説明

ガスケットおよびシール装置

本発明の実施形態は、高圧の流体を保持するための装置および方法を特徴とする。本発明の一実施形態は、流体の受容および放出ための流体収容/搬送装置を特徴とする。装置は、流体を収容するためのチャンバを有するハウジングを備える。ハウジングは、ガスケットを受容するための第1のガスケット受容表面を有する。ガスケットは、変形可能な材料で作られ、第1の当接表面および第2の当接表面を有する。第1の当接表面が、第1のガスケット受容表面に受容され、第2の当接表面は、チャンバ閉鎖片に受容される。チャンバ閉鎖片は、チャンバを閉鎖するためのものであり、第2のガスケット受容表面を有する。ハウジングの第1のガスケット受容表面およびチャンバ閉鎖片の第2のガスケット受容表面の少なくとも一方が、少なくとも1つの縁を有する保持溝を有する。ガスケットを圧縮するための圧縮手段が、ガスケットがガスケットの移動を防止するために保持溝へと押し込まれて空洞の縁によって把持されるように、変形可能な材料を変形させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2004年8月24日に出願された米国特許仮出願第60/604,145号の優先権を主張する。この出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、流体の収容、受容、および放出のための部品の接続または結合のための装置および方法に向けられている。本発明によって製作される装置は、管継手、バルブ、および逆止弁に対する特別の用途を有している。
【背景技術】
【0003】
本発明は、流体の収容、受容、および放出のための装置に向けられている。本発明の特徴を具現化する装置としては、これらに限られるわけではないが例として、T管継手、ユニオン、管継手、バルブ、および逆止弁が挙げられる。これらの装置は、場合によっては、接続される2つ以上の導管の間に、ユニオンまたはT管継手あるいはバルブの形態で直列に配置される。用語「ユニオン」は、接続または一体化の意味で使用される。「T管継手」は、流体の流れが分割または結合される管継手の一形態である。装置は、場合によっては、より大きな構造体の一部であり、そのような構造体のハウジングのポートまたは開口を通じて連通する。
【0004】
この出願において、用語「管継手」は、例えばポンプアセンブリなどといったより大きな構造体中に配置でき、あるいは直列に配置できる装置を指して、最も広い意味で使用される。
【0005】
用語「バルブ」は、導管またはパイプ内の流体の流れを止めることができる装置を指して、従来からの様相で使用される。逆止弁は、一方向にのみ流体の流れを許容する特別なバルブである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術の管継手およびバルブは、典型的には、別個かつ分離した部品であるガスケットおよびシールを有している。これらのガスケットおよびシールは、材料のクリープ、コールドフロー、応力緩和、および押し出しを呈する。すなわち、流体の圧力が変動するとき、ガスケットが移動する。この移動により、ガスケットが元の位置から滑る可能性があり、ガスケットまたはシールの不具合につながる。
【0007】
また、この移動は、圧力が解放されるときにガスケットの反発を生み、圧力リップルを生み出す可能性がある。特に、分析機器が、反発および圧力リップルの影響を受けやすい。
【0008】
これらの問題は、このような装置によって閉じこめられる圧力が増すにつれて、より大きくなる。クロマトグラフィー用のポンプおよび検出器など、分析機器は、典型的には、高圧/高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)においては、約3.4×10kPa(1平方インチあたり5,000ポンド(5,000psi))にものぼる圧力で動作し、超高圧の仕組みにおいては約14×10kPa(20,000psi)にものぼる圧力で動作する。分析機器を、より高い圧力で動作させることが望ましいが、約2.1×10kPa(3,000psi)を超える圧力においては、管継手、バルブ、および逆止弁の故障率が高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、流体を収容、受容、および放出するための装置および方法に向けられている。装置に向けられる本発明の一実施形態は、流体を収容するためのチャンバを有するハウジングを備える。ハウジングは、ガスケットを受容するための第1のガスケット受容表面を有する。さらに装置は、変形可能な材料で作られ、第1の当接表面および第2の当接表面を有しているガスケットを有する。第1の当接表面が、第1のガスケット受容表面に受容され、第2の当接表面は、チャンバ閉鎖片を受容するためのものである。さらに装置は、第2のガスケット受容表面を有するチャンバ閉鎖片を備える。チャンバ閉鎖片は、チャンバを閉じるためのものである。ハウジングの第1のガスケット受容表面およびチャンバ閉鎖片の第2のガスケット受容表面の少なくとも一方が、保持溝を有している。保持溝は、ガスケットに係合するための少なくとも1つの縁を有する。さらに装置は、ガスケットを圧縮するための圧縮手段を有しており、ガスケットが、ガスケットの移動を防止するために空洞へと押し込まれて保持溝の縁によって把持されるように、圧縮手段は材料を変形させる。
【0010】
本明細書において使用されるとき、用語「チャンバ」は、流体が保持され、受容され、あるいは放出される空間を指している。例えば、本発明の実施形態は、逆止弁における使用に特に適しており、その場合には、ハウジングが逆止弁のハウジングである。チャンバは、流体が保持される任意の内部空間を備えることができる。好ましくは、チャンバは、フラップのボールまたは回転構造体など、流れを閉じる部材が保持されるチャンバである。
【0011】
チャンバ閉鎖片は、ガスケットおよびハウジングと対をなす任意の部分、部品、またはアセンブリを備えることができる。
【0012】
好ましくは、第1のガスケット受容表面および第2のガスケット受容表面の少なくとも一方が、平面を定めている。さらに保持溝が、保持溝が配置される第1のガスケット受容表面および第2のガスケット受容表面の平面に対して、ある角度を有する凹み壁(recessed wall)を有している。好ましい角度は、平面から45度〜135度の範囲にある。保持溝は、保持溝が配置される表面にV字形を定めることができる。
【0013】
好ましくは、ガスケット受容表面が、円形の形状(circular lay)を有する機械加工表面を有している。円形の形状は、ガスケットを移動に抗して保持するため、ガスケットおよび圧縮手段と協働する。
【0014】
好ましくは、ガスケットは、少なくとも0.2の摩擦係数を有する材料で構成される。好ましい変形可能材料は、ポリアリルケトンまたはエチレンである。好ましいポリアリルケトンまたはエチレンは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)、ならびにこれらの混合物で構成される組成物のグループから選択される。好ましくは、材料が、少なくとも80パーセントのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。
【0015】
好ましいガスケットは、約0.0254mm〜約0.127mm(0.001インチ〜0.005インチ)の間の厚さを有する。この薄いガスケットは、より大きな弾性を有する領域を制限するため、チャンバおよびチャンバに収容される流体に対して小さな領域を呈する。ガスケットの厚さが、保持溝の深さを左右する。好ましくは、保持溝がある深さを有しており、ガスケットの厚さが、該深さ以上である。
【0016】
好ましくは、空洞が配置される第1のガスケット受容表面または第2のガスケット受容表面が、チャンバに近い第1の縁およびチャンバから遠い第2の縁を有する。第1の縁と第2の縁との間の距離が中間点を有しており、圧力リップルを最小にするため、保持溝が、ほぼ中間点に位置し、あるいは第1の縁の近くに位置している。
【0017】
装置のさらなる実施形態は、第1の通路と第1の取り付けガスケット受容表面とを有する第1のハウジングを備える。第1の通路は、第2のハウジングの第2の通路から流体を受容し、あるいは第2のハウジングの第2の通路へと流体を放出するためのものである。第1の取り付けガスケット受容表面は、第1の通路を第2のハウジングの第2の開口に流体連絡させるため、ガスケットを第2のハウジングに対して押し付けるためのものである。第1の取り付けガスケット受容表面は、変形可能なガスケットを受容するためのガスケット空洞に凹められている。さらに装置は、第2のガスケット受容表面と第2の通路とを有する第2のハウジングを備える。第2の通路は、第1のハウジングの第1の通路から流体を受容し、あるいは第1のハウジングの第1の通路へと流体を放出するためのものである。第2の取り付けガスケット受容表面は、第2の通路を第1の通路に流体連絡させるため、ガスケットを第1のハウジングの第1の取り付けガスケット受容表面に対して押し付けるためのものである。さらに装置は、ある厚さを有するガスケットを備え、ガスケットは、ガスケット空洞に収容されるように構成および配置され、ガスケットの厚さの少なくとも5パーセント〜25パーセントが、荷重が加わっていない位置で空洞から突き出る。さらに装置は、第1のハウジングおよび第2のハウジングを一体に押し付けて前記ガスケットを圧縮し、前記第1の通路と前記第2の通路との間を流体連絡させる圧縮手段を備える。
【0018】
圧縮手段による圧縮時、ガスケットは、ほぼ0パーセント〜5パーセント、最も好ましくは1パーセント以下の突き出し高さを有する。ガスケットの塊が、好ましくはガスケット空洞の変形されたガスケット受容領域へと導かれる。ガスケット空洞の変形されたガスケット受容領域は、荷重が加わっていない位置、すなわち圧縮されていない状態においては、ガスケットを収容していない。このようにして、ガスケットは、結合表面の間へと導かれることなく、空洞へと導かれる。変形されたガスケットの材料は、より弾性的であり、より圧力リップルに寄与する傾向にある。
【0019】
好ましい空洞は、台形形状を有している。台形は、基部に鋭角を有してガスケット受容領域を形成している。ガスケットが、空洞の縁によって保持される。
【0020】
ガスケットは、圧縮下の高さおよび圧縮なしの高さを有している。好ましくは、圧縮下の高さが、圧縮なしの高さの15%〜30%である。ガスケットは、総表面積と、ガスケット受容表面にさらされない非負荷表面積と、非ガスケット受容表面にさらされる負荷表面積を有している。負荷表面積が、総表面積のほぼ0%〜5%の範囲を有し、非負荷表面積が、ガスケットの総表面積の約6%〜11%の範囲を有する。
【0021】
好ましくは、材料が、ポリアリルケトンまたはエチレンである。好ましいポリアリルケトンおよびエチレンは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)、ならびにこれらの混合物で構成される組成物のグループから選択される。
【0022】
本発明の実施形態は、第1のハウジングがバルブハウジングであって、特に逆止弁である用途に、理想的に適している。これらのバルブがポンプに配置され、第2のハウジングがポンプハウジングである。
【0023】
そのような用途においては、圧縮手段が、ねじ管継手およびポンプハウジングの協働するねじ山を備える。第1のハウジングが、ねじ管継手に接続され、第2のハウジングが、ねじ管継手を受容するための協働するねじ山を有している。ねじ管継手が、第2のハウジングに対して回転され、締め付け時に、第2のハウジングがガスケットを圧縮する。
【0024】
本発明の装置は、約3.4×10kPa(5,000psi)を超える圧力下で流体を収容および搬送することができる。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、上述の装置の製作方法および使用方法に向けられている。
【0026】
これらの特徴および利点、ならびにさらなる特徴および利点が、図面を見て、以下の詳細な説明を読むことによって、当業者にとって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明するが、図面および説明が、本発明の好ましい実施形態に向けられていることを理解すべきである。本発明の実施形態は、バルブおよびコネクタとして顕著な有用性を有している。しかしながら、本発明の実施形態は、圧力下で動作する任意の流体搬送または収容装置に対して適用可能である。
【0028】
ここで図1を参照すると、本発明の特徴を具現化している装置が、全体的に符号21によって示されて描かれている。装置は、以下の主要な構成要素を有している。すなわち、チャンバ27を有するハウジング25、少なくとも1つ(図では2つ)のガスケット31aおよび31b、圧縮手段33、ならびに閉鎖片37である。
【0029】
装置21は、バルブの性質であって、ボール41とばね43とを備える逆止弁アセンブリを有している。ボール41およびばね43を、ほかのバルブアセンブリで置き換えてもよいことを、当業者であれば理解できるであろう。例えば、バルブアセンブリが、回転バルブの固定子および回転子、プランジャおよび座アセンブリ、または揺動フラップ(図示せず)を備えてもよい。ボール41およびばね43は、従来からの様相で動作するように構成され、チャンバ27に配置される。すなわち、ボール41およびばね43が、ただ1つの方向に流体の流れを許容する。
【0030】
ハウジング25は、円柱形の形態であってチャンバ27を定めている第1の内壁45aを有している。図2に最もよく見られるように、ハウジング25は、径方向外側へと延びて縁47を形成しているハウジングガスケット受容表面49を有する。ハウジング25は、円柱形の形態であって第1の内壁45aよりも直径が大きい第2の内壁45bを有し、第1の内壁45aは、チャンバ閉鎖片37を保持する空洞を定める。さらに、ハウジング25は、円柱形の形態の第3の内壁45cを有し、第3の内壁45cは、圧縮手段33の全体または一部を保持する空洞を定める。通路29が、チャンバ27をチャンバの外部との流体連絡に置くことができるようにしている。
【0031】
閉鎖片37は、第2の内壁45bに嵌り込んで第2の内壁45bと協働するよう、円柱形の形状である。図2に最もよく見られるように、閉鎖片37は、第1の閉鎖片ガスケット受容表面39aおよび第2の閉鎖片ガスケット受容表面39bを有する。ハウジングガスケット受容表面49および第1の閉鎖片ガスケット受容表面39aが、両者の間に挿入された第1のガスケット31aを受容する。再び図1に目を向けると、閉鎖片37が、流体がチャンバ27から出ることができるように開口53を有する。
【0032】
圧縮手段33は、いくつかの形態をとることができる。図示のとおり、圧縮手段33は、管継手の第1の壁57を有するねじ管継手55を備える。好ましくは、管継手の第1の壁57およびハウジングの第3の壁45cが、ねじ管継手55とハウジング25との相対回転によって、ねじ管継手をハウジングの第3の壁45cの空洞内へと移動するよう、協働するねじ山を有する。
【0033】
ねじ管継手55は、円柱形の形態の圧縮柱59を有し、圧縮柱59は、ハウジング25の第2の内壁45bへと嵌り込み、ハウジング25の第2の内壁45bと協働するように構成および配置される。圧縮柱59は、第2のガスケット31bを受容するための柱ガスケット受容表面61を有する。ねじ管継手55は、逆止弁アセンブリ35の開放時に、チャンバ27との流体連絡を可能にする軸方向の管継手開口63を有する。管継手開口63は、当技術分野において知られている、配管または導管と適切な接続管継手とを有している流体継手(図示せず)を受容するため、拡大部65を有する。
【0034】
第1のガスケット31aおよび第2のガスケット31bは、ソフトメタルまたはプラスチックなどといった変形可能な材料で形成されている。好ましい材料は、ポリアリルケトンまたはエチレンである。特に好ましい材料の1つは、少なくとも80%のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で構成されている。好ましくは、ガスケット31aおよび31bは、少なくとも0.2の摩擦係数を有する材料で構成されている。
【0035】
次に図3に目を向けると、好ましくは、ガスケット31aおよび31bが、高圧の流体に対して薄い外形を呈している。すなわち、第1のガスケット31aおよび第2のガスケット31bが、第1の平坦表面51aおよび第2の平坦表面51bを有する。内壁53aは、閉鎖片37の開口53、およびねじ管継手55の開口63、ならびに外壁53bと協働するための開口を定める。内壁53aおよび外壁53bは、円柱形であり、各ガスケット31aおよび31bの厚さを定めている軸方向の長さ寸法を有する。好ましい厚さは、約0.0254mm〜約0.127mm(0.001インチ〜0.005インチ)である。
【0036】
第1のガスケット31aおよび第2のガスケット31bは、ガスケットに加わると予想される流体圧力の2倍〜4倍のガスケット応力係数を有している。用語「ガスケット応力係数」は、管継手内を流れる液体の流体圧力に対する接触応力圧力(すなわち、管継手の構成部品に加えられる圧縮)間の倍率を示すために使用される。この関係は、以下の式で記述することができる。
【0037】
接触応力圧力=流体圧力×ガスケット応力係数
接触応力圧力は、好ましくは予想される流体圧力よりも大きい。本発明は、最大で約10.2×10kPa(約15,000psi)にもなる圧力の流体の搬送または収容に、特に有用性を有している。
【0038】
ガスケット31aおよび31bの厚さは、ハウジングガスケット受容表面49、閉鎖片ガスケット受容表面51aおよび51b、ならびに柱ガスケット受容表面61から選択される、1つ以上のガスケット受容表面に担持されているガスケット保持凹部と協働するように選択される。好ましくは、一方では、ハウジングガスケット保持表面49と閉鎖片ガスケット受容表面51a、他方では、閉鎖片ガスケット受容表面51bと柱ガスケット受容表面61などの、対向するガスケット保持表面の少なくとも一方が、保持溝を有している。図2に最もよく見られるように、閉鎖片ガスケット保持表面51aおよび柱ガスケット保持表面61それぞれが、保持溝67aおよび67bを有する。
【0039】
次に、柱ガスケット受容表面61などのガスケット保持表面を、断面で示している図3に目を向けると、保持溝67bが描かれている。保持溝67bは、いくつかの形態をとることができるが、そのうちの1つが図3に描かれている。図2に描かれている保持溝67aは、図3に描かれている保持溝67bと一致している。
【0040】
保持溝67bは、柱ガスケット受容表面61の上部から測定される深さ71を有する。好ましくは、柱ガスケット受容表面61に受容されるガスケット31aの厚さが、保持溝67bの深さ71と同じか、それ以上である。
【0041】
図3の保持溝67bは、2つの縁73aおよび73bを有する三角形の断面である。図3に示した三角形形態の保持溝67aは、2つの下り壁75aおよび75bを有する。
【0042】
縁73aおよび73bは、柱ガスケット受容表面61の平面から下り壁75aおよび75bへと測定される角度を有している。好ましくは、この角度が、35度〜135度である。縁73aおよび73bが、ガスケット31aへと押し込まれ、圧力サイクルの間にガスケットの移動およびクリープを防止する。
【0043】
図3に最もよく見られるように、保持溝67bは、軸方向の管継手開口63の近くに位置している。同様に、保持溝67aは、チャンバ27に対して近くに位置している。すなわち、ガスケット受容表面61が、破線Mによって示される中間点を有しており、保持溝67bが、中間点と開口63との間に位置している。このようにして、保持溝67bが、クリープを防止すべくガスケット31bを把持する位置にある。
【0044】
ハウジングガスケット受容表面49、閉鎖片ガスケット受容表面51aおよび51b、ならびに柱ガスケット受容表面61を備えるガスケット受容表面は、円形の形状を有している。機械加工の技術分野の当業者であれば、円形の形状が、片の中心を巡る円運動による機械加工を意味することを、理解できるであろう。円形の形状は、ガスケット31aまたは31bをさらに把持する小さな溝(図示せず)を生み出す。
【0045】
次に、図1に目を向けると、装置21が、ポンプ83の第2のハウジング81に固定される。装置21は、取り付けガスケット85を有する。取り付けガスケット85は、ハウジング25の第1の取り付けガスケット表面87および第2のハウジング81の第2の取り付けガスケット表面89に、嵌り込んで受容される。当業者であれば、第2のハウジング81が、図示のようにポンプ83に組み合わせられてよく、あるいは他の管継手、ハードウェア、検出器などに組み合わせられてもよいことを、理解する。
【0046】
装置21は、第1の取り付けガスケット表面87を貫いて延びて、チャンバ27と連通する通路29を有する。通路29は、圧力下の流体を受容し、そのような流体がチャンバ27へと進入できるようにするため、ポンプ通路91と流体連絡している。
【0047】
装置21は、平坦な表面を有する端壁93と、凹み壁95aおよび95bとを有しており、これらが、取り付けガスケット85の一部分を取り付けガスケット表面87に収容すべく協働する。ガスケット85は、変形可能である。圧縮のない状態において、取り付けガスケット85は、静止内側半径および静止外側半径を有し、圧縮された状態において、取り付けガスケットは、負荷内側半径および負荷外側半径を有する。同様に、圧縮の条件下で、取り付けガスケットは、静止厚さを呈し、荷重のもとで、負荷厚さを呈する。好ましくは、取り付けガスケットは、圧縮のもとで、ガスケットの塊の5%〜25%が、凹み壁95の静止内側半径および静止外側半径を超えて押し出されるような厚さを有している。圧縮のもとで、圧縮下厚さは、圧縮なしの厚さの15%〜30%である。取り付けガスケット85は、負荷表面積および非負荷表面積を有している。負荷表面積は、総表面積のほぼ0パーセント〜5パーセントの範囲を有しており、非負荷表面積は、総表面積の6パーセント〜11パーセントである。
【0048】
次に図4に目を向けると、この図は、ハウジング25を、取り付けガスケット受容表面の断面で示している。凹み壁95が、取り付けガスケット受容表面87に関する半径が、端壁93における凹み壁95aの半径よりも大きくなっている台形を定めている。凹み壁95bは、端壁93における凹み壁93bの半径よりも小さいガスケット受容表面87に関する半径を有する。端壁93に直交する線と凹み壁95とを境界とする三角形の領域が、凹みから突き出しているガスケット厚さの約5パーセント〜25パーセントを有する、取り付けガスケット85の膨張を受容する負荷ガスケット空洞97を定めている。すなわち、端壁93が、第2のハウジング81に接近するが、第2のハウジング81に出会って接触することはない。負荷ガスケット空洞97は、ガスケットの体積の約0.01%〜0.5%、好ましくは0.1%〜0.2%を収容するように構成および配置されている。例えば、ガスケットの総体積が、約111.4×10−3cm(6.791×10−3立方インチ)である場合には、負荷ガスケット空洞は、約16.67×10−5cm(1.016×10−5立方インチ)の体積に寸法決められる。凹み壁95は、取り付けガスケット85をクリープに抗して守る。
【0049】
取り付けガスケット85は、ポリアリルケトンまたはエチレンなどといった、ポリマーのプラスチック材料で作られている。好ましいポリアリルケトンおよびエチレンは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ならびにパーフルオロアルコキシ(PFA)、およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)、およびこれらの混合物で構成されるグループから選択される。ガスケット以外の構成要素は、金属で作られる。好ましい金属は、ステンレス鋼である。
【0050】
次に図1および図2に目を向けると、装置21は、取り付けガスケット圧縮手段を圧縮スリーブ101の形態で有する。圧縮スリーブ101は、当技術分野において知られている様相で、雌ねじおよび雄ねじ(図示せず)を有している。雌ねじが、ハウジング25を圧縮スリーブ101へと固定するため、ハウジング25のねじ山(図示せず)と協働する。雄ねじは、ポンプ83の第2のハウジングの空洞103のねじ山(図示せず)と協働する。圧縮スリーブ101、ハウジング25、および第2のハウジング81の相対回転によって、装置21がポンプ83へと押し付けられて固定される。カム、ねじ、または他の固定装置を備えるスリーブなど、協働するねじ山以外の他の圧縮手段を、ハウジング25を第2のハウジング81へと固定するために使用してもよいことを、当業者であれば容易に理解できるであろう。
【0051】
装置21の動作は、装置21の製作および使用の方法に例示される。ここで図2に目を向けると、取り付けガスケット85が、ハウジング25の取り付けガスケット受容表面85上に固定される。逆止弁アセンブリ35が、チャンバ27内に配置される。ガスケット31aが、ハウジングガスケット保持表面49上に配置される。チャンバ閉鎖片37が、ガスケット31a上の閉鎖片ガスケット受容表面51aで、ハウジング25内に配置される。第2のガスケット31bが、閉鎖片ガスケット受容表面51bの上に配置され、次いでねじ管継手33が、ガスケット31b上の柱ガスケット受容表面61で配置される。ねじ管継手33をハウジング25に対して回転させることで、円形形状のガスケット受容表面ならびに保持溝67aおよび67bによって、所定の位置に保持されているガスケット31aおよび31bを圧縮する。圧縮スリーブ101が、協働するねじ山(図示せず)によってハウジング25に固定される。
【0052】
ここで図1に目を向けると、圧縮スリーブ101および空洞103の協働するねじ山(図示せず)によって、装置21が、ポンプ83の空洞103に固定される。圧縮スリーブ101を空洞103に対して回転させることで、取り付けガスケット85が圧縮され、取り付けガスケットは負荷ガスケット空洞97へと押し込まれる。逆止弁アセンブリが、チャンバ27を通過する一方向の流体の移動を可能にする。
【0053】
装置21は、最大約10.2×10kPa(15,000psi)の圧力に耐えることが可能である。したがって、本発明の装置および方法は、高圧の用途に理想的に適している。本発明に従って製作された装置は、材料のクリープ、コールドフロー緩和、および押し出しを呈することがない。すなわち、流体の圧力が変動しても、ガスケットが元の位置から大きく移動することがない。このように、本発明の実施形態は、ガスケットの不具合が生じにくい装置を提供する。
【0054】
これらの特徴および利点を、本発明の好ましい実施形態を記載している図面および詳細な説明に関して上述した。本発明を、本明細書の教示から逸脱することなく変更および修正できることを、当業者であれば理解できるであろう。本発明は、これらの詳細に限定されるものではなく、特許請求の範囲の主題およびそれらの均等物を包含するものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明によって製作された装置の側方断面図で示す。
【図2】本発明によって製作された装置の側方断面図で示す。
【図3】本発明の実施形態の1つに従って製作された、装置のチャンバ閉鎖片のガスケット受容表面の空洞のV溝の拡大断面図で示す。
【図4】本発明の実施形態の1つに従って製作された、装置の結表合面の凹んだ空洞の拡大断面図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を保持または搬送するための装置であって、
流体を収容するためのチャンバと、ガスケットを受容するための第1のガスケット受容表面とを有する、ハウジングと、
変形可能な材料で形成され、前記第1のガスケット受容表面およびチャンバ閉鎖片を受容するための前記第2の当接表面に受容される、ガスケットと、
第2のガスケット受容表面を有する、前記チャンバを閉鎖するためのチャンバ閉鎖片とを備え、前記ハウジングの前記第1のガスケット受容表面および前記チャンバ閉鎖片の前記第2のガスケット受容表面の少なくとも一方が、少なくとも1つの縁を有する保持溝を有し、前記装置がさらに、
ガスケットを圧縮するための圧縮手段を備え、ガスケットが、ガスケットの移動を防止するために前記保持溝へと押し込まれて縁によって把持されるように、圧縮手段が、変形可能な材料を変形させる、装置。
【請求項2】
前記ハウジングが、逆止弁のハウジングである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のガスケット受容表面および前記第2のガスケット受容表面の前記少なくとも一方が、平面を定めており、前記保持溝が、前記平面に対して45度〜135度の範囲の角度を有する下り壁を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ガスケットが、少なくとも0.2の摩擦係数を有する材料で構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ガスケット受容表面が、円形の形状を有する機械加工表面を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記変形可能な材料が、ポリアリルケトンまたはエチレンである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記変形可能な材料が、少なくとも80パーセントのポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記保持溝が、V字形である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ガスケットが、約0.0254mm〜約0.127mm(0.001インチ〜0.005インチ)の間の厚さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ガスケットがある厚さを有し、前記保持溝がある深さを有し、前記厚さが、前記深さと同じ、または前記深さを超える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記保持溝を有している前記第1のガスケット受容表面および前記第2のガスケット受容表面が、前記チャンバに近い第1の縁と、前記チャンバから遠い第2の縁とを有し、前記第1の縁と前記第2の縁との間の距離が中間点を有し、前記保持溝が、圧力リップルを最小にするため、ほぼ前記中間点に位置し、あるいは前記第1の縁の近くに位置している、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
流体の収容または搬送のための装置であって、
第1の通路と、端壁と、凹み壁と、第1の取り付けガスケット受容表面とを有するハウジングを備え、前記第1の通路の開口が、第2のハウジングの第2の通路から流体を受容し、あるいは第2のハウジングの第2の通路へと流体を放出し、前記第1の取り付けガスケット受容表面が、前記第1の通路を前記第2のハウジングの第2の通路に流体連絡させるため、ガスケットを前記第2のハウジングに対して押し付け、前記端壁が、前記ハウジングの端部を定めるとともにある平面を定め、前記凹み壁が、ガスケット空洞を定めるため、前記端壁から前記ハウジング内へと延びて、前記第1の取り付けガスケット受容表面で終端し、第1の結合表面が、変形可能なガスケットを受容するためのガスケット空洞を有し、前記第1の結合表面において凹められた前記ガスケット空洞が、前記第1の開口を離間した関係で囲むとともにある深さを有し、前記装置がさらに、
第2のガスケット受容表面と第2の通路とを有する第2のハウジングを備え、前記第2の通路が、前記第1のハウジングの前記第1の通路から流体を受容し、あるいは前記第1のハウジングの前記第1の通路へと流体を放出し、前記第2のガスケット受容表面が、前記第2の通路を前記第1の通路に流体連絡させるため、前記第1のハウジングの前記第1の取り付けガスケット受容表面に対してガスケットを押し付け、前記装置がさらに、
ある厚さを有するガスケットを備え、該ガスケットが、前記ガスケットの厚さの少なくとも10パーセントを前記ガスケット空洞から突き出させて、前記ガスケット空洞に収容されるように、構成および配置され、前記装置がさらに、
前記第1のハウジングおよび第2のハウジングを一体に押し付けて前記ガスケットを圧縮し、前記第1の通路と前記第2の通路との間を流体連絡させる圧縮手段を備える、装置。
【請求項13】
材料が、ポリアリルケトンまたはエチレンである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ポリアリルケトンまたはエチレンが、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリトリフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、およびフッ化エチレンプロピレン(FEP)、ならびにこれらの混合物からなる組成物のグループから選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のハウジングが、バルブハウジングである、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記第2のハウジングが、ポンプハウジングである、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記圧縮手段が、協働するねじ山を有する圧縮スリーブを備え、前記第1のハウジングが、前記圧縮スリーブに接続され、前記第2のハウジングが、前記圧縮スリーブを収容すべく協働するねじ山を有しているポンプハウジングであって、締め付けの際に前記ガスケットを圧縮する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
約3.4×10kPa(5,000psi)を超える圧力下での流体が、前記第1の開口と前記第2の開口との間を搬送される、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記ガスケットが、圧縮下の高さおよび圧縮なしの高さを有しており、前記圧縮下の高さが、圧縮なしの高さの15%〜30%である、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記ガスケットが、ある総表面積を有するとともに、非負荷表面積および負荷表面積を有し、前記負荷表面積が、総表面積のほぼ0%5%の範囲を有し、約6%〜11%の非負荷表面積を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項21】
第1のハウジングを第2のハウジングへとシールする方法であって、
第1の通路の端壁と、凹み壁と、取り付けガスケット受容表面とを有する第1のハウジングを提供するステップを含み、前記第1の通路が、第2のハウジングの第2の通路から流体を受容し、あるいは第2のハウジングの第2の通路へと流体を放出し、前記取り付けガスケット受容表面が、前記第1の通路を前記第2のハウジングの第2の通路に流体連絡させるため、ガスケットを前記第2のハウジングに対して押し付け、前記第1の通路の端壁が、前記第1のハウジングの端部を定めるとともにある平面を定め、前記凹み壁が、ガスケット空洞を定めるため、前記第1のハウジング内へと延びて前記第1の取り付けガスケット受容表面で終端し、前記ガスケット空洞が、変形されたガスケット材料領域を有し、変形可能なガスケットを受容し、前記方法がさらに、
第2の取り付けガスケット受容表面と第2の通路とを有する第2のハウジングを提供するステップを含み、前記第2の通路が、前記第1のハウジングの前記第1の通路から流体を受容し、あるいは前記第1のハウジングの前記第1の通路へと流体を放出し、前記第2の取り付けガスケット受容表面が、前記第2の開口を前記第1の通路に流体連絡させるため、前記第1のハウジングの前記第1の取り付けガスケット受容表面に対してガスケットを押し付け、前記方法がさらに、
ある厚さを有するガスケットを提供するステップを含み、該ガスケットが、前記ガスケット空洞に収容されるように構成および配置され、変形されたガスケット材料領域を占めない非負荷位置において、前記ガスケットの厚さの少なくとも5パーセント〜10パーセントが前記空洞から突き出し、前記厚さが前記非負荷位置よりも小さい負荷位置で、前記変形されたガスケット材料領域が前記ガスケットによって占められ、前記方法がさらに、
前記第1のハウジングおよび第2のハウジングを一体に押し付けて前記ガスケットを圧縮し、前記第1の通路と前記第2の通路との間を流体連絡させるために圧縮手段を使用するステップを含む、方法。
【請求項22】
流体を保持または搬送する方法であって、装置を提供するステップを含み、
該装置が、
流体を収容するためのチャンバと、ガスケットを受容するための第1のガスケット受容表面とを有する、ハウジングと、
変形可能な材料で形成され、前記第1のガスケット受容表面および片に受容されるガスケットと、
第2のガスケット受容表面を有するチャンバ閉鎖片とを備え、前記チャンバ閉鎖片が、チャンバを閉鎖するため前記ガスケット上に配置され、前記ハウジングの前記第1のガスケット受容表面および前記チャンバ閉鎖片の前記第2のガスケット受容表面の少なくとも一方が、保持溝を有し、前記空洞が、少なくとも1つの保持溝縁を有し、前記装置がさらに、
ガスケットを圧縮するための圧縮手段を備え、ガスケットが、ガスケットの移動を防止するように前記保持溝へと押し込まれて縁によって把持されるように材料を変形させる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−510950(P2008−510950A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530108(P2007−530108)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/030199
【国際公開番号】WO2006/024001
【国際公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(504438255)ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド (80)
【Fターム(参考)】