固形物は脱イオン水で洗浄後に乾燥されて、シリカ担体に担持されたパラジウム/鉛/マグネシウムからなる触媒Cを与えた。
【0039】
触媒Cは、シリカ担体を100重量%とすると、5重量%のパラジウム、5重量%の鉛、2重量%のマグネシウムを含む。
【0040】
カルボン酸エステルを製造する工程
実施例3
実施例1の触媒Aは、攪拌器を備えたオートクレーブにより、5Kg/cmの圧力下、80℃で試験された。
【0041】
メタクロレイン(東京化成工業株式会社のTCI試薬級)、メタノール(メルク(Merck)、純度99.5%)及び空気が混合されて、メタノール中に30%のメタクロレインを含有する反応溶液とされた。更に、酢酸鉛(昭和化学工業株式会社、純度99.5%)が触媒安定剤として反応溶液に加えられた。出口の酸素含有量が2〜4%に調整された。反応溶液中のアルデヒドとアルコールとのモル比は7:3で、反応溶液の鉛濃度は60ppmであった。
【0042】
導入された空気流の下で、反応溶液が20.5gの触媒Aと反応すると、反応圧力は5Kg/cmに増加し、温度は80℃まで上昇した。
【0043】
追加の反応溶液を供給した後、供給速度は40ml/hに増加した。液体製品は、一時間ごとに収集され、GCにより分析され、気体製品は、オンラインGCにより分析された。
【0044】
上述の反応は、連続的攪拌タンク型反応器システムで実施され、製造して10時間後のメタクロレイン変換率、メチルメタクリレートの選択率と収率が表1で示される。
【0045】
実施例4
実施例4は、触媒Aの代わりに触媒Bが用いられること以外は、実施例3と同様の態様で実施された。製造して10時間後のメタクロレイン変換率、メチルメタクリレートの選択率と収率が表1で示される。
【0046】
比較例2
比較例2は、触媒Aの代わりに触媒Cが用いられること以外は、実施例3と同様の態様で実施された。製造して10時間後のメタクロレイン変換率、メチルメタクリレートの選択率と収率が表1で示される。
【0047】
実施例5
実施例5は、反応の間の連続的な脱水工程と共に実施されること以外は、実施例4と同様の態様で実施された。製造して50時間後のメタクロレイン変換率、メチルメタクリレートの選択率と収率が表1で示される。
【0048】
【表1】

【0049】
実施例6
実施例6は、エタノール(日本試薬、純度99.5%)がメタノールに代わって使用されること、及び、メタノール中に30%のメタクロレインを含有する溶液に代わって、エタノール中に15%のメタクロレインを含有する溶液が使用されること以外は、実施例4と同様の態様で実施された。製造して10時間後のメタクロレイン変換率、エチルメタクリレートの選択率と収率が表2で示される。
【0050】
比較例3
比較例3は、触媒Bの代わりに触媒Cが用いられること以外は、実施例6と同様の態様で実施された。製造して10時間後のメタクロレイン変換率、エチルメタクリレートの選択率と収率が表2で示される。
【0051】
【表2】

【0052】
本発明が実施例と好ましい態様により記述されたが、本発明はこれらには決して限定されないと理解されるべきである。従って、特許請求の範囲は、本発明の精神と範囲内でのそのような各種の代替や変更のすべてに及ぶものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子酸素の存在下に、アルデヒドとアルコールからカルボン酸エステルを製造する反応を触媒するための触媒で、シリカ含有担体に担持される金属からなり、金属は、パラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブとジルコニウムの少なくとも一方からなることを特徴とする触媒。
【請求項2】
前記パラジウムと前記鉛元素のそれぞれは、前記シリカ含有担体を100重量部として、1〜15重量部であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記アルカリ或いはアルカリ土類金属は、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.1〜10重量部であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
前記少なくとも一方のニオブとジルコニウムは、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.1〜15重量部であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
前記パラジウムと前記鉛元素のそれぞれは、前記シリカ含有担体を100重量部として、3〜12重量部であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
前記アルカリ或いはアルカリ土類金属は、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.3〜6重量部であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
前記少なくとも一方のニオブとジルコニウムは、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.5〜12重量部であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
前記アルカリ或いはアルカリ土類金属は、マグネシウムであることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
前記シリカ含有担体に担持される前記金属は、実質的にパラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブからなることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項10】
前記シリカ含有担体に担持される前記金属は、実質的にパラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ジルコニウムからなることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項11】
分子酸素、及び、シリカ含有担体に担持される金属からなる触媒であって、金属は、パラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブとジルコニウムの少なくとも一方からなる触媒の存在下に、アルデヒドとアルコールを反応させることを特徴とするカルボン酸エステルの製造方法。
【請求項12】
前記アルデヒドは、飽和アルデヒド、不飽和アルデヒド、芳香族アルデヒド或いはそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記アルデヒドは、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、アクロレイン、メタクロレイン、クロトンアルデヒド、p−トルアルデヒド、ベンズアルデヒド或いはそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アリルアルコール、メタリルアルコール或いはそれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項15】
前記アルデヒドと前記アルコールのモル比率は、1:100〜1:1であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項16】
前記アルデヒドと前記アルコールのモル比率は、1:10〜2:3であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項17】
前記パラジウムと前記鉛元素のそれぞれは、前記シリカ含有担体を100重量部として、1〜15重量部であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項18】
前記アルカリ或いはアルカリ土類金属は、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.1〜10重量部であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項19】
前記少なくとも一方のニオブとジルコニウムは、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.1〜15重量部であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項20】
前記パラジウムと前記鉛元素のそれぞれは、前記シリカ含有担体を100重量部として、3〜12重量部であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項21】
前記アルカリ或いはアルカリ土類金属は、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.3〜6重量部であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項22】
前記少なくとも一方のニオブとジルコニウムは、前記シリカ含有担体を100重量部として、0.5〜12重量部であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項23】
前記アルカリ或いはアルカリ土類金属は、マグネシウムであることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項24】
前記シリカ含有担体に担持される前記金属は、実質的にパラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ニオブからなることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項25】
前記シリカ含有担体に担持される前記金属は、実質的にパラジウム、鉛、アルカリ或いはアルカリ土類金属、及び、ジルコニウムからなることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。

【公開番号】特開2007−7635(P2007−7635A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372312(P2005−372312)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(505476249)李長榮化學工業股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】