説明

カーボンナノチューブを分離する方法

次記の工程を含む、実質的に同一の直径を有するカーボンナノチューブを分離する方法:カーボンナノチューブの試料の提供;試料内の個々のナノチューブの分離、少なくとも一部の分離したナノチューブとタンパクフィブリルとの複合体を形成するための、試料とタンパクフィブリルを含む溶液との混合、及び複合体を形成したナノチューブの分離。好適には、タンパクはコラーゲンである。分離されたナノチューブは、電子工学、医学及び材料科学の分野で使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブを直径に従って分離する方法と、分離されたナノチューブの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
単層型カーボンナノチューブ(SWCNT)は、平面上のグラフェンシートをシリンダー状に巻きあげたものである。それは半導体または金属の電導性を備えた一次元のナノ構造であり、技術的に非常に重要な素材である。通常は、SWCNTは化学蒸着法、アーク放電、レーザー切除法、または高圧法によって形成される。単層型カーボンナノチューブは、多くのメーカーより市販されている。例えば、Carbon Nanotechnologies Incorporated(米国)(米国特許6761870B1)、Thomas Swan(英国)、Nanocyl(ベルギー) 及びNanocarblab (ロシア)など。
【0003】
そのようなカーボンナノチューブは0.5nm〜2nmの間で様々な直径を有し得る。カーボンナノチューブが巻き上げられる方法によって、そのキラル構造が異なり得る。単層型のキラル構造によっては、その電子的、光学的な特性が異なる。特定の直径/キラル構造を有するチューブは、ナノ電子工学、センサー技術及び多くの基礎材料研究への適用に必要とされている。しかしながら、特定のキラル構造または直径のチューブを形成することは不可能であった(非特許文献1)。チューブをその電導性(金属と半導体)によって分離しようという、試みがいくつか見られた(非特許文献2,非特許文献3,非特許文献4)。また、直径によって分離しようという試みも見られた(非特許文献5,非特許文献6)。しかしながら、電導性によって分離する技術及び直径によって分離する技術が適用できる範囲は、狭い直径選択性範囲の、特定の電導性のチューブ(金属/半導体)に限られていた。
【0004】
特許文献1は、純化の手段としての、ナノカーボンの可溶化について開示している。水溶性巨大分子をナノカーボンに加えて疑似ミセルを形成し、その後、ホモジナイザーで処理、分散させる。純化したナノカーボンは、濾過により取り除かれる。この方法によって、不純物は除去される。しかしながら、特定の直径のカーボンナノチューブの分離については言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2005/0277675
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Kataura, H., Y. Kumazawa, Y. Maniwa, Y. Ohtsuka, R. Sen, S. Suzuki, and Y. Achiba, Diameter control of single-wall carbon nanotubes. Carbon, 2000. 38(11-12): p. 1691-1697
【非特許文献2】M. Zheng, A. Jagota, M. S. Strano, A. P. Santos, P. Barone, S. G. Chou, B. A. Diner, M. S.Dresselhaus, R. S. Mclean, G. B. Onoa, G. G. Samsonidze, E. D. Semke, M. Usrey, and D. J. Walls, Structure-Based Carbon Nanotube Sorting by Sequence-Dependent DNA Assembly Science 2003 302: 1545-1548
【非特許文献3】Maeda, Y., S. Kimura, M. Kanda, Y. Hirashima, T. Hasegawa, T. Wakahara,Y.F. Lian, T. Nakahodo, T. Tsuchiya, T. Akasaka, J. Lu, X.W. Zhang, Z.X. Gao, Y.P. Yu, S. Nagase, S. Kazaoui, N. Minami, T. Shimizu, H. Tokumoto, and R. Saito, Large-scale separation of metallic and semiconducting single-walled carbon nanotubes. Journal of the American Chemical Society, 2005. 127(29): p. 10287-10290
【非特許文献4】Chattopadhyay, D., I. Galeska, and P. Fotios, A Route for Bulk Separation of Semiconducting from Metallic Single-Wall Carbon Nanotubes. J. Am. Chem. Soc, 2003. 125: p. 3370- 3375
【非特許文献5】K. H. An, Chol-Min Yang, J. Yeong Lee, C. Kang, J. H. Son, M. S. Jeong, Y. H. Lee, A diameter-selective chiral separation of single-wall carbon nanotubes using nitronium ions, J. of Electronic Materials, 2006, 35(2): p. 235-242
【非特許文献6】M. S. Arnold, S. I. Stupp, M. C. Hersam, Enrichment of single-walled carbon nanotubes by diameter in density gradients, Nanoletters, 2005, 5(4): p 713-718
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特定の直径を有する単層型のカーボンナノチューブを分離する改良された方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の最初の形態によれば、次記の工程を含む、実質的に同一の直径を有するカーボンナノチューブを分離する方法を提供する:
様々な直径のものが混合された、カーボンナノチューブ試料を供給する工程;
試料内の個々のナノチューブを分離する工程;
少なくとも一部の分離されたカーボンナノチューブと前記フィブリルとの複合体を形成させるために、タンパクフィブリルを含む溶液と混合する工程;及び
複合体を形成したナノチューブを分離する工程。
【0009】
試料中の個々のナノチューブを分離するために、チューブには酸処理を施し、水中に分散させることができる。さらに、選択的に、界面活性剤を溶液に加えてもよい。この場合、チューブの酸処理を行う必要はない。
【0010】
通常は、界面活性剤はSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)であるが、他の界面活性剤を使用することもできる。
【0011】
好ましい形態において、コラーゲンは1型コラーゲンである。コラーゲンは牛皮から得られたものでもよい。2型、3型、及び/または4型のような他のコラーゲンを使用してもよい。異なる型のコラーゲンの混合物も使用することができる。
【0012】
有利には、コラーゲンは水に溶解される。しかし、他の溶剤を使用してもよい。
【0013】
複合体を形成したチューブを分離する工程において、遠心分離及び/または分留を使用してもよい。
【0014】
界面活性剤とコラーゲン溶液と混合する前に、試料を酸で処理してもよい。
【0015】
カーボンナノチューブの直径は約0.8〜1.4nmであって、好適には約0.9〜1.3nm、より好適には約1〜1.2nmである。
【0016】
本発明の第2の側面は、全体的にタンパクフィブリルで取り囲まれたカーボンナノチューブが得られることである。
【0017】
本発明の第3の側面は、実質的に内部にバイオセンサーを有するカーボンナノチューブと繊維状タンパクの複合体が得られることである。
【0018】
本発明の第4の側面は、繊維状タンパクとカーボンナノチューブの複合製剤が、治療に使用されることである。
【0019】
本発明の第4の側面は、本発明の第4の側面は、関節炎治療の薬剤の製造に、カーボンナノチューブ及び繊維状タンパク製剤が使用されることである。
【0020】
本発明の好ましい形態は、例示及び参照図によって開示されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】Nanocyl SWCNTの3つの試料のラマンスペクトルを示す。ラマン測定は633nmの励起で実施された。
【図2】Renishaw社のラマン分光光度計を用いて、633nmでNanocyl社のSWCNTを測定した、RBMモード(Radial breathing mode)を示す。
【図3】Rice SWCNTのRBMモードを示す。ラマン測定はラマン分光光度計を用いて、633nmの励起で行われた。
【図4】X線回折の結果を示す。NanocylとRice(carbon Nanotechnologies Incorporated, USA製)と名付けられた2種類のチューブにおいて、2つの直径が選択されていることが、ラマンスペクトルから明らかにされている。チューブの直径(ラマン分光光度計で測定)の選択によって、異なる直径のコラーゲンマイクロフィブリル(X線回折で測定)が生成される。
【図5】分離されたチューブの共鳴領域を示すKatauraプロットを示す。黒い円と灰色の円は、それぞれ半導体と金属のチューブを示している(Kataura, H., Y. Kumazawa, Y. Maniwa, I. Umezu, S. Suzuki, Y. Ohtsuka, and Y. Achiba, Optical Properties of Single Wall Carbon Nanotubes. Synthetic Metals, 1999. 103: p. 2555-2558)。
【図6】約1.5nmの直径のSWCNTの空間を有するコラーゲンマイクロフィブリルの構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ラマン分光は、ダイヤモンド、グラファイト、ダイヤモンド様カーボン、フラーレン及びカーボンナノチューブの特性を調べることができる、強力なツールである。単層型カーボンナノチューブの場合、励起レーザーエネルギーがバンドギャップと一致するとき、共鳴ラマン散乱が起こる。したがって、ラマンの強度は、試料内の特定のチューブの量を評価するために使用することができない( Rao, A.M., E. Richter, S. Bandow, B. Chase, P.C. Eklund, K.A. Williams, K.R. Subbaswamy, M. Menon, A. Thess, R.E. Smalley, G. Dresselhaus, and M.S. Dresselhaus, Diameter-Selective Raman Scattering from Vibrational Modes in Carbon Nanotubes. Science, 1997. 275: p. 187-191)。SWCNTのラマンスペクトルにおいて、1300〜1600cm-1の間に2つの極大ピークがあり、低周波数領域(400cm-1未満)にはほとんどピークが見られない。1580cm-1で現れるピークはG−ピークと呼ばれ、1350cm-1で現れるピークはD−ピークと呼ばれる。D−ピークは、欠陥の存在により共鳴が2倍になるときに、よく生じる。低周波数のピークは、チューブの放射性振動を通して現れるRBMモード(Radial Breathing Modes)である(Rao, A.M., E. Richter, S. Bandow, B. Chase, P. C. Eklund, K.A. Williams, K.R. Subbaswamy, M. Menon, A. Thess, R. E. Smalley, G. Dresselhaus, and M.S. Dresselhaus, Diameter- Selective Raman Scattering from Vibrational Modes in Carbon Nanotubes. Science, 1997. 275: p. 187-191)。RBMモードの周波数は、チューブの直径に依存する(d=248/波長)。単層型カーボンナノチューブの共鳴の挙動は複雑であり、チューブのバンド構造を用いた詳細な分析が必要である。Katauraらは、SWCNTの共鳴ラマン散乱を基本的に説明づけるプロットを提案した(Kataura, H., Y. Kumazawa, Y. Maniwa, I. Umezu, S. Suzuki, Y. Ohtsuka, and Y. Achiba, Optical Properties of Single Wall Carbon Nanotubes. Synthetic Metals, 1999. 103: p. 2555-2558)。この研究の中で、1.9eVの励起レーザーが使用され、210cm-1周辺にRBMモードが検出される。図4中の円の部分が、我々が興味を有する共鳴領域である。
【0023】
典型的なSWCNT/SDS/コラーゲンの複合体は、次記の方法で生成される。24.0gのSWCNTについて、20mlの0.5%SDS溶液中で、1時間、水浴超音波振動機(25kHz)による超音波処理を行う。これにより、チューブの束が崩され、個々のチューブが分離されるため、SWCNTを分散させることができる。続いて、12mlのコラーゲン溶液(2mg/ml、牛皮由来の1型コラーゲン、シグマ社より販売)を、前述の混合物に加え、室温で24時間攪拌する。チューブはマイクロフィブリルを形成するコラーゲンと相互反応する。コラーゲンのマイクロフィブリルに適した直径を有するSWCNTが捕捉される(図6)。すべてのチューブが混合物中に分散されなかった場合には、混合物は密度によって分離される。混合物はさらに30分間超音波処理され、10,000gで25分間遠心分離され、2つの部分に分けられる。1つは上清、もう1つは沈殿である。上清には、コラーゲンに包まれ、分離されたチューブが含まれる。
【0024】
チューブはコラーゲンに包まれた状態で得られても、コラーゲンが取り除かれた状態で得られてもよい。コラーゲンは高温で非常に不安定であり、かつ酸素存在下では分解してしまうため、例えば、熱処理(500℃までのオーブン等)か化学処理(酸処理等)によって、単層型カーボンナノチューブからコラーゲンを取り除くことができる。
【実施例】
【0025】
2つの供給源の異なるSWCNTを使用した2セットの試料を用意した;
A.化学蒸着(CVD)処理されたNanocylチューブ、及び
B.高圧1酸化炭素(HIPCO)処理されたRiceチューブ。
市販のSWCNTの中には金属ナノ粒子を含有しているものもあるため、分離方法を実施するために、例えば酸処理等を行い清浄化することが理想的である。Nanocylチューブは、2〜3Mの硝酸溶液中での12〜48時間(通常は24時間)の還流、高速遠心分離、脱イオン化水による繰り返し洗浄、真空乾燥が行われることで純化された。この方法により、ナノチューブの側壁に主にカルボキシル基よりなる酸性基が付加される。選択的に、チューブは、続けて塩酸処理を施してもよい。
【0026】
SWCNT/SDS/コラーゲン複合体は、各試料について前述の方法を用いて生成された。
【0027】
SDSで覆われたチューブは、変性する前のコラーゲンと接触する。24時間の溶液攪拌時に、コラーゲンフィブリルの一部が自己凝集によりマイクロフィブリルを形成する(図6)。個々のコラーゲンナノフィブリル(直径〜1.35nm)は、5つのフィブリルで擬似六角形を形成するように並ぶ。この現象は、次の文献に開示されている:Orgel, J.P.R.O., T.C. Irving, A. Miller, and T.J. Wess, Microfibrillar Structure of Type I Collagen in situ. Biophysical Journal, 2006. 103(24): p. 9001-9005。典型的には、マイクロフィブリル集合体の直径は約3.8nmであり、マイクロフィブリル集合体の孔の直径は1.1nmである(図5に示す)。SWCNTは孔内に入り、そこに保持される。様々な直径について文献に報告されてきたところによると、計算された空間はマイクロフィブリルとナノフィブリルの直径の値に依存する。我々は2つの異なる供給源から得られたSWCNTについて検討しており、異なる直径のマイクロフィブリルを観察している。直径の大きなチューブを用いると、マイクロフィブリルの直径も大きい。これは、大きなチューブはマイクロフィブリル中により大きな空間を必要とするため、マイクロフィブリルの直径を広げるためである。SWCNTなしでコラーゲンが界面活性剤と組み合わせされると、マイクロフィブリル構造は崩れてバラバラになる。しかしながら、コラーゲンナノチューブ複合体構造は、界面活性剤がなくても、分散したチューブがあれば形成される。ナノチューブを酸処理する場合、界面活性剤を使用することが好ましい。
【0028】
ラマンスペクトル測定は、633nmの励起レーザーを有するRenishawラマン分光光度計を使用して実施した。X線回折測定は、標準的な設備と技術を使用して実施した。
【0029】
試料セットA:Nanocylチューブ。
図1は、Nanocylチューブの3つの試料のラマンスペクトルを示す:i)酸処理された資料(未分離)、ii)分離されたチューブを含む溶液(SDSとコラーゲンによる処理後)、及びiii)すべてのタイプのチューブを含む沈殿。
【0030】
ラマンスペクトルのRBMモードを図2に示す。第1の試料(純化されたチューブ)は多くのRBMピークを示す。沈殿も多くのRBMピークを示す。しかしながら、溶液は1つのRBMピークを示し、これは、1つの直径のチューブを多く含む溶液であることを意味する。直径は、約1.2nmと計算される。
【0031】
試料セットB:Riceチューブ。
図3はRiceチューブを有する試料のラマンスペクトルを示す:i)分離されたチューブ、ii)沈殿チューブ。
【0032】
分離されたチューブが約250cm-1のRBMを有するチューブを多く含むことが非常に明確に示されており、対応するチューブの直径は約1nmである。これらのチューブについてはSDSと混合する前に酸処理を行った。
【0033】
X線回折の結果(図4)は、両方のタイプのチューブにおいて、コラーゲンのマイクロフィブリルは、類似の規則的な構造を形成することを示す。しかしながら、このような規則的な構造形成は、可溶部のみに見られ、沈殿には見られない。X線回折により測定された、NanocylとRiceのチューブについての、コラーゲンマイクロフィブリルの直径は、それぞれ4.3nm、4nmであった。NanocylとRiceの分離されたナノチューブの直径は、それぞれ1.2nm、1nmであり、この差はRBMモードで測定された差と一致する。
【0034】
本発明は、SWCNTとコラーゲンの相互反応を利用して、簡便、定量的、かつ安価な技術を使用した、特定の直径を有する単層型カーボンナノチューブの分離を可能とする。ラマン分光は、直径の選択性の証拠を示し、X線回折はマイクロフィブリル形成の証拠を示す。
【0035】
分離されたカーボンナノチューブは、電子工学、医学、及び材料科学を含む種々の分野に広く適用可能である。
【0036】
コラーゲンの代わりに、他の直径のチューブを選択するために、類似の相互反応機構を利用し、他の分子を使用することも可能である。SWCNTの抗原性により困難な場合に、体内にSWCNTを投与するためにそれを使用することもできる。SWCNTはコラーゲンで覆われているため、非自己として攻撃されることなく、体内に取り込まれることができる。さらに、投与の前に材料をSWCNT内部に挿入することができる。例えば、バイオセンサーをSWCNT内部に挿入し、体内に投与することができる。他の材料、例えば、化粧品として使用される着色材料をSWCNT内部に挿入することもできる。
【0037】
SWCNTは、例えば、瘢痕組織付近の皮膚の収縮を防ぎ、皮膚を強くするために使用することができる。これは、特に火傷患者の美容外科手術において有用である。SWCNTを動物の皮膚に導入することで、皮を強くし、革製品の強度を改良することができる。
【0038】
コラーゲンは、身体周辺の多くの組織に自然に存在する。軟骨がその1例である。軟骨の被覆または損傷が見られる箇所(関節炎等による)、あるいは関節置換手術において、SWCNTによって軟骨が強化される。また、他の1例として骨髄も挙げられる。骨髄において、SWCNTは、播種材料として使用可能である。
【0039】
多様な修正が想定される。
【0040】
前述の工程によってチューブを分離するためには、あらゆる供給源からのあらゆる種類のコラーゲンを、使用可能である。コラーゲンは天然由来(動物または人間の組織)であってもよく、合成であってもよい。
【0041】
コラーゲンは、チューブの直径を選択する際に、修正してもよい。
【0042】
カーボンナノチューブは有機または無機分子の薄層で覆われ、効果的な直径へと修正されてもよく、特定のコラーゲンを使用してその直径のチューブを選択することが可能となる。
【0043】
分離されたチューブを含む上清部分の分離には、遠心分離または分留のような、あらゆる分離手段を使用することができる。
【0044】
個々のナノチューブを得るために、ナノチューブを分散させる、あらゆる方法を使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次記の工程を含む、実質的に同一の直径を有するカーボンナノチューブを分離する方法:
カーボンナノチューブの試料の提供;
前記試料内の個々のナノチューブの分離、分離したナノチューブの少なくとも一部とタンパクフィブリルとの複合体を形成するための、試料とタンパクフィブリルを含む溶液との混合;及び
複合体を形成したナノチューブの分離。
【請求項2】
前記タンパクがコラーゲンである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記コラーゲンが1型コラーゲンである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記タンパクが水に溶解される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記個々のナノチューブを分離する工程が、前記試料と界面活性剤との混合を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記分離工程が、遠心分離及び/または分留を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤との混合の前に、前記試料が酸処理される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記界面活性剤がドデシル硫酸ナトリウムである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記混合工程が混合物の超音波処理を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記混合物が25kHzで超音波処理される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
タンパクからカーボンナノチューブを分離する工程をさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記分離工程が、熱処理または化学処理によってタンパクを変性させる工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
タンパク複合体中のカーボンナノチューブの直径を測定する工程をさらに含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記測定工程が、ラマン分光を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
実質的に同一の直径を有する、請求項1〜14のいずれかの方法によって得られたカーボンナノチューブ。
【請求項16】
全体的にタンパクフィブリルに取り囲まれたカーボンナノチューブ。
【請求項17】
カーボンナノチューブの内部に実質的にバイオセンサーを有する、カーボンナノチューブと繊維状タンパクの複合体。
【請求項18】
治療に使用される、繊維状タンパクとカーボンナノチューブの複合製剤。
【請求項19】
関節炎治療に使用される、請求項17記載の複合製剤。
【請求項20】
ヒトまたは動物の皮の強化に使用される、請求項17記載の複合製剤。
【請求項21】
関節炎治療用薬剤の生産のための、カーボンナノチューブと繊維状タンパク製剤の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−504904(P2010−504904A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529763(P2009−529763)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003683
【国際公開番号】WO2008/038007
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(509089155)ザ セクレタリー オブ ステイト フォー トレイド アンド インダストリー (2)
【出願人】(509089166)サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シャンティフィク (1)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE
【Fターム(参考)】