カーボンナノチューブ強化ポリマーナノ複合材
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)/ポリマー複合材、すなわち、ナノ複合材に関する。ここでこのようなナノ複合材中の上記CNTは、ポリマーマトリクス中に高度に分散されており、ここで上記ナノ複合材は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方と相互作用する適合性界面活性剤を含む。本発明はまた、これらナノ複合材を作製する方法に関する。いくつかのこのような方法において、上記適合性界面活性剤は、初期CNT分散およびその後のポリマーとの混合を提供する。本発明はまた、種々の用途においてこれらナノ複合材を使用する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府により支援を受けた研究)
本発明は、National Aeronautics and Space Administrationからの支援(助成金番号NAG9−1305)を受けて、一部行われた。
【0002】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願番号第60/598,090号(2004年8月2日出願)の優先権を主張する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、一般に、高分散性(highly−dispersed)カーボンナノチューブベースのポリマーナノ複合材に関する。本発明は、より具体的には、ナイロン、ポリエステルおよび他の高性能ポリマーの超高強度(super−strength)超軽量ファイバーおよびバルクナノ複合材を開発するための独特の物理化学的方法、そしてまた、高められた機械的特性を有する生分解性ポリマーに基づいて、新しいクラスの生分解性で生体適合性のポリマー複合材の開発に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
カーボンナノチューブ(CNT)ベースのポリマーナノ複合材、特に単層カーボンナノチューブ(SWNT)ベースのポリマーナノ複合材の開発は、CNTの特別な特性と、ポリマーの軽量特性とを組み合わせて、独特の目的に合わせて作ることができる材料を開発できる可能性があるので魅力的である。CNTは、37GPaの引っ張り強さを有し、ヤング率が640GPa(非特許文献1)、および高い破断時ひずみ(high strains−at−break)(約5〜6%)と推測される。さらに、ひずみから解放されると、曲がったCNTは、一般に、直接的破壊なくして、それらの本来の形態を回復する(非特許文献2)。
【0005】
上記の特別な機械的特性および個々のチューブと関連する大きなアスペクト比(代表的には、約103〜104)に基づくと、CNTは、ナノ強化ポリマー複合材材料の開発の優れた候補である。しかし、均一な分散の保証、上記CNTと上記ポリマーとの間の界面適合性(interfacial compatibility)、およびCNTの凝集物(すなわち、バンドル)の剥離は、CNTを首尾よく一体化して、ナノ複合材にするために必要とされる。従って、CNTを、溶液中および種々のモデルポリマー系に分散させるという詳細な試験が、極めて軽量の多機能性材料を目的に合わせて作ることを可能にすることにおいて役立っており、股関節部置換から宇宙旅行までの範囲に及ぶ用途における用途が見出され得る。
【非特許文献1】Baughmanら,Science 2002,297,787−792
【非特許文献2】Waltersら,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3803−3805
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)/ポリマー複合材(本明細書中で、「ナノ複合材」といわれる)に関する。ここで、このようなナノ複合材中のCNTは、ポリマーマトリクス中に高度に分散されており、上記ナノ複合材は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクス両方と相互作用する適合性界面活性剤(compatibilizing surfactant)を含む。本発明はまた、これらのナノ複合材を作製する方法に関する。いくつかのこのような方法において、上記適合性界面活性剤は、最初のCNTの分散およびその後のポリマーとの混合を提供する。本発明はまた、種々の用途においてこれらのナノ複合材を使用する方法に関する。
【0007】
十分に分散されたCNT/ポリマーナノ複合材を開発するためのいくつかの研究が、出願人によって行われてきており、本発明は、上記CNTを、ポリマーマトリクスと適合性にするための方法としての、相互作用する界面活性剤の使用を強調する。本発明の新規な局面は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方との強力で魅力的な相互作用を確立して、これらの材料を少量使用してポリマーナノ複合材を確立することができる化学基を有する界面活性剤の使用である。
【0008】
例示的実施形態において、単層カーボンナノチューブ(SWNT)を、双性イオン性界面活性剤の助けを借りて、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)中に分散させた。溶融レオロジーおよび導電性測定値は、0.1重量% SWNTを有するナノ複合材に関して、それぞれ、幾何的パーコレーションおよび電気的パーコレーションの流体力学的出現を示し、少なくとも500の有効異方性を意味する。フーリエ変換赤外(FTIR)分光光度計測定、および他の界面活性剤を使用する分散の比較は、優れた分散が、上記ポリマーと上記界面活性剤との間、および上記界面活性剤と上記ナノチューブとの間の有利な相互作用の結果であることを確立した。十分に分散したSWNTの存在は、PCLの結晶化に対して強い核化効果を生じ、0.1重量%を超えると、核化効果における飽和を生じる。
【0009】
前述は、以下に続く発明の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本発明の特徴をかなり広く概略的に述べた。本発明のさらなる特徴および利点は、本明細書中以降に記載され、本願発明の主題を構成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)/ポリマー複合材(本明細書中で「ナノ複合材」ともわれる)に関し、ここでこのようなナノ複合材中の上記CNTは、ポリマーマトリクス中に高度に分散されており、上記ナノ複合材は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方と相互作用する、適合性界面活性剤を含む。本発明はまた、これらのナノ複合材を作製する方法、そしてまた、これらのナノ複合材を種々の用途において使用する方法に関する。
【0011】
カーボンナノチューブ(CNT)は、本発明によれば、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、二層(double−wall)カーボンナノチューブ(DWNT)、バッキーチューブ、小径カーボンナノチューブ、フラーレンチューブ、管状フラーレン、グラファイト線維(graphite fibril)、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このようなカーボンナノチューブとしては、種々の範囲の長さ、直径、層数(number of tube wall)、キラリティー(ヘリシティー)などのものがあり、任意の公知の技術(アーク放電(Ebbesen,Annu.Rev.Mater.Sci.1994,24,235−264)、レーザーオーブン(Thessら,Science 1996,273,483−487)、燃焼合成(Vander Walら,Chem.Phys.Lett.2001,349,178−184)、化学蒸着(米国特許第5,374,415号)(ここで支持金属触媒(supported metal catalyst)(Hafnerら,Chem.Phys.Lett.1998,296,195−202)または非支持金属触媒(unsupported metal catalyst)(Chengら,Chem.Phys.Lett.1998,289,602−610;Nikolaevら,Chem.Phys.Lett.1999,313,91−97)がまた使用され得る)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)によって作製され得る。その実施形態に依存して、上記CNTは、1つ以上の処理工程に供され得る。いくつかの実施形態において、上記CNTは、既に精製されている。例示的な精製技術としては、Chiangらによる技術(Chiangら,J.Phys.Chem.B 2001,105,1157−1161;Chiangら,J.Phys.Chem.B 2001,105,8297−8301)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記CNTは、切断プロセスによって既に切断される。例えば、Liuら,Science 1998,280,1253−1256;およびGuら,Nano Lett.2002,2(9),1009−1013を参照のこと。用語「カーボンナノチューブ」および「ナノチューブ」とは、本明細書中で交換可能に使用される。
【0012】
液体溶媒中に分散されているCNTに言及するときに、用語「溶液」および「分散」とは、交換可能に使用される。別段示されなければ、出願人は、熱力学的な意味において、このような溶液が代表的には真の溶液ではないことに言及する。さらに、用語「分散」とはまた、本発明のポリマーナノ複合材において、CNTがポリマーマトリクス中に分散している程度に言及するために、本明細書中で使用される。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、一般に、ポリマーナノ複合材に関し、このポリマーナノ複合材は、(a)CNT;(b)上記CNTが分散されているポリマーマトリクス;および(c)適合性界面活性剤を含み、ここで上記界面活性剤は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方と相互作用する。上記界面活性剤と上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスとのこのような相互作用は、一般に、単なるファンデルワールス誘引力よりも強い相互作用を必然的に伴う。このような相互作用としては、イオン結合、共有結合、静電相互作用、水素結合などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
いくつかのこのような実施形態において、このようなCNTとしては、精製CNT、未精製CNT(未加工(raw)の、生成されたときのまま)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかのこのような実施形態において、上記CNTは、SWNT、MWNT、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される(上記を参照のこと)。概して、上記ポリマーナノ複合材中のこのようなCNTの量は、約0.0001重量%〜約90重量%の範囲に及ぶ。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記CNTのうちの少なくともいくらかは、側壁官能化(sidewall functionalization)、端部官能化(end functionalization)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において官能化されている(Chenら,Science,1998,282,95−98;Khabasheskuら,Acc.Chem.Res.,2002,35,1087−1095;およびBahrら,J.Mater.Chem.,2002,12,1952−1958)。これら後者の実施形態において、上記官能化CNTの量は、得られるナノ複合材の重量のうちの約0.0001重量%〜約90重量%の範囲に及び得る。
【0016】
上記の実施形態において、上記ポリマーは、界面活性剤と適切に相互作用し、次に、上記CNTと相互作用する任意のポリマーであり得る。いくつかのこのような実施形態において、上記ポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(polyethelether ketone)(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。概して、上記ポリマーは、約10重量%〜約99.9999重量%の範囲に及ぶ量において、上記ポリマーナノ複合材中に存在する。
【0017】
概して、上記界面活性剤は、上記のポリマーナノ複合材において、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方と適切に相互作用する任意の界面活性剤であり得る。上記実施形態のうちのいくらかにおいて、上記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。概して、上記界面活性剤は、約10−6重量%〜約15重量%の範囲に及ぶ量において、ポリマーナノ複合材中に存在する。いくつかのこのような実施形態において、上記界面活性剤は、上記ポリマーと、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、ルイス酸/ルイス塩基相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用により、相互作用する。いくつかのこのような実施形態において、上記界面活性剤は、上記CNTと、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用により、相互作用する。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、上記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記ポリマーナノ複合材は、0.0005〜40.0重量% CNTの範囲に及ぶ電気的パーコレーションを含む。いくつかの実施形態において、上記ナノ複合材は、0.0005〜40.0 重量% CNTの範囲に及ぶ幾何的パーコレーション(geometric percolation)を有するランダム配向ポリマー−カーボンナノチューブ材料である。いくつかの実施形態において、上記ナノ複合材は、強い核化傾向を有し、ポリマーの結晶化速度において2〜105倍の増加をもたらす。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、上記のポリマーナノ複合材を作製するための方法にも関し、この方法は、一般に、(a)CNTおよび適合性界面活性剤と、ポリマーとを混合する工程;ならびに(b)上記界面活性剤を、上記CNTおよび上記ポリマーと同時に相互作用させて、ポリマーナノ複合材を形成する工程を包含する。
【0020】
上記の方法のうちのいくらかにおいて、上記CNTは、精製CNT、未精製CNT、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかのこのような実施形態において、上記CNTは、側壁官能化、端部官能化、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において、官能化されている。いくつかのこのような実施形態において、このような官能化は、処理工程の間にのみ存在し、熱的手段および/または化学的手段を使用して除去され得る。
【0021】
上記の実施形態の内のいくらかにおいて、上記混合する工程は溶媒中で行われる。いくつかのこのような実施形態において、上記溶媒は、真空乾燥を介して混合した後に除去される。いくつかの実施形態において、上記得られるポリマーナノ複合材は、非溶媒中で沈澱させ、その後、乾燥させることによって単離される。いくつかの実施形態において、上記混合する工程は、ブレンド装置;単軸スクリュー押し出し成形機(single−screw extruder);二軸スクリュー押し出し成形機(twin screw extruder)、射出成形機、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される装置中で行われる。いくつかの実施形態において、上記混合する工程は、マスターバッチを調製し、その後、必要な組成物へ縮小(drawdown)するために使用される。いくつかの実施形態において、上記混合する工程は、約−100℃〜約400℃の間の温度で行われる。
【0022】
上記方法に関して、適切なポリマーとしては、界面活性剤と適切に相互作用し、次に、上記CNTと相互作用、かつ適切に処理可能である、任意のポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド(polyamidimide);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、上記ポリマーと相互作用し、上記ポリマーは、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用を伴う。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用により、上記CNTと相互作用する。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、上記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、このような上記ポリマーナノ複合材の使用に関する。これらのポリマーナノ複合材は、種々の用途において使用され得る。これらの用途としては、薬物送達、足場形成して、細胞性組織の増殖および修復を促進すること、繊維用途(fiber application)、バルク用途(bulk application)、耐摩耗性用途(ablation resistant application)、自動車用途、高温/高圧用途、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
ここで例示的研究に目を向けると、出願人は、イオン性相互作用、静電相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用またはルイス酸/ルイス塩基相互作用を介して、他の方法では、上記ホストポリマーマトリクスと不適合であるCNTを適合性にするために、上記ナノチューブおよび上記ポリマーの両方との引力相互作用(attractive interaction)を有する能力のある機能的界面活性剤の能力を利用する、高分散性(highly−dipersed)ナノチューブベースのポリマーナノ複合材(ポリマーナノ複合材)を調製する方法を開発した。出願人は、双性イオン性界面活性剤(12−アミノドデカン酸(ADA))を相溶化剤として使用して、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)との十分に分散したCNTナノ複合材の開発を実証した。PCLは、例示に過ぎず、ナイロン−6の低融点アナログであり、ポリマーの全ナイロンシリーズ、ポリエステルおよび高性能官能性ポリマー(例えば、PEEK、PSSなど)が代用物となる。PCLは、重要な産業用物質であり、さらに、生体適合性で生分解性の結晶性ポリマーである。PCLとCNTとの間の適合性は、そのモノマー、ε−カプロラクトンが、CNTを効率的に分散するという事実に基づいて認識されている。従って、上記双性イオン性界面活性剤と上記CNTとの間で、および上記界面活性剤と上記ポリマーとの間で、強い分子間相互作用を確立することは、有意に改善されかつ効率的な分散をもたらす。例示的組成物は、表1(図1)に記載される。CNTに酸性末端界面活性剤部分を介してつながれたε−カプロラクトン末端の以前のインサイチュ重合は、0.2〜0.35重量% CNTの間の幾何的パーコレーションを有する良好な分散を生じた。しかし、上記CNTの官能化によって、例外的な機械的特性および電気的特性(上記CNTの完全な構造から生じる)は、その得られるポリマーナノ複合材において損なわれていたかもしれなかった。
【0026】
トルエン中のPCL(Aldrich,重量分子量Mw=65Kおよび多分散性Mw/Mn=2)、CNT、およびADAの溶液/分散物中の、および上記ナノ複合材の乾燥形態および溶融焼き鈍しフィルムにおいて、個々にしたCNT(HiPco(精製),Carbon Nanotechnologies,Inc.)の分散および存在は、紫外−可視−近赤外(UV−vis−near IR)スペクトルにおいて、400〜1500nmの間で観察される、特徴的なファンホーベの特異点(van Hove singularities)によって確立される。これらのスペクトルから、出願人は、上記ナノチューブが、トルエン溶液およびポリマーナノ複合材の両方の中に個々のチューブまたは小さなバンドルとして十分に分散されていると結論づける。出願人はまた、このようなハイブリッド材料のフロー特性を理解しかつ上記ナノチューブのメソスケール分散をよりよく定量するために、上記ナノ複合材の溶融状態レオロジーを試験した。ナノ粒子を添加すると、上記ポリマーの粘弾性において変化が生じる−幾何的にパーコレートされたフィルタネットワーク構造の存在は、小さい振れ幅の(直線状)振動剪断において、有限降伏応力の存在および複素粘性率の長時間発散を伴う、固体様挙動の流体力学的結果をもたらす。0.1重量% CNT程度の充填量を有する上記ナノ複合材は、貯蔵弾性率においてプラトーの存在(すなわち、周波数非依存性)の存在とともに低振動周波数において固体様特性を示し、上記複素粘性率の発散が示され、パーコレートされたナノ粒子ネットワーク構造の存在と一致する。楕円体のパーコレーションの計算から、出願人は、上記PCLナノ複合材における上記CNTの有効異方性が、約750であると結論づける(Zhangら,Nano Letters 2003,3,1285−1288)。
【0027】
上記PCL/ADD/CNTシリーズの分散性および形態を特徴づける他の方法は、走査型電子顕微鏡(SEM)および原子力顕微鏡(AFM)を使用することによる。上記ナノ複合材の形態を、タッピングモードにおいてAFMを使用してプローブし、上記球晶の寸法は、上記CNTの添加の際に減少したことが分かった−不均一な核化と一致する(Basiukら,J.Phys.Chem.B 2002,106,1588−1597;Kongら,J.Phys.Chem.B 2001,105,2890−2893;Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2003,125)。図2Aおよび2Bは、PCLについて得られたAFM画像(2A)およびPCL04Aについて得られたAFM画像(2B)を示す。全体的なスケールに関して、形態の変化は認められなかった。しかし、局所的なスケールに関しては、個々のCNTまたは上記CNTの小さなバンドルの存在と関連すると考えられる条線が、図2Bにおいて見ることができる。
【0028】
以下の実施例は、特に、このような実施例が、上記の例示的研究に基づいている、本発明の特定の実施形態を示すために含められる。以下に続く実施例中に開示される方法が、単に本発明の例示的実施形態を示しているに過ぎないことが、当業者によって認識されるはずである。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、多くの変更が、記載される特定の実施形態において行われ得、それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似する結果が得られることを認識するべきである。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
本実施例は、本発明のいくつかの実施形態に従って、どのようにして上記ポリマーナノ複合材が作製され得るかを例示するのに役立つ。
【0030】
この研究において使用されるCNTは、主に、HiPco(登録商標)プロセス(Nikolaevら,Chemical Physics Letters 1999,313,91−97)によって生成されかつ文献の方法(Chiangら,J.Phys.Chem.B 2001,105,8297−8301)に従って精製されたSWNTであった。上記ナノチューブを、穏やかな超音波処理で補助して、12−アミノドデカン酸(双性イオン性界面活性剤)を使用してトルエン中に分散させた。上記ポリマー(PCL)を、超音波処理後に、この懸濁液に添加した。出願人は、上記ナノチューブ分散物が、バンドルまたは凝集物を除去するための遠心分離をせずに、上記ポリマーの添加によって、有意に安定化されるようであることに言及する。ナノ複合材物品(例えば、フィルム)を形成するために、上記溶媒を、周囲条件下で完璧に乾燥させ、続いて、室温で真空乾燥することによって除去し、その後、少なくとも24時間にわたって溶融状態(100℃)において真空乾燥した。
【0031】
(実施例2)
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態に従って、どのようにして上記ポリマーナノ複合材が、特にCNT分散について、最終製品で、および処理過程の間の両方で評価することができるか、を例示するのに役立つ。
【0032】
(紫外−可視−近赤外分光光度計)
紫外−可視−近赤外分光光度測定を、波長範囲300〜2500nmに対して、Jasco V570分光光度計を用いて行った。溶液スペクトルを、1mm経路長の石英キュベットを用いて得、上記ナノ複合材フィルムを、140μm厚にプレスして溶解し、その対応するスペクトルを、支えなしで立っている(free−standing)フィルムに対して得た。走査型電子顕微鏡(SEM)に関して、バルクサンプルを、金でスパッタリングして、帯電(charging)を防止し、上記CNTベースのPCLナノ複合材の表面形態を、30kVの加速電圧(accelerating voltage)でPhilips走査型電子顕微鏡を用いてプローブした。
【0033】
(溶融レオロジー)
溶融レオロジーのためのサンプルを、25mmダイにおいて約1gのポリマーナノ複合材サンプルを真空成形し、最大1トンの荷重を用いて1時間、80℃でCarverプレス中でプレスすることによって調製した。溶融状態のレオロジー測定を、サンプル厚1〜2mmおよび65〜90℃の温度範囲で、25mm直径の平行プレートを用いて、0.2〜2000gfcmのトルク変換器範囲を有するTA Instruments ARESレオメーターで行った。以下の式
γ(t)=γ0sin(ωt) 式(1)
の振動性ひずみ(γ(t))を、適用した。ここでγ0は、ひずみ振幅(ここで報告した研究において常に0.15未満であり、代表的には、0.02未満)であり、ωは、周波数である。得られた時間依存性直線状剪断応力(σ(t))は、以下として解釈される
σ(t)=γ0(G’sin(ωt) + G” cos(ωt)) 式(2)
ここでG’およびG”は、それぞれ、貯蔵弾性率および損失弾性率である。この研究における全ての測定値は、線形的(すなわち、γ0がG’およびG”に無関係)であり、等式2(式(2))を用いて解釈されることが確認された。この研究において使用されるさらなるレオロジーパラメーターとしては、複素弾性率:
【0034】
【数1】
および複素粘性率(η*=G*/ω)が挙げられる。
【0035】
(導電性)
上記ナノ複合材の導電性特徴付けを、室温で2点プローブを利用してdc抵抗の測定値を使用して行った。上記dc導電性(σdC)を、以下から得た:
σdc=1/R*t 式(3)
ここでRは、dc抵抗であり、tは、サンプルの厚みである。サンプルは、代表的には、真空成形によって調製される場合、0.5〜1mm厚であった。
【0036】
(小角X線散乱)
小角X線散乱(SAXS)測定を、波長(λ)が1.371Å、サンプルにおけるビーム直径が約0.5mmの、Brookhaven National Laboratory Beamline X27CにおいてNational Synchrotron Light Source(NSLS)で行った。サンプルを、7mm直径および1.5mm厚のディスクとして調製し、カプトン(kapton)テープウィンドウを備える黄銅環状ホルダ中に配置し、デュアルチャンバーオーブン中で加熱した。記録中で報告された測定値は、80℃でポリマーの金属状態において行っている。収集されたデータを、標準法(Chattopudhyayら,J.Am.Chem.Soc.2002,124,728−729)を用いて、バックグラウンド散乱および空セル散乱に対して補正した。10°〜35°の2θ範囲に対するX線回折を、SAXS測定と同時に行った。ここで報告されるデータは、43℃での等温結晶化によって調製したサンプルに対するものである。
【0037】
(フーリエ変換赤外線分光法)
FTIRスペクトルを、ThermoNicolet 4700 FTIRで記録した。1サンプルあたり72回のスキャンを、4cm−1の解像度で集めた。FTIRのためのサンプルを、希釈溶液をNaClウィンドウに対して溶液成形(solution casting)し、そして測定する前にその溶媒を50℃で減圧下でエバポレートすることによって調製した。
【0038】
(示差走査熱分析)
バルク示差走査熱分析(DSC)測定を、周囲環境より下にする性能(sub−ambient capability)を備えるPerkin−Elmer Pyris 1 DSC器具で行った。サンプルを、加熱および冷却速度10℃/分において−110℃〜+90℃の温度で走査した。非等温結晶化および結晶化後の溶融を、調査した。開始溶融温度および最終溶融温度ならびに溶融潜熱を報告することにより、溶融転移を獲得した。
【0039】
(実施例3)
この実施例は、どのようにしてUV−可視−近赤外分光法が、本発明のいくつかの実施形態に従って、CNTの分散を特徴づけるために使用され得るかを詳細に例示するために役立つ。
【0040】
12−アミノドデカン酸(ADA)の助けを借りて、上記ポリマー(PCL)が添加された(純粋ポリマーに対して0.4重量% CNT)、トルエン中に分散したCNTの溶液からの上記UV−可視−近赤外吸収スペクトル、ならびに同じナノ複合材の乾燥フィルムからのスペクトルを、図3において示す。ここでトレースAは、液体分散物であり、トレースBは、得られるナノ複合材における分散物である。UV−可視−近赤外分光法は、溶媒中のCNT(Chenら,Science 1998,282,95−98)、界面活性剤補助CNT溶液(Waltersら,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3803−3805)、およびCNTベースのポリマー複合材(Zhangら,Nano Letters 2003,3,1285−1288)の分散特性のよい徴候を提供する。より小さなバンドルおよび個々に分散したナノチューブは、明白なファンホーベの特異点を示す一方で、CNTのより大きなバンドルおよびそれらの凝集物は、拡がったまたは鋭い特徴を示すか、あるいは、何も示さない。上記ファンホーベの特異点と関連する特徴的なピークは、図3に示される溶液のスペクトルにおいて明らかに見ることができる。類似のスペクトルが、他の濃度に対して観察されたが、ここでは示されていない。上記ナノ複合材フィルムに関して、上記ファンホーベの特異点の有意な拡がりは、何ら観察されていない。事実、そのピークは、いくぶんより鋭いようである。また、上記ナノ複合材についての吸収スペクトルにおけるピークは、上記トルエン溶液におけるピークと同じ位置にある。
【0041】
理論に束縛されることは意図しないが、出願人は、双性イオン性界面活性剤が、アミンヘッド基と上記ナノチューブとの間の有利な相互作用を介して、および物理吸着を介して、個々にまたは小さなバンドルとしてCNTを分散させる一助となることを示唆する。上記界面活性剤の鎖の種々の小さな部分が、水中ですらも上記CNTの可溶化に関与することが、小角中性子散乱を介して以前に示された(Yurekliら,J.Am.Chem.Soc,2004,126,9902−9903;Matarredonaら,J.Phys,Chem.B 2003,107,13357−13367;およびNikolaevら,Chem.Phys.Lett.1999,313,91−97)。さらに、PCLの添加の際に、上記分散は、上記界面活性剤と上記PCLとの間の、水素結合による有利な相互作用の発生によって維持され、上記ナノチューブと上記ポリマーとの間の適合化を生じる。これは、ε−カプロラクトンとCNTとの間の観察された適合性(Ausmanら,J.Phys.Chem.B 2000,104,8911−8915)と合わせると、PCL中での十分に分散したナノチューブ分散物を生じる。
【0042】
(実施例4)
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態に従って、CNT分散物と、どのような技術が(例えば、SEMおよびSAXS)が上記分散物を評価するために使用され得るかを図示するために役立つ。
【0043】
生成したままの(未精製)CNT、および特にSWNTは、代表的には、ファンデルワールス力およびπ−π(パイ−パイ)スタッキング力(stacking force)によって、ロープまたはロープのバンドルに一緒にされるので、個々のナノチューブとしてか、またはさらに小さなバンドルとして分散させるのは困難である(Thessら,Science 1996,273,483−487)。界面活性剤を、水溶液中に、個々のCNTを分散させるかまたはより小さなCNTのバンドルを分散させるのを首尾よく補助するために利用した(Waltersら,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3803−3805)。アミンベースの界面活性剤は、CNTと有利に相互作用することが示され(Basiukら,J.Phys.Chem.B 2002,106,1588−1597;Kongら,J.Phys.Chem.B 2001,105,2890−2893)、テトラヒドロフラン(THF)中でのCNTとオクチルデシルアミン(ODA)との安定な分散物が、観察された(Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2003,125;Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2002,124,728−729)。理論に束縛されることは意図されないが、ナノチューブのアミン界面活性剤補助による分散に関する2つの機構が、提唱された。1つは、双性イオンがSWNT末端上にまたは側壁欠損から認められるカルボキシル官能基と形成される(Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2002,124,728−729;Hamonら,Adv.Mater.1999,11,834−840;Kahnら,Nano Letters 2002,2,1215−1218)。これは、おそらく、CNT凝集を防ぐために十分な機構でないかもしれない。第2の分散機構は、ナノチューブの側壁に沿ったアミンカチオンベースの界面活性剤の物理吸着である。考えられるところでは、両方の機構が同時に起こり得る。両方の場合において、およびMatarredonaら(Matarredonaら,Journal of Physical Chemistry B 2003,107,13357−13367)による最近の研究(この研究において、彼らは、上記CNTを分散させるために必要とされる最小限の量の界面活性剤が、上記界面活性剤の臨界ミセル濃度(cmc)より十分低かった)に着目すると、少量の界面活性剤が、有効な分散を生じ得ると仮定することは筋がとおる。
【0044】
分散状態を、SEMによってさらに確証する(図4Aおよび4B)。SEM画像は、大規模な凝集物を全く示さず、上記ナノ複合材が高分散性であるという証拠をさらに提供する。
【0045】
図5Aおよび図5Bは、本明細書中に記載される例示的ナノ複合材のシリーズについてのポリマーの溶融状態(T=70℃)における小角X線散乱(SAXS)データを示す。図5Aにおけるデータは、その散乱強度のq依存性は特徴がなく、qが増加するにつれて、単調に減少することを実証する。上記散乱強度のq依存性、特に、低qでのq依存性は、図5Bにおいてよりよく観察される。図5Bでは、Iq2の積がqに対してプロットされている。このデータから、0.01〜0.02Å−1のq値に関して、上記SAXS強度は、q−2として比例することは明らかである。0.1重量%〜3重量%のqスケーリングの持続性および高濃度のナノチューブでのより強いq依存性に対するクロスオーバー(crossover)がないことは、個々にしたナノチューブの存在を実証するために、以前に実証されたUV−可視−近赤外データとともに、より大きなロープまたは凝集物から予測されるように、観察されたqスケーリングが、上記ナノチューブの凝集した構造に由来しないことを示唆するようである。さらに、任意のq値における強度、および同等に、低q値での積Iq2の平均値は、図6において示されるようなSWNT濃度とともにほぼ線形的に概算される。
【0046】
(実施例5)
この実施例は、どのようにして溶融状態レオロジーが本発明のポリマーナノ複合材におけるCNTの分散をプローブするために使用され得るかを例示するのに役立つ。
【0047】
以前に、溶融状態レオロジーは、高度に異方性の層状シリケートおよび官能化CNTを含むナノ粒子のメソスケールの分散の効果的なプローブであることが実証された(Mitchellら,Journal of Polymer Science Part B:Polymer Physics 2002,40,1434−1443;Liuら,Polymer 2003,44,7529−7532;Potschkeら,Polymer 2002,43,3247−3255)。この研究において、レオロジーデータを、精米範囲の温度(70〜90℃)にわたって収集した。上記ナノ複合材の静止状態の構造を変化させないように、線形的応力応答を得るため、そして上記微小構造に対して最小の変形を適用するために、最小のあり得る振動性ひずみ振幅のみを使用した。溶融レオロジーデータを、マスター曲線を得るために、時間−温度重ね合わせのボルツマンの原理を使用して重ね合わせた。水平シフト因子または周波数シフト因子(aT)を適用した。垂直シフトも弾性率シフトも必要ではなかった。上記ナノ複合材に対するシフト因子は、充填していないポリマーのものに類似であり、約19kJ/molの活性化エネルギーを伴って、アレニウス型温度依存性に従う。
【0048】
種々のレベルCNTが添加された上記純粋ポリマーおよび上記ナノ複合材に関する、粘弾性関数G’(貯蔵弾性率)、G”(損失弾性率)、および複素粘性率(η*)を、図7A〜7Cに示す。上記純粋ポリマーは、G’∝ω2、G”∝ω1、およびη*∝ω0を有する、低周波数でニュートン流体として振る舞う。他方で、上記ナノ複合材は、低周波数で、G’の値における増大、G’の周波数依存性における減少(すなわち、G’∝ωβ、ただしβ<2)、およびη*の値における増大、ならびにη*の増大した周波数依存性(すなわち、低周波数発散)(すなわち、η*∝ω−α、ただし0<α<1)を示す。図7Aおよび図7Cの挿入図において、βおよびαのべき指数はそれぞれ(最後の5つの周波数データ点のフィッティングによって得られる)、ナノチューブ濃度の関数としてプロットされる。αの値は、0から0.8まで単調に増大し、βの値は、ナノチューブ濃度が増大するにつれて、2から0.2へと単調に減少する。
【0049】
全体的に、上記ナノ複合材のレオロジー挙動は、軟らかいガラス状物質のものに類似しており、0.1重量% ナノチューブ程度の低い充填量のために、固体様物質の形成を示す。G’およびη*の両方の挙動、ならびにそれらの対応する周波数べき指数βおよびαにおける段階的変化は、それぞれ、0.1重量%で観察され、液体から固体への転移を示す。この転移は、幾何的にパーコレートされたネットワーク構造の形成と関連し、カーボンブラック充填エラストマーのマクロ複合材(Yurekliら,Journal of Polymer Science Part B:Polymer Physics 2001,39,256−275)、種々のマトリクス中の高度に異方性の層状シリケート(Krishnamoortiら,Curr.Opin.Colloid Interface Sci.2001,6,464−470;Renら,Macromolecules 2000,33,3739−3746)、多層カーボンナノチューブ複合材(Liuら,Polymer 2003,44,7529−7532;Potschkeら,Polymer 2002,43,3247−3255)、およびポリスチレン中の官能化CNT(Mitchellら,Macromolecules 2002,35,8825−8850)について実証された。この研究の例外的な結果は、上記ポリマーマトリクス中に充填剤を含めることの重なった流体力学的容積のこのメソスケールネットワークを確立するために必要な全てであるという知見である。
【0050】
パーコレートされたネットワーク構造の形成と関連するのは、有限降伏応力の発生である(Enikolopyanら,Advances in Polymer Science 1990,96,1−67)。有限降伏応力は、図8において示されるように、発散性η* 対 G*プロットとして明らかにされる。この発散性は、測定された有限降伏応力に対して、低剪断速度における一定の剪断測定値および以前に研究された層状シリケートナノ複合材におけるクリープ測定値と相関しており、この場合、0.1重量%程度のナノチューブ充填量における固体様挙動の発生を確認する。
【0051】
この幾何的パーコレーションの閾値は、ナノ粒子のまたはナノ粒子の凝集物の最大寸法(I)および有効異方性(l/d)に依存する。異方性球体に関して、排除体積相互作用なしの3つの寸法において、パーコレーション閾値は、30容積%であり(Isichenko,Rev.Mod.Phys 1992,64,961)、長球および楕円に関して、パーコレーション閾値は、かなり低く、有効アスペクト比(I/d)に依存する。楕円体のパーコレーションに関する計算(Isichenko,Rev.Mod.Phys 1992,64,961)に基づいて、主要物体のパーコレーションが約5×10−4容積%(=0.1重量% CNT)である系に関して、予測異方性、すなわち、I/dは、約1000以上である。
【0052】
G’およびη*は、上記CNTの濃度を増大させると、全ての周波数において確かに増大するが、この効果は、低換算振動数(reduced frequency)においてはるかに顕著である。図9は、種々の周波数に関するG’のSWNT濃度依存性を示す。低周波数での濃度とともにG’の急激な増加は、ナノチューブ濃度を増加させるにつれて、増大している降伏応力を示す。
【0053】
(実施例6)
この実施例は、dc導電性測定値がどのようにして上記ポリマーナノ複合材において幾何的パーコレーションを試験するために使用され得るかを例示するために役立つ。
【0054】
出願人は、上記溶融状態において示された幾何的パーコレーションが、上記ナノ複合材の固体状態電気特性に対して重大性を有するか否かを試験するために、CNT濃度の関数としてのdc導電性測定値によって、固体状態導電性を調査した。図10Aは、CNT濃度の関数としてのdc導電性のプロットを示す。上記純粋ポリマーおよび0.1重量%ハイブリッドの容積抵抗性は、限界値が10−9S/mmのdc導電性を与える場合に使用される4点プローブの限界値を超えていた。出願人はさらに、双性イオン性界面活性剤自体の添加がPCLの導電性を変化させないことに言及する。ここで最高濃度のナノ複合材におけるものと匹敵する充填量での上記界面活性剤の添加は、上記ポリマーを絶縁材料とする。上記0.1重量% ナノ複合材は、最低濃度のCNTである。このCNTにおいて、出願人は、10−9S/mmより大きい導電性を測定することができる。第1の近似値に対してナノチューブ濃度の関数としての測定された導電性は、以下のとおりである:
σ=C(P−Pc)t 式(4)
ここでσは、導電性であり、pは、ナノチューブの濃度であり、pcは電気的パーコレーション閾値でのナノチューブの濃度であり、tは、普遍的スケーリングべき指数であり、Cは、プレファクター定数である(Youngs,Journal of Physics D:Applied Physics 2002,35,3127−3137;Youngs,J.In.;University College:London,2001)。このデータは、式4および根底にあるパーコレーション理論にもフィットする。図10Bは、p−pcの関数としてのdc導電性のlog−logプロットである。ここでこの最適フィットは、パーコレーション閾値重量画分pc=0.087±0.006 およびスケーリングべき指数t=1.3±0.2を生じる。
【0055】
上記パーコレーション閾値に関するこのような低い値は、レオロジーによって得られる上記幾何的パーコレーションと一致して有望であり、そして上記電気的パーコレーションが、1〜2重量%の間であると報告されたCNTベースのポリカーボネート複合材において、CNTベースのポリ(3−オクチルチオフェン)複合材(11重量%)(Kymakisら,Synthetic Metals 2002,127,59−62)において、およびエポキシ中のCNT(0.74重量%)(Kimら,Journal of Applied Physics 2003,94,6724−6728)において見られるものより遙かに低い。個々のCNTの高い異方性を仮定すると、この研究における幾何的パーコレーションに類似して、非常に低いパーコレーション閾値が、認められ得ることが予測される。
【0056】
(実施例7)
この実施例は、ポリマーナノ複合材におけるCNTがどのようにして上記ポリマーマトリクスのガラス転移および結晶構造に影響を及ぼし得るかを例示するために役立つ。
【0057】
このような有利な分散物があると、上記ナノ粒子の添加がポリマー特性(例えば、結晶構造およびガラス転移)に対して有する効果に対処することは重要である。出願人は、図11Aにおいて、CNT濃度の関数としてナノ複合材におけるPCLの上記ガラス転移温度(Tg)を示す。上記ポリマーの上記ガラス転移温度は、2つの理由から、CNTの低容積画分においても、分散されたCNTの高表面積に起因して、CNTを増大するにつれて変化すると予測され得る。支えなしで立っている閉じこめられたポリマーフィルムに対する以前の研究は、上記ガラス転移温度が、有意に変化し得ることを実証した。分散(すなわち、上記パーコレーション閾値)に基づいて、かつ上記ナノ複合材におけるCNTの平均長を1μmと仮定すると、0.1重量%において、上記ナノチューブは、平均して、1μm離れており、3重量%では、50nm離れていることが認識される。図11Aにおいて示されるデータは、Tgの位置および熱量的に測定された転移の幅において有意な変化はないことを実証する。1つの可能性は、上記ナノチューブによって有意に影響を及ぼされ得る、上記ナノチューブ表面付近の上記ポリマーセグメントのTgが小さく、そして/または高度に拡がったまたは不鮮明になった(smeared)ガラス転移を有することである。
【0058】
図11Bは、溶融状態からの緩慢なクエンチの後の、室温における上記純粋ポリマーおよび上記ハイブリッドのXRDデータを示し、上記ポリマーおよび上記ナノ複合材の結晶構造を解明する。結晶ピーク位置における変化はなく、半値全幅(fwhm)を拡げることも狭めることも何らない。さらに、出願人は、DSCおよびインサイチュSAXSの両方、ならびに広角X線散乱(WAXS)測定を用いて、上記ナノ複合材における上記PCLの最終溶融温度において体系的な変化は何ら認めなかった。
【0059】
上記の実施例1〜7において記載される研究は、PCLにおけるADAによって補助されたCNTの有利な分散のための機構を例示する。理論によって束縛されることは意図しないが、上記機構の核心(特に、CNT/ADA/PCLナノ複合材系に関する場合)は、上記CNTのいくらかが、上記CNTの表面へ上記アミンヘッド基を物理吸着させることによって有利に分散され、かつ上記CNTのさらなる剥離が、上記PCLと上記双性イオン性界面活性剤との間の水素結合によって形成される有利な分子間相互作用の導入によって達成されたことである。この機構は、PCLのカルボニル基が、2つのヒドロキシル基を含む種々の化合物(例えば、チオジフェノール)およびいくつかの低分子量アミノ化合物と強い分子間水素結合を発生させることが公知であるという事実によって裏付けられる(Watanabeら,Polymer International 2001,50,463−468)。上記カルボニルバンドの拡がりは、低波数側で赤外スペクトルにおいて見られる場合に認められ、水素結合に帰する。
【0060】
本明細書中で言及される全ての特許および刊行物は、本明細書に参考として援用される。特定の上記の構造、機能、および上記実施形態の作用が、本発明の実施するために必須ではなく、例示的実施形態を満たすために単に詳細な説明中に含まれていることが理解される。さらに、特定の構造、機能ならびに上記に言及される特許および刊行物に記載される作用が、本発明とともに実施され得るが、それらは、その実施に必須ではないことが理解される。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨および範囲から実際に逸脱することなく、具体的に記載されるもの以外の他の方法で実施され得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明およびその利点のより完全な理解のために、添付の図面とともに、以下の説明に対して言及がなされる。
【図1】図1(表1)は、本発明のいくつかの実施形態に従う例示的なナノ複合材組成物を列挙する。
【図2】図2Aおよび図2Bは、PCL(2A)およびPCL04A(2B)に関するタッピングモードにおけるAFM画像である。
【図3】図3は、トルエン中でADDと一緒に分散させた0.4重量% CNTを含むPCLナノ複合材および対応する薄膜ナノ複合材についての吸収スペクトルを示す。ここでチューブの個別のまたは小さなバンドルの分散および存在は、400〜1500nmの間で観察された特有のファンホーベの特異点によって確立される。
【図4】図4Aおよび図4Bは、PCL02(4A)およびPCL08(4B)のSEM顕微鏡写真であり、ここでその表面は、比較的均一であり、CNTの大きなバンドルも凝集も見られない。
【図5】図5Aおよび図5Bは、一連のPCLナノ複合材の溶融状態における小角X線散乱(SAXS)データを示す。ここでqに対してプロットされた散乱強度の依存性(5A)は、特色がなくかつqが増加するにつれて単調に減少し、そしてq依存性は、Iq2×q2の積のKratky−Porodプロット(5B)において遙かに良好に観察される。
【図6】図6は、図5において示されるデータのKratky−Porod分析から得られるIのq=0値を示す。
【図7】図7A〜7Cは、純粋ポリマーおよびナノ複合材に関する貯蔵弾性率G’(7A)、損失弾性率G”(7B)および複素粘性率η*(7C)の周波数依存性の基本曲線(mastercurve)であり、ここで0.1重量% CNT程度の充填量を有する上記ナノ複合材は、低周波数で固体様特徴(貯蔵弾性率G’においてプラトーまたは周波数依存性の存在を伴う)を示す。ここで上記損失弾性率はまた、減少する周波数依存性を示し、7Aおよび7Cの挿入図は、ちょうど0.1重量%でのG’およびη*の低周波数べき指数(それぞれ、βおよびα)において段階的変化を示す。このことは、液体様の挙動から固体様の挙動へと移行することを示す。
【図8】図8は、複素弾性率に対してクロスプロット(cross−plot)した粘性を示し、ナノ複合材全てについて有限(finite)G*値において発散性(diverging)η*を実証する。このことは、降伏応力を有する材料を示し、ここでこれは、PCL中0.1重量%程度のCNTの濃度で、上記ナノチューブのパーコレートしたネットワーク構造の発生に関するさらなる証拠を提供する。
【図9】図9は、重量% CNTの関数として種々の周波数での貯蔵弾性率G’を示し、G’は、ナノチューブの濃度が増大するにつれて、全ての周波数で増大する一方で、その効果は、低周波数でかなりの程度まで実証され、上記CNTの濃度が増大するにつれてナノ複合材の降伏応力が増大することに起因する;
【図10】図10Aおよび10Bは、dc導電性 対 重量% CNTを示す(10A);そしてパーコレーション閾値(pc)は、σdc 対 (p−pc)のプロット対するベストフィットにより容易に得られる(10B)。ここでこのベストフィットは、0.0087±0.0006重量%の電気的パーコレーション閾値を生じ、三次元系と関連したべき指数の値と一致して、1.3±0.2の指数である。
【図11】図11Aおよび図11Bは、10℃/分の加熱速度でのDSCスキャンが、純粋ポリマーおよびナノ複合材のガラス転移温度(Tg)を決定するために行われた場合、重量% CNTに対してプロットされた結果(11A)は、そのガラス転移温度において何ら変化がないことを示し、43℃で等温で結晶化したサンプルに関するWAXSデータ(11B)は、上記ナノチューブの添加の際に結晶構造において何ら変化がないことを示す。
【技術分野】
【0001】
(連邦政府により支援を受けた研究)
本発明は、National Aeronautics and Space Administrationからの支援(助成金番号NAG9−1305)を受けて、一部行われた。
【0002】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮特許出願番号第60/598,090号(2004年8月2日出願)の優先権を主張する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、一般に、高分散性(highly−dispersed)カーボンナノチューブベースのポリマーナノ複合材に関する。本発明は、より具体的には、ナイロン、ポリエステルおよび他の高性能ポリマーの超高強度(super−strength)超軽量ファイバーおよびバルクナノ複合材を開発するための独特の物理化学的方法、そしてまた、高められた機械的特性を有する生分解性ポリマーに基づいて、新しいクラスの生分解性で生体適合性のポリマー複合材の開発に関する。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
カーボンナノチューブ(CNT)ベースのポリマーナノ複合材、特に単層カーボンナノチューブ(SWNT)ベースのポリマーナノ複合材の開発は、CNTの特別な特性と、ポリマーの軽量特性とを組み合わせて、独特の目的に合わせて作ることができる材料を開発できる可能性があるので魅力的である。CNTは、37GPaの引っ張り強さを有し、ヤング率が640GPa(非特許文献1)、および高い破断時ひずみ(high strains−at−break)(約5〜6%)と推測される。さらに、ひずみから解放されると、曲がったCNTは、一般に、直接的破壊なくして、それらの本来の形態を回復する(非特許文献2)。
【0005】
上記の特別な機械的特性および個々のチューブと関連する大きなアスペクト比(代表的には、約103〜104)に基づくと、CNTは、ナノ強化ポリマー複合材材料の開発の優れた候補である。しかし、均一な分散の保証、上記CNTと上記ポリマーとの間の界面適合性(interfacial compatibility)、およびCNTの凝集物(すなわち、バンドル)の剥離は、CNTを首尾よく一体化して、ナノ複合材にするために必要とされる。従って、CNTを、溶液中および種々のモデルポリマー系に分散させるという詳細な試験が、極めて軽量の多機能性材料を目的に合わせて作ることを可能にすることにおいて役立っており、股関節部置換から宇宙旅行までの範囲に及ぶ用途における用途が見出され得る。
【非特許文献1】Baughmanら,Science 2002,297,787−792
【非特許文献2】Waltersら,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3803−3805
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)/ポリマー複合材(本明細書中で、「ナノ複合材」といわれる)に関する。ここで、このようなナノ複合材中のCNTは、ポリマーマトリクス中に高度に分散されており、上記ナノ複合材は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクス両方と相互作用する適合性界面活性剤(compatibilizing surfactant)を含む。本発明はまた、これらのナノ複合材を作製する方法に関する。いくつかのこのような方法において、上記適合性界面活性剤は、最初のCNTの分散およびその後のポリマーとの混合を提供する。本発明はまた、種々の用途においてこれらのナノ複合材を使用する方法に関する。
【0007】
十分に分散されたCNT/ポリマーナノ複合材を開発するためのいくつかの研究が、出願人によって行われてきており、本発明は、上記CNTを、ポリマーマトリクスと適合性にするための方法としての、相互作用する界面活性剤の使用を強調する。本発明の新規な局面は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方との強力で魅力的な相互作用を確立して、これらの材料を少量使用してポリマーナノ複合材を確立することができる化学基を有する界面活性剤の使用である。
【0008】
例示的実施形態において、単層カーボンナノチューブ(SWNT)を、双性イオン性界面活性剤の助けを借りて、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)中に分散させた。溶融レオロジーおよび導電性測定値は、0.1重量% SWNTを有するナノ複合材に関して、それぞれ、幾何的パーコレーションおよび電気的パーコレーションの流体力学的出現を示し、少なくとも500の有効異方性を意味する。フーリエ変換赤外(FTIR)分光光度計測定、および他の界面活性剤を使用する分散の比較は、優れた分散が、上記ポリマーと上記界面活性剤との間、および上記界面活性剤と上記ナノチューブとの間の有利な相互作用の結果であることを確立した。十分に分散したSWNTの存在は、PCLの結晶化に対して強い核化効果を生じ、0.1重量%を超えると、核化効果における飽和を生じる。
【0009】
前述は、以下に続く発明の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本発明の特徴をかなり広く概略的に述べた。本発明のさらなる特徴および利点は、本明細書中以降に記載され、本願発明の主題を構成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、カーボンナノチューブ(CNT)/ポリマー複合材(本明細書中で「ナノ複合材」ともわれる)に関し、ここでこのようなナノ複合材中の上記CNTは、ポリマーマトリクス中に高度に分散されており、上記ナノ複合材は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方と相互作用する、適合性界面活性剤を含む。本発明はまた、これらのナノ複合材を作製する方法、そしてまた、これらのナノ複合材を種々の用途において使用する方法に関する。
【0011】
カーボンナノチューブ(CNT)は、本発明によれば、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、二層(double−wall)カーボンナノチューブ(DWNT)、バッキーチューブ、小径カーボンナノチューブ、フラーレンチューブ、管状フラーレン、グラファイト線維(graphite fibril)、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このようなカーボンナノチューブとしては、種々の範囲の長さ、直径、層数(number of tube wall)、キラリティー(ヘリシティー)などのものがあり、任意の公知の技術(アーク放電(Ebbesen,Annu.Rev.Mater.Sci.1994,24,235−264)、レーザーオーブン(Thessら,Science 1996,273,483−487)、燃焼合成(Vander Walら,Chem.Phys.Lett.2001,349,178−184)、化学蒸着(米国特許第5,374,415号)(ここで支持金属触媒(supported metal catalyst)(Hafnerら,Chem.Phys.Lett.1998,296,195−202)または非支持金属触媒(unsupported metal catalyst)(Chengら,Chem.Phys.Lett.1998,289,602−610;Nikolaevら,Chem.Phys.Lett.1999,313,91−97)がまた使用され得る)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)によって作製され得る。その実施形態に依存して、上記CNTは、1つ以上の処理工程に供され得る。いくつかの実施形態において、上記CNTは、既に精製されている。例示的な精製技術としては、Chiangらによる技術(Chiangら,J.Phys.Chem.B 2001,105,1157−1161;Chiangら,J.Phys.Chem.B 2001,105,8297−8301)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記CNTは、切断プロセスによって既に切断される。例えば、Liuら,Science 1998,280,1253−1256;およびGuら,Nano Lett.2002,2(9),1009−1013を参照のこと。用語「カーボンナノチューブ」および「ナノチューブ」とは、本明細書中で交換可能に使用される。
【0012】
液体溶媒中に分散されているCNTに言及するときに、用語「溶液」および「分散」とは、交換可能に使用される。別段示されなければ、出願人は、熱力学的な意味において、このような溶液が代表的には真の溶液ではないことに言及する。さらに、用語「分散」とはまた、本発明のポリマーナノ複合材において、CNTがポリマーマトリクス中に分散している程度に言及するために、本明細書中で使用される。
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、一般に、ポリマーナノ複合材に関し、このポリマーナノ複合材は、(a)CNT;(b)上記CNTが分散されているポリマーマトリクス;および(c)適合性界面活性剤を含み、ここで上記界面活性剤は、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方と相互作用する。上記界面活性剤と上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスとのこのような相互作用は、一般に、単なるファンデルワールス誘引力よりも強い相互作用を必然的に伴う。このような相互作用としては、イオン結合、共有結合、静電相互作用、水素結合などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
いくつかのこのような実施形態において、このようなCNTとしては、精製CNT、未精製CNT(未加工(raw)の、生成されたときのまま)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかのこのような実施形態において、上記CNTは、SWNT、MWNT、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される(上記を参照のこと)。概して、上記ポリマーナノ複合材中のこのようなCNTの量は、約0.0001重量%〜約90重量%の範囲に及ぶ。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記CNTのうちの少なくともいくらかは、側壁官能化(sidewall functionalization)、端部官能化(end functionalization)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において官能化されている(Chenら,Science,1998,282,95−98;Khabasheskuら,Acc.Chem.Res.,2002,35,1087−1095;およびBahrら,J.Mater.Chem.,2002,12,1952−1958)。これら後者の実施形態において、上記官能化CNTの量は、得られるナノ複合材の重量のうちの約0.0001重量%〜約90重量%の範囲に及び得る。
【0016】
上記の実施形態において、上記ポリマーは、界面活性剤と適切に相互作用し、次に、上記CNTと相互作用する任意のポリマーであり得る。いくつかのこのような実施形態において、上記ポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(polyethelether ketone)(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。概して、上記ポリマーは、約10重量%〜約99.9999重量%の範囲に及ぶ量において、上記ポリマーナノ複合材中に存在する。
【0017】
概して、上記界面活性剤は、上記のポリマーナノ複合材において、上記CNTおよび上記ポリマーマトリクスの両方と適切に相互作用する任意の界面活性剤であり得る。上記実施形態のうちのいくらかにおいて、上記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。概して、上記界面活性剤は、約10−6重量%〜約15重量%の範囲に及ぶ量において、ポリマーナノ複合材中に存在する。いくつかのこのような実施形態において、上記界面活性剤は、上記ポリマーと、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、ルイス酸/ルイス塩基相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用により、相互作用する。いくつかのこのような実施形態において、上記界面活性剤は、上記CNTと、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用により、相互作用する。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、上記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記ポリマーナノ複合材は、0.0005〜40.0重量% CNTの範囲に及ぶ電気的パーコレーションを含む。いくつかの実施形態において、上記ナノ複合材は、0.0005〜40.0 重量% CNTの範囲に及ぶ幾何的パーコレーション(geometric percolation)を有するランダム配向ポリマー−カーボンナノチューブ材料である。いくつかの実施形態において、上記ナノ複合材は、強い核化傾向を有し、ポリマーの結晶化速度において2〜105倍の増加をもたらす。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明は、上記のポリマーナノ複合材を作製するための方法にも関し、この方法は、一般に、(a)CNTおよび適合性界面活性剤と、ポリマーとを混合する工程;ならびに(b)上記界面活性剤を、上記CNTおよび上記ポリマーと同時に相互作用させて、ポリマーナノ複合材を形成する工程を包含する。
【0020】
上記の方法のうちのいくらかにおいて、上記CNTは、精製CNT、未精製CNT、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかのこのような実施形態において、上記CNTは、側壁官能化、端部官能化、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において、官能化されている。いくつかのこのような実施形態において、このような官能化は、処理工程の間にのみ存在し、熱的手段および/または化学的手段を使用して除去され得る。
【0021】
上記の実施形態の内のいくらかにおいて、上記混合する工程は溶媒中で行われる。いくつかのこのような実施形態において、上記溶媒は、真空乾燥を介して混合した後に除去される。いくつかの実施形態において、上記得られるポリマーナノ複合材は、非溶媒中で沈澱させ、その後、乾燥させることによって単離される。いくつかの実施形態において、上記混合する工程は、ブレンド装置;単軸スクリュー押し出し成形機(single−screw extruder);二軸スクリュー押し出し成形機(twin screw extruder)、射出成形機、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される装置中で行われる。いくつかの実施形態において、上記混合する工程は、マスターバッチを調製し、その後、必要な組成物へ縮小(drawdown)するために使用される。いくつかの実施形態において、上記混合する工程は、約−100℃〜約400℃の間の温度で行われる。
【0022】
上記方法に関して、適切なポリマーとしては、界面活性剤と適切に相互作用し、次に、上記CNTと相互作用、かつ適切に処理可能である、任意のポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド(polyamidimide);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、上記ポリマーと相互作用し、上記ポリマーは、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用を伴う。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用により、上記CNTと相互作用する。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤は、上記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する。
【0024】
いくつかの実施形態において、本発明は、このような上記ポリマーナノ複合材の使用に関する。これらのポリマーナノ複合材は、種々の用途において使用され得る。これらの用途としては、薬物送達、足場形成して、細胞性組織の増殖および修復を促進すること、繊維用途(fiber application)、バルク用途(bulk application)、耐摩耗性用途(ablation resistant application)、自動車用途、高温/高圧用途、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
ここで例示的研究に目を向けると、出願人は、イオン性相互作用、静電相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用またはルイス酸/ルイス塩基相互作用を介して、他の方法では、上記ホストポリマーマトリクスと不適合であるCNTを適合性にするために、上記ナノチューブおよび上記ポリマーの両方との引力相互作用(attractive interaction)を有する能力のある機能的界面活性剤の能力を利用する、高分散性(highly−dipersed)ナノチューブベースのポリマーナノ複合材(ポリマーナノ複合材)を調製する方法を開発した。出願人は、双性イオン性界面活性剤(12−アミノドデカン酸(ADA))を相溶化剤として使用して、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)との十分に分散したCNTナノ複合材の開発を実証した。PCLは、例示に過ぎず、ナイロン−6の低融点アナログであり、ポリマーの全ナイロンシリーズ、ポリエステルおよび高性能官能性ポリマー(例えば、PEEK、PSSなど)が代用物となる。PCLは、重要な産業用物質であり、さらに、生体適合性で生分解性の結晶性ポリマーである。PCLとCNTとの間の適合性は、そのモノマー、ε−カプロラクトンが、CNTを効率的に分散するという事実に基づいて認識されている。従って、上記双性イオン性界面活性剤と上記CNTとの間で、および上記界面活性剤と上記ポリマーとの間で、強い分子間相互作用を確立することは、有意に改善されかつ効率的な分散をもたらす。例示的組成物は、表1(図1)に記載される。CNTに酸性末端界面活性剤部分を介してつながれたε−カプロラクトン末端の以前のインサイチュ重合は、0.2〜0.35重量% CNTの間の幾何的パーコレーションを有する良好な分散を生じた。しかし、上記CNTの官能化によって、例外的な機械的特性および電気的特性(上記CNTの完全な構造から生じる)は、その得られるポリマーナノ複合材において損なわれていたかもしれなかった。
【0026】
トルエン中のPCL(Aldrich,重量分子量Mw=65Kおよび多分散性Mw/Mn=2)、CNT、およびADAの溶液/分散物中の、および上記ナノ複合材の乾燥形態および溶融焼き鈍しフィルムにおいて、個々にしたCNT(HiPco(精製),Carbon Nanotechnologies,Inc.)の分散および存在は、紫外−可視−近赤外(UV−vis−near IR)スペクトルにおいて、400〜1500nmの間で観察される、特徴的なファンホーベの特異点(van Hove singularities)によって確立される。これらのスペクトルから、出願人は、上記ナノチューブが、トルエン溶液およびポリマーナノ複合材の両方の中に個々のチューブまたは小さなバンドルとして十分に分散されていると結論づける。出願人はまた、このようなハイブリッド材料のフロー特性を理解しかつ上記ナノチューブのメソスケール分散をよりよく定量するために、上記ナノ複合材の溶融状態レオロジーを試験した。ナノ粒子を添加すると、上記ポリマーの粘弾性において変化が生じる−幾何的にパーコレートされたフィルタネットワーク構造の存在は、小さい振れ幅の(直線状)振動剪断において、有限降伏応力の存在および複素粘性率の長時間発散を伴う、固体様挙動の流体力学的結果をもたらす。0.1重量% CNT程度の充填量を有する上記ナノ複合材は、貯蔵弾性率においてプラトーの存在(すなわち、周波数非依存性)の存在とともに低振動周波数において固体様特性を示し、上記複素粘性率の発散が示され、パーコレートされたナノ粒子ネットワーク構造の存在と一致する。楕円体のパーコレーションの計算から、出願人は、上記PCLナノ複合材における上記CNTの有効異方性が、約750であると結論づける(Zhangら,Nano Letters 2003,3,1285−1288)。
【0027】
上記PCL/ADD/CNTシリーズの分散性および形態を特徴づける他の方法は、走査型電子顕微鏡(SEM)および原子力顕微鏡(AFM)を使用することによる。上記ナノ複合材の形態を、タッピングモードにおいてAFMを使用してプローブし、上記球晶の寸法は、上記CNTの添加の際に減少したことが分かった−不均一な核化と一致する(Basiukら,J.Phys.Chem.B 2002,106,1588−1597;Kongら,J.Phys.Chem.B 2001,105,2890−2893;Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2003,125)。図2Aおよび2Bは、PCLについて得られたAFM画像(2A)およびPCL04Aについて得られたAFM画像(2B)を示す。全体的なスケールに関して、形態の変化は認められなかった。しかし、局所的なスケールに関しては、個々のCNTまたは上記CNTの小さなバンドルの存在と関連すると考えられる条線が、図2Bにおいて見ることができる。
【0028】
以下の実施例は、特に、このような実施例が、上記の例示的研究に基づいている、本発明の特定の実施形態を示すために含められる。以下に続く実施例中に開示される方法が、単に本発明の例示的実施形態を示しているに過ぎないことが、当業者によって認識されるはずである。しかし、当業者は、本開示に鑑みて、多くの変更が、記載される特定の実施形態において行われ得、それでもなお、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、同様のまたは類似する結果が得られることを認識するべきである。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
本実施例は、本発明のいくつかの実施形態に従って、どのようにして上記ポリマーナノ複合材が作製され得るかを例示するのに役立つ。
【0030】
この研究において使用されるCNTは、主に、HiPco(登録商標)プロセス(Nikolaevら,Chemical Physics Letters 1999,313,91−97)によって生成されかつ文献の方法(Chiangら,J.Phys.Chem.B 2001,105,8297−8301)に従って精製されたSWNTであった。上記ナノチューブを、穏やかな超音波処理で補助して、12−アミノドデカン酸(双性イオン性界面活性剤)を使用してトルエン中に分散させた。上記ポリマー(PCL)を、超音波処理後に、この懸濁液に添加した。出願人は、上記ナノチューブ分散物が、バンドルまたは凝集物を除去するための遠心分離をせずに、上記ポリマーの添加によって、有意に安定化されるようであることに言及する。ナノ複合材物品(例えば、フィルム)を形成するために、上記溶媒を、周囲条件下で完璧に乾燥させ、続いて、室温で真空乾燥することによって除去し、その後、少なくとも24時間にわたって溶融状態(100℃)において真空乾燥した。
【0031】
(実施例2)
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態に従って、どのようにして上記ポリマーナノ複合材が、特にCNT分散について、最終製品で、および処理過程の間の両方で評価することができるか、を例示するのに役立つ。
【0032】
(紫外−可視−近赤外分光光度計)
紫外−可視−近赤外分光光度測定を、波長範囲300〜2500nmに対して、Jasco V570分光光度計を用いて行った。溶液スペクトルを、1mm経路長の石英キュベットを用いて得、上記ナノ複合材フィルムを、140μm厚にプレスして溶解し、その対応するスペクトルを、支えなしで立っている(free−standing)フィルムに対して得た。走査型電子顕微鏡(SEM)に関して、バルクサンプルを、金でスパッタリングして、帯電(charging)を防止し、上記CNTベースのPCLナノ複合材の表面形態を、30kVの加速電圧(accelerating voltage)でPhilips走査型電子顕微鏡を用いてプローブした。
【0033】
(溶融レオロジー)
溶融レオロジーのためのサンプルを、25mmダイにおいて約1gのポリマーナノ複合材サンプルを真空成形し、最大1トンの荷重を用いて1時間、80℃でCarverプレス中でプレスすることによって調製した。溶融状態のレオロジー測定を、サンプル厚1〜2mmおよび65〜90℃の温度範囲で、25mm直径の平行プレートを用いて、0.2〜2000gfcmのトルク変換器範囲を有するTA Instruments ARESレオメーターで行った。以下の式
γ(t)=γ0sin(ωt) 式(1)
の振動性ひずみ(γ(t))を、適用した。ここでγ0は、ひずみ振幅(ここで報告した研究において常に0.15未満であり、代表的には、0.02未満)であり、ωは、周波数である。得られた時間依存性直線状剪断応力(σ(t))は、以下として解釈される
σ(t)=γ0(G’sin(ωt) + G” cos(ωt)) 式(2)
ここでG’およびG”は、それぞれ、貯蔵弾性率および損失弾性率である。この研究における全ての測定値は、線形的(すなわち、γ0がG’およびG”に無関係)であり、等式2(式(2))を用いて解釈されることが確認された。この研究において使用されるさらなるレオロジーパラメーターとしては、複素弾性率:
【0034】
【数1】
および複素粘性率(η*=G*/ω)が挙げられる。
【0035】
(導電性)
上記ナノ複合材の導電性特徴付けを、室温で2点プローブを利用してdc抵抗の測定値を使用して行った。上記dc導電性(σdC)を、以下から得た:
σdc=1/R*t 式(3)
ここでRは、dc抵抗であり、tは、サンプルの厚みである。サンプルは、代表的には、真空成形によって調製される場合、0.5〜1mm厚であった。
【0036】
(小角X線散乱)
小角X線散乱(SAXS)測定を、波長(λ)が1.371Å、サンプルにおけるビーム直径が約0.5mmの、Brookhaven National Laboratory Beamline X27CにおいてNational Synchrotron Light Source(NSLS)で行った。サンプルを、7mm直径および1.5mm厚のディスクとして調製し、カプトン(kapton)テープウィンドウを備える黄銅環状ホルダ中に配置し、デュアルチャンバーオーブン中で加熱した。記録中で報告された測定値は、80℃でポリマーの金属状態において行っている。収集されたデータを、標準法(Chattopudhyayら,J.Am.Chem.Soc.2002,124,728−729)を用いて、バックグラウンド散乱および空セル散乱に対して補正した。10°〜35°の2θ範囲に対するX線回折を、SAXS測定と同時に行った。ここで報告されるデータは、43℃での等温結晶化によって調製したサンプルに対するものである。
【0037】
(フーリエ変換赤外線分光法)
FTIRスペクトルを、ThermoNicolet 4700 FTIRで記録した。1サンプルあたり72回のスキャンを、4cm−1の解像度で集めた。FTIRのためのサンプルを、希釈溶液をNaClウィンドウに対して溶液成形(solution casting)し、そして測定する前にその溶媒を50℃で減圧下でエバポレートすることによって調製した。
【0038】
(示差走査熱分析)
バルク示差走査熱分析(DSC)測定を、周囲環境より下にする性能(sub−ambient capability)を備えるPerkin−Elmer Pyris 1 DSC器具で行った。サンプルを、加熱および冷却速度10℃/分において−110℃〜+90℃の温度で走査した。非等温結晶化および結晶化後の溶融を、調査した。開始溶融温度および最終溶融温度ならびに溶融潜熱を報告することにより、溶融転移を獲得した。
【0039】
(実施例3)
この実施例は、どのようにしてUV−可視−近赤外分光法が、本発明のいくつかの実施形態に従って、CNTの分散を特徴づけるために使用され得るかを詳細に例示するために役立つ。
【0040】
12−アミノドデカン酸(ADA)の助けを借りて、上記ポリマー(PCL)が添加された(純粋ポリマーに対して0.4重量% CNT)、トルエン中に分散したCNTの溶液からの上記UV−可視−近赤外吸収スペクトル、ならびに同じナノ複合材の乾燥フィルムからのスペクトルを、図3において示す。ここでトレースAは、液体分散物であり、トレースBは、得られるナノ複合材における分散物である。UV−可視−近赤外分光法は、溶媒中のCNT(Chenら,Science 1998,282,95−98)、界面活性剤補助CNT溶液(Waltersら,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3803−3805)、およびCNTベースのポリマー複合材(Zhangら,Nano Letters 2003,3,1285−1288)の分散特性のよい徴候を提供する。より小さなバンドルおよび個々に分散したナノチューブは、明白なファンホーベの特異点を示す一方で、CNTのより大きなバンドルおよびそれらの凝集物は、拡がったまたは鋭い特徴を示すか、あるいは、何も示さない。上記ファンホーベの特異点と関連する特徴的なピークは、図3に示される溶液のスペクトルにおいて明らかに見ることができる。類似のスペクトルが、他の濃度に対して観察されたが、ここでは示されていない。上記ナノ複合材フィルムに関して、上記ファンホーベの特異点の有意な拡がりは、何ら観察されていない。事実、そのピークは、いくぶんより鋭いようである。また、上記ナノ複合材についての吸収スペクトルにおけるピークは、上記トルエン溶液におけるピークと同じ位置にある。
【0041】
理論に束縛されることは意図しないが、出願人は、双性イオン性界面活性剤が、アミンヘッド基と上記ナノチューブとの間の有利な相互作用を介して、および物理吸着を介して、個々にまたは小さなバンドルとしてCNTを分散させる一助となることを示唆する。上記界面活性剤の鎖の種々の小さな部分が、水中ですらも上記CNTの可溶化に関与することが、小角中性子散乱を介して以前に示された(Yurekliら,J.Am.Chem.Soc,2004,126,9902−9903;Matarredonaら,J.Phys,Chem.B 2003,107,13357−13367;およびNikolaevら,Chem.Phys.Lett.1999,313,91−97)。さらに、PCLの添加の際に、上記分散は、上記界面活性剤と上記PCLとの間の、水素結合による有利な相互作用の発生によって維持され、上記ナノチューブと上記ポリマーとの間の適合化を生じる。これは、ε−カプロラクトンとCNTとの間の観察された適合性(Ausmanら,J.Phys.Chem.B 2000,104,8911−8915)と合わせると、PCL中での十分に分散したナノチューブ分散物を生じる。
【0042】
(実施例4)
この実施例は、本発明のいくつかの実施形態に従って、CNT分散物と、どのような技術が(例えば、SEMおよびSAXS)が上記分散物を評価するために使用され得るかを図示するために役立つ。
【0043】
生成したままの(未精製)CNT、および特にSWNTは、代表的には、ファンデルワールス力およびπ−π(パイ−パイ)スタッキング力(stacking force)によって、ロープまたはロープのバンドルに一緒にされるので、個々のナノチューブとしてか、またはさらに小さなバンドルとして分散させるのは困難である(Thessら,Science 1996,273,483−487)。界面活性剤を、水溶液中に、個々のCNTを分散させるかまたはより小さなCNTのバンドルを分散させるのを首尾よく補助するために利用した(Waltersら,Appl.Phys.Lett.,1999,74,3803−3805)。アミンベースの界面活性剤は、CNTと有利に相互作用することが示され(Basiukら,J.Phys.Chem.B 2002,106,1588−1597;Kongら,J.Phys.Chem.B 2001,105,2890−2893)、テトラヒドロフラン(THF)中でのCNTとオクチルデシルアミン(ODA)との安定な分散物が、観察された(Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2003,125;Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2002,124,728−729)。理論に束縛されることは意図されないが、ナノチューブのアミン界面活性剤補助による分散に関する2つの機構が、提唱された。1つは、双性イオンがSWNT末端上にまたは側壁欠損から認められるカルボキシル官能基と形成される(Chattopadhyayら,J.Am.Chem.Soc.2002,124,728−729;Hamonら,Adv.Mater.1999,11,834−840;Kahnら,Nano Letters 2002,2,1215−1218)。これは、おそらく、CNT凝集を防ぐために十分な機構でないかもしれない。第2の分散機構は、ナノチューブの側壁に沿ったアミンカチオンベースの界面活性剤の物理吸着である。考えられるところでは、両方の機構が同時に起こり得る。両方の場合において、およびMatarredonaら(Matarredonaら,Journal of Physical Chemistry B 2003,107,13357−13367)による最近の研究(この研究において、彼らは、上記CNTを分散させるために必要とされる最小限の量の界面活性剤が、上記界面活性剤の臨界ミセル濃度(cmc)より十分低かった)に着目すると、少量の界面活性剤が、有効な分散を生じ得ると仮定することは筋がとおる。
【0044】
分散状態を、SEMによってさらに確証する(図4Aおよび4B)。SEM画像は、大規模な凝集物を全く示さず、上記ナノ複合材が高分散性であるという証拠をさらに提供する。
【0045】
図5Aおよび図5Bは、本明細書中に記載される例示的ナノ複合材のシリーズについてのポリマーの溶融状態(T=70℃)における小角X線散乱(SAXS)データを示す。図5Aにおけるデータは、その散乱強度のq依存性は特徴がなく、qが増加するにつれて、単調に減少することを実証する。上記散乱強度のq依存性、特に、低qでのq依存性は、図5Bにおいてよりよく観察される。図5Bでは、Iq2の積がqに対してプロットされている。このデータから、0.01〜0.02Å−1のq値に関して、上記SAXS強度は、q−2として比例することは明らかである。0.1重量%〜3重量%のqスケーリングの持続性および高濃度のナノチューブでのより強いq依存性に対するクロスオーバー(crossover)がないことは、個々にしたナノチューブの存在を実証するために、以前に実証されたUV−可視−近赤外データとともに、より大きなロープまたは凝集物から予測されるように、観察されたqスケーリングが、上記ナノチューブの凝集した構造に由来しないことを示唆するようである。さらに、任意のq値における強度、および同等に、低q値での積Iq2の平均値は、図6において示されるようなSWNT濃度とともにほぼ線形的に概算される。
【0046】
(実施例5)
この実施例は、どのようにして溶融状態レオロジーが本発明のポリマーナノ複合材におけるCNTの分散をプローブするために使用され得るかを例示するのに役立つ。
【0047】
以前に、溶融状態レオロジーは、高度に異方性の層状シリケートおよび官能化CNTを含むナノ粒子のメソスケールの分散の効果的なプローブであることが実証された(Mitchellら,Journal of Polymer Science Part B:Polymer Physics 2002,40,1434−1443;Liuら,Polymer 2003,44,7529−7532;Potschkeら,Polymer 2002,43,3247−3255)。この研究において、レオロジーデータを、精米範囲の温度(70〜90℃)にわたって収集した。上記ナノ複合材の静止状態の構造を変化させないように、線形的応力応答を得るため、そして上記微小構造に対して最小の変形を適用するために、最小のあり得る振動性ひずみ振幅のみを使用した。溶融レオロジーデータを、マスター曲線を得るために、時間−温度重ね合わせのボルツマンの原理を使用して重ね合わせた。水平シフト因子または周波数シフト因子(aT)を適用した。垂直シフトも弾性率シフトも必要ではなかった。上記ナノ複合材に対するシフト因子は、充填していないポリマーのものに類似であり、約19kJ/molの活性化エネルギーを伴って、アレニウス型温度依存性に従う。
【0048】
種々のレベルCNTが添加された上記純粋ポリマーおよび上記ナノ複合材に関する、粘弾性関数G’(貯蔵弾性率)、G”(損失弾性率)、および複素粘性率(η*)を、図7A〜7Cに示す。上記純粋ポリマーは、G’∝ω2、G”∝ω1、およびη*∝ω0を有する、低周波数でニュートン流体として振る舞う。他方で、上記ナノ複合材は、低周波数で、G’の値における増大、G’の周波数依存性における減少(すなわち、G’∝ωβ、ただしβ<2)、およびη*の値における増大、ならびにη*の増大した周波数依存性(すなわち、低周波数発散)(すなわち、η*∝ω−α、ただし0<α<1)を示す。図7Aおよび図7Cの挿入図において、βおよびαのべき指数はそれぞれ(最後の5つの周波数データ点のフィッティングによって得られる)、ナノチューブ濃度の関数としてプロットされる。αの値は、0から0.8まで単調に増大し、βの値は、ナノチューブ濃度が増大するにつれて、2から0.2へと単調に減少する。
【0049】
全体的に、上記ナノ複合材のレオロジー挙動は、軟らかいガラス状物質のものに類似しており、0.1重量% ナノチューブ程度の低い充填量のために、固体様物質の形成を示す。G’およびη*の両方の挙動、ならびにそれらの対応する周波数べき指数βおよびαにおける段階的変化は、それぞれ、0.1重量%で観察され、液体から固体への転移を示す。この転移は、幾何的にパーコレートされたネットワーク構造の形成と関連し、カーボンブラック充填エラストマーのマクロ複合材(Yurekliら,Journal of Polymer Science Part B:Polymer Physics 2001,39,256−275)、種々のマトリクス中の高度に異方性の層状シリケート(Krishnamoortiら,Curr.Opin.Colloid Interface Sci.2001,6,464−470;Renら,Macromolecules 2000,33,3739−3746)、多層カーボンナノチューブ複合材(Liuら,Polymer 2003,44,7529−7532;Potschkeら,Polymer 2002,43,3247−3255)、およびポリスチレン中の官能化CNT(Mitchellら,Macromolecules 2002,35,8825−8850)について実証された。この研究の例外的な結果は、上記ポリマーマトリクス中に充填剤を含めることの重なった流体力学的容積のこのメソスケールネットワークを確立するために必要な全てであるという知見である。
【0050】
パーコレートされたネットワーク構造の形成と関連するのは、有限降伏応力の発生である(Enikolopyanら,Advances in Polymer Science 1990,96,1−67)。有限降伏応力は、図8において示されるように、発散性η* 対 G*プロットとして明らかにされる。この発散性は、測定された有限降伏応力に対して、低剪断速度における一定の剪断測定値および以前に研究された層状シリケートナノ複合材におけるクリープ測定値と相関しており、この場合、0.1重量%程度のナノチューブ充填量における固体様挙動の発生を確認する。
【0051】
この幾何的パーコレーションの閾値は、ナノ粒子のまたはナノ粒子の凝集物の最大寸法(I)および有効異方性(l/d)に依存する。異方性球体に関して、排除体積相互作用なしの3つの寸法において、パーコレーション閾値は、30容積%であり(Isichenko,Rev.Mod.Phys 1992,64,961)、長球および楕円に関して、パーコレーション閾値は、かなり低く、有効アスペクト比(I/d)に依存する。楕円体のパーコレーションに関する計算(Isichenko,Rev.Mod.Phys 1992,64,961)に基づいて、主要物体のパーコレーションが約5×10−4容積%(=0.1重量% CNT)である系に関して、予測異方性、すなわち、I/dは、約1000以上である。
【0052】
G’およびη*は、上記CNTの濃度を増大させると、全ての周波数において確かに増大するが、この効果は、低換算振動数(reduced frequency)においてはるかに顕著である。図9は、種々の周波数に関するG’のSWNT濃度依存性を示す。低周波数での濃度とともにG’の急激な増加は、ナノチューブ濃度を増加させるにつれて、増大している降伏応力を示す。
【0053】
(実施例6)
この実施例は、dc導電性測定値がどのようにして上記ポリマーナノ複合材において幾何的パーコレーションを試験するために使用され得るかを例示するために役立つ。
【0054】
出願人は、上記溶融状態において示された幾何的パーコレーションが、上記ナノ複合材の固体状態電気特性に対して重大性を有するか否かを試験するために、CNT濃度の関数としてのdc導電性測定値によって、固体状態導電性を調査した。図10Aは、CNT濃度の関数としてのdc導電性のプロットを示す。上記純粋ポリマーおよび0.1重量%ハイブリッドの容積抵抗性は、限界値が10−9S/mmのdc導電性を与える場合に使用される4点プローブの限界値を超えていた。出願人はさらに、双性イオン性界面活性剤自体の添加がPCLの導電性を変化させないことに言及する。ここで最高濃度のナノ複合材におけるものと匹敵する充填量での上記界面活性剤の添加は、上記ポリマーを絶縁材料とする。上記0.1重量% ナノ複合材は、最低濃度のCNTである。このCNTにおいて、出願人は、10−9S/mmより大きい導電性を測定することができる。第1の近似値に対してナノチューブ濃度の関数としての測定された導電性は、以下のとおりである:
σ=C(P−Pc)t 式(4)
ここでσは、導電性であり、pは、ナノチューブの濃度であり、pcは電気的パーコレーション閾値でのナノチューブの濃度であり、tは、普遍的スケーリングべき指数であり、Cは、プレファクター定数である(Youngs,Journal of Physics D:Applied Physics 2002,35,3127−3137;Youngs,J.In.;University College:London,2001)。このデータは、式4および根底にあるパーコレーション理論にもフィットする。図10Bは、p−pcの関数としてのdc導電性のlog−logプロットである。ここでこの最適フィットは、パーコレーション閾値重量画分pc=0.087±0.006 およびスケーリングべき指数t=1.3±0.2を生じる。
【0055】
上記パーコレーション閾値に関するこのような低い値は、レオロジーによって得られる上記幾何的パーコレーションと一致して有望であり、そして上記電気的パーコレーションが、1〜2重量%の間であると報告されたCNTベースのポリカーボネート複合材において、CNTベースのポリ(3−オクチルチオフェン)複合材(11重量%)(Kymakisら,Synthetic Metals 2002,127,59−62)において、およびエポキシ中のCNT(0.74重量%)(Kimら,Journal of Applied Physics 2003,94,6724−6728)において見られるものより遙かに低い。個々のCNTの高い異方性を仮定すると、この研究における幾何的パーコレーションに類似して、非常に低いパーコレーション閾値が、認められ得ることが予測される。
【0056】
(実施例7)
この実施例は、ポリマーナノ複合材におけるCNTがどのようにして上記ポリマーマトリクスのガラス転移および結晶構造に影響を及ぼし得るかを例示するために役立つ。
【0057】
このような有利な分散物があると、上記ナノ粒子の添加がポリマー特性(例えば、結晶構造およびガラス転移)に対して有する効果に対処することは重要である。出願人は、図11Aにおいて、CNT濃度の関数としてナノ複合材におけるPCLの上記ガラス転移温度(Tg)を示す。上記ポリマーの上記ガラス転移温度は、2つの理由から、CNTの低容積画分においても、分散されたCNTの高表面積に起因して、CNTを増大するにつれて変化すると予測され得る。支えなしで立っている閉じこめられたポリマーフィルムに対する以前の研究は、上記ガラス転移温度が、有意に変化し得ることを実証した。分散(すなわち、上記パーコレーション閾値)に基づいて、かつ上記ナノ複合材におけるCNTの平均長を1μmと仮定すると、0.1重量%において、上記ナノチューブは、平均して、1μm離れており、3重量%では、50nm離れていることが認識される。図11Aにおいて示されるデータは、Tgの位置および熱量的に測定された転移の幅において有意な変化はないことを実証する。1つの可能性は、上記ナノチューブによって有意に影響を及ぼされ得る、上記ナノチューブ表面付近の上記ポリマーセグメントのTgが小さく、そして/または高度に拡がったまたは不鮮明になった(smeared)ガラス転移を有することである。
【0058】
図11Bは、溶融状態からの緩慢なクエンチの後の、室温における上記純粋ポリマーおよび上記ハイブリッドのXRDデータを示し、上記ポリマーおよび上記ナノ複合材の結晶構造を解明する。結晶ピーク位置における変化はなく、半値全幅(fwhm)を拡げることも狭めることも何らない。さらに、出願人は、DSCおよびインサイチュSAXSの両方、ならびに広角X線散乱(WAXS)測定を用いて、上記ナノ複合材における上記PCLの最終溶融温度において体系的な変化は何ら認めなかった。
【0059】
上記の実施例1〜7において記載される研究は、PCLにおけるADAによって補助されたCNTの有利な分散のための機構を例示する。理論によって束縛されることは意図しないが、上記機構の核心(特に、CNT/ADA/PCLナノ複合材系に関する場合)は、上記CNTのいくらかが、上記CNTの表面へ上記アミンヘッド基を物理吸着させることによって有利に分散され、かつ上記CNTのさらなる剥離が、上記PCLと上記双性イオン性界面活性剤との間の水素結合によって形成される有利な分子間相互作用の導入によって達成されたことである。この機構は、PCLのカルボニル基が、2つのヒドロキシル基を含む種々の化合物(例えば、チオジフェノール)およびいくつかの低分子量アミノ化合物と強い分子間水素結合を発生させることが公知であるという事実によって裏付けられる(Watanabeら,Polymer International 2001,50,463−468)。上記カルボニルバンドの拡がりは、低波数側で赤外スペクトルにおいて見られる場合に認められ、水素結合に帰する。
【0060】
本明細書中で言及される全ての特許および刊行物は、本明細書に参考として援用される。特定の上記の構造、機能、および上記実施形態の作用が、本発明の実施するために必須ではなく、例示的実施形態を満たすために単に詳細な説明中に含まれていることが理解される。さらに、特定の構造、機能ならびに上記に言及される特許および刊行物に記載される作用が、本発明とともに実施され得るが、それらは、その実施に必須ではないことが理解される。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨および範囲から実際に逸脱することなく、具体的に記載されるもの以外の他の方法で実施され得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明およびその利点のより完全な理解のために、添付の図面とともに、以下の説明に対して言及がなされる。
【図1】図1(表1)は、本発明のいくつかの実施形態に従う例示的なナノ複合材組成物を列挙する。
【図2】図2Aおよび図2Bは、PCL(2A)およびPCL04A(2B)に関するタッピングモードにおけるAFM画像である。
【図3】図3は、トルエン中でADDと一緒に分散させた0.4重量% CNTを含むPCLナノ複合材および対応する薄膜ナノ複合材についての吸収スペクトルを示す。ここでチューブの個別のまたは小さなバンドルの分散および存在は、400〜1500nmの間で観察された特有のファンホーベの特異点によって確立される。
【図4】図4Aおよび図4Bは、PCL02(4A)およびPCL08(4B)のSEM顕微鏡写真であり、ここでその表面は、比較的均一であり、CNTの大きなバンドルも凝集も見られない。
【図5】図5Aおよび図5Bは、一連のPCLナノ複合材の溶融状態における小角X線散乱(SAXS)データを示す。ここでqに対してプロットされた散乱強度の依存性(5A)は、特色がなくかつqが増加するにつれて単調に減少し、そしてq依存性は、Iq2×q2の積のKratky−Porodプロット(5B)において遙かに良好に観察される。
【図6】図6は、図5において示されるデータのKratky−Porod分析から得られるIのq=0値を示す。
【図7】図7A〜7Cは、純粋ポリマーおよびナノ複合材に関する貯蔵弾性率G’(7A)、損失弾性率G”(7B)および複素粘性率η*(7C)の周波数依存性の基本曲線(mastercurve)であり、ここで0.1重量% CNT程度の充填量を有する上記ナノ複合材は、低周波数で固体様特徴(貯蔵弾性率G’においてプラトーまたは周波数依存性の存在を伴う)を示す。ここで上記損失弾性率はまた、減少する周波数依存性を示し、7Aおよび7Cの挿入図は、ちょうど0.1重量%でのG’およびη*の低周波数べき指数(それぞれ、βおよびα)において段階的変化を示す。このことは、液体様の挙動から固体様の挙動へと移行することを示す。
【図8】図8は、複素弾性率に対してクロスプロット(cross−plot)した粘性を示し、ナノ複合材全てについて有限(finite)G*値において発散性(diverging)η*を実証する。このことは、降伏応力を有する材料を示し、ここでこれは、PCL中0.1重量%程度のCNTの濃度で、上記ナノチューブのパーコレートしたネットワーク構造の発生に関するさらなる証拠を提供する。
【図9】図9は、重量% CNTの関数として種々の周波数での貯蔵弾性率G’を示し、G’は、ナノチューブの濃度が増大するにつれて、全ての周波数で増大する一方で、その効果は、低周波数でかなりの程度まで実証され、上記CNTの濃度が増大するにつれてナノ複合材の降伏応力が増大することに起因する;
【図10】図10Aおよび10Bは、dc導電性 対 重量% CNTを示す(10A);そしてパーコレーション閾値(pc)は、σdc 対 (p−pc)のプロット対するベストフィットにより容易に得られる(10B)。ここでこのベストフィットは、0.0087±0.0006重量%の電気的パーコレーション閾値を生じ、三次元系と関連したべき指数の値と一致して、1.3±0.2の指数である。
【図11】図11Aおよび図11Bは、10℃/分の加熱速度でのDSCスキャンが、純粋ポリマーおよびナノ複合材のガラス転移温度(Tg)を決定するために行われた場合、重量% CNTに対してプロットされた結果(11A)は、そのガラス転移温度において何ら変化がないことを示し、43℃で等温で結晶化したサンプルに関するWAXSデータ(11B)は、上記ナノチューブの添加の際に結晶構造において何ら変化がないことを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)CNTおよび適合性界面活性剤と、ポリマーとを混合する工程;および
b)該界面活性剤と、該CNTおよび該ポリマーとを同時に相互作用させて、ポリマーナノ複合材を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記CNTのうちの少なくともいくらかは、側壁官能化、および端部官能化、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式で官能化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CNTは、精製CNT、未精製CNT、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CNTは、SWNT、MWNT、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合する工程は溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は、真空乾燥を介して混合した後に除去される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーナノ複合材は、非溶媒中で沈澱させ、その後、乾燥させることによって単離される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記混合する工程は、ブレンド装置、単軸スクリュー押し出し成形機、二軸スクリュー押し出し成形機、射出成形機、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される装置中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合する工程は、マスターバッチを調製し、その後、必要な組成物へ縮小するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合する工程は、約−100℃〜約400℃の間の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーと混合された官能化CNTの量は、得られる複合材の重量のうちの約0.0001重量%〜約90重量%である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤は、前記ポリマーと相互作用し、該相互作用は、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、ルイス酸/ルイス塩基相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用を伴う、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤は、前記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記得られるポリマーナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量での電気的パーコレーションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記得られるポリマーナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量において、幾何的パーコレーションを有するランダム配向ポリマー−カーボンナノチューブ材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記得られるポリマーナノ複合材は、強い核化傾向を有し、ポリマーの結晶化速度において2〜105倍の増加をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーナノ複合材を、薬物送達、足場形成して、細胞性組織の増殖および修復を促進すること、繊維用途、バルク用途、耐摩耗性用途、自動車用途、高温/高圧用途、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において使用する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
以下を含む、ポリマーナノ複合材:
a)CNT;
b)CNTが分散されるポリマーマトリクス;ならびに
c)適合性界面活性剤であって、ここで該界面活性剤は、該CNTおよび該ポリマーマトリクスの両方と相互作用する、適合性界面活性剤。
【請求項21】
前記CNTのうちの少なくともいくらかは、側壁官能化、端部官能化、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式で官能化されている、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項22】
前記CNTは、精製CNT、未精製CNT、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項23】
前記CNTは、SWNT、MWNT、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項24】
前記官能化されているCNTの量は、前記得られるナノ複合材の重量のうちの約0.0001重量%〜約90重量%である、請求項21に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項25】
前記ポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項26】
前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項27】
前記界面活性剤は、前記ポリマーと相互作用し、該相互作用は、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、ルイス酸/ルイス塩基相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用を伴う、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項28】
前記界面活性剤は、前記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項29】
前記ナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量において電気的パーコレーションを含む、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項30】
前記ナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量で幾何的パーコレーションを有するランダム配向ポリマー−カーボンナノチューブ材料である、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項31】
前記ナノ複合材は、強い核化傾向を有し、ポリマーの結晶化速度において2〜105倍の増加をもたらす、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項32】
前記ポリマーナノ複合材は、薬物送達、足場形成して、細胞性組織の増殖および修復を促進すること、線維用途、バルク用途、耐摩耗性用途、自動車用途、高温/高圧用途、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において使用される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項1】
a)CNTおよび適合性界面活性剤と、ポリマーとを混合する工程;および
b)該界面活性剤と、該CNTおよび該ポリマーとを同時に相互作用させて、ポリマーナノ複合材を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記CNTのうちの少なくともいくらかは、側壁官能化、および端部官能化、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式で官能化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CNTは、精製CNT、未精製CNT、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CNTは、SWNT、MWNT、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合する工程は溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記溶媒は、真空乾燥を介して混合した後に除去される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーナノ複合材は、非溶媒中で沈澱させ、その後、乾燥させることによって単離される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記混合する工程は、ブレンド装置、単軸スクリュー押し出し成形機、二軸スクリュー押し出し成形機、射出成形機、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される装置中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記混合する工程は、マスターバッチを調製し、その後、必要な組成物へ縮小するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記混合する工程は、約−100℃〜約400℃の間の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーと混合された官能化CNTの量は、得られる複合材の重量のうちの約0.0001重量%〜約90重量%である、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記界面活性剤は、前記ポリマーと相互作用し、該相互作用は、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、ルイス酸/ルイス塩基相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用を伴う、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記界面活性剤は、前記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記得られるポリマーナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量での電気的パーコレーションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記得られるポリマーナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量において、幾何的パーコレーションを有するランダム配向ポリマー−カーボンナノチューブ材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記得られるポリマーナノ複合材は、強い核化傾向を有し、ポリマーの結晶化速度において2〜105倍の増加をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーナノ複合材を、薬物送達、足場形成して、細胞性組織の増殖および修復を促進すること、繊維用途、バルク用途、耐摩耗性用途、自動車用途、高温/高圧用途、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において使用する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
以下を含む、ポリマーナノ複合材:
a)CNT;
b)CNTが分散されるポリマーマトリクス;ならびに
c)適合性界面活性剤であって、ここで該界面活性剤は、該CNTおよび該ポリマーマトリクスの両方と相互作用する、適合性界面活性剤。
【請求項21】
前記CNTのうちの少なくともいくらかは、側壁官能化、端部官能化、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式で官能化されている、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項22】
前記CNTは、精製CNT、未精製CNT、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項23】
前記CNTは、SWNT、MWNT、カーボンナノファイバー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項24】
前記官能化されているCNTの量は、前記得られるナノ複合材の重量のうちの約0.0001重量%〜約90重量%である、請求項21に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項25】
前記ポリマーは、ポリ(ε−カプロラクトン);ポリ(γ−カプロラクトン);ナイロン6;ナイロン66;ナイロン6−10;ナイロン11;ナイロン12;ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);乳酸とグリコール酸とのコポリマー、ならびに他のポリアミドおよびポリエステル;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリスルホン;ポリビニリデンフルオリド(PVDF);ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項26】
前記界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項27】
前記界面活性剤は、前記ポリマーと相互作用し、該相互作用は、イオン性相互作用、水素結合相互作用、共有結合相互作用、生理化学的相互作用、ルイス酸/ルイス塩基相互作用、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される相互作用を伴う、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項28】
前記界面活性剤は、前記CNTと、ルイス酸/ルイス塩基相互作用により相互作用する、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項29】
前記ナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量において電気的パーコレーションを含む、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項30】
前記ナノ複合材は、約0.0005〜約40.0重量%のCNTの範囲に及ぶCNT充填量で幾何的パーコレーションを有するランダム配向ポリマー−カーボンナノチューブ材料である、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項31】
前記ナノ複合材は、強い核化傾向を有し、ポリマーの結晶化速度において2〜105倍の増加をもたらす、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【請求項32】
前記ポリマーナノ複合材は、薬物送達、足場形成して、細胞性組織の増殖および修復を促進すること、線維用途、バルク用途、耐摩耗性用途、自動車用途、高温/高圧用途、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される様式において使用される、請求項20に記載のポリマーナノ複合材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−508417(P2008−508417A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524896(P2007−524896)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/027317
【国際公開番号】WO2006/096203
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(305026806)ユニバーシティー オブ ヒューストン (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/027317
【国際公開番号】WO2006/096203
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(305026806)ユニバーシティー オブ ヒューストン (4)
【Fターム(参考)】
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