説明

ガス検知器用ポンプ装置

【課題】 小型のものとして構成することができ、しかも、安定した性能を確保しながら、高生産性および高メンテナンス性を有するガス検知器用ポンプ装置を提供すること。
【解決手段】 内部にポンプ室を形成するゴム製のダイヤフラムに固定された、マグネットを具えた可動体を、電磁石による磁気的作用を利用して揺動させて、当該ダイヤフラムを往復動させる電磁駆動機構を具えたガス検知器用ポンプ装置であって、一方が開口する樹脂製のケースを具えてなり、ダイヤフラムおよび当該ダイヤフラムに装着されてこれを保持するホルダーとを有するポンプユニットが、当該ケースの開口を介してケース内に挿入されて、当該ケースに対して着脱可能に装着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁駆動機構を具えたダイヤフラム式のガス検知器用ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ガス検知器のある種のものにおいては、検知部に被検査ガスを導入するためのポンプ装置として、例えば、ダイヤフラムに固定された、マグネットを具えた可動体を、電磁石により揺動させて、ダイヤフラムを往復動させる電磁駆動機構を備えたダイヤフラム式ポンプ装置が利用されている。このような構成を有するダイヤフラム式ポンプ装置は、例えば特許文献1に開示されている。
而して、このような電磁駆動機構を備えたダイヤフラム式ポンプ装置においては、小型のものとして構成することが要請されていると共に、低コストで作製可能に構成されていることが望まれている。
【0003】
図8は、従来におけるガス検知器用のダイヤフラム式ポンプ装置の一例における構成の概略を示す分解斜視図である。
このダイヤフラム式ポンプ装置は、各々、例えば金属よりなり、平面形状が「コ」の字型の矩形枠状のケース本体61と、このケース本体61に例えば固定用ネジ78によって固定される略平板状の蓋体62とよりなるケーシングを具え、ケース本体61内において、ポンプユニット65および電磁駆動機構を構成する電磁石80が上下に並んだ位置に配置されている。
ポンプユニット65は、例えばゴムなどの弾性体よりなり、円柱状または円錐台状の内部空間を有するカップ状のダイヤフラム66と、このダイヤフラム66の内部に挿入されてポンプ室を形成する有底円筒状のポンプチャンバー67と、ポンプチャンバー67の底壁に円板状の逆止弁68が介在する状態で対接されて配置される、ガス吸引部およびガス吐出部が形成されたポンプヘッド69と、ダイヤフラム66の周壁を介してポンプチャンバー67の外周面を保持するリング状のバネ材70とを具えており、振動伝達防止用の円板状のクッション部材71を介してケース本体61の側壁内面の上方位置に、固定用ネジ75によって固定される。
電磁駆動機構は、コイル81が巻装されたボビン82が略「コ」の字型の金属製の芯材83に装着されてなる電磁石80と、マグネット86を具えた板状の可動体85とにより構成されており、電磁石80がケース本体61の下壁内面に固定用ネジ76によって固定されると共に、可動体85がその中央位置においてダイヤフラム66の底部に固定された状態において、ケース本体61の上壁内面に固定用ネジ77によって固定される支持部材88によって揺動自在に支持され、これにより、可動体85のマグネット86の磁極面が電磁石80の磁極形成面(芯材の端面)83A,83B間の上方位置に所定の大きさの間隙を介して位置された状態とされる。ここに、マグネット86は可動体85の下端部に形成されたマグネット装着部85Aに対して適宜の接着剤によって接着されている。
図8において、符号88Aは、支持部材88に支持される軸部を有する支持用ゴム材、66Bは、ダイヤフラム66に設けられたネジ部材66Aに螺合されて可動体65をダイヤフラム66に固定するためのナット、89は、固定用ネジ79によって電磁石80を構成するボビン82に固定される回路基板である。
【0004】
このダイヤフラム式ポンプ装置においては、例えば周波数が50Hz程度の交流電力が電磁石80に印加されることによって可動体85のマグネット86が電磁石80の磁極形成面83A,83B間を往復動して可動体85全体が揺動され、これにより、ダイヤフラム66がその中心軸方向に往復動されてガス吸引部よりポンプ室内にガスが吸引されると共にガス吐出部を介してガスが吐出される。
【0005】
【特許文献1】特開平10−196545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなポンプ装置においては、各構成部材がネジ止めされてケースに固定されていることから、ポンプ装置の作製、あるいは、故障や不都合が生じ易いポンプユニットの交換作業を含むメンテナンス作業に手間がかかり、作業効率が低い。
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、小型のものとして構成することができ、しかも、安定した性能を確保しながら、高生産性および高メンテナンス性を有するガス検知器用ポンプ装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、部品点数の削減を図ることができてコスト的にも有利に作製可能であり、破壊も容易であってリサイクル性の向上を図ることのできるガス検知器用ポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のガス検知器用ポンプ装置は、内部にポンプ室を形成するゴム製のダイヤフラムに固定された、マグネットを具えた可動体を、電磁石による磁気的作用を利用して揺動させて、当該ダイヤフラムを往復動させる電磁駆動機構を具えたガス検知器用ポンプ装置であって、
一方が開口する樹脂製のケースを具えてなり、ダイヤフラムおよび当該ダイヤフラムに装着されてこれを保持するホルダーとを有するポンプユニットが、当該ケースの開口を介してケース内に挿入されて、当該ケースに対して着脱可能に装着されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のガス検知器用ポンプ装置においては、ダイヤフラムは、円柱状または円錐台状の内部空間を有するカップ状のものであって、開口端部分に、周方向の全周にわたって伸びる径方向外方に突出する鍔部分が形成されており、
当該ダイヤフラムの内部に挿入されてポンプ室を形成する有底円筒状部材に、ダイヤフラムの周壁を介して嵌合されるよう装着されるリング状のホルダーと、前記ケースとが、ダイヤフラムの鍔部分がホルダーとケースとによって挟持された状態で、互いに係合されることにより、ポンプユニットがケースに対して着脱可能とされた構成とすることができる。
【0010】
また、本発明のガス検知器用ポンプ装置においては、ケースには、電磁石の平面形状に沿った内面形状を有する電磁石収容部が形成されており、電磁石が当該電磁石収容部の内壁面に沿って収容されることにより前記可動体のマグネットに対して位置決めされた状態で配置される構成とされていることが好ましい。
【0011】
さらにまた、本発明のガス検知器用ポンプ装置においては、可動体は、ダイヤフラムの中心軸に垂直な方向に伸びる枢支軸部を有し、当該枢支軸部がケースに形成された凹所による可動体支持部に取り外し可能に装着されることにより可動体全体が当該枢支軸部を中心に揺動可能に支持された構成とされていることが好ましい。
【0012】
さらにまた、本発明のガス検知器用ポンプ装置においては、可動体は枠状のマグネット保持部を有し、
前記マグネットが、当該マグネット保持部内に収容されて一方の磁極面がその外方から支持された状態で、マグネット保持部に形成された係合部が他方の磁極面に係合されることにより保持される構成とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のガス検知器用ポンプ装置によれば、ポンプユニットを単にケースに対して挿入することによって組み立て可能に構成されているので、所望のポンプ装置を極めて容易に作製することができて高い生産性を得ることができると共に、ポンプ装置全体を分解することなく、例えば故障や不都合が生じやすいポンプユニットのみを取り外して部品交換を含むメンテナンス作業を行うことができるので、高いメンテナンス性が得られる。
また、樹脂製ケースであることにより、例えばポンプユニットの構成部材の一部をケースと一体成形してケース自体に当該構成部材の機能が付加された構成とすることができるので、部品点数の削減を図ることができてコスト的にも有利に作製可能であり、破壊も容易であってリサイクル性の向上を図ることができる。
【0014】
さらにまた、煩雑な作業を伴うことなく、可動体のマグネットと電磁石との位置決めを行うことができるので、可動体によるダイヤフラムに対する所望の動力伝達機能を確実に得ることができて安定した動作性能を有するものとして確実に構成することができる。
【0015】
さらにまた、可動体がケースに対して取り外し可能に装着された構成、および、可動体を構成するマグネットが接着剤等を用いることなしに保持された構成とされていることにより、一層高い生産性および高いメンテナンス性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明のガス検知器用ポンプ装置の一例における構成を示す正面図、図2は、図1に示すガス検知器用ポンプ装置の側面図、図3は、図1に示すガス検知器用ポンプ装置の上面図、図4は、図1に示すガス検知器用ポンプ装置の、電磁石を外した状態で示す底面図、図5は、図1におけるA−A線断面図、図6は、図1に示すガス検知器用ポンプ装置の分解斜視図である。
このガス検知器用ポンプ装置10は、マグネットを具えた可動体を電磁石により揺動させてダイヤフラムを往復動させる電磁駆動機構を備えたダイヤフラム式のものであって、前方が開口し、内部にポンプユニット20が収容される略直方体形状のポンプユニット収容部12と、当該ポンプユニット収容部12の下端に連続する、内部に電磁駆動機構を構成する電磁石40が収容される略矩形枠状の電磁石収容部16とを有する、樹脂よりなるケース11を具えている。
電磁石収容部16は、下方および後方が開口し、ポンプユニット収容部12の前面より前方に突出して形成されており、内面形状が電磁石40の外形形状(電磁石40の平面形状に内接する方形状)に沿った形態を有している。
【0017】
ポンプユニット20は、円柱状または円錐台状の内部空間を形成するカップ状のダイヤフラム21と、ダイヤフラム21の内部に挿入されてダイヤフラム21の内周面との間に容量可変のポンプ室Sを形成する有底円筒状のポンプチャンバー23と、このポンプチャンバー23の底壁外面に対接されて配置された、円板状の逆止弁24と、ダイヤフラム21が挿入されてダイヤフラム21の周壁を介して、ポンプチャンバー23およびケース11におけるポンプユニット収容部12の後壁内面に一体に形成された、各々、ケース11の後壁より後方に突出して伸びるガス吸引部13Aおよびガス吐出部13Bを有するヘッド部13に嵌合されるリング状のホルダー25とにより構成されている。
【0018】
ダイヤフラム21は、外力を受けて弾性的に変形して容積を膨張収縮する材料、例えばゴムよりなり、開口端縁部分に周方向の全周に伸びる径方向外方に突出する鍔部分21Aが形成されていると共に、底部中央位置に可動子固定用のネジ部材22が設けられている。
【0019】
ポンプチャンバー23の底壁には、中央位置にバッファ(緩衝室)として機能する凹所23Aが形成されていると共にヘッド部13におけるガス吸引部13Aおよびガス吐出部13Bに対応する、当該凹所23Aを挟んで径方向に並んだ位置に、2つの貫通孔23Bが並んで形成されている。
【0020】
ホルダー25には、中心を挟んで互いに対向する位置に径方向外方に突出する2つの係合用突起部(被係合部)25Aが形成されており、ポンプユニット収容部12の両側壁に形成された係合部14によって係合されて保持される。
係合部14は、互いに高さ方向に所定の間隔を空けて並んだ位置において後端縁から前方に向かって互いに平行に伸びるスリットが形成されることにより舌片状に構成され、この舌片状部分14Aの先端部内面に段部14Bが形成されて構成されている。
【0021】
ポンプユニット20は、例えば図7に示すように、内部にポンプチャンバー23および逆止弁24が挿入配置されたダイヤフラム21をケース11のヘッド部13に装着して、ケース11の後壁の外面より固定用ネジ50(図6参照。)によってネジ止めされた状態において、ホルダー25をケース11のポンプユニット収容部12の前方開口を介して、ケース11の係合部14を外方側に向かって拡開しながらダイヤフラム21の中心軸方向に挿入することにより、ホルダー25がダイヤフラム21の周壁を介して、ポンプチャンバー23およびヘッド部13に嵌合されると共に、ケース11の係合部14が元の位置に戻って(形態が復元されて)ダイヤフラム21の鍔部分21Aがその厚み方向に圧潰されながら係合部14の段部14Bがホルダー25の係合用突起部25Aの前端面に係合され、これにより、ダイヤフラム21の鍔部分21Aがホルダー25とケース11とによって挟持された状態で、ケース11に保持固定される。
【0022】
ポンプユニット20のダイヤフラム21を作動させるための電磁駆動機構は、例えばフェライト磁石または稀土類磁石など永久磁石よりなるマグネット35を具えた可動体30と、当該可動体30を磁気的作用を利用して揺動させる電磁石40とにより構成されている。
【0023】
可動体30は、例えば樹脂よりなり、一端部(上端部)が上方に向かうに従って前方に傾斜する形態を有するプレート部分31と、このプレート部分31の下方位置に形成された矩形枠状のマグネット保持部32と、プレート部分31の上端に形成された、ダイヤフラム21の中心軸に垂直な方向に伸びる枢支軸部33とを有する。
この可動体30は、ダイヤフラム21のネジ部材22がプレート部分31に形成された貫通孔31A内に挿通されてプレート部分31がダイヤフラム21の底部に水平に対接された状態で、固定用ナット51によってダイヤフラム21に固定されると共に、枢支軸部33の両端部に例えばOリング18が装着された状態で、ケース11におけるポンプユニット収容部12の上壁の外面に形成された可動体支持用凹所15内に収容されて取り外し可能に装着されることにより、当該枢支軸部33を中心に揺動可能に支持される。
【0024】
マグネット35は、マグネット保持部32の枠内に収容された状態において、その下側の一方の磁極面における両端部分が下方から支持されると共に、マグネット保持部32の前壁における上端面の中央位置に形成された係合用爪部32Aが上側の他方の磁極面に係合され、これにより、保持固定されている。
【0025】
電磁石40は、例えば珪素鋼板からなる板材が磁極形成面41A,41Bが所定の大きさの面積となるよう複数積層されて、全体としてコの字型のブロック状に形成された芯材41と、この芯材41の一方の脚部に装着されたボビン42と、ボビン42の軸部周壁に巻回されたコイル43とにより構成されており、ボビン42の下面には、回路基板45がネジ止めされて固定されている。ここに、芯材41の磁極形成面41A,41Bの面積は、例えば800〜1000mm2 であり、磁極形成面41A,41Bの中心間距離が例えば8〜10mmである。
【0026】
この電磁石40は、ケース11における電磁石収容部16内にその内壁面に沿って下方から挿入され、電磁石収容部16の両側壁の上端部において、内方に突出して前後に伸びると共にポンプユニット収容部12の後壁の下端面に連続するよう形成された段部17およびホルダー25の外周面によって適正な大きさに規制された間隙を介して可動体30のマグネット35と対向すると共に、電磁石収容部16の前壁16A内面によって可動体30のマグネット35に対する前後方向の配置位置が規制されて可動体30のマグネット35が芯材41の磁極形成面41A,41B間に位置されるよう、位置決めされた状態で配置される。
ここに、芯材41の磁極形成面41A,41Bと可動体30のマグネット35の磁極面との間の空隙の大きさ(高さ方向離間距離)は、例えば1〜3mmである。
【0027】
上記構成のガス検知器用ポンプ装置10の一構成例を示すと、ケース11の幅方向寸法(図1において左右方向)が40mm、前後方向寸法(図1において紙面に垂直な方向)が45mm、高さ方向寸法(図1において上下方向)が60mmであり、重量が100g程度である。
ダイヤフラム21のストローク(固定部の軸方向の変位量)は、例えば2mmであり、ガス吐出量は、例えば0.5〜1.5リットル/minの流量のガスをガス検知器に供給することができる大きさ、例えば0.5リットル/minであり、真空到達度は例えば10kPaである。
【0028】
上記ガス検知器用ポンプ装置10においては、例えば周波数が90Hzである高周波の交流電力が電磁石40に印加されることにより、可動体30におけるマグネット35が芯材41の磁極形成面41A,41B間を往復動されて可動体30全体が枢支軸部33を中心として揺動(ダイヤフラム21に対する固定部がダイヤフラム21の軸方向に沿って変位)され、これにより、ダイヤフラム21がその軸方向に往復動されてガス吸引部13Aよりポンプ室S内にガスが吸引されると共にガス吐出部13Bを介してガスが吐出される。周波数が90Hzである高周波が印加されることにより、必要なガス流量をポンプ室Sの容積変化量を増加させるのではなく、ダイヤフラム21の膨張収縮回数を増やすことにより確保することができるので、ダイヤフラム21が引き伸ばされる方向への変形に起因するダイヤフラム21の劣化の程度を小さく抑制することができると共に装置の小型化を図ることができ、また、真空到達度を大きくすることができる。
【0029】
そして、このガス検知器用ポンプ装置10は、定置型または可搬型のガス検知器のいずれのものにも用いることができ、また、ガス検知器の校正作業を行うに際してのガス校正用のポンプユニットとして用いることができる。
例えば定置型のガス検知器においては、ポンプユニット20および電磁駆動機構における可動体30が固定されたケース11が、ガス検知器本体の内部に設けられた案内用レール部材に沿って導入され、所定の位置において、ガス検知器本体に例えば係合されて取り外し可能とされた状態で固定されると共にケース11におけるガス吸引部13Aおよびガス吐出部13Bが適宜のガス流路形成材によってガス検知部に配管、接続される。一方、、電磁石40は、ケース11に対して位置決めされて配置された状態において、ガス検知器本体の制御基板に適宜の接続用ケーブルにより電気的に接続されると共にガス検知器本体内部におけるシャーシに例えばネジ止めされて固定、すなわち、電磁石40はケース11とは互いに別個に(独立して)固定される。なお、電磁石40をガス検知器本体に対して固定した状態において、ケース11を上記案内用レール部材によって電磁石40に対して位置決めして配置することもできる。
このような構成であることにより、ケース11をガス検知器本体から取り外す際には、ケース11とガス検知器本体との係合を解除するという極めて簡単な作業を行うことによって容易に取り外すことができる。
【0030】
而して、上記構成のガス検知器用ポンプ装置10によれば、ポンプユニット20および電磁石40などの構成部材を単にケース11に対して挿入することによって組み立て可能に構成されているので、煩雑な作業を伴うことなく可動体30のマグネット35と電磁石40との位置決めを行うことができて可動体30によるダイヤフラム21に対する所望の動力伝達機能が発現され、これにより、安定した動作性能が得られると共に、ガス検知器用ポンプ装置10を容易に作製することができて高い生産性が得られる。また、金属製の構成部材を実質的に有さないことからも、例えば可動体30の取り付け作業等を行うに際して、マグネット35による磁気的影響を生じることなしに容易に作製することができて高い生産性が得られる。
さらにまた、ケース11が樹脂製であることにより、ポンプユニット20の構成部材の一部、例えばヘッド部13をケース11に一体成形してケース11自体に当該構成部材の機能が付加されるよう構成することができるので、部品点数の削減を図ることができてコスト的にも有利に作製可能であり、また、破壊も容易であってリサイクル性の向上が図られる。
【0031】
また、上記構成のガス検知用ポンプ装置10によれば、ケース11および電磁石40が独立して適宜の固定部材に固定されることにより、必要な構成部材、例えば故障や不都合が生じ易いポンプユニット20のみを特殊な工具を必要とせずに着脱可能とされているので、部品の交換を含むメンテナンス作業を高い作業効率で行うことができる。
【0032】
さらにまた、可動体30における枢支軸部33がケース11における可動体支持用凹所15内への挿入されて取り外し可能に装着された構成、および、可動体30を構成するマグネット35が接着剤等を用いることなく、矩形枠状のマグネット保持部32に挿入係合されて保持された構成とされていることにより、一層高い生産性および高いメンテナンス性を得ることができる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
上記実施例においては、ケースにホルダーに係合される係合部が形成された構成とされているが、ホルダーにケースの後壁に係合される係合部が形成された構成とされていてもよい。
また、ケースは、電磁石の周囲を囲むよう電磁石収容部が形成された構成のものでなくてもよく、電磁石収容部が電磁石の一部分が収容されるよう形成された構成のものであってもよい。
本発明のガス検知器用ポンプにおける、例えば可動体の駆動条件やその他の具体的な構成条件は、上記実施例のものに限定されるものではなく、目的に応じて適宜に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のガス検知器用ポンプ装置の一例における構成を示す正面図である。
【図2】図1に示すガス検知器用ポンプ装置の側面図である。
【図3】図1に示すガス検知器用ポンプ装置の上面図である。
【図4】図1に示すガス検知器用ポンプ装置の、電磁石を外した状態を示す底面図である。
【図5】図1におけるA−A線断面図である。
【図6】図1に示すガス検知器用ポンプ装置の分解斜視図である。
【図7】図1に示すガス検知器用ポンプ装置において、ポンプユニットのケースに対する装着方法を説明するための、図1のA−A線における断面図である。
【図8】従来におけるガス検知器用のダイヤフラム式ポンプ装置の一例における構成の概略を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
10 ガス検知器用ポンプ装置
11 ケース
12 ポンプユニット収容部
13A ガス吸引部
13B ガス吐出部
13 ヘッド部
14 係合部
14A 舌片状部分
14B 段部
15 可動体支持用凹所
16 電磁石収容部
16A 前壁
17 段部
18 Oリング
20 ポンプユニット
21 ダイヤフラム
21A 鍔部分
22 ネジ部材
23 ポンプチャンバー
23A 凹所
23B 貫通孔
24 逆止弁
25 ホルダー
25A 係合用突起部(被係合部)
30 可動体
31 プレート部分
31A 貫通孔
32 マグネット保持部
32A 係合用爪部
33 枢支軸部
35 マグネット
40 電磁石
41 芯材
41A,41B 磁極形成面
42 ボビン
43 コイル
45 回路基板
50 固定用ネジ
51 固定用ナット
61 ケース本体
62 蓋体
65 ポンプユニット
66 ダイヤフラム
66A ネジ部材
66B ナット
67 ポンプチャンバー
68 逆止弁
69 ポンプヘッド
70 バネ材
71 クッション部材
75,76,77,78,79 固定用ネジ
80 電磁石
81 コイル
82 ボビン
83 芯材
83A,83B 磁極形成面
85 可動体
85A マグネット装着部
86 マグネット
88 支持部材
88A 支持用ゴム材
89 回路基板
S ポンプ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にポンプ室を形成するゴム製のダイヤフラムに固定された、マグネットを具えた可動体を、電磁石による磁気的作用を利用して揺動させて、当該ダイヤフラムを往復動させる電磁駆動機構を具えたガス検知器用ポンプ装置であって、
一方が開口する樹脂製のケースを具えてなり、ダイヤフラムおよび当該ダイヤフラムに装着されてこれを保持するホルダーとを有するポンプユニットが、当該ケースの開口を介してケース内に挿入されて、当該ケースに対して着脱可能に装着されていることを特徴とするガス検知器用ポンプ装置。
【請求項2】
ダイヤフラムは、円柱状または円錐台状の内部空間を有するカップ状のものであって、開口端部分に、周方向の全周にわたって伸びる径方向外方に突出する鍔部分が形成されており、
当該ダイヤフラムの内部に挿入されてポンプ室を形成する有底円筒状部材に、ダイヤフラムの周壁を介して嵌合されるよう装着されるリング状のホルダーと、前記ケースとが、ダイヤフラムの鍔部分がホルダーとケースとによって挟持された状態で、互いに係合されることにより、ポンプユニットがケースに対して着脱可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のガス検知器用ポンプ装置。
【請求項3】
ケースには、電磁石の平面形状に沿った内面形状を有する電磁石収容部が形成されており、電磁石が当該電磁石収容部の内壁面に沿って収容されることにより前記可動体のマグネットに対して位置決めされた状態で配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス検知器用ポンプ装置。
【請求項4】
可動体は、ダイヤフラムの中心軸に垂直な方向に伸びる枢支軸部を有し、当該枢支軸部がケースに形成された凹所による可動体支持部に取り外し可能に装着されることにより可動体全体が当該枢支軸部を中心に揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガス検知器用ポンプ装置。
【請求項5】
可動体は枠状のマグネット保持部を有し、
前記マグネットが、当該マグネット保持部内に収容されて一方の磁極面がその外方から支持された状態で、マグネット保持部に形成された係合部が他方の磁極面に係合されることにより保持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のガス検知器用ポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−144638(P2009−144638A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324485(P2007−324485)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】