説明

カーボンナノチューブ合成用担持触媒、その製造方法およびそれを用いたカーボンナノチューブ

本発明は、新たなカーボンナノチューブ合成用担持触媒を提供する。前記担持触媒は、Fe、CoまたはNiから選択される一つ以上の金属触媒を有し、それらがアルミナ、酸化マグネシウムまたはシリカ担体に担持されており、前記担持触媒は平均直径が約30〜約100μmの平均直径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ合成用担持触媒、その製造方法およびそれを用いるカーボンナノチューブに関する。より具体的には、本発明は、水溶性高分子を含む触媒溶液の噴霧乾燥により製造した均一な大きさと球状の形状を有する担持触媒、および該担持触媒を用いて固定床反応器または流動床反応器で製造された向上された生産性と均一性を有するカーボンナノチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
1991年飯島氏により発見されたカーボンナノチューブは、一つの炭素原子に隣り合う三つの炭素原子が結合されてハニカム状に6角形をなし、このような6角形構造が反復されながら円筒形に巻かれるまたはチューブ形態を形成している。
【0003】
カーボンナノチューブが発見されて以後、カーボンナノチューブに関する論文と特許出願が増加し、多くの理論的な研究と産業上の利用とが発展してきた。カーボンナノチューブは優れた機械的特性、電気的選択性、電界放出特性、水素貯蔵媒体特性、高分子複合体への適応性などを有し、欠陥がほとんどない完璧な新素材として知られている。カーボンナノチューブは主に、アーク放電法(arc discharge)、レーザアブレーション法(laser ablation)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)などにより製造され、壁の数によって単一壁(single−wall)、二重壁(double−wall)、または多重壁(multi−wall)カーボンナノチューブに分類される。このような多様な合成方法と構造にも関わらず、高収率、高純度のカーボンナノチューブを合成するのに生産費用が高いなど多くの制限がある。
【0004】
最近、高純度、高収率のカーボンナノチューブを合成するための適好な触媒合成方法と同様、一度に多量のカーボンナノチューブを製造することができる新たなカーボンナノチューブの合成技術に関する研究が多い。多様な合成方法中で、熱化学気相蒸着法は、装置が簡単であり、大量生産において絶対的に有利な特徴を有している。熱化学気相蒸着法は、固定床反応器と流動床反応器方法に分類される。固定床反応器は、比較的金属担体の形状や大きさに大きな影響を受けないが、反応器内の空間の制約のため一度に多量のカーボンナノチューブを製造することができない。流動床反応器は、反応器が垂直に立っているため、固定床反応器よりは容易に一度に多量のカーボンナノチューブを合成することができる。流動床反応器は固定床反応器に比べて一度に多量のカーボンナノチューブを連続的に製造することができるため、流動床反応器に関して多くの研究がされている。しかしながら、流動床反応器は、金属担体を均一に流動化させるため、形状や大きさの均一な金属担体が必要である。したがって、流動床反応器に必要な、均一な形状と大きさの金属担体を有する触媒を合成する方法の開発が必要である。
【0005】
前記問題点を解決するため、本発明者は、金属触媒溶液に水溶性高分子をバインダーとして用いて焼成する間に、触媒に球状を保持させることにより、固定床反応器だけでなく触媒の流動性が必要な流動床反応器に特に適合するカーボンナノチューブ合成用担持触媒を開発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、カーボンナノチューブを合成するための球状の担持触媒を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、均一な球形と直径を有する担持触媒を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、金属ナノ触媒を用いてカーボンナノチューブを大量生産し時間と費用を節減することができる担持触媒を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、カーボンナノチューブの合成時に固定床反応器および流動床反応器の両方に利用することができる担持触媒を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、流動床反応器に特に適合した担持触媒を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、球形の担持触媒を製造する新たな方法を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、前記担持触媒を用いて高効率の生産性、選択性、および高純度を有するカーボンナノチューブを提供することにある。
【0013】
本発明の他の態様、特徴および利点は、下記の開示および添付する特許請求の範囲から明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、カーボンナノチューブ合成用担持触媒を提供する。前記担持触媒は、鉄(Fe)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)から選択される金属触媒とアルミナ、酸化マグネシウム、またはシリカ担体とを有し、平均直径が約30〜約100μmの球形を有する。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記担持触媒は下記のモル比を有することができる:
(Co)Fe:Mo:(Mg)Al=x:y:z
(ここで、1≦x≦10、0≦y≦5、および2≦z≦70である)。
【0016】
他の実施形態において、前記担持触媒は下記のモル比を有することができる:
Fe:Mo:Al=x:y:z
(ここで、1≦x≦10、0≦y≦5、および2≦z≦70である)。
【0017】
前記球状の担持触媒は、中空である。
【0018】
本発明の他の態様は、前記担持触媒の製造方法を提供する。前記方法は、金属触媒および担体を含む触媒水溶液と水溶性高分子とを混合させて混合触媒溶液を製造し;該混合触媒溶液を噴霧乾燥して触媒粉末を製造し;および該触媒粉末を焼成する段階を含む。
【0019】
一実施形態において、前記金属触媒は、Fe(NO、Co(NO、Ni(NO、Fe(OAc)、Co(OAc)、およびNi(OAc)からなる群より選択される一つ以上でありうる。
【0020】
前記担体は、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、シリカからなる群より選択される一つ以上でありうる。好ましくは、前記金属触媒と前記担持体は水相に存在する。
【0021】
一実施形態において、前記水溶性高分子として、尿素系高分子、メラミン系高分子、フェノール系高分子、不飽和ポリエステル系高分子、エポキシ系高分子、レゾルシノール系高分子、酢酸ビニル系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、塩化ビニル系高分子、ポリビニルアセタール系高分子、アクリル系高分子、飽和ポリエステル系高分子、ポリアミド系高分子、ポリエチレン系高分子、ビニル系高分子、澱粉、膠、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、デキストリン、酸変性澱粉、セルロース等を用いることができる。
【0022】
一実施形態において、前記水溶性高分子は触媒水溶液中、固形分全質量に対し約1〜約50質量%の量で投入されうる。
【0023】
前記噴霧乾燥は約200〜約300℃の温度で、ディスク回転速度約5,000〜約20,000rpm、および溶液投入速度約15〜約100mL/minで行われうる。
【0024】
前記焼成は約350〜約1100℃の温度で行われうる。上記方法で製造された担持触媒は球形を有する。
【0025】
本発明のさらに他の態様は、前記担持触媒を用いて製造されたカーボンナノチューブを提供する。前記カーボンナノチューブは固定床反応器または流動床反応器で合成されてもよく、好ましくは流動床積層反応器である。一実施形態において、前記カーボンナノチューブは担持触媒の存在下、約650〜約1100℃の温度で炭化水素ガスを投入して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1(a)、(b)は本発明に係るカーボンナノチューブ合成用担持触媒の概略的な模式図である。
【図2】図2(a)は実施例1で製造された噴霧乾燥された粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、図2(b)は実施例1で製造された担持触媒の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図3】図3(a)、(b)は実施例1で製造されたカーボンナノチューブの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図4】図4は実施例2の担持触媒を用いて製造されたカーボンナノチューブの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図5】図5は比較例1で製造された担持触媒の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
担持触媒
本発明はカーボンナノチューブ合成用担持触媒を提供する。図1(a)は、本発明に係るカーボンナノチューブ合成用担持触媒の模式図である。前記金属触媒(2)は担持触媒の担体(1)に担持されており、前記担持触媒は実質的に球形である。ここで、球形は500倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で観測される形状として、完全な球形だけでなく、楕円形も含まれる。一実施形態において、扁平率約0〜約0.2の楕円形も含まれうる。前記担体(1)は、図1(a)に図示されたように、表面に気孔を形成することができる。また、本発明の担持触媒の表面は屈曲または突起が形成されうる。前記担持触媒は、図1(b)に表したように、内部が空いている中空構造を有する。前記金属触媒(2)は中空の内部に前記担体の表面のように分布している。
【0028】
前記金属触媒としては、Fe、Co、Niまたはこれらの合金や組み合せを用いることができる。前記担体としては、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ、またはこれらの組み合せを用いることができる。
【0029】
本発明の担持触媒は、平均直径が約30〜約100μm、好ましくは約40〜約95μm、より好ましくは約50〜約90μmである。一実施形態において、本発明の担持触媒は約35〜約50μmの平均直径を有しうる。他の実施形態において、本発明の担持触媒は約55〜約80μmまたは約75〜約100μmの平均直径を有しうる。
【0030】
本発明の一実施形態において、前記担持触媒は下記のモル比を有することができる:
(Co)Fe:Mo:(Mg)Al=x:y:z
(ここで、1≦x≦10、0≦y≦5、および2≦z≦70である)。
【0031】
一実施形態において、前記担持触媒は下記のモル比を有することができる:
Fe:Mo:Al=x:y:z
(ここで、1≦x≦10、0≦y≦5、および2≦z≦70である)。
【0032】
担持触媒の製造方法
本発明の他の態様は、前記担持触媒の製造方法を提供する。前記方法は、金属触媒および担体が混合された触媒水溶液に水溶性高分子を溶解させて混合触媒溶液を製造し、該混合触媒溶液を噴霧乾燥して触媒粉末を製造し、該触媒粉末を焼成する段階を含んでなる。
【0033】
一実施形態において、前記金属触媒は、Fe(NO、Co(NO、Ni(NO、Fe(OAc)、Co(OAc)およびNi(OAc)を用いることができ、これらは単独もしくは2種以上または他の物質を混合して用いることができる。一実施形態において、前記金属触媒は水和物の形態を有していてもいい。例えば、硝酸鉄(III)九水和物または硝酸コバルト九水和物の形態で用いることができる。
【0034】
前記担体は、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、シリカなどを用いることができ、これに制限されない。
【0035】
好ましくは、硝酸アルミニウム九水和物を用いることができる。
【0036】
前記金属触媒と前記担体はそれぞれ水に溶解されて水溶液相に混合される。
【0037】
本発明の他の一実施形態において、モリブデン酸アンモニウム四水和物のようなモリブデン(Mo)系活性剤を入れて、高温での焼成過程中の金属触媒が塊になるのを防止することができる。他の一実施形態において、クエン酸が活性剤として用いられうる。前記金属触媒および担体を含む触媒水溶液および選択的にはモリブデン系活性剤を攪拌して完全に解離させる。
【0038】
前記金属触媒と担体とを含む触媒水溶液に水溶性高分子を投入して溶解させて混合触媒溶液を製造する。本発明において、前記水溶性高分子は、球状を維持するためのバインダーとして用いられる。噴霧乾燥の後に焼成のような熱処理をする場合、触媒粒子は容易に割れるため、金属触媒が割れることを防止し、触媒を球形に維持するために水溶性高分子を触媒水溶液に添加する。
【0039】
前記水溶性高分子は水に溶解されることができ、接着性を有する高分子はいかなるものも水溶性高分子として用いられうる。これに制限されるのではないが、例えば、水溶性高分子は、尿素系高分子、メラミン系高分子、フェノール系高分子、不飽和ポリエステル系高分子、エポキシ系高分子、レゾルシノール系高分子、酢酸ビニル系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、塩化ビニル系高分子、ポリビニルアセタール系高分子、アクリル系高分子、飽和ポリエステル系高分子、ポリアミド系高分子、ポリエチレン系高分子、ビニル系高分子、澱粉、膠、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、デキストリン、酸変性澱粉、セルロースなどを含むことができる。
【0040】
ポリエチレンのような非水溶性高分子も前処理によって触媒水溶液に混合することができる。非水溶性高分子も単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
一実施形態において、前記水溶性高分子は触媒水溶液に溶解されている固形分全質量に対し約1〜約50質量%、好ましくは約15〜約25質量%で投入されうる。一実施形態において、約5〜約20質量%の水溶性高分子がより好ましく用いられうる。他の一実施形態において、約20〜約45質量%の水溶性高分子が用いられうる。
【0042】
前記水溶性高分子を溶解した混合触媒溶液は噴霧乾燥方式により球状の粒子形態に製造される。
【0043】
噴霧乾燥方式は、均一な球形と大きさを有する金属担体を製造するための方法で大量に生産できる最も容易な方法である。該噴霧乾燥方式は、流体状態の供給物を熱乾燥気体中に噴霧させて、ほとんど瞬間的に乾燥がなされるようにする。乾燥が速くなされる理由は噴霧器により供給物を噴霧することで表面積が非常に大きくなるためである。噴霧器は、溶液の密度、噴霧量、および噴霧器ディスクの回転速度によっても影響を受ける触媒粉末の大きさに影響を与える。一実施形態において、噴霧乾燥は約200〜約300℃、好ましくは約270〜約300℃で行われうる。噴霧する方法は、ノズルタイプと、ディスクの回転によって液滴を形成して噴霧するディスクタイプとの2つのタイプがある。一実施形態において、ディスクタイプを適用してより均一な大きさの担持触媒粉末を製造する。ディスクの回転速度、溶液の投入容量、密度などによって粒子の大きさと分布を調節することができる。本発明の一実施形態において、ディスクの回転速度は約5,000〜約20,000rpm、溶液投入容量は約15〜約100mL/minでありうる。他の実施形態において、ディスクの回転速度は約10,000〜約18,000rpm、約12,000〜約19,000rpmまたは約5,000〜約9,000rpmでありうる。噴霧乾燥は、約15〜約60ml/min、約50〜約75ml/minまたは約80〜約100ml/minの溶液投入容量で行うことができる。
【0044】
噴霧乾燥により合成された触媒粉末は焼成を通じて熱処理される。このような焼成過程を通じて金属触媒への結晶化が完成される。このとき、触媒粉末を焼成する温度および時間を変えることでカーボンナノチューブの直径や性質は変化する。一実施形態において、前記焼成は約350〜約1100℃、好ましくは約450〜約900℃、より好ましくは約500〜約800℃の温度で行われうる。他の実施形態において、前記焼成は約350〜約500℃、約550〜約700℃、約650〜約900℃または約750〜約1100℃の温度で行われうる。焼成は約15分〜約3時間、好ましくは約30分〜約1時間行われうる。通常、焼成過程を経る場合、噴霧乾燥で製造された球状の粒子は容易に割れるが、本発明では水溶性高分子がバインダーとして作用するため、高温の焼成過程の間に球形を維持することができる。このとき、水溶性高分子は焼成過程中の揮発により最終の製品には残っていない。本発明の方法で合成された担持触媒は実質的な球状を有することを特徴とする。
【0045】
カーボンナノチューブ
本発明のさらに他の態様は、前記担持触媒を用いて製造されたカーボンナノチューブを提供する。本発明の担持触媒は、固定床反応器および流動床反応器の両方に適用され、好ましくは流動床反応器である。流動床反応器では、一度に大量のカーボンナノチューブを合成することができ、本発明の担持触媒は均一な球形と直径を有する球状なので流動しやすいため、流動床反応器に好ましく適用されうる。
【0046】
一実施形態において、前記カーボンナノチューブは約650〜約1100℃、好ましくは約670〜約950℃の温度で担持触媒の存在下で炭化水素ガスを投入して製造することができる。ある実施形態において、約650〜約800℃の温度でカーボンナノチューブを製造することができる。他の実施形態において、約800〜約990℃の温度でカーボンナノチューブを製造することができ、さらに他の実施形態において、約980〜約1100℃の温度でカーボンナノチューブを製造することができる。炭化水素ガスとしては、制限されないが、メタン、エチレン、アセチレン、LPGなどおよびこれらの混合物を用いることができる。炭化水素ガスは約15分〜約2時間、例えば約30〜約60分供給される。
【0047】
本発明は、本発明を例示する以下の実施例を参照して理解されるが、これは本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は本願に添付される請求項により定義される。
【実施例】
【0048】
実施例1
Fe、Co、Mo、Al(Fe:Co:Mo:Al=0.24:0.36:0.02:1.44のモル比)を含む触媒水溶液に固形分全質量に対して約20質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水性高分子を混合して、触媒溶液を製造し;該混合物を噴霧乾燥機(Niro Spray Dryer(商標))内で噴霧し;約290℃の熱風を用い噴霧と同時に乾燥させて、触媒粉末を製造した。ディスクの回転速度約8,000rpm、溶液投入量約30mL/minで製造された触媒粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2(a)に表す。製造された触媒粉末を常圧、空気雰囲気で550℃、30分間焼成して担持触媒を製造した。製造された担持触媒粉末の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を図2(b)に表す。図2(b)に表すように、熱処理後の金属触媒は球形を維持していた。
【0049】
担持触媒約0.03gを固定層熱化学気相蒸着装備で700℃でエチレンと水素を1:1の比率で100/100sccm流しながら、45分間カーボンナノチューブを合成した。
【0050】
図3(a)および(b)は、35倍および100倍での走査型電子顕微鏡写真である。図3に表すように、合成したカーボンナノチューブは均一な直径を有していた。
【0051】
実施例2
実施例2は、水溶性高分子としてポリビニルアルコール(PVA)を用いたことを除いては前記実施例1と同様に行った。製造された担持触媒は走査型電子顕微鏡写真(SEM)を通じて球状であるのを確認した。前記製造された担持触媒を用いて実施例1と同様にカーボンナノチューブを合成した。触媒の直径とカーボンナノチューブの収率を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
比較例1
比較例1は、噴霧乾燥の段階を経ないで、触媒溶液を空気中で550℃の温度で30分間焼成したことを除いては、実施例1と同様に行った。製造された担持触媒の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図5に表す。図5に表すように、製造された担持触媒は流動床反応器に必要な球状を有していなかった。
【0054】
本発明の単純な変形および変更はこの分野の通常の知識を有する者により容易に行わ、このような変形や変更はすべて本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CoおよびFeから選択される一つ以上を含む金属触媒がアルミナ、酸化マグネシウムまたはシリカ担体に担持されており、約30〜100μmの平均直径を有することを特徴とする、カーボンナノチューブ合成用担持触媒。
【請求項2】
下記のモル比を有することを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ合成用担持触媒:
(Co)Fe:Mo:(Mg)Al=x:y:z
(ここで、1≦x≦10、0≦y≦5、および2≦z≦70である)。
【請求項3】
下記のモル比を有することを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ合成用担持触媒:
Fe:Mo:Al=x:y:z
(ここで、1≦x≦10、0≦y≦5、および2≦z≦70である)。
【請求項4】
中空構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ合成用担持触媒。
【請求項5】
金属触媒と担体を含む触媒水溶液および水溶性高分子を混合して混合触媒溶液を製造し;
該混合触媒溶液を噴霧乾燥して触媒粉末を製造し;ならびに
該触媒粉末を焼成する;
段階を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブ合成用担持触媒の製造方法。
【請求項6】
前記金属触媒が、Fe(NO、Co(NO、Ni(NO、Fe(OAc)、Ni(OAc)、およびCo(OAc)よりなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記担体が、硝酸アルミニウム、硝酸マグネシウム、およびシリカよりなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記金属触媒および前記担体が水相中にあることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記水溶性高分子が、尿素系高分子、メラミン系高分子、フェノール系高分子、不飽和ポリエステル系高分子、エポキシ系高分子、レゾルシノール系高分子、酢酸ビニル系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、塩化ビニル系高分子、ポリビニルアセタール系高分子、アクリル系高分子、飽和ポリエステル系高分子、ポリアミド系高分子、ポリエチレン系高分子、ビニル系高分子、澱粉、膠、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、デキストリン、酸変性澱粉およびセルロースからなる群より選択される少なくとも一つ以上であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性高分子が、触媒水溶液中の固形分全質量に対して約1〜約50質量%の量で投入されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記噴霧乾燥を約200〜約300℃で行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記噴霧乾燥を、ディスクの回転速度約5,000〜約20,000rpm、溶液投入速度約15〜約100mL/minで行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記焼成を約350〜約1100℃で行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
請求項5〜13のいずれか1項に記載の方法で製造され、球状であることを特徴とする、カーボンナノチューブ合成用担持触媒。
【請求項15】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の担持触媒を用いて製造されるカーボンナノチューブ。
【請求項16】
流動床反応器で合成されることを特徴とする、請求項15に記載のカーボンナノチューブ。
【請求項17】
前記担持触媒の存在下、約650〜約1100℃の温度で炭化水素ガスを投入して製造されたことを特徴とする、請求項15に記載のカーボンナノチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−506312(P2012−506312A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533088(P2011−533088)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【国際出願番号】PCT/KR2008/007781
【国際公開番号】WO2010/047439
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】