カード用コネクタ装置
【課題】回動部材を組み込む際の作業効率を改善しつつ、ハウジングを薄型化すること。
【解決手段】カードを装着可能なハウジングと、カードの挿入に伴って回動可能な回動部材とを備える。回動部材は、ハウジングに回動可能に支持される軸部402を有し、この軸部402は、断面が扁平形状を有する太軸部4021と、この太軸部4021における軸方向の端面の一部から外側に延出する細軸部4022とを備える。ハウジング2は、軸部402を収容可能な軸受け部206を有し、この軸受け部206は、太軸部4021の長径方向に沿って太軸部4021が挿入可能に設けられると共に、細軸部4022に対する受け面2062c、dが設けられる。
【解決手段】カードを装着可能なハウジングと、カードの挿入に伴って回動可能な回動部材とを備える。回動部材は、ハウジングに回動可能に支持される軸部402を有し、この軸部402は、断面が扁平形状を有する太軸部4021と、この太軸部4021における軸方向の端面の一部から外側に延出する細軸部4022とを備える。ハウジング2は、軸部402を収容可能な軸受け部206を有し、この軸受け部206は、太軸部4021の長径方向に沿って太軸部4021が挿入可能に設けられると共に、細軸部4022に対する受け面2062c、dが設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタ装置に関し、特に、カードの装着に伴って回動する回動部材が設けられているカード用コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置内に設けられたコンタクト端子と、カード挿入口から挿入されるカードとの接触を防止するための回動部材を備えるカード用コネクタ装置が知られている。例えば、特許文献1記載のカード用コネクタ装置においては、回動部材が有する一方の支軸の長さを、他方の支軸の長さよりも長く形成し、長い方の軸から軸受け部に差し込むことでガイド部材を装置に組み込んでいる。
【0003】
また、ハウジングに対して開閉可能に取り付けられるカバー部材を備えるカード用コネクタ装置が知られている。特許文献2記載のカード用コネクタ装置においては、カバー部材の支軸を扁平形状とし、ハウジングに設けられた嵌合溝に対して一方方向(ハウジングの下方側)から取り付けることができるように構成されている。
【特許文献1】特開2004−62715号公報
【特許文献2】特開2007−27016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献2記載のカバー部材の支軸の形状を、特許文献1記載の回動部材の支軸に適用することで、一方方向からの回動部材の取付けを可能とし、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善することが考えられる。しかしながら、このような回動部材の支軸の形状を採用する場合には、取り付ける際の一方方向に沿ったハウジングにおける薄型化を実現することができないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みて為されたものであり、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善しつつ、ハウジングを薄型化することができるカード用コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカード用コネクタ装置は、カードを装着可能なカード装着空間を有するハウジングと、前記カードの挿入に伴って回動可能な回動部材とを備え、前記回動部材は、前記ハウジングに回動可能に支持される軸部を有し、当該軸部は、断面が扁平形状を有する第1軸部と、この第1軸部における軸方向の端面の一部から外側に延出する第2軸部とを備え、前記ハウジングは、その一面に前記軸部を収容可能な軸受け部を有し、当該軸受け部は、前記第1軸部の長径方向に沿って当該第1軸部が挿入可能に設けられると共に、前記第2軸部に対する受け面が設けられることを特徴とする。
【0007】
上記カード用コネクタ装置によれば、その長径方向に沿って第1軸部が挿入可能な軸受け部をハウジングの一面に設けたことから、このハウジングの一面に対して一方方向から軸部を取り付けることができるので、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善することができる。また、第1軸部ではなく、この第1軸部よりも細く設けられた第2軸部を受ける受け面を軸受け部に設けたことから、第1軸部を受ける部材を設けるスペースが必要なくなるので、ハウジングを薄型化することが可能となる。
【0008】
上記カード用コネクタ装置においては、前記第2軸部を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、前記受け面を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の前方側に設けることが好ましい。このように第2軸部を、第1軸部の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、受け面を第1軸部の挿入方向の前方側に設けることにより、限られた空間を有効に活用してよりハウジングを薄型化することが可能となる。
【0009】
また、上記カード用コネクタ装置においては、前記第1軸部の回動を支持する支持面を前記軸受け部に設けることが好ましい。この場合には、軸受け部に設けた支持面で第1軸部の回動を支持することができるので、第1軸部をスムーズに回動させることが可能となる。
【0010】
例えば、上記カード用コネクタ装置において、前記カードは、前記カード装着空間に選択的に挿着される第1カード又は第2カードからなり、前記第1カードの接触部に接触する第1コンタクト端子と、前記第2カードの接触部に接触する第2コンタクト端子とを備え、前記回動部材は、前記第2コンタクト端子と当接して前記第1カードの挿入により前記第2コンタクト端子を前記第1カードの接触部と接触しないように押圧する押圧機構を構成する。この場合には、コンタクト端子と異なるカードの接触部とが接触することによる電気的な破損を防止する押圧機構の一部を構成する回動部材を簡単にハウジングに取り付けることが可能となる。
【0011】
また、上記カード用コネクタ装置において、前記回動部材は、前記カード装着空間に対するカード挿入のための開口部近傍に配置されるシャッタ機構を構成する。この場合には、カード装着空間への異物等の侵入や、異なるカードの誤挿入を防止するシャッタ機構の一部を構成する回動部材を簡単にハウジングに取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、その長径方向に沿って第1軸部が挿入可能な軸受け部をハウジングの一面に設けたことから、このハウジングの一面に対して一方方向から軸部を取り付けることができるので、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善することができる。また、第1軸部ではなく、この第1軸部よりも細く設けられた第2軸部を受ける受け面を軸受け部に設けたことから、第1軸部を受ける部材を設けるスペースが必要なくなるので、ハウジングを薄型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るカード用コネクタ装置(以下、単に「コネクタ」という)1の構成を説明するための斜視図である。図2は、図1に示す状態のコネクタ1の上面図である。本実施の形態に係るコネクタ1は、図1及び図2に示すハウジング2にカバー部材が取り付けられて構成されるものであるが、そのカバー部材については省略している。以下においては、適宜、コネクタ1における図1に示す紙面上方側を「コネクタ1の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す紙面下方側を「コネクタ1の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成形して形成されるハウジング2と、金属薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工などを施して形成される不図示のカバー部材とを備えている。ハウジング2は、概して偏平な直方体形状を有しており、その上方側及び前方側に開口した空間を有している。カバー部材は、ハウジング2の上方側の開口部の一部に対応する形状を有し、当該開口部に被せるようにしてハウジング2に取り付けられる。このカバー部材が取り付けられた状態において、コネクタ1の後方側端部には、カードが挿入されるカード挿入口3が形成される。
【0015】
ハウジング2は、コネクタ1の底面部を構成するベース部201と、このベース部201の側端部から上方側に垂直に立設された側壁部202a、bと、ベース部201の前端部から上方側に垂直に立設された奥壁部203とを有している。コネクタ1においては、これらのベース部201と、側壁部202a、bと、奥壁部203と、不図示のカバー部材との間にカードの装着空間(以下、適宜「カード装着空間」という)が形成される。
【0016】
本実施の形態に係るコネクタ1は、このカード装着空間に2種類の第1、第2カードを装着可能に構成されている。ベース部201には、コネクタ1の前後方向に並べて第1カード用のコンタクト端子(以下、「第1カード用コンタクト端子」という)204と、第2カード用のコンタクト端子(以下、「第2カード用コンタクト端子」という)205とが設けられている。これらは、ベース部201に形成された開口部の内側の端面に設けられている。第1、第2カード用コンタクト端子204、205は、いずれも細長い薄板金属で形成され、コネクタ1の左右方向に並べて設けられている。
【0017】
第1カード用コンタクト端子204においては、その基端部がベース部201における奥壁部203近傍の端面に設けられ、その先端部がコネクタ1の後方側に延出している。第1カード用コンタクト端子204の先端部(後端部)は、上方側に持ち上げられ、その端部近傍で第1カードの接触パッド(接触部)に弾性的に接触するように構成されている。なお、第1カード用コンタクト端子204の前端部は、奥壁部203からコネクタ1の前方側に導出され、不図示の基板の導体に半田接続可能に構成されている。
【0018】
一方、第2カード用コンタクト端子205においては、その基端部がベース部201におけるカード挿入口3近傍の端面に設けられ、その先端部がコネクタ1の前方側に延出している。第2カード用コンタクト端子205の先端部(前端部)は、上方側に持ち上げられ、その端部近傍で第2カードの接触パッド(接触部)に弾性的に接触するように構成されている。なお、第2カード用コンタクト端子205の後端部は、コネクタ1の後方側に導出され、不図示の基板の導体に半田接続可能に構成されている。
【0019】
ベース部201の所定位置には、第1、第2カードの挿入に伴って回動する回動部材4、5が取り付けられている。回動部材4、5は、それぞれ第1、第2カード用コンタクト端子204、205の先端部近傍に配置されている。回動部材4、5は、その後端部近傍でベース部201に取り付けられ、それぞれ第1、第2カード用コンタクト端子204、205の弾性により、その前端部近傍を僅かに上方側に持ち上げた状態とされる。これらの回動部材4、5は、それぞれ第1、第2カードの挿入に伴って第1、第2カード用コンタクト端子204、205を押し下げ(押圧し)、異なるカードの接触パッドとの不要な接触による電気的な破損を防止したり、挿入されるカードの前端とコンタクト端子の先端が接触することによりコンタクト端子が座屈することを防止する役割を果たす。
【0020】
回動部材4には、第1カード用コンタクト端子204の先端に対応する位置に複数の開口部401が形成されている。第1カード用コンタクト端子204は、これらの開口部401を介してその先端を上方側に露出可能となっている。同様に、回動部材5には、第2カード用コンタクト端子205の先端に対応する位置に複数の凹部501が形成されている。第2カード用コンタクト端子205は、これらの凹部501を介してその先端を上方側に露出可能となっている。
【0021】
これらの回動部材4、5は、それぞれコネクタ1の左右方向に延出する軸部402、502を備え、この軸部402、502において、ベース部201に設けられた軸受け部206、207で回動可能に支持されている。なお、これらの軸部402、502は、同一の構成を採るため、以下においては、軸部402を用いてその構成を説明し、軸部502の説明を省略する。また、これらの軸受け部206、207は、同一の構成を採るため、以下においては、軸受け部206を用いてその構成を説明し、軸受け部207の説明を省略する。
【0022】
図3は、コネクタ1が有する回動部材4の斜視図である。なお、図3においては、ハウジング2のベース部201に取り付けられた初期状態の回動部材4を抜き出して示している。回動部材4は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成型して形成され、図3に示すように、コネクタ1の左右方向に延在する長尺体を構成している。回動部材4の後端部近傍には、コネクタ1に挿入された第1カードの前端部と当接する当接部403が設けられている。軸部402は、回動部材4の後端部の側面部に設けられている。
【0023】
図4は、回動部材4に設けられた軸部402の構成を説明するための図である。図4(a)は、回動部材4に設けられた軸部402を拡大した斜視図であり、同図(b)及び(c)は、この軸部402の上面図及び側面図である。なお、図4(c)においては、説明の便宜上、軸部402の前端部を上方側に配置する一方、その後端部を下方側に配置している。なお、図4においては、回動部材4の右方側に設けられた軸部402について示している。
【0024】
図4(a)〜(c)に示すように、軸部402は、回動部材4の側面部における後端部から側方側に延出して設けられた第1軸部としての太軸部4021と、この太軸部4021における前方側の一部から側方側に延出して設けられた第2軸部としての細軸部4022とから構成される。すなわち、軸部402においては、回動部材4の側面部から太軸部4021が側方側に延出して設けられ、この太軸部4021の側面部の一部から太軸部4021よりも細い細軸部4022が側方側に延出して設けられている。
【0025】
太軸部4021は、一対の平行面部4021a、bと、この平行面部4021a、bの端部に設けられた一対の周面部4021c、dとを有している。太軸部4021においては、平行面部4021a、b間の長さL1よりも周面部4021c、d間の長さL2が長く構成されている(図4(c)参照)。すなわち、太軸部4021は、平行面部4021a、bの延在方向を長径方向とする扁平形状を有している。
【0026】
一方、細軸部4022も、一対の平行面部4022a、bと、この平行面部4022a、bの端部に設けられた一対の周面部4022c、dとを有している。一対の平行面部4022a、b及び周面部4022cは、それぞれ太軸部4021の一対の平行面部4021a、b及び周面部4021cを延長して設けられている。すなわち、一対の平行面部4022a、b及び周面部4022cは、それぞれ太軸部4021の平行面部4021a、bと同一面上に設けられ、周面部4022cは、太軸部4021の周面部4021cと同一面上に設けられている。
【0027】
一対の平行面部4022a、bは、太軸部4021の平行面部4021a、bよりも短く構成されている。このため、周面部4022dは、太軸部4021の周面部4021dよりも周面部4022c側の位置に配置されている。なお、周面部4022dは、太軸部4021の周面部4022dと比べて、より円形状に近い周面形状を有している。この周面部4022dは、後述する軸受け部206の受け面2062c、dで受けられる部分を構成する。
【0028】
次に、このような構成を有する軸部402を支持する軸受け部206の構成について説明する。図5及び図6は、ハウジング2のベース部201に設けられた軸受け部206の構成を説明するための図である。図5(a)、(b)は、ベース部201に設けられた軸受け部206の斜視図である。図6(a)、(b)は、ベース部201に設けられた軸受け部206の上面図、側面図である。なお、図5及び図6においては、コネクタ1の右方側に設けられた軸受け部206について示している。また、図5(a)においては、コネクタ1の後方側から示した軸受け部206について示し、同図(b)においては、コネクタ1の前方側から示した軸受け部206について示している。
【0029】
図5及び図6に示すように、軸受け部206は、ベース部201に設けられた凹部で構成されている。軸受け部206は、ベース部201の内側に設けられた太軸収容部2061と、この太軸収容部2061の外側(側方側)に設けられた細軸収容部2062とから構成される。太軸収容部2061は、軸部402の太軸部4021を収容する部分であり、細軸収容部2062は、軸部402の細軸部4022を収容する部分である。
【0030】
太軸収容部2061を規定するベース部201の上端部近傍には、互いに相手側に向かって突出する一対の突出片2061a、bが設けられている。そして、これらの突出片2061a、bの下方側には、下方側に向けて次第に広がる支持面としての円弧形状面2061c、dが設けられている。突出片2061a、b間の長さL3(図6(a)参照)は、太軸部4021の平行面部4021a、b間の長さL1より長く、周面部4021c、d間の長さL2よりも短く設定されている。本実施の形態に係るコネクタ1においては、周面部4021c、d間の長さL2に沿った方向を太軸部4021の長径方向としている。また、円弧形状面2061c、dは、太軸収容部2061に収容された太軸部4021の回動を支持可能な形状に設けられている。なお、太軸収容部2061の下面は、存在せず、下方側に開口した状態となっている。
【0031】
細軸収容部2062を規定するベース部201の下端部近傍には、円弧形状面2062a、bが設けられている。これらの円弧形状面2062a、bの下方側には、それぞれ軸部402の細軸部4022を受ける受け面2062c、dが設けられている。受け面2062c、d間には、開口部2062eが設けられている。この開口部2062eの幅は、細軸部4022の平行面部4022a、b間の長さ(L1)よりも狭く設定されており、細軸4022の脱落を防止可能に構成されている。なお、ここでは、受け面2062c、dの間に開口部2062eを設けた場合について示しているが、必ずしも必要なものではない。
【0032】
次に、上記構成を有するコネクタ1(ベース部201)に対して、回動部材4を取り付ける際の動作について説明する。図7〜図9は、コネクタ1に対して回動部材4を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。図7は、ベース部201に対して回動部材4を取り付ける前の状態を示している。図8は、回動部材4の軸部402をベース部201の軸受け部206に挿入した状態を示している。図9は、回動部材4をコネクタ1の前方側に回動させる過程の状態を示している。なお、ここでは、回動部材4をコネクタ1に取り付ける際の動作について説明するが、回動部材5についても同様の要領で取り付けられる。
【0033】
回動部材4をコネクタ1に取り付ける際には、図7に示すように、軸部402を下方側に配置すると共に、回動部材4をベース部201に略直交する方向に延在させた状態(以下、適宜「回動部材4を立てた状態」という)で行う。このとき、回動部材4の軸部402は、図4(c)に示すように、細軸部4022が太軸部4021における上方側の一部に配置された状態となっている。また、太軸部4021の平行面部4021a、bは、コネクタ1の前後方向に向けられた状態となっている。
【0034】
図7に示す状態から、軸部402が軸受け部206に挿入されるように回動部材4を下方側に移動させていく。そして、図8に示すように、軸部402が軸受け部206に収容されたならば、今度は、図9に示すように、回動部材4の同図に示す上方部をコネクタ1の前方側に倒すように回動部材4を回動させる。このとき、回動部材4は、軸部402を回動支点としてコネクタ1の前方側に回動する。
【0035】
第1カード用コンタクト端子204に接触する位置まで回動すると、回動部材4は、図1に示す状態となる。図1に示すように、回動部材4においては、コネクタ1の前方側の端部が僅かに上方側に持ち上げられた状態となっている。そして、回動部材4の開口部401からは、第1カード用コンタクト端子204の先端部を上方側に露出した状態とされている。このようにして回動部材4がコネクタ1に取り付けられることとなる。
【0036】
ここで、このように回動部材4を取り付ける際における軸部402の動作について説明する。図10〜図13は、回動部材4を取り付ける際における軸部402の周辺の拡大図である。図10、図11、図12及び図13は、それぞれ図7、図8、図9及び図1における回動部材4の状態と対応している。なお、図10〜図13においては、回動部材4の右方側に設けられた軸部402について示している。
【0037】
回動部材4をコネクタ1に取り付ける際、軸部402は、図10に示すように、太軸部4021が軸受け部206の太軸収容部2061に対応する位置に配置されると共に、細軸部4022が細軸収容部2062に対応する位置に配置された状態とされる。また、太軸部4021の平行面部4021a、bが、それぞれ太軸収容部2061の突出片2061a、b間に対応する位置に配置された状態とされる。
【0038】
この状態で、軸部402は、回動部材4の下方移動に伴って下方側に移動する。この際、太軸部4021の平行面部4021a、bが、太軸収容部2061の突出片2061a、b間を通過する。上述したように、突出片2061a、b間の長さL3は、平行面部4021a、b間の長さL1よりも長く設定されている。このため、このように回動部材4を立てた状態で挿入する場合、突出片2061a、bが軸部402の進入を阻害することはない。そして、軸部402は、図11に示すように、細軸部4022の周面部4022dが軸受け部206の受け面2062c、dに当接する位置まで移動する。
【0039】
細軸部4022の周面部4022dが受け面2062c、dに当接したならば、軸部402は、図12に示すように、回動部材4の回動に伴って回動する。このとき、軸部402は、細軸部4022の周面部4022dで受け面2062c、dと摺接しながら回動する。また、軸部402は、太軸部4021の周面部4021c、dを、軸受け部206の円弧形状面2061c、dの内面に支持された状態で回動する。このように太軸収容部2061に設けた円弧形状面2061c、dで太軸部4021の回動を支持することができるので、太軸部4021をスムーズに回動させることが可能となる。
【0040】
そして、回動部材4が第1カード用コンタクト端子204に到達するまで回動したとき、軸部402は、軸受け部206の内部において、図13に示すように、太軸部4021の平行面部4021a、bがコネクタ1の上下方向に向けた状態とされる。上述したように、突出片2061a、b間の長さL3は、周面部4021c、d間の長さL2よりも短く設定されている。このため、回動部材4の回動に伴い、軸部402が軸受け部206から上方側に抜け出てしまうのを防止可能となっている。
【0041】
このように本実施の形態に係るコネクタ1においては、回動部材4に、ハウジング2に回動可能に支持される軸部402を設け、この軸部402に、断面が扁平形状を有する太軸部4021と、この太軸部4021における軸方向の端面の一部から外側に延出する細軸部4022とを備えている。一方、ハウジング2に、回動部材4の軸部402を収容可能な軸受け部206を設け、この軸受け部206は、太軸部4021の長径方向に沿って太軸部4021が挿入可能な太軸収容部2061と、細軸部4022に対する受け面2062c、dが設けられた細軸収容部2062とを備えている。
【0042】
本実施の形態に係るコネクタ1によれば、その長径方向に沿って太軸部4021が挿入可能な軸受け部206をハウジング2の一面に設けたことから、このハウジング2の一面に対して一方方向から軸部402を取り付けることができるので、回動部材4を取り付ける際の作業効率を改善することができる。また、太軸部4021ではなく、この太軸部4021よりも細く設けられた細軸部4022を受ける受け面2062c、dを軸受け部206に設けたことから、太軸部4021を受ける部材を設けるスペースが必要なくなるので、ハウジング2を薄型化することが可能となる。
【0043】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、太軸部4021を軸受け部206に対する挿入方向の後方側の一部に細軸部4022を設ける一方、受け面2062c、dを軸受け部206に対する太軸部4021の挿入方向の前方側に設けている。このように細軸部4022を、太軸部4021の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、受け面2062c、dを太軸部4021の挿入方向の前方側に設けることにより、限られた空間を有効に活用してよりハウジング2を薄型化することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0045】
上記実施の形態においては、ハウジング2に設けられた第1、2コンタクト端子204、205を押圧する回動部材4、5をハウジング2に簡単に取り付ける場合について説明している。しかしながら、回動部材の態様としては、このような機能を有するものに限定されるものではなく、ハウジング2に対して回動する部材であれば、任意のものに適用することが可能である。
【0046】
例えば、回動部材を、カード装着空間に対するカード挿入のための開口部近傍に配置されるシャッタ機構の一部材としても良い。この場合には、カード装着空間への異物等の侵入や、異なるカードの誤挿入を防止するシャッタ機構の一部を構成する回動部材を簡単にハウジング2に取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタの構成を説明するための斜視図である。
【図2】図1に示す状態のコネクタの上面図である。
【図3】上記実施の形態に係るコネクタが有する回動部材の斜視図である。
【図4】上記実施の形態に係るコネクタが有する回動部材に設けられた軸部の構成を説明するための図である。
【図5】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングのベース部に設けられた軸受け部の構成を説明するための図である。
【図6】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングのベース部に設けられた軸受け部の構成を説明するための図である。
【図7】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。
【図9】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【図11】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【図12】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【図13】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
1 カード用コネクタ装置(コネクタ)
2 ハウジング
201 ベース部
202a、b 側壁部
203 奥壁部
204 第1コンタクト端子
205 第2コンタクト端子
206、207 軸受け部
2061 太軸収容部
2061a、b 突出片
2061c、d 円弧形状面
2062 細軸収容部
2062a、b 円弧形状面
2062c、d 受け面
2062e 開口部
3 カード挿入口
4、5 回動部材
401 開口部
402 軸部
4021 太軸部
4021a、b 平行面部
4021c、d 周面部
4022 細軸部
4022a、b 平行面部
4022c、d 周面部
403 当接部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタ装置に関し、特に、カードの装着に伴って回動する回動部材が設けられているカード用コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装置内に設けられたコンタクト端子と、カード挿入口から挿入されるカードとの接触を防止するための回動部材を備えるカード用コネクタ装置が知られている。例えば、特許文献1記載のカード用コネクタ装置においては、回動部材が有する一方の支軸の長さを、他方の支軸の長さよりも長く形成し、長い方の軸から軸受け部に差し込むことでガイド部材を装置に組み込んでいる。
【0003】
また、ハウジングに対して開閉可能に取り付けられるカバー部材を備えるカード用コネクタ装置が知られている。特許文献2記載のカード用コネクタ装置においては、カバー部材の支軸を扁平形状とし、ハウジングに設けられた嵌合溝に対して一方方向(ハウジングの下方側)から取り付けることができるように構成されている。
【特許文献1】特開2004−62715号公報
【特許文献2】特開2007−27016号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献2記載のカバー部材の支軸の形状を、特許文献1記載の回動部材の支軸に適用することで、一方方向からの回動部材の取付けを可能とし、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善することが考えられる。しかしながら、このような回動部材の支軸の形状を採用する場合には、取り付ける際の一方方向に沿ったハウジングにおける薄型化を実現することができないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みて為されたものであり、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善しつつ、ハウジングを薄型化することができるカード用コネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカード用コネクタ装置は、カードを装着可能なカード装着空間を有するハウジングと、前記カードの挿入に伴って回動可能な回動部材とを備え、前記回動部材は、前記ハウジングに回動可能に支持される軸部を有し、当該軸部は、断面が扁平形状を有する第1軸部と、この第1軸部における軸方向の端面の一部から外側に延出する第2軸部とを備え、前記ハウジングは、その一面に前記軸部を収容可能な軸受け部を有し、当該軸受け部は、前記第1軸部の長径方向に沿って当該第1軸部が挿入可能に設けられると共に、前記第2軸部に対する受け面が設けられることを特徴とする。
【0007】
上記カード用コネクタ装置によれば、その長径方向に沿って第1軸部が挿入可能な軸受け部をハウジングの一面に設けたことから、このハウジングの一面に対して一方方向から軸部を取り付けることができるので、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善することができる。また、第1軸部ではなく、この第1軸部よりも細く設けられた第2軸部を受ける受け面を軸受け部に設けたことから、第1軸部を受ける部材を設けるスペースが必要なくなるので、ハウジングを薄型化することが可能となる。
【0008】
上記カード用コネクタ装置においては、前記第2軸部を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、前記受け面を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の前方側に設けることが好ましい。このように第2軸部を、第1軸部の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、受け面を第1軸部の挿入方向の前方側に設けることにより、限られた空間を有効に活用してよりハウジングを薄型化することが可能となる。
【0009】
また、上記カード用コネクタ装置においては、前記第1軸部の回動を支持する支持面を前記軸受け部に設けることが好ましい。この場合には、軸受け部に設けた支持面で第1軸部の回動を支持することができるので、第1軸部をスムーズに回動させることが可能となる。
【0010】
例えば、上記カード用コネクタ装置において、前記カードは、前記カード装着空間に選択的に挿着される第1カード又は第2カードからなり、前記第1カードの接触部に接触する第1コンタクト端子と、前記第2カードの接触部に接触する第2コンタクト端子とを備え、前記回動部材は、前記第2コンタクト端子と当接して前記第1カードの挿入により前記第2コンタクト端子を前記第1カードの接触部と接触しないように押圧する押圧機構を構成する。この場合には、コンタクト端子と異なるカードの接触部とが接触することによる電気的な破損を防止する押圧機構の一部を構成する回動部材を簡単にハウジングに取り付けることが可能となる。
【0011】
また、上記カード用コネクタ装置において、前記回動部材は、前記カード装着空間に対するカード挿入のための開口部近傍に配置されるシャッタ機構を構成する。この場合には、カード装着空間への異物等の侵入や、異なるカードの誤挿入を防止するシャッタ機構の一部を構成する回動部材を簡単にハウジングに取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、その長径方向に沿って第1軸部が挿入可能な軸受け部をハウジングの一面に設けたことから、このハウジングの一面に対して一方方向から軸部を取り付けることができるので、回動部材を取り付ける際の作業効率を改善することができる。また、第1軸部ではなく、この第1軸部よりも細く設けられた第2軸部を受ける受け面を軸受け部に設けたことから、第1軸部を受ける部材を設けるスペースが必要なくなるので、ハウジングを薄型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るカード用コネクタ装置(以下、単に「コネクタ」という)1の構成を説明するための斜視図である。図2は、図1に示す状態のコネクタ1の上面図である。本実施の形態に係るコネクタ1は、図1及び図2に示すハウジング2にカバー部材が取り付けられて構成されるものであるが、そのカバー部材については省略している。以下においては、適宜、コネクタ1における図1に示す紙面上方側を「コネクタ1の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す紙面下方側を「コネクタ1の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成形して形成されるハウジング2と、金属薄板材料に打ち抜き加工及び折り曲げ加工などを施して形成される不図示のカバー部材とを備えている。ハウジング2は、概して偏平な直方体形状を有しており、その上方側及び前方側に開口した空間を有している。カバー部材は、ハウジング2の上方側の開口部の一部に対応する形状を有し、当該開口部に被せるようにしてハウジング2に取り付けられる。このカバー部材が取り付けられた状態において、コネクタ1の後方側端部には、カードが挿入されるカード挿入口3が形成される。
【0015】
ハウジング2は、コネクタ1の底面部を構成するベース部201と、このベース部201の側端部から上方側に垂直に立設された側壁部202a、bと、ベース部201の前端部から上方側に垂直に立設された奥壁部203とを有している。コネクタ1においては、これらのベース部201と、側壁部202a、bと、奥壁部203と、不図示のカバー部材との間にカードの装着空間(以下、適宜「カード装着空間」という)が形成される。
【0016】
本実施の形態に係るコネクタ1は、このカード装着空間に2種類の第1、第2カードを装着可能に構成されている。ベース部201には、コネクタ1の前後方向に並べて第1カード用のコンタクト端子(以下、「第1カード用コンタクト端子」という)204と、第2カード用のコンタクト端子(以下、「第2カード用コンタクト端子」という)205とが設けられている。これらは、ベース部201に形成された開口部の内側の端面に設けられている。第1、第2カード用コンタクト端子204、205は、いずれも細長い薄板金属で形成され、コネクタ1の左右方向に並べて設けられている。
【0017】
第1カード用コンタクト端子204においては、その基端部がベース部201における奥壁部203近傍の端面に設けられ、その先端部がコネクタ1の後方側に延出している。第1カード用コンタクト端子204の先端部(後端部)は、上方側に持ち上げられ、その端部近傍で第1カードの接触パッド(接触部)に弾性的に接触するように構成されている。なお、第1カード用コンタクト端子204の前端部は、奥壁部203からコネクタ1の前方側に導出され、不図示の基板の導体に半田接続可能に構成されている。
【0018】
一方、第2カード用コンタクト端子205においては、その基端部がベース部201におけるカード挿入口3近傍の端面に設けられ、その先端部がコネクタ1の前方側に延出している。第2カード用コンタクト端子205の先端部(前端部)は、上方側に持ち上げられ、その端部近傍で第2カードの接触パッド(接触部)に弾性的に接触するように構成されている。なお、第2カード用コンタクト端子205の後端部は、コネクタ1の後方側に導出され、不図示の基板の導体に半田接続可能に構成されている。
【0019】
ベース部201の所定位置には、第1、第2カードの挿入に伴って回動する回動部材4、5が取り付けられている。回動部材4、5は、それぞれ第1、第2カード用コンタクト端子204、205の先端部近傍に配置されている。回動部材4、5は、その後端部近傍でベース部201に取り付けられ、それぞれ第1、第2カード用コンタクト端子204、205の弾性により、その前端部近傍を僅かに上方側に持ち上げた状態とされる。これらの回動部材4、5は、それぞれ第1、第2カードの挿入に伴って第1、第2カード用コンタクト端子204、205を押し下げ(押圧し)、異なるカードの接触パッドとの不要な接触による電気的な破損を防止したり、挿入されるカードの前端とコンタクト端子の先端が接触することによりコンタクト端子が座屈することを防止する役割を果たす。
【0020】
回動部材4には、第1カード用コンタクト端子204の先端に対応する位置に複数の開口部401が形成されている。第1カード用コンタクト端子204は、これらの開口部401を介してその先端を上方側に露出可能となっている。同様に、回動部材5には、第2カード用コンタクト端子205の先端に対応する位置に複数の凹部501が形成されている。第2カード用コンタクト端子205は、これらの凹部501を介してその先端を上方側に露出可能となっている。
【0021】
これらの回動部材4、5は、それぞれコネクタ1の左右方向に延出する軸部402、502を備え、この軸部402、502において、ベース部201に設けられた軸受け部206、207で回動可能に支持されている。なお、これらの軸部402、502は、同一の構成を採るため、以下においては、軸部402を用いてその構成を説明し、軸部502の説明を省略する。また、これらの軸受け部206、207は、同一の構成を採るため、以下においては、軸受け部206を用いてその構成を説明し、軸受け部207の説明を省略する。
【0022】
図3は、コネクタ1が有する回動部材4の斜視図である。なお、図3においては、ハウジング2のベース部201に取り付けられた初期状態の回動部材4を抜き出して示している。回動部材4は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成型して形成され、図3に示すように、コネクタ1の左右方向に延在する長尺体を構成している。回動部材4の後端部近傍には、コネクタ1に挿入された第1カードの前端部と当接する当接部403が設けられている。軸部402は、回動部材4の後端部の側面部に設けられている。
【0023】
図4は、回動部材4に設けられた軸部402の構成を説明するための図である。図4(a)は、回動部材4に設けられた軸部402を拡大した斜視図であり、同図(b)及び(c)は、この軸部402の上面図及び側面図である。なお、図4(c)においては、説明の便宜上、軸部402の前端部を上方側に配置する一方、その後端部を下方側に配置している。なお、図4においては、回動部材4の右方側に設けられた軸部402について示している。
【0024】
図4(a)〜(c)に示すように、軸部402は、回動部材4の側面部における後端部から側方側に延出して設けられた第1軸部としての太軸部4021と、この太軸部4021における前方側の一部から側方側に延出して設けられた第2軸部としての細軸部4022とから構成される。すなわち、軸部402においては、回動部材4の側面部から太軸部4021が側方側に延出して設けられ、この太軸部4021の側面部の一部から太軸部4021よりも細い細軸部4022が側方側に延出して設けられている。
【0025】
太軸部4021は、一対の平行面部4021a、bと、この平行面部4021a、bの端部に設けられた一対の周面部4021c、dとを有している。太軸部4021においては、平行面部4021a、b間の長さL1よりも周面部4021c、d間の長さL2が長く構成されている(図4(c)参照)。すなわち、太軸部4021は、平行面部4021a、bの延在方向を長径方向とする扁平形状を有している。
【0026】
一方、細軸部4022も、一対の平行面部4022a、bと、この平行面部4022a、bの端部に設けられた一対の周面部4022c、dとを有している。一対の平行面部4022a、b及び周面部4022cは、それぞれ太軸部4021の一対の平行面部4021a、b及び周面部4021cを延長して設けられている。すなわち、一対の平行面部4022a、b及び周面部4022cは、それぞれ太軸部4021の平行面部4021a、bと同一面上に設けられ、周面部4022cは、太軸部4021の周面部4021cと同一面上に設けられている。
【0027】
一対の平行面部4022a、bは、太軸部4021の平行面部4021a、bよりも短く構成されている。このため、周面部4022dは、太軸部4021の周面部4021dよりも周面部4022c側の位置に配置されている。なお、周面部4022dは、太軸部4021の周面部4022dと比べて、より円形状に近い周面形状を有している。この周面部4022dは、後述する軸受け部206の受け面2062c、dで受けられる部分を構成する。
【0028】
次に、このような構成を有する軸部402を支持する軸受け部206の構成について説明する。図5及び図6は、ハウジング2のベース部201に設けられた軸受け部206の構成を説明するための図である。図5(a)、(b)は、ベース部201に設けられた軸受け部206の斜視図である。図6(a)、(b)は、ベース部201に設けられた軸受け部206の上面図、側面図である。なお、図5及び図6においては、コネクタ1の右方側に設けられた軸受け部206について示している。また、図5(a)においては、コネクタ1の後方側から示した軸受け部206について示し、同図(b)においては、コネクタ1の前方側から示した軸受け部206について示している。
【0029】
図5及び図6に示すように、軸受け部206は、ベース部201に設けられた凹部で構成されている。軸受け部206は、ベース部201の内側に設けられた太軸収容部2061と、この太軸収容部2061の外側(側方側)に設けられた細軸収容部2062とから構成される。太軸収容部2061は、軸部402の太軸部4021を収容する部分であり、細軸収容部2062は、軸部402の細軸部4022を収容する部分である。
【0030】
太軸収容部2061を規定するベース部201の上端部近傍には、互いに相手側に向かって突出する一対の突出片2061a、bが設けられている。そして、これらの突出片2061a、bの下方側には、下方側に向けて次第に広がる支持面としての円弧形状面2061c、dが設けられている。突出片2061a、b間の長さL3(図6(a)参照)は、太軸部4021の平行面部4021a、b間の長さL1より長く、周面部4021c、d間の長さL2よりも短く設定されている。本実施の形態に係るコネクタ1においては、周面部4021c、d間の長さL2に沿った方向を太軸部4021の長径方向としている。また、円弧形状面2061c、dは、太軸収容部2061に収容された太軸部4021の回動を支持可能な形状に設けられている。なお、太軸収容部2061の下面は、存在せず、下方側に開口した状態となっている。
【0031】
細軸収容部2062を規定するベース部201の下端部近傍には、円弧形状面2062a、bが設けられている。これらの円弧形状面2062a、bの下方側には、それぞれ軸部402の細軸部4022を受ける受け面2062c、dが設けられている。受け面2062c、d間には、開口部2062eが設けられている。この開口部2062eの幅は、細軸部4022の平行面部4022a、b間の長さ(L1)よりも狭く設定されており、細軸4022の脱落を防止可能に構成されている。なお、ここでは、受け面2062c、dの間に開口部2062eを設けた場合について示しているが、必ずしも必要なものではない。
【0032】
次に、上記構成を有するコネクタ1(ベース部201)に対して、回動部材4を取り付ける際の動作について説明する。図7〜図9は、コネクタ1に対して回動部材4を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。図7は、ベース部201に対して回動部材4を取り付ける前の状態を示している。図8は、回動部材4の軸部402をベース部201の軸受け部206に挿入した状態を示している。図9は、回動部材4をコネクタ1の前方側に回動させる過程の状態を示している。なお、ここでは、回動部材4をコネクタ1に取り付ける際の動作について説明するが、回動部材5についても同様の要領で取り付けられる。
【0033】
回動部材4をコネクタ1に取り付ける際には、図7に示すように、軸部402を下方側に配置すると共に、回動部材4をベース部201に略直交する方向に延在させた状態(以下、適宜「回動部材4を立てた状態」という)で行う。このとき、回動部材4の軸部402は、図4(c)に示すように、細軸部4022が太軸部4021における上方側の一部に配置された状態となっている。また、太軸部4021の平行面部4021a、bは、コネクタ1の前後方向に向けられた状態となっている。
【0034】
図7に示す状態から、軸部402が軸受け部206に挿入されるように回動部材4を下方側に移動させていく。そして、図8に示すように、軸部402が軸受け部206に収容されたならば、今度は、図9に示すように、回動部材4の同図に示す上方部をコネクタ1の前方側に倒すように回動部材4を回動させる。このとき、回動部材4は、軸部402を回動支点としてコネクタ1の前方側に回動する。
【0035】
第1カード用コンタクト端子204に接触する位置まで回動すると、回動部材4は、図1に示す状態となる。図1に示すように、回動部材4においては、コネクタ1の前方側の端部が僅かに上方側に持ち上げられた状態となっている。そして、回動部材4の開口部401からは、第1カード用コンタクト端子204の先端部を上方側に露出した状態とされている。このようにして回動部材4がコネクタ1に取り付けられることとなる。
【0036】
ここで、このように回動部材4を取り付ける際における軸部402の動作について説明する。図10〜図13は、回動部材4を取り付ける際における軸部402の周辺の拡大図である。図10、図11、図12及び図13は、それぞれ図7、図8、図9及び図1における回動部材4の状態と対応している。なお、図10〜図13においては、回動部材4の右方側に設けられた軸部402について示している。
【0037】
回動部材4をコネクタ1に取り付ける際、軸部402は、図10に示すように、太軸部4021が軸受け部206の太軸収容部2061に対応する位置に配置されると共に、細軸部4022が細軸収容部2062に対応する位置に配置された状態とされる。また、太軸部4021の平行面部4021a、bが、それぞれ太軸収容部2061の突出片2061a、b間に対応する位置に配置された状態とされる。
【0038】
この状態で、軸部402は、回動部材4の下方移動に伴って下方側に移動する。この際、太軸部4021の平行面部4021a、bが、太軸収容部2061の突出片2061a、b間を通過する。上述したように、突出片2061a、b間の長さL3は、平行面部4021a、b間の長さL1よりも長く設定されている。このため、このように回動部材4を立てた状態で挿入する場合、突出片2061a、bが軸部402の進入を阻害することはない。そして、軸部402は、図11に示すように、細軸部4022の周面部4022dが軸受け部206の受け面2062c、dに当接する位置まで移動する。
【0039】
細軸部4022の周面部4022dが受け面2062c、dに当接したならば、軸部402は、図12に示すように、回動部材4の回動に伴って回動する。このとき、軸部402は、細軸部4022の周面部4022dで受け面2062c、dと摺接しながら回動する。また、軸部402は、太軸部4021の周面部4021c、dを、軸受け部206の円弧形状面2061c、dの内面に支持された状態で回動する。このように太軸収容部2061に設けた円弧形状面2061c、dで太軸部4021の回動を支持することができるので、太軸部4021をスムーズに回動させることが可能となる。
【0040】
そして、回動部材4が第1カード用コンタクト端子204に到達するまで回動したとき、軸部402は、軸受け部206の内部において、図13に示すように、太軸部4021の平行面部4021a、bがコネクタ1の上下方向に向けた状態とされる。上述したように、突出片2061a、b間の長さL3は、周面部4021c、d間の長さL2よりも短く設定されている。このため、回動部材4の回動に伴い、軸部402が軸受け部206から上方側に抜け出てしまうのを防止可能となっている。
【0041】
このように本実施の形態に係るコネクタ1においては、回動部材4に、ハウジング2に回動可能に支持される軸部402を設け、この軸部402に、断面が扁平形状を有する太軸部4021と、この太軸部4021における軸方向の端面の一部から外側に延出する細軸部4022とを備えている。一方、ハウジング2に、回動部材4の軸部402を収容可能な軸受け部206を設け、この軸受け部206は、太軸部4021の長径方向に沿って太軸部4021が挿入可能な太軸収容部2061と、細軸部4022に対する受け面2062c、dが設けられた細軸収容部2062とを備えている。
【0042】
本実施の形態に係るコネクタ1によれば、その長径方向に沿って太軸部4021が挿入可能な軸受け部206をハウジング2の一面に設けたことから、このハウジング2の一面に対して一方方向から軸部402を取り付けることができるので、回動部材4を取り付ける際の作業効率を改善することができる。また、太軸部4021ではなく、この太軸部4021よりも細く設けられた細軸部4022を受ける受け面2062c、dを軸受け部206に設けたことから、太軸部4021を受ける部材を設けるスペースが必要なくなるので、ハウジング2を薄型化することが可能となる。
【0043】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、太軸部4021を軸受け部206に対する挿入方向の後方側の一部に細軸部4022を設ける一方、受け面2062c、dを軸受け部206に対する太軸部4021の挿入方向の前方側に設けている。このように細軸部4022を、太軸部4021の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、受け面2062c、dを太軸部4021の挿入方向の前方側に設けることにより、限られた空間を有効に活用してよりハウジング2を薄型化することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0045】
上記実施の形態においては、ハウジング2に設けられた第1、2コンタクト端子204、205を押圧する回動部材4、5をハウジング2に簡単に取り付ける場合について説明している。しかしながら、回動部材の態様としては、このような機能を有するものに限定されるものではなく、ハウジング2に対して回動する部材であれば、任意のものに適用することが可能である。
【0046】
例えば、回動部材を、カード装着空間に対するカード挿入のための開口部近傍に配置されるシャッタ機構の一部材としても良い。この場合には、カード装着空間への異物等の侵入や、異なるカードの誤挿入を防止するシャッタ機構の一部を構成する回動部材を簡単にハウジング2に取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタの構成を説明するための斜視図である。
【図2】図1に示す状態のコネクタの上面図である。
【図3】上記実施の形態に係るコネクタが有する回動部材の斜視図である。
【図4】上記実施の形態に係るコネクタが有する回動部材に設けられた軸部の構成を説明するための図である。
【図5】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングのベース部に設けられた軸受け部の構成を説明するための図である。
【図6】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングのベース部に設けられた軸受け部の構成を説明するための図である。
【図7】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。
【図9】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際の動作を説明するための斜視図である。
【図10】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【図11】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【図12】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【図13】上記実施の形態に係るコネクタに対して回動部材を取り付ける際における軸部の周辺の拡大図である。
【符号の説明】
【0048】
1 カード用コネクタ装置(コネクタ)
2 ハウジング
201 ベース部
202a、b 側壁部
203 奥壁部
204 第1コンタクト端子
205 第2コンタクト端子
206、207 軸受け部
2061 太軸収容部
2061a、b 突出片
2061c、d 円弧形状面
2062 細軸収容部
2062a、b 円弧形状面
2062c、d 受け面
2062e 開口部
3 カード挿入口
4、5 回動部材
401 開口部
402 軸部
4021 太軸部
4021a、b 平行面部
4021c、d 周面部
4022 細軸部
4022a、b 平行面部
4022c、d 周面部
403 当接部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを装着可能なカード装着空間を有するハウジングと、前記カードの挿入に伴って回動可能な回動部材とを備え、
前記回動部材は、前記ハウジングに回動可能に支持される軸部を有し、当該軸部は、断面が扁平形状を有する第1軸部と、この第1軸部における軸方向の端面の一部から外側に延出する第2軸部とを備え、
前記ハウジングは、その一面に前記軸部を収容可能な軸受け部を有し、当該軸受け部は、前記第1軸部の長径方向に沿って当該第1軸部が挿入可能に設けられると共に、前記第2軸部に対する受け面が設けられることを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項2】
前記第2軸部を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、前記受け面を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の前方側に設けたことを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ装置。
【請求項3】
前記第1軸部の回動を支持する支持面を前記軸受け部に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカード用コネクタ装置。
【請求項4】
前記カードは、前記カード装着空間に選択的に挿着される第1カード又は第2カードからなり、前記第1カードの接触部に接触する第1コンタクト端子と、前記第2カードの接触部に接触する第2コンタクト端子とを備え、前記回動部材は、前記第1コンタクト端子と当接して前記第2カードの挿入により前記第1コンタクト端子を前記第2カードの接触部と接触しないように押圧する押圧機構を構成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ装置。
【請求項5】
前記回動部材は、前記カード装着空間に対するカード挿入のための開口部近傍に配置されるシャッタ機構を構成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ装置。
【請求項1】
カードを装着可能なカード装着空間を有するハウジングと、前記カードの挿入に伴って回動可能な回動部材とを備え、
前記回動部材は、前記ハウジングに回動可能に支持される軸部を有し、当該軸部は、断面が扁平形状を有する第1軸部と、この第1軸部における軸方向の端面の一部から外側に延出する第2軸部とを備え、
前記ハウジングは、その一面に前記軸部を収容可能な軸受け部を有し、当該軸受け部は、前記第1軸部の長径方向に沿って当該第1軸部が挿入可能に設けられると共に、前記第2軸部に対する受け面が設けられることを特徴とするカード用コネクタ装置。
【請求項2】
前記第2軸部を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の後方側の一部に設ける一方、前記受け面を、前記軸受け部に対する前記第1軸部の挿入方向の前方側に設けたことを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ装置。
【請求項3】
前記第1軸部の回動を支持する支持面を前記軸受け部に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカード用コネクタ装置。
【請求項4】
前記カードは、前記カード装着空間に選択的に挿着される第1カード又は第2カードからなり、前記第1カードの接触部に接触する第1コンタクト端子と、前記第2カードの接触部に接触する第2コンタクト端子とを備え、前記回動部材は、前記第1コンタクト端子と当接して前記第2カードの挿入により前記第1コンタクト端子を前記第2カードの接触部と接触しないように押圧する押圧機構を構成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ装置。
【請求項5】
前記回動部材は、前記カード装着空間に対するカード挿入のための開口部近傍に配置されるシャッタ機構を構成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−187775(P2009−187775A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26117(P2008−26117)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]