説明

ガスタービン用熱電対組立体システム

熱電対(16)が収容された支持要素(12)を装備した、ガスタービン用熱電対(16)組立体システム(10)であって、支持要素(12)は、ガスタービンの排出ガスの入口用の一連の孔(45)と、そのガスが支持要素(12)の開口(14)を通って流れる前に混合される空洞(50)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン用熱電対組立体システム、より詳細には「ヘビーデューティ」タイプのガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
技術的な分野は、いわゆる「ヘビーデューティ」ガスタービンに関する。このガスタービンはほとんどの場合、その中に存在するエキスパンダの下流にある排出ガスの温度に基づいて制御される。
【0003】
一連の温度センサは通常、エキスパンダの下流に収容され、それによって、各温度センサが周囲の領域内で検出した温度に比例する一連の信号を得ることができる。
【0004】
この様々な温度値から、適切に処理することによって平均温度を得ることができる。この値をさらに処理すると、ガスタービンのいわゆる「点火」温度が与えられる。
【0005】
したがって、動作上および機能上の観点から、タービン自体のエキスパンダのところで信頼性のある再現可能な平均温度測定値をもたらす温度検知システムを、ヘビーデューティタービン内に有することが非常に重要である。というのは、これがタービンの性能および耐用年数に大きな影響を及ぼすからである。
【0006】
上述のように、平均温度は現在、一連の温度センサによって得られる。その数は機械のタイプによって変わる。
【0007】
さらに、一連の温度センサは、エキスパンダ上で、エキスパンダ自体の、ある区間の外周に沿って均等に分布する。
【0008】
過渡状態にある場合に生じる欠点の1つは、上記のタイプの解決策では、タービンの排出ガスの信頼性のある平均温度測定値を保証できないことである。
【0009】
これは、エキスパンダ部分内部の温度プロフィルがそれほど均一ではないとき、また経時的に変動するとき発生し、このときその一連の温度センサから得られる平均温度値がタービンの真の平均温度を表さない可能性があり、その結果タービン自体の効率的な働きが損なわれる恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、簡易であり、かつ信頼性のある再現可能なタービン自体の排出ガスの温度測定値をもたらす、ガスタービン用熱電対組立体システムを提供することである。
【0011】
他の目的は、排出部分内がどのような温度プロフィルであっても、信頼性のあるガスタービン排出ガスの温度測定値をもたらす、ガスタービン用熱電対組立体システムを提供することである。
【0012】
他の目的は、排出部分内の温度プロフィルが変動しても、やはり、信頼性のあるガスタービン排出ガスの温度測定値をもたらす、ガスタービン用熱電対組立体システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による上記の目的は、請求項1で特定される、ガスタービン用熱電対組立体システムを提供することによって達成される。
【0014】
本発明の他の特徴は、その後の請求項で示される。
【0015】
本発明によるガスタービン用熱電対組立体システムの特徴および利点は、以下の例示的かつ非限定的説明を添付の概略図を参照しながら読めば、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図を参照すると、熱電対16が挿入される、ほぼ内部が中空の円筒形の支持要素12を備える、ガスタービンのための熱電対16の組立体システム10が示されている。
【0017】
上記支持要素はまた、熱電対16の端部17が突出する開口14も有する。
【0018】
ガスタービンの排出ガスの一部分が、開口14を通って流れる。
【0019】
上記開口14は、支持要素12の第1の部分11の表面13の中心に配置されている。
【0020】
支持要素12は、より信頼性がある温度測定値を得るために、一連の孔(45)と、排出ガスを混合してその温度を均一にするための空洞(50)とを備える。
【0021】
支持要素12はまた、一連の貫通孔45が位置する第2の部分40を備え、その孔の中を、排出ガスの、温度が計測されることになる部分が流れる。
【0022】
第1の部分11および第2の部分40は実質上、熱電対16のための組立体システムの支持要素12の、本質的に中空の円筒形である本体を形成する。
【0023】
第1の部分11および第2の部分40は両方とも、第1のベース部分30および第2のベース部分31にも連結される。
【0024】
第1のベース部分30および第2のベース部分31はそれぞれ、支持要素12の第1の端部および第2の端部を画定する。
【0025】
熱電対は、第1の部分11を完全に通過するまで第1のベース部分に挿入され、開口14内に突出するのが好ましい。
【0026】
温度が計測されることになる燃焼したガスを混合するための一連の貫通孔45は、第2の部分40上に位置する。
【0027】
一連の孔45は、支持要素12の軸に対して開口14の反対側にあるのが好ましい。
【0028】
第1の部分11および第2の部分40はまた、一連の孔45および支持要素12の開口14と連通する空洞50を画成する。
【0029】
上記空洞50は、一連の孔45を通過する排出ガスを混合し、その後、混合したガスを開口14を通して放出する機能を有する。
【0030】
空洞50を通過することによって排出ガスの方向に変化が生じて、ガスを混合するのに適した乱流が形成されると、混合が行われる。
【0031】
このように、開口14を通過する排出ガスは、組立体システム10の外側の排出ガスの温度プロフィルにばらつきがあったとしても、均質かつ均一の温度を有する。
【0032】
これによって、はるかに信頼性がある温度測定値がもたらされて、上記組立体システム10を適用したガスタービンの耐用年数が延び、信頼性が向上する。
【0033】
さらに、上記組立体システム10を使用すると、排出ガスの温度プロフィルが過渡状態にある場合に、非常に満足な結果を得ることが可能である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1の部分11、第2の部分40および第1、第2のベース部分30、31を、別々の部品として製造できることも有利である。
【0035】
したがって、本発明によるガスタービン用熱電対組立体システムは、上記に示した目的を達成するということがわかる。
【0036】
本発明の概念の範囲内で、本発明のガスタービン用熱電対組立体システムに適用できる、したがって考えられる多くの改変形態および変形形態を全て含むことができる。
【0037】
さらに、実際面では、使用される材料、およびその寸法/構成要素を技術的な要求に応じて変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるガスタービン用熱電対組立体システムの好ましい実施形態の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電対(16)が収容される支持要素(12)を備える、ガスタービンのための熱電対(16)の組立体システム(10)であって、
前記支持要素(12)が、前記ガスタービンの排出ガスの入口用の一連の孔(45)と、前記ガスが前記支持要素(12)の開口(14)を通って流れる前に混合される空洞(50)とを含むことを特徴とする、組立体システム(10)。
【請求項2】
前記支持要素(12)の前記開口(14)が、前記支持要素(12)自体の第1の部分(11)のベース表面(13)に対して中心に配置されることを特徴とする、請求項1記載の組立体システム(10)。
【請求項3】
前記一連の孔(45)が、前記支持要素(12)の第2の部分(40)に位置し、前記支持要素(12)の軸に対して前記開口(14)と反対側にあることを特徴とする、請求項1記載の組立体システム(10)。
【請求項4】
前記一連の貫通孔(45)、前記空洞(50)および前記開口(14)が、相互連通していることを特徴とする、請求項1記載の組立体システム(10)。
【請求項5】
前記熱電対(16)が、前記支持要素(12)の前記開口(14)から突出する端部(17)を有することを特徴とする、請求項1記載の組立体システム(10)。
【請求項6】
前記支持要素(12)が、ほぼ内部が中空の円筒形であることを特徴とする、請求項1記載の組立体システム(10)。
【請求項7】
前記支持要素(12)が、第1のベース部分(30)および第2のベース部分(31)を備え、その両方が前記支持要素(12)の前記第1の部分(11)および前記第2の部分(40)に連結されることを特徴とする、請求項2および4記載の組立体システム(10)。
【請求項8】
前記組立体システム(10)の前記支持要素(12)、前記要素(30)および前記部分(40)が、一体部品として製造されることを特徴とする、請求項1記載の組立体システム(10)。
【請求項9】
上記に特定された目的のための、上記に説明され、図示された組立体システム(10)。

【図1】
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【公表番号】特表2007−515644(P2007−515644A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546020(P2006−546020)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014467
【国際公開番号】WO2005/064295
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(500445479)ヌオーヴォ ピニォーネ ホールディング ソシエタ ペル アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Holding S.p.A.
【Fターム(参考)】