説明

カーテン用吊り具装置

【課題】 カーテンの高さ位置設定の自由度を増して可及的に室内天井面に近付け得るようにする。
【解決手段】 上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定した保持主体部11を有し、該保持主体部11に所要有効長さΔa相当の下部延長部15を残し上方へ向け屈曲延長される吊り下げ部14を設け、該吊り下げ部14の上端部を弾性的に近接させて底部に支持ボトム面17をもつ受け入れ空間部16を形成させ、カーテンの上縁折り返し部の袋状部に吊り下げ部14を嵌挿させ、掛け止め保持する吊り具部材10と、吊り具部材10に上下摺動自在に嵌合され、高さ位置を選択的に設定して係着可能にしたフック主体部31を窓側対応面から立ち上げて屈曲、吊り下げトップ面34をもつフック部33を設け、カーテンレールから吊下されるランナーのフックリングに吊り下げトップ面34を引掛け係着する位置決め駒部材30とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居室の窓部等に施されるカーテン用吊り具装置に関し、さらに詳しくは、該カーテンの上縁部を可及的に高めにも吊り下げ保持し得るようにすると共に、保持状態の安定化ならびに開披時に集束されるカーテン上部の畳み込みや横ぶれ等を抑制可能に改良したカーテン用吊り具装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来例によるこの種のカーテン用吊り具装置として、本出願人が先に提案した特許文献1に記載の装置構成の概要を図15ないし図20に示す。
【0003】
図15は、本出願人の既提案に係るカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図であり、図16,17,18は、同上吊り具装置の左側面図、背面図および図16のB−B線部の横断面図である。また、図19は、同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図であり、図20は、同上カーテンを装着した状態における室内天井面およびカーテンと吊り具装置との高さ位置関係を説明する立面模式図である。
【0004】
これらの図15ないし図20に示す装置構成において、既提案に係るカーテン用吊り具装置2は、カーテン150を掛け留めして吊り下げ保持する合成樹脂製の吊り具部材110と、該吊り具部材110に上下位置調整可能に摺動係合され、かつカーテンレール160のランナー161に引掛け係着する合成樹脂製の位置決め駒部材130との組み合わせからなっている。
【0005】
吊り具部材110は、上下方向に所要長さa相当に設定した保持主体部111を有し、該保持主体部111には、窓側対応の背面に左右1組からなる下向き鋸歯状(ラック歯状)の係合凹部112,112と、背面に連接して対向する両側面に左右1対からなる凹状の案内溝113,113とを上下方向の全長に亘って形成すると共に、保持主体部111の室内対応の正面側に下端部から直接上方へ向けて屈曲された吊り下げ部114を形成した上で、該吊り下げ部114に支持ボトム面117のある受け入れ空間部116を形成してある。
【0006】
位置決め駒部材130は、吊り具部材110の各凹状案内溝113,113に対向する各案内凸部132,132を窓側対応の背面側から嵌挿させることで保持主体部111に沿って上下摺動自在なフック主体部131を有しており、該フック主体部131には、窓側対応の該当する背面中央部に立上げ屈曲させた吊り下げトップ面134のあるフック部133を設け、さらに、該フック部133の左右両側部に各係合凹部112,112へ弾性的に係合させることで保持主体部111に対する上下方向高さ位置を選択的に設定し得る左右1組の係合舌片135,135を突設してある。
【0007】
また、カーテン150は、よく知られているように、カーテン地151の上縁折り返し部152を窓側対応に吊り下げ部114の上下方向長さ相当分だけ折り返すと共に、該折り返し下端部を縫着して縫着部153とし、かつ適宜幅間隔毎に室内対応側へ襞寄せ部154を形成する。そして、上記構成のカーテン用吊り具装置2は、保持主体部111の吊り下げ部114を襞寄せ部154で形成される袋状部内に挿通させ、かつ上縁折り返し部152を受け入れ空間部116内に受け入れ、該上縁折り返し部152を弾性的に挟圧支持して掛け止め保持するようになっている。
【0008】
さらに、カーテンレール160は、通常の場合、図20からも明らかな如く、室内天井面171との間に間隔を隔てた窓側対応の上部框部もしくは上部内壁面170等から室内側へ突設支持されており、該カーテンレール160からは、所要個数の下端にフックリング162を有するランナー161が摺動自在に吊下されている。この状態で、上記カーテン150を掛け止め保持した位置決め駒部材130のフック部133、ひいては、該フック部133の吊り下げトップ面134をフックリング162に引掛け係着させることで、上記窓部へのカーテン150の懸架と開閉操作可能な張設を行うのである。
【0009】
従って、上記のようにカーテン用吊り具装置2を用いて懸架されるカーテン150は、フックリング162に対するフック部133の吊り下げトップ面134の引掛け係着のもとで、吊り下げ部114の上端部による折り返し部152の折り返し内面の支持と、支持ボトム面117による折り返し部152の下縁縫着部153の支持とで保持される。一方、該懸架状態でのカーテン150の上下方向高さは、保持主体部111の各係合凹部112,112への位置決め駒部材130の各係合舌片135,135の選択される係合位置に設定されるが、この懸架状態を単純に言い換えると、カーテン150の高さ位置は、吊り下げトップ面134と支持ボトム面117との間の相対的な距離(間隔寸法)に依存していることになる。
【特許文献1】実用新案登録第3023303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記カーテン150の利用者等による高さ位置の設定については、該カーテン150の上縁部、つまり、折り返し部152の上縁部をできるだけ高く、室内天井面171に近付けることにより、室内からカーテンレールが見えない状態でカーテンを保持、使用したい場合がある。
【0011】
しかしながら、上記既提案のカーテン用吊り具装置2の場合、該カーテン150の懸架高さ位置は、室内天井面171からフック部133の吊り下げトップ面134までの固定化された高さ寸法Hの位置172を基準点にとった上で、該基準位置172に対する吊り下げ部114の支持ボトム面117の相対的な間隔寸法を各係合凹部112,112の各係合段への各係合舌片135,135の係合位置で設定するようにしており、しかも、この場合には、保持主体部111の下端部から吊り下げ部114を直接上方へ屈曲形成させ、かつフック主体部131からフック部133を立上げ形成させているために、極めて当然のことながら、該保持主体部111の各係合凹部112,112に対するフック主体部131の係合位置、ひいては、該選択係合に伴うカーテン150の高さ位置の設定にも自ら限界を生じ、たとえ、各係合凹部112,112の最下段にフック主体部131を係合させたとしても、吊り下げトップ面134と支持ボトム面117との間には、必然的に未だ十分な間隔寸法が残されてしまい、これによってカーテン150の最高位置が制限され、該カーテン150の上縁辺を室内天井面171に可及的に近付けたいという要望には到底応えられないものであった。
【0012】
一方、カーテン150のそれ自体についても、現今では、高級品とも呼ばれる比較的厚目で重さの大きい生地を使用する場合もあり、上記既提案のカーテン用吊り具装置2においては、この重さの大きいカーテン150の折り返し下縁の縫着部153を受け入れ空間部116内の比較的支持幅の狭い支持ボトム面117で保持させているので、該下縁縫着部153がいわば集中的に点支持されることになって大きな負荷荷重がかけられ、極めて傷み易いという不利がある。
【0013】
また、カーテン150は、日常の使用に際して比較的頻繁に開閉されることが多く、開披した状態では、窓側の側方に片寄せて集束されるため、特に、保持主体部111の吊り下げ部114で保持した折り返し部152を含むカーテン上部に畳み込み癖が現出して全体の外観を損ね易くなり、カーテン150の保持態様として必ずしも適切なものではなかった。さらに、従来のカーテン用吊り具装置においては、カーテンの開閉などに伴ない、カーテン用吊り具が横にぶれる、つまり、保持主体部111が縦方向の軸の周りに回転して該吊り具のフック部がカーテンの面に対して適正な垂直の方向ではなく、斜めに曲がってしまい、その結果、カーテンそのものまでが曲がって保持されてしまうことが防ぎきれなかった。
【0014】
本発明は、このような従来の各問題点をそれぞれに解消するためになされたもので、その第1の目的とするところは、カーテンの高さ位置設定の自由度を増して可及的に室内天井面に近付け得るようにしたカーテン用吊り具装置を提供することである。
【0015】
また、第2の目的とするところは、カーテンの懸架保持を受け入れ空間部内の支持ボトム面のみに集中させずに、その荷重分散を効果的に図り得るようにしたカーテン用吊り具装置を提供することである。
【0016】
さらに、第3の目的とするところは、カーテンの開披による片側への集束に際して、該カーテンの上方懸架保持部に生じ易い畳み込み癖やカーテンと吊り具の横ぶれを効果的に抑制可能にしたカーテン用吊り具装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため、第1に、本発明のカーテン用吊り具装置は、上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定した保持主体部を有し、該保持主体部の下部に、長さΔa相当の下部延長部を残した上で室内側対応面から上方へ向け屈曲延長される吊り下げ部を設けると共に、該吊り下げ部の上端部を弾性的に室内側対応面へ近接させて底部に支持ボトム面をもつ受け入れ空間部を形成させておき、カーテンの上縁折り返し部に形成される袋状部に吊り下げ部を嵌挿させ、かつ該上縁折り返し部を受け入れ空間部内に受け入れて弾圧的に掛け止め保持する合成樹脂製の吊り具部材と、前記吊り具部材の保持主体部に上下摺動自在に嵌合され、かつ該保持主体部に対する高さ位置を選択的に設定して係着可能にしたフック主体部を有し、該フック主体部の窓側対応面から立ち上げて屈曲され、かつ該屈曲内面に吊り下げトップ面をもつフック部を設け、カーテンレールから摺動自在に吊下されるランナーのフックリングに該フック部の吊り下げトップ面を引掛け係着して支持点位置を定める合成樹脂製の位置決め駒部材とを備え、前記保持主体部の下部延長部にも前記フック主体部を係着可能とすることによって、前記フック部の吊り下げトップ面を可及的に下方へ配置可能にし、これによって前記カーテンの上縁部位置を可及的に高く設定できるようにしたことを特徴としている。
【0018】
上記カーテン用吊り具装置では、吊り具部材における保持主体部の下部に長さΔaの下部延長部を形成したので、該下部延長部の長さΔa相当分だけ、保持主体部がカーテンの上縁折り返し部の下方へ長くなり、結果的に懸架保持されるカーテンの高さ位置を可及的に高く設定することが可能になる。
【0019】
第2に、本発明のカーテン用吊り具装置は、上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定した保持主体部を有し、該保持主体部の下部に、長さΔa相当の下部延長部を残した上で室内側対応面から上方へ向け屈曲延長される吊り下げ部を設けると共に、該吊り下げ部の上端部を弾性的に室内側対応面へ近接させて底部に支持ボトム面をもつ受け入れ空間部を形成させ、また、保持主体部の左右両側面部に、上縁部が前記支持ボトム面にほぼ一致し、かつ背面がほぼカーテンの窓側面に沿うように延出する少なくとも1対の支持片を一連的に形成させておき、カーテンの上縁折り返し部に形成される袋状部に吊り下げ部を嵌挿させ、かつ該上縁折り返し部を受け入れ空間部内に受け入れて弾圧的に掛け止め保持する合成樹脂製の吊り具部材と、前記吊り具部材の保持主体部に上下摺動自在に嵌合され、かつ該保持主体部に対する高さ位置を選択的に設定して係着可能にしたフック主体部を有し、該フック主体部の窓側対応面から立ち上げて屈曲され、かつ該屈曲内面に吊り下げトップ面をもつフック部を設け、カーテンレールから摺動自在に吊下されるランナーのフックリングに該フック部の吊り下げトップ面を引掛け係着して支持点位置を定める合成樹脂製の位置決め駒部材とを備え、前記保持主体部の下部延長部にも前記フック主体部を係着可能とすることによって、前記フック部の吊り下げトップ面を可及的に下方へ配置可能にし、かつ前記支持片の上縁に前記カーテンの上縁折り返し部の下端縫着部を受支させるようにしたことを特徴としている。
【0020】
上記カーテン用吊り具装置では、支持片によってカーテンが懸架保持されるため、該カーテンの自重が効果的に分散され、保持部分である下縁縫着部を傷める惧れがないという追加的作用効果を有する。
【0021】
第3に、本発明のカーテン用吊り具装置は、上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定した保持主体部を有し、該保持主体部の下部に、長さΔa相当の下部延長部を残した上で室内側対応面から上方へ向け屈曲延長される吊り下げ部を設けると共に、該吊り下げ部の上端部を弾性的に室内側対応面へ近接させて底部に支持ボトム面をもつ受け入れ空間部を形成させ、また、前記下部延長部を包含する前記保持主体部の左右両側面部から延出する少なくとも1対の拘束片を一連的に形成させておき、カーテンの上縁折り返し部に形成される袋状部に吊り下げ部を嵌挿させ、かつ該上縁折り返し部を受け入れ空間部内に受け入れて弾圧的に掛け止め保持する合成樹脂製の吊り具部材と、前記吊り具部材の保持主体部に上下摺動自在に嵌合され、かつ該保持主体部に対する高さ位置を選択的に設定して係着可能にしたフック主体部を有し、該フック主体部の窓側対応面から立ち上げて屈曲され、かつ該屈曲内面に吊り下げトップ面をもつフック部を設け、カーテンレールから摺動自在に吊下されるランナーのフックリングに該フック部の吊り下げトップ面を引掛け係着して支持点位置を定める合成樹脂製の位置決め駒部材とを備え、前記保持主体部の下部延長部にも前記フック主体部を係着可能とすることによって、前記フック部の吊り下げトップ面を可及的に下方へ配置可能にし、かつ前記拘束片によって、前記カーテンの開披(集束)時に集束される該カーテン上部の畳み込みや横ぶれ(保持主体部の軸周り回転)等を抑制させるようにしたことを特徴としている。
【0022】
上記カーテン用吊り具装置では、拘束片により、開披時に集束されるカーテン上部の畳み込み癖や横ぶれ等が効果的に抑制されるという追加的作用効果を有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るカーテン用吊り具装置によれば、第1に、有効長さa+Δa相当の保持主体部に設定される有効長さΔa相当の下部延長部によって、フック部の吊り下げトップ面に対する受け入れ空間部の支持ボトム面の間隔寸法を比較的大きく調整することができ、これによってカーテンの上縁部位置を従来に比較して高めにも設定することができるのであり、極めて簡単な構成であるのにも拘らず実用上の優れた効果を期待し得るものである。
【0024】
本発明のカーテン用吊り具装置によれば、第2に、支持片によってカーテンを懸架保持させるようにしたので、カーテンの自重が良好に分散されて保持部分の下縁縫着部を傷める惧れが効果的に解消されるという追加的な特有の利点がある。
【0025】
本発明のカーテン用吊り具装置によれば、第3に、拘束片によって開披時に集束されるカーテン上部の畳み込み癖や集束襞等の発生及びカーテンと吊り具装置の横ぶれの発生を効果的に抑制できるという追加的な特有の利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係るカーテン用吊り具装置の各別の実施形態につき、図1ないし図14を参照して詳細に説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態を適用したカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図であり、図2,3,4は、同上吊り具装置の左側面図、背面図および図2A−A線部の横断面図である。また、図5は、同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図であり、図6は、同上カーテンを装着した状態における室内天井面およびカーテンと吊り具装置との高さ位置関係を説明する立面模式図である。
【0028】
これらの図1ないし図6に示す第1の実施形態による装置構成において、本カーテン用吊り具装置1は、カーテン50を吊り下げ保持する吊り具部材10と、該吊り具部材10に対して上下位置調整可能に摺動係合され、かつカーテンレール60のランナー61に掛け留め係着して上下方向位置を固定的に位置決め係止する位置決め駒部材30との組み合わせからなっており、これらの各部材10,30は、弾性を有する比較的硬質の合成樹脂材料によってそれぞれに一体化成形されている。これは、以下の各実施形態についても同様である。
【0029】
前記吊り具部材10は、図1ないし図4から明らかな如く、骨幹部となる上下方向に所要有効長さa+Δa相当(詳細については後述)に設定した保持主体部11を有しており、該保持主体部11には、窓側となる背面に左右1組からなる下向き鋸歯状(ラック歯状)をした係合凹部12,12と、該窓側背面に連接する左右両側面に対向して左右1対からなる凹状をした案内溝13,13とのそれぞれが上下方向の全長に亘って形成されている。また、前記保持主体部11の室内側正面の下方部分からは、前記下部側の所要有効長さΔa相当による下部延長部(詳細については後述)15の部分を残した状態で上方に向け屈曲させた吊り下げ部14を延設すると共に、該吊り下げ部14の上端部を弾性的に室内側正面へ近接させることにより、これらの相互間の底部に支持ボトム面17をもつ受け入れ空間部16を形成してある。なお、前記吊り下げ部14の保持主体部(11)側の面もしくは保持主体部11の窓側背面に対してカーテンを挟圧もしくは脱落を防止のために突起、歯部(図面参照)などの公知手段を設けることは任意であり、これは、以下の各実施形態についても同様である。
【0030】
前記位置決め駒部材30は、特に、図1および図4によって明らかな如く、前記吊り具部材10の各凹状案内溝13,13に対向する各案内凸部32,32を窓側背面該当側からそれぞれに嵌挿させることで、前記保持主体部11に沿わせて上下摺動自在にされるフック主体部31を有しており、該フック主体部31には、窓側背面該当の中央部に立上げ屈曲させて吊り下げトップ面34をフック内面部にもつフック部33を設けると共に、該フック部33の立上げ部の左右両側に前記各係合凹部12,12の各段に弾性的に係合させることで、保持主体部11に対する上下方向高さ位置を任意かつ選択的に設定し得るようにした左右1組の係合舌片35,35を突設してある。
【0031】
また、前記カーテン50については、図5によって明らかな如く、カーテン地51の上縁折り返し部52を前記吊り下げ部14の上下縦方向長さb相当に窓側へ折り返した上で、該折り返し縁部を任意に縫着して縫着部53にすると共に、適宜幅方向間隔毎に室内相当側へ襞寄せ部(一つ襞、二つ襞もしくは三つ襞の何れの場合をも問わない)54を形成させた公知の形式態様のものであれば任意に用いることができる。そして、この場合、上記構成によるカーテン用吊り具装置1は、保持主体部11の吊り下げ部14を襞寄せ部54によって形成される袋状部内に挿通させることにより、上縁折り返し部52を受け入れ空間部16内一杯に受け入れると共に、該上縁折り返し部52を弾性的に挟圧支持して掛け止め保持するようになっている。
【0032】
さらに、前記カーテンレール60は、図6からも明らかな如く、公知様式で窓側の上部框部もしくは上部壁面70等から室内側へ突設されており、該カーテンレール60からは、下端にフックリング62を設けて摺動自在な所要個数のランナー61が吊下されている。そして、フックリング62に対しては、上記カーテン50を掛け止め保持している吊り具装置1での上下方向高さ位置を設定した位置決め駒部材30のフック部33をフッキングして引掛け係着させることで、上記窓部へのカーテン50の懸架と開閉操作可能な張設を行うのである。
【0033】
ここで、上記のように本第1の実施形態によるカーテン用吊り具装置1を用いることでカーテン50を懸架した状態では、該カーテン50のそれ自体が、フックリング62へのフック部33の吊り下げトップ面34による引掛け係着のもとで、吊り下げ部14の上端部による折り返し部52の折り返し内面の支持と、支持ボトム面17による折り返し部52の下縁縫着部54部分の支持とでそれぞれに保持される。一方、該懸架状態でのカーテン50の上下縦方向の高さ位置については、保持主体部11の各係合凹部12,12への位置決め駒部材30の各係合舌片35,35の係合段によって設定されるもので、これを単純に言い換えると、カーテン50の高さ位置の設定は、吊り下げトップ面34と支持ボトム面17との間の相対的な距離(間隔寸法)に依存することになる。
【0034】
先にも述べたように、従来例のカーテン用吊り具装置(本出願人の既提案に係るカーテン用吊り具装置)2においては、先の図15ないし図20、特に、図20を参照して、室内天井面171からフック部133の吊り下げトップ面134までの固定化された高さ寸法Hの位置172を基準点にした上で、該基準位置172に対する吊り下げ部114の支持ボトム面117の相対的な距離(間隔寸法)につき、各係合凹部112,112の各係合段への各係合舌片135,135の係合位置を任意に選択し、これによってカーテン150の懸架高さ位置を設定するようにしており、合わせて保持主体部111の下端部から吊り下げ部114を直接上方へ屈曲形成させ、かつフック主体部131からフック部133を立上げ形成させていることから、該保持主体部111の各係合凹部112,112に対するフック主体部131の選択係合によるカーテン150の高さ位置の設定に限界を生じ、該カーテン150の上縁辺を室内天井面171に可及的に接近させることが困難なものであった。
【0035】
上記従来例構成のカーテン用吊り具装置2の保持主体部111、つまり、上下縦方向に所要有効長さa相当に設定されている保持主体部111に比較して、本第1の実施形態によるカーテン用吊り具装置1では、保持主体部11の長さを上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定すると共に、該保持主体部11での下部側に該当する所要有効長さΔa相当の下部延長部(従来よりも下方へ長く延長された部分)15を除く部分から、吊り下げ部14を上方に向けて屈曲形成させているために、支持ボトム面17よりも下方に各係合凹部12,12が有効に連続して存在することになる。ここで、保持主体部11の下部延長部15の長さ(Δa)には特に制限はなく、必要により、図示したものよりもより長くまたは短くすることができる。例えば、Δa=a/2、またはΔa=aなどとなるようにしてもよい。
【0036】
従って、保持主体部11の各係合凹部12,12に対するフック主体部31の選択係合が該下部延長部15の有効長さΔa相当分だけ下部側へ延長されて拡大し、これに対応して吊り下げトップ面34と支持ボトム面17との間の間隔寸法範囲もまた下部側へのみ拡大され、ここでは、必要に応じて該間隔寸法を十分に狭めることができる。すなわち、これを言い換えると、カーテン150の高さ位置の設定に自由度が増すことになり、該カーテン150の上縁辺を室内天井面71に対して効果的に接近させ得るのである。これにより、位置決め駒部材が保持主体部上を移動可能なスライド長さが、従来なかった下部延長部の分だけ長く得られる。さらに、前記第1の実施形態によるカーテン用吊り具装置1によれば、位置決め駒部材30を引き下げてカーテンレールランナー61のフックリング62に掛けた場合、つまり保持主体部11の下部延長部15に近い位置に位置決め駒部材30を係合させた場合において、保持主体部11が下部延長部30を有するためにカーテン用吊り具装置1での重心が高い位置にある(図15などに示した従来例構成で下部延長部を有さないものに比べて相対的に吊り具装置の重心が上の方にある)。その結果、室内側にカーテンが傾くのを阻止することができて、カーテンの見栄えがよいという利点もある。また、従来例構成のカーテン用吊り具装置2では、特に保持主体部111の最下部付近(吊り下げ部114への湾曲部付近)の係合凹部に位置決め駒部材130を係合させた場合に支点となる吊り下げトップ面134と吊り具装置の最下端部の距離が近くなるために吊り具装置の重心も相対的に低い位置に移動してしまう。その結果、吊り具装置が保持主体部111の最下端部を壁面170に近づけて傾倒してしまい、吊り下げられたカーテンも同様に壁面(または窓面)170側に傾いてしまうので見栄えが悪かった。本発明によれば、本第1の実施形態のように保持主体部の下部延長部を設けることで、このようなカーテンの傾きを有効に抑制できるものである。さらに、下部延長部によれば、その(下方への)長さに応じてカーテンと接触してその揺動、横ぶれなどを抑制することができる。
【0037】
ここで、本第1の実施形態においては、吊り具部材10での保持主体部11の下向き鋸歯状(ラック歯状)の各係合凹部12,12を窓側背面に形成し、かつ位置決め駒部材30での係合舌片35,35を該係合凹部12,12に対応する面に形成しているが、必ずしもこのような態様にのみ限定されるものではなく、例えば、各結合凹部と対応する結合舌片を両側面側に配置するようにしてもよく、また結合舌片を設ける位置をフック部から延長して設けた足部の先端部とするなど公知のいかなる態様を採用してもよいことは勿論であり、また、位置決め駒部材の形状についても何ら制限はなく公知のいかなる形状としてもよく、これらの点については、以下の各実施形態の場合も全く同様である。
【0038】
<第2の実施形態>
図7は、本発明の第2の実施形態を適用したカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図であり、図8,9は、同上吊り具装置の左側面図および背面図である。また、図10は、同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図である。
【0039】
これらの図7ないし図10に示す第2の実施形態による装置構成は、上記第1の実施形態による装置構成において、前記保持主体部11での左右の両側部に対し、その支持ボトム面17に一致またはほぼ一致させた所要幅方向長さ範囲の各支持片21,21を一連的に形成させておき、該各支持片21,21の上縁部22,22によって前記受け入れ空間16内に受け入れる上縁折り返し部52の折り返し縁部、ここでは、縫着部53の下縁該当部を支持させるようにしたものである。なお、図中、各支持片21、21を、正面から見て略長方形状のものとして表したが、支持片の形状はこれに限定されるものではなく、略正方形状、略円弧状などとしてもよい。また、支持片の大きさについても特に制限はない。
【0040】
従って、上記第2の実施形態の構成では、受け入れ空間16内に受け入れられる上縁折り返し部52での縫着部53の該当下縁部が支持ボトム面17と一連的にされた各支持片21,21の上縁部22,22によって支持されるために、上記第1の実施形態の場合でのように、縫着部53の下縁該当部が支持ボトム面17のみで支持されるものとは異なって該支持ボトム面17、ひいては、吊り下げ部14に負荷されるカーテン荷重が分散されると共に、これに合わせて比較的僅かな保持面積にしか過ぎない支持ボトム面17のみによる保持で傷み易い縫着部53の下縁該当部を容易に保護することが可能になる。
【0041】
ここで、本第2の実施形態の構成においては、保持主体部11の左右の両側部に各一対の支持片21,21を設けているが、左右両側部にそれぞれ2対以上の各支持片21、21を設けるようにしてもよい。
【0042】
<第3の実施形態>
図11は、本発明の第3の実施形態を適用したカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図であり、図12,13は、同上吊り具装置の左側面図および背面図である。また、図14は、同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図である。
【0043】
これらの図11ないし図14に示す第3の実施形態による装置構成は、上記第1の実施形態による装置構成において、前記保持主体部11の下部延長部15を設けず、その代わり、前記保持主体部11の受け入れ空間部16の形成範囲内対応の左右の両側部に対し、所要幅および所要上下長さ範囲の各拘束片25,25を一連に形成させておき、前記カーテン50の開披(集束)に際し、これらの各拘束片25,25によって前記上縁折り返し部52での頻繁な畳み込みによる畳み込み癖や集束皺の発生並びにカーテンに対する吊り具装置の横ぶれの発生を可及的に抑止させるようにすると共に、該発生に伴うカーテン50自体の汚れや老化等を効果的に避け得るようにしたものである。なお、各拘束片25、25の形状、大きさ、設置位置及び数は図示したものに制限されることはなく、拘束片の形状としては略円弧状や略正方形状などでもよく、その大きさにも特に制限はなく、その設ける位置も保持主体部の上端部側により近くまたはより遠くに設けてもよい。
【0044】
ここでも、本第3の実施形態の構成においては、保持主体部11での左右の両側部に各一対の拘束片25,25を設けているが、それぞれ2対以上の各拘束片25、25を設けるようにしてもよく、また、下部延長部15を有する保持主体部11に対して下部延長部の側面部に各拘束片25,25を設けてもよい。さらに、本発明においては、一形態として前記第1、第2及び第3の実施形態をすべて適用することもできる。すなわち、カーテン用吊り具装置として前記保持主体部の下部延長部、前記支持片、及び前記拘束片をすべて有する構造としたものも本発明に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用したカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図である。
【図2】同上吊り具装置の左側面図である。
【図3】同上吊り具装置の背面図である。
【図4】同上吊り具装置の図1A−A線部の横断面図である。
【図5】同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図である。
【図6】同上カーテンを装着した状態における室内天井面およびカーテンと吊り具装置との高さ位置関係を説明する立面模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態を適用したカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図である。
【図8】同上吊り具装置の左側面図である。
【図9】同上吊り具装置の背面図である。
【図10】同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態を適用したカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図である。
【図12】同上吊り具装置の左側面図である。
【図13】同上吊り具装置の背面図である。
【図14】同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図である。
【図15】従来例によるカーテン用吊り具装置の概要構成を示す外観斜視図である。
【図16】同上吊り具装置の左側面図である。
【図17】同上吊り具装置の背面図である。
【図18】同上吊り具装置の図21B−B線部の横断面図である。
【図19】同上吊り具装置にカーテンを装着した状態の概要を示す外観斜視図である。
【図20】同上カーテンを装着した状態における室内天井面およびカーテンと吊り具装置との高さ位置関係を説明する立面模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 カーテン用吊り具装置
10 吊り具部材
11 保持主体部
12 係合凹部
13 案内溝
14 吊り下げ部
15 下部延長部
16 受け入れ空間
17 支持ボトム面
21 支持片
22 上縁部
25 拘束片
30 位置決め駒部材
31 フック主体部
32 案内凸部
33 フック部
34 吊り下げトップ面
35 係合舌片
50 カーテン
51 カーテン地
52 上縁折り返し部
53 縫着部
54 襞寄せ部
60 カーテンレール
61 ランナー
62 フックリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定した保持主体部を有し、該保持主体部の下部に、長さΔa相当の下部延長部を残した上で室内側対応面から上方へ向け屈曲延長される吊り下げ部を設けると共に、該吊り下げ部の上端部を弾性的に室内側対応面へ近接させて底部に支持ボトム面をもつ受け入れ空間部を形成させておき、カーテンの上縁折り返し部に形成される袋状部に吊り下げ部を嵌挿させ、かつ該上縁折り返し部を受け入れ空間部内に受け入れて弾圧的に掛け止め保持する合成樹脂製の吊り具部材と、
前記吊り具部材の保持主体部に上下摺動自在に嵌合され、かつ該保持主体部に対する高さ位置を選択的に設定して係着可能にしたフック主体部を有し、該フック主体部の窓側対応面から立ち上げて屈曲され、かつ該屈曲内面に吊り下げトップ面をもつフック部を設け、カーテンレールから摺動自在に吊下されるランナーのフックリングに該フック部の吊り下げトップ面を引掛け係着して支持点位置を定める合成樹脂製の位置決め駒部材とを備え、
前記保持主体部の下部延長部にも前記フック主体部を係着可能とすることによって、前記フック部の吊り下げトップ面を前記保持主体部に対して可及的に下方へ配置可能にしたことを特徴とするカーテン用吊り具装置。
【請求項2】
上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定した保持主体部を有し、該保持主体部の下部に、長さΔa相当の下部延長部を残した上で室内側対応面から上方へ向け屈曲延長される吊り下げ部を設けると共に、該吊り下げ部の上端部を弾性的に室内側対応面へ近接させて底部に支持ボトム面をもつ受け入れ空間部を形成させ、また、保持主体部の左右両側面部に、上縁部が前記支持ボトム面にほぼ一致し、かつ背面がほぼカーテンの窓側面に沿うように延出する少なくとも1対の支持片を一連的に形成させておき、カーテンの上縁折り返し部に形成される袋状部に吊り下げ部を嵌挿させ、かつ該上縁折り返し部を受け入れ空間部内に受け入れて弾圧的に掛け止め保持する合成樹脂製の吊り具部材と、
前記吊り具部材の保持主体部に上下摺動自在に嵌合され、かつ該保持主体部に対する高さ位置を選択的に設定して係着可能にしたフック主体部を有し、該フック主体部の窓側対応面から立ち上げて屈曲され、かつ該屈曲内面に吊り下げトップ面をもつフック部を設け、カーテンレールから摺動自在に吊下されるランナーのフックリングに該フック部の吊り下げトップ面を引掛け係着して支持点位置を定める合成樹脂製の位置決め駒部材とを備え、
前記保持主体部の下部延長部にも前記フック主体部を係着可能とすることによって、前記フック部の吊り下げトップ面を可及的に下方へ配置可能にし、かつ前記支持片の上縁に前記カーテンの上縁折り返し部の下端縫着部を受支させるようにしたことを特徴とするカーテン用吊り具装置。
【請求項3】
上下方向に所要有効長さa+Δa相当に設定した保持主体部を有し、該保持主体部の下部に、長さΔa相当の下部延長部を残した上で室内側対応面から上方へ向け屈曲延長される吊り下げ部を設けると共に、該吊り下げ部の上端部を弾性的に室内側対応面へ近接させて底部に支持ボトム面をもつ受け入れ空間部を形成させ、また、前記保持主体部の左右両側面部から延出する少なくとも1対の拘束片を一連的に形成させておき、カーテンの上縁折り返し部に形成される袋状部に吊り下げ部を嵌挿させ、かつ該上縁折り返し部を受け入れ空間部内に受け入れて弾圧的に掛け止め保持する合成樹脂製の吊り具部材と、
前記吊り具部材の保持主体部に上下摺動自在に嵌合され、かつ該保持主体部に対する高さ位置を選択的に設定して係着可能にしたフック主体部を有し、該フック主体部の窓側対応面から立ち上げて屈曲され、かつ該屈曲内面に吊り下げトップ面をもつフック部を設け、カーテンレールから摺動自在に吊下されるランナーのフックリングに該フック部の吊り下げトップ面を引掛け係着して支持点位置を定める合成樹脂製の位置決め駒部材とを備え、
前記保持主体部の下部延長部にも前記フック主体部を係着可能とすることによって、前記フック部の吊り下げトップ面を前記保持主体部に対して可及的に下方へ配置可能にし、かつ前記拘束片によって、前記カーテンの開披時に集束される該カーテン上部の畳み込みや横ぶれ等を抑制させるようにしたことを特徴とするカーテン用吊り具装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−130497(P2007−130497A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14156(P2007−14156)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【分割の表示】特願2000−299741(P2000−299741)の分割
【原出願日】平成12年9月29日(2000.9.29)
【出願人】(500454611)東邦繊維興業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】