説明

カーテンウォール及びそれを用いた建造物

【課題】組立作業性を向上させながら水密性を確保することができるカーテンウォール及びそれを用いた建造物を提供すること。
【解決手段】横枠部材11,12、縦枠部材13,14からなる枠体に面材15を取り付けた複数のカーテンウォールユニット10を、互いに隣接するものどうしが所定角度傾けられるよう接続して構成されたカーテンウォール1において、左右に隣接するカーテンウォールユニット10の縦枠部材13,14間に第1縦シール部材(21)どうし、第2縦シール部材(22)どうしが当接してなる縦樋部(24)と、上下に隣接するカーテンウォールユニット10の横枠部材11,12間に第1横シール部材(31)どうし、並びに第2横シール部材(32)どうしが当接してなる横樋部(34)が連通して空間を構成し、面材15が下向きとなる最下位のカーテンウォールユニット10の下端部が該空間に外気を導入するための開口(K)を形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォール及びそれを用いた建造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の外壁材を構成するカーテンウォールは、矩形状の枠体に例えばコンクリートパネルやガラスパネル等の面材を取り付けてなるカーテンウォールユニットを上下左右に接続することにより形成されている。
【0003】
このようなカーテンウォールとして、上下又は左右、若しくは上下左右に隣接するカーテンウォールユニットが互いに所定角度傾けられるよう接続されることで全体として上下方向又は左右方向、若しくは上下左右方向に湾曲形状を成したものが知られている。
【0004】
かかるカーテンウォールにおいては、カーテンウォールユニットを構成する枠体の横枠部材と、該カーテンウォールユニットに上下に隣接する他のカーテンウォールユニットの横枠部材との間には横樋部が形成されている。横樋部は、各横枠部材の室外側に設けられた1次シール材どうしが当接されるとともに、該1次シール材よりも室内側において突条片が該横枠部材間に跨るよう設けられることにより形成されるものである。また、カーテンウォールユニットを構成する枠体の縦枠部材と、該カーテンウォールユニットに左右に隣接する他のカーテンウォールユニットの縦枠部材との間には縦樋部が形成されている。縦樋部は、各縦枠部材の室外側に設けられた1次シール材どうしが当接されるとともに、該1次シール材よりも室内側において嵌合シール材が該縦枠部材間に跨るよう設けられることにより形成されるものである。
【0005】
そして、このようなカーテンウォールにおいては、横樋部と縦樋部とが連通することで空間を構成し、該空間を利用して内部に浸入した雨水を下方に導いて外部に排水するようにしている。また、かかるカーテンウォールでは、1次シール材の一部に外気導入のための切欠を形成することで、該空間を外気と等圧なものとしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2899523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したようなカーテンウォールでは、1次シール材の一部に切欠を形成して外気を導入しているために、この切欠を介して雨水が横樋部や縦樋部に浸入してしまうことになる。そのため、該カーテンウォールでは、横樋部を形成する突条片が横枠部材間に跨るように配設するとともに、縦樋部を形成する嵌合シール材が縦枠部材間に跨るように配設する必要があった。
【0008】
しかしながら、突条片や嵌合シール材を横枠部材間や縦枠部材間に跨るように配設することは、カーテンウォールの組立作業が煩雑なものとなる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、組立作業性を向上させながら水密性を確保することができるカーテンウォール及びそれを用いた建造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るカーテンウォールは、上下一対の横枠部材、並びにこれら横枠部材の端部どうしを連結する左右一対の縦枠部材から形成された枠体に面材を取り付けてなる複数のカーテンウォールユニットを、互いに隣接するユニットどうしが所定角度傾けられるよう、上下又は左右、若しくは上下左右に接続することにより構成されたカーテンウォールにおいて、カーテンウォールユニットの一方の縦枠部材と、該カーテンウォールユニットに左右に隣接する他のカーテンウォールユニットの一方の縦枠部材との間に、それぞれの縦枠部材の室外側に設けられた第1縦シール部材どうし、並びに該縦枠部材の該第1縦シール部材よりも室内側に設けられた第2縦シール部材どうしが当接することで形成される縦樋部と、カーテンウォールユニットの一方の横枠部材と、該カーテンウォールユニットに上下に隣接する他のカーテンウォールユニットの一方の横枠部材との間に、それぞれの横枠部材の室外側に設けられた第1横シール部材どうし、並びに該横枠部材の該第1横シール部材よりも室内側に設けられた第2横シール部材どうしが当接することで形成される横樋部とが連通することにより空間を構成し、面材が下向きとなる最下位のカーテンウォールユニットの下端部が該空間に外気を導入するための開口を形成することを特徴とする。
【0011】
これによれば、カーテンウォールユニットの一方の縦枠部材と、該カーテンウォールユニットに左右に隣接する他のカーテンウォールユニットの一方の縦枠部材との間に、それぞれの縦枠部材の室外側に設けられた第1縦シール部材どうし、並びに該縦枠部材の該第1縦シール部材よりも室内側に設けられた第2縦シール部材どうしが当接することで形成される縦樋部と、カーテンウォールユニットの一方の横枠部材と、該カーテンウォールユニットに上下に隣接する他のカーテンウォールユニットの一方の横枠部材との間に、それぞれの横枠部材の室外側に設けられた第1横シール部材どうし、並びに該横枠部材の該第1横シール部材よりも室内側に設けられた第2横シール部材どうしが当接することで形成される横樋部とが連通することにより空間を構成し、面材が下向きとなる最下位のカーテンウォールユニットの下端部が該空間に外気を導入するための開口を形成しているので、従来のように1次シール材に切欠を形成する場合に比べて、雨水の浸入を低減させることができ、水密性に優れたものとなる。しかも、縦樋部は第1縦シール部材どうし、並びに第2縦シール部材どうしが当接することにより形成されるものであり、横樋部は第1横シール部材どうし、並びに第2横シール部材どうしが当接することにより形成されるものであるから、従来のように縦枠部材間や横枠部材間に跨るように部材を配設する必要がなく、カーテンウォールの組立作業を容易なものとすることができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に係るカーテンウォールは、上述した請求項1において、前記第1横シール部材どうしは、互いの室外側端部が前記横枠部材よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接し、前記第1縦シール部材どうしは、互いの室外側端部が前記縦枠部材よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接することを特徴とする。
【0013】
これによれば、第1縦シール部材どうしは互いの室外側端部が縦枠部材よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接し、第1横シール部材どうしは互いの室外側端部が横枠部材よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接するので、雨水がこれらの間を通過しにくくして、水密性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係るカーテンウォールは、上述した請求項1又は請求項2において、面材が上向きとなるカーテンウォールユニットの一方の縦枠部材は、自身が形成する縦樋部において該縦樋部の延在方向に沿って延在するよう配設され、かつ該縦樋部に浸入した雨水を下方に向けて通過させる樋部材を備えたことを特徴とする。
【0015】
これによれば、面材が上向きとなるカーテンウォールユニットの一方の縦枠部材に配設された樋部材が縦樋部に浸入した雨水を下方に向けて通過させるので、第2縦シール部材間に対する浸入水を低減させることができ、更なる水密性の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る建造物は、上述した請求項1〜3のいずれか一つに記載のカーテンウォールを用いたことを特徴とする。
【0017】
これによれば、雨水の浸入を低減させることができるとともに、組立作業が容易なカーテンウォールを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、組立作業性を向上させながら水密性を確保することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である建造物に適用されたカーテンウォール(本実施の形態であるカーテンウォール)を示す説明図である。
【図2】図2は、カーテンウォールユニットどうしが接続したカーテンウォールの目地部分を拡大して示すもので、縦目地部分を拡大して示す横断面図である。
【図3】図3は、カーテンウォールユニットどうしが接続したカーテンウォールの目地部分を拡大して示すもので、横目地部分を拡大して示す縦断面図である。
【図4】図4は、図1に示したカーテンウォールの下端部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るカーテンウォール及びそれを用いた建造物の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態である建造物に適用されたカーテンウォール(本実施の形態であるカーテンウォール)を示す説明図である。
【0022】
ここで例示する建造物は、例えばビルやタワー等のようなものであり、外壁の少なくとも一部に、上下方向に沿って湾曲するとともに左右方向に沿って湾曲する湾曲部が形成してある。このような湾曲部を形成するカーテンウォール1は、互いに隣接するカーテンウォールユニット10が所定角度傾けられるよう上下左右に接続することにより構成されている。
【0023】
カーテンウォールユニット10は、上枠部材11及び下枠部材12、並びにこれら上枠部材11及び下枠部材12の端部どうしを連結する左右一対の縦枠部材13,14から形成された矩形状の枠体に、例えばコンクリートパネルやガラスパネル等の面材15を取り付けて形成されるものである。ここで、上枠部材11及び下枠部材12は上下一対の横枠部材である。
【0024】
尚、本実施の形態であるカーテンウォール1は、4つのカーテンウォールユニット10が上下に並ぶよう接続されることで上下方向に沿って湾曲している。そして、最上位のカーテンウォールユニット10及び最上位から2番目のカーテンウォールユニット10では、面材15が上向きとなり、最下位のカーテンウォールユニット10及び最下位から2番目のカーテンウォールユニット10では、面材15が下向きとなっている。
【0025】
また、カーテンウォール1は、各カーテンウォールユニット10を構成する横枠部材(上枠部材11及び下枠部材12)が建造物の躯体に取り付けられたブラケット(図示せず)にボルト止めされることで躯体側に取り付けられている。
【0026】
図2及び図3は、それぞれカーテンウォールユニットどうしが接続したカーテンウォールの目地部分を拡大して示すもので、図2は縦目地部分を拡大して示す横断面図であり、図3は横目地部分を拡大して示す縦断面図である。
【0027】
尚、図2においては、面材15が上向きとなる最上位から2番目のカーテンウォールユニット10の縦枠部材13,14間における縦目地部分について示しているが、カーテンウォール1を構成する各カーテンウォールユニット10は、すべて同一構造のものが用いられており、他のカーテンウォールユニット10の縦枠部材13,14間における縦目地部分の構造も図2と同一であるため、その説明を割愛する。また、図3においては、面材15が上向きとなる最上位から2番目のカーテンウォールユニット10とその下方に隣接するカーテンウォールユニット10の横枠部材11,12間における横目地部分について示しているが、カーテンウォール1を構成する各カーテンウォールユニット10は、すべて同一構造のものが用いられており、他のカーテンウォールユニット10の横枠部材11,12間における横目地部分の構造も図3と同一であるため、その説明を割愛する。つまり、カーテンウォールユニット10は、その配置位置で傾斜角度が異なるが、左右に隣接するカーテンウォールユニット10どうしの相対傾斜角度、並びに上下に隣接するカーテンウォールユニット10どうしの相対傾斜角度はどの位置でも一定である。
【0028】
図2に示すように、カーテンウォールユニット10の一方の縦枠部材13の右端部には、第1縦シール部材21、第2縦シール部材22及び第3縦シール部材23が設けてある。第1縦シール部材21は、例えばエチレンプロピレンゴム等の弾性材から構成されるものであり、該縦枠部材13の室外側端部に取り付けてある。第2縦シール部材22は、第1縦シール部材21と同様に弾性材から構成され、上方向から見た場合に略L字状を成している。この第2縦シール部材22は、第1縦シール部材21よりも室内側の個所に取り付けてある。第3縦シール部材23は、第1縦シール部材21及び第2縦シール部材22と同様に弾性材から構成され、第2縦シール部材22よりも室内側の個所に取り付けてある。
【0029】
一方、上記カーテンウォールユニット10と左右に隣接する他のカーテンウォールユニット10の一方の縦枠部材14の左端部にも、上記縦枠部材13と同様に第1縦シール部材21、第2縦シール部材22及び第3縦シール部材23が設けてある。
【0030】
これら互いに左右に隣接するカーテンウォールユニット10間においては、縦枠部材13,14間で第1縦シール部材21どうし、第2縦シール部材22どうし、並びに第3縦シール部材23どうしが互いに弾性変形しながら当接している。このように第1縦シール部材21どうしが当接することで1次レインバリアを形成し、第2縦シール部材22どうしが当接することで2次レインバリアを形成し、第3縦シール部材23どうしが当接することでウインドバリアを形成しており、特に第1縦シール部材21どうしは、互いの室外側端部が縦枠部材13,14よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接している。
【0031】
そして、第1縦シール部材21どうし、並びに第2縦シール部材22どうしが当接することで、縦枠部材13,14間に縦樋部24が形成される。また、これら縦枠部材13,14間において、第2縦シール部材22どうし、並びに第3縦シール部材23どうしが当接することにより縦樋部24と平行となるよう延在する縦長空間25が形成される。
【0032】
このように形成された縦樋部24は、自身の上方域及び下方域において形成される縦樋部24に連通することでカーテンウォール1の上端から下端まで延在する一本の通路を形成することになる。また、この縦樋部24と平行となるよう延在する縦長空間25も、自身の上方域及び下方域において形成される縦長空間25に連通することでカーテンウォール1の上端から下端まで延在する一本の通路を形成している。
【0033】
そして、図2に示すように、面材15が上向きとなるカーテンウォールユニット(最上位のカーテンウォールユニット10及び最上位から2番目のカーテンウォールユニット10)の縦枠部材14には、自身が形成する縦樋部24にその延在方向に沿って延在する樋部材26が配設してある。樋部材26は、鋼板を屈曲加工して形成したものであり、2次レインバリアを覆うように形成された溝部26aを介して該縦樋部24に浸入した雨水を下方に向けて通過させるものである。
【0034】
図3に示すように、カーテンウォールユニット10の下枠部材12(一方の横枠部材)の下端部には、第1横シール部材31、第2横シール部材32及び第3横シール部材33が設けてある。第1横シール部材31は、例えばエチレンプロピレンゴム等の弾性材から構成されるものであり、下枠部材12の室外側端部に取り付けてある。第2横シール部材32は、第1横シール部材31と同様に弾性材から構成され、左右方向から見た場合に略L字状を成している。この第2横シール部材32は、第1横シール部材31よりも室内側の個所に取り付けてある。第3横シール部材33は、第1横シール部材31及び第2横シール部材32と同様に弾性材から構成され、第2横シール部材32よりも室内側の個所に取り付けてある。
【0035】
一方、上記カーテンウォールユニット10と上下に隣接する他のカーテンウォールユニット10の上枠部材11(一方の横枠部材)の上端部にも、上記下枠部材12と同様に第1横シール部材31、第2横シール部材32及び第3横シール部材33が設けてある。
【0036】
これら互いに上下に隣接するカーテンウォールユニット10間においては、下枠部材12と上枠部材11との間で、第1横シール部材31どうし、第2横シール部材32どうし、並びに第3横シール部材33どうしが互いに弾性変形しながら当接している。このように第1横シール部材31どうしが当接することで1次レインバリアを形成し、第2横シール部材32どうしが当接することで2次レインバリアを形成し、第3横シール部材33どうしが当接することでウインドバリアを形成しており、特に第1横シール部材31どうしは、互いの室外側端部が横枠部材である上枠部材11及び下枠部材12よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接している。
【0037】
そして、第1横シール部材31どうし、並びに第2横シール部材32どうしが当接することで、下枠部材12と上枠部材11との間に横樋部34が形成される。また、これら下枠部材12と上枠部材11との間において、第2横シール部材32どうし、並びに第3横シール部材33どうしが当接することにより横樋部34と平行となるよう延在する横長空間35が形成されるが、かかる横長空間35は、下枠部材12に形成される貫通孔(図示せず)を通じて横樋部34に連通している。
【0038】
このような横樋部34は、その左右両端において縦樋部24に連通するとともに、自身の左方域及び右方域において他の横樋部34が形成される場合にはこれに連通しており、また横長空間35もその左右両端において縦長空間25に連通しているとともに、自身の左方域及び右方域において他の横長空間35が形成される場合にはこれに連通している。しかも、横長空間35と横樋部34は、図3中の矢印のように貫通孔を通じて連通していることから、縦樋部24、横樋部34、縦長空間25及び横長空間35は連通しており、共通の空間を形成している。
【0039】
最上位のカーテンウォールユニット10の上枠部材11に対向して図示せぬ上端枠が配置してある。この上端枠には、第1上端シール部材及び第2上端シール部材が配設してある。第2上端シール部材は、第1上端シール部材よりも室内側の個所に設けてある。
【0040】
このような最上位のカーテンウォールユニット10の上枠部材11と上端枠との間では、第1横シール部材31が上端枠の室外側端部に弾性変形しながら当接し、第2横シール部材32が第1上端シール部材と弾性変形しながら当接し、第3横シール部材33が第2上端シール部材と弾性変形しながら当接している。
【0041】
このように第1横シール部材31が上端枠の室外側端部と当接することで1次レインバリアを形成し、第2横シール部材32が第1上端シール部材と当接することで2次レインバリアを形成し、第3横シール部材33が第2上端シール部材と当接することでウインドバリアを形成している。
【0042】
そして、第1横シール部材31が上端枠の室外側端部に当接し、並びに第2横シール部材32が第1上端シール部材に当接することで、上枠部材11と上端枠の間に上端横樋部が形成される。また、これら上枠部材11と上端枠との間において、第2横シール部材32が第1上端シール部材に当接し、並びに第3横シール部材33が第2上端シール部材に当接することにより上端横樋部と平行となるよう延在する上端横長空間が形成される。
【0043】
このような上端横樋部は、その左右両端において縦樋部24に連通しており、また上端横長空間もその左右両端において縦長空間25に連通している。
【0044】
図4は、図1に示したカーテンウォール1の下端部を示す縦断面図である。この図4に示すように、最下位のカーテンウォールユニット10の下枠部材12に対向して下端枠50が配置してある。この下端枠50には、下端シール部材51が配設してある。
【0045】
このような最下位のカーテンウォールユニット10の下枠部材12と下端枠50との間では、第2横シール部材32が下端枠50の上端部に弾性変形しながら当接し、第3横シール部材33が下端シール部材51と弾性変形しながら当接している。このように第2横シール部材32が下端枠50の上端部と当接することでレインバリアを形成し、第3横シール部材33が下端シール部材51と当接することでウインドバリアを形成している。また、下枠部材12の第1横シール部材31と、下端枠50の室外側端部との間には間隙が設けられることにより下枠部材12の延在方向に沿って延在する長尺状の開口Kが形成してある。
【0046】
このように第2横シール部材32が下端枠50の上端部に当接することで、下枠部材12と下端枠50との間にはその室外側に上記開口Kを有する下端横樋部54が形成される。また、これら下枠部材12と下端枠50との間において、第2横シール部材32が下端枠50の上端部に当接し、並びに第3横シール部材33が下端シール部材51に当接することにより下端横樋部54と平行となるよう延在する下端横長空間55が形成される。このような下端横樋部54は、その左右両端において縦樋部24に連通しており、また下端横長空間55もその左右両端において縦長空間25に連通している。
【0047】
本実施の形態であるカーテンウォール1においては、カーテンウォールユニット10の縦枠部材13,14間に形成される縦樋部24と、横枠部材11,12間に形成される横樋部34とが連通することで共通の空間を構成し、しかも下端横樋部54が縦樋部24に連通することで、長尺状の開口Kを通じて該空間に外気を導入することができ、該空間は外気と等圧なものとなる。つまり、面材15が下向きとなる最下位のカーテンウォールユニット10の下端部が該空間に外気を導入するための開口Kを形成している。
【0048】
また、1次レインバリアを形成する第1縦シール部材21どうしの当接、並びに第1横シール部材31どうしの当接は、それぞれ互いの室外側端部が縦枠部材13,14、並びに横枠部材よりも室外側に突出しているが、これらが交差する個所では、一方のシール部材(例えば第1縦シール部材21)を他方のシール部材(例えば第1横シール部材31)に溶着させるようにしている。
【0049】
以上のような構成を有する本実施の形態であるカーテンウォール1では、雨水が1次レインバリアを通過して内部に浸入したとしても、かかる雨水を横樋部34及び縦樋部24を通過させて下端横樋部54に流れ込ませ、該下端横樋部54の開口Kより外部に排出することができる。
【0050】
以上説明したように、本発明の実施の形態であるカーテンウォール1においては、カーテンウォールユニット10の一方の縦枠部材13(14)と、該カーテンウォールユニット10に左右に隣接する他のカーテンウォールユニット10の一方の縦枠部材14(13)との間に、それぞれの縦枠部材13,14の室外側に設けられた第1縦シール部材21どうし、並びに該縦枠部材13,14の該第1縦シール部材21よりも室内側に設けられた第2縦シール部材22どうしが当接することで形成される縦樋部24と、カーテンウォールユニット10の一方の横枠部材11(12)と、該カーテンウォールユニット10に上下に隣接する他のカーテンウォールユニット10の一方の横枠部材12(11)との間に、それぞれの横枠部材11,12の室外側に設けられた第1横シール部材31どうし、並びに該横枠部材の該第1横シール部材31よりも室内側に設けられた第2横シール部材32どうしが当接することで形成される横樋部34とが連通することにより空間を構成し、面材15が下向きとなる最下位のカーテンウォールユニット10の下端部が該空間に外気を導入するための開口Kを形成している。このような構成によれば、従来のように1次シール材に切欠を形成する場合に比べて、雨水の浸入を低減させることができ、水密性に優れたものとなる。しかも、縦樋部24は第1縦シール部材21どうし、並びに第2縦シール部材22どうしが当接することにより形成されるものであり、横樋部34は第1横シール部材31どうし、並びに第2横シール部材32どうしが当接することにより形成されるものであるから、従来のように縦枠部材13,14間や横枠部材11,12間に跨るように部材を配設する必要がなく、カーテンウォール1の組立作業を容易なものとすることができる。従って、組立作業性を向上させながら水密性を確保することができる。
【0051】
上記カーテンウォール1によれば、第1横シール部材31どうしは互いの室外側端部が横枠部材(上枠部材11及び下枠部材12)よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接して1次レインバリアを形成し、第1縦シール部材21どうしは互いの室外側端部が縦枠部材13,14よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接して第1次レインバリアを形成しているので、雨水が該レインバリアを通過しにくくすることができ、水密性を向上させることができる。
【0052】
また、上記カーテンウォール1によれば、面材15が上向きとなるカーテンウォールユニット10の一方の縦枠部材14に配設された樋部材26が、2次レインバリアを覆うように形成された溝部26aを介して該縦樋部24に浸入した雨水を下方に向けて通過させるので、2次レインバリアに対する浸入水を低減させることができ、更なる水密性の向上を図ることができる。
【0053】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0054】
上述した実施の形態においては、互いに隣接するカーテンウォールユニット10が所定角度傾けられるよう上下左右に接続することにより構成されるカーテンウォール1について説明したが、本発明においては、互いに隣接するカーテンウォールユニットが所定角度傾けられるよう上下に接続することにより構成されるカーテンウォールであってもよい。つまり、面材が上向きとなるカーテンウォールユニットと、面材が下向きとなるカーテンウォールユニットとを含むカーテンウォールであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係るカーテンウォールは、建造物の外壁材を構成するのに有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 カーテンウォール
10 カーテンウォールユニット
11 上枠部材(横枠部材)
12 下枠部材(横枠部材)
13 縦枠部材
14 縦枠部材
15 面材
21 第1縦シール部材
22 第2縦シール部材
23 第3縦シール部材
24 縦樋部
25 縦長空間
26 樋部材
26a 溝部
31 第1横シール部材
32 第2横シール部材
33 第3横シール部材
34 横樋部
35 横長空間
K 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一対の横枠部材、並びにこれら横枠部材の端部どうしを連結する左右一対の縦枠部材から形成された枠体に面材を取り付けてなる複数のカーテンウォールユニットを、互いに隣接するユニットどうしが所定角度傾けられるよう、上下又は左右、若しくは上下左右に接続することにより構成されたカーテンウォールにおいて、
カーテンウォールユニットの一方の縦枠部材と、該カーテンウォールユニットに左右に隣接する他のカーテンウォールユニットの一方の縦枠部材との間に、それぞれの縦枠部材の室外側に設けられた第1縦シール部材どうし、並びに該縦枠部材の該第1縦シール部材よりも室内側に設けられた第2縦シール部材どうしが当接することで形成される縦樋部と、
カーテンウォールユニットの一方の横枠部材と、該カーテンウォールユニットに上下に隣接する他のカーテンウォールユニットの一方の横枠部材との間に、それぞれの横枠部材の室外側に設けられた第1横シール部材どうし、並びに該横枠部材の該第1横シール部材よりも室内側に設けられた第2横シール部材どうしが当接することで形成される横樋部とが連通することにより空間を構成し、面材が下向きとなる最下位のカーテンウォールユニットの下端部が該空間に外気を導入するための開口を形成することを特徴とするカーテンウォール。
【請求項2】
前記第1縦シール部材どうしは、互いの室外側端部が前記縦枠部材よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接し、前記第1横シール部材どうしは、互いの室外側端部が前記横枠部材よりも室外側に突出するよう弾性変形しながら当接することを特徴とする請求項1に記載のカーテンウォール。
【請求項3】
面材が上向きとなるカーテンウォールユニットの一方の縦枠部材は、自身が形成する縦樋部において該縦樋部の延在方向に沿って延在するよう配設され、かつ該縦樋部に浸入した雨水を下方に向けて通過させる樋部材を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカーテンウォール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のカーテンウォールを用いたことを特徴とする建造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−172416(P2012−172416A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36006(P2011−36006)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】