ガスエンジン潤滑油組成物
【課題】長時間の使用に対し、安定した性状と性能を確保できるガスエンジン用潤滑油組成物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)
〔式中、RはC8〜C13の有機基を示す。〕で表される芳香族エステルを構成要素とするガスエンジン用潤滑油基油に、ジチオリン酸亜鉛、無灰系酸化防止剤及び清浄分散剤を添加してなることを特徴とするガスエンジン用潤滑油組成物。
【解決手段】下記一般式(1)
〔式中、RはC8〜C13の有機基を示す。〕で表される芳香族エステルを構成要素とするガスエンジン用潤滑油基油に、ジチオリン酸亜鉛、無灰系酸化防止剤及び清浄分散剤を添加してなることを特徴とするガスエンジン用潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジン油組成物に関し、詳しくは、高温条件下において使用される、発電容量が数kw〜数千kwのコジェネレーション用ガスエンジン油の酸化安定性を長期間にわたって維持することが可能なガスエンジン油組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、ガスエンジン油潤滑油組成物に関し、詳しくは高温清浄性並びに長期の連続使用に耐えられるロングドレン型ガスエンジン用潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスエンジンシステムは、燃焼性が良く、燃焼温度もガソリンエンジンや陸上ディーゼルエンジンよりも高いため、高温酸化やNOxの発生が激しく、液体燃料を使用するエンジンに比較して、エンジン用潤滑油、すなわちエンジン油の劣化がより促進される。したがって、耐酸化性や耐NOx性に優れていることが、ガスエンジン油にとって重要である。
【0004】
従来、潤滑油の酸化安定性を改善するために、一般には、アミン系やフェノール系酸化防止剤が配合されている。これらは、単独で、あるいは2種以上が組み合わされて使用される。
【0005】
また、潤滑油の酸化安定性を高め、かつ長期間安定した性能を維持するために、合成潤滑基油が配合されている。
【0006】
ところで、コジェネレーション用エンジン油の使用温度条件は、さらに苛酷となってきており、一般に使用されている上記のような酸化防止剤では、このような苛酷な使用温度条件下での耐熱性及び耐NOx性が劣り、更油間隔を短くせざるを得ない。したがって、メンテナンスの容易性をもたらす更油間隔の延長という点から、エンジン油の長期にわたる耐酸化性及び耐NOx性が要望されている。
【0007】
以上のように、ガスエンジン油は、ガスエンジンシステムの高温燃焼により燃焼温度が極めて高い雰囲気下に曝されるため、従来のものでは、高温酸化による熱劣化やNOx劣化が促進され、スラッジや堆積物を生成する。これらは、ガスエンジン油に対し、粘度上昇、全酸価の上昇、あるいは塩基価の低下といった悪影響を及ぼし、潤滑油性能を著しく阻害する要因となっている。
【0008】
また、自動車の高出力化に伴い、高速/高負荷運転が頻繁に行われ、また車体の軽量化に伴うクランクケースの小型化は使用される内燃機関油の量が少なくなり、単位油量当たりの熱負荷が増大して短時間で劣化が進み、頻繁に油交換を行う必要がある。
【0009】
一方、経済的及び環境保全面から内燃機関油の更油時間の延長が求められており、過酷な使用条件にも耐えられ、且つ長時間の使用にも対応できる内燃機関用油の開発が求められている。また、コジェネレーションシステムの発電用内燃機関も改善、改良が進み、長期の連続操業が可能になったが、従来の鉱油を基油とした内燃機関油では連続長期操業に対処できないため、内燃機関油の更油がコジェネレーションの長期連続操業を不可能にしていた。
【0010】
これらの要求を満足し、問題を解決する手段として、比較的安価なポリα−オレフィン単体又は耐熱性の高いポリオールエステルとの組み合わせからなる合成系潤滑油基油を用いたロングドレン型潤滑油が開発されてきた。しかし、要求される性能を十分満足させるものではなく、また価格面でも極めて高価であり、広く普及するには至っていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、更油間隔の長いガスエンジン油が要望される中で、メンテナンスを容易にすることができるガスエンジン油として、耐熱性、耐高温酸化性、耐NOx性に優れた長寿命性を有する安価なガスエンジン油組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、長期の連続使用に耐えられるロングドレン型ガスエンジン用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、潤滑油の基材(基油)にポリαオレフィンと芳香族エステルの混合油を使用すること(第1発明)及び従来樹脂の可塑剤に用いられていた芳香族エステル(フタル酸エステル)を主要構成要素としてそれに鉱油と任意の割合で用いるか、又はポリα−オレフィン、又はポリα−オレフィンと高粘度のエチレンとオレフィンのオリゴマーを用いること(第2発明)により本発明を完成するに至った。
【0014】
第1発明は、以下の1.〜6.に関する。
1.ポリαオレフィンと芳香族エステルの混合油を基材として、酸化防止剤、金属系清浄剤、無灰型の分散剤、極圧剤及び消泡剤を含有してなることを特徴とするガスエンジン油組成物。
2.上記芳香族エステルがフタル酸と脂肪族直鎖アルコールまたは脂肪族分岐アルコールまたはそれらの混合アルコールとの反応により得られた芳香族エステルであることを特徴とする1.のガスエンジン油組成物。
3.上記ポリαオレフィンとエステルの混合比率が90:10〜50:50であることを特徴とする1.のガスエンジン油組成物。
4.上記ガスエンジン油組成物の100℃での動粘度が9.3〜16.3mm2/S、粘度指数85〜160であることを特徴とする請求項1のガスエンジン油組成物。
5.オイルパンの温度が90℃以上のガスエンジン用である1.のガスエンジン油組成物。
6.触媒により排ガス処理を行っているガスエンジン用である1.のガスエンジン油組成物。
【0015】
第2発明は、以下の7.〜11.に関する。
7.下記一般式(1)
【0016】
【化1】
【0017】
〔式中、RはC8〜C13の有機基を示す。〕
で表される芳香族エステルを構成要素とするガスエンジン用潤滑油基油に、ジチオリン酸亜鉛、無灰系酸化防止剤、清浄分散剤及び/又は粘度指数向上剤、その他の添加剤を添加してなることを特徴とするガスエンジン用潤滑油組成物。
8.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)水素化精製鉱油60〜85重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
9.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)ポリα−オレフィン60〜85重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
10.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%、(b)ポリα−オレフィン40〜65重量%及び(c)水素化精製鉱油20〜45重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
11.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜35重量%、(b)100℃における動粘度が4〜40mm2/sであるポリα−オレフィン60〜80重量%及び(c)100℃における動粘度が510〜690mm2/sのエチレンとオレフィンのオリゴマー5〜10重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【0018】
(1)第1発明について
本発明のガスエンジン油組成物は、上記芳香族エステルがフタル酸と脂肪族直鎖アルコールまたは脂肪族分岐アルコールまたはそれらの混合アルコールとの反応により得られた芳香族エステルであり、上記ポリαオレフィンとエステルの混合比率(重量比)が90:10〜50:50であることが好ましい。
【0019】
本発明に使用されるガスエンジン油組成物は、100℃での動粘度が9.3〜16.3mm2/S、粘度指数85〜160を有し、粘度指数は85〜150のものが好ましい。
【0020】
ポリαオレフィンは、分子量が400〜1100のαオレフィンの重合体が好ましく、同一の分子量の重合体単独で、或いは分子量の異なる重合体を混合して使用することができる。
【0021】
芳香族エステルとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼントリカルボン酸およびナフタレンジカルボン酸をはじめとする芳香族カルボン酸と炭素数が5から13の直鎖又は分岐を有する脂肪族アルコールから得られるエステルが使用できる。また脂肪族アルコールは直鎖あるいは分岐のものを単独または混合しても使用できる。
【0022】
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で従来潤滑油に慣用されている各種添加物、例えば金属系清浄剤、摩擦低減剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤などを適宜添加することができる。
【0023】
金属系清浄剤としては、例えばカルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネート、カルシウムサリチレート、バリウムサリチレートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5重量%の割合で使用される。
【0024】
摩擦低減剤としては、例えばモリブデン系、アミン系、りん酸エステル系などがあり、これらは通常0.05〜5.0重量%の割合で使用される。
【0025】
摩擦防止剤としては、例えばジチオリン酸金属塩(Zn,P,Sb,Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Znなど)、硫黄化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、亜リン酸エステルのアミン塩などを挙げることができ、これらは、通常0.05〜5.0重量%の割合で使用される。
【0026】
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系などが挙げられ、これらは、通常0.5〜35重量%の割合で使用される。
【0027】
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレートなどが、防錆剤としては、例えばアルケニルこはく酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
【0028】
消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは通常0.001〜0.006重量%の割合で使用される。
【0029】
無灰型の分散剤としては、アルキル基又はアルケニル基の分子量が約700〜3000のものが付加されたこはく酸イミド、こはく酸エステル、ベンジルアミンなどが使用される。更にこはく酸イミドのホウ酸化されたものも使用できる。そしてこれらの無灰系分散剤は組成物中に一般には0.5〜15重量%配合できる。
【0030】
酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。これらは組成物中に一般には0.1〜3重量%配合できる。
【0031】
極圧剤としては、ジチオリン酸亜鉛、リン酸塩、アルキルスルフィドリン酸エステル、金属ジチオリン酸塩などが挙げられ、これらは組成物中に一般には0.1〜3重量%配合できる。
【0032】
排ガス処理のための触媒としては、Pt−Rh(補助剤としてCe)、Pt−Pd、Cu−ゼオライト、V2O5、WO3、MoO3などが例示される。
【0033】
(2)第2発明について
本発明のガスエンジン油潤滑油基油(以下、単に潤滑油基油ともいう。)のポリα−オレフィンはα−オレフィンを原料として、チーグラー触媒を用いる方法、ラジカル重合による方法、塩化アルミニウム触媒を用いる方法、フッ化ホウ素とアルコールからなる触媒を用いる方法等を用いて重合或いは共重合させて得られる三量体以上のオリゴマーが主成分であるポリα−オレフィンである。また、エチレンとα−オレフィンのオリゴマーは下記の一般式(2)に示す構造を持った合成油で従来のα−オレフィン合成油と比較すると極めて粘度及び粘度指数の高いものが得られ、且つ低温特性の優れた合成基油である。従って、低温域から高温域の広い範囲にわたり優れた粘度特性を持つマルチグレード型内燃用潤滑油を設計するに適した合成基油である。
【0034】
一般式(2):
【0035】
【化2】
【0036】
〔式中、R1はCnH2n+1(nは3〜8)を示し、x、y及びpは正の整数を示す。〕
Rで表されるC8〜C13の有機基としては、直鎖又は分枝を有するC8〜C13のアルキル基、C8〜C13のアルケニル基、C8〜C13のアリール基、C8〜C13のアラルキル基、C8〜C13のエーテルないしアルキレングリコール基などが挙げられる。
【0037】
本発明の基幹部分である芳香族エステルの一例として挙げたフタル酸エステルはポリエステルの架橋剤、ポリ塩化ビニルの可塑剤として多量に量産されており、経済的にも従来から使用されている合成潤滑油基油と比較すると有利に展開できることが大きな利点である。本発明者らはこの利点を生かすべく、内燃機関潤滑油基油としての適応性について鋭意研究を進めた結果、100℃における粘度が2〜10mm2/sのポリα−オレフィンとエチレンとα−オレフィンの重合体であって、数平均分子量(Mn)が2300〜2900のオリゴマーで動粘度が510〜690mm2/sの化合物との組合せからなる組成物が特に優れたガスエンジン用潤滑油基油としての性能を有することを見出した。
【0038】
本発明のガスエンジン用潤滑油基油は、上述の如く(a)フタル酸エステル20〜40重量%、(b)エチレンとα−オレフィンのオリゴマー5〜10重量%、好ましくは5〜8重量%で、残りのポリα−オレフィンは58〜78重量%であり、そして他の組成物の配合割合に応じて62〜73重量%の範囲で配合量を適用することが好ましい。特にエチレンとα−オレフィンのオリゴマーが上記の範囲の上限を逸脱すると清浄性が悪化するという問題が生ずる。また、芳香族エステルも範囲の下限を逸脱するとその効果が少なく、上限を逸脱すると蒸発性が高くなり、オイル消費が増大して頻繁なオイル補給が必要となり、経済性及び排気による環境保全に問題が生ずる。
【0039】
次に、本発明のガスエンジン用潤滑油組成物(以下、単に潤滑油組成物ともいう。)は、上記(a)、(b)、(c)の成分を所定割合で配合してなる基油に各種添加剤を加えてなる組成物である。ここで用いる添加剤の内、少なくともジチオリン酸亜鉛、清浄分散剤は本発明の組成物では必須の成分とすることが好ましい。その他粘度指数向上剤を添加することも好ましい。このジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)は、酸化防止剤、摩耗防止剤、極圧剤、腐食防止剤等の機能を持つ添加剤であり、また、清浄分散剤としては、金属系のものや無灰系のものなど各種のものが使用可能である。例えば金属系としてカルシウム、マグネシウム、バリウム等の金属スルホネート/フィネート/サリシレート等があり、無灰系としてはコハク酸イミド、酸アミド、ベンジルアミン、コハク酸エステル等を挙げることができる。
【0040】
更に粘度指数向上剤にはポリメタクリレート、ポリイソブチレンオレフィン重合体、オレフィン共重合体(エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリアルキルスチレン、フェノール縮合物、ナフタレン縮合物、スチレン−ブタジエン共重合体及びこれらの分散型重合体等が使用される。
【0041】
本発明のガスエンジン用潤滑油組成物では、上記の添加剤の配合量は該組成物に対する要求特性、添加成分等に応じて適宜選定すればよい。またその他必要に応じて耐摩耗剤、極圧剤、上記以外の酸化防止剤、油性剤等を適量に配合することもできる。これら本発明に適用できる耐摩耗剤、極圧剤、上記以外の酸化防止剤、油性剤としては、従来公知のものを特別の制限なく利用できる。
【発明の効果】
【0042】
(1)第1発明について
本発明のガスエンジン用潤滑油組成物は、長時間の使用に対し、安定した性状と性能を確保できるもので、本潤滑油組成物を用いることにより、オイル交換期間を大幅に延長することができ、ガスコジェネレーションのメンテナンス費用の削減をはじめとして、優れたコストパフォーマンスを実現できる。
【0043】
(2)第2発明について
本発明の潤滑油組成物によれば、ガスエンジン用の潤滑油として優れた耐摩耗性及び低温流動性を有し、特に優れた酸化安定性は、ガスエンジン油のロングドレン化が可能となり、大きな経済的効果をもたらし、また環境保全面からも廃油の減少は大きな効果といえる。
【0044】
本発明の組成物は、ガスエンジン用の潤滑油として幅広く且つ有効に利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
(1)第1発明について
以下の実施例において:
・ISOT酸化安定試験は、JIS K2514の方法に準じて行った。
・赤外分析法によるカルボニル化度及び硝酸化度の分析は、キャタピラー”赤外線分析法”に準拠して行った。
・GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)の測定は、以下の方法により行った。
【0047】
すなわち、使用油0.3000gを精秤し、メスシリンダーを用いてテトラハイドロフランにて5ccにメスアップし、分析用サンプルとした。このサンプル20μlをマイクロシリンジを使用し、下記液体クロマトグラフィーに注入した。検出波長として280nmを用いて、分子量が約1500以上の高分子量体のピーク面積を算出し、劣化度合いの分析を行った。
【0048】
液体クロマトグラフ:Waters製600シリーズ、検出器 Waters 996 photodiode array Detectorを使用した。流量(0.8cc/min)、カラム(Styragel(登録商標)HR0.5 + HR1×2 + HR4E;7.8×300mm)であった。
・動粘度は、JIS K2283の方法に準じて測定した。
・ペンタン不溶分は、石油学会規格(JPI-5S-18-80)の方法に準じて行った。
・全酸価は、JIS K2501の方法に準じて測定した。
・全塩基価は、JIS K2501の方法に準じて測定した。
・IC法による硫酸イオン分析は、JIS K0127の化学分析通則に準拠して行った。
・ICP法によるFe摩耗分析は、JIS K0116の化学分析通則に準拠して行った。
・シェル四球摩耗試験は、石油学会規格(JPI-5S-32-90)の方法に準じて行った。
・NOx−O2吸収は、特許第2678635号に記載の方法に従い測定した。
【0049】
実施例1A〜3A及び比較例1A〜2A
以下の表1の組成のオイルを用いて、ISOT酸化安定試験(表2)および理論空燃比燃焼ガスエンジンを用いた実機テストにより各経時時間ごとにオイルの分析を行い性能評価を行った(図1〜図10)。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
ISOT酸化安定試験についての表2の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、明らかに基油の耐酸化性が向上していることを示す。
【0053】
赤外分析法によるカルボニル化度及び硝酸化度の分析についての図1及び図2の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、明らかに基油の耐熱性及び耐酸化性が向上していることを示す。また、比較例1Aでは1000時間を超えると急激な劣化が始まるが、実施例1A〜3Aにおいてはそのような傾向はなく、ガスエンジンオイルとしてより好ましい。
【0054】
GPCによる基油の劣化分析(一般分析)についての図3の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、明らかに基油の耐熱性及び耐酸化性が向上していることを示す。
【0055】
動粘度分析についての図4の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aの方が劣化速度が遅く同じ使用時間では、粘度上昇率は実施例1A〜3Aの方が小さいことを示す。
【0056】
ペンタン不溶分分析についての図5の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aの方が、ペンタン不溶分は少ないことを示す。
【0057】
全酸価分析についての図6の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、全酸価の上昇率が小さく、明らかに基油の耐熱性及び耐酸化性が向上していることを示す。
【0058】
全塩基価分析についての図7の結果は、比較例1Aの場合800hでほぼ0になるが、実施例1Aにおいては1700h、実施例2Aにおいては2000hを超えても存在することを示す。
【0059】
IC法による硫酸イオン分析についての図8の結果は、比較例1Aにおいては800hを超えると急激に増加しており、腐食の引き金となるが、実施例1A〜3Aにおいてはそのような急激な増加は起こらないことを示す。
【0060】
ICP法によるFe摩耗分析についての図9の結果は、比較例1Aに比べて実施例1A〜3Aの方がFeの摩耗量は少ないことを示す。また、トータルの摩耗量に関しては問題ない値である。
【0061】
シェル四球摩耗試験についての図10の結果は、比較例1Aに比べて実施例1A〜3Aの方が摩耗量は少なく、潤滑性能が向上していることを示す。
【0062】
実施例1Aのオイルを用いた1700hエンジン試験後のカム、バルブ、シリンダー、ピストンおよびピストンリングの異常および磨耗量について評価を行った結果、全く問題がなかった。
【0063】
実施例2Aのオイルを用いた2300hエンジン試験後のカム、バルブ、シリンダー、ピストンおよびピストンリングの異常および磨耗量について評価を行った結果、全く問題がなかった。
【0064】
比較例1Aのオイルは従来用いられていたものであり、1000h以上運転した際、腐食が発生し、エンジントラブルとなった。
【0065】
比較例2Aに関しては運転開始後300hでカムの磨耗によりエンジントラブル発生した。
【0066】
以上の結果よりも明らかなように、本願発明において、基油として芳香族エステルとPAOの混合物を使用することが肝要であって、このような構成を有することによってのみ、耐動弁系磨耗性能に優れ、長時間にわたる使用においても動粘度と全酸価の増加が抑制され塩基価が維持され、エンジンの清浄性が確保できるガスエンジン用潤滑油組成物を得ることができる。
【0067】
(2)第2発明について
実施例1B
100℃における動粘度が6mm2/sのポリα−オレフィン68重量%とエチレン−オレフィンのオリゴマー7重量%及び前記一般式(1)で表される芳香族エステル25重量%とからなる合成潤滑油基油を調製した。
【0068】
次に、この合成潤滑油基油に対しZnDTP及び清浄分散剤(金属系、無灰分系の両者)並びに無灰分系酸化防止剤を合計16重量%配合して潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物について酸化寿命をNOx−O2吸収試験機を用いて評価した。NOx−O2吸収試験は試験温度165.5℃のオイルにNOx含有O2ガスを吹き込み、600ml吸収するのに要する時間により酸化安定性を評価するもので、吸収時間の長いもの程酸化安定性がよい。更に耐摩耗性について石油学会規格(JPI−5S−32−92)の「潤滑油の耐摩耗性試験方法」を用いて40kgf×30分の条件で耐摩耗性を評価した。
【0069】
その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1840分、摩耗試験の摩耗痕径は0.42mmであった。また、高温時における清浄性を評価するため、パネルコーキング試験を実施した。パネルコーキング試験は、Federal Test Method 791B-3462に準拠し、パネル温度320℃、油温90℃、テスト時間3時間としてアルミニウムパネルに付着するカーボン量(mg)を評価することにより清浄性を評価した。パネルへのカーボン付着量は、64mgであった。
【0070】
実施例2B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油として前記一般式(1)で表される芳香族エステル25重量%、ポリα−オレフィン45重量%、水素化精製鉱油30重量%を用いたこと以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1460分、摩耗試験の摩耗痕径は0.44mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は50mgであった。
【0071】
比較例1B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油として鉱油の水素化精製基油のみを用いた以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1000分、摩耗試験の摩耗痕径は0.45mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は80mgであった。
【0072】
比較例2B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油としてポリα−オレフィン(100℃における動粘度が6mm2/sのものが82重量%及び40mm2/sのものが18重量%)のみを用いたこと以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は950分、摩耗試験の摩耗痕径は0.52mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は89mgであった。
【0073】
比較例3B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油として100℃の動粘度が6mm2/sのポリα−オレフィン68重量%とエチレン−オレフィンのオリゴマー7重量%及び100℃の動粘度が4.3mm2/sのポリオールエステル25重量%とからなる合成潤滑油基油を用いたこと以外は、実施例1と同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1140分、摩耗試験の摩耗痕径は0.54mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は87mgであった。
【0074】
比較例4B
潤滑油基油として100℃の動粘度が6mm2/sのポリα−オレフィン64重量%とエチレン−オレフィンのオリゴマー11重量%及び前記一般式(1)で表される芳香族エステル25重量%とからなる、実施例1Bのポリα−オレフィン及びエチレン−オレフィンのオリゴマーの配合割合のみ変えたこと以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験、摩耗試験及びパネルコーキング試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1800分、摩耗試験の摩耗痕径は0.42mmと実施例1とほぼ同様の結果であったが、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は124mgであった。従って、清浄性の面からエチレン−オレフィンのオリゴマーの配合割合は上限10重量%が限度である。
【0075】
以上の実施例1B、実施例2B及び比較例1B〜4Bの配合量及び実用性能評価の結果を表3にまとめて示した。
【0076】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】赤外分析法によるカルボニル化度の分析結果を示す。
【図2】赤外分析法による硝酸化度の分析結果を示す。
【図3】GPCの測定結果を示す。
【図4】動粘度分析結果を示す。
【図5】ペンタン不溶分分析結果を示す。
【図6】全酸価分析結果を示す。
【図7】全塩基価分析結果を示す。
【図8】IC法による硫酸イオン分析結果を示す。
【図9】ICP法によるFe摩耗分析結果を示す。
【図10】シェル四球摩耗試験結果を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスエンジン油組成物に関し、詳しくは、高温条件下において使用される、発電容量が数kw〜数千kwのコジェネレーション用ガスエンジン油の酸化安定性を長期間にわたって維持することが可能なガスエンジン油組成物に関する。
【0002】
また、本発明は、ガスエンジン油潤滑油組成物に関し、詳しくは高温清浄性並びに長期の連続使用に耐えられるロングドレン型ガスエンジン用潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ガスエンジンシステムは、燃焼性が良く、燃焼温度もガソリンエンジンや陸上ディーゼルエンジンよりも高いため、高温酸化やNOxの発生が激しく、液体燃料を使用するエンジンに比較して、エンジン用潤滑油、すなわちエンジン油の劣化がより促進される。したがって、耐酸化性や耐NOx性に優れていることが、ガスエンジン油にとって重要である。
【0004】
従来、潤滑油の酸化安定性を改善するために、一般には、アミン系やフェノール系酸化防止剤が配合されている。これらは、単独で、あるいは2種以上が組み合わされて使用される。
【0005】
また、潤滑油の酸化安定性を高め、かつ長期間安定した性能を維持するために、合成潤滑基油が配合されている。
【0006】
ところで、コジェネレーション用エンジン油の使用温度条件は、さらに苛酷となってきており、一般に使用されている上記のような酸化防止剤では、このような苛酷な使用温度条件下での耐熱性及び耐NOx性が劣り、更油間隔を短くせざるを得ない。したがって、メンテナンスの容易性をもたらす更油間隔の延長という点から、エンジン油の長期にわたる耐酸化性及び耐NOx性が要望されている。
【0007】
以上のように、ガスエンジン油は、ガスエンジンシステムの高温燃焼により燃焼温度が極めて高い雰囲気下に曝されるため、従来のものでは、高温酸化による熱劣化やNOx劣化が促進され、スラッジや堆積物を生成する。これらは、ガスエンジン油に対し、粘度上昇、全酸価の上昇、あるいは塩基価の低下といった悪影響を及ぼし、潤滑油性能を著しく阻害する要因となっている。
【0008】
また、自動車の高出力化に伴い、高速/高負荷運転が頻繁に行われ、また車体の軽量化に伴うクランクケースの小型化は使用される内燃機関油の量が少なくなり、単位油量当たりの熱負荷が増大して短時間で劣化が進み、頻繁に油交換を行う必要がある。
【0009】
一方、経済的及び環境保全面から内燃機関油の更油時間の延長が求められており、過酷な使用条件にも耐えられ、且つ長時間の使用にも対応できる内燃機関用油の開発が求められている。また、コジェネレーションシステムの発電用内燃機関も改善、改良が進み、長期の連続操業が可能になったが、従来の鉱油を基油とした内燃機関油では連続長期操業に対処できないため、内燃機関油の更油がコジェネレーションの長期連続操業を不可能にしていた。
【0010】
これらの要求を満足し、問題を解決する手段として、比較的安価なポリα−オレフィン単体又は耐熱性の高いポリオールエステルとの組み合わせからなる合成系潤滑油基油を用いたロングドレン型潤滑油が開発されてきた。しかし、要求される性能を十分満足させるものではなく、また価格面でも極めて高価であり、広く普及するには至っていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、更油間隔の長いガスエンジン油が要望される中で、メンテナンスを容易にすることができるガスエンジン油として、耐熱性、耐高温酸化性、耐NOx性に優れた長寿命性を有する安価なガスエンジン油組成物を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、長期の連続使用に耐えられるロングドレン型ガスエンジン用潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、潤滑油の基材(基油)にポリαオレフィンと芳香族エステルの混合油を使用すること(第1発明)及び従来樹脂の可塑剤に用いられていた芳香族エステル(フタル酸エステル)を主要構成要素としてそれに鉱油と任意の割合で用いるか、又はポリα−オレフィン、又はポリα−オレフィンと高粘度のエチレンとオレフィンのオリゴマーを用いること(第2発明)により本発明を完成するに至った。
【0014】
第1発明は、以下の1.〜6.に関する。
1.ポリαオレフィンと芳香族エステルの混合油を基材として、酸化防止剤、金属系清浄剤、無灰型の分散剤、極圧剤及び消泡剤を含有してなることを特徴とするガスエンジン油組成物。
2.上記芳香族エステルがフタル酸と脂肪族直鎖アルコールまたは脂肪族分岐アルコールまたはそれらの混合アルコールとの反応により得られた芳香族エステルであることを特徴とする1.のガスエンジン油組成物。
3.上記ポリαオレフィンとエステルの混合比率が90:10〜50:50であることを特徴とする1.のガスエンジン油組成物。
4.上記ガスエンジン油組成物の100℃での動粘度が9.3〜16.3mm2/S、粘度指数85〜160であることを特徴とする請求項1のガスエンジン油組成物。
5.オイルパンの温度が90℃以上のガスエンジン用である1.のガスエンジン油組成物。
6.触媒により排ガス処理を行っているガスエンジン用である1.のガスエンジン油組成物。
【0015】
第2発明は、以下の7.〜11.に関する。
7.下記一般式(1)
【0016】
【化1】
【0017】
〔式中、RはC8〜C13の有機基を示す。〕
で表される芳香族エステルを構成要素とするガスエンジン用潤滑油基油に、ジチオリン酸亜鉛、無灰系酸化防止剤、清浄分散剤及び/又は粘度指数向上剤、その他の添加剤を添加してなることを特徴とするガスエンジン用潤滑油組成物。
8.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)水素化精製鉱油60〜85重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
9.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)ポリα−オレフィン60〜85重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
10.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%、(b)ポリα−オレフィン40〜65重量%及び(c)水素化精製鉱油20〜45重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
11.基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜35重量%、(b)100℃における動粘度が4〜40mm2/sであるポリα−オレフィン60〜80重量%及び(c)100℃における動粘度が510〜690mm2/sのエチレンとオレフィンのオリゴマー5〜10重量%からなる7.記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【0018】
(1)第1発明について
本発明のガスエンジン油組成物は、上記芳香族エステルがフタル酸と脂肪族直鎖アルコールまたは脂肪族分岐アルコールまたはそれらの混合アルコールとの反応により得られた芳香族エステルであり、上記ポリαオレフィンとエステルの混合比率(重量比)が90:10〜50:50であることが好ましい。
【0019】
本発明に使用されるガスエンジン油組成物は、100℃での動粘度が9.3〜16.3mm2/S、粘度指数85〜160を有し、粘度指数は85〜150のものが好ましい。
【0020】
ポリαオレフィンは、分子量が400〜1100のαオレフィンの重合体が好ましく、同一の分子量の重合体単独で、或いは分子量の異なる重合体を混合して使用することができる。
【0021】
芳香族エステルとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゼントリカルボン酸およびナフタレンジカルボン酸をはじめとする芳香族カルボン酸と炭素数が5から13の直鎖又は分岐を有する脂肪族アルコールから得られるエステルが使用できる。また脂肪族アルコールは直鎖あるいは分岐のものを単独または混合しても使用できる。
【0022】
本発明の潤滑油組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で従来潤滑油に慣用されている各種添加物、例えば金属系清浄剤、摩擦低減剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤などを適宜添加することができる。
【0023】
金属系清浄剤としては、例えばカルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムフェネート、バリウムフェネート、カルシウムサリチレート、バリウムサリチレートなどが挙げられ、これらは、通常0.1〜5重量%の割合で使用される。
【0024】
摩擦低減剤としては、例えばモリブデン系、アミン系、りん酸エステル系などがあり、これらは通常0.05〜5.0重量%の割合で使用される。
【0025】
摩擦防止剤としては、例えばジチオリン酸金属塩(Zn,P,Sb,Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Znなど)、硫黄化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、亜リン酸エステルのアミン塩などを挙げることができ、これらは、通常0.05〜5.0重量%の割合で使用される。
【0026】
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系などが挙げられ、これらは、通常0.5〜35重量%の割合で使用される。
【0027】
流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレートなどが、防錆剤としては、例えばアルケニルこはく酸やその部分エステルなどが、腐食防止剤としては、例えばベンゾトリアゾールやベンゾイミダゾールなどが挙げられ、これらは適宜添加することができる。
【0028】
消泡剤としては、例えばジメチルポリシロキサンやポリアクリレートなどが挙げられ、これらは通常0.001〜0.006重量%の割合で使用される。
【0029】
無灰型の分散剤としては、アルキル基又はアルケニル基の分子量が約700〜3000のものが付加されたこはく酸イミド、こはく酸エステル、ベンジルアミンなどが使用される。更にこはく酸イミドのホウ酸化されたものも使用できる。そしてこれらの無灰系分散剤は組成物中に一般には0.5〜15重量%配合できる。
【0030】
酸化防止剤としては、アミン系、フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。これらは組成物中に一般には0.1〜3重量%配合できる。
【0031】
極圧剤としては、ジチオリン酸亜鉛、リン酸塩、アルキルスルフィドリン酸エステル、金属ジチオリン酸塩などが挙げられ、これらは組成物中に一般には0.1〜3重量%配合できる。
【0032】
排ガス処理のための触媒としては、Pt−Rh(補助剤としてCe)、Pt−Pd、Cu−ゼオライト、V2O5、WO3、MoO3などが例示される。
【0033】
(2)第2発明について
本発明のガスエンジン油潤滑油基油(以下、単に潤滑油基油ともいう。)のポリα−オレフィンはα−オレフィンを原料として、チーグラー触媒を用いる方法、ラジカル重合による方法、塩化アルミニウム触媒を用いる方法、フッ化ホウ素とアルコールからなる触媒を用いる方法等を用いて重合或いは共重合させて得られる三量体以上のオリゴマーが主成分であるポリα−オレフィンである。また、エチレンとα−オレフィンのオリゴマーは下記の一般式(2)に示す構造を持った合成油で従来のα−オレフィン合成油と比較すると極めて粘度及び粘度指数の高いものが得られ、且つ低温特性の優れた合成基油である。従って、低温域から高温域の広い範囲にわたり優れた粘度特性を持つマルチグレード型内燃用潤滑油を設計するに適した合成基油である。
【0034】
一般式(2):
【0035】
【化2】
【0036】
〔式中、R1はCnH2n+1(nは3〜8)を示し、x、y及びpは正の整数を示す。〕
Rで表されるC8〜C13の有機基としては、直鎖又は分枝を有するC8〜C13のアルキル基、C8〜C13のアルケニル基、C8〜C13のアリール基、C8〜C13のアラルキル基、C8〜C13のエーテルないしアルキレングリコール基などが挙げられる。
【0037】
本発明の基幹部分である芳香族エステルの一例として挙げたフタル酸エステルはポリエステルの架橋剤、ポリ塩化ビニルの可塑剤として多量に量産されており、経済的にも従来から使用されている合成潤滑油基油と比較すると有利に展開できることが大きな利点である。本発明者らはこの利点を生かすべく、内燃機関潤滑油基油としての適応性について鋭意研究を進めた結果、100℃における粘度が2〜10mm2/sのポリα−オレフィンとエチレンとα−オレフィンの重合体であって、数平均分子量(Mn)が2300〜2900のオリゴマーで動粘度が510〜690mm2/sの化合物との組合せからなる組成物が特に優れたガスエンジン用潤滑油基油としての性能を有することを見出した。
【0038】
本発明のガスエンジン用潤滑油基油は、上述の如く(a)フタル酸エステル20〜40重量%、(b)エチレンとα−オレフィンのオリゴマー5〜10重量%、好ましくは5〜8重量%で、残りのポリα−オレフィンは58〜78重量%であり、そして他の組成物の配合割合に応じて62〜73重量%の範囲で配合量を適用することが好ましい。特にエチレンとα−オレフィンのオリゴマーが上記の範囲の上限を逸脱すると清浄性が悪化するという問題が生ずる。また、芳香族エステルも範囲の下限を逸脱するとその効果が少なく、上限を逸脱すると蒸発性が高くなり、オイル消費が増大して頻繁なオイル補給が必要となり、経済性及び排気による環境保全に問題が生ずる。
【0039】
次に、本発明のガスエンジン用潤滑油組成物(以下、単に潤滑油組成物ともいう。)は、上記(a)、(b)、(c)の成分を所定割合で配合してなる基油に各種添加剤を加えてなる組成物である。ここで用いる添加剤の内、少なくともジチオリン酸亜鉛、清浄分散剤は本発明の組成物では必須の成分とすることが好ましい。その他粘度指数向上剤を添加することも好ましい。このジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)は、酸化防止剤、摩耗防止剤、極圧剤、腐食防止剤等の機能を持つ添加剤であり、また、清浄分散剤としては、金属系のものや無灰系のものなど各種のものが使用可能である。例えば金属系としてカルシウム、マグネシウム、バリウム等の金属スルホネート/フィネート/サリシレート等があり、無灰系としてはコハク酸イミド、酸アミド、ベンジルアミン、コハク酸エステル等を挙げることができる。
【0040】
更に粘度指数向上剤にはポリメタクリレート、ポリイソブチレンオレフィン重合体、オレフィン共重合体(エチレン−プロピレン共重合体等)、ポリアルキルスチレン、フェノール縮合物、ナフタレン縮合物、スチレン−ブタジエン共重合体及びこれらの分散型重合体等が使用される。
【0041】
本発明のガスエンジン用潤滑油組成物では、上記の添加剤の配合量は該組成物に対する要求特性、添加成分等に応じて適宜選定すればよい。またその他必要に応じて耐摩耗剤、極圧剤、上記以外の酸化防止剤、油性剤等を適量に配合することもできる。これら本発明に適用できる耐摩耗剤、極圧剤、上記以外の酸化防止剤、油性剤としては、従来公知のものを特別の制限なく利用できる。
【発明の効果】
【0042】
(1)第1発明について
本発明のガスエンジン用潤滑油組成物は、長時間の使用に対し、安定した性状と性能を確保できるもので、本潤滑油組成物を用いることにより、オイル交換期間を大幅に延長することができ、ガスコジェネレーションのメンテナンス費用の削減をはじめとして、優れたコストパフォーマンスを実現できる。
【0043】
(2)第2発明について
本発明の潤滑油組成物によれば、ガスエンジン用の潤滑油として優れた耐摩耗性及び低温流動性を有し、特に優れた酸化安定性は、ガスエンジン油のロングドレン化が可能となり、大きな経済的効果をもたらし、また環境保全面からも廃油の減少は大きな効果といえる。
【0044】
本発明の組成物は、ガスエンジン用の潤滑油として幅広く且つ有効に利用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【実施例】
【0046】
(1)第1発明について
以下の実施例において:
・ISOT酸化安定試験は、JIS K2514の方法に準じて行った。
・赤外分析法によるカルボニル化度及び硝酸化度の分析は、キャタピラー”赤外線分析法”に準拠して行った。
・GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)の測定は、以下の方法により行った。
【0047】
すなわち、使用油0.3000gを精秤し、メスシリンダーを用いてテトラハイドロフランにて5ccにメスアップし、分析用サンプルとした。このサンプル20μlをマイクロシリンジを使用し、下記液体クロマトグラフィーに注入した。検出波長として280nmを用いて、分子量が約1500以上の高分子量体のピーク面積を算出し、劣化度合いの分析を行った。
【0048】
液体クロマトグラフ:Waters製600シリーズ、検出器 Waters 996 photodiode array Detectorを使用した。流量(0.8cc/min)、カラム(Styragel(登録商標)HR0.5 + HR1×2 + HR4E;7.8×300mm)であった。
・動粘度は、JIS K2283の方法に準じて測定した。
・ペンタン不溶分は、石油学会規格(JPI-5S-18-80)の方法に準じて行った。
・全酸価は、JIS K2501の方法に準じて測定した。
・全塩基価は、JIS K2501の方法に準じて測定した。
・IC法による硫酸イオン分析は、JIS K0127の化学分析通則に準拠して行った。
・ICP法によるFe摩耗分析は、JIS K0116の化学分析通則に準拠して行った。
・シェル四球摩耗試験は、石油学会規格(JPI-5S-32-90)の方法に準じて行った。
・NOx−O2吸収は、特許第2678635号に記載の方法に従い測定した。
【0049】
実施例1A〜3A及び比較例1A〜2A
以下の表1の組成のオイルを用いて、ISOT酸化安定試験(表2)および理論空燃比燃焼ガスエンジンを用いた実機テストにより各経時時間ごとにオイルの分析を行い性能評価を行った(図1〜図10)。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
ISOT酸化安定試験についての表2の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、明らかに基油の耐酸化性が向上していることを示す。
【0053】
赤外分析法によるカルボニル化度及び硝酸化度の分析についての図1及び図2の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、明らかに基油の耐熱性及び耐酸化性が向上していることを示す。また、比較例1Aでは1000時間を超えると急激な劣化が始まるが、実施例1A〜3Aにおいてはそのような傾向はなく、ガスエンジンオイルとしてより好ましい。
【0054】
GPCによる基油の劣化分析(一般分析)についての図3の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、明らかに基油の耐熱性及び耐酸化性が向上していることを示す。
【0055】
動粘度分析についての図4の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aの方が劣化速度が遅く同じ使用時間では、粘度上昇率は実施例1A〜3Aの方が小さいことを示す。
【0056】
ペンタン不溶分分析についての図5の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aの方が、ペンタン不溶分は少ないことを示す。
【0057】
全酸価分析についての図6の結果は、従来の鉱油を基油に用いた比較例1Aに比べて、合成油を基油に用いた実施例1A〜3Aにおいては、全酸価の上昇率が小さく、明らかに基油の耐熱性及び耐酸化性が向上していることを示す。
【0058】
全塩基価分析についての図7の結果は、比較例1Aの場合800hでほぼ0になるが、実施例1Aにおいては1700h、実施例2Aにおいては2000hを超えても存在することを示す。
【0059】
IC法による硫酸イオン分析についての図8の結果は、比較例1Aにおいては800hを超えると急激に増加しており、腐食の引き金となるが、実施例1A〜3Aにおいてはそのような急激な増加は起こらないことを示す。
【0060】
ICP法によるFe摩耗分析についての図9の結果は、比較例1Aに比べて実施例1A〜3Aの方がFeの摩耗量は少ないことを示す。また、トータルの摩耗量に関しては問題ない値である。
【0061】
シェル四球摩耗試験についての図10の結果は、比較例1Aに比べて実施例1A〜3Aの方が摩耗量は少なく、潤滑性能が向上していることを示す。
【0062】
実施例1Aのオイルを用いた1700hエンジン試験後のカム、バルブ、シリンダー、ピストンおよびピストンリングの異常および磨耗量について評価を行った結果、全く問題がなかった。
【0063】
実施例2Aのオイルを用いた2300hエンジン試験後のカム、バルブ、シリンダー、ピストンおよびピストンリングの異常および磨耗量について評価を行った結果、全く問題がなかった。
【0064】
比較例1Aのオイルは従来用いられていたものであり、1000h以上運転した際、腐食が発生し、エンジントラブルとなった。
【0065】
比較例2Aに関しては運転開始後300hでカムの磨耗によりエンジントラブル発生した。
【0066】
以上の結果よりも明らかなように、本願発明において、基油として芳香族エステルとPAOの混合物を使用することが肝要であって、このような構成を有することによってのみ、耐動弁系磨耗性能に優れ、長時間にわたる使用においても動粘度と全酸価の増加が抑制され塩基価が維持され、エンジンの清浄性が確保できるガスエンジン用潤滑油組成物を得ることができる。
【0067】
(2)第2発明について
実施例1B
100℃における動粘度が6mm2/sのポリα−オレフィン68重量%とエチレン−オレフィンのオリゴマー7重量%及び前記一般式(1)で表される芳香族エステル25重量%とからなる合成潤滑油基油を調製した。
【0068】
次に、この合成潤滑油基油に対しZnDTP及び清浄分散剤(金属系、無灰分系の両者)並びに無灰分系酸化防止剤を合計16重量%配合して潤滑油組成物を調製した。この潤滑油組成物について酸化寿命をNOx−O2吸収試験機を用いて評価した。NOx−O2吸収試験は試験温度165.5℃のオイルにNOx含有O2ガスを吹き込み、600ml吸収するのに要する時間により酸化安定性を評価するもので、吸収時間の長いもの程酸化安定性がよい。更に耐摩耗性について石油学会規格(JPI−5S−32−92)の「潤滑油の耐摩耗性試験方法」を用いて40kgf×30分の条件で耐摩耗性を評価した。
【0069】
その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1840分、摩耗試験の摩耗痕径は0.42mmであった。また、高温時における清浄性を評価するため、パネルコーキング試験を実施した。パネルコーキング試験は、Federal Test Method 791B-3462に準拠し、パネル温度320℃、油温90℃、テスト時間3時間としてアルミニウムパネルに付着するカーボン量(mg)を評価することにより清浄性を評価した。パネルへのカーボン付着量は、64mgであった。
【0070】
実施例2B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油として前記一般式(1)で表される芳香族エステル25重量%、ポリα−オレフィン45重量%、水素化精製鉱油30重量%を用いたこと以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1460分、摩耗試験の摩耗痕径は0.44mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は50mgであった。
【0071】
比較例1B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油として鉱油の水素化精製基油のみを用いた以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1000分、摩耗試験の摩耗痕径は0.45mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は80mgであった。
【0072】
比較例2B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油としてポリα−オレフィン(100℃における動粘度が6mm2/sのものが82重量%及び40mm2/sのものが18重量%)のみを用いたこと以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は950分、摩耗試験の摩耗痕径は0.52mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は89mgであった。
【0073】
比較例3B
実施例1Bにおいて、潤滑油基油として100℃の動粘度が6mm2/sのポリα−オレフィン68重量%とエチレン−オレフィンのオリゴマー7重量%及び100℃の動粘度が4.3mm2/sのポリオールエステル25重量%とからなる合成潤滑油基油を用いたこと以外は、実施例1と同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験及び摩耗試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1140分、摩耗試験の摩耗痕径は0.54mmであった。また、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は87mgであった。
【0074】
比較例4B
潤滑油基油として100℃の動粘度が6mm2/sのポリα−オレフィン64重量%とエチレン−オレフィンのオリゴマー11重量%及び前記一般式(1)で表される芳香族エステル25重量%とからなる、実施例1Bのポリα−オレフィン及びエチレン−オレフィンのオリゴマーの配合割合のみ変えたこと以外は、実施例1Bと同様に潤滑油組成物を調製し、NOx−O2吸収試験、摩耗試験及びパネルコーキング試験を行った。その結果、NOx−O2吸収試験の吸収時間は1800分、摩耗試験の摩耗痕径は0.42mmと実施例1とほぼ同様の結果であったが、パネルコーキング試験のカーボン堆積量は124mgであった。従って、清浄性の面からエチレン−オレフィンのオリゴマーの配合割合は上限10重量%が限度である。
【0075】
以上の実施例1B、実施例2B及び比較例1B〜4Bの配合量及び実用性能評価の結果を表3にまとめて示した。
【0076】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】赤外分析法によるカルボニル化度の分析結果を示す。
【図2】赤外分析法による硝酸化度の分析結果を示す。
【図3】GPCの測定結果を示す。
【図4】動粘度分析結果を示す。
【図5】ペンタン不溶分分析結果を示す。
【図6】全酸価分析結果を示す。
【図7】全塩基価分析結果を示す。
【図8】IC法による硫酸イオン分析結果を示す。
【図9】ICP法によるFe摩耗分析結果を示す。
【図10】シェル四球摩耗試験結果を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
〔式中、RはC8〜C13の有機基を示す。〕で表される芳香族エステルを構成要素とするガスエンジン用潤滑油基油に、ジチオリン酸亜鉛、無灰系酸化防止剤及び清浄分散剤を添加してなることを特徴とするガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項2】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)水素化精製鉱油60〜85重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項3】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)ポリα−オレフィン60〜85重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項4】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%、(b)ポリα−オレフィン40〜65重量%及び(c)水素化精製鉱油20〜45重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項5】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜35重量%、(b)100℃における動粘度が4〜40mm2/sであるポリα−オレフィン60〜80重量%及び(c)100℃における動粘度が510〜690mm2/sのエチレンとオレフィンのオリゴマー5〜10重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
〔式中、RはC8〜C13の有機基を示す。〕で表される芳香族エステルを構成要素とするガスエンジン用潤滑油基油に、ジチオリン酸亜鉛、無灰系酸化防止剤及び清浄分散剤を添加してなることを特徴とするガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項2】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)水素化精製鉱油60〜85重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項3】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%及び(b)ポリα−オレフィン60〜85重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項4】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜40重量%、(b)ポリα−オレフィン40〜65重量%及び(c)水素化精製鉱油20〜45重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物。
【請求項5】
基油が(a)前記一般式(1)で表される芳香族エステル15〜35重量%、(b)100℃における動粘度が4〜40mm2/sであるポリα−オレフィン60〜80重量%及び(c)100℃における動粘度が510〜690mm2/sのエチレンとオレフィンのオリゴマー5〜10重量%からなる請求項1記載のガスエンジン用潤滑油組成物
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−308698(P2008−308698A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216458(P2008−216458)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【分割の表示】特願平11−82503の分割
【原出願日】平成11年3月25日(1999.3.25)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【分割の表示】特願平11−82503の分割
【原出願日】平成11年3月25日(1999.3.25)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】
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