説明

ガス栓

【課題】火災が発生して高温にさらされた場合にもガス漏れ量が少なく、800℃、30分間におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たすことが可能なガス栓を提供する。
【解決手段】ガスソケット1が接続されるプラグ2と、ガスの供給路を開閉する閉子3を備えたガスコック本体4と、ガスコック本体4の閉子3を操作してガス供給路の開閉を行う操作手段5と、プラグ2からガスソケット1を離脱させるガスソケット離脱手段(離脱用押ボタン)11と、一端側がガス流入口6aとなり、ガスコック本体4と接続される他端側にはフランジ部6bが配設されたフランジ管6とを備えたガス栓において、フランジ管6とガスコック本体4の接合部7に、金属プレート21の両面に有機弾性材料薄膜層22が配設された構造を有する耐火用パッキン9を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスソケットが接続されるガス栓に関し、特に、火災時のガス漏れを抑制するようにしたガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス栓としては、例えば、図5に示すような構造を有するガス栓(壁用ガス栓)が知られている(特許文献1参照)。この壁用のガス栓は、ガスソケット51を着脱自在に接続し得るプラグ52と、プラグ52へのガスの供給を開閉するガスコック(本体)54と、一端側がガス流入口60aとなり、ガスコック本体54と接続される他端側にはフランジ部60bが配設されたフランジ管60と、ガスコック54に隣接するように配置されて揺動させることによりガスコック54の閉子53を回動操作する操作レバー(操作手段)55と、操作レバー55に隣接するように配置されて押圧することにより連動体56を介してプラグ52からガスソケット51を離脱する離脱用押ボタン57と、操作レバー55の閉状態で離脱用押ボタン57の押圧を可能にし且つ操作レバー55の開状態で離脱用押ボタン57の押圧を阻止する安全機構58とを備えている。
【0003】
そして、安全機構58は、離脱用押ボタン57の操作レバー55側の面に離脱用押ボタン57の押圧方向に突設した突部(図示せず)と、操作レバー55の基部に一体に設けた連動部59と、連動部59に設けた切欠(図示せず)とにより構成されている。
【0004】
安全機構58は、操作レバー55の閉状態でのみ突部と切欠が合致して離脱用押ボタン57の押圧を可能にするとともに、操作レバー55の閉状態以外の状態では、突部が連動部59に当接して離脱用押ボタン57の押圧を許さないようにする機能を果たすように構成されている。
【0005】
また、操作レバー55は、安全機構58の連動部59の上面に設けた休止突起(図示せず)と、特に図示しない押さえばね片に設けた一対の係止孔とを係合させることにより、所定の開位置と閉位置で係止し得るように構成されている。
【0006】
そして、上述のように構成されたガス栓は、閉子53の開閉とガスソケット51の離脱を別々に行うことができて取り扱いがしやすくなる、操作レバー55を揺動することにより閉子53の開閉操作がしやすくなる、操作レバー55が閉状態のときしか離脱用押ボタン57を押圧してガスソケット51を外すことができず安全性が向上するなどの特有の効果を奏するとされている。
【0007】
ところで、近年、ガス栓には、800℃、30分間におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準が制定されるに至っている。
この基準における許容漏れ量は、火災発生・通報後の消防、ガス事業者が火災現場に到着するまでの平均時間を考慮し、ガス栓部分に着火しないガス量として設定されたものである。
【0008】
しかし、上記従来のガス栓では、一般的に、ガスコック本体54とフランジ管60の接合部に、通常使用時のガス漏れを防止するためのシール用パッキン(図示せず)が配設されているだけであることから、500℃以上の温度にまで温度上昇する火災時には、このシール用パッキンが熱により劣化し、上述の耐火基準を満足することができないという問題点がある。
【特許文献1】実公平4−42626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、火災が発生して高温にさらされた場合にもガス漏れ量が少なく、800℃、30分間におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たすことが可能なガス栓を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明(請求項1)のガス栓は、ガス流路を構成する部材の接続部が、金属プレートの両面に有機弾性材料薄膜層が配設された構造を有する耐火用パッキンによりシールされていることを特徴としている。
【0011】
また、請求項2のガス栓は、請求項1記載のガス栓の構成において、前記耐火用パッキンの有機弾性材料薄膜層の厚みが0.065mm付近にあることを特徴としている。
【0012】
また、請求項3のガス栓は、請求項1または2記載のガス栓の構成において、 前記耐火用パッキンの前記有機弾性材料薄膜層がゴムからなるものであることを特徴としている。
【0013】
また、請求項4のガス栓は、請求項1〜3のいずれかに記載のガス栓の構成において、前記接続部を構成する部材どうしの接合面間には、通常使用時におけるガス漏れを防止するための通常シール用パッキンが配設され、かつ、前記通常シール用パッキンが配設された領域の外周側または内周側の少なくとも一方の接合面間に前記耐火用パッキンが配設されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項5のガス栓は、請求項1〜4のいずれかに記載のガス栓の構成において、
前記接続部が、ガスの供給路を開閉する閉子を備えたガスコック本体と、一端側がガス流入口となり、他端側が前記ガスコック本体と接続されるフランジ部を備えたフランジ管との接続部であって、
前記フランジ管と前記ガスコック本体の接合面には、それぞれ前記通常シール用パッキンがはまり込む凹部が形成されており、前記通常シール用パッキンが前記凹部の底面と接するように配設されているとともに、
前記耐火用パッキンが、前記凹部が形成された領域の外周側の、前記フランジ管と前記ガスコック本体の接合面間に、両接合面と接するように配設されていること
を特徴としている。
【0015】
また、請求項6のガス栓は、ガスソケットを着脱自在に接続し得るプラグと、ガスの供給路を開閉する閉子を備えたガスコック本体と、前記ガスコック本体の閉子を操作してガス供給路の開閉を行う操作手段と、前記プラグからガスソケットを離脱させるガスソケット離脱手段と、一端側がガス流入口となり、前記ガスコック本体と接続される他端側にはフランジ部が配設されたフランジ管とを具備するガス栓であって、
前記ガス流路を構成する部材の接続部が、前記フランジ管と前記ガスコック本体の接続部であること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明(請求項1)のガス栓は、ガス流路を構成する部材の接続部を、金属プレートの両面に有機弾性材料薄膜層が配設された構造を有する耐火用パッキンを用いてシールするようにしているので、火災が発生してガス栓の温度が上昇した場合にも、上記耐火用パッキンにより、ガス漏れを抑制することが可能になり、800℃、30分間の条件におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たすことが可能になる。
したがって、本発明によれば、火災時にもガス漏れ量の少ない(800℃、30分間におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たす)、信頼性の高いガス栓を提供することが可能になる。
【0017】
なお、火災時にガス栓の温度が上昇した場合、耐火用パッキンを構成する有機弾性材料薄膜層は炭化するが、金属プレートにコーティングされた状態の有機弾性材料薄膜層は接合部の表面(接合面)の凹凸部分に入り込んでおり、炭化した場合にも脱落しにくく、接合部に保持されることから、炭化した状態においてもある程度のシール性能を発揮する。その結果、800℃、30分間におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たすことが可能になる。
【0018】
また、請求項2のガス栓のように、耐火用パッキンの有機弾性材料薄膜層として、厚みが0.065mm付近にあるものを用いることにより、火災が発生して、有機弾性材料薄膜層が炭化した場合にも、炭化物によるシール機能を確保して、800℃、30分間におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たすことが可能な信頼性の高いガス栓を提供することが可能になる。
【0019】
耐火用パッキンの有機弾性材料薄膜層の厚みを0.065mm付近とすることが好ましいのは、有機弾性材料薄膜層の厚みが0.065mmより薄くなると、その程度により、フランジ管およびコック本体の接合面との密着性が低下して、通常使用時および火災時を問わず、シール性能が低下する傾向があること、また、有機弾性材料薄膜層の厚みが0.065mmより厚い場合、その程度により、火災時に高温にさらされて有機弾性材料薄膜層が炭化したときに、空隙が形成される傾向があり、シール性能の低下を招くおそれがあることによる。
【0020】
なお、耐火用パッキンとして、有機弾性材料薄膜層の表面に表面コーティングが施された構造を有するものを用いることにより、耐火用パッキンの表面特性を向上させて、さらに信頼性の高いガス栓を提供することが可能になる。
例えば、不燃材粉末(無機材料粉末など)を含有する材料からなるコンパウンドや、グラファイト系材料などを用いることが可能であり、適切な表面コーティング材を用いることにより、有機弾性材料薄膜層の炭化を抑制したり、炭化後のシール性能保持効果を高めたりすることが可能になる。
【0021】
また、請求項3のガス栓のように、耐火用パッキンとして、有機弾性材料薄膜層がゴムからなるものを用いることにより、特に高価な材料を使用することなく、火災が発生した場合にもガス漏れ量が少なく、800℃、30分間の条件におけるガス漏れ量が30L/H以下という基準を満たすことが可能なガス栓を提供することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
なお、本発明において有機弾性材料薄膜層に用いることが可能なゴムとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ネオプレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴム、天然ゴムなどが例示される。また、ゴムの態様としては、非発泡ゴムや発泡ゴムなどの種々の態様のゴムを用いることが可能である。
【0022】
また、請求項4のガス栓のように、接続部を構成する部材どうしの接合面間には、通常使用時におけるガス漏れを防止するための通常シール用パッキンを配設し、通常シール用パッキンが配設された領域の外周側または内周側の少なくとも一方の接合面間に耐火用パッキンを配設するようにした場合、通常使用時においては、通常シール用パッキンにより確実にガスシールが行われ、火災発生時には、通常シール用パッキンの外周側または内周側の少なくとも一方の接合面間に配設された耐火用パッキンによりガス漏れが抑制、防止されるため、通常使用時および火災時のいずれの状態においても信頼性の高いガス栓を提供することが可能になる。
【0023】
また、請求項5のガス栓のように、接続部が、ガスの供給路を開閉する閉子を備えたガスコック本体と、一端側がガス流入口となり、他端側がガスコック本体と接続されるフランジ部を備えたフランジ管との接続部である場合において、フランジ管とガスコック本体の接合面に通常シール用パッキンがはまり込む凹部を形成し、通常シール用パッキンを凹部の底面と接するように配設するとともに、耐火用パッキンを、凹部が形成された領域の外周側の、フランジ管とガスコック本体の接合面間に、両接合面と接するように配設するようにした場合、通常シール用パッキンが上記凹部の底面と接合して通常のシールが行われるとともに、火災時には、上記耐火用パッキンが上記凹部の外周側の、凹部が形成されていない領域(フランジ管とガスコック本体の接合面)と接合してシールが行われることから、さらにシール信頼性の高いガス栓を提供することが可能になる。
【0024】
また、請求項6のガス栓のように、ガスソケットを着脱自在に接続し得るプラグと、ガスの供給路を開閉する閉子を備えたガスコック本体と、前記ガスコック本体の閉子を操作してガス供給路の開閉を行う操作手段と、前記プラグからガスソケットを離脱させるガスソケット離脱手段と、一端側がガス流入口となり、前記ガスコック本体と接続される他端側にはフランジ部が配設されたフランジ管とを具備するガス栓に本発明を適用することにより、フランジ管とガスコック本体の接続部を確実にシールして信頼性の高いガス栓を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0026】
図1は本発明の実施例にかかるガス栓の構成を示す断面図、図2は本発明の実施例にかかるガス栓の構成を示す正面図、図3は要部(フランジ管とガスコック本体の接合部)を拡大するとともに、理解を容易にするために細部を省略して示す模式拡大図、図4はこの実施例のガス栓において用いられている耐火用パッキンの構成を示す断面図である。
【0027】
この実施例のガス栓は、図1〜図3に示すように、ガスソケット1を着脱自在に接続し得るプラグ2と、ガスの供給路を開閉する閉子3を備えたガスコック本体4と、ガスコック本体4の閉子3を操作してガス供給路の開閉を行う操作手段(操作レバー)5と、ガスコック本体4に接続された、一端側がガス流入口6aとなり、他端側にはガスコック本体4に接続されるフランジ部6bが配設されたフランジ管6とを備えており、これら各部材はハウジング10の内部に収納されている。
【0028】
さらに、この実施例のガス栓は、操作手段(操作レバー)5に隣接するように配置されて、押圧することによりプラグ2からガスソケット1を離脱させるガスソケット離脱手段(離脱用押ボタン)11を備えている。
なお、このガス栓においては、操作手段(操作レバー)5が閉状態にあるときには離脱用押ボタン11の押圧を可能にするとともに、操作手段(操作レバー)5が開状態にあるときには離脱用押ボタン11の押圧を阻止する安全機構を備えている。ただし、このような安全機構の具体的な構成や、安全機構の有無などは、本発明の基本的な構成とは直接には関係がないので、種々の変形を加えることが可能である。
【0029】
また、このガス栓においては、フランジ管6の内部に、シリンダー14と、ヒューズボール15と、スプリング16と、ゲート部17とを備え、ガスの供給量が多すぎた場合には、ヒューズボール15がゲート部17に当接してゲート部17を閉止することによりガスの供給を停止する過流出防止機構(ガスヒューズ)18が配設されている。
【0030】
そして、この実施例のガス栓においては、図3(フランジ管6とガスコック本体4の接合部7を拡大するとともに、理解を容易にするために細部を省略して示す模式拡大図)に示すように、フランジ管6とガスコック本体4との接合部7に、通常使用時におけるガス漏れを防止するための通常シール用パッキン(フランジパッキン)8が配設され、かつ、通常シール用パッキンが配設された領域の外周側のフランジ管6とガスコック本体4の接合面間に耐火用パッキン9が配設されている。
【0031】
なお、この実施例のガス栓では、通常シール用パッキン8として、合成ゴム(この実施例ではアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR))からなるパッキンが用いられている。
【0032】
また、耐火用パッキン9としては、図4に示すように、金属プレート(この実施例では鋼板)21の両面に、接合層(図示せず)を介して、有機弾性材料薄膜層(この実施例では非発泡の合成ゴム(アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR))22 をコーティングすることにより形成されたものが用いられている。
そして、この実施例では、耐火用パッキン9として、金属プレート21の厚みが0.15mm、有機弾性材料薄膜層22の厚みが0.065mmであるものが用いられている。
【0033】
また、フランジ管6とガスコック本体4の接合部7には、通常シール用パッキン8がはまり込む凹部25(25a,25b)が形成されており、通常シール用パッキン8が、フランジ管6に形成された凹部25aの底面およびガスコック本体4に形成された凹部25bの底面と接するように配設されているとともに、耐火用パッキン9が、凹部25が形成された領域の外周側の、凹部25が形成されていない領域の、フランジ管6とガスコック本体4の接合面間に、両接合面と接するように配設されている。
【0034】
上述のように構成されたガス栓においては、フランジ管6とガスコック本体4の接合部7に、金属プレート21の両面に有機弾性材料薄膜層22が配設された構造を有する耐火用パッキン9が配設されており、有機弾性材料薄膜層22がフランジ管6とガスコック本体4の接合部7の表面(接合面)の凹凸部分には入り込んでいるため、火災が発生してガス栓の温度が上昇し、有機弾性材料薄膜層22が炭化した場合にも脱落しにくく、接合部7に保持されることから、ある程度のシール機能が維持されることになる。その結果、火災時のガス漏れを抑制することが可能になり、800℃、30分間の条件におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たすガス栓を得ることが可能になる。
【0035】
なお、上述の耐火用パッキン9は、火災時に高温にさらされると、有機弾性材料薄膜層22を構成する有機弾性材料(この実施例では非発泡の合成ゴム)は炭化するが、その状態でもある程度のシール性能を発揮するため、上述の耐火基準を満たすことが可能になる。
【0036】
なお、上記実施例のガス栓においては、耐火用パッキン9の有機弾性材料薄膜層22の厚みを0.065mmと薄くしているので、火災が発生して、有機弾性材料薄膜層が炭化した場合にも、フランジ管6とガスコック本体4の接合面間に大きな隙間が形成されるようなことがなく、炭化物によるシール機能により、800℃、30分間におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を確実に満たすことができる。
【0037】
また、上記実施例のガス栓においては、フランジ管6とガスコック本体4の接合部7に、通常シール用パッキン8がはまり込む凹部25(25a,25b)を形成し、この凹部25(25a,25b)の底面と接合するように通常シール用パッキン8を配設するとともに、耐火用パッキン9を、凹部25が形成された領域の外周側の領域の、フランジ管6とガスコック本体4の接合面間に配設しているので、通常使用時には通常シール用パッキン8が凹部25の底面と接合してシールが行われ、火災発生時には耐火用パッキン9が凹部25の外周側の領域の、フランジ管6とガスコック本体4の接合面と接合してシールが行われるため、高いシール信頼性を確保することが可能になる。
【0038】
また、上記実施例では、シリンダー14、ヒューズボール15、スプリング16、ゲート部17などを備えた過流出防止機構(ガスヒューズ)18を具備するガス栓を例にとって説明したが、過流出防止機構(ガスヒューズ)の構成は上記実施例の構成に限られるものではない。
また、本発明は、過流出防止機構(ガスヒューズ)を備えていないガス栓にも適用することが可能である。
【0039】
また、上記実施例では、フランジ管6とガスコック本体4の接合部7に、通常シール用パッキン8がはまり込む凹部25を形成し、この凹部25の底面と接合するように通常シール用パッキン8を配設するとともに、耐火用パッキン9を、凹部25の外周側の、フランジ管6とガスコック本体4の接合面間に配設するようにしているが、通常シール用パッキン8と耐火用パッキン9の具体的な配設態様に特別の制約はなく、凹部25を設けない構成とすることも可能である。
【0040】
さらに、フランジ管6とガスコック本体4の接合部7の内周に近い側に耐火用パッキンを配設し、その外周側に通常シール用パッキンを配設するように構成することも可能である。
【0041】
また、耐火用パッキン9として、有機弾性材料薄膜層22が表面コーティングされた耐火用パッキンを用いることにより、耐火用パッキンの表面特性を向上させて、さらに信頼性の高いガス栓を提供することが可能になる。
【0042】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、本発明の構成に直接に関係しない部分の構成などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上述のように、本発明のガス栓は、フランジ管とガスコック本体の接合部に、金属プレートの両面に有機弾性材料薄膜層が配設された構造を有する耐火用パッキンを配設するようにしているので、火災が発生してガス栓の温度が上昇した場合にも、ガス漏れを抑制することが可能になり、800℃、30分間の条件におけるガス漏れ量が30L/H以下という耐火基準を満たすガス栓を得ることが可能になる。したがって、本発明は、壁埋め込み型ガス栓、床埋め込み型ガス栓、壁貫通型ガス栓、壁露出型ガス栓などに広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施例にかかるガス栓の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるガス栓の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施例にかかるガス栓の要部(フランジ管とガスコック本体の接合部)を拡大するとともに、理解を容易にするために細部を省略して示す模式拡大図である。
【図4】本発明の一実施例にかかるガス栓において用いられている耐火用パッキンの構成を示す図である。
【図5】従来のガス栓の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ガスソケット
2 プラグ
3 閉子
4 ガスコック本体
5 操作手段(操作レバー)
6 フランジ管
6a ガス流入口
6b フランジ部
7 フランジ管とガスコック本体の接合部
8 通常シール用パッキン
9 耐火用パッキン
10 ハウジング
11 ガスソケット離脱手段(離脱用押ボタン)
14 シリンダー
15 ヒューズボール
16 スプリング
17 ゲート部
18 過流出防止機構(ガスヒューズ)
21 金属プレート(鋼板)
22 有機弾性材料薄膜層(非発泡の合成ゴム)
25(25a,25b) 通常シール用パッキンがはまり込む凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路を構成する部材の接続部が、金属プレートの両面に有機弾性材料薄膜層が配設された構造を有する耐火用パッキンによりシールされていることを特徴とするガス栓。
【請求項2】
前記耐火用パッキンの有機弾性材料薄膜層の厚みが0.065mm付近にあることを特徴とする請求項1記載のガス栓。
【請求項3】
前記耐火用パッキンの前記有機弾性材料薄膜層がゴムからなるものであることを特徴とする請求項1または2記載のガス栓。
【請求項4】
前記接続部を構成する部材どうしの接合面間には、通常使用時におけるガス漏れを防止するための通常シール用パッキンが配設され、かつ、前記通常シール用パッキンが配設された領域の外周側または内周側の少なくとも一方の接合面間に前記耐火用パッキンが配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス栓。
【請求項5】
前記接続部が、ガスの供給路を開閉する閉子を備えたガスコック本体と、一端側がガス流入口となり、他端側が前記ガスコック本体と接続されるフランジ部を備えたフランジ管との接続部であって、
前記フランジ管と前記ガスコック本体の接合面には、それぞれ前記通常シール用パッキンがはまり込む凹部が形成されており、前記通常シール用パッキンが前記凹部の底面と接するように配設されているとともに、
前記耐火用パッキンが、前記凹部が形成された領域の外周側の、前記フランジ管と前記ガスコック本体の接合面間に、両接合面と接するように配設されていること
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガス栓。
【請求項6】
ガスソケットを着脱自在に接続し得るプラグと、ガスの供給路を開閉する閉子を備えたガスコック本体と、前記ガスコック本体の閉子を操作してガス供給路の開閉を行う操作手段と、前記プラグからガスソケットを離脱させるガスソケット離脱手段と、一端側がガス流入口となり、前記ガスコック本体と接続される他端側にはフランジ部が配設されたフランジ管とを具備するガス栓であって、
前記ガス流路を構成する部材の接続部が、前記フランジ管と前記ガスコック本体の接続部であること
を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガス栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−22906(P2006−22906A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202256(P2004−202256)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【Fターム(参考)】