説明

カーテンランナー

【課題】カーテンの開閉操作時において、カーテンレールの軌条間から抜け落ちるのを防止することができるカーテンランナーを提供する。
【解決手段】カーテンランナー1を構成するランナー本体2の走行部3を、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間に下方から押し込んだ後、ランナー本体2を縦軸C中心に水平回動して走行部3を軌条Aa,Aa上に係合する。軌条Aa,Aa間の下方に突出する吊り部4の孔部4aに吊設した吊り環5に、カーテンBの上縁部に取り付けたフックBaを係止する。カーテンBの開閉操作時において、カーテンBの引っ張り方向に応じて吊り環5の向きがランナー本体2の縦軸Cを中心として任意角度に回動変位するので、軌条Aa,Aa間に押し込まれた走行部3の向きが走行方向と異なる角度に回動変位することがなく、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間からカーテンランナー1が抜け落ちるのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばカーテンレールの軌条間に対して途中から押し込んだり、抜き取ることができるカーテンランナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述のカーテンランナーとしては、例えばカーテンランナーの頭部をカーテンレール下面に形成した条溝に下方から押し込んだ後、カーテンランナー全体を縦軸回りに略90度水平回動して、カーテンランナーの頭部両側に設けたランナー部を、条溝両側のレール上に跨架する特許文献1のカーテンランナーがある。
【0003】
【特許文献1】実開昭55−16741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のカーテンランナーを介して、カーテンレールに吊設されたカーテンを手動で開閉操作する場合、カーテンの端部を手で把持して手前側に引き寄せながら斜め方向に開閉操作するが、カーテンの引っ張り方向をカーテンランナーの走行方向と一致させることが難しい。カーテンの引っ張り方向は開閉途中において多少変動するので、カーテンに付与される引っ張り力によりカーテンランナー全体の向きが走行方向と異なる角度に回動変位しやすく、カーテンランナー全体が縦軸回りに略45度以上動すると、カーテンレールの条溝間からカーテンランナーが抜け落ちることがある。また、カーテンの引っ張り方向をカーテンランナーの走行方向と一致させて開閉操作しなければならず、手動による開閉操作がスムースに行えない。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み、カーテンの開閉操作時において、カーテンレール軌条間から抜け落ちるのを防止することができるカーテンランナーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した発明のカーテンランナーは、ランナー本体の上端側走行部をカーテンレールの軌条間に押し込んだ後、ランナー本体を縦軸中心に水平回動して走行部を軌条上に対して走行移動自在に係合し、ランナー本体の下端側吊り部及び該吊り部に吊設した吊り環を軌条間よりも下方に突出するカーテンランナーであって、上記吊り環を、上記吊り部に設けた孔部に挿通して上記ランナー本体の縦軸を中心として任意角度に水平回動自在に設けたことを特徴とする。
【0007】
この発明によると、カーテンの上縁部に取り付けたフックを、カーテンレールの軌条間よりも下方に突出される吊り部の吊り環に係止して、カーテンの端部を手で把持して任意方向へ開閉操作すると、吊り環が、カーテンの引っ張り方向に応じて、ランナー本体の縦軸を中心として任意角度に水平回動し、カーテンレールの軌条間に押し込まれた走行部の向きが走行方向と異なる角度に回動変位するのを防止する。
【0008】
請求項2に記載した発明のカーテンランナーは、上記請求項1に記載の構成と併せて、上記孔部を、上記吊り環の水平回動が許容される大きさ及び形状に形成したことを特徴とする。
【0009】
この発明によると、カーテンの引っ張り方向に応じて、吊り部の孔部に吊設した吊り環の水平回動が許容される。
【0010】
請求項3に記載した発明のカーテンランナーは、上記請求項1又は2に記載の構成と併せて、上記吊り部に、上記吊り環を所定の水平回動範囲に規制する吊り環回動規制手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
この発明によると、吊り環を任意方向へ回動操作すると、吊り環回動規制手段により所定の水平回動範囲(例えば略90度の水平回動角度)に回動規制されるため、吊り環の回動操作力が走行部に対して伝達され、走行部を、カーテンレールの軌条間に対して押し込みが許容される角度と、軌条間からの抜き取りが許容される角度に回動変位することができる。
【0012】
請求項4に記載した発明のカーテンランナーは、上記請求項1,2,3のいずれか一つに記載の構成と併せて、上記走行部と吊り部を、上記ランナー本体の縦軸を中心として任意角度に水平回動自在に連結したことを特徴とする。
【0013】
この発明によると、カーテンの開閉操作時において、カーテンの引っ張り方向に応じて吊り部全体が任意角度(例えば略360度の範囲に含まれる任意の角度)に水平回動する。
【0014】
請求項5に記載した発明のカーテンランナーは、上記請求項4に記載の構成と併せて、上記走行部と吊り部の間に、該吊り部を所定の水平回動範囲に規制する吊り部回動規制手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
この発明によると、吊り部を任意方向へ回動操作すると、吊り部回動規制手段により所定の水平回動範囲(例えば略90度の水平回動角度)に回動規制されるため、吊り部の回動操作力が走行部に対して伝達され、走行部を、カーテンレールの軌条間に対して押し込みが許容される角度と、軌条間からの抜き取りが許容される角度に回動変位することができる。
【0016】
上記吊り部回動規制手段は、例えば軸部上端に形成した係止部と、その係止部が当接される軸受孔近傍に形成した壁部等で構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、カーテンを手動で開閉操作する際に、吊り部の孔部に吊設した吊り環が、カーテンの引っ張り方向に応じて、ランナー本体の縦軸を中心として任意角度に水平回動するので、カーテンレールの軌条間に押し込まれた走行部の向きが走行方向と異なる角度に回動変位することがなく、カーテンレールの軌条間からカーテンランナーが抜け落ちるのを防止することができる。
【0018】
また、カーテンの開閉操作時において、カーテンの引っ張り方向が多少変動しても、吊り環の水平回動が許容される範囲の角度であれば任意方向に開閉操作することができ、カーテンの引っ張り方向がカーテンランナーの走行方向と一致する方向のみに制限されず、手動による開閉操作がスムースに行える。また、カーテンランナーをカーテンレールの軌条間に対して途中から押し込んだり、抜き取ったりすることができるので、例えば破損や走行性の低下したランナーを交換したり、個数を変更する等の作業が容易に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明は、カーテンの開閉操作時において、カーテンレールからカーテンランナーが抜け落ちるのを防止することができるという目的を、吊り環を、吊り部に設けた孔部に対して上記ランナー本体の縦軸を中心として任意角度に水平回動自在に吊設することで達成した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0021】
図面は、カーテンレールに対してカーテンを吊設するときに用いられる第1実施例のカーテンランナーを示し、図6、図7に於いて、このカーテンランナー1は、ランナー本体2の上端側に設けた転動型の走行部3を、カーテンレールAの下面側全長に形成した軌条Aa,Aa間に下方から押し込んだ後、ランナー本体2を縦軸C中心に水平回動して走行部3を軌条Aa,Aa上に対して走行移動自在に係合し、ランナー本体2の下端側に設けた吊り部4及び該吊り部4に吊設した金属製の吊り環5を軌条Aa,Aa間よりも下方に突出するものである。また、吊り部4に吊設した吊り環5には、カーテンBの上縁部に取り付けたフックBaが係止される。
【0022】
上記カーテンランナー1は、図1、図2、図3、図4にも示すように、ランナー本体2の上端部前後幅と、上端部から中央部に至る左右横幅とを、図6参照のカーテンレールAの軌条Aa,Aa間と略同じ幅か狭くなる幅に形成し、ランナー本体2の前後外面を、側面から見て上端部から下端部に向けて徐々に幅広となる滑らかな曲面形状に形成している。また、ランナー本体2及び後述する輪体7は、例えばポリアセタール、ポリカーボネート等の合成樹脂で形成している。
【0023】
ランナー本体2の前後壁部2A,2Aの可撓変形を許容する縦長形状の開口部2aを、ランナー本体2の前後側面を幅方向に貫通してそれぞれ形成し、開口部2a,2a上端を溝部2bにより連通して、壁部2A,2Aを、ランナー本体2の前後幅がカーテンレールAの軌条Aa,Aa間と略同じ幅か狭くなる幅に変形される状態と、軌条Aa,Aa間よりも幅広となる変形前の状態とに可撓変形自在に設けている。また、開口部2a,2aの上端を、後述する軸受孔2cを介して連通してもよい。
【0024】
前記走行部3は、金属製の支軸6を、ランナー本体2の上端側幅方向に貫通した軸受孔2cに対して自由回転自在に挿通し、軸受孔2c両側に突出した支軸6の両端を、同径に形成した輪体7,7の各孔部7a,7aにそれぞれ挿通している。
【0025】
支軸6一端に形成した頭部6aを、一方の輪体7の孔部7a周縁に係止し、支軸6他端に形成したカシメ部6bを、他方の輪体7の孔部7a周縁に係止される大きさにカシメ加工して、左右一対の輪体7,7を、支軸6の両端部に対して自由回転自在に取り付けている。
【0026】
輪体7,7は、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間に対して押し込みが許容される直径に形成され、軌条Aa,Aa間と同じか同一又は同等に形成している。
【0027】
前記吊り部4は、側面から見て略U字状の吊り環5が吊設される孔部4aを、吊り部4の下端側中央部に対して前後方向に貫通して形成し、吊り環5の両端部を孔部4aに挿通した位置で互いに近接又は当接して抜止めするとともに、吊り環5の両端部を孔部4a下端に形成した底面から見て略丸形の支持部4bに係止することにより、吊り環5を、ランナー本体2の縦軸Cを中心として水平回動自在に設け、孔部4aを中心として左右揺動自在に設けている。
【0028】
孔部4aは、吊り環5の水平回動と左右揺動とが許容されるような大きさ及び形状に形成している。実施例では走行方向から見て横長形状に形成しているが、例えば縦長形状、楕円形状、丸形状等の任意形状に形成してもよい。
【0029】
なお、吊り環5を、例えば合成樹脂、木等の材質で構成するか、或いは、例えば略丸形状、略楕円形状等の任意形状を有する環状部材に取り替えてもよい。
【0030】
吊り環5の回動を規制する左右一対の壁部4c,4cを、ランナー本体2の横幅よりも広くなる間隔に隔てて吊り部4の両側縁部に垂設するとともに、孔部4a近傍の壁部4c,4cの前後内壁面を、孔部4aを中心として、ランナー本体2の前後方向に向けて徐々に広くなる斜面形状又は曲面形状に形成している。
【0031】
吊り部4の孔部4aに吊設した吊り環5を、ランナー本体2の縦軸Cを中心として左右方向へ水平回動すると、吊り環5の前後角部が壁部4c,4cの少なくとも一方の内壁面に当接し、略90度の水平回動角度に回動規制される。また、吊り環5を、孔部4aを中心として左右方向へ揺動すると、吊り環5の側面が壁部4cの下縁部に当接し、略120度の左右揺動角度に揺動規制される。
【0032】
カーテンレールAの軌条Aa,Aa下面に対して当接される各段部2C,2Cを、ランナー本体2の下端両側に対して左右均等にそれぞれ突出するとともに、軌条Aa下面と対向する段部2C上面を、該段部2Cの下面側中央部を中心として前後方向に向けて徐々に低くなる斜面形状に形成するか、滑らかな曲面形状に形成している。
【0033】
なお、吊り環5の水平回動規制角度を、例えば略90度以下又は略90度以上の水平回動角度に変更してもよく、また、左右揺動規制角度を、例えば略120度以下又は略120度以上の左右揺動角度に変更してもよい。
【0034】
また、吊り部4の孔部4aは、ランナー本体2の下端側中央部に対して左右方向に貫通して設けてもよい。また、カーテンBの引っ張り方向に応じた角度に吊り環5の回動変位が許容される間隔であれば、壁部4c,4cの間隔をランナー本体2の横幅よりも狭くなる間隔に変更してもよい。
【0035】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、カーテンレールAに対するカーテンランナー1の取り付け方法を説明する。
【0036】
先ず、カーテンランナー1をカーテンレールAの軌条Aa,Aa間に挿入する場合、図5の上段及び図6に示すように、カーテンランナー1全体を、カーテンレールAの軌条Aa,Aaと直交する横向き姿勢に保持して、走行部3の輪体7,7を軌条Aa,Aa間と対向させた後、走行部3の輪体7,7を軌条Aa,Aa間に対して下方から押し込む。
【0037】
ランナー本体2の壁部2A,2A外面をカーテンレールAの軌条Aa,Aaに当接するとともに、その当接部分に生じる反力により、壁部2A,2Aを、壁部2A自体の復元力に抗して内側へ可撓変形させながらカーテンレールAの軌条Aa,Aa間に押し込み、ランナー本体2の前後幅をカーテンレールAの軌条Aa,Aa間と略同じ幅か狭くなる幅に変形させる。
【0038】
走行部3の輪体7,7を、カーテンレールAの軌条Aa,Aaよりも上方へ押し込み、軌条Aa,Aa上面に係合される高さに挿入した後、ランナー本体2の壁部2A,2Aを内側へ可撓変形させたまま、吊り部4に吊設した吊り環5を指で摘んで任意方向へ回動操作する。
【0039】
カーテンランナー1を、図4及び図5の中段に示すように、吊り環5の前後角部を吊り部4の壁部4c,4cに当接して略90度の水平回動角度に回動規制するとともに、その当接力により、走行部3を、ランナー本体2の縦軸Cを中心として右方向又は左方向へ略90度水平回動させ、走行部3の輪体7,7がカーテンレールAの軌条Aa,Aa上面に係合される走行姿勢に回転する。
【0040】
図5の下段及び図7に示すように、走行部3の輪体7,7をカーテンレールAの軌条Aa,Aa上面に係合すると、壁部2A,2Aが軌条Aa,Aa間に嵌り込み、軌条Aa,Aaに対する当接が解除されるため、軌条Aa,Aa間よりも幅広となる前後幅に復元する。
【0041】
変形前の状態に復元した壁部2A,2Aの両側縁部をカーテンレールAの軌条Aa,Aaに当接して、カーテンランナー1を走行方向に向けた姿勢に回動規制することにより、カーテンランナー1の取り付け作業が完了する。
【0042】
以下同様に、複数個の各カーテンランナー1…をカーテンレールAの軌条Aa,Aa間に押し込んだ後、図7に示すように、各カーテンランナー1…の各吊り環5…に、カーテンBの上縁部に取り付けた各フックBa…をそれぞれ係止して、カーテンBを開閉自在に吊設する。
【0043】
カーテンBの開閉操作時において、カーテンBに付与される引張り力により走行部3の輪体7,7がカーテンレールAの軌条Aa,Aaに沿って転動するとともに、カーテンBの引っ張り方向に応じて吊り環5の向きが任意角度(例えば略90度の範囲に含まれる任意の角度)に回動変位するので、軌条Aa,Aa間に押し込まれた走行部3の向きが走行方向と異なる角度に回動変位することがなく、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間からカーテンランナー1が抜け落ちるのを防止することができる。また、カーテンBの引っ張り方向が制限されないため、開閉操作がスムースに行える。
【0044】
一方、カーテンランナー1をカーテンレールAの軌条Aa,Aa間から抜き取る場合、吊り環5を指で摘んで任意方向へ回動するとともに、吊り環5の前後角部を吊り部4の壁部4c,4cに当接して、その当接力により、カーテンランナー1全体を、ランナー本体2の縦軸Cを中心として右方向又は左方向へ略90度水平回動する。
【0045】
ランナー本体2の壁部2A,2A外面をカーテンレールAの軌条Aa,Aaに当接するとともに、その当接部分に生じる反力により、壁部2A,2Aを、壁部2A自体の復元力に抗して内側へ可撓変形させ、ランナー本体2の前後幅を軌条Aa,Aa間と略同じ幅か狭くなる幅に変形させる。
【0046】
カーテンランナー1全体又は走行部3を、カーテンレールAの軌条Aa,Aaと直交する横向き姿勢に回動して、走行部3の輪体7,7を軌条Aa,Aa間と対向させた後、走行部3や吊り環5を指で摘んだまま下方に引っ張り、走行部3の輪体7,7を軌条Aa,Aa間から強引に抜き取ると、壁部2A,2Aが変形前の状態に復元し、カーテンランナー1の抜き取り作業が完了する。
【0047】
カーテンランナー1をカーテンレールAの端部から挿入するか抜き取らなくても、カーテンレールAの途中から押し込んだり、抜き取ったりする作業が簡単且つ容易に行える。
【0048】
以上のように、カーテンBを手動で開閉操作する際に、カーテンランナー1の吊り部4の孔部4aに吊設した吊り環5のみの向き及び角度が、カーテンBの引っ張り方向に応じて、ランナー本体2の縦軸Cを中心として任意角度に水平回動するので、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間に押し込まれた走行部3の向きが走行方向と異なる角度に回動変位することがなく、カーテンレールAの軌条間からカーテンランナー1が抜け落ちるのを防止することができる。
【0049】
また、カーテンBの開閉操作時において、カーテンBの引っ張り方向が多少変動しても、吊り環5の水平回動が許容される範囲の角度であれば任意方向に開閉操作することができ、カーテンBの引っ張り方向がカーテンランナー1の走行方向と一致する方向のみに制限されず、手動による開閉操作がスムースに行える。
【0050】
また、カーテンランナー1をカーテンレールAの軌条Aa,Aa間に対して途中から押し込んだり、抜き取ったりすることができるので、例えば破損や走行性の低下したランナーを交換したり、個数を変更する等の作業が容易に行える。
【0051】
図8は、ランナー本体2の走行部3と吊り部4を水平回動自在に連結したカーテンランナー1の第2実施例を示し、吊り部4の上端側中央部に突設した二つ割形状の軸部8を、走行部3の下端側中央部に形成した軸受孔9に対して下方から挿入し、軸部8上端に形成した係止部8a,8aを、軸受孔9の上端側周縁部に係止して、ランナー本体2の縦軸Cを中心として、走行部3と吊り部4を略360度に水平回動自在に連結している。
【0052】
つまり、カーテンBの開閉操作時において、カーテンBの引っ張り方向に応じて吊り部4全体の向きが任意角度(例えば略360度の範囲に含まれる任意の角度)に回動変位するので、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間に押し込まれた走行部3の向きが走行方向と異なる角度に回動変位することがなく、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間からカーテンランナー1が抜け落ちるのを防止することができ、カーテンBの引っ張り方向が制限されないため、開閉操作がスムースに行える。
【0053】
図9は、第2実施例の走行部3と吊り部4を回動規制する第3実施例のカーテンランナー1を示し、軸部8上端に形成した係止部8a,8aを、走行部3と吊り部4を所定の回動角度に水平回動した際に、軸受孔9近傍に形成した両側部の壁部2B,2Bに対して当接される大きさに形成している。
【0054】
つまり、吊り部4や吊り環5を指で摘んで、吊り部4を任意方向に回動操作すると、軸部8上端の係止部8a,8aが、軸受孔9近傍の壁部2B,2Bに当接し略90度の水平回動角度に回動規制され、吊り部4及び吊り環5を介して、指による回動操作力が走行部3に対して伝達されるので、走行部3を、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間に押し込んだり、軌条Aa,Aa間から抜き取る操作が容易に行え、上記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。また、吊り環5のような環状を有する環部を吊り部4に一体形成してもよい。
【0055】
図10は、滑走型の走行部3をランナー本体2の上端側に設けた第4実施例のカーテンランナー1を示し、滑走型の走行部3は、カーテンレールAの軌条Aa,Aa上面に対して滑走移動自在に係合される左右一対の各滑走部10,10を、ランナー本体2の上端両側に対して左右均等にそれぞれ突出している。
【0056】
滑走部10は、カーテンレールAの軌条Aa,Aa間に対して押し込みが許容される前後幅に形成され、軌条Aa,Aa間と略同じ幅か狭くなる幅に形成している。軌条Aa上面と対向する滑走部10下面は、該滑走部10の下面側中央部を中心として前後方向に向けて徐々に高くなる斜面形状に形成するか、滑らかな曲面形状に形成している。
【0057】
カーテンBの開閉操作時において、カーテンBに付与される引張り力により走行部3の各滑走部10,10がカーテンレールAの軌条Aa,Aaに沿って滑走移動するとともに、カーテンBの引っ張り方向に応じて吊り環5の向きが任意角度に回動変位するので、軌条Aa,Aa間に押し込まれた走行部3の向きが走行方向と異なる角度に回動変位することがなく、前記実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0058】
なお、上記実施例のカーテンランナー1の取り付け方法は、前記実施例の取り付け方法と同一であるのでその詳細な説明を省略する。
【0059】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の吊り環回動規制手段は、実施例の吊り部4の壁部4cに対応し、
以下同様に、
吊り部回動規制手段は、軸部8上端の係止部8aと、軸受孔2c近傍の壁部2Bに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0060】
上記吊り環回動規制手段や吊り部回動規制手段は、例えば突起やピン等の凸部、溝部や開口部等の凹部に対して当接又は係合するような規制構造で構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】カーテンランナーの外観形状を示す斜視図。
【図2】輪体及び吊り環の取付け構造を示す縦断正面図。
【図3】輪体及び吊り環の取付け構造を示す縦断側面図。
【図4】吊り環の回動許容範囲を示す底面図。
【図5】カーテンランナーの取付け手順を示す説明図。
【図6】カーテンランナーの取付け途中を示す断面図。
【図7】カーテンランナーの取付け状態を示す断面図。
【図8】走行部と吊り部を回動自在に連結した第2実施例を示す縦断側面図。
【図9】走行部と吊り部を回動規制した第3実施例を示す横断平面図。
【図10】滑走型の走行部を設けた第4実施例を示す側面図。
【符号の説明】
【0062】
A…カーテンレール
Aa…軌条
B…カーテン
Ba…フック
C…縦軸
1…カーテンランナー
2…ランナー本体
2A,2B…壁部
3…走行部
4…吊り部
4a…孔部
4c…壁部
5…吊り環
6…支軸
7…輪体
8…軸部
8a…係止部
9…軸受孔
10…滑走部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランナー本体の上端側走行部をカーテンレールの軌条間に押し込んだ後、ランナー本体を縦軸中心に水平回動して走行部を軌条上に対して走行移動自在に係合し、ランナー本体の下端側吊り部及び該吊り部に吊設した吊り環を軌条間よりも下方に突出するカーテンランナーであって、
上記吊り環を、上記吊り部に設けた孔部に挿通して上記ランナー本体の縦軸を中心として任意角度に水平回動自在に設けた
カーテンランナー。
【請求項2】
上記孔部を、上記吊り環の水平回動が許容される大きさ及び形状に形成した
請求項1に記載のカーテンランナー。
【請求項3】
上記吊り部に、上記吊り環を所定の水平回動範囲に規制する吊り環回動規制手段を設けた
請求項1又は2に記載のカーテンランナー。
【請求項4】
上記走行部と吊り部を、上記ランナー本体の縦軸を中心として任意角度に水平回動自在に連結した
請求項1,2,3のいずれか一つに記載のカーテンランナー。
【請求項5】
上記走行部と吊り部の間に、該吊り部を所定の水平回動範囲に規制する吊り部回動規制手段を設けた
請求項4に記載のカーテンランナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−222544(P2007−222544A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−49937(P2006−49937)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(397022715)フェデポリマーブル株式会社 (7)
【Fターム(参考)】