説明

ガスタービンエンジン

【課題】ガスタービンエンジン用の熱交換装置に関する。
【解決手段】当該装置は、アウターカウル32内に流路31を備えており、当該流路31は、当該流路に沿った中間に熱交換器43を配置する。バルブ38は、前記カウル32の外部から、及び/または、圧縮流体流れ36から、の流体を前記流路31内に選択的に受け入れるために、流路31の吸気口端部に設けられている。流路31からの出口部34は、熱交換器43及び場合によっては他の排気流れから排気される冷却気体流れを受け入れるためにプレナムチャンバを含んでいる。その上、熱交換器排気流れ34は、エンジン構成要素を冷却するために利用されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアダクトファンまたはリアプロペラ装置と、ギアボックス用の潤滑オイル及びエンジン内部のエンジン機能用の潤滑オイルを冷却するための熱交換装置と、を備えたオープンロータ構造ガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジン内部では、適切な熱交換器を介してギアボックスオイル同様にエンジンオイルを冷却することが重要である、ということが認められている。そのような場合、エンジンと潤滑オイルとの劣化が、抑制され得る。熱交換器の効果的な作用を提供するためには、一般的に、ファン伝送空気が、冷却空気が機外へ排気される前に、冷却空気をエンジンオイル熱交換器へ送るように利用されている。ファン伝送空気と周囲との間の圧力差は、熱交換器の冷却空気流れを作り出すために利用されている。そのような冷却空気の排気は、典型的には、エンジンに対して外側のケーシング内またはカウル内の排気弁を介して行われており、潜在的に推力を取り返すために後方へ噴出されている。冷却空気は、一般的に圧縮段階から取り出されて、そのため、そのような冷却気体流れによってエンジン効率の対応ロスがある、ということが理解されている。
【0003】
熱交換器が吸気口から排気口への適切な流路に沿って中間にあるというような、当該適切な流路の適合(収納)が必要である。大きいガスタービンエンジンに関しては、そのような流路の適合は受け入れられるものであり、冷却気体流れの抽出についても容易な可能性がある。しかし、リアダクトファンまたはリアプロペラ装置を有するガスタービンエンジンに関しては、前記適合について問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、オープンロータ構造に関しては、ギアボックスとエンジンとの潤滑システムの両方を一体化することが所望されており、そのような場合、潤滑オイルを冷却する熱交換器は、コアガスタービンエンジンによって生成される圧縮流体流れから冷却気体流れを取り出すことができる。そのような場合、従来のいわゆる空油熱交換構造(air oil heat exchanger configuration)が、カウルドアを介して機外へ排気される冷却気体と共に利用され得る。しかしながら、増大される冷却の要求のために、一般に大きな熱交換基盤(heat exchanger matrix)が、エンジン室カウル(nacelle cowl)内に大きな排気弁を備えることを要求されている、ということが理解される。ケーシング内またはカウルドア内において少なくともそのような大きな排気弁を回避することは、熱交換基盤のより都合の良い適合(収納)に関する性能において有利性がある。
【0005】
オープンロータ推進構造において、典型的に、従来の熱交換器は、ロータの上流のエンジン室カウルを通じて冷却気体流れを排気するように配置されている。そのようなやり方によって、ロータへ送られる自由流れ気流上の攪乱は、ノイズ及び性能ペナルティ(障害)になり得る。
【0006】
バイパス流れからの冷却気体流れの抽出にとって都合の良いアクセスは、常に利用できるわけではない。そのような場合、冷却気体抽出を作り出すための専用装置による不可避の重量ペナルティ(障害)を避けるために、代替手段が所望されている。エンジン自身に加えてギアボックス内の潤滑オイルに対して油冷を達成することについての追加の要求が与えられる場合には、そのような考察は特に重要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、タービンによって駆動されるコンプレッサと、第二タービンによって駆動される主要推進ロータと、を備えたガスタービンエンジンであって、燃焼室が、前記コンプレッサと前記タービンとの間に配置されており、前記主要推進ロータは、燃焼室の下流に設けられており、当該エンジンは、熱交換装置を更に備え、前記熱交換装置は、アウターカウル内の流路と、前記流路に沿った吸気口と排気口との間の中間位置の熱交換器と、を有しており、前記流路は、前記エンジンを通る圧縮流体流れに対して配置されており、前記熱交換装置は、前記吸気口が前記エンジンの外部からの流体を前記流路内に受け入れるための第一位置と前記圧縮流体流れからの流体を前記流路内に受け入れるための第二位置との間で選択的に可動なバルブを有し、前記排気口が前記圧縮流体流れに連結されるプレナムチャンバを有することを特徴とする、ガスタービンエンジンが提供される。
【0008】
前記プレナムチャンバは、前記ケーシングからの排気経路にも連結されている。
【0009】
典型的には、前記排気経路は、前記ケーシングと前記圧縮流体流れとの間に熱遮蔽を提供する。
【0010】
前記熱交換器は、潤滑オイルの空冷のために設けられていてもよい。
【0011】
前記バルブは、フラップバルブであってもよい。制御装置が、前記第一位置と前記第二位置との間で前記バルブを移動させるために設けられていてもよい。前記ケーシングの外側を通過する外部流量を測定するセンサが、制御装置に作用的に接続されて設けられており、所定値を越える外部流量が検知される場合には前記バルブは第一位置内にあり、それ以外の場合には前記バルブは第二位置内にある、というように構成されていてもよい。前記バルブは、前記カウルの外部と前記圧縮流体流れとの両方から前記流路内へ選択的に流体を受け入れるように構成され得る、というように配置されてもよい。
【0012】
前記プレナムチャンバは、前記流路に沿って流体流れを引込むために前記圧縮流体流れに連結されていてもよい。
【0013】
前記流路は、ダクトによって提供されていてもよい。前記ダクトは、前記カウルと一体になっていてもよい。あるいは、前記ダクトは、カウルドア内に設けられており、前記ダクトは、前記カウルドアにヒンジ結合されていてもよい。前記ダクトは、前記カウルを補強するように作用してもよい。
【0014】
前記熱交換器からの排気ダクトが、前記熱交換器の排気を利用した冷却作用を提供するために、前記カウルの外面と接触するように配置されていてもよい。
【0015】
前記プレナムチャンバは、前記エンジンを通る他の流体流れを受け入れるように配置されていてもよい。
【0016】
1つの実施の形態においては、開口が、前記エンジンの外部からの流体を前記流路内に受け入れるために、前記アウターカウルの外面内に設けられていて、かつ、前記バルブに繋がっている。
【0017】
他の実施の形態においては、開口が、前記エンジンの外部からの流体を前記流路内に受け入れるために、前記コンプレッサの上流で前記エンジンの空気取込口内に設けられていて、かつ、前記バルブに繋がっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明によるツインスプール二重反転プロペラガスタービンエンジンの概略側断面概である。
【図2】本発明の特徴に従うプレナムチャンバの概略拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態が、添付している図面を参照しながら例として記述される。図1は、本発明によるツインスプール二重反転プロペラガスタービンエンジンの概略側断面図である。図2は、本発明の特徴に従うプレナムチャンバの概略拡大断面図である。
【0020】
図1を参照して、ツインスプール二重反転プロペラガスタービンエンジンは、全体に符号10で示されており、主回転軸9を有している。エンジン10は、軸方向流れに順に、空気取込口12と、低圧コンプレッサ14(LPC)と、高圧コンプレッサ15(HPC)と、燃焼装置16と、高圧タービン17(HPT)と、低圧タービン18(LPT)と、出力タービン19(FPT)と、コア排気ノズル20と、を有するコアエンジン11を備えている。エンジン室(nacelle)21は、一般的に、コアエンジン11を囲んでおり、インテーク(取込口)12とノズル20とコア排気ダクト22とを画定している。エンジン10は、二重反転ブレードアレイ25、26を有する出力タービン19に取付けられ、かつ、当該出力タービン19によって駆動される2つの二重反転プロペラ23、24も備えている。
【0021】
代替の構造が図2に示されており、対応する要素が先頭に100を付して示されている。この構造では、プロペラ123、124が、出力タービン119及びギアボックスによって駆動される。
【0022】
ガスタービンエンジン10は、従来の態様では、インテーク12に入る空気がLPC14によって加速されかつ圧縮され、更なる圧縮が起こるHPC15内に案内される、というように作用する。HPC15から排気される圧縮空気は混合装置16内へ案内され、燃料と混合され、当該混合ガスが燃焼される。結果として生じる高温燃焼生成物は、推力を提供するために、ノズル20を通じて排気される前に、高圧、定圧及び出力タービン17、18、19を通じて膨張し、それによって高圧、定圧及び出力タービン17、18、19を駆動する。高圧、定圧及び出力タービン17、18、19は、適切な連結シャフトによって、高圧及び中圧コンプレッサ15、14とプロペラ23、24とをそれぞれ駆動する。プロペラ23、24は、通常、推力の大部分を提供する。
【0023】
そのようなガスタービンエンジン10に関して、エンジン10のエンジン室カウル21及びコアケーシング11は、プロペラ23、24を駆動するために、比較的小さい直径を有することが、留意される。この小さい直径は、特にエンジン用のケーシングに関連して、エンジン及びギアボックスの潤滑オイル用の空油熱交換器のための熱交換装置を受け入れることに関する能力及び性能を低下させている。
【0024】
エンジン10は、熱交換装置30を含んでいる。熱交換装置30は、一般的に、アウターカウル32内で吸気口33と排気口34との間に延在するように構成された流路31を備えている。開口35には、アウターカウル32の外部で、吸気口33に通じる経路37が設けられている。吸気口33には、典型的には低圧タービン18によって生成される圧縮流体流れへの経路36も通じている。
【0025】
吸気口33は、流路31を経路37へ接続する第一位置と、流路31を経路36へ接続する第二位置と、の間を要求通りに選択的に切換えるバルブ38を、含んでいる。排気口34は、一般的に、リア隔壁39から延在するプレナムチャンバを備えている。後述されるように、プレナムチャンバは、下流の圧縮流体流れ経路40またはアウターカウル32を通る排気経路41のどちらかと連結されている。
【0026】
制御装置が、エンジン10の空気速度に依存して経路36と経路37との間でバルブ38を切換えることを可能とするために、設けられている。もしエンジン10が適切な速度で動くならば、矢印42の方向の外部空気流は、経路31内の熱交換器43内に十分な熱交換を提供することに十分であることが認められる。一方で、地上での移動に関するような他の段階においては、経路36を通る強制空気流が、熱交換器43を介して十分な冷却を達成するために要求される。
【0027】
制御装置は、熱交換器43のための冷却気体流れのこれら2つの源流の間でのバルブ38の切換えを提供するが、両方の源流が共に(同時に)利用される状況も許容する。吸気経路31の外側は、熱交換器43へ流入する前に、LPC伝送空気からの冷却を提供する自由流れ気流に接触するように配置され得る。
【0028】
排気口34では、図示されているように、プレナムチャンバが作り出される。コア気流排気流れ40の移動流れによる流入を介して、冷却気体流れが当該流れ経路を通じて引込まれ得て、その結合した流れがその後エンジン排気ノズル44を通じて排気される、というように、プレナムチャンバは圧縮流体流れの下流部分と連結され得る。そのような場合、排気流れは、主要エンジンコア排気流路へ案内され、アウター逆回転カウル32aの外面部分と高温圧縮流体流路との間に熱遮蔽を効果的に形成する。冷却気体排気の一部は、排気経路41に沿って通過し、アウター逆回転構造32aに対して冷却を提供し、それによってエンジン構成要素に冷却を提供する。
【0029】
前述の状況下では、図示されているように、典型的には空気の形態である冷却気体の流れは、エンジン10に対する飛行速度に依存して、低圧コンプレッサ14によって生成される圧縮流体流れから取り出されるか、または、自由流れ気流から取り出される。図示されているように、バルブ38は、制御装置によって流路31を通る流れのためのポテンシャル経路36とポテンシャル経路37との間で選択的に切換えるために、吸気口に取付けられている。
【0030】
低速では、一般的に、低圧コンプレッサによって生成されるような圧縮流体流れの上流が、経路31を通りそれゆえに熱交換器43を通る冷却空気流の源流として利用される。カウル32の外側にある自由空気流42が十分に高い前進速度である場合、バルブ38が、当該気流42を取込んで当該気流42を流路31に沿って熱交換器43へ送るように切換えられる、ということが理解される。熱交換器43は、ギアボックスまたはエンジン稼働部から取り出される高温のオイルと冷却空気流とを熱交換するように、従来の態様で作用する。
【0031】
外部空気流路37は、典型的には圧縮流体流れを得るためのインテーク(取込口)47とケーシング先端との間で、アウターカウル32の外面における専用のシュート部を介して作り出され得る。
【0032】
代替の形態においては、開口35’に、エンジンインテーク12内で中圧コンプレッサ14の上流に吸気口33へ案内する経路37’が設けられている。
【0033】
図示されているように、典型的には、熱交換器43は、アウターカウル32内に適合する(収容される)ように構成されて方向付けられている。そのような場合、熱交換器43は、典型的には、コンプレッサ37、燃焼室及びタービンエンジンコアを介して生成される圧縮流体流路を含むエンジンコア区画室の後方側へ向けて配置される。そのような配置は、エンジンコアの前端部にある場合よりも、半径方向の深さを、より有効な自由スペースとし得る。
【0034】
前述したように、流路31内の冷却気体流れは、一般的に、流路を形成する適切なダクトによって熱交換器43へ送られる。当該ダクトは、典型的には、重量を最小化するためにアウターカウル32と一体となっている。そのような場合、カウルドアの一部が、流路31を画定するべく共に接合されるダクトを含む。ダクトが作られる原料の適切な選定によって、当該ダクトが利用中にカウルを強化し補強する補強効果を提供できる、ということが理解される。
【0035】
一般的に、流路31を形成するダクトは、ヒンジや取付器具に対して密封するように配置されている。そのことにより、そのようなダクトが、メンテナンスや修理のためにエンジンコア装置へのアクセシビリティを改善するべく、カウルドア上にヒンジ結合されることが許容されている。流路31は、外部環境の空気流から冷却を提供するようにも構成されている。これは、コンプレッサ伝送空気の冷却か、または、熱交換器43の排気流れの冷却か、どちらかが可能である。
【0036】
前述したように、一般的に、隔壁39は、エンジンリアマウント平面に近いところに作られる。当該隔壁39は、本発明の特徴に従う流路及びプレナムチャンバの存在のために、適切な強度を提供している。そのような場合、流路は、隔壁39を通ってプレナムチャンバ34へ入る。
【0037】
作用については、前述したように、排気口34を形成するプレナムチャンバへ送られる排気冷却気体流れが、多くの態様で利用され得る。初めに、流路31からの排気流れは、外部へ放出されるように配置されている。従って、下流のノズル20にある圧縮流体流れが、利用中にカウル同士の間で作り出される環状流路41を通る冷却気体流れを効果的に送り出すように、排気冷却気体流れを効果的に移動(流入)させる。
【0038】
あるいは、例えば図2に示されるように、経路41を通る排気冷却気体流れの一部140aが、排気経路に沿って放射器(イジェクタ)を介して流路140内へ直接的に放出され得る。そのような場合、熱交換器43からの排気冷却気体流れは、本質的に、アウター逆回転カウルの一部32a(図1)と排気経路を通る高温ガス流れとの間に遮蔽を提供する。そのような流れを促進するために、当該流れに駆動推進力を与えるべく主要ロータハブ上で回転する羽根(ベーン)が設けられ得る。
【0039】
回転ハブアセンブリ内の支柱は、コア排気流れに対して放射状に架かっており、支柱の吸込み側が当該流れを推進するために利用され得る。さらに、専用の放射器スロットを設けることによって、ハブアセンブリの軸方向コア流れ及び半径方向速度を有効に活用するために、回転ハブ外壁の統合を提供して、放射器スロットに角度を付けることが可能となり得る。回転する支柱の吸込み側表面または回転する放射器からの排気は、その後、主要エンジンコア排気流れ40と混合される。
【0040】
前述のやり方(アプローチ)によれば、熱交換器43を通る十分な空気流が、中圧コンプレッサ14によって生成される圧縮流体流れからの空気、または、外部流れ42を通じて十分な空気速度があるところから流出する空気、に基づいて達成され得る。アウターカウル32に連結されるダクトから形成される専用の流路を設けると共に、バルブ38を利用することによって、熱交換器43への流体冷却気体流れの一方または他方の選定が達成され得るし、可能であれば、2つの利用される流れの混合が達成され得る。
【0041】
そのような場合、圧縮段階から流出する圧縮流体流れによって作り出されるエンジン全体の効率における効率低減が、外部気流42によって必要とされない場合には、減少させられる。図示されているように、過剰の自由流れ気流42が、必要とされるならば、利用され得る。増大する自由流れ気流の利用は、熱交換器43への冷却機能を提供するために利用され得て、更に、過剰の流量(マスフローレート)のおかげで、オープンロータアセンブリの下流冷却を支援するべく熱交換器排気温度を下げることにも利用され得る。
【0042】
空油熱交換器排気流れと同様、他のシステムからの排気は、出口部34を画定するプレナムチャンバへ送られ得ることが好ましい。そのような場合、エンジンのリアは、エンジン室ケーシングまたはエンジン室カウルを通る他の排気流れを最小化または取除くように、配置され得る。当該プレナムチャンバ内に配置され得る排気の他の形態とは、発電器空油熱交換器排気、エンジンが利用する流出流れ、通気口(breather)流れ、及び、排気流れを含んでいる。
【0043】
本発明の特徴により、ガスタービンエンジンを利用するオープンロータ推進システムにおけるより好ましい熱交換装置の適合(収納)が達成され得る。エンジンの構造は、最小限の変更のみを要求し、かつ、エンジン室またはアウターカウルを通る排気流れを取り除き、結果として段差や隙間の結果としてのエンジン室(nacelle)抵抗の低減についての利益をもたらす。ロータ上流の排気流れと擾乱とを最小化しながら、ロータ性能やノイズに関する潜在的利益が、達成され得る。
【0044】
前述したように、一般的に、空油熱交換器排気流れは、典型的にはほぼ200℃程度であり、そのような場合、排気経路内の高温(典型的にはほぼ600℃程度)エンジン排気流れからオープンロータ推進ギアボックス及びカウル32aを遮蔽し得る。ロータハブの回転によって、排気経路41を通る冷却気流を送り出し、それにより排気流れを更に促すことが可能である。
【0045】
前述したように、プレナムチャンバの形態の出口部34は、エンジン室カウルまたはケーシングを通り作動効率を下げてしまうような排気流れを最小化するまたは取除くために、他の排気流れを受け入れるように、利用され得る。図2は、出口部134の拡大図を提供する。その中で図示されているように、発電器空油熱交換器からの排気流れや、通気口(breather)及びエンジンが利用する流出流れ130と同様に、エンジン空油熱交換器からの排気流れは、出口部134を画定するプレナムチャンバへ送られる。
【0046】
このように、再流れが、エンジンのロータへ送られる時に航空力学及び乱流の観点から作動効率に影響を与え得る排気及び開口を避けながら、熱交換器を通じて促進される、というように、前記流れは、矢印145の方向に放出され得るか、あるいは、前記流れは、適切な放射器を介してエンジンコア内で圧縮流体流れと、及び、とりわけ矢印140の方向に図示されているエンジンコアのタービンからの流出流れと、混合され得る。冷却流れは、第一及び第二ロータ位置上の羽根を通って、矢印140a及び140bによって別々に示されている。
【0047】
外部空気131が、特に流れ145に関して、追加の冷却流れのために流入させられる、ということもまた理解される。この追加の冷却流れは、図1内に出口部流れに関して図示されているように、エンジンコア流れ141内の高温ガスの熱遮蔽に利用され得る。外部流れ131は、エンジン室カウルまたはケーシングとロータ外面の空気表面との間のスプリートライン(split line)を介して取り除かれ得る。
【0048】
図1は、二重反転プロペラガスタービンエンジンを示している。本発明は、リアダクトファンを有するエンジンにも適用可能である。リアダクトファンの位置は、図1において破線50によって示されている。
【0049】
本発明は、スペースが制限されている前述したタイプのガスタービンエンジン内に熱交換装置を設けることを可能にする。そのような装置は、ノイズ及び性能障害に関して問題が削減された態様で、熱交換器から冷却気体流れを排気することを可能にする。
【0050】
前述したように、前記装置は、作動効率のために熱交換器を通る十分な気流を維持しながらより効率的な作用を与えるように、外部流れ源流42から流路へ入る気流と、圧縮流体流れと、の間の選択的な切換えを介している。
【0051】
本発明の特徴に対する他の変更形態や代替形態が、当業者にとって十分認識される。例えば、図示されているように、一般的に外部流路と圧縮流体流路との間を切換可能であるバルブが、熱交換器のための流路内へ流れを送るために利用される。そのような場合、一般的に、当該バルブを適切に設定するように作用する制御装置が設けられる。
【0052】
当該制御装置は、外部空気流42についての空気速度を測定するセンサと連結される。そして、当該空気流が十分であるならば、前記センサは信号を提供する。もし前記信号が特定のレベルを越えている場合、制御装置は、要求に応じて外部流れ42または圧縮流れまたは混合流れを取入れるように、第二位置にバルブを設定する、というように構成される。
【0053】
前記制御装置は、熱交換器43について必要な作動機能を決定する手段もまた含むことが好ましい。そのような場合、高い要求の期間中、より多くの気流が、熱交換器43内のオイルまたは類似物を冷却するために、外部流れと圧縮流れとの組合せによって得られ得る。そのような場合、前記制御装置は、要求に応じて前記バルブを設定する。前記制御装置は、コア流れ40内へ放射する放射器に関するプレナムチャンバについては、要求に応じて流路31を通る空気流の更なる引込み及び取込みを再び促すように、圧力差によって作用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンによって駆動されるコンプレッサと、
第二タービンによって駆動される主要推進ロータと、
を備えたガスタービンエンジンであって、
燃焼室が、前記コンプレッサと前記タービンとの間に配置されており、
前記主要推進ロータは、燃焼室の下流に設けられており、
当該エンジンは、熱交換装置を更に備え、
前記熱交換装置は、アウターカウル内の流路と、前記流路に沿った吸気口と排気口との間の中間位置の熱交換器と、を有しており、
前記流路は、前記エンジンを通る圧縮流体流れに対して配置され、
前記吸気口は、前記エンジンの外部からの流体を前記流路内に受け入れるための第一位置と前記圧縮流体流れからの流体を前記流路内に受け入れるための第二位置との間で選択的に可動なバルブを有し、
前記排気口は、前記圧縮流体流れに連結されるプレナムチャンバを有する
ことを特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項2】
前記プレナムチャンバは、前記カウルからの排気経路にも連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記排気経路は、前記カウルと前記圧縮流体流れとの間に熱遮蔽を提供する
ことを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記プレナムチャンバは、エンジン構成要素を冷却するための排気経路に連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
前記熱交換器は、潤滑オイルの空冷のために設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項6】
前記バルブは、フラップバルブである
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項7】
制御装置が、前記第一位置と前記第二位置との間で前記バルブを移動させるために設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項8】
前記カウルを通過する外部流量を測定するセンサが、制御装置に作用的に接続されて設けられており、
所定値を越える外部流量が検知される場合には前記バルブは第一位置内にあり、それ以外の場合には前記バルブは第二位置内にある、というように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載のエンジン。
【請求項9】
前記バルブは、前記カウルの外部と前記圧縮流体流れとの両方から前記流路内へ選択的に流体を受け入れるように構成され得る
ことを特徴とする請求項7に記載のエンジン。
【請求項10】
前記プレナムチャンバは、前記流路に沿って流体流れを引込むために前記圧縮流体流れに連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項11】
前記流路は、個別のダクトによって提供されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項12】
前記ダクトは、前記カウルと一体になっている
ことを特徴とする請求項11に記載のエンジン。
【請求項13】
前記ダクトは、カウルドア内に設けられている
ことを特徴とする請求項11に記載のエンジン。
【請求項14】
前記ダクトは、前記カウルを補強するように作用する
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載のエンジン。
【請求項15】
前記ダクトは、前記カウルドアにヒンジ結合されている
ことを特徴とする請求項13に記載のエンジン。
【請求項16】
前記熱交換器からの排気ダクトが、前記熱交換器の排気を利用した冷却作用を提供するために、前記カウルの外面と接触するように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項17】
前記プレナムチャンバは、前記エンジンを通る他の流体流れを受け入れるように配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項18】
開口が、前記エンジンの外部からの流体を前記流路内に受け入れるために、前記アウターカウルの外面内に設けられていて、かつ、前記バルブに繋がっている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。
【請求項19】
開口が、前記エンジンの外部からの流体を前記流路内に受け入れるために、前記コンプレッサの上流で前記エンジンの空気取込口内に設けられていて、かつ、前記バルブに繋がっている
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−231767(P2011−231767A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−101128(P2011−101128)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(590005438)ロールス‐ロイス、パブリック、リミテッド、カンパニー (21)
【氏名又は名称原語表記】ROLLS−ROYCE PUBLIC LIMITED COMPANY