説明

ガスタービンエンジン組立体

【課題】エンジンシステム潤滑油等の空冷冷却システムを提供する。
【解決手段】ファン組立体12と、前記ファン組立体12の下流のコアガスタービンエンジン13と、前記ファン組立体12を実質的に囲むファンケーシング42と、前記ファンケーシング42との間にバイパスダクト40が形成されるように前記コアガスタービンエンジン13を実質的に囲むスプリッタ44の外側壁203と、前記ファン組立体12の上流で前記ファンケーシング42に結合された弓形熱交換器組立体130とを含むガスタービンエンジン10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはガスタービンエンジンに関し、より具体的には、ガスタービンエンジン組立体等に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは一般的に、入口、ファン、低圧及び高圧圧縮機、燃焼器、並びに少なくとも1つのタービンを含む。圧縮機は、空気を加圧し、加圧空気は燃焼器に流れて、燃焼器において、加圧空気は燃料と混合される。混合気は次に、点火されて、高温燃焼ガスを発生するようになる。この燃焼ガスは、1つ又は複数のタービンに流れ、タービンは、燃焼ガスからエネルギを取出して、1つ又は複数の圧縮機に動力を供給すると同時に、飛行中に航空機を推進する又は発電機のような負荷に動力を供給するような有用な仕事を行うようになる。
【0003】
エンジン作動時に、大量の熱が生成され、それらの熱により、エンジンシステムの温度が許容不能なレベルまで上昇する。その寿命及び信頼性を高めるために、これらのシステムは、冷却されなければならない。1つの実施例は、ガスタービンエンジン内の構成部品を潤滑するのを可能にするために利用される潤滑システムである。潤滑システムは、ガスタービンエンジン内の様々な軸受組立体に潤滑流体を流すように構成される。作動時に、熱は、2つの源から、すなわちサンプ内の軸受及びシールのような構成部品による摺動及び転がり摩擦によって発生した熱により、並びにサンプエンクロージャを囲む高温空気によるサンプ壁を通しての熱伝導により、潤滑流体に伝達される。
【0004】
潤滑流体の作動温度を低下させるのを可能にするために、少なくとも1つの公知のガスタービンエンジンは、エンジンを通って流れる空気ストリーム内に配置された従来型のラジエータを利用して、エンジンを通過する空気により、内部で循環している流体を冷却するのを可能にする。しかしながら、この方法は、滑らかな空気流に対して障害を与えて乱流及び圧力低下の両方を引き起こし、それがエンジン性能に悪影響を与えるので、大きな欠点を有している。
【特許文献1】米国特許第7,140,174 B2号公報
【特許文献2】米国特許第6,460,324 B1号公報
【特許文献3】米国特許第6,385,987 B2号公報
【特許文献4】米国特許第6,145,296号公報
【特許文献5】米国特許第5,918,458号公報
【特許文献6】米国特許第5,392,614号公報
【特許文献7】米国特許第5,269,133号公報
【特許文献8】米国特許第4,503,683号公報
【特許文献9】米国特許第4,190,398号公報
【特許文献10】米国特許第4,137,705号公報
【発明の開示】
【0005】
1つの態様では、ガスタービンエンジン用の熱交換器を提供する。本熱交換器は、弓形半径方向内側壁と、弓形半径方向内側壁との間に空洞が形成されるように該半径方向内側壁に結合された弓形半径方向外側壁とを含み、ファンケーシング又はブースタケーシングに結合された弓形熱交換器をバイパスダクト内に形成している。
【0006】
別の態様では、タービンエンジン組立体を提供する。本タービンエンジン組立体は、ファン組立体と、ファン組立体の下流のブースタと、ファン組立体を実質的に囲むファンケーシングと、ファンケーシングとスプリッタとの間にバイパスダクトが形成されるようにブースタを実質的に囲むブースタケーシングと、それがファンケーシング又はスプリッタに結合されるように少なくとも部分的に空洞内に結合された弓形熱交換器と含む。
【0007】
またここでは、タービンエンジンを組立てる方法を開示する。本方法は、少なくとも半径方向内側壁、半径方向外側壁、並びに半径方向内側壁及び外側壁間の空洞によって形成された1つ又はそれ以上の流体径路を含む熱交換器組立体を組立てる段階と、熱交換器組立体がバイパスダクトの少なくとも一部分の円周方向及び軸線方向輪郭と実質的に同じである円周方向及び軸線方向輪郭を有するように、該熱交換器組立体を湾曲させる段階と、バイパスダクト内に熱交換器を結合する段階とを含む。
【0008】
図1は、長手方向軸線11を有する例示的なガスタービンエンジン組立体10の概略図である。ガスタービンエンジン組立体10は、ファン組立体12及びコアガスタービンエンジン13を含む。コアガスタービンエンジンは、高圧圧縮機14、燃焼器16及び高圧タービン18を含む。この例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン組立体10はまた、低圧タービン20を含むことができる。ファン組立体12は、ロータディスク26から半径方向外向きに延びるファンブレード24の配列を含む。エンジン10は、吸入側28及び排出側30を有する。ガスタービンエンジン組立体10はまた、例えばファン組立体12、圧縮機14、高圧タービン18及び低圧タービン20に回転及び軸方向支持を与えるために利用される複数の軸受組立体(図1には図示せず)を含む。
【0009】
作動中、空気はファン組立体12を通って流れ、空気流の第1の部分50は圧縮機14を通って流れて、圧縮機14において、空気流はさらに加圧され、燃焼器16に送給される。燃焼器16からの高温の燃焼生成物(図1には図示せず)は、タービン18及び20を駆動し、従ってエンジン推力を生成するために利用される。ガスタービンエンジン組立体10はまた、ファン組立体12から吐出された空気流の第2の部分52をコアガスタービンエンジン13の周りでバイパスさせるために利用されるバイパスダクト40を含む。より具体的には、バイパスダクト40は、ファンケーシング又はシュラウド42の内側壁201とスプリッタ44の外側壁203との間で延びる。
【0010】
図2は、ガスタービンエンジン組立体10(図1に示す)で利用することができる例示的な潤滑オイル供給及び排出システム100の簡略概略図である。この例示的な実施形態では、システム100は、オイル供給源120と、オイルを軸受104、106、108及びギヤボックス60に循環させかつ熱交換器組立体130を介して高温オイルをオイル供給源に戻す1つ又はそれ以上のポンプ110及び112を含み、熱交換器組立体130は、高温オイルを低温に冷却する。任意選択的に、この例示的な実施形態と同様に、熱交換器組立体130は、吸入弁132及び出口弁134、並びに手動によるか又は電気的にかのいずれかで操作することができるバイパス弁136を含む。
【0011】
この例示的な実施形態では、熱交換器組立体130は、バイパスダクト40内に配置された共形(コンフォーマル)空冷式熱交換器である。任意選択的に、熱交換器組立体130は、エンジン上での又はエンジンから離れた幅広い種類の用途で利用することができる。より具体的には、熱交換器組立体130は、本明細書ではエンジン軸受用のオイルを冷却することについて記述しているが、熱交換器組立体130は、それに代えて又はそれと同時にその他の流体を冷却することができる。例えば、熱交換器組立体130は、エンジン上で使用する発電機又はアクチュエータから熱を取除くために使用する流体を冷却することができる。熱交換器組立体130はまた、エンジン制御装置のような電子装置から熱を取除く流体を冷却するために使用することができる。ガスタービンエンジン組立体で利用される幅広い種類の流体を冷却することに加えて、熱交換器組立体130及び本明細書に説明する方法は、熱交換器組立体130がまた、機体上に取付けられた装置を冷却することができ、またエンジンの部品以外も冷却することができることを示していることを理解されたい。他の用途では、熱交換器は、例えば航空機の外部表面上にガスタービンエンジンから離して取付けることができる。さらに、熱交換器組立体130は、それを通して流される様々な流体を冷却するか又は加熱するかのいずれかのために幅広い種類の他の用途で利用することができる。
【0012】
例えば、図1に示すような1つの実施形態では、熱交換器130は、ファン組立体12とファン支柱150との間でファンシュラウド42の内側壁201に結合される。さらに、図8に示すように、熱交換器組立体130は、吸入側28内に流入した空気が、ファン組立体12に供給される前に最初に熱交換器組立体130を通って流れて該熱交換器組立体130を通って流れる流体の作動温度を低下させるのを可能にするように、ファン組立体12(図1に示す)の上流で内側壁201に結合される。従って、熱交換器組立体130は、ファンケーシング42の内側又はスプリッタ44の外側のいずれか上でバイパスダクト40の軸方向長さに沿ったあらゆる場所に配置することができる。この例示的な実施形態では、その効率は、熱交換器組立体130をエンジン排出側30よりも一層低温であるエンジン吸入側28により近く配置した時に、増大する。
【0013】
図3は、熱交換器組立体130の斜視図であり、また図4は、図3に示す線4−4で取った熱交換器組立体130の断面図である。この例示的な実施形態では、組立て時に、熱交換器組立体130は、該熱交換器組立体130がバイパスダクトの少なくとも一部分の円周方向及び軸線方向輪郭と実質的に同じである円周方向及び軸線方向輪郭を有するように、湾曲される。より具体的には、図1に示すように、熱交換器組立体130は、図1及び図8に示すように該熱交換器組立体が取付けられる場所におけるファンシュラウド42の内側表面201の円周方向及び軸線方向輪郭に一致する円周方向及び軸線方向形状を有するように、湾曲される。従って、熱交換器130は、該熱交換器組立体130を図1及び図8に示す場所を含む別の場所にファンシュラウド42の内側表面201に近接して配置することができるような実質的に弓形の形状を有する。さらに、熱交換器130はまた、図9に示すようにスプリッタ44の外側表面の円周方向及び軸線方向輪郭と実質的に同じである円周方向及び軸線方向輪郭を有するように湾曲させることができる。
【0014】
図3に示すように、熱交換器組立体130は、円周の実質的に全て(約320°)を覆う。それに代えて、熱交換器は、幾つかのセグメントとして形成し、それらセグメントを端と端を当接させて取付けて同じ円周長を覆うようにすることができる。
【0015】
再び図3及び図4を参照すると、熱交換器組立体130は、第1の端部210及び対向する第2の端部212を有するマニホルド部分202を含む。マニホルド部分202はまた、半径方向内側表面220、半径方向外側表面222、上流壁226及び対向する下流壁224を含み、マニホルド部分202はほぼ矩形の断面輪郭を有するようになっている。マニホルド部分202はまた、半径方向内側表面220から半径方向内向きに延びる複数の冷却フィン230を有する。任意選択的に、熱交換器130を図9に示すようにファンシュラウド42の外側表面205に近接させて配置する場合には、冷却フィン230は、図3及び図4に示すように半径方向内向きに延びるようにするか又は半径方向外向きに延びるようにするかのいずれかとすることができ、或いはマニホルド部分202から半径方向内向き及び半径方向外向きの両方に延びるフィンを含むようにすることができる。さらに、熱交換器230を図9に示すようにスプリッタ44の外側表面203に近接させて配置する場合には、冷却フィン230は、図3及び図4に示すように半径方向内向きに延びるようにするか又は半径方向外向きに延びるようにするかのいずれかとすることができ、或いはマニホルド部分202から半径方向内向き及び半径方向外向きの両方に延びるフィンを含むようにすることができる。
【0016】
マニホルド部分202はまた、それを貫通して長手方向に延びる少なくとも1つの開口部232を囲み、それら開口部は、選択的に、それを通して冷却対象の流体を受けるような寸法にされる。この例示的な実施形態では、マニホルド部分202は、それを貫通して延びる複数の開口部232を含む。任意選択的に、マニホルド部分202は、所望の冷却低温化に基づいて、8つよりも多いか又は少ない個数の開口部232を含むことができる。この例示的な実施形態では、開口部232は、ほぼ矩形の断面輪郭を有する。任意選択的に、開口部232は、例えば円形のような矩形でない断面輪郭を有する。さらに、これらの開口部は、全てが同じ流体を運ぶことができる平行チャネルであるか、或いはこれらの開口部は、各グループが異なる冷却目的のために使用する異なる冷却流体を運ぶ複数グループに分離することができる。例えば、1つのグループは、軸受のための潤滑流体を運ぶことができ、また別のグループは、エンジン上の電子装置のための別の冷却流体を運ぶことができる。
【0017】
この例示的な実施形態では、冷却フィン230は、マニホルドの横方向(上流及び下流)端縁部間で該マニホルドの幅に沿って延び、かつ交換器の周りに間隔を置いて配置される。タービンエンジン内に設置された時、フィンは、中心軸線11に沿って軸方向に空気流の方向と平行に延び、かつガスタービンエンジン10の内側又は外側表面の周りに半径方向に配置される。この例示的な実施形態では、冷却フィン230は、該冷却フィン230の各々が開口部232に対してほぼ垂直になるようにかつ開口部232を通って流れる流体の方向が冷却フィン230を通って流れる空気流の方向に対してほぼ垂直になるように、マニホルド部分202に結合される。より具体的には、冷却フィン230は、中心軸線11とほぼ平行に整列しており、ファン吸入口28内に又は該ファン吸入口28の周りを流れる空気流が最初に、隣接する冷却フィン230間に形成された複数の開口部又はチャネル236を通って流れるようになる。さらに、図4は、各冷却フィン230が複数の冷却フィンセグメント238を含むものとして示しているが、各冷却フィンは、単体構造の冷却フィンとして形成することができ、すなわち、セグメント238を含まないものであり、このことは、本明細書に記載した本発明の技術的範囲に影響を与えるものではないことを理解されたい。
【0018】
1つの実施形態では、マニホルド部分202は、押出し成形プロセスを利用して形成される。例えば、次に一体形フィン形成プロセスを実施して、冷却フィン230を形成する。任意選択的に、冷却フィン230は、例えば溶接法又はロウ付け法を利用してマニホルド部分202に取付けることができる。この例示的な実施形態では、マニホルド部分202及び冷却フィン230は、例えばアルミニウムのような金属材料で製作される。
【0019】
別の実施形態では、マニホルド202の上流から下流までの幅は、その各々が複数のチャネル232のサブセット及び複数のフィン238のサブセットを含む幾つかのより狭い押出し型材から組立てることができる。これらのセクションは、溶接、ロウ付け、インタロック又はその他の機械的取付けによって連結することができる。
【0020】
マニホルド部分202を通して冷却対象の流体を流すのを可能にするために、熱交換器組立体130はまた、その各々がマニホルド部分の第1の端部210に結合された1つ又は複数の入口連結部240と、その各々がマニホルド部分の第2の端部212に結合された1つ又は複数の出口連結部242とを含む。この例示的な実施形態では、少なくとも1つの入口連結部240は、弁132(図2に示す)の下流に結合し、また少なくとも1つの出口連結部242は、弁134(図2に示す)の上流に結合して、弁132及び134が、所望の作動条件の間に潤滑流体をシステム100から熱交換器組立体130を通して流すように作動することができるようにする。任意選択的に、バイパス弁136を利用して、熱交換器組立体130の周りで潤滑流体をバイパスさせることができる。
【0021】
それに代えて、熱交換器は、その各々が入口連結部及び出口連結部を備えた複数の流体回路を有するように構成することができる。これらの回路は各々、別個のかつ特異な目的を有し、異なる装置を冷却するために使用される非混合の流体を運ぶことができる。
【0022】
ガスタービンエンジン組立体10に対して熱交換器組立体130を固定するのを可能にするために、マニホルド部分202は、下流壁224に結合された第1の取付け部分244と、上流壁226に結合された第2の取付け部分246とを含む。より具体的には、第1及び第2の取付け部分244及び246は各々、マニホルド部分202の厚さ250よりも小さい厚さ248を有し、第1のショルダ部又は凹部252が第1の取付け部分244の半径方向内側に形成され、また第2のショルダ部又は凹部254が第2の取付け部分246の半径方向内側に形成されるようになる。この例示的な実施形態では、取付け部分244及び246は各々、マニホルド部分202と同じ金属材料で加製作され、例えば押出し成形プロセスを利用してマニホルド部分202と単体構造に形成される。任意選択的に、取付け部分244及び246は、例えば溶接又はロウ付け法を利用してマニホルド部分202に取付けられる別体の構成部品として形成される。
【0023】
この例示的な実施形態では、熱交換器組立体130は、ファンシュラウド42の内側壁201がそれぞれの凹部252及び254内に配置され、かつ内側壁201の内側表面がフィン230の基部においてマニホルド202の表面と同一平面になって熱交換器組立体130によって生じる乱流を低減する又は除去するのを可能にするように、ガスタービンエンジン組立体10内に配置される。より具体的には、熱交換器組立体130は、冷却フィン230のみがファンダクト40内に延びるようにガスタービンエンジン組立体10内に結合される。従って、ファンシュラウド42の内側壁201を利用してマニホルド部分202を実質的に覆って、冷却空気流が、冷却フィン230を通ってのみ流れるようにする。
【0024】
この例示的な実施形態では、ガスタービンエンジン10と共に製作された半径方向外側プレート270を利用して、熱交換器組立体130を取付ける。より具体的には、外側プレート270は、ファンシュラウド42に結合するか又は該ファンシュラウド42の一部分として一体形に形成することができる。従って、熱交換器組立体130はまた、マニホルド部分202と外側プレート270との間で延びて、外側プレート270内に形成された陥凹部272内の実質的に一定の位置にマニホルド部分202を支持するのを可能にする複数のスタンドオフ274と、スタンドオフ274間に配置されて、マニホルド部分202とガスタービンエンジン10の外部表面との間の熱伝達を減少させるのを可能にする断熱材料276とを含む。この例示的な実施形態では、断熱材料276は、セラミック断熱ブランケットである。具体的には、スタンドオフ274は、熱交換器組立体130に対して取付けられるのではなく、スタンドオフ274は、熱交換器組立体130の高さを設定するために利用され、従って、内側壁201の内側表面と熱交換器組立体130との間の「同一平面度」を制御する。
【0025】
組立て時に、外側プレート270の周りに半径方向に配置された予組立てスタンドオフ274を備えた半径方向外側プレート270は、最初にガスタービンエンジン10に取付けられる。次に断熱材料276が、スタンドオフ274間、及び半径方向外側プレート270に堆積される。次に、断熱材料276は、例えば接着剤を利用して外側プレート270に固定される。熱交換器130は、外熱交換器130がファンケーシング内側表面201又はファンケーシング外側表面203の輪郭に実質的に一致した輪郭を有するように、予め湾曲又は成形される。熱交換器組立体130は次に、内側壁201の内側表面が上述のようにフィン230の基部においてマニホルド202の表面と同一平面になるように、ガスタービンエンジン組立体10に結合される。
【0026】
作動中、高温潤滑流体は、ガスタービンエンジン10から熱交換器130の複数の開口部232を通って流れ、実質的により低温の温度でリザーバ120(図2に示す)に吐出される。具体的には、潤滑流体は、ガスタービンエンジン10内部で又は該ガスタービンエンジン10の周りで、ほぼ円周方向の配向で流される。それと同時に、ファン吸入口28内に又は該ファン吸入口28の周りに供給された冷却空気流は、冷却フィン230を通って流れて、熱交換器組立体130を通って流れる潤滑流体の作動温度を低下させるのを可能にする。
【0027】
例えば、作動時に、比較的温暖な潤滑流体は、開口部232を通って流れ、比較的温暖な流体は、その熱を伝導性表面に、すなわちマニホルド202の内側表面220に伝達し、従ってフィン230を冷却する。吸入口28を通って又は吸入口28の周りを通過する比較的低温の空気は、冷却フィン230を横断して及び/又は冷却フィン230を通って流れ、熱は、冷却フィン230からバイパスダクト40を通る空気流に伝達される。従って、ファン吸入口28内に流れる冷却空気は、冷却フィン230の温度を低下させるのを可能にし、従って熱交換器130の温度、従ってマニホルド部分202を通って流れる流体の温度を低下させるのを可能にする。
【0028】
図5は、ガスタービンエンジン10(図1に示す)で利用することができる別の例示的なコンフォーマル熱交換器組立体の斜視図である。図6は、図5に示す線6−6で取った熱交換器組立体300の断面図である。図7は、ガスタービンエンジン10に結合された熱交換器組立体300の斜視図である。図示するように、熱交換器300は、熱交換器130と共に利用して、異なる装置に付加的な冷却を与え或いは異なる装置を独立して冷却することができる。任意選択的に、熱交換器300は、冷却を軽減することが必要な場合には、熱交換器130の代わりに利用することができる。
【0029】
この例示的な実施形態では、熱交換器組立体300は、実質的に弓形の形状を有し、それによって熱交換器組立体300は、図8及び図9にそれぞれ示すようにファンシュラウド42の内側表面201又は外側表面203に近接させて配置することができる。この例示的な実施形態では、熱交換器組立体300は、熱交換器組立体130の長さよりも実質的に小さい長さ301を有する。より具体的には、熱交換器組立体300は、ファンシュラウド42を実質的に囲むというよりは、熱交換器300は、該熱交換器300を熱交換器組立体130と共に使用するか又は熱交換器組立体130とは独立して使用するかのいずれかとして、それを通って流れる潤滑流体の作動温度を低下させるのに必要な冷却能力に基づいて決定される長さ301を有する。熱交換器300に類似した付加的なセグメントは、円周の周りで他の場所に設置しかつ配管して、付加的な冷却が必要な場合に付加的なセグメントを組合せるようにすることができる。
【0030】
図5及び図6を参照すると、この例示的な実施形態では、熱交換器300は、第1の端部310及び対向する第2の端部312を含む。熱交換器300はまた、半径方向内側表面320、半径方向外側表面322、第1の上流側部324、及び対向する下流側の第2の側部326を含み、熱交換器300がほぼ矩形の断面形状を有するようになる。熱交換器300はまた、半径方向内側表面320から半径方向内向きに延びる複数の冷却フィン330を含む。任意選択的に、熱交換器300はまた、半径方向外側表面322から半径方向外向きに延びる複数の冷却フィン330を含む。
【0031】
熱交換器300はまた、それを貫通して長手方向に延びる複数の開口部332熱交換器を含み、それら開口部の各々は、選択的に、それを通して冷却対象の流体を受けるような寸法にされる。この例示的な実施形態では、熱交換器300は、それを貫通して延びる8つの開口部332を含む。任意選択的に、熱交換器300は、所望の冷却低温化に基づいて、8つよりも多い又は少ない数の開口部332を含むことができる。この例示的な実施形態では、開口部332は、ほぼ矩形の断面輪郭を有する。任意選択的に、開口部332は、例えば円形のような矩形でない断面輪郭を有する。また、任意選択的に、複数のチャネルを、組合せることができ或いは別個のかつ独立した冷却回路として使用することができる。
【0032】
この例示的な実施形態では、冷却フィン330は、マニホルドの横方向端縁部間で該マニホルドの幅に沿って延び、かつ交換器の周りに間隔を置いて配置される。タービンエンジン内に設置された時、フィンは、中心軸線11に沿って軸方向に延び、かつガスタービンエンジン10の内側表面の周りに半径方向に配置される。さらに、冷却フィン330は、該冷却フィン330の各々が開口部332に対してほぼ垂直になるようにかつ開口部332を通って流れる流体の方向が冷却フィン330を通って流れる空気流の方向に対してほぼ垂直になるように、熱交換器300に結合される。より具体的には、冷却フィン330は、中心軸線11とほぼ平行に整列しており、ファン入口28内に又は該ファン入口28の周りを流れる空気流が、隣接する冷却フィン330間に形成された複数の開口部又はチャネル334を通って流れるようになる。さらに、図5及び図6は、各冷却フィン330を実質的に単体構造の冷却フィンとして示しているが、各冷却フィン330は、複数の冷却フィンセグメント338を含むようにセグメント化することができ、このことは、本明細書に記載した本発明の技術的範囲に影響を与えるものではないことを理解されたい。
【0033】
1つの実施形態では、マニホルド部分322は、押出し成形プロセスを利用して形成される。例えば、次に一体形フィン形成プロセスを実施して、冷却フィン330を形成する。任意選択的に、冷却フィン330は、例えば溶接法又はロウ付け法を利用してマニホルド部分322に取付けることができる。この例示的な実施形態では、マニホルド部分322及び冷却フィン330は、例えばアルミニウムのような金属材料で製作される。
【0034】
熱交換器300を通して冷却対象の流体を流すのを可能にするために、熱交換器組立体300はまた、その各々が第1の端部310に結合された1つ又は複数の入口連結部340と、その各々が第2の端部312に結合された1つ又は複数の出口連結部342とを含む。この例示的な実施形態では、入口連結部340は、弁132(図2に示す)の下流に結合し、また出口連結部342は、弁134(図2に示す)の上流に結合して、弁132及び134が、所望の作動条件の間に潤滑流体をシステム100から熱交換器組立体300を通して流すように作動することができるようにする。任意選択的に、バイパス弁136を利用して、熱交換器組立体300の周りで潤滑流体をバイパスさせることができる。
【0035】
この例示的な実施形態では、熱交換器組立体300はまた、これもまたファンケーシングの内側表面201を形成する半径方向内側プレート360と、半径方向内側プレート360との間に空洞364を形成した半径方向外側プレート362とを含む。この例示的な実施形態では、熱交換器300は、それぞれプレート360及び362間で空洞364内に結合される。この例示的な実施形態では、半径方向内側プレート360は、空気流を空洞364内に、従って熱交換器300を横断して流すのに利用する少なくとも1つの入口開口部366を含む。半径方向内側プレートはまた、入口開口部366の下流に配置されて空洞364から吐出された空気流をガスタービンエンジン組立体10から排出するようになった少なくとも1つの出口開口部368を含む。この例示的な実施形態では、熱交換器300は、半径方向内側プレート360の下方に凹設される。従って、入口空気流の一部分のみが熱交換器300を横断して流れ、残りの空気流は、バイパスダクトを通してプレート360の内側に流れ続ける。従って、上述のように、半径方向内側プレート360は、熱交換器300を横断して空気流の一部分を流すのを可能にする。
【0036】
作動時に、潤滑流体は、ガスタービンエンジン10から熱交換器300を貫通して形成された複数の開口部332を通って流れ、リザーバ120(図2に示す)に吐出される。具体的には、潤滑流体は、ガスタービンエンジン10内部でほぼ円周方向の配向で流される。それと同時に、ファン入口28を通して又は該ファン入口28の周りに供給された冷却空気流は、開口部366を通して熱交換器冷却フィン330を横切って流れ、開口部368を通してファン組立体12に排出されて、熱交換器組立体300を通って流れる潤滑流体の作動温度を低下させるのを可能にする。
【0037】
例えば、作動時に、比較的温暖な潤滑流体は、開口部332を通って流れ、比較的温暖な流体は、その熱を伝導性表面に、すなわち熱交換器300の上部及び/又は下部表面に伝達し、従ってフィン330を冷却する。入口28を介して供給される比較的低温の空気は、冷却フィン330を横断して及び/又は冷却フィン330を通って流れ、熱は、冷却フィン330から空洞364を通って流れる空気流に伝達される。加熱空気流は次に、開口部368を介して空洞364から後方にファン組立体12に吐出される。
【0038】
上記のコンフォーマル熱交換器は、それを通って流れるあらゆる流体の温度を低下させることにおいて、費用効率がよくかつ高い信頼性がある。より具体的には、各熱交換器組立体は、ほぼ矩形の断面輪郭を有する熱交換器と、それを貫通して延びる複数の冷却開口部とを含む。本熱交換器はまた、該熱交換器の半径方向内側表面に結合され、また該熱交換器の半径方向外側表面にもまた結合することができる複数の冷却フィンを含む。この例示的な実施形態では、空気流経路を横切る熱交換器は、押出し成形したアルミニウム材料を利用して製作することができ、また比較的小さい断面輪郭を有しており、熱交換器組立体に起因する可能性があるバイパスダクト内での圧力低下を最小にするのを可能にする。具体的には、またこの例示的な実施形態では、フィン輪郭は、約0.4〜0.5インチのフィン長さを有する、約0.010〜約0.025インチの厚さである。従って、熱交換器フィンは、約0.4〜0.5インチほど空気流ストリーム内に突出するが、これは、特定のエンジンに応じて可変である。さらに、公知の「ブリック」型熱交換器を同様のエンジン上に設置した場合には、約0.35%SFC(燃料消費率)の圧力低下損失が生じる。一方、本明細書に記載したコンフォーマル熱交換器は、約0.06%SFCの圧力低下をもたらす。従って、本明細書に説明したコンフォーマル熱交換器は、熱伝達能力が、公知の「ブリック」熱交換器よりも約4倍大きい。従って、等熱伝達基準で、この「コンフォーマル」冷却器は、約0.015%のSFC効果を有した。
【0039】
以上、熱交換器組立体の例示的な実施形態を詳細に説明している。本熱交換器組立体は、本明細書に記載した特定の実施形態に限定されるものではなく、むしろ各システムの構成要素は、本明細書に記載した他の構成要素から独立してかつ別個に利用することができる。例えば、各熱交換器組立体は、幅広い種類のガスタービンエンジンにおいて利用することができ、またガスタービンエンジン内の幅広い種類の場所内に配置することができる。さらに、本明細書に記載した熱交換器組立体はまた、バイパスダクト内のスプリッタの半径方向外側壁に対して、或いは所望に応じてファンシュラウドの外側表面に対して結合することができる。実施可能であれば、熱交換器組立体は、冷却をもたらすことができる空気流が存在するあらゆる場所に取付けることができる。
【0040】
様々な特定の実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明が特許請求の範囲の技術思想及び技術的範囲内の修正で実施することができることは、当業者には分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】例示的なガスタービンエンジンの概略図。
【図2】図1に示すガスタービンエンジンで利用することができる例示的な潤滑システムの概略図。
【図3】図1に示すガスタービンエンジンで利用することができる例示的な弓形熱交換器の斜視図。
【図4】線4−4で取った、図3に示す熱交換器の断面図。
【図5】図1に示すガスタービンエンジンで利用することができる別の例示的な熱交換器の斜視図。
【図6】線6−6で取った、図5に示す熱交換器の断面図。
【図7】図1に示すガスタービンエンジン内に結合された、図5に示す熱交換器組立体の斜視図。
【図8】ガスタービンエンジンの内部表面に結合された、図3及び図5に示す熱交換器を含む図1に示す例示的なガスタービンエンジンの概略図。
【図9】ガスタービンエンジンの外部表面に結合された、図3及び図5に示す熱交換器を含む図1に示す例示的なガスタービンエンジンの概略図。
【符号の説明】
【0042】
10 ガスタービンエンジン(ガスタービンエンジン組立体)
11 長手方向軸線
12 ファン組立体
13 コアガスタービンエンジン
14 高圧圧縮機
16 燃焼器
18 高圧タービン
20 低圧タービン
24 ファンブレード
26 ロータディスク
28 ファン入口又はエンジン吸入側
30 エンジン排出側
40 ファン又はバイパスダクト
42 ファンケーシング又はシュラウド
44 スプリッタ
50 第1の部分
52 第2の部分
60 ギヤボックス
100 供給及び排出システム
104 軸受
106 軸受
108 軸受
110 ポンプ
112 ポンプ
120 オイル供給源又はリザーバ
130 熱交換器組立体
132 入口弁
134 出口弁
136 バイパス弁
150 ファン支柱
201 ファンケーシング内側壁又は内側表面
202 マニホルド部分
203 ファンケーシング外側壁又は外側表面
205 外側表面
210 マニホルド部分の第1の端部
212 マニホルド部分の第2の端部
220 半径方向内側表面
222 半径方向外側表面
224 対向する下流壁
226 上流壁
230 冷却フィン
232 開口部又はチャネル
236 開口部又はチャネル
238 冷却フィン又はフィンセグメント
240 入口連結部
242 出口連結部
244 第1の取付け部分
246 第2の取付け部分
248 厚さ
250 厚さ
252 第1のショルダ部又は凹部
254 第2のショルダ部又は凹部
270 半径方向外側プレート
272 陥凹部
274 スタンドオフ
276 断熱材料
300 熱交換器
301 長さ
310 第1の端部
312 第2の端部
320 半径方向内側表面
322 半径方向外側表面
324 第1の上流側部
326 第2の下流側部
330 冷却フィン
332 開口部
334 開口部又はチャネル
338 冷却フィンセグメント
340 入口連結部
342 出口連結部
360 半径方向内側プレート
362 半径方向外側プレート
364 空洞
366 入口開口部
368 出口開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン組立体(12)と、
前記ファン組立体の下流のブースタと、
前記ファン組立体を実質的に囲むファンケーシング(42)と、
前記ファンケーシングとの間にバイパスダクト(40)が形成されるように前記ブースタを実質的に囲むブースタケーシングと、
前記ファン組立体の上流で前記ファンケーシングに結合された弓形熱交換器組立体(300)と、
を含むガスタービンエンジン(10)。
【請求項2】
前記弓形熱交換器(300)が、前記ファンケーシング(42)の輪郭と実質的に同じ輪郭を有する、請求項1記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項3】
前記弓形熱交換器(300)が、
それを貫通して延びる複数の開口部(232、236)を含む熱交換器と、
前記熱交換器に結合された複数の冷却フィン(238)と、
前記バイパスダクトを通って流れる空気流が前記冷却フィン上を流れて前記開口部を通って流れる流体の作動温度を低下させるのを可能にするように前記熱交換器に結合された少なくとも1つのカバープレート(360、270)と、
を含む、請求項1記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項4】
前記熱交換器(300)が、前記冷却フィン(238)と単体構造に形成される、請求項3記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項5】
前記熱交換器(300)が、ほぼ矩形の断面輪郭を有し、
前記熱交換器を貫通して延びる各前記開口部(232、236)が、ほぼ矩形の断面輪郭を有する、
請求項3記載のガスタービンエンジン(10)。
【請求項6】
前記弓形熱交換器(300)が、該熱交換器と単体構造に形成された少なくとも1つの取付け部分(244、246)をさらに含み、
前記熱交換器が、第1の厚さ(248)を有し、
前記取付け部分が、該取付け部分の半径方向内側に凹部(252、254)が形成されるように前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さ(250)を有する、
請求項3記載のガスタービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−117544(P2012−117544A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−6666(P2012−6666)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2007−268449(P2007−268449)の分割
【原出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【出願人】(309012096)ユニゾン・インダストリーズ,エルエルシー (7)