説明

カードリーダおよびカードリーダの制御方法

【課題】カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能で、かつ、小型化および低コスト化が可能なカードリーダを提供すること。
【解決手段】カードに記録された磁気データを読み取るカードリーダは、磁気データを読み取るためのリードコアおよびリードコアに巻回されるリード側コイル32を有する磁気ヘッド17と、磁気データの読取時にリード側コイル32に流れる読取電流以外の非読取電流を、リード側コイル32に発生させるための非読取電流発生手段46とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録された磁気データを読み取るカードリーダおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録された磁気データを読み取るカードリーダが広く利用されている。この種のカードリーダでは、たとえば、カードが搬送されるカード搬送路に配置された磁気ヘッドによって、カードに記録された磁気データが読み取られている。また、カードリーダが利用される業界においては、従来、犯罪者が磁気ヘッドに信号線を取り付け、カードの磁気情報を不正に取得するいわゆるスキミングが大きな問題となっている。
【0003】
そこで、このスキミングを防止するための構成を備えるカードリーダが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダでは、磁気ヘッドを構成するコイルからの出力信号に基づいてカードに記録されている磁気データを復調する復調回路と、復調回路によって復調された磁気情報を所定の暗号化関数と鍵データとによって暗号化する暗号化回路とが、磁気ヘッドの本体部とともに磁気ヘッドのケースの中に収納されている。そのため、このカードリーダでは、磁気ヘッドから暗号化された磁気情報が出力される。したがって、このカードリーダでは、磁気ヘッドに取り付けられた信号線からカードの磁気情報が不正に取得されるスキミングを防止することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−189987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載のカードリーダでは、スキミングを防止することが可能である。しかしながら、このカードリーダでは、復調回路と暗号化回路とが磁気ヘッドのケースの中に収納されているため、磁気ヘッドが大型化する。したがって、特許文献1に記載のカードリーダでは、カードリーダを小型化することが困難である。また、復調回路と暗号化回路とがケースの中に収納された磁気ヘッドは高価であるため、特許文献1に記載のカードリーダでは、カードリーダのコストが高くなる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能で、かつ、小型化および低コスト化が可能なカードリーダを提供することにある。また、本発明の課題は、カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能で、カードリーダの小型化および低コスト化が可能となるカードリーダの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードに記録された磁気データを読み取るカードリーダにおいて、磁気データを読み取るためのリードコアおよびリードコアに巻回されるリード側コイルを有する磁気ヘッドと、磁気データの読取時にリード側コイルに流れる読取電流以外の非読取電流を、リード側コイルに発生させるための非読取電流発生手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のカードリーダは、磁気データの読取時にリード側コイルに流れる読取電流以外の非読取電流を、リード側コイルに発生させるための非読取電流発生手段を備えている。そのため、磁気データの読取時以外にリード側コイルに非読取電流を発生させれば、犯罪者が磁気ヘッドに信号線を取り付けてリード側コイルに流れる電流の波形を取得したとしても、犯罪者が読取電流と非読取電流とを判別する際の作業を困難にすることが可能になる。したがって、犯罪者にとって、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが困難になる。また、磁気データの読取時にリード側コイルに非読取電流を発生させれば、犯罪者が磁気ヘッドに信号線を取り付けてリード側コイルに流れる電流の波形を取得したとしても、読取電流に非読取電流が重畳されるため、犯罪者にとって、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが困難になる。その結果、本発明では、カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能になる。
【0009】
また、本発明では、磁気ヘッドの中に復調回路や暗号化回路を配置しなくてもカードの磁気情報の不正取得を防止することが可能になるため、特許文献1に記載のカードリーダと比較して、磁気ヘッドを小型化すること、および、磁気ヘッドのコストを低減することが可能になる。したがって、本発明では、カードリーダの小型化および低コスト化が可能になる。
【0010】
本発明において、非読取電流発生手段は、たとえば、リード側コイルが接続されるリード側信号線に接続されている。
【0011】
本発明において、たとえば、磁気ヘッドは、カードに磁気データを書き込むためのライトコアおよびライトコアに巻回されるライト側コイルを備えるとともに、リードコアとライトコアとが一体化されたリードライト一体型磁気ヘッドであり、非読取電流発生手段は、ライト側コイルが接続されるライト側信号線に接続され、非読取電流の波形の振幅は、カードに磁気データを書き込むための書込電流の波形の振幅よりも小さくなっている。この場合には、非読取電流発生手段は、書込電流をライト側コイルに流す書込電流発生手段であることが好ましい。このように構成すると、書込電流発生手段に加えて、新たに非読取電流発生手段を設ける必要がなくなるため、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
【0012】
本発明において、非読取電流の波形の振幅は、読取電流の波形の振幅と略等しいことが好ましい。このように構成すると、磁気データの読取時以外にリード側コイルに非読取電流を発生させれば、読取電流と非読取電流との判別がより困難になる。したがって、犯罪者にとって、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが一層困難になり、カードの磁気情報の不正取得を効果的に防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、非読取電流の波形の周期は、カードに記録された磁気データの記録密度とカードリーダ内でのカードの移動速度とによって定まる周期となっていることが好ましい。また、この場合には、磁気データの記録密度とカードリーダ内でのカードの移動速度とによって定まる周期の範囲内において、非読取電流の波形の周期は、不定期で変化することが好ましい。このように構成すると、磁気データの読取時以外にリード側コイルに非読取電流を発生させれば、読取電流と非読取電流との判別がより困難になる。したがって、犯罪者にとって、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが一層困難になり、カードの磁気情報の不正取得を効果的に防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、非読取電流がリード側コイルに流れたときに磁気ヘッドが発生させる磁界の強さは、カードに形成される磁気ストライプの抗磁力よりも弱くなっていることが好ましい。このように構成すると、非読取電流がリード側コイルに流れている状態の磁気ヘッドとカードとが接触しても、磁気ストライプに記録された磁気データが非読取電流の影響で破壊されるのを防止することが可能になる。
【0015】
本発明において、カードリーダは、磁気ヘッドで磁気データの読取が行われていることを検出するための読取状態検出手段を備え、非読取電流発生手段は、読取状態検出手段の検出結果に基づいて、リード側コイルに発生していた非読取電流を磁気ヘッドによる磁気データの読取開始前に停止させ、磁気ヘッドによる磁気データの読取終了後にリード側コイルに非読取電流を発生させることが好ましい。すなわち、読取状態検出手段の検出結果に基づいて、磁気データの読取時以外にリード側コイルに非読取電流を発生させることが好ましい。このように構成すると、犯罪者が読取電流と非読取電流とを判別する際の作業を困難にすることが可能になる。一方、カードリーダ側では、読取状態検出手段の検出結果に基づいて、読取電流と非読取電流とを適切に判別することが可能になるため、カードリーダは適切な磁気情報を取得することが可能になる。
【0016】
本発明において、カードリーダは、非読取電流発生手段が実装される回路基板を備え、回路基板には、リード側コイルに流れる電流のうちの非読取電流の成分をキャンセルするための非読取電流成分キャンセル手段が実装されていることが好ましい。このように構成すると、磁気データの読取時にリード側コイルに非読取電流を発生させる場合には、カードリーダは、重畳される非読取電流の成分をキャンセルして読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが可能になる。一方、このように構成すると、磁気データの読取時以外にリード側コイルに非読取電流を発生させる場合、あるいは、常時、リード側コイルに非読取電流を発生させるであっても、非読取電流成分キャンセル手段によって非読取電流の成分がキャンセルされるため、カードリーダは、磁気データの読取時以外には何らの情報も取得せず、かつ、磁気データの読取時には読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが可能になる。なお、このように構成すると、犯罪者が磁気ヘッドに信号線を取り付けたとしても、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが困難である。
【0017】
本発明において、カードリーダは、磁気ヘッドで磁気データの読取が行われていることを検出するための読取状態検出手段と、非読取電流発生手段が実装される回路基板とを備え、回路基板には、リード側コイルに流れる電流のうちの非読取電流の成分をキャンセルするための非読取電流成分キャンセル手段が実装され、非読取電流発生手段は、読取状態検出手段の検出結果に基づいて、磁気ヘッドによる磁気データの読取開始前に非読取電流をリード側コイルに発生させ、磁気ヘッドによる磁気データの読取終了後にリード側コイルに発生していた非読取電流を停止させることが好ましい。すなわち、読取状態検出手段の検出結果に基づいて、磁気データの読取時にリード側コイルに非読取電流を発生させることが好ましい。
【0018】
このように構成すると、読取電流に非読取電流が重畳されるため、犯罪者が磁気ヘッドに信号線を取り付けてリード側コイルに流れる電流の波形を取得したとしても、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することができなくなる。一方、カードリーダは、重畳される非読取電流の成分をキャンセルして読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが可能になる。また、このように構成すると、磁気データの読取時以外には、リード側コイルに電流が流れないため、カードの磁気情報の不正取得を防止するための対策がカードリーダに施されていることを犯罪者は認識しにくくなる。したがって、カードリーダのセキュリティ性を高めることが可能になる。また、このように構成すると、磁気データの読取時以外には、リード側コイルに電流が流れないため、カードリーダの省電力化を図ることが可能になる。
【0019】
本発明において、カードリーダは、リード側コイルに非読取電流が発生していることを検出するための非読取電流検出手段を備えることが好ましい。このように構成すると、たとえば、非読取電流発生手段とリード側信号線との間が切断される等の犯罪が実行されたことを検出することが可能になる。したがって、たとえば、非読取電流検出手段での検出結果に基づいて、カードリーダの使用ができないようにすることで、カードの磁気情報の不正取得を確実に防止することが可能になる。また、このように構成すると、たとえば、リード側コイルの断線等を検出することが可能になる。したがって、非読取電流検出手段での検出結果に基づいて、磁気ヘッドの交換時期を検出することが可能になり、カードリーダの信頼性を向上させることが可能になる。
【0020】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダの制御方法は、カードに記録された磁気データを読み取るためのリードコアおよびリードコアに巻回されるリード側コイルを有する磁気ヘッドを備えるカードリーダの制御方法において、磁気データの読取時にリード側コイルに流れる読取電流以外の非読取電流を、カードリーダにカードが挿入される前からリード側コイルに発生させる非読取電流発生ステップと、磁気ヘッドによる磁気データの読取開始前にリード側コイルに発生していた非読取電流を停止させる非読取電流停止ステップと、磁気ヘッドによる磁気データの読取終了後にリード側コイルに非読取電流を発生させる非読取電流再発生ステップとを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明のカードリーダの制御方法では、非読取電流発生ステップで、カードリーダにカードが挿入される前からリード側コイルに非読取電流を発生させ、非読取電流停止ステップで、磁気ヘッドによる磁気データの読取開始前にリード側コイルに発生していた非読取電流を停止させ、非読取電流再発生ステップで、磁気ヘッドによる磁気データの読取終了後にリード側コイルに非読取電流を発生させている。そのため、犯罪者が磁気ヘッドに信号線を取り付けてリード側コイルに流れる電流の波形を取得したとしても、犯罪者が読取電流と非読取電流とを判別する際の作業を困難にすることが可能になる。したがって、犯罪者にとって、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが困難になる。その結果、本発明では、カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能になる。
【0022】
また、本発明の制御方法を用いれば、磁気ヘッドの中に復調回路や暗号化回路を配置しなくてもカードの磁気情報の不正取得を防止することが可能になるため、特許文献1に記載のカードリーダと比較して、磁気ヘッドを小型化すること、および、磁気ヘッドのコストを低減することが可能になる。したがって、本発明では、カードリーダの小型化および低コスト化が可能になる。
【0023】
さらに、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダの制御方法は、カードに記録された磁気データを読み取るためのリードコアおよびリードコアに巻回されるリード側コイルを有する磁気ヘッドを備えるカードリーダの制御方法において、磁気データの読取時にリード側コイルに流れる読取電流以外の非読取電流を、磁気ヘッドによる磁気データの読取開始前にリード側コイルに発生させる非読取電流発生ステップと、磁気ヘッドによる磁気データの読取終了後にリード側コイルに発生していた非読取電流を停止させる非読取電流停止ステップとを備え、非読取電流発生ステップでは、カードリーダの回路基板内において、リード側コイルに流れる電流のうちの非読取電流の成分がキャンセルされていることを特徴とする。
【0024】
本発明のカードリーダの制御方法では、非読取電流発生ステップで、磁気ヘッドによる磁気データの読取開始前に非読取電流を発生させ、非読取電流停止ステップで、磁気ヘッドによる磁気データの読取終了後にリード側コイルに発生していた非読取電流を停止させている。したがって、犯罪者が磁気ヘッドに信号線を取り付けてリード側コイルに流れる電流の波形を取得したとしても、読取電流に非読取電流が重畳されているため、犯罪者にとって、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが困難になる。その結果、本発明では、カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能になる。
【0025】
また、本発明の制御方法を用いれば、磁気ヘッドの中に復調回路や暗号化回路を配置しなくてもカードの磁気情報の不正取得を防止することが可能になるため、特許文献1に記載のカードリーダと比較して、磁気ヘッドを小型化すること、および、磁気ヘッドのコストを低減することが可能になる。したがって、本発明では、カードリーダの小型化および低コスト化が可能になる。なお、本発明では、非読取電流発生ステップで、カードリーダの回路基板内において、リード側コイルに流れる電流のうちの非読取電流の成分がキャンセルされているため、カードリーダは、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが可能である。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明のカードリーダでは、カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能で、かつ、小型化および低コスト化が可能になる。また、本発明のカードリーダの制御方法を用いると、カードの磁気情報の不正取得を防止することが可能で、かつ、カードリーダの小型化および低コスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの主要部の概略構成を説明するための平面図である。
【図2】図1に示す磁気ヘッドの内部の概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のE−E断面の断面図である。
【図3】図1に示すプリヘッドの内部の概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図4】図1に示すカードリーダの制御部およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示すプリヘッドに流れる電流の波形の一例を示す図である。
【図6】図1に示すプリヘッドの概略制御の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施の形態にかかる制御部およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の他の実施の形態にかかる制御部およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の他の実施の形態にかかる制御部およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。
【図10】図1に示すプリヘッドの概略制御の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の主要部の概略構成を説明するための平面図である。
【0030】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取と、カード2への磁気データの書込とを行うための装置である。このカードリーダ1は、図1に示すように、カード2に記録された磁気データの読取およびカード2への磁気データの書込を行うカード処理部3と、カード2が挿入、排出されるカード挿入口4が形成されるカード挿入部5とを備えている。カードリーダ1の内部には、カード挿入口4から挿入されたカード2が搬送されるカード搬送路6が形成されている。
【0031】
本形態では、図1のX方向(左右方向)にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。また、図1のZ方向(紙面垂直方向)は、カード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1のY方向(上下方向)は、カード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0032】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2には、磁気ストライプ2aが形成されている。なお、カード2には、ICチップが固定されても良いし、通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0033】
カード処理部3は、カード搬送路6でカード2を搬送するためのカード搬送機構8と、磁気データの読取および書込を行う磁気ヘッド9と、カード搬送路6内のカード2の有無を検出するためのフォトセンサ10とを備えている。
【0034】
カード搬送機構8は、3個の搬送ローラ11と、搬送ローラ11を回転駆動する駆動用モータ12と、駆動用モータ12の動力を搬送ローラ11に伝達する動力伝達機構13とを備えている。また、カード搬送機構8は、搬送ローラ11に対向配置されるとともに搬送ローラ11に向かって付勢されるパッドローラ(図示省略)を備えている。3個の搬送ローラ11は、カード2の搬送方向で所定の間隔をあけた状態で配置されている。
【0035】
磁気ヘッド9は、図1に示すように、カード2の搬送方向において、カード処理部3の中央部に配置される搬送ローラ11の回転中心と磁気ヘッド9の中心とがX方向で略一致するように配置されている。また、磁気ヘッド9には、カード搬送路6を通過するカード2に対して磁気ヘッド9に向かう付勢力を与えるための対向ローラ14が対向配置されている。磁気ヘッド9の詳細な構成については後述する。
【0036】
フォトセンサ10は、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサである。このフォトセンサ10は、図1に示すように、カード2の搬送方向において、磁気ヘッド9の中心とフォトセンサ10の中心とがX方向において略一致するように配置されている。本形態では、磁気ヘッド9は、フォトセンサ10によってカード2の先端が検出された直後から磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取り、フォトセンサ10によってカード2が検出されなくなる直前に磁気データの読取を終える。すなわち、本形態では、フォトセンサ10によって磁気ヘッド9で磁気データの読取が行われているか否かを検出することが可能である。
【0037】
カード挿入部5は、カード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを検出するためのカード挿入検出機構15と、カード搬送路6を開閉するシャッタ部材16と、磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取るプリヘッド(磁気ヘッド)17とを備えている。
【0038】
カード挿入検出機構15は、カード2の幅方向の一方の端部に接触可能なセンサレバー20と、センサレバー20がカード2に接触しているか否かを検出するカード幅センサ21とを備えている。
【0039】
センサレバー20は、所定の回動軸を中心に回動可能となっており、カード搬送路6に出没可能となっている。カード幅センサ21は、レバー部材とレバー部材に押圧される接点とを備える接点スイッチである。本形態では、カード挿入口4から挿入されたカード2の幅方向の端部がセンサレバー20に接触すると、センサレバー20が回動して、カード幅センサ21のレバー部材に接触し、レバー部材によって接点が押圧される。すなわち、本形態のカード幅センサ21は、カード挿入口4から挿入されたカード2がセンサレバー20に接触することを検出することで、カード挿入口4からカード2が挿入されたことを検出する。
【0040】
なお、カード幅センサ21は、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサであっても良い。また、カード挿入検出機構15は、カード2の幅方向の端部に直接、接触する接点を有する機械式の検出機構であっても良い。
【0041】
プリヘッド17は、カード2の搬送方向において、カード挿入口4の近傍に配置されている。具体的には、プリヘッド17は、センサレバー20のカード2との当接部分の近傍に配置されている。本形態では、プリヘッド17は、カード挿入検出機構15によってカード2の先端が検出された直後から磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取り、カード挿入検出機構15によってカード2が検出されなくなる直前に磁気データの読取を終える。すなわち、本形態では、カード挿入検出機構15によってプリヘッド17で磁気データの読取が行われているか否かを検出することが可能である。本形態のカード挿入検出機構15は、プリヘッド17で磁気データの読取が行われていることを検出するための読取状態検出手段である。プリヘッド17の詳細な構成については、後述する。
【0042】
(磁気ヘッドおよびプリヘッドの構成)
図2は、図1に示す磁気ヘッド9の内部の概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示すプリヘッド17の内部の概略構成を説明するための図であり、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【0043】
磁気ヘッド9は、図2に示すように、磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取るためのリードコア25と、磁気ストライプ2aに磁気データを書き込むためのライトコア26と、リードコア25に巻回されるリード側コイル27と、ライトコア26に巻回されるライト側コイル28とを備えている。また、磁気ヘッド9は、たとえば、図2(A)の上下方向におけるリードコア25の両側にスペーサ29を介して配置されるダミーコア30を備えている。リードコア25、ライトコア26、リード側コイル27、ライト側コイル28およびダミーコア30は、図示を省略するケースの中に収納されている。
【0044】
本形態の磁気ヘッド9は、リードコア25とライトコア26とが一体化されたリードライト一体型の磁気ヘッドであり、その先端(図2(B)の上端)には、ギャップG1が形成されている。なお、本形態では、磁気ストライプ2aに3トラック分の磁気データが記録可能となっており、実際には、磁気ヘッド9は、リードコア25、ライトコア26、リード側コイル27、ライト側コイル28およびダミーコア30を3組備えている。
【0045】
プリヘッド17は、図3に示すように、磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取るためのリードコア31と、リードコア31に巻回されるリード側コイル32とを備えている。また、プリヘッド17は、たとえば、ダミーコア33を備えている。リードコア31、リード側コイル32およびダミーコア33は、図示を省略するケースの中に収納されている。また、プリヘッド17の先端(図3(B)の上端)には、ギャップG2が形成されている。なお、本形態のプリヘッド17は、磁気ストライプ2aに記録される3トラック分の磁気データのうちの2トラック分の磁気データの読取が可能となっており、実際には、プリヘッド17は、リードコア31、リード側コイル32およびダミーコア33を2組備えている。
【0046】
(カードリーダの制御部の概略構成)
図4は、図1に示すカードリーダ1の制御部40およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。図5は、図1に示すプリヘッド17に流れる電流の波形の一例を示す図である。なお、図4では、プリヘッド17の制御に関連する制御部40の構成のみが図示されている。
【0047】
カードリーダ1の各種の制御を行う制御部40の各構成は、回路基板(図示省略)に実装されている。すなわち、以下に説明する読取制御回路42、増幅回路43、磁気検出回路44および擬似電流発生回路46は、回路基板に実装されている。また、制御部40には、カードリーダ1が搭載されるATM等の上位装置を制御する上位制御部41に接続されている。
【0048】
制御部40は、プリヘッド17の制御に関連する構成として、読取制御回路42を備えている。読取制御回路42は、たとえば、CPUである。読取制御回路42には、増幅回路43および磁気検出回路44を介して、プリヘッド17のリード側コイル32が接続されている。すなわち、リード側コイル32に流れる電流は、増幅回路43で増幅され、磁気検出回路44を介して読取制御回路42に入力される。また、読取制御回路42には、カード幅センサ21が接続されている。なお、プリヘッド17のリード側コイル32と回路基板とは、フレキシブルプリント基板(FPC)やリード線等の接続ケーブル45によって接続されている。また、増幅回路43は、たとえば、オペアンプであり、リード側コイル32の両端のそれぞれは、増幅回路43の非反転入力端子および反転入力端子に接続されている。
【0049】
また、制御部40は、プリヘッド17の制御に関連する構成として、カード2に記録された磁気データの読取時にリード側コイル32に流れる読取電流に似た擬似電流を、リード側コイル32に発生させるための擬似電流発生回路46を備えている。本形態の擬似電流は、読取電流以外の非読取電流であり、擬似電流発生回路46は、非読取電流である擬似電流を発生させる非読取電流発生手段となっている。
【0050】
擬似電流発生回路46は、読取制御回路42に接続されており、擬似電流発生回路46には、読取制御回路42の制御信号が入力される。また、擬似電流発生回路46は、接続ケーブル45と増幅回路43とを繋ぐ回路パターン47の一方に接続されており、回路パターン47の一方に向かって信号を出力する。擬似電流発生回路46が回路パターン47の一方に向かって信号を出力すると、リード側コイル32には擬似電流が発生する。なお、本形態では、回路パターン47は、回路基板上に形成されており、この回路パターン47の一方に擬似電流発生回路46が接続されているが、擬似電流発生回路46は、所定の接続ケーブルを介して接続ケーブル45に接続されても良い。本形態の接続ケーブル45および回路パターン47は、リード側コイル32が接続されるリード側信号線である。
【0051】
本形態では、擬似電流発生回路46は、図5に示すように、プリヘッド17によるカード2の磁気データの読取時以外に(すなわち、リード側コイル32に読取電流が流れているとき以外に)、リード側コイル32に擬似電流を発生させる。なお、図5において、縦軸は、リード側コイル32に流れる電流の波形の大きさ(振幅)を示し、横軸は、時間を示している。
【0052】
また、本形態では、擬似電流発生回路46は、図5に示すように、読取電流(すなわち、磁気データの読取時にリード側コイル32に流れる電流)の波形の振幅と略等しい振幅を持つ波形からなる擬似電流をリード側コイル32に発生させる。すなわち、擬似電流の波形の振幅は、読取電流の波形の振幅と略等しくなっている。
【0053】
ここで、プリヘッド17の読取電流の振幅は、磁気ヘッド9がカード2に磁気データを記録する際にライト側コイル28に流れる書込電流の振幅よりも非常に小さい。すなわち、読取電流は、書込電流よりも非常に小さく、擬似電流は、書込電流よりも非常に小さくなっている。たとえば、擬似電流の振幅は、書込電流の振幅の約1000分の1程度の大きさである。すなわち、本形態では、擬似電流がリード側コイル32に流れたときにプリヘッド17が発生させる磁界の強さは、磁気ストライプ2aの抗磁力よりも非常に弱くなっている。
【0054】
また、本形態では、擬似電流発生回路46は、カード2に記録された磁気データの記録密度に対応する周期を持つ波形からなる擬似電流をリード側コイル32に発生させる。すなわち、擬似電流の波形の周期は、磁気データの記録密度に対応する周期となっている。より具体的には、擬似電流の波形の周期は、磁気データの記録密度とカード2の搬送速度(すなわち、カードリーダ1内でのカード2の移動速度)とによって定まる周期となっている。
【0055】
たとえば、磁気データの記録方式がF2F方式である場合には、擬似電流発生回路46は、図5に示すように、磁気データの記録密度とカード2の搬送速度とによって決定される周期T1の波形と周期T1の2倍の周期T2を持つ波形との組合せからなる擬似電流をリード側コイル32に発生させる。また、擬似電流発生回路46は、図5に示すように、磁気データの記録密度とカード2の搬送速度とによって定まる周期の範囲内において、不定期で周期が変化する擬似電流をリード側コイル32に発生させる。すなわち、擬似電流発生回路46は、その周期が周期T1と周期T2とに不規則に変化する擬似電流をリード側コイル32に発生させる。
【0056】
(プリヘッドの概略制御)
図6は、図1に示すプリヘッド17の概略制御の一例を示すフローチャートである。
【0057】
本形態のカードリーダ1は、たとえば、以下のように、プリヘッド17が制御される。すなわち、上述のように、制御部40(具体的には、擬似電流発生回路46)は、カード2に記録された磁気データの読取時以外に(すなわち、リード側コイル32に読取電流が流れているとき以外に)、リード側コイル32に擬似電流を発生させており、カードリーダ1にカード2が挿入されていない待機状態においても、リード側コイル32に擬似電流が発生している(ステップS1)。
【0058】
この状態で、制御部40は、カード幅センサ21がオン(ON)になったか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、制御部40は、カード幅センサ21からの出力信号に基づいて、カード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを判断する。カード挿入口4からカード2が挿入され、カード幅センサ21がオンになると(すなわち、ステップS2において「Yes」になると)、その直後からプリヘッド17が磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取るため、制御部40(具体的には、擬似電流発生回路46)は、リード側コイル32に発生していた擬似電流を停止させる(ステップS3)。
【0059】
この状態で、制御部40は、カード幅センサ21がオフ(OFF)になったか否かを判断する(ステップS4)。すなわち、制御部40は、カード幅センサ21からの出力信号に基づいて、カード2の後端がセンサレバー20を通過したか否かを判断する。カード2の後端がセンサレバー20を通過して、カード幅センサ21がオフになると(すなわち、ステップS4において「Yes」になると)、その直前にプリヘッド17が磁気データの読取を終えているため、ステップS1に戻り、制御部40は、リード側コイル32に擬似電流を発生させる。
【0060】
このように、本形態では、カード幅センサ21の検出結果に基づいて(すなわち、カード挿入検出機構15の検出結果に基づいて)、リード側コイル32に発生していた擬似電流をプリヘッド17による磁気データの読取開始直前に停止させている。また、カード幅センサ21の検出結果に基づいて、プリヘッド17による磁気データの読取終了直後にリード側コイル32に擬似電流を発生させている。そのため、リード側コイル32には、図5に示すような電流が流れる。なお、読取制御回路42は、カード幅センサ21のオンからオフまでの間に入力された信号に基づいて、磁気データを復調する。そのため、カードリーダ1では、磁気データの読取時以外にリード側コイル32に擬似電流が発生していても、正確な磁気情報を取得することができる。
【0061】
ここで、読取制御回路42および磁気検出回路44は、ステップS1において、リード側コイル32に擬似電流が発生しているか否かを常時、監視している。ステップS1において、リード側コイル32に擬似電流が発生していない場合には、擬似電流発生回路46と回路パターン47との間が切断される等の何らかに犯罪が実行されたおそれがある。そこで、ステップS1において、リード側コイル32に擬似電流が発生していないことが検出された場合には、制御部40は、カードリーダ1をカード2の挿入ができない状態にする。または、この場合には、制御部40は、異常が発生したことを知らせる信号を上位制御部41に向かって出力し、上位制御部41は、上位装置にアラームを発生させる。また、アラームを発生させることで点検が必要であることをユーザに知らせ、点検を促す。本形態の読取制御回路42および磁気検出回路44は、リード側コイル32に非読取電流である擬似電流が発生していることを検出するための非読取電流検出手段である。
【0062】
なお、本形態では、ステップS1は、カードリーダ1にカード2が挿入される前からリード側コイル32に非読取電流である擬似電流を発生させる非読取電流発生ステップである。また、ステップS3は、プリヘッド17による磁気データの読取開始前にリード側コイル32に発生していた擬似電流を停止させる非読取電流停止ステップである。さらに、ステップS4を経た後のステップS1は、プリヘッド17による磁気データの読取終了後にリード側コイル32に擬似電流を発生させる非読取電流再発生ステップである。
【0063】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカードリーダ1は、擬似電流をリード側コイル32に発生させるための擬似電流発生回路46を備えている。また、本形態では、カード挿入検出機構15の検出結果に基づいて、リード側コイル32に発生していた擬似電流を、プリヘッド17による磁気データの読取開始直前に停止させ、プリヘッド17による磁気データの読取終了直後にリード側コイル32に擬似電流を発生させている。すなわち、本形態では、プリヘッド17による磁気データの読取時以外にリード側コイル32に擬似電流を発生させている。
【0064】
そのため、上述のように、リード側コイル32には、図5に示すような電流が流れる。したがって、犯罪者がプリヘッド17に信号線を取り付けてリード側コイル32に流れる電流の波形を取得したとしても、読取電流と擬似電流とを判別することは困難になる。特に本形態では、擬似電流の波形の振幅は、読取電流の波形の振幅と略等しくなっている。また、本形態では、擬似電流の波形の周期は、カード2に記録された磁気データの記録密度とカード2の搬送速度とによって定まる周期となっている。さらに、本形態では、磁気データの記録密度とカード2の搬送速度とによって定まる周期の範囲内において、擬似電流の波形の周期は、不定期で変化している。そのため、犯罪者がリード側コイル32に流れる電流の波形を取得したとしても、読取電流と擬似電流とを判別することは非常に困難である。すなわち、犯罪者が読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することは非常に困難である。その結果、本形態では、カード2の磁気情報の不正取得を防止することが可能になる。
【0065】
なお、本形態では、上述のように、読取制御回路42は、カード幅センサ21のオンからオフまでの間に入力された信号に基づいて、磁気データを復調するため、磁気データの読取時以外にリード側コイル32に擬似電流が発生していても、カードリーダ1は、読取電流と擬似電流とを適切に判別して、正確な磁気情報を取得することができる。
【0066】
また、本形態では、プリヘッド17の中に復調回路や暗号化回路を配置しなくてもカード2の磁気情報の不正取得を防止することが可能になるため、プリヘッド17を小型化すること、および、プリヘッド17のコストを低減することが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1の小型化および低コスト化が可能になる。
【0067】
本形態では、擬似電流がリード側コイル32に流れたときにプリヘッド17が発生させる磁界の強さは、磁気ストライプ2aの抗磁力よりも非常に弱くなっている。そのため、たとえば、イレギュラーなカード2が挿入され、カード挿入検出機構15によってカード2が検出されずに、リード側コイル32に擬似電流が発生している状態のプリヘッド17にカード2が接触しても、挿入されたカード2の磁気ストライプ2aに記録された磁気データが擬似電流の影響で破壊されるのを防止することができる。
【0068】
本形態では、読取制御回路42および磁気検出回路44は、ステップS1において、リード側コイル32に擬似電流が発生しているか否かを常時、監視している。そのため、上述のように、何らかに犯罪が実行されたことを検出することが可能になり、上位装置がアラームを発生する等の所定の処理を実行することが可能になる。したがって、本形態では、カード2の磁気情報の不正取得をより確実に防止することが可能になる。また、本形態では、読取制御回路42および磁気検出回路44での検出結果に基づいて、たとえば、リード側コイル32の断線等を検出することが可能になる。したがって、読取制御回路42および磁気検出回路44での検出結果に基づいて、プリヘッド17の交換時期を検出することが可能になり、カードリーダ1の信頼性を向上させることが可能になる。
【0069】
(変形例1)
図7は、本発明の他の実施の形態にかかる制御部40およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。なお、図7では、磁気ヘッド9の制御に関連する制御部40の構成のみが図示されている。
【0070】
上述した形態では、プリヘッド17による磁気データの読取時以外にリード側コイル32に擬似電流を発生させている。この他にもたとえば、磁気ヘッド9による磁気データの読取時以外にリード側コイル27に擬似電流を発生させても良い。以下、この場合の制御部40の概略構成と磁気ヘッド9の概略制御の一例を説明する。
【0071】
制御部40は、磁気ヘッド9の制御に関連する構成として、書込制御回路51と読取制御回路52とを備えている。書込制御回路51および読取制御回路52は、たとえば、CPUである。書込制御回路51には、磁気ヘッド9のライト側コイル28が接続されており、書込制御回路51からの出力信号に基づいて、カード2に磁気データを書き込むための書込電流がライト側コイル28に発生する。すなわち、書込制御回路51は、磁気データを書き込むための書込電流をライト側コイル28に流す書込電流発生手段である。
【0072】
読取制御回路52には、増幅回路53および磁気検出回路54を介して、磁気ヘッド9のリード側コイル27が接続されており、リード側コイル27に流れる電流は、増幅回路53で増幅され、磁気検出回路54を介して読取制御回路52に入力される。また、読取制御回路52には、フォトセンサ10が接続されている。なお、磁気ヘッド9のリード側コイル27およびライト側コイル28と回路基板とは、フレキシブルプリント基板(FPC)やリード線等の接続ケーブル55によって接続されている。
【0073】
また、制御部40は、磁気ヘッド9の制御に関連する構成として、カード2に記録された磁気データの読取時にリード側コイル27に流れる読取電流に似た擬似電流を、リード側コイル27に発生させるための擬似電流発生回路56を備えている。この場合の擬似電流は、読取電流以外の非読取電流であり、擬似電流発生回路56は、非読取電流である擬似電流を発生させる非読取電流発生手段となっている。
【0074】
擬似電流発生回路56は、読取制御回路52に接続されており、擬似電流発生回路56には、読取制御回路52の制御信号が入力される。また、擬似電流発生回路56は、接続ケーブル55と増幅回路53とを繋ぐ回路パターン57の一方に接続されており、回路パターン57の一方に向かって信号を出力する。擬似電流発生回路56が回路パターン57の一方に向かって信号を出力すると、リード側コイル27には擬似電流が発生する。なお、本形態では、回路パターン57は、回路基板上に形成されており、この回路パターン57の一方に擬似電流発生回路56が接続されているが、擬似電流発生回路56は、所定の接続ケーブルを介して接続ケーブル55に接続されても良い。接続ケーブル55および回路パターン57は、リード側コイル27が接続されるリード側信号線である。
【0075】
擬似電流発生回路46と同様に、擬似電流発生回路56は、磁気ヘッド9によるカード2の磁気データの読取時以外に、リード側コイル27に擬似電流を発生させる。また、擬似電流発生回路56は、読取電流の波形の振幅と略等しい振幅を持つ波形からなる擬似電流をリード側コイル27に発生させる。さらに、擬似電流発生回路56は、カード2に記録された磁気データの記録密度に対応する周期を持つ波形からなる擬似電流をリード側コイル27に発生させる。また、擬似電流発生回路56は、不定期で周期が変化する擬似電流をリード側コイル27に発生させる。
【0076】
なお、書込制御回路51、読取制御回路52、増幅回路53、磁気検出回路54および擬似電流発生回路56は、回路基板に実装されている。
【0077】
磁気ヘッド9は、プリヘッド17と同様に制御される。たとえば、磁気ヘッド9は、以下のように制御される。すなわち、擬似電流発生回路56は、カードリーダ1にカード2が挿入されていない待機状態においても、リード側コイル27に擬似電流を発生させている。また、制御部40は、フォトセンサ10からの出力信号に基づいてカード2の先端がフォトセンサ10に到達したか否かを判断する。カード2の先端がフォトセンサ10に到達してフォトセンサ10がオンになると、その直後から、磁気ヘッド9が磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取るため、擬似電流発生回路56は、フォトセンサ10がオンになると、リード側コイル27に発生していた擬似電流を停止させる。
【0078】
その後、制御部40は、フォトセンサ10からの出力信号に基づいて、カード2の後端がフォトセンサ10を通過したか否かを判断する。カード2の後端がフォトセンサ10を通過してフォトセンサ10がオフになると、その直前に磁気ヘッド9が磁気データの読取を終えているため、擬似電流発生回路56は、リード側コイル32に擬似電流を発生させる。
【0079】
このように、磁気ヘッド9による磁気データの読取時以外にリード側コイル27に擬似電流を発生させる場合であっても、上述した形態と同様に、カード2の磁気情報の不正取得を防止することが可能になる。また、カードリーダ1の小型化および低コスト化が可能になる。なお、この場合には、フォトセンサ10は、磁気ヘッド9で磁気データの読取が行われていることを検出するための読取状態検出手段である。
【0080】
(変形例2)
図8は、本発明の他の実施の形態にかかる制御部40およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。なお、図8では、磁気ヘッド9の制御に関連する制御部40の構成のみが図示されている。
【0081】
上述した変形例1では、擬似電流発生回路56は、回路パターン57の一方に接続されており、擬似電流発生回路56が回路パターン57の一方に向かって信号を出力すると、リード側コイル27に擬似電流が発生する。すなわち、上述した変形例1では、リード用コイル27に信号を供給して、リード側コイル27に擬似電流を発生させている。この他にもたとえば、ライト側コイル28に信号を供給し、ライト側コイル28に電流を流すことで、電磁誘導によって、リード側コイル27に擬似電流を発生させても良い。
【0082】
この場合には、書込制御回路51と接続ケーブル55とを繋ぐ回路パターンに擬似電流発生回路56が接続されても良いが、書込制御回路51を利用して、ライト側コイル28に電流を流すことで、リード側コイル27に擬似電流を発生させても良い。すなわち、書込制御回路51に擬似電流発生回路56の機能を持たせても良い。すなわち、非読取電流である擬似電流を発生させるための非読取電流発生手段が書込制御回路51であっても良い。
【0083】
非読取電流発生手段が書込制御回路51である場合には、図8に示すように、擬似電流発生回路56が不要となる。また、この場合には、書込制御回路51にフォトセンサ10が接続されている。また、書込制御回路51は、リード側コイル27に擬似電流を発生させる際にライト側コイル28に流す誘導電流を、書込電流よりも小さくするための減衰回路(図示省略)を備えている。また、書込制御回路51は、回路基板上に形成される回路パターン58および接続ケーブル55を介してライト側コイル28に接続されている。接続ケーブル55および回路パターン58は、ライト側コイル28が接続されるライト側信号線である。
【0084】
また、書込制御回路51は、磁気ヘッド9によるカード2の磁気データの読取時以外に、リード側コイル27に擬似電流が発生するようにライト側コイル28に誘導電流を流す。このとき、書込制御回路51は、読取電流の波形の振幅と略等しい振幅を持つ波形からなる擬似電流がリード側コイル27に発生するようにライト側コイル28に誘導電流を流す。また、書込制御回路51は、カード2に記録された磁気データの記録密度に対応する周期を持つ波形からなる擬似電流がリード側コイル27に発生するようにライト側コイル28に誘導電流を流す。また、書込制御回路51は、不定期で周期が変化する擬似電流がリード側コイル27に発生するようにライト側コイル28に誘導電流を流す。なお、誘導電流がライト側コイル28に流れたときに磁気ヘッド9が発生させる磁界の強さは、磁気ストライプ2aの抗磁力よりも非常に弱くなっている。
【0085】
この場合には、磁気ヘッド9は、たとえば、以下のように制御される。すなわち、カードリーダ1にカード2が挿入されていない待機状態においても、リード側コイル27に擬似電流が発生するように、書込制御回路51は、ライト側コイル28に誘導電流を流している。また、制御部40は、フォトセンサ10からの出力信号に基づいてカード2の先端がフォトセンサ10に到達したか否かを判断する。カード2の先端がフォトセンサ10に到達してフォトセンサ10がオンになると、その直後から、磁気ヘッド9が磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取るため、書込制御回路51は、フォトセンサ10がオンになると、ライト側コイル28に流していた誘導電流を停止させ、リード側コイル27に発生していた擬似電流を停止させる。
【0086】
その後、制御部40は、フォトセンサ10からの出力信号に基づいて、カード2の後端がフォトセンサ10を通過したか否かを判断する。カード2の後端がフォトセンサ10を通過してフォトセンサ10がオフになると、その直前に磁気ヘッド9が磁気データの読取を終えているため、書込制御回路51は、ライト側コイル28に誘導電流を流し、リード側コイル32に擬似電流を発生させる。
【0087】
このように、ライト側コイル28に電流を流すことで、電磁誘導によって、リード側コイル27に擬似電流を発生させる場合であっても、上述した形態と同様の効果を得ることができる。また、書込制御回路51を利用して、ライト側コイル28に電流を流すことで、リード側コイル27に擬似電流を発生させる場合には、擬似電流発生回路56が不要になるため、制御部40の構成を簡素化することが可能になる。
【0088】
(変形例3)
図9は、本発明の他の実施の形態にかかる制御部40およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。図10は、図1に示すプリヘッド17の概略制御の他の例を示すフローチャートである。なお、図9では、プリヘッド17の制御に関連する制御部40の構成のみが図示されている。
【0089】
上述した形態では、擬似電流発生回路46は、プリヘッド17によるカード2の磁気データの読取時以外に、リード側コイル32に擬似電流を発生させている。この他にもたとえば、リード側コイル32に流れる電流のうちの擬似電流の成分をキャンセルするための回路が回路基板に実装されている場合には、プリヘッド17によるカード2の磁気データの読取時に、リード側コイル32に擬似電流を発生させても良い。以下、この場合の制御部40の概略構成とプリヘッド17の概略制御の一例を説明する。
【0090】
この場合には、図9に示すように、リード側コイル32の一端は、接続ケーブル45および回路パターン47を介して増幅回路43の非反転入力端子に接続され、リード側コイル32の他端は、接続ケーブル45等を介して接地されている。また、擬似電流発生回路46の出力側に繋がる回路パターン48は、2本に分岐されており、その一方は回路パターン47に接続され、他方は増幅回路43の反転入力端子に接続されている。
【0091】
そのため、この場合には、増幅回路43において、リード側コイル32に流れる電流のうちの擬似電流の成分がキャンセルされる。すなわち、本形態の増幅回路43は、リード側コイル32に流れる電流のうちの非読取電流である擬似電流の成分をキャンセルするための非読取電流成分キャンセル手段である。
【0092】
また、この場合には、プリヘッド17は、たとえば、以下のように制御される。すなわち、カードリーダ1にカード2が挿入されていない待機状態において、制御部40は、カード幅センサ21がオンになったか否かを判断する(ステップS11)。すなわち、制御部40は、カード幅センサ21からの出力信号に基づいてカード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを判断する。カード挿入口4からカード2が挿入され、カード幅センサ21がオンになると(すなわち、ステップS11において「Yes」になると)、その直後からプリヘッド17が磁気ストライプ2aに記録された磁気データを読み取るため、擬似電流発生回路46は、リード側コイル32に擬似電流を発生させる(ステップS12)。なお、ステップS12では、上述のように、回路基板に実装される増幅回路43によって、リード側コイル32に流れる電流のうちの擬似電流の成分がキャンセルされている。
【0093】
この状態で、制御部40は、カード幅センサ21がオフになったか否かを判断する(ステップS13)。すなわち、制御部40は、カード幅センサ21からの出力信号に基づいて、カード2の後端がセンサレバー20を通過したか否かを判断する。カード2の後端がセンサレバー20を通過して、カード幅センサ21がオフになると(すなわち、ステップS13において「Yes」になると)、その直前にプリヘッド17が磁気データの読取を終えているため、擬似電流発生回路46は、リード側コイル32に発生していた擬似電流を停止させ(ステップS14)、その後、ステップS11に戻る。
【0094】
このように、カード幅センサ21の検出結果に基づいて、プリヘッド17による磁気データの読取開始直前に擬似電流をリード側コイル32に発生させている。また、カード幅センサ21の検出結果に基づいて、プリヘッド17による磁気データの読取終了直後にリード側コイル32に発生していた擬似電流を停止させている。ここで、上述のように、増幅回路43において、リード側コイル32に流れる電流のうちの擬似電流の成分がキャンセルされるため、磁気データの読取時にリード側コイル32に擬似電流が発生していても、読取制御回路42は、適切な磁気データを復調することができ、カードリーダ1は、正確な磁気情報を取得することができる。また、擬似電流がリード側コイル32に流れたときにプリヘッド17が発生させる磁界の強さは、磁気ストライプ2aの抗磁力よりも非常に弱くなっているため、磁気ストライプ2aに記録された磁気データが擬似電流の影響で破壊されるのを防止することができる。
【0095】
なお、この場合には、ステップS12は、プリヘッド17による磁気データの読取開始前にリード側コイル32に非読取電流である擬似電流を発生させる非読取電流発生ステップである。また、ステップS14は、プリヘッド17による磁気データの読取終了後にリード側コイル32に発生していた擬似電流を停止させる非読取電流停止ステップである。
【0096】
このように、プリヘッド17によるカード2の磁気データの読取時に、リード側コイル32に擬似電流を発生させる場合には、犯罪者がプリヘッド17に信号線を取り付けてリード側コイル32に流れる電流の波形を取得したとしても、読取電流に擬似電流が重畳されているため、犯罪者にとって、読取電流に基づく正確な磁気情報を取得することが困難になる。したがって、上述した形態と同様に、カード2の磁気情報の不正取得を防止することが可能になる。また、この場合には、磁気データの読取時に、リード側コイル32に擬似電流を発生させれば良いため、カードリーダ1の省電力化を図ることが可能になる。さらに、この場合には、磁気データの読取時以外には、リード側コイル32に電流が流れないため、カード2の磁気情報の不正取得を防止するための対策がカードリーダ1に施されていることを犯罪者は認識しにくくなる。したがって、カードリーダ1のセキュリティ性を高めることが可能になる。
【0097】
なお、増幅回路43において、リード側コイル32に流れる電流のうちの擬似電流の成分がキャンセルされる場合であっても、プリヘッド17によるカード2の磁気データの読取時以外に、リード側コイル32に擬似電流を発生させても良い。また、増幅回路43において、リード側コイル32に流れる電流のうちの擬似電流の成分がキャンセルされる場合に、常時、リード側コイル32に擬似電流を発生させても良い。また、同様に、増幅回路53において、リード側コイル27に流れる電流のうちの擬似電流の成分がキャンセルされるように、制御部40が構成されても良い。
【0098】
(他の実施の形態)
上述した形態および変形例は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0099】
上述した形態および変形例では、読取電流に似た擬似電流をリード側コイル27、32に発生させている。すなわち、読取電流の波形の振幅と略等しい振幅を持つ波形からなる擬似電流であって、かつ、カード2に記録された磁気データの記録密度に対応する周期を持つ波形からなる擬似電流をリード側コイル27、32に発生させている。この他にもたとえば、擬似電流に代えて、読取電流に似ていない非読取電流をリード側コイル27、32に発生させても良い。すなわち、読取電流の波形の振幅と異なる振幅を持つ波形からなる非読取電流をリード側コイル27、32に発生させても良いし、磁気データの記録密度に対応しない周期を持つ波形からなる非読取電流をリード側コイル27、32に発生させても良い。
【0100】
また、上述した形態および変形例では、図5に示すように、不定期で周期が変化する擬似電流をリード側コイル27、32に発生させているが、定期的に周期が変化する擬似電流、あるいは、周期が一定の擬似電流をリード側コイル27、32に発生させても良い。
【0101】
上述した形態および変形例では、カードリーダ1は、カード搬送機構8を備えるカード搬送式のカードリーダであるが、本発明の構成が適用されるカードリーダは、ユーザが手動でカードを移動させながら、カードに記録された磁気データを読み取る手動式のカードリーダであっても良い。たとえば、本発明の構成が適用されるカードリーダは、カードの短手幅よりも浅く形成された溝状のカード通路に沿ってカードを移動させながらカードの磁気データを読み取るいわゆるスワイプ式のカードリーダであっても良いし、カードリーダ内部にカードを差し込む際、あるいは、カードリーダからカードを引き抜く際に磁気データを読み取るいわゆるディップ式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 カードリーダ
2 カード
2a 磁気ストライプ
9 磁気ヘッド
10 フォトセンサ(読取状態検出手段)
15 カード挿入検出機構(読取状態検出手段)
17 プリヘッド(磁気ヘッド)
25、31 リードコア
26 ライトコア
27、32 リード側コイル
28 ライト側コイル
42、52 読取制御回路(非読取電流検出手段)
43、53 増幅回路(非読取電流成分キャンセル手段)
44、54 磁気検出回路(非読取電流検出手段)
45 接続ケーブル(リード側信号線)
46、56 擬似電流発生回路(非読取電流発生手段)
47 回路パターン(リード側信号線)
51 書込制御回路(書込電流発生手段、非読取電流発生手段)
55 接続ケーブル(ライト側信号線)
58 回路パターン(ライト側信号線)
S1 非読取電流発生ステップ、非読取電流再発生ステップ
S3 非読取電流停止ステップ
S12 非読取電流発生ステップ
S14 非読取電流停止ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録された磁気データを読み取るカードリーダにおいて、
前記磁気データを読み取るためのリードコアおよび前記リードコアに巻回されるリード側コイルを有する磁気ヘッドと、前記磁気データの読取時に前記リード側コイルに流れる読取電流以外の非読取電流を、前記リード側コイルに発生させるための非読取電流発生手段とを備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記非読取電流発生手段は、前記リード側コイルが接続されるリード側信号線に接続されていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記磁気ヘッドは、前記カードに前記磁気データを書き込むためのライトコアおよび前記ライトコアに巻回されるライト側コイルを備えるとともに、前記リードコアと前記ライトコアとが一体化されたリードライト一体型磁気ヘッドであり、
前記非読取電流発生手段は、前記ライト側コイルが接続されるライト側信号線に接続され、
前記非読取電流の波形の振幅は、前記カードに前記磁気データを書き込むための書込電流の波形の振幅よりも小さくなっていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記非読取電流発生手段は、前記書込電流を前記ライト側コイルに流す書込電流発生手段であることを特徴とする請求項3記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記非読取電流の波形の振幅は、前記読取電流の波形の振幅と略等しいことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記非読取電流の波形の周期は、前記カードに記録された前記磁気データの記録密度と前記カードリーダ内での前記カードの移動速度とによって定まる周期となっていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記非読取電流の波形の周期は、前記磁気データの記録密度と前記カードリーダ内での前記カードの移動速度とによって定まる周期の範囲内において、不定期で変化することを特徴とする請求項6記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記非読取電流が前記リード側コイルに流れたときに前記磁気ヘッドが発生させる磁界の強さは、前記カードに形成される磁気ストライプの抗磁力よりも弱くなっていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項9】
前記磁気ヘッドで前記磁気データの読取が行われていることを検出するための読取状態検出手段を備え、
前記非読取電流発生手段は、前記読取状態検出手段の検出結果に基づいて、前記リード側コイルに発生していた前記非読取電流を前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取開始前に停止させ、前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取終了後に前記リード側コイルに前記非読取電流を発生させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項10】
前記非読取電流発生手段が実装される回路基板を備え、
前記回路基板には、前記リード側コイルに流れる電流のうちの前記非読取電流の成分をキャンセルするための非読取電流成分キャンセル手段が実装されていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項11】
前記磁気ヘッドで前記磁気データの読取が行われていることを検出するための読取状態検出手段と、前記非読取電流発生手段が実装される回路基板とを備え、
前記回路基板には、前記リード側コイルに流れる電流のうちの前記非読取電流の成分をキャンセルするための非読取電流成分キャンセル手段が実装され、
前記非読取電流発生手段は、前記読取状態検出手段の検出結果に基づいて、前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取開始前に前記非読取電流を前記リード側コイルに発生させ、前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取終了後に前記リード側コイルに発生していた前記非読取電流を停止させることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項12】
前記リード側コイルに前記非読取電流が発生していることを検出するための非読取電流検出手段を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項13】
カードに記録された磁気データを読み取るためのリードコアおよび前記リードコアに巻回されるリード側コイルを有する磁気ヘッドを備えるカードリーダの制御方法において、
前記磁気データの読取時に前記リード側コイルに流れる読取電流以外の非読取電流を、前記カードリーダに前記カードが挿入される前から前記リード側コイルに発生させる非読取電流発生ステップと、前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取開始前に前記リード側コイルに発生していた前記非読取電流を停止させる非読取電流停止ステップと、前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取終了後に前記リード側コイルに前記非読取電流を発生させる非読取電流再発生ステップとを備えることを特徴とするカードリーダの制御方法。
【請求項14】
カードに記録された磁気データを読み取るためのリードコアおよび前記リードコアに巻回されるリード側コイルを有する磁気ヘッドを備えるカードリーダの制御方法において、
前記磁気データの読取時に前記リード側コイルに流れる読取電流以外の非読取電流を、前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取開始前に前記リード側コイルに発生させる非読取電流発生ステップと、前記磁気ヘッドによる前記磁気データの読取終了後に前記リード側コイルに発生していた前記非読取電流を停止させる非読取電流停止ステップとを備え、
前記非読取電流発生ステップでは、前記カードリーダの回路基板内において、前記リード側コイルに流れる電流のうちの前記非読取電流の成分がキャンセルされていることを特徴とするカードリーダの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−70746(P2011−70746A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223073(P2009−223073)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】