説明

ガス処理装置及びガス処理システム

【課題】除害の副産物であるHFが水に溶けることによって、アノード電極が腐食され、電極の寿命が短くなることを防止したガス処理装置及びガス処理システムを提供する。
【解決手段】水供給管61より分岐された中性のH2Oは給水孔59a、給水孔59b、給水孔59cを通りアノード電極25内部に形成された中央通水溝57a、内側環状通水溝57b及び外側環状通水溝57cに対し供給される。中央通水溝57a、内側環状通水溝57b及び外側環状通水溝57cのそれぞれの容積を超えた分のH2Oがアノード電極25の上面より溢れ出る。このとき、内側貯留槽42に水没されているアノード電極25の上面には中性のH2Oのバリアが形成される。従って、アノード電極25の上面付近ではHFの濃度が薄まり、アノード電極25がHFに晒され難くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス処理装置及びガス処理システムに係わり、特に除害の副産物であるHF(フッ化水素)が水に溶けることによって、アノード電極が腐食され、電極の寿命が短くなることを防止したガス処理装置及びガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製造工程では、化学気相反応を利用して成膜するCVD(Chemical Vapor Deposition)処理やエッチング処理等が行われ、プロセスチャンバにおいて各種のガスが使用されている。
【0003】
そして、このプロセスチャンバから化学気相反応等を経て発生する排ガスは、有害なCF4(フロン14)やC48(フロン318)などのPFCガス(パーフロロカーボン:地球温暖化ガス)が含まれている。このPFCガスは極めて安定なため、分解されずに大気中に放出されると環境に対して害が大きい。
【0004】
このため、図7に示すように、プロセスチャンバ1には、この有害な排ガスを除去するべく真空引きのためにターボ分子ポンプ3及びドライポンプ5が直列に接続されている。そして、ドライポンプ5で運転開始時にある程度真空引きした後に、更にターボ分子ポンプ3で必要な低圧にまで真空引きするように構成されている。但し、CVD処理等の場合にターボ分子ポンプ3が省略された形で構成されることもある。
【0005】
ドライポンプ5から出力された有害な排ガスは、除害装置7を通りセントラルスクラバー9に至るようになっている。このとき、排ガスは、セントラルスクラバー9により多少の減圧をされつつ除害装置7内に誘導される。そして、除害装置7では、例えば、プラズマによりPFCガスを無害なCO2やHF(フッ化水素)に分解するようになっている。その後、発生したHFはH2O(水)に溶かされた(以下、HF水という)上で外部に排出される。
【0006】
このように、プラズマ処理の工程でPFCガスを酸化によりCO2やHFに分解する例が特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−117344号公報
【特許文献2】特許第4107959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、除害処理をプラズマで構成した場合、プラズマ生成のための電極の一端であるアノード電極は、HFを効率良くH2Oに溶かすため、水中に水没された形で運転される。このとき、HF水を媒体として、アノード電極が一種の電気分解により腐食され、その結果として、電極の寿命が短くなるおそれがあった。
【0009】
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、除害の副産物であるHFが水に溶けることによって、アノード電極が腐食され、電極の寿命が短くなることを防止したガス処理装置及びガス処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため本発明(請求項1)のガス処理装置は、ガスが導入されるガス管路と、第1の液体が貯留される貯留槽と、前記第1の液体内に配置された第1の電極と、該第1の電極に第2の液体を供給する液体供給装置と、前記第1の電極に対峙して配置された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極間に、所要の電圧を発生させる電源装置とを備え、前記第1の電極と前記第2の電極間にプラズマを発生させることで前記ガスを処理するガス処理装置であって、前記第1の電極の前記第2の電極に対峙する面に、前記第2の液体が溢出する給水孔を有する溝を形成し、前記第2の液体を該溝から溢出させることで、前記第1の電極と前記第1の液体の間に前記第2の液体のバリアが形成されることを特徴とする。
【0011】
第1の液体及び第2の液体は異ならせてもよいが、同じ例えばH2Oとされてもよい。そして、プラズマにより有害なガスであるPFCガスを無害なCO2やHF等に分解する。その後、発生したHF等はH2O(水)等の第2の液体に溶かされた形で外部に排出される。第2の液体を溝から溢出させることで第1の電極と第1の液体の間に第2の液体のバリアを形成する。
【0012】
従って、第1の電極の上面付近では第2の液体中のHF等の濃度が薄まり、第1の電極がHF等に晒され難くなる。その結果、第2の液体で電極の周りが保護された形になり電極の寿命が延びる。また、円筒状の溝の外側が腐食により削られた場合には、この削られた部分には溢れた第2の液体が余計に流れるようになる。このことにより、この削られた部分付近では第2の液体のバリアが厚く形成されることになり、腐食の進みを遅らせることができるようになる。
【0013】
一方、溝から外周側へ溢れ出る第2の液体の量が増えていくと、溝から内周側へ溢れ出る第2の液体の量が減ることになり、溝より内周側での腐食が始まっていく。このように、溝より外周側の電極がHF等によって腐食され始めると、腐食により中心部に流れる第2の液体が少なく(外側に流れる第2の液体が多く)なり、今度は中心部が腐食されていくというような作用が順次繰り返されることになる。このため、電極の腐食は少しずつ進行するようになる。従来のように一部分だけが極端に早く形状劣化するということはなくなる。
【0014】
また、本発明のガス処理装置は、前記第1の電極の腐食により削られた部分の変形の度合いに応じて、該腐食部分に対し余計に前記第2の液体が流れることを特徴とされてもよい。
更に、本発明のガス処理装置は、該腐食部分の変形の度合いによらず、ほぼ一定の流量で前記第2の液体が流れるように調整されてもよい。
【0015】
各給水孔の直径を大きく設定して管路抵抗を小さくすることで、腐食により劣化した部分には十分な第2の液体の量を供給し第1の電極の劣化部分の上面には第2の液体のより一層厚いバリアを形成したり、環境如何によっては、逆に各給水孔の直径を小さく設定して管路抵抗を大きくすることで腐食部分の変形の度合いによらずほぼ一定の流量で第2の液体が流れるように調整し電極の劣化を防止する。このことにより、HF等の濃度を確実に薄めることができるため、アノード電極が腐食され難くなり、電極の寿命が延びる。
【0016】
更に、本発明(請求項2)のガス処理システムは、請求項1記載のガス処理装置に、該ガス処理装置の制御を行うコントローラを備えたことを特徴とする。
【0017】
更に、本発明(請求項3)のガス処理システムは、請求項1記載のガス処理装置の上流側に配設され、プロセスチャンバ内のガスを該ガス処理装置へ排気するための真空ポンプと、該真空ポンプと前記ガス処理装置の間に配設された第1の水スクラバーと、前記ガス処理装置の下流側に配設された第2の水スクラバーと、前記第1の水スクラバーの制御、前記第2の水スクラバーの制御、前記ガス処理装置の制御、第1の液体の制御、プラズマの制御のいずれか少なくとも一つの制御を行うコントローラとを備えたことを特徴とする。
【0018】
真空ポンプはターボ分子ポンプ及びドライポンプ等である。但し、ターボ分子ポンプは省略されてもよい。
【0019】
ガス処理装置の上流側に第1の水スクラバーを設けたことで、SiO2(シリカ)の発生要因となるSiF4(四フッ化ケイ素)を除去することができる。また、ガス処理装置の下流側に第2の水スクラバーを設けたことで、ガス処理装置内でH2Oに吸収されずに残ったHFを除去することができる。
【0020】
コントローラで、第1の水スクラバーの制御、第2の水スクラバーの制御、ガス処理装置の制御をまとめて行えるのでコンパクトに構成できる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明(請求項1)によれば、電極の上部に少なくとも一つの円筒状の溝を備え、第2の液体をこの溝から溢出させることで第1の電極と第1の液体の間に第2の液体のバリアが形成されるように構成したので、第1の電極の上面付近では有害なガスであるPFCガスを分解することで生成されるHF等の第2の液体中の濃度が薄まり、第1の電極がHF等に晒され難くなる。
【0022】
その結果、第2の液体のバリアで電極の周りが保護された形になり電極の寿命が延びる。また、従来のように一部分だけが極端に早く形状劣化するということはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態である除害装置の縦断面図
【図2】図1中のA−A矢視断面図
【図3】アノード電極の縦断面図
【図4】電極が腐食されていく様子を示す図(腐食の初期)
【図5】電極が腐食されていく様子を示す図(腐食の過程)
【図6】除害システムの構成図
【図7】従来の除害システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態である除害装置の縦断面図を図1に、また、図1中のA−A矢視断面図を図2に示す。図1及び図2の除害装置17において、外周が円筒状のケース21のケース底面21aからは絶縁体からなる円筒状のパイプ23が立設されている。パイプ23の径はプラズマの通り易い大きさに設定されている。
【0025】
そして、このケース底面21aの中心にはアノード電極25が取り付けられている。
一方、ケース上面21bには、このアノード電極25に対峙してカソード電極27が取り付けられている。そして、パイプ23の高さは、パイプ23の上端がカソード電極27の下端よりも下方となるように形成されている。
【0026】
ケース上面21bには、この除害装置17の上流側に配設されたドライポンプ5から排出された排ガスが導入される管路29が取り付けられている。一方、ケース21のケース側壁21cには給水管31が接続されている。図2に示すように、ケース側壁21cとパイプ23の間には円筒状の外側貯留槽40が形成され、給水管31から導入されたH2Oが一時貯留されるようになっている。
【0027】
2Oは、パイプ23の上端を堰として少しずつ溢れ出て表面張力により膜状にパイプ23の内側を伝って自然落下するようになっている。パイプ23の内側には内側貯留槽42が形成され、その下部にはこの自然落下したH2Oが一時溜まるようになっている。アノード電極25は、内側貯留槽42の水面下に水没した状態になっている。
【0028】
この一時溜められたH2Oにはプラズマ処理の結果生成されたHFが溶け、その後、図示しない排水管により外部に排水されるようになっている。給水管31の高さはパイプ23の高さよりも低く形成されている。図示しない高電圧源によりカソード電極27とアノード電極25の間にはプラズマが発生されるようになっている。
【0029】
図3にアノード電極25の縦断面図を示す。アノード電極25の中央部には円柱状の溝である中央通水溝57aが設けられ、給水孔59aと接続されている。また、この中央通水溝57aの周囲には環状突設部53aを隔てて円筒状の溝である内側環状通水溝57bが設けられ、この内側環状通水溝57bは給水孔59bと接続されている。
【0030】
そして、更にこの内側環状通水溝57bの周囲には環状突設部53bを隔てて円筒状の溝である外側環状通水溝57cが設けられ、この外側環状通水溝57cは給水孔59cと接続されている。そして、外側環状通水溝57cの外周には環状突設部53cが形成されている。各溝は同心円状に配置された形になっている。給水孔59a、給水孔59b、給水孔59cは水供給管61より分岐されている。
水供給管61には図示しない液体供給装置が接続されている。
【0031】
なお、給水孔59b、給水孔59cは図3中には下方から上方に向けた形で溝に対し給水孔が接続されているように記載しているが、実際には環状に水流を旋回させるため水平方向で、かつ円筒状の溝に対し接線方向に給水孔が接続されるのが望ましい。
【0032】
次に、本発明の実施形態の作用を説明する。
かかる構成によれば、セントラルスクラバー9により多少の減圧をされることで、PFCガスを含む排ガスが管路29を通じて除害装置17内に誘導される。
【0033】
給水管31より、ケース側壁21cとパイプ23の間に形成された円筒状の外側貯留槽40にH2Oが給水される。
【0034】
このとき、H2Oは外側貯留槽40内に少しずつ増えていくので、増えた分ずつパイプ23を堰として溢れ、その後、パイプ23の内側を伝ってほぼ均一に自然落下する。
【0035】
パイプ23の内側を伝って流れるH2Oに含まれている空気又はO2は、内側貯留槽42に至るまでの過程で徐々に外部に飛散する。このとき、プラズマの周囲にプラズマの流れと並行した水膜41が形成されているため、広範囲に亙ってプラズマと水膜41から飛散した空気又はO2とが接触可能である。
このとき、プラズマの雰囲気中ではPFCガスの酸化が促進される。
このプラズマと水膜41との間でのPFCガスを酸化可能な領域が反応部となる。
【0036】
プラズマによりラジカル化されたC,F,Hの各成分にはH2Oに含まれている空気又はO2により十分なだけのO2が供給される。この酸化促進の結果、PFCガスを含む排ガスは無害なCO2やHFに分解される。そして、生成されたHFはH2Oに溶かされた形で排水管より外部に排水される。
【0037】
除害装置17で用いられるプラズマは常圧プラズマであるため、除害装置の設置が容易である。
水供給管61より分岐された中性のH2Oは給水孔59a、給水孔59b、給水孔59cを通りアノード電極25内部に形成された中央通水溝57a、内側環状通水溝57b及び外側環状通水溝57cに対し供給される。
【0038】
内側環状通水溝57b及び外側環状通水溝57cに対しては、水平方向で、かつ円筒状の溝に対し接線方向にH2Oが侵入するため溝内を環状方向に旋回しつつ流れ、中央通水溝57a、内側環状通水溝57b及び外側環状通水溝57cのそれぞれの容積を超えた分のH2Oがアノード電極25の上面より溢れ出る。
【0039】
外側環状通水溝57cより溢れ出た水流の方向を図3中に矢印イ、ロで示したが、矢印イ、ロの長さを等しく記載しているのは、このときの外側環状通水溝57cより外側に溢れ出た水量と内側に溢れ出た水量とがほぼ等量であることを示している。この点は他の溝についても同様で内側と外側とに等量ずつ溢れ出ている。
【0040】
このことにより、内側貯留槽42に水没されているアノード電極25の上面には中性のH2Oのバリアが形成される。従って、アノード電極25の上面付近ではHFの濃度が薄まり、アノード電極25がHFに晒され難くなる。その結果、中性のH2Oで電極の周りが保護された形になり腐食され難く電極の寿命が延びる。
このようなH2Oのバリアにより、腐食に対する一定の効果が得られるが、更に以下に述べる作用が加わることで腐食に対し一層顕著な効果を得ることができる。
【0041】
電極のHF水による腐食は一般的には図4に示すように電極端である環状突設部53c側から始まる。即ち、腐食により環状突設部53cの上端部が一部削られる。削られた部分を図4中にハッチングで示す。この際には外周よりの方がより多く削られる傾向にある。
【0042】
このため、この削られた部分には外側環状通水溝57cから溢れたH2Oが余計に流れるようになる(この外側に向けた水流は図4中に矢印ハで示すが、矢印ハの長さを内側に向けた水流である矢印ニの長さよりも長く示し水量の多いことを示している)。このことにより、この環状突設部53cの剥離のあった上端部付近ではH2Oのバリアが以前より厚く形成されることになり、腐食の進みを遅らせることができるようになる。
【0043】
一方、図5に示すように、更に環状突設部53cの上端部の腐食が進み剥離が進んだ結果、外側への水の量(矢印ホ)が更に増えていくと、内側への水の量が減り、環状突設部53bの側での腐食が始まっていく。削られた部分を図5中にハッチングで示す。
【0044】
このように、外周側の電極がHFによって腐食され始めると、腐食により中心部に流れる水が少なく(外側に流れる水が多く)なり、今度は中心部が腐食されていくというような作用が順次繰り返されることになる。このため、電極の腐食は少しずつ進行するようになる。従来のように一部分だけが極端に早く形状劣化するということはなくなる。
【0045】
また、給水孔59a、給水孔59b、給水孔59cは、アノード電極25の腐食により削られた部分の変形の度合いが大きい程、この程度に応じてこの部分に対して余計にH2Oが流れるように、直径または数が調整されている。
【0046】
即ち、各給水配管の直径を大きく設定して管路抵抗を小さくすることで、腐食により劣化した部分にはより十分な水量を供給し、アノード電極25のこの劣化部分の上面にはH2Oのより一層厚いバリアを形成できるようになる。
このことにより、HFの濃度をより一層薄めることができるため、アノード電極が腐食され難くなり、電極の寿命が延びる。
または各給水配管の数を増やすことで、同様の効果を奏する。
【0047】
なお、本実施形態ではH2OにHFが溶け込んだとして説明したが、使用する液体をH2O以外に選択した場合や処理すべき排ガスの種類が変わった場合、あるいは、H2Oに対し溶け込んだHFの量如何によっては、腐食部分の変形の度合いによらずほぼ一定の流量でH2O若しくは液体が流れるように調整されてもよい。この場合には、各給水配管の直径を小さく設定して管路抵抗を大きくすることでこの目的を達成することが出来る。
【0048】
また、本実施形態では、溝として中央通水溝57a、内側環状通水溝57b及び外側環状通水溝57cの3つが形成されているとして説明したが、中央通水溝57aを省略し、環状の通水溝のみで形成することも可能である。環状の通水溝の数は少なくとも一つ形成すればよく、3つ以上形成されてよい。
【0049】
次に、排ガス中にSiF4(四フッ化ケイ素)が含まれている場合の処理、及びHFの更なる除去について説明する。
プロセスチャンバ1においてシリコン母材のウェハーがエッチングされるような場合には、SiF4が生成されることがある。この場合、このSiF4が排ガスに含まれて管路29を通じて除害装置17内に誘導される。
このSiF4はH2Oとの反応性がよく、特に除害装置17の内側貯留槽42の上部付近でH2Oと反応し数1のようにSiO2(シリカ)を生成する。
【0050】
【数1】

【0051】
このSiO2はパイプ23の内側に付着物として堆積してしまう。この場合、除害装置17の処理に支障が生じるため、SiO2を除去する作業が必要となってくる。
【0052】
そこで、かかる弊害を回避するため、図6のシステム構成図に示すように、除害装置17の前段に第1の水スクラバー71を設け、SiO2の要因となるSiF4を除去する。コントローラ75は、第1の水スクラバー71におけるスクラバー水の制御等を行っている。例えば、図示しないバルブのオンオフ制御を行うことで第1の水スクラバー71へのスクラバー水の導入のタイミングを制御している。
【0053】
また、スクラバー水の流量は図示しないレギュレータで設定自在であり、かつスクラバー水の流量は第1の水スクラバー71内に配設された図示しない流量センサで検出された後、コントローラ75において表示されるようになっている。これにより、パイプ23の内側にSiO2が堆積することを効率よく防止できる。
【0054】
また、数2に示す通り、除害装置17でCF4を処理した際に発生するHFは、一部は前述のようにH2Oに吸収される。しかしながら、HFはあまり水溶性がよくないため、内側貯留槽42の貯留水に吸収されずに残ってしまうものがある。これらH2Oに吸収されなかったHFを除害装置17の後段に配設した第2の水スクラバー73で除去する。
【0055】
【数2】

【0056】
ここで、コントローラ75は、第2の水スクラバー73に対してもスクラバー水の制御を行っているが、第1の水スクラバー71におけるスクラバー水の制御と同様なので説明を省略する。
【0057】
コントローラ75は、また、除害装置17に対し以下の制御を行っている。即ち、管路29への排ガスの導入を制御するため、図示しないバルブのオンオフ制御を行っている。また、管路29に並列接続された図示しないバイパス管路への切替制御も行っている。
【0058】
更に、コントローラ75は、カソード電極27とアノード電極25の間に流すプラズマの着火のタイミングと電圧の制御を行うようになっている。
【0059】
また、このコントローラ75は、給水管31の途中に配設された図示しないバルブのオンオフ制御を行うことでH2Oの導入のタイミングを制御するようになっている。また、H2Oの流量は図示しないレギュレータで設定自在であり、かつH2Oの流量は給水管31に配設された図示しない流量センサで検出された後、コントローラ75において表示されるようになっている。ここで、コントローラ75を1つのコントローラとして記載したが、第1の水スクラバー71、第2の水スクラバー73、除害装置17等のコントローラをそれぞれ別個に設けても良い。
【0060】
なお、図6に記載の真空ポンプ77はターボ分子ポンプ及びドライポンプを含めた形で記載している。先述した通り、この内、ターボ分子ポンプはCVD処理等では省略されることもある。
【符号の説明】
【0061】
17 除害装置
25 アノード電極
27 カソード電極
29 管路
42 内側貯留槽
53a、53b、53c 環状突設部
57a 中央通水溝
57b 内側環状通水溝
57c 外側環状通水溝
59a、59b、59c 給水孔
61 水供給管
71 第1の水スクラバー
73 第2の水スクラバー
75 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが導入されるガス管路と、
第1の液体が貯留される貯留槽と、
前記第1の液体内に配置された第1の電極と、
該第1の電極に第2の液体を供給する液体供給装置と、
前記第1の電極に対峙して配置された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極間に、所要の電圧を発生させる電源装置とを備え、
前記第1の電極と前記第2の電極間にプラズマを発生させることで前記ガスを処理するガス処理装置であって、
前記第1の電極の前記第2の電極に対峙する面に、前記第2の液体が溢出する給水孔を有する溝を形成し、前記第2の液体を該溝から溢出させることで、前記第1の電極と前記第1の液体の間に前記第2の液体のバリアが形成されることを特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のガス処理装置に、該ガス処理装置の制御を行うコントローラを備えたことを特徴とするガス処理装置。
【請求項3】
請求項1記載のガス処理装置の上流側に配設され、プロセスチャンバ内のガスを該ガス処理装置へ排気するための真空ポンプと、
該真空ポンプと前記ガス処理装置の間に配設された第1の水スクラバーと、
前記ガス処理装置の下流側に配設された第2の水スクラバーと、
前記第1の水スクラバーの制御、前記第2の水スクラバーの制御、前記ガス処理装置の制御、第1の液体の制御、プラズマの制御のいずれか少なくとも一つの制御を行うコントローラとを備えたことを特徴とするガス処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−35250(P2012−35250A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224142(P2010−224142)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【特許番号】特許第4733779号(P4733779)
【特許公報発行日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(508275939)エドワーズ株式会社 (18)
【Fターム(参考)】