説明

カード用接続装置およびこのカード用接続装置を備えたカード用アダプタ

【課題】コンタクト端子の固定端と自由端との距離を短縮することと、カード端子とコンタクト端子との間に適切な接触圧を発生させることとを両立させやすいカード用接続装置の提供。
【解決手段】カードに設けられた複数のカード端子の配列に対応するように並列したコンタクト端子21〜28を備えている。これらのコンタクト端子21〜28のそれぞれの一端はケース本体3に固定された固定端となっていて、それぞれの他端は自由端になっている。コンタクト端子21〜28のそれぞれは、これらのコンタクト端子21〜28が並列する面から突起する山形が形成されるように曲折しているとともに、前記面に沿って曲折している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列する複数のコンタクト端子を備えていて、これらのコンタクト端子のそれぞれが、コンタクト端子が並列する面から突起する山形を形成するように曲折しているカード用接続装置、およびこのカード用接続装置を備えたカード用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
カード用接続装置、およびカード用接続装置を備えたカード用アダプタとしては、特許文献1に示されたものがある。
【0003】
特許文献1に示されたカード用接続装置は、カードに備えられた複数のカード端子の配列に対応するように並列した複数のコンタクト端子を備えている。これらのコンタクト端子の一端および他端のそれぞれは、固定端および自由端のそれぞれになっている。また、これらのコンタクト端子のそれぞれは、コンタクト端子が並列する面から突起する山形が形成されるように曲折している。また、コンタクト端子が並列する面に平行な面に対して、複数のコンタクト端子のそれぞれを投影した形状は、直線状である。
【0004】
また、特許文献1に示されたカード用アダプタは、同特許文献1に示された前述のカード用接続装置を備えている。このカード用アダプタは、カードを挿入可能な挿入口を有するケースを備えている。ケース内ではカード用接続装置の複数のコンタクト端子が露出している。カードがケースに挿入された状態では、複数のコンタクト端子のそれぞれが、自身の頂部で、自身と対応するカード端子と接触するようになっている。
【0005】
また、カードがケースに挿入された状態では、山形の突出の方向と相反する方向にコンタクト端子がカードによって押し潰されている。この状態では、コンタクト端子が元の山形に復元しようとするばね力によって、カード端子とコンタクト端子とが接触した状態を保持する接触圧が発生している。
【特許文献1】特開2004−272704公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように構成されたカード用アダプタに対しては、カードの小型化に対応させるための小型化が要望されている。この要望に応えるには、カードの挿抜方向に対応する方向におけるカード用接続装置の寸法を短くする必要がある。このようにカード用接続装置の寸法を短縮するには、直線状のコンタクト端子の長さ寸法を短縮することによってコンタクト端子の自由端と固定端との距離を短縮することが考えられるが、カード端子とコンタクト端子との間に適切な接触圧を発生させることと、直線状のコンタクト端子の長さ寸法との関係を考慮すると、コンタクト端子の長さ寸法を短縮できないことがある。
【0007】
本発明は、前述の実状を考慮してなされたもので、その目的は、コンタクト端子の固定端と自由端との距離を短縮することと、カード端子とコンタクト端子との間に適切な接触圧を発生させることとを両立させやすいカード用接続装置、および、このカード用接続装置を備えたカード用アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕 本発明のカード用接続装置は、カードに設けられた複数のカード端子の配列に対応するように並列した複数のコンタクト端子を備えていて、これらのコンタクト端子の一端および他端のそれぞれが、固定端および自由端のそれぞれになっているとともに、前記複数のコンタクト端子が並列する面から突起する山形が形成されるように前記複数のコンタクト端子のそれぞれが曲折しているカード用接続装置であって、前記コンタクト端子が、前記面に沿って曲折していることを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明のカード用接続装置では、コンタクト端子が並列する面に沿って、複数のコンタクト端子のそれぞれが曲折しているので、コンタクト端子自体の長さ寸法を短縮せずに、コンタクト端子の固定端と自由端との距離を短縮することができる。したがって、コンタクト端子の固定端と自由端との距離を短縮することと、カード端子とコンタクト端子との間に適切な接触圧を発生させることとを両立させやすい。
【0010】
〔2〕 本発明のカード用接続装置は、「〔1〕」記載の発明において、前記複数のコンタクト端子は互いに、前記面に沿って曲折する角度が同角度で、前記固定端から前記自由端までの寸法が同寸法になるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
このように構成された本発明のカード用接続装置では、複数のコンタクト端子のそれぞれが発揮するばね力が一定になるように設定しやすい。
【0012】
〔3〕 本発明のカード用接続装置は、「〔2〕」記載の発明において、前記コンタクト端子の前記自由端は、前記面に直交する方向への変位を規制された状態で、前記山形の突起の程度が変化するのを許容する方向にスライド可能に支持されていることを特徴とする。
【0013】
このように構成された本発明のカード用接続装置では、山形が突出する方向と相反する方向にコンタクト端子が押圧されたとき、コンタクト端子の自由端は、コンタクト端子が並列する面に直交する方向への変位を規制された状態で、山形の突出の程度が小さくなる方向へスライドする。これにより、コンタクト端子のばね力を安定させることができる。
【0014】
〔4〕 本発明のカード用接続装置は、「〔2〕」記載の発明において、隣接するコンタクト端子のうちの一方には、他方のコンタクト端子に接触する前記カード端子との接触を阻止する絶縁部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
このように構成された本発明のカード用接続装置では、他方のコンタクト端子に接触するカード端子と、隣接するコンタクト端子のうちの一方との接触が、絶縁部により阻止される。これにより、隣接するコンタクト端子の間隔寸法を短縮しやすい。
【0016】
〔5〕 本発明のカード用アダプタは、「〔1〕」〜「〔4〕」のいずれか1に記載のカード用接続装置を備えていることを特徴とする。
【0017】
このように構成された本発明のカード用アダプタは、コンタクト端子の固定端と自由端との距離を短縮しやすいカード用接続装置を備えているので、小型化しやすい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカード用接続装置によれば、コンタクト端子の固定端と自由端との距離を短縮することと、カード端子とコンタクト端子との間に適切な接触圧を発生させることとを両立させやすいので、カード用アダプタやカード用コネクタの小型化に貢献できる。
【0019】
また、本発明のカード用アダプタによれば、コンタクト端子の固定端と自由端との距離を短縮しやすいカード用接続装置を備えているので、カード用アダプタの小型化に貢献できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のカード用接続装置およびカード用アダプタの一実施形態について図1〜7を用いて説明する。
【0021】
図1は本発明のカード用アダプタの一実施形態の平面図、図2は図1に示す実施形態の背面図、図3は図1に示す実施形態の裏面図、図4は図1に示す実施形態からカバーが取り除かれてカード用接続装置のコンタクト端子が見えている状態の平面図、図5は図4のV−V断面図、図6は図5に示すコンタクト端子の拡大図、図7はケースに挿入されたカードとコンタクト端子との位置関係を示す図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態のカード用アダプタ1は、カード50(図7の参照)が挿入される空間を形成するケース2を備えている。このケース2は、ガードが挿入される凹部3aを形成する樹脂製のケース本体3と、このケース本体3を上方から覆うカバー4とから構成されている。
【0023】
カバー4は、ケース本体3の前端部の上面および側壁の上面を覆うように、ケース本体3と結合されている樹脂製のコ字状部材5と、このコ字状部材5の内側でこのコ字状部材5に結合されていてケース本体3の凹部3aを覆っている金属製の磁気シールド部材6とを備えている。
【0024】
図2に示すように、ケース2の背面の前端部には、カード50の挿入口2aが形成されている。
【0025】
図3に示すように、ケース2の裏面には、複数の外部端子、すなわち外部端子7〜17が設けられている。これらの外部端子7〜17は、カード用アダプタ1が装着される所定の電子機器に設けられた複数の端子の配列に対応するように並列している。
【0026】
図4に示すように、ケース本体3の凹部3aの底部3bには、カード50に設けられた複数のカード端子(図示しない)の配列に対応するように並列した複数のコンタクト端子、すなわちコンタクト端子21〜28を備えたカード用接続装置20が設けられている。
【0027】
コンタクト端子21〜28のうちの、コンタクト端子21,22,23はそれぞれ外部端子7,8,9のそれぞれと一体に形成されている。また、コンタクト端子24〜28はそれぞれ外部端子13〜17のそれぞれと一体に形成されている。コンタクト端子21〜28と外部端子7〜17は、インサート成形によりケース本体3の底部3bに固定されている。
【0028】
また、同図4に示すように、コンタクト端子21〜28は、これらのコンタクト端子21〜28が並列する面に沿って曲折している。
【0029】
また、図5,6に示すように、コンタクト端子25の一端は、インサート成形によりケース本体3の底部3bに固着されて固定端になっている。コンタクト端子25の他端は自由端になっている。コンタクト端子25は、コンタクト端子21〜28が並列する面からカバー4の方向に突起する山形が形成されるように曲折している。コンタクト端子25以外のコンタクト端子21〜24および26,27,28も、コンタクト端子25と同様に、コンタクト端子21〜28が並列する面からカバー4の方向に突起する山形が形成されるように曲折している。
【0030】
また、図4に示すように、コンタクト端子21〜28は互いに、これらのコンタクト端子21〜28が並列する面に沿って曲折する角度が同角度で、固定端から自由端までの寸法が同寸法になるように形成されている。また、コンタクト端子21,22,24が互いに平行に並んでいて、コンタクト端子25〜28が互いに平行に並んでいる。
【0031】
また、コンタクト端子21〜28は、それぞれの山形を形成する折れ目よりも自由端側の傾斜部21a〜28aが互いに平行となるように、並んでいる。さらに、コンタクト端子21〜28は、傾斜部21a〜28aのそれぞれのケース本体3の底部3bに対する投影面が、カード50の挿入方向と平行な方向に延びた状態となるように、並んでいる。
【0032】
また、コンタクト端子21〜28のそれぞれは、カード50のケース2への挿入が完了した状態において、自身の頂部すなわち頂部21b〜28bのそれぞれで、自身と対応するカード端子と接触するように配置されている。
【0033】
また、ケース本体3の底部3bには、カード50の挿入方向に沿って延びた複数の溝30〜37が並列している。コンタクト端子21〜28のそれぞれの自由端は、溝30〜37のそれぞれに挿入されていることによって、コンタクト端子21〜28が並列する面に直交する方向への変位を規制された状態で、山形の突起の程度が変化するのを許容する方向にスライド可能に支持されている。
【0034】
このように構成された本実施形態では、挿入口2aから挿入されたカード50の前端部は、はじめに、コンタクト端子21〜28のそれぞれの自由端側の傾斜部、すなわち傾斜部21a〜28aに接触する。この状態でカード50がケース2の奥の方向へ押圧されると、カード50の前端部から傾斜部21a〜28aに伝達される力によって、コンタクト端子21〜28はケース本体3の底部3bの方向に押圧される。これにより、コンタクト端子21〜28のそれぞれでは、自由端が溝30〜37のそれぞれに沿って挿入口2aの方向にスライドして、山形の突出の程度が小さくなる(図6の2点差線参照)。つまり、カード50はコンタクト端子21〜28のそれぞれを山形の突出の程度が小さくなるように押し潰しながら、ケース2の奥の方向へ挿入されていき、ケース2に対するカード50の挿入が完了する。
【0035】
図7に破線で示すようにカード50の挿入が完了した状態では、コンタクト端子21〜28それぞれは、それぞれの頂部21b〜28bで、自身と対応するカード端子と接触していて、それぞれの山形の突出の方向と相反する方向にカード50によって押し潰されている。この状態では、コンタクト端子21〜28が元の山形に復元しようとするばね力によって、コンタクト端子21〜28のそれぞれと、それぞれに対応するカード端子とが接触した状態を保持する接触圧が発生している。
【0036】
本実施形態によれば、次の効果を得られる。
【0037】
本実施形態のカード用接続装置20では、コンタクト端子21〜28が並列する面に沿って、コンタクト端子21〜28のそれぞれが曲折している。つまり、コンタクト端子21〜28のそれぞれ自体の長さ寸法を短縮させずに、コンタクト端子21〜28の固定端と自由端との距離を短縮することができる。したがって、コンタクト端子21〜28のそれぞれの固定端と自由端との距離を短縮することと、カード50に備えられる複数のカード端子のそれぞれとコンタクト端子21〜28のそれぞれとの間に適切な接触圧を発生させることとを両立させやすい。これにより、カード用アダプタの小型化に貢献できる。
【0038】
また、本実施形態のカード用接続装置20では、コンタクト端子21〜28は互いに、これらのコンタクト端子21〜28が並列する面に沿って曲折する角度が同角度で、固定端から自由端までの寸法が同寸法になるように形成されている。これにより、コンタクト端子21〜28のそれぞれが発揮するばね力が一定になるように設定しやすい。
【0039】
また、本実施形態のカード用接続装置20は、山形が突出する方向と相反する方向にコンタクト端子21〜28のそれぞれが押圧されたとき、コンタクト端子21〜28のそれぞれの自由端は、コンタクト端子21〜28が並列する面に直交する方向への変位を規制された状態で、山形の突出の程度が小さくなる方向へスライドする。これにより、コンタクト端子21〜28のばね力を安定させることができる。
【0040】
また、本実施形態のカード用接続装置20では、隣接するコンタクト端子のうちの一方と、他方のコンタクト端子に接触するカード端子との接触が、絶縁部41により阻止される。これにより、コンタクト端子21〜28のそれぞれを、それぞれに対応するカード端子のみに接触させることができる。
【0041】
また、本実施形態のカード用アダプタ1は、コンタクト端子21〜28のそれぞれの固定端と自由端との距離を短縮しやすいカード用接続装置20を備えているので、小型化しやすい。これにより、カード用アダプタの小型化に貢献できる。
【0042】
なお、本実施形態では、カード用接続装置の一例としてカード用接続装置20を例に挙げたが、本発明のカード用接続装置はこれに限るものではない。例えば、図8に示すカード用接続装置40でもよい。なお、図8に示したものについて、図4に示したものと同等のものには、図4と同じ符号を付してある。
【0043】
このカード用接続装置40では、隣接するコンタクト端子21,22のうちの一方であるコンタクト端子22、隣接するコンタクト端子22,23のうちの一方であるコンタクト端子23、隣接するコンタクト端子24,25のうちの一方であるコンタクト端子24、隣接するコンタクト端子25,26のうちの一方であるコンタクト端子25、隣接するコンタクト端子26,27のうちの一方であるコンタクト端子26、隣接するコンタクト端子27,28のうちの一方であるコンタクト端子27のそれぞれには、他方のコンタクト端子21,22,25,26,27,28のそれぞれに接触するカード端子との接触を阻止する絶縁部41が設けられている。各絶縁部41は、他方のコンタクト端子に対応するカード端子の軌道上に位置する一方のコンタクト端子の部分を覆った樹脂からなっている。このように構成されたカード用接続装置40は、隣接するコンタクト端子の間隔寸法を短縮しやすい。
【0044】
また、カード用接続装置20,40は、カード用アダプタ1に適用されているが、本発明のカード用接続装置はこれに限るものではなく、カード用コネクタに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のカード用アダプタの一実施形態の平面図である。
【図2】図1に示す実施形態の背面図である。
【図3】図1に示す実施形態の裏面図である。
【図4】図1に示す実施形態からカバーが取り除かれてカード用接続装置のコンタクト端子が見えている状態の平面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】図5に示すコンタクト端子の拡大図である。
【図7】ケースに挿入されたカードとコンタクト端子との位置関係を示す図である。
【図8】図4に示すカード用接続装置とは別のカード用接続装置を示す図4に対応する図である。
【符号の説明】
【0046】
1 カード用アダプタ
2 ケース
2a 挿入口
3 ケース本体
3a 凹部
3b 底部
4 カバー
5 コ字状部材
6 磁気シールド部材
7〜17 外部端子
20 カード用接続装置
21〜28 コンタクト端子
21a〜28a 傾斜部
21b〜28b 頂部
30〜37 溝
40 カード用接続装置
41 絶縁部
50 カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに設けられた複数のカード端子の配列に対応するように並列した複数のコンタクト端子を備えていて、これらのコンタクト端子の一端および他端のそれぞれが、固定端および自由端のそれぞれになっているとともに、前記複数のコンタクト端子が並列する面から突起する山形が形成されるように前記複数のコンタクト端子のそれぞれが曲折しているカード用接続装置であって、
前記コンタクト端子が、前記面に沿って曲折していることを特徴とするカード用接続装置。
【請求項2】
請求項1記載の発明において、
前記複数のコンタクト端子は互いに、前記面に沿って曲折する角度が同角度で、前記固定端から前記自由端までの寸法が同寸法になるように形成されていることを特徴とするカード用接続装置。
【請求項3】
請求項2記載の発明において、
前記コンタクト端子の前記自由端は、前記面に直交する方向への変位を規制された状態で、前記山形の突起の程度が変化するのを許容する方向にスライド可能に支持されていることを特徴とするカード用接続装置。
【請求項4】
請求項2記載の発明において、
隣接するコンタクト端子のうちの一方には、他方のコンタクト端子に接触する前記カード端子との接触を阻止する絶縁部が設けられていることを特徴とするカード用接続装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のカード用接続装置を備えていることを特徴とするカード用アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−311116(P2007−311116A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137801(P2006−137801)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】