カーボンナノチューブベースの同軸電気ケーブルおよびワイヤハーネス
ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材、およびナノ構造体ベースの材料で作ったシールド層を有するケーブル。シールド層は、導電部材に沿って導電性を高めるように、導電部材の周囲を囲むように配置されうる。シールド層を導電部材の所定の場所に固定するように、シールド層と導電部材との間に連結機構を配置してよい。ケーブルを作る方法も開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブルの形成、より詳細には、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材および実質的に低い結合抵抗を提供できる材料から作ったシールド層に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、高い破断点歪みと比較的高い引張係数(または引張弾性係数)を含む、極めて高い引張強度を有することが知られている。カーボンナノチューブは、また高い耐疲労性、耐照射損傷性および耐熱性を示し得る。そのために、カーボンナノチューブの複合材料への添加は、複合材料の引張強度および剛性を増加させることが可能である。
【0003】
最近の15年以内で、カーボンナノチューブの特性がより理解されてきたことから、カーボンナノチューブへの関心は研究団体の内外で非常に大きくなっている。これらの特性を利用する1つの鍵は、カーボンナノチューブが広く展開されるように、十分な量のカーボンナノチューブの合成である。例えば、マクロスケールの構造体(すなわち、1cm以上の大きさを有する構造体)の複合材の高強度部材としてカーボンナノチューブが用いられる場合、多量のカーボンナノチューブが必要となるであろう。
【0004】
ナノチューブ合成の一般的な手段の1つは、例えば化学気相成長(または化学蒸着、chemical vapor deposition)と関連して用いられるような、気相熱分解を用いることができる。この方法では、ナノチューブは触媒ナノ粒子の表面から形成することができる。より詳細には、触媒ナノ粒子は、ナノ粒子の表面からのナノチューブ形成のためのフィードストック(または供給原料、feedstock)としての役割を果たす炭素化合物を含む気体混合物に曝され得る。
【0005】
最近、多量のナノチューブ製造のための1つの有望な方法は、反応ガス中に「浮揚(float)」している触媒粒子からナノチューブを成長させる化学気相成長システムを用いている。このようなシステムは、通常は、反応ガスの混合物を、内部で該反応ガスから析出したナノ粒子よりナノチューブを形成できる加熱したチャンバに流す。触媒粒子が予め供給され得ることを含む、多くの別の変更が可能であろう。
【0006】
多量のカーボンナノチューブが形成可能な場合、しかしながらナノチューブは反応チャンバの壁に付着し、チャンバから出ていくナノ材料の障害物となる。さらにこれらの障害物は反応容器内で増加していく圧力を誘起し、これにより全体の反応のカイネティクス(または速度、kinetics)の変化をもたらし得る。カイネティクスの変更は形成された材料の均一性の低下をもたらし得る。
【0007】
ナノ材料に関する更なる懸念は、ナノスケール材料に関する危険がいまだに十分に判っていないことから、多量の空中を浮遊する粒子を生ずることなくナノ粒子は取り扱われることおよび処理されることが必要であるかもしれないことである。
【0008】
マクロスケールの用途向けのナノチューブまたはナノスケール材料の処理は、近年、着実に増加している。織物繊維および関連する材料でのナノスケール材料の使用もまた増加している。織物の技術分野では、一定の長さで、かつ多量に製造される繊維はステープルファイバ(または紡績糸もしくはスフ、staple fiber)と呼ばれることがある。麻、ウールおよび綿のようなステープルファイバを取り扱う技術が長期にわたって確立されてきた。ステープルファイバを布または他の構造要素で使用するように、ステープルファイバは、最初、糸、トウ(tow)またはシートのような、その後適切な材料に加工できるバルク構造体に形成されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、最終用途のためにカーボンナノチューブより成るケーブルを加工できるように、カーボンナノチューブの特徴または特性を活用可能な材料を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、1つの実施形態に係るケーブルを提供する。1つの実施形態において、ケーブルは、ナノ構造体ベース(またはナノ構造ベース、nanostructure-based material)の材料から作った導電部材、ナノ構造体ベースの材料で作りかつ導電部材に沿って導電性を高めるように、該導電部材の周囲を囲むように配置したシールド層、およびシールド層を導電部材上の所定の場所に固定するように、該シールド層と該導電部材との間に配置した連結機構を含んでよい。
【0011】
本発明は、別の実施形態に係る、ケーブルの製造方法を提供する。該方法は、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材を提供すること、該導電部材の周囲を囲むようにシールド層を配置すること、およびシールド層を導電部材の周囲の所定の場所に固定するように、該シールド層と該導電部材との間に連結機構を適用することを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に係るケーブルを示す。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態に従って作った導電部材に関するブレークイーブン周波数を示す。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態に従って作った導電部材に関するブレークイーブン周波数を示す。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態に従って作ったカーボンナノチューブの電気特性を示す。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態に従って作ったカーボンナノチューブの抵抗対温度特性を示す。
【図6】図6は、磁場の存在下(および非存在下)でのカーボンナノチューブの抵抗対温度特性を示す。
【図7】図7は、本発明の1つの実施形態に係る、ナノファイバ材料の形成および捕集のためのシステムを示す。
【図8】図8は、本発明の1つの実施形態に係る、ナノチューブを製造するための化学気相成長システムを示す。
【図9】図9は、ナノファイバ材料の形成および捕集のための本発明のシステムの別の様式を示す。
【図10】図10は、ナノファイバ材料の形成および捕集のための本発明のシステムを示す。
【図11】図11は、本発明の別の実施形態に係るケーブルを示す。
【図12】図12は、本発明のケーブルの抵抗特性を、銅線またはリッツ線が示すそれら特性と比較して示す。
【図13】図13は、本発明のケーブルの周波数と該ケーブルの厚さとの関係を示す。
【図14】図14は、銅線またはリッツ線によって示される抵抗対電流特性と比較して、本発明の1つの実施形態に従って作ったケーブルの抵抗対電流特性を示す。
【図15】図15は、本発明のケーブルの電流対温度特性を示す。
【図16】図16は、ケーブルがワイヤハーネスの一部である、本発明の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、1つの実施形態に従って、ケーブルを提供する。1つの実施形態において、図1に示すように、ケーブルは、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材42を含んでよい。該ケーブルは、導電部材42の周囲に配置したシールド層を含んでもよい。該ケーブルは、ケーブルの導電性を向上させ、抵抗を減少させるように、絶縁層を更に含んでよい。該ケーブルは、該導電部材42と該シールド層との間に配置した連結機構を更に含んでよい。該連結機構は、該シールド層を該ケーブルに固定するように作用してよい。該連結機構は、該導電部材42に沿って電流の伝送を維持するように更に作用する。
【0014】
現時点でナノチューブを成長させるためならびにこれらのナノチューブから作るシートまたはケーブル構造を形成するための複数の方法およびその変形例が存在する。これらは、(1)化学気相成長法(CVD)、大気圧近傍または高圧および約400℃を超える高温で生ずる一般的なプロセス、(2)アーク放電、高度な完璧性(または高い完成度、high degree of perfection)を有するチューブを生じさせることができる高温プロセス、および(3)レーザーアブレーションを含む。
【0015】
本発明は、1つの実施形態において、CVD法、またはカーボンナノチューブを含む適当なナノ構造体を形成するための当該産業分野において既知の類似の気相熱分解法を用いる。CVD法の成長温度は、例えば、約400℃〜約1350℃のような比較的低い範囲とすることができる。本発明の1つの実施形態では、炭素含有試薬ガス(すなわち、ガス状のカーボン源)の存在下でナノスケールの触媒粒子を暴露する(または曝す)ことにより、カーボンナノチューブ(単層(SWNT)または多層(MWNT)の両方)が成長できる。とりわけ、ナノスケールの触媒粒子は、既存の粒子を添加することによりもしくは金属−有機物前駆体から粒子をその場合成(in situ synthesis)することにより(または非金属触媒を)炭素含有試薬ガスに導入してもよい。SWNTとMWNTの両方が成長可能であるが、場合によっては、その比較的速い成長速度ならびに取扱い、熱伝導性、電気特性および強度に優れた効果を生じ得るロープ状構造を形成する傾向のために、SWNTを選択してもよい。
【0016】
本発明に関連して生成された個々のカーボンナノチューブの強度は、約30GPa以上であり得る。留意しなければならないのは、強度は欠陥に敏感であるということである。しかしながら、本発明において作られたカーボンナノチューブの弾性率は欠陥に敏感でないようであり、約1TPaから約1.2TPaまで変化し得る。さらに、本発明では、通常、構造に敏感なパラメータであり得る、これらナノチューブの破断点歪み(または破壊に至る歪み、strain to failure)は、約10%から最大約25%の範囲であることが可能である。
【0017】
さらに、本発明のナノチューブは、比較的に小さな直径を備えることができる。本発明の1つの実施形態では、本発明により作られたナノチューブは、1nm未満から約10nmまでの直径を備えることが可能である。
【0018】
本発明のナノチューブはまた、リッツ線またはケーブルと同様に比較的大きい電流を搬送する導電部材として用いることも可能である。しかしながら、コネクタ部にハンダ付けされるリッツ線またはケーブルと異なり、本発明のナノチューブ導電部材は相対的により低いインピーダンスを示すことが可能である。とりわけ、本発明では、電流パルスが短くなるほど、ナノチューブベースのワイヤケーブルまたはリボンは、銅リボンまたはリッツ線と比べ、より優れた性能を示すであろうことが認められている。優れた性能が認められることの1つの理由は、方形で短い(例えば、約100msから約1ms未満)電流パルスの波形のフーリエ変換から計算できるパルスの有効周波数成分を非常に高くできるためであろう。より詳細には、本発明の個々のカーボンナノチューブは伝導路としての機能を果たし、これらのナノチューブによりバルク構造体が作られた場合、その小さなサイズに起因して、バルク構造体は例えば1014/cm2以上のオーダーのような極めて多量の導電性元素を含むことができる。
【0019】
本発明のカーボンナノチューブは、また伝導性の根本的な手段としてバリスティック伝導を示すことも可能である。従って、本発明のナノチューブから作った材料は、AC電流が流れている状態で銅および他の金属導電部材と比べ顕著な進歩を示すことが可能である。しかしながら、外部回路へのこの種の導電部材の接続は接点での接触抵抗を避けるようにそれぞれのナノチューブを電気的または熱的に実質的に接続することが必要である。
【0020】
本発明のカーボンナノチューブは、図2〜6に示す所定の特性を示すことができる。図2は、カーボンナノチューブワイヤ、銅線、およびリッツ線で作った導体に関するブレークイーブン周波数(または臨界周波数、break even frequency)を示す。抵抗は、表皮効果、近接効果、および導体形状を含む、幾つかのファクタの影響を受ける。更に、抵抗は、DC挙動の影響も受け、それは銅の方が約60倍強い。図3は、ずっと太いカーボンナノチューブワイヤを用いて、図2と同じ計算を示す。より太いカーボンナノチューブワイヤのブレークイーブン周波数は、より低い。図4は、本発明の1つの実施形態に従って作ったカーボンナノチューブの電気特性を示す。図5は、これらカーボンナノチューブの抵抗の温度との関係を示す。図6は、磁場の存在下(および非存在下)でのカーボンナノチューブの抵抗対温度の特性を示す。
【0021】
本出願の全体に亘りカーボンより合成したナノチューブについて述べているが、本発明と関係したナノチューブの合成に、ボロン、MoS2またはこれらの組み合わせのような他の1または複数の化合物(または配合物、compound(s))を用いてもよいことに留意すべきである。例えば、ボロンナノチューブもまた成長させることができる(しかし、異なる化学的前駆体を用いて)を理解すべきである。加えて、ボロンは個々のカーボンナノチューブの抵抗を低減するのに用いてもよいことに留意すべきである。さらに、プラズマCVD等のような他の方法もまた本発明のナノチューブを作るのに用いることができる。
【0022】
・ケーブル形成
高エネルギーキャパシタ、アース用ストラップ、バスバー(bus bar)もしくはバスパイプ(bus pipe)、またはパルス発生回路のような、2つの導体間の比較的高い電流パルスを、波形の劣化なしでまたは接合部の加熱なしで、外部回路へ伝送するように、本発明は、1つの実施形態において、図1に示すような導電ケーブルを提供する。導電ケーブルは、1つの実施形態において、同軸ケーブル40であってよい。同軸ケーブル40は、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材42、ならびに該導電部材42の周囲を囲むように位置し、シート26のような実質的に低い結合抵抗を提供できる材料から作ったシールド層44を、とりわけ含んでよい。この同軸ケーブル40の配置は、説明の目的のためだけに提供されており、他の構成も可能でありうることに留意すべきである。
【0023】
1つの実施形態によれば、同軸ケーブル40は、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材42を含んでよい。1つの実施形態において、該ナノ構造体ベースの材料は、Lashmoreらによる米国特許出願第11/488,387(この出願は、参照することにより、全体として本願明細書に組み込まれる)に開示されるものと同様の方法で製造したカーボンナノチューブから、本願発明に従って作った糸、リボン、ワイヤ、ケーブル、テープまたはシートによって規定してよい。テープおよびシートに関して、それらは導電部材42を形成するようにシリンダー形状に巻き取られてよい。
【0024】
・導電部材の形成
図7を参照して、本発明のCVD法を用いて定常状態の製造下で、ナノチューブ51を、合成チャンバ52内部から捕集してよく、その後、糸53を形成してよい。より詳細には、ナノチューブ51が合成チャンバ52から出てくると、それらは、捕集されて束54となり、スピンドル56の吸入端部55に送り込まれ、その後、その内部で回転されてまたはねじられて糸53となってよい。糸53への連続的なねじりは、糸形成プロセスを推進するように、新しいナノチューブ51がスピンドル56に到達する箇所近傍にて回転を生じさせるのに十分な、角度を有する(または角度のついた、angular)応力を増大させることができる。更に、糸巻き57の周囲を取り囲むように糸53を取り込むことができるように、連続的な張力を糸53に適用してよい、あるいは捕集チャンバ58への糸53の前進を制御した速度で行ってもよい。
【0025】
一般的には、糸の形成は、ナノチューブの束から生じ、その束は、後にきつく回転させられて撚り糸となってよい。別の実施形態では、糸の主撚り部(main twist)をシステム10内部のある箇所に固定してよく、捕集したナノチューブを撚り糸に巻き付けてよい。これら双方の成長形態を本願発明と結び付けて実施することができる。
【0026】
導電部材42を、炭素、銅、銀、ボロンナイトライド、ボロン、MoS2、またはこれらの組み合わせの1つから作ってよい。更に、導電部材42を作ることができる材料は、1つの実施形態において、例えば、熱分解炭素被膜黒鉛(pyrograph)ファイバ由来のもののような、任意の種類の黒鉛を含むことができる。導電部材42を、AC、DC、低出力、または高出力のような電気信号を伝送するように設計してよい。1つの実施形態では、導電部材42は、構造体全体の約1〜約3重量パーセントの範囲であってよい。当然ながら、この範囲は説明の目的のためだけのものであって、より小さなまたはより大きな範囲を用いることができる。
【0027】
・シート製造
図9を参照して、米国特許出願11/488,387(参照することにより本明細書に取り込まれる)と同様のナノチューブを製造するのに用いるシステム10を示す。1つ実施形態において、システム10は、合成チャンバ11と結合されてもよい。合成チャンバ11は、概して、内部に反応ガス(すなわち、ガス状のカーボン源)を供給できる入口端部111と、ナノチューブ113の延長された長さの部分の合成が起こり得る加熱ゾーン(hot zone)112と、反応生成物(主にナノチューブと排ガス)を排出および捕集できる出口端部114とを含む。合成チャンバ11は、1つの実施形態では、炉116を通って延在する石英管115を含んでよい。システム10により形成されたナノチューブは、一方、個別の単層ナノチューブ、このようなナノチューブの束および/または撚り合わされた単層ナノチューブ(すなわち、ナノチューブのロープ)であってよい。
【0028】
システム10は、本発明の1つの実施形態では、実質的に気密で合成チャンバ11内部から環境への潜在的に有害な浮遊粒子の放出を最小限にすることを意図したハウジング12を含んでもよい。ハウジング12はまた、酸素がシステム10に侵入し、合成チャンバ11に達するのを防止するように働いてもよい。とりわけ、合成チャンバ11内の酸素の存在は、結合性(または完全性または一体性、integrity)に影響を与え得ると共にナノチューブ113の製造を危うくし得る。
【0029】
システム10はまた、ハウジング12内に位置し、システム10の合成チャンバ11内でCVD法により作られた合成ナノチューブ113を捕集することを目的とした移動ベルト120を含んでもよい。特にベルト120は、その上に捕集されたナノチューブが、続いて、実質的に連続的に延在可能な構造体121(例えば、不織布シートまたは織布シート)を形成できるように使用してもよい。このようなシート26は、シート26として取り扱うための十分な構造的結合性を備えた、圧縮され(またはぎっしり詰められ、compacted)実質的に整列していない、混ぜられた(intermingled)ナノチューブ113、ナノチューブの束または撚られたナノチューブ(例えば、ナノチューブのロープ)から形成されてもよい。
【0030】
作られたナノチューブ113を捕集するように、ベルト112を合成チャンバ11の出口端部114に隣接して配置し、ナノチューブがベルト120の上に堆積できるようにしてもよい。1つの実施形態では、ベルト120は、図8に示すように出口端部114からのガスの流れに実質的に平行に配置してもよい。別の実施形態では、ベルト120は、出口端部114からのガスの流れに実質的に垂直に配置してもよく、そしてナノ材料を搬送するガスの流れがその中を通ることができる特性を有するように多孔質であってもよい。ベルト120は、従来のコンベアベルトと同様に、連続したループとして設計されてもよい。そのためには、1つの実施形態では、ベルト120は対向する回転要素122(例えばローラー)の周りで輪になってもよく、そして電気モーターのような機械装置により駆動されてもよい。別の実施形態では、ベルト120は硬いシリンダーであってもよい。1つの実施形態ではモーターは、張力および速度を最適にできるようにコンピュータまたはマイクロプロセッサのようなコントロールシステムの使用を通じて制御されてもよい。
【0031】
図9を参照されたい。システム20は、捕集したナノ材料に圧縮力(すなわち、圧力)を付与するようにベルト24に隣接して位置する、ローラー25のような、加圧器(圧力アプリケータ)を含んでよい。とりわけ、ナノ材料がローラー25に向けて運ばれるにつれて、ベルト24上のナノ材料はローラー25の下およびローラー25に接触するように動かざるを得ないようにすることができ、その結果、混ざったナノ材料に圧力を付与することができ、さらにナノ材料はベルト24とローラー25との間で圧縮されて密着して実質的に結合したシート26(coherent substantially-bonded sheet)となる。ベルト24上のナノ材料に対する圧力を高めるように、プレート244はベルト24の後ろに位置し、ローラー25からの圧力を負荷することが可能な硬い表面を提供してもよい。捕集したナノ材料が大量で十分に混ざっており、適切な数の接触部が存在し、シート26を形成するのに必要な結合力が提供される場合、ローラー25の使用は必要でないかもしれないことに留意すべきである。
【0032】
後のハウジング22からの除去のために混合されたナノ材料のシート26をベルト24から離すように、そのエッジをベルト24の表面245に向けて、メス(scalpel)またはブレード27をローラー25の下流に備えてもよい。このように、シート26はローラー25を過ぎて下流に移動することから、ブレード27は、ベルト24の表面245からシート26を持ち上げるように働いてもよい。
【0033】
さらに、スプールまたはローラー28はブレード27の下流に備えられ、離れたシート26が続いてそこに向かい、採取するためにローラー28の周りに巻かれても(または巻き付けられても、wound)よい。シート26がローラー28の周りに巻かれることから、複数の層が形成され得る。当然ながら、シート26を、その後ハウジング22から除去するためにまとめる(または集める、collect)ことができる限りは、他の機構を用いてもよい。ローラー28は、ベルト24と同様に、1つの実施形態では電気モーター281のような機械駆動により駆動し、その回転軸はシート26の移動方向に実質的に垂直であってよい。別の実施形態では、ブレードは、シート26を除去するのに用いられる必要はない。むしろ、シート26の除去は、手または当該技術分野の既知の他の方法によるものであってもよい。
【0034】
シート26がローラー28に巻かれる時のシート26のそれ自身への結合を最小化するように、シート26がローラー28に巻かれる前に、シート26の片側に分離材料29(図10を参照)を付けても(または適用しても)よい。本発明に関連して用いるための分離材料29は、連続ロール291に供給可能な様々な市販の金属シートまたはポリマーの1つであってよい。そのためには、シート26がローラー28の周りに巻かれる(または巻き付けられる)とともに、分離材料29は、ローラー28上のシート26と一緒に引っ張られてもよい。シート26の片側に付けることができる限りは、分離材料29を含むポリマーはシート、液体または他の任意の形態で供給されてよいことに留意すべきである。さらに、シート26内の混ざったナノチューブはFe、Co、Ni等のような強磁性材料の触媒ナノ粒子を含んでもよいことから、分離材料29は、1つの実施形態では、シート26が分離材料29に強力に付着しないように、例えば導電性またはそうでないような非磁性材料であってよい。別の実施形態では、分離材料は必要ないかもしれない。
【0035】
・処理方法
一旦、シート26が形成されると、伝導性および生産性を向上させるように、シート25は処理を受けてもよい。形成後のシート26の処理は、1つの実施形態では、シート26をプロトン化剤に曝すことを含んでもよい。プロトン化剤の1つの特徴は、カーボンナノチューブを互いに、より近く接近させることであってよい。カーボンナノチューブを互いにより近づけることにより、プロトン化剤は表面張力を減少し、抵抗を減少し、そしてシート26の伝導性を増加させるよう働いてもよい。プロトン化剤の例は、ヒドロニウムイオン、塩酸、臭化水素酸、沸酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、フルオロ硫酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、発煙硫酸(oleum)、これらの薬剤(agent)若しくはこれらの組み合わせのような酸、または電気的および/または熱的に伝導性を有することが可能な他の材料を含んでよい。
【0036】
別の実施形態では、シート26の処理は、シート26が炉を出て、ベルトの上で集められるときに、シート26に溶液をスプレーすることを更に含んでよい。該溶液は、カーボンナノチューブの整列を促進(または向上)させ、カーボンナノチューブを互いにより近く接近させることができるようにカーボンナノチューブの外側表面を覆う化合物(または配合物、compound)を含んでよい。別の実施形態では、該溶液は、溶媒、ポリマー、金属、またはこれらの組み合わせを含んでよい。該溶液に関連して用いることができる溶媒の例は、トルエン、ケロシン、ベンゼン、ヘキサン、アセトンまたは他の任意の溶媒を含む。該溶液に関連して用いることができるポリマーの例は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ(スチレンブタジエン)、ポリクロロプレン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン−コ−スチレン)、エポキシまたは任意のポリマーを含む。該溶液に関連して用いることができる金属の例は、塩、金属酸化物または他の任意の金属を含む。
【0037】
一旦、シート26が処理されると、処理されたシート26はシート26を処理するために熱源に曝してもよい。複合シートまたは最終製品の所望の形態を生ずるように、シート26を、例えば、焼結、熱間静水圧プレス(またはHIP)、熱間プレス、冷間静水圧プレス(またはCIP)してもよい。
【0038】
別の実施形態では、シートの構造的な結合性(または一体性、integrity)を増加させ、また実質的に低い結合抵抗を備えるように、複合シートの処理は複合シートにガラス状炭素材料を注入することを更に含んでもよい。ガラス状炭素は、概してカーボンナノチューブと関係した炭素の形態であってよく、アモルファスカーボンのマトリクスを含むグラフェン状リボン(graphene like ribbon)をかなりの量含むことができる。これらのリボンは、SP2結合したナノチューブと実質的に同様であり得るSP2結合したリボンを含む。この結果、これらは比較的優れた熱伝導性および電気伝導性を有することができる。ガラス状炭素を作ることができる前駆体物質の例は、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂(すなわち、触媒されたアルキルフェニルホルムアルデヒド)、PVAもしくは液体樹脂または加熱された際にガラス状炭素を形成する既知の如何なる材料を含む。当然ながら、他の市販のガラス状炭素材料または前駆体物質を用いることができる。
【0039】
複合シートを形成した後、複合シートは複合シートとして残してもよく、またはストリップのようなより小さな部分に切断してもよい。1つの実施形態では、複合シートをストリップに切断するのにレーザーを用いてもよい。1つの実施形態では、複合シートがハウジングから出てくる時にレーザーを複合シートに向けることができるように、レーザービームはハウジングに隣接して配置してもよい。コンピュータまたはプログラムを用いてレーザービーム制御してよく、またストリップの切断も制御してよい。別の実施形態では、当該技術分野で既知の任意の機械的手段または他の手段を用いて複合シート26をストリップに切断してよい。
【0040】
・ケーブルの形成
本発明のケーブルを形成するように、導電部材42はシールド層44を設けてよい。1つの実施形態において、シールド層44において、ナノ構造体ベースの材料から作ってよい。1つの実施態様において、ナノ構造体ベースの材料は、例えばカーボンナノチューブから作った糸、テープ、ケーブル、リボンまたはシートなど、導電カーボンナノチューブから作ったものでありうる。一方、該材料が、電気伝導性および/または熱伝導性を有することができるのであれば、シールド層を、カーボンナノチューブから作ったシートから作ってよい。1つの実施形態において、シールド層44は、構造体全体の約4〜約7重量パーセントの範囲であってよい。当然ながら、この範囲は、説明の目的のためだけのものであり、より小さいまたはより大きい範囲を用いることができる。1つの実施形態において、シールド層44を導電部材42に連結する場合、シールド層44は、起源からの大電流を、実質的な劣化なしで、導電部材42に沿って外部回路へ向かわせることができる。これは、本発明のシールド層44を規定するナノチューブが、RF信号または他の電磁波もしくは信号が導電部材42へまたは導電部材42から漏れることを最小限に抑えるように、作用できるからである。当然ながら、RF信号または他の電磁波もしくは信号が、導電部材42へまたは導電部材42から漏れることを最小限に抑えるように作用できる、他の市販の任意の材料をシールド層44の適所に用いてもよい。
【0041】
所望の程度まで、同軸ケーブル40は、該同軸ケーブル40の導電性を向上させ、抵抗を減少させるように、絶縁体を含むこともできる。1つの実施形態において、同軸ケーブル40は、導電部材42とシールド層44との間に囲むように配置した少なくとも1つの絶縁層46を含んでよい。絶縁層46を、シート26から切断したカーボンナノチューブのストリップから作ってよく、絶縁層46は、構造体全体の約33〜37重量パーセントの範囲であってよい。1つの実施形態では、同軸ケーブル40は、シールド層44の周囲を囲むように配置した第2絶縁層48を更に含んでもよい。第2絶縁層48を、シート26から切断したカーボンナノチューブのストリップから作ってよく、第2絶縁層48は、構造体全体の約55〜約60重量パーセントの範囲であってよい。当然ながら、これらの範囲は説明の目的のためだけのものであって、より小さいまたはより大きい範囲を用いることができる。更に、他の任意の市販の絶縁材料を、絶縁層46、48の適所に用いてもよい。
【0042】
導電部材42の周囲で所定の場所にシールド層44を固定するように、同軸ケーブル40は、導電部材42とシールド層44都の間に配置した連結機構を更に含んでよい。1つの実施形態において、連結機構を、実質的に低い結合抵抗を提供することができる、ガラス状炭素材料から作ってよい。ガラス状炭素は、概して、カーボンナノチューブと関連した炭素の形態であってよく、アモルファスカーボンのマトリクスを含むグラフェン状リボンをかなりの量含むことができる。これらのリボンは、SP2結合したナノチューブと実質的に同様であり得るSP2結合したリボンを含む。この結果、これらは比較的優れた熱伝導性および電気伝導性を有することができる。ガラス状炭素を作ることができる前駆体物質の例は、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂(すなわち、触媒されたアルキルフェニルホルムアルデヒド)、PVAもしくは液体樹脂または加熱された際にガラス状炭素を形成する既知の如何なる材料を含む。当然ながら、導電部材内のナノチューブを「濡らす」ガラス状炭素樹脂または物質の傾向は、個々のナノチューブそれぞれを被覆するのに役立つことができ、その結果、ナノチューブそれぞれは、電子または熱伝送に寄与できる。当然ながら、他の市販のガラス状炭素材料または前駆体物質を用いることができる。連結機構の存在は、1つの実施形態において、実質的な劣化なしで、導電部材42に沿う電流の伝送を高めることができる。
【0043】
従って、導電部材42およびシールド層44は互いに保持されていてよく、同時に、ガラス状炭素前駆体を熱分解させるのに十分な温度範囲まで、導電部材42とシールド層44との間の接合部を加熱して、ガラス状炭素材料を形成し、導電部材42とシールド層44との接着を可能にし、その間での剥離を最小限に抑えてよい。ガラス状炭素材料は、導電部材42とシールド層44との間の電気伝導性または熱伝導性を更に向上させることができ、導電部材42とシールド層44との間の実質的に均一な接触を提供することができ、導電部材42のシールド層44との実質的に低い結合抵抗を提供することができる。1つの実施形態において、熱分解の最低温度は、少なくとも約400℃〜約450℃の付近である必要がある。熱分解を不活性雰囲気下で行なう場合、熱分解プロセスを完了させることができるように、該温度はより高いことが必要でありうる。当然のことながら、この温度に敏感でありうる材料は、本発明に適切でない可能性がある。更に、導電部材を連結するための常套の手段よりも実質的に優れた接触抵抗を提供するのに、熱分解は、この接合部のために終了まで行なうことを必要としない。
【0044】
加えて、連結機構は、隣接するナノチューブ間の接触箇所の数を増やすことによって、電気伝送および熱伝送の効率を高めるように、伝導性に積極的に関与しうる、導電部材42内の導電ナノ構造体の数を実質的に最大化するように作用することができる。
【0045】
従って、常套の電気および/または熱回路システムにて使用するための標準コネクタへの効率的な伝導を可能にするように、本発明の同軸ケーブル40を用いることができる。特に、同軸ケーブル40は、ナノスケール環境と常套の電気および/または熱回路システムとの間における、例えば電気および/または熱伝導による効率的な相互作用を可能にすることができる。
【0046】
図11は、本発明の導電ケーブル60の別の実施形態を示す。図示するように、ケーブル60は、1組のねじれたケーブル60であってよい。ケーブル60は、1つの実施形態において、互いに巻き付いている、第1ケーブル62および第2ケーブル64を含んでよい。上述のようなナノ構造シートを、1対のねじれたケーブル60の周囲を囲むように配置してよい。当然ながら、1組(または一対)のねじれたケーブル60を形成するのに用いられるケーブルの数は変化してよい。例えば、3つまたは4つのケーブルを用いてよい。
【0047】
比較する目的で、本発明のケーブルの抵抗特性を、銅線またはリッツ線によって示されるそれらの特性と比較する。図12に示すように、約1MHzという極めて適当な周波数にて、単位長さあたりの抵抗は、本発明のケーブルに関して実質的に減少する。
【0048】
本発明のケーブルの周波数は、ある程度、ケーブルの太さに依存しうることに留意すべきである。平坦なリボン導電ケーブルに関して、例えば、ケーブルの厚さが厚くなるにつれて、図13に示すように、周波数は減少する。
【0049】
説明の目的のために、図14に示すように、本発明の1つの実施形態に従って作ったケーブルの抵抗対電流特性を、銅線またはリッツ線によって示されるそれらの特性と比較する。
【0050】
更に、本発明のケーブルに関する電流対温度特性を図15に示す。
【0051】
本発明のケーブルを、種々のアレンジメントに提供してよい。本発明に従って作ったカーボンナノチューブの軽さのおかげで、本発明に従って作ったケーブルは、常套のケーブルと比べて最大約50パーセントの著しい軽量化を提供できる。例えば、図1に示すように、ケーブルは、同軸ケーブル40の形態をとってよい。標準的なケーブルと比較した同軸ケーブルの重量減は、ケーブル1000フィートあたり約9.4ポンドであり、それは約40.8%の削減である。図11に示すように、ケーブルは、1組のねじれたケーブル50の形態をとってよい。1組のねじれたケーブル50に関する重量減は、ケーブル1000フィートあたり約7.9ポンドであり、それは約37.3%の削減である。別の実施形態では、ケーブルは、平坦なリボンの形態をとってよい。当然ながら、これらのアレンジメントは、限定することを意図しておらず、他のアレンジメントが存在してもよい。
【0052】
本発明のケーブルを、1つの実施形態では、図16に示すように、ワイヤハーネス70として配置してよい。ワイヤハーネス70は、形状、サイズおよび配置に関して変化してよい。ワイヤハーネス70は、コスト削減をもたらすことができる、かなりの軽量化をもたらすことができる。例えば、ワイヤハーネス70の使用のおかげで、人工衛星に関する軽量化は、本出願のワイヤハーネスのようなワイヤハーネスを用いる場合、発進ごとにかなりのコスト削減に寄与するだろう。民間機または戦闘機に関する軽量化は、同様に、ワイヤハーネスの使用のおかげで、飛行ごとに重量およびコスト削減をもたらすだろう。
【0053】
本発明は、これらの特定の実施形態を参照して説明されているが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、均等物による置換が可能であることが、当業者により理解されるべきである。加えて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の状況、指示、物質の材料および組成、方法の1または複数の工程に適用するように多くの改良を行い得る。全てのこのような改良は、本願に添付の特許請求の範囲内であることが意図されている。
【技術分野】
【0001】
本発明はケーブルの形成、より詳細には、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材および実質的に低い結合抵抗を提供できる材料から作ったシールド層に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、高い破断点歪みと比較的高い引張係数(または引張弾性係数)を含む、極めて高い引張強度を有することが知られている。カーボンナノチューブは、また高い耐疲労性、耐照射損傷性および耐熱性を示し得る。そのために、カーボンナノチューブの複合材料への添加は、複合材料の引張強度および剛性を増加させることが可能である。
【0003】
最近の15年以内で、カーボンナノチューブの特性がより理解されてきたことから、カーボンナノチューブへの関心は研究団体の内外で非常に大きくなっている。これらの特性を利用する1つの鍵は、カーボンナノチューブが広く展開されるように、十分な量のカーボンナノチューブの合成である。例えば、マクロスケールの構造体(すなわち、1cm以上の大きさを有する構造体)の複合材の高強度部材としてカーボンナノチューブが用いられる場合、多量のカーボンナノチューブが必要となるであろう。
【0004】
ナノチューブ合成の一般的な手段の1つは、例えば化学気相成長(または化学蒸着、chemical vapor deposition)と関連して用いられるような、気相熱分解を用いることができる。この方法では、ナノチューブは触媒ナノ粒子の表面から形成することができる。より詳細には、触媒ナノ粒子は、ナノ粒子の表面からのナノチューブ形成のためのフィードストック(または供給原料、feedstock)としての役割を果たす炭素化合物を含む気体混合物に曝され得る。
【0005】
最近、多量のナノチューブ製造のための1つの有望な方法は、反応ガス中に「浮揚(float)」している触媒粒子からナノチューブを成長させる化学気相成長システムを用いている。このようなシステムは、通常は、反応ガスの混合物を、内部で該反応ガスから析出したナノ粒子よりナノチューブを形成できる加熱したチャンバに流す。触媒粒子が予め供給され得ることを含む、多くの別の変更が可能であろう。
【0006】
多量のカーボンナノチューブが形成可能な場合、しかしながらナノチューブは反応チャンバの壁に付着し、チャンバから出ていくナノ材料の障害物となる。さらにこれらの障害物は反応容器内で増加していく圧力を誘起し、これにより全体の反応のカイネティクス(または速度、kinetics)の変化をもたらし得る。カイネティクスの変更は形成された材料の均一性の低下をもたらし得る。
【0007】
ナノ材料に関する更なる懸念は、ナノスケール材料に関する危険がいまだに十分に判っていないことから、多量の空中を浮遊する粒子を生ずることなくナノ粒子は取り扱われることおよび処理されることが必要であるかもしれないことである。
【0008】
マクロスケールの用途向けのナノチューブまたはナノスケール材料の処理は、近年、着実に増加している。織物繊維および関連する材料でのナノスケール材料の使用もまた増加している。織物の技術分野では、一定の長さで、かつ多量に製造される繊維はステープルファイバ(または紡績糸もしくはスフ、staple fiber)と呼ばれることがある。麻、ウールおよび綿のようなステープルファイバを取り扱う技術が長期にわたって確立されてきた。ステープルファイバを布または他の構造要素で使用するように、ステープルファイバは、最初、糸、トウ(tow)またはシートのような、その後適切な材料に加工できるバルク構造体に形成されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、最終用途のためにカーボンナノチューブより成るケーブルを加工できるように、カーボンナノチューブの特徴または特性を活用可能な材料を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、1つの実施形態に係るケーブルを提供する。1つの実施形態において、ケーブルは、ナノ構造体ベース(またはナノ構造ベース、nanostructure-based material)の材料から作った導電部材、ナノ構造体ベースの材料で作りかつ導電部材に沿って導電性を高めるように、該導電部材の周囲を囲むように配置したシールド層、およびシールド層を導電部材上の所定の場所に固定するように、該シールド層と該導電部材との間に配置した連結機構を含んでよい。
【0011】
本発明は、別の実施形態に係る、ケーブルの製造方法を提供する。該方法は、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材を提供すること、該導電部材の周囲を囲むようにシールド層を配置すること、およびシールド層を導電部材の周囲の所定の場所に固定するように、該シールド層と該導電部材との間に連結機構を適用することを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の1つの実施形態に係るケーブルを示す。
【図2】図2は、本発明の1つの実施形態に従って作った導電部材に関するブレークイーブン周波数を示す。
【図3】図3は、本発明の別の実施形態に従って作った導電部材に関するブレークイーブン周波数を示す。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態に従って作ったカーボンナノチューブの電気特性を示す。
【図5】図5は、本発明の1つの実施形態に従って作ったカーボンナノチューブの抵抗対温度特性を示す。
【図6】図6は、磁場の存在下(および非存在下)でのカーボンナノチューブの抵抗対温度特性を示す。
【図7】図7は、本発明の1つの実施形態に係る、ナノファイバ材料の形成および捕集のためのシステムを示す。
【図8】図8は、本発明の1つの実施形態に係る、ナノチューブを製造するための化学気相成長システムを示す。
【図9】図9は、ナノファイバ材料の形成および捕集のための本発明のシステムの別の様式を示す。
【図10】図10は、ナノファイバ材料の形成および捕集のための本発明のシステムを示す。
【図11】図11は、本発明の別の実施形態に係るケーブルを示す。
【図12】図12は、本発明のケーブルの抵抗特性を、銅線またはリッツ線が示すそれら特性と比較して示す。
【図13】図13は、本発明のケーブルの周波数と該ケーブルの厚さとの関係を示す。
【図14】図14は、銅線またはリッツ線によって示される抵抗対電流特性と比較して、本発明の1つの実施形態に従って作ったケーブルの抵抗対電流特性を示す。
【図15】図15は、本発明のケーブルの電流対温度特性を示す。
【図16】図16は、ケーブルがワイヤハーネスの一部である、本発明の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、1つの実施形態に従って、ケーブルを提供する。1つの実施形態において、図1に示すように、ケーブルは、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材42を含んでよい。該ケーブルは、導電部材42の周囲に配置したシールド層を含んでもよい。該ケーブルは、ケーブルの導電性を向上させ、抵抗を減少させるように、絶縁層を更に含んでよい。該ケーブルは、該導電部材42と該シールド層との間に配置した連結機構を更に含んでよい。該連結機構は、該シールド層を該ケーブルに固定するように作用してよい。該連結機構は、該導電部材42に沿って電流の伝送を維持するように更に作用する。
【0014】
現時点でナノチューブを成長させるためならびにこれらのナノチューブから作るシートまたはケーブル構造を形成するための複数の方法およびその変形例が存在する。これらは、(1)化学気相成長法(CVD)、大気圧近傍または高圧および約400℃を超える高温で生ずる一般的なプロセス、(2)アーク放電、高度な完璧性(または高い完成度、high degree of perfection)を有するチューブを生じさせることができる高温プロセス、および(3)レーザーアブレーションを含む。
【0015】
本発明は、1つの実施形態において、CVD法、またはカーボンナノチューブを含む適当なナノ構造体を形成するための当該産業分野において既知の類似の気相熱分解法を用いる。CVD法の成長温度は、例えば、約400℃〜約1350℃のような比較的低い範囲とすることができる。本発明の1つの実施形態では、炭素含有試薬ガス(すなわち、ガス状のカーボン源)の存在下でナノスケールの触媒粒子を暴露する(または曝す)ことにより、カーボンナノチューブ(単層(SWNT)または多層(MWNT)の両方)が成長できる。とりわけ、ナノスケールの触媒粒子は、既存の粒子を添加することによりもしくは金属−有機物前駆体から粒子をその場合成(in situ synthesis)することにより(または非金属触媒を)炭素含有試薬ガスに導入してもよい。SWNTとMWNTの両方が成長可能であるが、場合によっては、その比較的速い成長速度ならびに取扱い、熱伝導性、電気特性および強度に優れた効果を生じ得るロープ状構造を形成する傾向のために、SWNTを選択してもよい。
【0016】
本発明に関連して生成された個々のカーボンナノチューブの強度は、約30GPa以上であり得る。留意しなければならないのは、強度は欠陥に敏感であるということである。しかしながら、本発明において作られたカーボンナノチューブの弾性率は欠陥に敏感でないようであり、約1TPaから約1.2TPaまで変化し得る。さらに、本発明では、通常、構造に敏感なパラメータであり得る、これらナノチューブの破断点歪み(または破壊に至る歪み、strain to failure)は、約10%から最大約25%の範囲であることが可能である。
【0017】
さらに、本発明のナノチューブは、比較的に小さな直径を備えることができる。本発明の1つの実施形態では、本発明により作られたナノチューブは、1nm未満から約10nmまでの直径を備えることが可能である。
【0018】
本発明のナノチューブはまた、リッツ線またはケーブルと同様に比較的大きい電流を搬送する導電部材として用いることも可能である。しかしながら、コネクタ部にハンダ付けされるリッツ線またはケーブルと異なり、本発明のナノチューブ導電部材は相対的により低いインピーダンスを示すことが可能である。とりわけ、本発明では、電流パルスが短くなるほど、ナノチューブベースのワイヤケーブルまたはリボンは、銅リボンまたはリッツ線と比べ、より優れた性能を示すであろうことが認められている。優れた性能が認められることの1つの理由は、方形で短い(例えば、約100msから約1ms未満)電流パルスの波形のフーリエ変換から計算できるパルスの有効周波数成分を非常に高くできるためであろう。より詳細には、本発明の個々のカーボンナノチューブは伝導路としての機能を果たし、これらのナノチューブによりバルク構造体が作られた場合、その小さなサイズに起因して、バルク構造体は例えば1014/cm2以上のオーダーのような極めて多量の導電性元素を含むことができる。
【0019】
本発明のカーボンナノチューブは、また伝導性の根本的な手段としてバリスティック伝導を示すことも可能である。従って、本発明のナノチューブから作った材料は、AC電流が流れている状態で銅および他の金属導電部材と比べ顕著な進歩を示すことが可能である。しかしながら、外部回路へのこの種の導電部材の接続は接点での接触抵抗を避けるようにそれぞれのナノチューブを電気的または熱的に実質的に接続することが必要である。
【0020】
本発明のカーボンナノチューブは、図2〜6に示す所定の特性を示すことができる。図2は、カーボンナノチューブワイヤ、銅線、およびリッツ線で作った導体に関するブレークイーブン周波数(または臨界周波数、break even frequency)を示す。抵抗は、表皮効果、近接効果、および導体形状を含む、幾つかのファクタの影響を受ける。更に、抵抗は、DC挙動の影響も受け、それは銅の方が約60倍強い。図3は、ずっと太いカーボンナノチューブワイヤを用いて、図2と同じ計算を示す。より太いカーボンナノチューブワイヤのブレークイーブン周波数は、より低い。図4は、本発明の1つの実施形態に従って作ったカーボンナノチューブの電気特性を示す。図5は、これらカーボンナノチューブの抵抗の温度との関係を示す。図6は、磁場の存在下(および非存在下)でのカーボンナノチューブの抵抗対温度の特性を示す。
【0021】
本出願の全体に亘りカーボンより合成したナノチューブについて述べているが、本発明と関係したナノチューブの合成に、ボロン、MoS2またはこれらの組み合わせのような他の1または複数の化合物(または配合物、compound(s))を用いてもよいことに留意すべきである。例えば、ボロンナノチューブもまた成長させることができる(しかし、異なる化学的前駆体を用いて)を理解すべきである。加えて、ボロンは個々のカーボンナノチューブの抵抗を低減するのに用いてもよいことに留意すべきである。さらに、プラズマCVD等のような他の方法もまた本発明のナノチューブを作るのに用いることができる。
【0022】
・ケーブル形成
高エネルギーキャパシタ、アース用ストラップ、バスバー(bus bar)もしくはバスパイプ(bus pipe)、またはパルス発生回路のような、2つの導体間の比較的高い電流パルスを、波形の劣化なしでまたは接合部の加熱なしで、外部回路へ伝送するように、本発明は、1つの実施形態において、図1に示すような導電ケーブルを提供する。導電ケーブルは、1つの実施形態において、同軸ケーブル40であってよい。同軸ケーブル40は、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材42、ならびに該導電部材42の周囲を囲むように位置し、シート26のような実質的に低い結合抵抗を提供できる材料から作ったシールド層44を、とりわけ含んでよい。この同軸ケーブル40の配置は、説明の目的のためだけに提供されており、他の構成も可能でありうることに留意すべきである。
【0023】
1つの実施形態によれば、同軸ケーブル40は、ナノ構造体ベースの材料から作った導電部材42を含んでよい。1つの実施形態において、該ナノ構造体ベースの材料は、Lashmoreらによる米国特許出願第11/488,387(この出願は、参照することにより、全体として本願明細書に組み込まれる)に開示されるものと同様の方法で製造したカーボンナノチューブから、本願発明に従って作った糸、リボン、ワイヤ、ケーブル、テープまたはシートによって規定してよい。テープおよびシートに関して、それらは導電部材42を形成するようにシリンダー形状に巻き取られてよい。
【0024】
・導電部材の形成
図7を参照して、本発明のCVD法を用いて定常状態の製造下で、ナノチューブ51を、合成チャンバ52内部から捕集してよく、その後、糸53を形成してよい。より詳細には、ナノチューブ51が合成チャンバ52から出てくると、それらは、捕集されて束54となり、スピンドル56の吸入端部55に送り込まれ、その後、その内部で回転されてまたはねじられて糸53となってよい。糸53への連続的なねじりは、糸形成プロセスを推進するように、新しいナノチューブ51がスピンドル56に到達する箇所近傍にて回転を生じさせるのに十分な、角度を有する(または角度のついた、angular)応力を増大させることができる。更に、糸巻き57の周囲を取り囲むように糸53を取り込むことができるように、連続的な張力を糸53に適用してよい、あるいは捕集チャンバ58への糸53の前進を制御した速度で行ってもよい。
【0025】
一般的には、糸の形成は、ナノチューブの束から生じ、その束は、後にきつく回転させられて撚り糸となってよい。別の実施形態では、糸の主撚り部(main twist)をシステム10内部のある箇所に固定してよく、捕集したナノチューブを撚り糸に巻き付けてよい。これら双方の成長形態を本願発明と結び付けて実施することができる。
【0026】
導電部材42を、炭素、銅、銀、ボロンナイトライド、ボロン、MoS2、またはこれらの組み合わせの1つから作ってよい。更に、導電部材42を作ることができる材料は、1つの実施形態において、例えば、熱分解炭素被膜黒鉛(pyrograph)ファイバ由来のもののような、任意の種類の黒鉛を含むことができる。導電部材42を、AC、DC、低出力、または高出力のような電気信号を伝送するように設計してよい。1つの実施形態では、導電部材42は、構造体全体の約1〜約3重量パーセントの範囲であってよい。当然ながら、この範囲は説明の目的のためだけのものであって、より小さなまたはより大きな範囲を用いることができる。
【0027】
・シート製造
図9を参照して、米国特許出願11/488,387(参照することにより本明細書に取り込まれる)と同様のナノチューブを製造するのに用いるシステム10を示す。1つ実施形態において、システム10は、合成チャンバ11と結合されてもよい。合成チャンバ11は、概して、内部に反応ガス(すなわち、ガス状のカーボン源)を供給できる入口端部111と、ナノチューブ113の延長された長さの部分の合成が起こり得る加熱ゾーン(hot zone)112と、反応生成物(主にナノチューブと排ガス)を排出および捕集できる出口端部114とを含む。合成チャンバ11は、1つの実施形態では、炉116を通って延在する石英管115を含んでよい。システム10により形成されたナノチューブは、一方、個別の単層ナノチューブ、このようなナノチューブの束および/または撚り合わされた単層ナノチューブ(すなわち、ナノチューブのロープ)であってよい。
【0028】
システム10は、本発明の1つの実施形態では、実質的に気密で合成チャンバ11内部から環境への潜在的に有害な浮遊粒子の放出を最小限にすることを意図したハウジング12を含んでもよい。ハウジング12はまた、酸素がシステム10に侵入し、合成チャンバ11に達するのを防止するように働いてもよい。とりわけ、合成チャンバ11内の酸素の存在は、結合性(または完全性または一体性、integrity)に影響を与え得ると共にナノチューブ113の製造を危うくし得る。
【0029】
システム10はまた、ハウジング12内に位置し、システム10の合成チャンバ11内でCVD法により作られた合成ナノチューブ113を捕集することを目的とした移動ベルト120を含んでもよい。特にベルト120は、その上に捕集されたナノチューブが、続いて、実質的に連続的に延在可能な構造体121(例えば、不織布シートまたは織布シート)を形成できるように使用してもよい。このようなシート26は、シート26として取り扱うための十分な構造的結合性を備えた、圧縮され(またはぎっしり詰められ、compacted)実質的に整列していない、混ぜられた(intermingled)ナノチューブ113、ナノチューブの束または撚られたナノチューブ(例えば、ナノチューブのロープ)から形成されてもよい。
【0030】
作られたナノチューブ113を捕集するように、ベルト112を合成チャンバ11の出口端部114に隣接して配置し、ナノチューブがベルト120の上に堆積できるようにしてもよい。1つの実施形態では、ベルト120は、図8に示すように出口端部114からのガスの流れに実質的に平行に配置してもよい。別の実施形態では、ベルト120は、出口端部114からのガスの流れに実質的に垂直に配置してもよく、そしてナノ材料を搬送するガスの流れがその中を通ることができる特性を有するように多孔質であってもよい。ベルト120は、従来のコンベアベルトと同様に、連続したループとして設計されてもよい。そのためには、1つの実施形態では、ベルト120は対向する回転要素122(例えばローラー)の周りで輪になってもよく、そして電気モーターのような機械装置により駆動されてもよい。別の実施形態では、ベルト120は硬いシリンダーであってもよい。1つの実施形態ではモーターは、張力および速度を最適にできるようにコンピュータまたはマイクロプロセッサのようなコントロールシステムの使用を通じて制御されてもよい。
【0031】
図9を参照されたい。システム20は、捕集したナノ材料に圧縮力(すなわち、圧力)を付与するようにベルト24に隣接して位置する、ローラー25のような、加圧器(圧力アプリケータ)を含んでよい。とりわけ、ナノ材料がローラー25に向けて運ばれるにつれて、ベルト24上のナノ材料はローラー25の下およびローラー25に接触するように動かざるを得ないようにすることができ、その結果、混ざったナノ材料に圧力を付与することができ、さらにナノ材料はベルト24とローラー25との間で圧縮されて密着して実質的に結合したシート26(coherent substantially-bonded sheet)となる。ベルト24上のナノ材料に対する圧力を高めるように、プレート244はベルト24の後ろに位置し、ローラー25からの圧力を負荷することが可能な硬い表面を提供してもよい。捕集したナノ材料が大量で十分に混ざっており、適切な数の接触部が存在し、シート26を形成するのに必要な結合力が提供される場合、ローラー25の使用は必要でないかもしれないことに留意すべきである。
【0032】
後のハウジング22からの除去のために混合されたナノ材料のシート26をベルト24から離すように、そのエッジをベルト24の表面245に向けて、メス(scalpel)またはブレード27をローラー25の下流に備えてもよい。このように、シート26はローラー25を過ぎて下流に移動することから、ブレード27は、ベルト24の表面245からシート26を持ち上げるように働いてもよい。
【0033】
さらに、スプールまたはローラー28はブレード27の下流に備えられ、離れたシート26が続いてそこに向かい、採取するためにローラー28の周りに巻かれても(または巻き付けられても、wound)よい。シート26がローラー28の周りに巻かれることから、複数の層が形成され得る。当然ながら、シート26を、その後ハウジング22から除去するためにまとめる(または集める、collect)ことができる限りは、他の機構を用いてもよい。ローラー28は、ベルト24と同様に、1つの実施形態では電気モーター281のような機械駆動により駆動し、その回転軸はシート26の移動方向に実質的に垂直であってよい。別の実施形態では、ブレードは、シート26を除去するのに用いられる必要はない。むしろ、シート26の除去は、手または当該技術分野の既知の他の方法によるものであってもよい。
【0034】
シート26がローラー28に巻かれる時のシート26のそれ自身への結合を最小化するように、シート26がローラー28に巻かれる前に、シート26の片側に分離材料29(図10を参照)を付けても(または適用しても)よい。本発明に関連して用いるための分離材料29は、連続ロール291に供給可能な様々な市販の金属シートまたはポリマーの1つであってよい。そのためには、シート26がローラー28の周りに巻かれる(または巻き付けられる)とともに、分離材料29は、ローラー28上のシート26と一緒に引っ張られてもよい。シート26の片側に付けることができる限りは、分離材料29を含むポリマーはシート、液体または他の任意の形態で供給されてよいことに留意すべきである。さらに、シート26内の混ざったナノチューブはFe、Co、Ni等のような強磁性材料の触媒ナノ粒子を含んでもよいことから、分離材料29は、1つの実施形態では、シート26が分離材料29に強力に付着しないように、例えば導電性またはそうでないような非磁性材料であってよい。別の実施形態では、分離材料は必要ないかもしれない。
【0035】
・処理方法
一旦、シート26が形成されると、伝導性および生産性を向上させるように、シート25は処理を受けてもよい。形成後のシート26の処理は、1つの実施形態では、シート26をプロトン化剤に曝すことを含んでもよい。プロトン化剤の1つの特徴は、カーボンナノチューブを互いに、より近く接近させることであってよい。カーボンナノチューブを互いにより近づけることにより、プロトン化剤は表面張力を減少し、抵抗を減少し、そしてシート26の伝導性を増加させるよう働いてもよい。プロトン化剤の例は、ヒドロニウムイオン、塩酸、臭化水素酸、沸酸、ヨウ化水素酸、炭酸、硫酸、硝酸、フルオロ硫酸、クロロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、発煙硫酸(oleum)、これらの薬剤(agent)若しくはこれらの組み合わせのような酸、または電気的および/または熱的に伝導性を有することが可能な他の材料を含んでよい。
【0036】
別の実施形態では、シート26の処理は、シート26が炉を出て、ベルトの上で集められるときに、シート26に溶液をスプレーすることを更に含んでよい。該溶液は、カーボンナノチューブの整列を促進(または向上)させ、カーボンナノチューブを互いにより近く接近させることができるようにカーボンナノチューブの外側表面を覆う化合物(または配合物、compound)を含んでよい。別の実施形態では、該溶液は、溶媒、ポリマー、金属、またはこれらの組み合わせを含んでよい。該溶液に関連して用いることができる溶媒の例は、トルエン、ケロシン、ベンゼン、ヘキサン、アセトンまたは他の任意の溶媒を含む。該溶液に関連して用いることができるポリマーの例は、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ(スチレンブタジエン)、ポリクロロプレン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン−コ−スチレン)、エポキシまたは任意のポリマーを含む。該溶液に関連して用いることができる金属の例は、塩、金属酸化物または他の任意の金属を含む。
【0037】
一旦、シート26が処理されると、処理されたシート26はシート26を処理するために熱源に曝してもよい。複合シートまたは最終製品の所望の形態を生ずるように、シート26を、例えば、焼結、熱間静水圧プレス(またはHIP)、熱間プレス、冷間静水圧プレス(またはCIP)してもよい。
【0038】
別の実施形態では、シートの構造的な結合性(または一体性、integrity)を増加させ、また実質的に低い結合抵抗を備えるように、複合シートの処理は複合シートにガラス状炭素材料を注入することを更に含んでもよい。ガラス状炭素は、概してカーボンナノチューブと関係した炭素の形態であってよく、アモルファスカーボンのマトリクスを含むグラフェン状リボン(graphene like ribbon)をかなりの量含むことができる。これらのリボンは、SP2結合したナノチューブと実質的に同様であり得るSP2結合したリボンを含む。この結果、これらは比較的優れた熱伝導性および電気伝導性を有することができる。ガラス状炭素を作ることができる前駆体物質の例は、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂(すなわち、触媒されたアルキルフェニルホルムアルデヒド)、PVAもしくは液体樹脂または加熱された際にガラス状炭素を形成する既知の如何なる材料を含む。当然ながら、他の市販のガラス状炭素材料または前駆体物質を用いることができる。
【0039】
複合シートを形成した後、複合シートは複合シートとして残してもよく、またはストリップのようなより小さな部分に切断してもよい。1つの実施形態では、複合シートをストリップに切断するのにレーザーを用いてもよい。1つの実施形態では、複合シートがハウジングから出てくる時にレーザーを複合シートに向けることができるように、レーザービームはハウジングに隣接して配置してもよい。コンピュータまたはプログラムを用いてレーザービーム制御してよく、またストリップの切断も制御してよい。別の実施形態では、当該技術分野で既知の任意の機械的手段または他の手段を用いて複合シート26をストリップに切断してよい。
【0040】
・ケーブルの形成
本発明のケーブルを形成するように、導電部材42はシールド層44を設けてよい。1つの実施形態において、シールド層44において、ナノ構造体ベースの材料から作ってよい。1つの実施態様において、ナノ構造体ベースの材料は、例えばカーボンナノチューブから作った糸、テープ、ケーブル、リボンまたはシートなど、導電カーボンナノチューブから作ったものでありうる。一方、該材料が、電気伝導性および/または熱伝導性を有することができるのであれば、シールド層を、カーボンナノチューブから作ったシートから作ってよい。1つの実施形態において、シールド層44は、構造体全体の約4〜約7重量パーセントの範囲であってよい。当然ながら、この範囲は、説明の目的のためだけのものであり、より小さいまたはより大きい範囲を用いることができる。1つの実施形態において、シールド層44を導電部材42に連結する場合、シールド層44は、起源からの大電流を、実質的な劣化なしで、導電部材42に沿って外部回路へ向かわせることができる。これは、本発明のシールド層44を規定するナノチューブが、RF信号または他の電磁波もしくは信号が導電部材42へまたは導電部材42から漏れることを最小限に抑えるように、作用できるからである。当然ながら、RF信号または他の電磁波もしくは信号が、導電部材42へまたは導電部材42から漏れることを最小限に抑えるように作用できる、他の市販の任意の材料をシールド層44の適所に用いてもよい。
【0041】
所望の程度まで、同軸ケーブル40は、該同軸ケーブル40の導電性を向上させ、抵抗を減少させるように、絶縁体を含むこともできる。1つの実施形態において、同軸ケーブル40は、導電部材42とシールド層44との間に囲むように配置した少なくとも1つの絶縁層46を含んでよい。絶縁層46を、シート26から切断したカーボンナノチューブのストリップから作ってよく、絶縁層46は、構造体全体の約33〜37重量パーセントの範囲であってよい。1つの実施形態では、同軸ケーブル40は、シールド層44の周囲を囲むように配置した第2絶縁層48を更に含んでもよい。第2絶縁層48を、シート26から切断したカーボンナノチューブのストリップから作ってよく、第2絶縁層48は、構造体全体の約55〜約60重量パーセントの範囲であってよい。当然ながら、これらの範囲は説明の目的のためだけのものであって、より小さいまたはより大きい範囲を用いることができる。更に、他の任意の市販の絶縁材料を、絶縁層46、48の適所に用いてもよい。
【0042】
導電部材42の周囲で所定の場所にシールド層44を固定するように、同軸ケーブル40は、導電部材42とシールド層44都の間に配置した連結機構を更に含んでよい。1つの実施形態において、連結機構を、実質的に低い結合抵抗を提供することができる、ガラス状炭素材料から作ってよい。ガラス状炭素は、概して、カーボンナノチューブと関連した炭素の形態であってよく、アモルファスカーボンのマトリクスを含むグラフェン状リボンをかなりの量含むことができる。これらのリボンは、SP2結合したナノチューブと実質的に同様であり得るSP2結合したリボンを含む。この結果、これらは比較的優れた熱伝導性および電気伝導性を有することができる。ガラス状炭素を作ることができる前駆体物質の例は、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂(すなわち、触媒されたアルキルフェニルホルムアルデヒド)、PVAもしくは液体樹脂または加熱された際にガラス状炭素を形成する既知の如何なる材料を含む。当然ながら、導電部材内のナノチューブを「濡らす」ガラス状炭素樹脂または物質の傾向は、個々のナノチューブそれぞれを被覆するのに役立つことができ、その結果、ナノチューブそれぞれは、電子または熱伝送に寄与できる。当然ながら、他の市販のガラス状炭素材料または前駆体物質を用いることができる。連結機構の存在は、1つの実施形態において、実質的な劣化なしで、導電部材42に沿う電流の伝送を高めることができる。
【0043】
従って、導電部材42およびシールド層44は互いに保持されていてよく、同時に、ガラス状炭素前駆体を熱分解させるのに十分な温度範囲まで、導電部材42とシールド層44との間の接合部を加熱して、ガラス状炭素材料を形成し、導電部材42とシールド層44との接着を可能にし、その間での剥離を最小限に抑えてよい。ガラス状炭素材料は、導電部材42とシールド層44との間の電気伝導性または熱伝導性を更に向上させることができ、導電部材42とシールド層44との間の実質的に均一な接触を提供することができ、導電部材42のシールド層44との実質的に低い結合抵抗を提供することができる。1つの実施形態において、熱分解の最低温度は、少なくとも約400℃〜約450℃の付近である必要がある。熱分解を不活性雰囲気下で行なう場合、熱分解プロセスを完了させることができるように、該温度はより高いことが必要でありうる。当然のことながら、この温度に敏感でありうる材料は、本発明に適切でない可能性がある。更に、導電部材を連結するための常套の手段よりも実質的に優れた接触抵抗を提供するのに、熱分解は、この接合部のために終了まで行なうことを必要としない。
【0044】
加えて、連結機構は、隣接するナノチューブ間の接触箇所の数を増やすことによって、電気伝送および熱伝送の効率を高めるように、伝導性に積極的に関与しうる、導電部材42内の導電ナノ構造体の数を実質的に最大化するように作用することができる。
【0045】
従って、常套の電気および/または熱回路システムにて使用するための標準コネクタへの効率的な伝導を可能にするように、本発明の同軸ケーブル40を用いることができる。特に、同軸ケーブル40は、ナノスケール環境と常套の電気および/または熱回路システムとの間における、例えば電気および/または熱伝導による効率的な相互作用を可能にすることができる。
【0046】
図11は、本発明の導電ケーブル60の別の実施形態を示す。図示するように、ケーブル60は、1組のねじれたケーブル60であってよい。ケーブル60は、1つの実施形態において、互いに巻き付いている、第1ケーブル62および第2ケーブル64を含んでよい。上述のようなナノ構造シートを、1対のねじれたケーブル60の周囲を囲むように配置してよい。当然ながら、1組(または一対)のねじれたケーブル60を形成するのに用いられるケーブルの数は変化してよい。例えば、3つまたは4つのケーブルを用いてよい。
【0047】
比較する目的で、本発明のケーブルの抵抗特性を、銅線またはリッツ線によって示されるそれらの特性と比較する。図12に示すように、約1MHzという極めて適当な周波数にて、単位長さあたりの抵抗は、本発明のケーブルに関して実質的に減少する。
【0048】
本発明のケーブルの周波数は、ある程度、ケーブルの太さに依存しうることに留意すべきである。平坦なリボン導電ケーブルに関して、例えば、ケーブルの厚さが厚くなるにつれて、図13に示すように、周波数は減少する。
【0049】
説明の目的のために、図14に示すように、本発明の1つの実施形態に従って作ったケーブルの抵抗対電流特性を、銅線またはリッツ線によって示されるそれらの特性と比較する。
【0050】
更に、本発明のケーブルに関する電流対温度特性を図15に示す。
【0051】
本発明のケーブルを、種々のアレンジメントに提供してよい。本発明に従って作ったカーボンナノチューブの軽さのおかげで、本発明に従って作ったケーブルは、常套のケーブルと比べて最大約50パーセントの著しい軽量化を提供できる。例えば、図1に示すように、ケーブルは、同軸ケーブル40の形態をとってよい。標準的なケーブルと比較した同軸ケーブルの重量減は、ケーブル1000フィートあたり約9.4ポンドであり、それは約40.8%の削減である。図11に示すように、ケーブルは、1組のねじれたケーブル50の形態をとってよい。1組のねじれたケーブル50に関する重量減は、ケーブル1000フィートあたり約7.9ポンドであり、それは約37.3%の削減である。別の実施形態では、ケーブルは、平坦なリボンの形態をとってよい。当然ながら、これらのアレンジメントは、限定することを意図しておらず、他のアレンジメントが存在してもよい。
【0052】
本発明のケーブルを、1つの実施形態では、図16に示すように、ワイヤハーネス70として配置してよい。ワイヤハーネス70は、形状、サイズおよび配置に関して変化してよい。ワイヤハーネス70は、コスト削減をもたらすことができる、かなりの軽量化をもたらすことができる。例えば、ワイヤハーネス70の使用のおかげで、人工衛星に関する軽量化は、本出願のワイヤハーネスのようなワイヤハーネスを用いる場合、発進ごとにかなりのコスト削減に寄与するだろう。民間機または戦闘機に関する軽量化は、同様に、ワイヤハーネスの使用のおかげで、飛行ごとに重量およびコスト削減をもたらすだろう。
【0053】
本発明は、これらの特定の実施形態を参照して説明されているが、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ、均等物による置換が可能であることが、当業者により理解されるべきである。加えて、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、特定の状況、指示、物質の材料および組成、方法の1または複数の工程に適用するように多くの改良を行い得る。全てのこのような改良は、本願に添付の特許請求の範囲内であることが意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ構造体ベースの材料から作られた導電部材と、
ナノ構造体ベースの材料で作られ、かつ導電部材に沿って導電性を高めるように、前記導電部材の周囲を囲むように配置したシールド層と、
シールド層を導電部材上の所定の場所に固定するように、前記シールド層と前記導電部材との間に配置した連結機構と
を有して成るケーブル。
【請求項2】
前記導電部材が、ナノチューブから作った糸を含む、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記導電部材が、約1重量パーセントである、請求項1に記載のケーブル。
【請求項4】
前記シールド層が、ナノ構造体ベースの材料から作られている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
前記シールド層が、約5〜約7重量パーセントの範囲である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項6】
前記シールド層は、放射が隣接するケーブルと干渉するのを最小限に抑えるように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項7】
前記導電部材と前記シールド層との間で囲むように配置した第1絶縁層を更に有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項8】
前記第1絶縁層が、約33〜約37重量パーセントの範囲である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項9】
前記シールド層の周囲を囲むように配置された第2絶縁層を更に有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項10】
前記第2絶縁層が、約55〜約60重量パーセントの範囲である、請求項7に記載のケーブル。
【請求項11】
前記連結機構が、前記導電部材とコネクタ部分との間の電気伝導性または熱伝導性を高めることができるガラス状炭素材料から作られている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項12】
前記ガラス状炭素材料が、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂、PVA、またはガラス状炭素材料を形成できる他の液体の樹脂もしくは物質の1つを含む前駆体物質から生成されている、請求項11に記載のケーブル。
【請求項13】
無線周波数(RF)用途、電磁波シールド(EMI)用途、電磁パルス(EMP)用途、大電流伝送、または耐落雷の1つに用いるように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項14】
熱伝導、電気伝導、パルス用途、熱電気用途または発電用途の1つに用いるように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項15】
ナノ構造体ベースの材料から作られる導電部材を提供することと、
シールド層を、前記導電部材の周囲を囲むように配置することと、
前記シールド層を、導電部材の周囲の所定の場所に固定するように、シールド層と導電部材との間に連結機構を適用することと
を含む、ケーブルの製造方法。
【請求項16】
前記提供の工程において、ナノチューブから作った複数の糸を結合させて、導電部材を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1絶縁層をシールド層の周囲を囲むように配置することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第2絶縁層をシールド層の周囲を囲むように配置することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記シートと前記糸との間の接合部に、連結機構を配置することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記連結機構を配置することが、ガラス状炭素材料を利用することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記配置の工程において、ガラス状炭素前駆体が、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂、PVA、またはガラス状炭素材料を形成することができる他の液体の樹脂もしくは物質の1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接合部を加熱して、ガラス状炭素材料を熱分解させ、シートと糸との接着を可能にし、かつシートと糸との剥離を最小限に抑えるガラス状炭素材料を形成することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記加熱の工程は、接合部における温度を、約400℃〜約450℃の範囲またはそれより高温まで上昇させて、熱分解プロセスを完了させることを可能にすることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項1】
ナノ構造体ベースの材料から作られた導電部材と、
ナノ構造体ベースの材料で作られ、かつ導電部材に沿って導電性を高めるように、前記導電部材の周囲を囲むように配置したシールド層と、
シールド層を導電部材上の所定の場所に固定するように、前記シールド層と前記導電部材との間に配置した連結機構と
を有して成るケーブル。
【請求項2】
前記導電部材が、ナノチューブから作った糸を含む、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記導電部材が、約1重量パーセントである、請求項1に記載のケーブル。
【請求項4】
前記シールド層が、ナノ構造体ベースの材料から作られている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
前記シールド層が、約5〜約7重量パーセントの範囲である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項6】
前記シールド層は、放射が隣接するケーブルと干渉するのを最小限に抑えるように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項7】
前記導電部材と前記シールド層との間で囲むように配置した第1絶縁層を更に有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項8】
前記第1絶縁層が、約33〜約37重量パーセントの範囲である、請求項1に記載のケーブル。
【請求項9】
前記シールド層の周囲を囲むように配置された第2絶縁層を更に有する、請求項1に記載のケーブル。
【請求項10】
前記第2絶縁層が、約55〜約60重量パーセントの範囲である、請求項7に記載のケーブル。
【請求項11】
前記連結機構が、前記導電部材とコネクタ部分との間の電気伝導性または熱伝導性を高めることができるガラス状炭素材料から作られている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項12】
前記ガラス状炭素材料が、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂、PVA、またはガラス状炭素材料を形成できる他の液体の樹脂もしくは物質の1つを含む前駆体物質から生成されている、請求項11に記載のケーブル。
【請求項13】
無線周波数(RF)用途、電磁波シールド(EMI)用途、電磁パルス(EMP)用途、大電流伝送、または耐落雷の1つに用いるように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項14】
熱伝導、電気伝導、パルス用途、熱電気用途または発電用途の1つに用いるように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項15】
ナノ構造体ベースの材料から作られる導電部材を提供することと、
シールド層を、前記導電部材の周囲を囲むように配置することと、
前記シールド層を、導電部材の周囲の所定の場所に固定するように、シールド層と導電部材との間に連結機構を適用することと
を含む、ケーブルの製造方法。
【請求項16】
前記提供の工程において、ナノチューブから作った複数の糸を結合させて、導電部材を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第1絶縁層をシールド層の周囲を囲むように配置することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第2絶縁層をシールド層の周囲を囲むように配置することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記シートと前記糸との間の接合部に、連結機構を配置することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記連結機構を配置することが、ガラス状炭素材料を利用することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記配置の工程において、ガラス状炭素前駆体が、フルフリルアルコール、レーゾール樹脂、PVA、またはガラス状炭素材料を形成することができる他の液体の樹脂もしくは物質の1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記接合部を加熱して、ガラス状炭素材料を熱分解させ、シートと糸との接着を可能にし、かつシートと糸との剥離を最小限に抑えるガラス状炭素材料を形成することを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記加熱の工程は、接合部における温度を、約400℃〜約450℃の範囲またはそれより高温まで上昇させて、熱分解プロセスを完了させることを可能にすることを含む、請求項22に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−524604(P2011−524604A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508687(P2011−508687)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/043208
【国際公開番号】WO2009/137722
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(506243220)ナノコンプ テクノロジーズ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/043208
【国際公開番号】WO2009/137722
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(506243220)ナノコンプ テクノロジーズ インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】
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