説明

ガスバーナー

【課題】ガスの噴出圧力により空気を吸引して、混合管内で混合しながらバーナーヘッドに至らせ、炎口から噴出させて燃焼を行うガスバーナーにおいては、ガスと空気の混合を如何に良好に行うかが肝要である。
【解決手段】本発明では長尺のパイプ2の一側面に長さ方向に沿って複数の炎口3を設けて構成したバーナーヘッド4の中間部の他側面にベンチュリー混合部5に至る混合管6を接続し、バーナーヘッド内には、その長さ方向に沿って、炎口側空間15と混合管接続部側空間16とを仕切る仕切板17を設けると共に、この仕切板には、バーナーヘッドの長さ方向に混合管接続部10から離れた位置に連通部18を設けた構成としており、このようにしてバーナーヘッドの一部も混合部として利用することにより、ガスとの空気との混合距離を延ばして、混合を良好に行えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば卵焼き、オムレツ、お好み焼き等の食品の加工や、その他の加熱用途に使用するガスバーナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示されるようなガスコンロ用のガスバーナーは、炎口を有するバーナーヘッドにベンチュリー混合部に至る混合管を接続し、このベンチュリー混合部にガスノズルを配置した構成であり、ガスノズルからベンチュリー部方向にガスが噴射されると、その噴射圧力によりベンチュリー混合部に形成された空気口から空気が吸引され、こうして混合管内に流入したガスと空気がバーナーヘッド方向に移動する際に混合され、バーナーヘッドに設けられた炎口から噴出して燃焼する。このような構成のガスバーナーでは、一次空気はガスの噴出圧に応じて吸引されるため、燃料の噴射量の変化に対して、空気量の調整を行う必要はない。
【0003】
一方、例えば特許文献2に示されるように、バーナーヘッドが長尺のガスバーナー、いわゆるラインバーナーがあり、このようなガスバーナーでは、長尺のバーナーヘッドに沿って均一な火炎を形成するための工夫が必要である。即ち、この特許文献2では、一端が閉塞され、他端から予混合ガスを供給するようにしたラインバーナーにおいて、バーナーヘッドを構成する長尺なパイプ内を上下に仕切る隔板を設け、この隔板の両側縁とパイプ内面との間に隙間を設けることにより、長尺のバーナーヘッドの全長に渡って均一なガス噴出圧を確保するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3840500号公報
【特許文献2】特開2000−356317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、ガスノズルからベンチュリー混合部に噴射されたガスと、吸引された空気を、混合管内を移動する際に混合して、バーナーヘッドに設けられた炎口から噴出して燃焼するガスバーナーでは、バーナーヘッドの夫々の炎口に、均一に混合された混合気を供給することが肝要である。そのために、混合管の長さは、比較的長く構成するのが良いが、機器の寸法上の制約から長くするのにも限界がある。
【0006】
特に、特許文献2に示されるような長尺のバーナーヘッドを有するラインバーナーにおいて、特許文献1のガスバーナーのようなガスと空気の混合方式を採用する場合には、バーナーヘッドの夫々の炎口に、均一に混合された混合気を供給することと、長尺のバーナーヘッドの全長に渡って均一な混合気圧を確保するための工夫が必要となる。
本発明は、以上の課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明では、まず、長尺のパイプの一側面に長さ方向に沿って複数の炎口を設けて構成したバーナーヘッドの中間部の他側面にベンチュリー混合部に至る混合管を接続し、上記バーナーヘッド内には、その長さ方向に沿って、炎口側空間と混合管接続部側空間とを仕切る仕切板を設けると共に、この仕切板には、バーナーヘッドの長さ方向に混合管接続部から離れた位置に連通部を設けたガスバーナーを提案する。
【0008】
また本発明では、上記の構成において、連通部は、仕切板の側縁に設けた切欠と、パイプ内壁間の隙間により形成することを提案する。
【0009】
また本発明では、上記の構成において、仕切板は、混合管接続部側から炎口側に末広がりのV字状に屈曲形成することを提案する。
【0010】
また本発明では、上記の構成において、混合管は、混合管接続部側とベンチュリー混合部側の夫々に配置したエルボ部と直管部とから構成することを提案する。
【0011】
また本発明では、上記の構成において、直線状に構成したり、曲線状に構成することを提案する。
【発明の効果】
【0012】
以上の構成において、ガスノズルからベンチュリー部方向にガスが噴射されると、その噴射圧力によりベンチュリー混合部に形成された空気口から空気が吸引される。このようにして混合管内に流入したガスと空気が混合されながらバーナーヘッド方向に移動し、混合管接続部からバーナーヘッド内に流入する。
【0013】
ここで、混合管接続部はバーナーヘッドの中間部に位置し、そして仕切板の連通部は、混合管接続部から離れた位置に設けられているので、混合管接続部からバーナーヘッド内に流入したガスと空気の混合気は、仕切板で仕切られた混合管接続部側空間をバーナーヘッドの両端部方向に移動し、その際に更に良好な混合が成される。
【0014】
こうして良好に混合されたガスと空気の混合気は、バーナーヘッドの中間部から離れた位置の連通部から炎口側空間に流入し、一部が中間部方向に移動し、バーナーヘッドの全体に渡って炎口から噴出して良好な燃焼が行われる。
【0015】
このように本発明では、混合管だけでなく、バーナーヘッドの一部も混合部として利用することにより、ガスとの空気との混合距離を延ばして、混合を良好に行えるという効果がある。
【0016】
以上の構成において、仕切板を、混合管接続部側から炎口側に末広がりのV字状に屈曲形成すると、混合管接続部側空間の断面積を炎口側空間の断面積よりも大きくすることができ、混合空間を大きくすることにより、混合を更に良好に行うことができる。
【0017】
また以上の構成において、混合管を、混合管接続部側とベンチュリー混合部側の夫々に配置したエルボ部と直管部とから構成すれば、エルボ部が一つの通常のガスバーナーと比較して、エルボ部による混合をより良好に行うことができる。
【0018】
以上の構成の本発明のガスバーナーは、バーナーヘッドを直線状として、いわゆるラインバーナーとして構成する他、曲線状に構成することができ、例えば円環状に構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は本発明に係るガスバーナーの第1の実施の形態の全体構成を示す正面図である。
【図2】図2は図1のガスバーナーの一部の炎口側を切り欠いて示す平面図である。
【図3】図3は図1のガスバーナーの炎口側を切り欠いて示す平面図である。ベッドボードを背面側から見た斜視図である。
【図4】図4は図1の要部拡大図である。
【図5】図5は図2の要部拡大図である。
【図6】図6は図5のA−A線断面図である。
【図7】図7は図5のB−B線断面図である。
【図8】図8は図5のC−C線断面図である。
【図9】図9は図5のD−D線断面図である。
【図10】図10は本発明に係るガスバーナーの第2の実施の形態の全体構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明のガスバーナーの実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図において符号1は本発明に係るガスバーナーを概括的に示すもので、このガスバーナー1は、概ね、長尺のパイプ2の一側面に長さ方向に沿って複数の炎口3を設けて構成したバーナーヘッド4の中間部の他側面にベンチュリー混合部5に至る混合管6を接続した構成である。
【0021】
ベンチュリー混合部5には、ベンチュリー部7方向に燃料のガスを噴出するガスノズル8を設けると共に、ガスノズル8の周囲にダンパー(図示省略)を備えた空気口9を設けている。また混合管6は、混合管接続部10側とベンチュリー混合部5側の夫々に配置したエルボ部11、12と直管部13、14とから構成している。
【0022】
バーナーヘッド4の平面形状は、図1〜図3に示すように直線状として構成しても良いし、図10に示すように曲線状、この場合、円環状等の適宜の形状に構成することができる。これらの構成においてバーナーヘッド4を構成するパイプ2の両端は閉塞しているが、円環状等の構成では、端部無しの構成とすることもできる。またこの実施の形態では、炎口3はスリット状に形成しているが、多数の列設した小孔により構成することもできる。
【0023】
そして本発明では、バーナーヘッド4内には、その長さ方向に沿って、炎口側空間15と混合管接続部側空間16とを仕切る仕切板17を設けると共に、この仕切板17には、バーナーヘッド4の長さ方向に混合管接続部10から離れた位置に連通部18を設けている。
【0024】
実施の形態においては、仕切板17は、混合管接続部10側から炎口3側に末広がりのV字状に屈曲形成することにより、混合管接続部側空間16の断面積を炎口側空間15の断面積よりも大きくしている。
【0025】
一方、実施の形態において、連通部18は、仕切板17の両側縁に設けた切欠19と、パイプ1の内壁間の隙間により構成しているが、貫通孔(図示省略)により構成することもできる。
【0026】
以上の構成において、図中矢印で示すように、ガスノズル8からベンチュリー部7方向にガスが噴射されると、その噴射圧力によりベンチュリー混合部5に形成された空気口9から空気が吸引される。このようにして混合管6内に流入したガスと空気が混合されながらバーナーヘッド4方向に移動し、混合管接続部10からバーナーヘッド4内に流入する。
【0027】
混合管接続部10はバーナーヘッド4の中間部に位置し、そして仕切板17の連通部18は、混合管接続部10から離れた位置に設けられているので、混合管接続部10からバーナーヘッド4内に流入したガスと空気の混合気は、仕切板17で仕切られた混合管接続部側空間16をバーナーヘッド4の両端部方向に移動し、その際に更に良好な混合が成される。
【0028】
こうして良好に混合されたガスと空気の混合気は、バーナーヘッド4の中間部から離れた位置の連通部18から炎口側空間15に流入し、一部が中間部方向に移動し、バーナーヘッド4の全体に渡って炎口3から噴出して良好な燃焼が行われる。符号20は燃焼によって生じる火炎を示すものである。
【0029】
このように本発明では、混合管6だけでなく、バーナーヘッド4の一部も混合部として利用することにより、ガスとの空気との混合距離を延ばして、混合を良好に行えるという効果がある。
【0030】
そしてこの実施の形態では、仕切板17を、混合管接続部10側から炎口3側に末広がりのV字状に屈曲形成しているので、混合管接続部側空間16の断面積を炎口側空間15の断面積よりも大きくすることができ、混合空間を大きくすることにより、混合を更に良好に行うことができる。
【0031】
更にこの実施の形態では、混合管6を、混合管接続部10側とベンチュリー混合部5側に配置したエルボ部11、12と、直管部13、14とから構成しているので、エルボ部が一つの通常のガスバーナーと比較して、エルボ部による混合をより良好に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のガスバーナーは、以上に示すように、ベンチュリー混合部においてガスの噴出圧力により空気を吸引して、ガスと空気を混合管内で混合しながらバーナーヘッドに至らせ、バーナーヘッドに設けた炎口から噴出させて燃焼を行うガスバーナーにおいて、混合管だけでなく、バーナーヘッドの一部も混合部として利用することにより、ガスとの空気との混合距離を延ばして、混合を良好に行えるので、長尺のバーナーヘッドを有するガスバーナーにおいて、バーナーヘッドの夫々の炎口に、均一に混合された混合気を供給し、以て、長さ方向に沿って均一の火炎を形成することができる。
【0033】
こうして本発明のガスバーナーは、例えば卵焼き、オムレツ、お好み焼き等の食品の加工用として最適であるばかりでなく、その他の適宜の加熱用途に使用可能なガスバーナーを提供することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ガスバーナー
2 パイプ
3 炎口
4 バーナーヘッド
5 ベンチュリー混合部
6 混合管
7 ベンチュリー部
8 ガスノズル
9 空気口
10 混合管接続部
11、12 エルボ部
13、14 直管部
15 炎口側空間
16 混合管接続部側空間
17 仕切板
18 連通部
19 切欠部
20 火炎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のパイプの一側面に長さ方向に沿って複数の炎口を設けて構成したバーナーヘッドの中間部の他側面にベンチュリー混合部に至る混合管を接続し、上記バーナーヘッド内には、その長さ方向に沿って、炎口側空間と混合管接続部側空間とを仕切る仕切板を設けると共に、この仕切板には、バーナーヘッドの長さ方向に混合管接続部から離れた位置に連通部を設けたことを特徴とするガスバーナー。
【請求項2】
連通部は、仕切板の側縁に設けた切欠と、パイプ内壁間の隙間により形成したことを特徴とする請求項1に記載のガスバーナー。
【請求項3】
仕切板は、混合管接続部側から炎口側に末広がりのV字状に屈曲形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のガスバーナー。
【請求項4】
混合管は、混合管接続部側とベンチュリー混合部側の夫々に配置したエルボ部と直管部とから構成したことを特徴とする請求項1〜3に記載のガスバーナー。
【請求項5】
バーナーヘッドは直線状に構成していることを特徴とする請求項1〜4までのいずれか1項に記載のガスバーナー。
【請求項6】
バーナーヘッドは曲線状に構成していることを特徴とする請求項1〜4までのいずれか1項に記載のガスバーナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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