説明

ガス溶存水生成ミキサー及びガス溶存水製造装置

【課題】ミキサーの詰まりによる配管の破損や水漏れを防止することが可能なガス溶存水製造装置及びミキサーの提供を目的とする。
【解決手段】本実施形態のガス溶存水製造装置100及びミキサー10によれば、第2通水孔51が詰まって板金部材50が受ける水圧が所定値以上となると、板金部材50が破断溝52に沿って裂けて下流側に塑性変形し、第2通水孔51の開口面積が広げられる。すると、詰まりが解消されると共に板金部材50を多くの水が通過可能となって配管11の内圧が減少する。これによりミキサー10の詰まりによる配管11の破損や水漏れを未然に防止することができる。ここで、第2通水孔51の詰まりに限らず、ミキサー10に対して水が過剰供給された場合にも、上述の如く水圧によって板金部材50が破断して配管11の破損や水漏れを未然に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に対するガスの溶存量を高めるためのガス溶存水生成ミキサー及び、ガス溶存水生成ミキサーを備えたガス溶存水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のガス溶存水生成ミキサーとしては、筒形ボディの内部にミキシング壁を備えたものが知られている。このガス溶存水生成ミキサーは、ガスと混合された水が流れる配管の途中に筒形ボディを接続し、ミキシング壁に形成された通水孔を前記水が通過することで、ガスを微細な気泡にする構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−325767号公報(請求項7、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のガス溶存水生成ミキサーでは、例えば、ミキシング壁の通水孔に異物が詰まった場合に、ガス溶存水生成ミキサーより上流側の配管の内圧が上昇して、配管が破損したり、その破損部分から水漏れを起こす虞があった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ガス溶存水生成ミキサーの詰まりによる配管の破損や水漏れを防止することが可能なガス溶存水生成ミキサー及びガス溶存水製造装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係るガス溶存水生成ミキサーは、ガスを混合した水が流される流路を有したボディと、流路を軸方向で複数の流体通過エリアに区画する区画壁と、区画壁に貫通形成されて、流体通過エリア同士の間を連絡する通水孔とを備え、水圧を通水孔で高めて流体通過エリアで下げるように変化させることで水に対するガスの溶存量を高めてガス溶存水を生成するためのガス溶存水生成ミキサーであって、区画壁には、上流側から予め定められた基準値以上の水圧を受けたときに破断又は変形して通水孔の開口面積を広げる破断部が形成されたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサーにおいて、区画壁を2つ以上設け、最も下流に配置された区画壁に形成された通水孔の開口面積を、他の区画壁に形成された通水孔の開口面積より小さくすると共に、破断部は、最も下流に配置された区画壁に形成されたところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のガス溶存水生成ミキサーにおいて、区画壁の少なくとも一部をボディに着脱可能に取り付けた板金部材で構成して、その板金部材に通水孔を貫通形成し、破断部は、通水孔の開口縁に一端が接続されて通水孔から離れる方向に延びかつ板金部材の一部を薄肉にしてなる破断溝で構成されたところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載のガス溶存水生成ミキサーにおいて、ボディは、外側円筒管の両端部を端部壁で閉塞する共に、一方の端部壁の中心に形成された貫通孔に流入側パイプを接続すると共に、他方の端部壁の中心に形成された貫通孔に流出側パイプを接続した構造をなし、区画壁は、外側円筒管の内部に軸方向に対をなして設けられ、上流側の区画壁は、外側円筒管の内周面に固定された円形板で構成されると共に、その中心に通水孔が貫通成形され、下流側の区画壁は、外側円筒管の内周面に固定された円形板と、円形板の中心に形成された貫通孔に一端部を嵌合固定されて、流出側パイプの内側に向かって延びた延長インナーパイプと、延長インナーパイプの先端外面に形成された雄螺子に螺合された雌螺子スリーブと、延長インナーパイプの先端面と、雌螺子スリーブの一端部から内側に張り出した押さえ壁との間に外縁部を挟まれて取り付けられた円形の板金部材とから構成されると共に、その板金部材に通水孔が貫通形成され、破断部は、通水孔の開口縁に一端が接続されて通水孔から離れる方向に延びかつ板金部材の一部を薄肉してなる破断溝で構成されたところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載のガス溶存水生成ミキサーにおいて、破断溝は、断面V字形であるところに特徴を有する。
【0010】
請求項6の発明は、請求項3乃至5の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサーにおいて、破断溝は、通水孔から放射状に延びているところに特徴を有する。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサーにおいて、ガスは水素ガスであるところに特徴を有する。
【0012】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサーにおいて、水は、水道水又は水を電気分解することで陰極側に生成する陰極水であるところに特徴を有する。
【0013】
請求項9の発明に係るガス溶存水製造装置は、請求項1乃至8の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサーと、水と共にガスを吸引し、そのガスと水とを混合してガス溶存水生成ミキサーへ向けて排出する気液混合ポンプとを備えたところに特徴を有する。
【0014】
請求項10の発明は、請求項9に記載のガス溶存水製造装置において、ガス溶存水生成ミキサーを経て製造されたガス溶存水中の気泡を除去する脱泡手段を備えたところに特徴を有する。
【0015】
請求項11の発明は、請求項9又は10に記載のガス溶存水製造装置において、気液混合ポンプの吸引口より上流側に、水に対して磁場を付与する磁場付与手段を設けたところに特徴を有する。
【0016】
請求項12の発明は、請求項9乃至11の何れかに記載のガス溶存水製造装置において、気液混合ポンプの吸引口より上流側に、水に予め含まれる気体を脱気するための脱気手段を備えたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
[請求項1,2及び9の発明]
ガスと混合された水が、ガス溶存水生成ミキサーのボディ内に備えられた区画壁を通過する際に、水圧が強弱変化し、これにより水に対するガスの溶存量が高められる。ここで、区画壁の通水孔が詰まって水が通過し難くなったり通過不能になると、ガス溶存水生成ミキサーより上流側の配管の内圧が上昇する。これに対し、請求項1及び9の発明によれば、区画壁が上流側から受ける水圧が予め定められた基準値以上になると、区画壁に形成された破断部が破壊又は変形して通水孔の開口面積が広がる。すると、通水孔の詰まりが解消されて多くの水が通過可能となり、配管の内圧が減少する。これにより、ガス溶存水生成ミキサーの詰まりによる配管の破損や水漏れを防止することができる。また、通水孔の詰まりに限らず、ガス溶存水生成ミキサーに対して過剰に水が供給された場合でも区画壁が破壊又は変形して、配管の破損や水漏れを防止することができる。
【0018】
ここで、区画壁を2つ以上設けた場合には、最も下流に配置された区画壁に配置された通水孔の開口面積を、他の区画壁に形成された通水孔の開口面積より小さくすると共に、破断部を、最も下流に配置された区画壁に形成することが好ましい(請求項2の発明)。
【0019】
[請求項3,5,6の発明]
請求項3の発明によれば、区画壁が受ける水圧が基準値以上になると、区画壁に備えた板金部材が破断溝に沿って破断して通水孔が広がる。破断溝を形成したことで、基準値以上の水圧で確実に板金部材を破断させることができる。ここで、破断溝は、請求項5の発明のように、断面V字形とすることが好ましい。また、請求項6の発明のように、破断溝は通水孔から放射状に延びるように形成すると、より好ましい。
【0020】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、下流側の区画壁のうち、通水孔が貫通形成された板金部材を容易に交換することができる。具体的には、延長インナーパイプと雌螺旋スリーブとを分解して板金部材を取り外し、新たな板金部材をセットしてから延長インナーパイプと雌螺旋スリーブとを元通りに螺合すれば、延長インナーパイプの先端面と雌螺旋スリーブの押さえ壁との間で板金部材の外縁部が挟持される。これにより、区画壁の板金部材が破壊又は変形した場合には、ガス溶存水生成ミキサーのその他の部品は流用しつつ、板金部材だけを交換することができ、ランニングコストを抑えることができる。
【0021】
ここで、通水孔の孔径を異ならせた複数種類の板金部材を備えておき、製造条件や目標とする製造量に応じて板金部材を選択可能としてもよい。
【0022】
[請求項7及び8の発明]
請求項7の発明によれば、水に水素ガスを溶解させることで、一般の水(例えば、水道水)より酸化還元電位が低い(還元性が大きい)水素ガス溶存水を生成することができる。ここで、水素ガスを溶存させる水として、水を電気分解することで陰極側に生成する陰極水を用いれば、より酸化還元電位の低い水素ガス溶存水を生成することが可能になる。また、水素ガスを溶存させる水として水道水を用いれば、水素ガス溶存水を比較的安価に製造することができる(請求項8の発明)。
【0023】
[請求項10の発明]
気泡が除去されたガス溶存水は超音波洗浄の洗浄液として好適である。
【0024】
[請求項11の発明]
請求項11の発明によれば、ガスを水に溶け込ませ易くなる。これは、磁場によって水のクラスターサイズが小さくなったからであると推測される。ここで、磁場付与手段は、永久磁石や電磁石で構成すればよい。
【0025】
[請求項12の発明]
請求項12の発明によれば、水に予め含まれている気体を脱気してから、ガスを溶解させることで、水に対するガスの溶存量を高めたり溶解させ易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1に示された本実施形態のガス溶存水製造装置100は、水が流される配管11に沿って上流側から順番に磁場付与装置17、気液混合ポンプ12、ガス溶存水生成ミキサー10(以下、適宜、「ミキサー10」という)、脱泡装置19を備えている。
【0027】
水素ガス供給装置13は、例えば、水を電気分解することで水素ガスを生成している。なお、水素ガス供給装置13は、メタノールや天然ガスを改質して水素ガスを生成する構成でもよいし、予め水素ガスが充填された市販の水素ガスボンベでもよい。
【0028】
磁場付与装置17(本発明における「磁場付与手段」に相当する)は、内部に磁石(例えば、電磁石、永久磁石の何れでもよい)を備え、配管11を貫通する磁束を発生させている。そして、この磁束による磁場を水が通過するように構成されている。これにより、水のクラスターサイズ(水分子の集合体の大きさ)が小さくなるものと推測される。
【0029】
気液混合ポンプ12は、気体の吸引口と水の吸引口とを別々に備え、気体の吸引口には、水素ガス供給装置13から延びたガス配管14が接続されている。ガス配管14の途中には気液混合ポンプ12への水素ガスの供給量(流量)を調節するためのマスフローコントローラ28が備えられている。一方、水の吸引口には、配管11を介して図示しない水道管が接続されており、配管11の上流端には、水道管から供給される水道水(以下、適宜「水」という)の流量を調節するための流量調節器29が備えられている。
【0030】
気液混合ポンプ12は、流量調節器29により設定された所定流量(例えば、10〜20L/min)で水を、また、マスフローコントローラ28により設定された所定流量(例えば、0.1〜0.5L/min)及び所定圧力(例えば、0.2〜0.4MPa)で水素ガスを吸引し、これら水と水素ガスとを攪拌混合してから、ガス溶存水生成ミキサー10に所定圧力(例えば、0.7〜1.2MPa)で圧送する。そして、ミキサー10を通過する過程で水に対する水素ガスの溶存量が高められて水素ガス溶存水が製造される。この水素ガス溶存水は、脱泡装置19にて気泡を除去された後、例えば、水素ガス溶存水を洗浄水として使用する超音波洗浄装置(図示せず)へと供給される。
【0031】
ここで、配管11の所定部位には、気液混合ポンプ12への水の供給圧力及び供給流量を計測するための圧力センサ27及び流量センサ61、気液混合ポンプ12からミキサー10に向けて圧送される、水素ガスと混合された水(以下、適宜「混合流体」という)の圧力を計測するための圧力センサ26、ミキサー10を通過した水素ガス溶存水の流量を計測するための流量センサ60が備えられている。また、配管11及びガス配管14の所定位置にはバルブが備えられている。
【0032】
さらに、ガス溶存水製造装置100は、ミキサー10と脱泡装置19との間で配管11から分岐した採水管21を備えている。この採水管21により、配管11中に残った水を排水することができる。また、採水管21の途中には、流量調節器20と共に、pH計62、酸化還元電位計63及び溶存水素計64が備えられている。これにより、製造された水素ガス溶存水の水質を検査できるようになっている。
【0033】
次に、本発明に係るガス溶存水生成ミキサー10について詳説する。図2に示すように、ガス溶存水生成ミキサー10は、金属(例えば、ステンレス)製の筒形ボディ30の内部に、同じく金属(例えば、ステンレス)製のミキシング壁40、内部隔壁42及び板金部材50を収容してなる。
【0034】
筒形ボディ30は、円筒状をなしたボディ本体31(本発明の「外側円筒管」に相当する)の軸方向の両端部に流入側パイプ32及び流出側パイプ33を備えている。これら各パイプ32,33は、ボディ本体31より小径な円管状をなしており、その内周面には配管11と螺合する螺旋部34が形成されている。これら各パイプ32,33が配管11の途中に連結されて、ミキサー10の内部を気液混合ポンプ12から圧送された水(詳細には、水素ガスと水の混合流体)が通過可能となっている。なお、流入側パイプ32の内径は流出側パイプ33の内径よりも僅かに小径となっている。
【0035】
詳細には、ボディ本体31は、両端開放の円筒部材31Aの両端部に平板リング状の端部壁部材31B,31Bを宛がって、それら円筒部材31Aと端部壁部材31B,31Bとを全周に亘って溶接してなる。端部壁部材31Bのうち径方向の外寄り位置には円筒ボス36が一体形成されており、この円筒ボス36が円筒部材31Aの端部内側に嵌合している。また、筒形ボディ30は、端部壁部材31B,31Bの中央に形成された孔部31C,31Cに流入側パイプ32及び流出側パイプ33をそれぞれ嵌合した状態でその嵌合部分を全周に亘って溶接してなる。
【0036】
図2に示すように、ボディ本体31の上流端側にはミキシング壁40が備えられている。図3(A)に示すように、ミキシング壁40は円板構造をなしており、その外径はボディ本体31(円筒部材31A)の内径とほぼ同一となっている。また、ミキシング壁40の中心部には、円形の第1通水孔41が1つ貫通形成されている。図3(B)に示すように、第1通水孔41の両開口縁41Kは、外側に向かって拡径したテーパ形状をなしている。具体的には、第1通水孔41の両開口縁41Kにおける最大内径D1は、例えば、9mmであり、第1通水孔41の軸方向中央部における最小内径D2は、例えば、5mmである。また、両開口縁41Kにおけるテーパ角度θ1は約45度である。なお、ミキシング壁40は、本発明における「上流側の区画壁」に相当する。
【0037】
図2に示すように、ボディ本体31の内部でミキシング壁40より下流側にはミキシング壁40よりやや厚肉な内部隔壁42(本発明の「円形板」に相当する)が備えられている。図4(A)に示すように、内部隔壁42は、ミキシング壁40と同様に円板構造をなしている。即ち、内部隔壁42の外径は、ボディ本体31(円筒部材31A)の内径とほぼ同一である。また、内部隔壁42の中心部には、ミキシング壁40の第1通水孔41よりやや大径な螺旋孔42N(本発明の「貫通孔」に相当する)が貫通形成されている(図4(B)を参照)。
【0038】
図2に示すように、ミキシング壁40と内部隔壁42は筒形ボディ30(ボディ本体31)の軸方向に間隔を空けて重ねて配置されている。詳細には、筒形ボディ30のうち上流側の端部壁部材31Bとミキシング壁40との間、ミキシング壁40と内部隔壁42との間、及び、内部隔壁42と下流側の端部壁部材31Bとの間には、それぞれ扁平筒状のスペーサ45(例えば、ステンレスリング)が挟まれている。これにより、ミキシング壁40と内部隔壁42とが筒形ボディ30の軸方向で間隔を空けて固定されると共に、ボディ本体31の内部がその軸方向で複数の流体通過エリアに区画されている。
【0039】
図2に示すように、内部隔壁42の螺旋孔42Nにはノズル55が螺合されている。ノズル55は円筒状をなしており、先端部が流出側パイプ33の内側に達している。また、ノズル55の内径は、その軸方向における中間部が、螺旋孔42Nに螺合した基端部と流出側パイプ33内に配置された先端部とに比較して大径となっている。
【0040】
ノズル55は、その先端寄り位置でノズル本体56(本発明の「延長インナーパイプ」に相当する)とノズルヘッド57とに分割可能となっている。詳細には、ノズル本体56の先端外周面には雄螺旋が形成されており、ノズルヘッド57の外周面に係合した連結ナット58をその雄螺旋に螺合することで、ノズル本体56とノズルヘッド57とが連結されている。そして、ノズル本体56の先端面とノズルヘッド57の基端面との間に、円形の板金部材50の外縁部が板厚方向で挟持されている。なお、本実施形態では、ノズルヘッド57と、その外周面に係合した連結ナット58とで、本発明の「雌螺旋スリーブ」が構成されている。
【0041】
図5(A)に示すように、板金部材50は、ミキシング壁40よりも小径でかつ薄肉(例えば、0.2mm)な薄板円板状をなしている。板金部材50の中心部には、ミキシング壁40の第1通水孔41より小径(例えば、2.0〜3.0mm)な第2通水孔51が形成されている。そして、本実施形態のミキサー10では、ミキシング壁40を通過した水が全てこの第2通水孔51を通過するようになっており、内部隔壁42、ノズル55及び板金部材50によって、本発明の「下流側の区画壁」が構成されている。
【0042】
ここで、ミキサー10は、第2通水孔51の孔径を異ならせた複数種類の板金部材50を交換可能に備えており、製造条件や製造量の目標値に応じて適宜選択可能となっている。即ち、第2通水孔51の孔径を大きくする程、単位時間当たりの水素ガス溶存水の製造量を増加させることができる。この点については後述する実験で実証された。
【0043】
さて、板金部材50には、上流側から受ける水圧が所定の基準値以上となった場合に、第2通水孔51の開口面積を広げるように板金部材50を破断させるための破断溝52が形成されている。破断溝52は、板金部材50の下流側を向いた面に形成されており、第2通水孔51の開口縁に一端が接続されて、径方向の外側に向かって延びている。これら破断溝52は、板金部材50を周方向で4等分する位置に配置されており、周方向で隣り合った破断溝52同士が直角となっている。図5(B)に示すように、破断溝52は、例えば、断面V字形をなしている。具体的には、板金部材50の板厚は0.2mmであり、破断溝52の深さは板金部材50の板厚の約半分(約0.08〜0.1mm)であり、破断溝52のテーパー角度θ2は約60度となっている。
【0044】
以上が、本実施形態におけるガス溶存水製造装置100の構造の説明であって、次に作用及び効果を説明する。本実施形態のガス溶存水製造装置100では、以下のようにして水素ガス溶存水が製造される。まず、気液混合ポンプ12によって水と水素ガスとが吸引される。水は、流量調節器29によって設定された所定流量(例えば、10〜20L/min)で吸引され、気液混合ポンプ12に流入する前に磁場付与装置17を通過する。磁場付与装置17を通過することで水に対して磁場が付与される。
【0045】
一方、水素ガスは、マスフローコントローラ28によって設定された所定流量(例えば、0.2〜0.4L/min)で気液混合ポンプ12に吸引される。気液混合ポンプ12にて水素ガスと水とが攪拌混合され、この水素ガスと混合された水がミキサー10に向けて所定の圧力で圧送される。
【0046】
水素ガスと混合された水は、ミキサー10内に流入してミキシング壁40に衝突する。ミキシング壁40に衝突した水は、ミキシング壁40に形成された第1通水孔41に押し込められることで加圧される。
【0047】
ミキシング壁40の第1通水孔41を通過した水は、ミキシング壁40と内部隔壁42との間の流体通過エリア内に流入する。この流体通過エリアにおいて水にかかる圧力は減圧される。
【0048】
ミキシング壁40と内部隔壁42との間の流体通過エリアに流入した水は、内部隔壁42に接続されたノズル55の内部に押し込められることで再び加圧され、ノズル55内に備えた板金部材50の第2通水孔51を通過する際にさらに加圧される。そして、板金部材50を通り過ぎると、水にかかる圧力が減圧される。このように、ミキサー10を通過する過程で、水素ガスと混合された水にかかる圧力の強弱が繰り返される。これにより、水素ガスが水に溶け込んで、酸化還元電位値(以下、「ORP値」という)が水道水に比較して低い水素ガス溶存水が製造される。
【0049】
ここで、ミキサー10を通過した直後の水素ガス溶存水に気泡が含まれることがあり得るが、気泡は超音波の伝搬を妨げ洗浄効率を低下させるため好ましくない。これに対し、本実施形態のガス溶存水製造装置100では、ミキサー10を経て製造された水素ガス溶存水中の気泡が脱泡装置19にて除去される。そして、必要に応じてバルブ24が開放され、水素ガス溶存水が、図示しない超音波洗浄装置に供給される。
【0050】
なお、水素ガス溶存水による洗浄対象物としては、医療機器や工業用部品(例えば、半導体部品、光学系レンズ、ガラス金型、金属部品)が挙げられる。また、配管洗浄等に利用することもできる。
【0051】
ところで、ミキサー10の板金部材50に形成された第2通水孔51は、ミキシング壁40の第1通水孔41(内径5〜9mm)に比較して小径(2.0〜3.0mm)であるため、ミキシング壁40に比較して、異物や結晶の析出等による詰まりが起こり易い。そして、第2通水孔51が詰まると、ミキサー10より上流側の配管11の内圧が上昇し、配管11の破損や、破損部位からの水漏れが起こり得る。これに対し、本実施形態によれば、第2通水孔51が詰まって板金部材50が受ける水圧が予め設定された基準値以上となると、図6(A)及び図6(B)に示すように、板金部材50が破断溝52に沿って裂けて下流側に塑性変形し、第2通水孔51の開口面積が広げられる。すると、詰まりが解消されると共に板金部材50を多くの水が通過可能となって、配管11の内圧が減少する。これにより、ミキサー10の詰まりによる配管11の破損や水漏れを未然に防止することができる。ここで、第2通水孔51の詰まりに限らず、ミキサー10に対して水が過剰供給された場合にも、上述の如く水圧によって板金部材50が破断して配管11の破損や水漏れを未然に防止することができる。
【0052】
また、上述の如く板金部材50が破壊された場合には、板金部材50を新品に交換することで、再度、ミキサー10が使用可能となる。板金部材50を以下のようにして交換することができる。まず、ミキサー10を配管11から取り外す。次いで、ミキサー10の流出側パイプ33から回転工具(図示せず)を挿入して内部隔壁42の螺旋孔42Nとノズル55との螺合を解除し、ノズル55を筒形ボディ30から取り出す。次いで、ノズル55の連結ナット58を緩めてノズル本体56とノズルヘッド57とに分解し、破壊された板金部材50の代わりに新品の板金部材50をセットする。そしてノズル本体56とノズルヘッド57とを再び螺合すると、それらノズル本体56とノズルヘッド57との間に板金部材50の外周縁が挟まれて、ノズル55の内部に固定される。最後に、ノズル55を流出側パイプ33から挿入して、回転工具により内部隔壁42の螺旋孔42Nに螺合する。以上で、板金部材50の交換作業は完了である。このように、板金部材50が破壊された場合には、ミキサー10のその他の部品は流用し、板金部材50だけを交換することができるから、ランニングコストを抑えることができる。なお、板金部材50が破壊されたか否かに拘わらず、板金部材50の交換作業は上述した手順で行えばよい。
【0053】
[第2実施形態]
図7は本発明の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、ガス溶存水製造装置200に脱気装置25が備えられている点が構成を上記第1実施形態とは異なる。その他の構成については上記第1実施形態と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0054】
図7に示すように、脱気装置25は、配管11のうち磁場付与装置17と気液混合ポンプ12との間に備えられている。脱気装置25は、真空モジュール内に水道水を導入し、その真空モジュール内を真空ポンプ等によって真空にすることで水道水から気体(空気)を抜く構成となっている。なお、脱気装置25は、このような真空脱気装置に限らず、例えば、超音波振動を利用したものでもよい。本実施形態によっても、上記第1実施形態と同等の効果を奏する。また、本実施形態によれば、上記第1実施形態に比べて少ない水素ガス供給量でORP値を低下させることができ、水素ガス溶存水における溶存水素量も増加させることができた。この点については、後述する実験により実証された。
【0055】
[第3実施形態]
図8に示すように、本実施形態のミキサー70は、上記第1実施形態における内部隔壁42に相当する部品を有しておらず、ノズル55が下流側の端部壁部材31Bに形成された螺旋孔31Nに螺合されている。また、ノズル55が螺合された端部壁部材31Bには、螺旋孔31Nを囲むように流出側パイプ33が一体に溶接されており、ノズルヘッド57の先端が、この流出側パイプ33より下流側に突出している。その他の構成は上記第1実施形態と同じであるので、同一部位には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0056】
本実施形態の構成によれば、上記第1実施形態のようにノズル55が筒形ボディ30の奥部に配置されておらず、ノズルヘッド57が流出側パイプ33から突出しているから、ノズル55全体を端部壁部材31Bから取り外さなくとも、ノズルヘッド57を取り外すだけで板金部材50を交換することが可能である。よって、板金部材50を交換する際の作業性が向上する。また、第1実施形態の構成に比較して、ミキサー70の軸方向における寸法を小さくすることができる
【0057】
[第4実施形態]
図9に示すように、本実施形態のミキサー80は、第1実施形態における内部隔壁42の代わりにミキシング壁40を備えている。即ち、ミキサー80の軸方向に沿って、第1通水孔41を備えた同一形状の2枚のミキシング壁40,40を互いに間隔を空けて備えている。また、下流側の流出側パイプ33の内部でその軸方向の途中部分には段差部33Dが形成され、この段差部33Dに、板金部材50が係止されている。そして、流出側パイプ33に接続された配管11と段差部33Dとの間で板金部材50の周縁部が挟持されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同じであるから、重複する説明は省略する。
【0058】
本実施形態の構成によれば、上記第1実施形態と同等の効果を奏すると共に、ミキサー80を配管11から取り外すだけで、板金部材50を取り外すことができ、板金部材50を交換する際の作業性が向上する。
【0059】
[実施例]
本発明の実施品1として、上記第1実施形態のガス溶存水製造装置100と同一構造のガス溶存水製造装置を製作した。また、本発明の実施品2として、上記第2実施形態のガス溶存水製造装置200と同一構造のガス溶存水製造装置を製作した。そして、これら実施品1及び実施品2用いて水素ガス溶存水を実際に製造し、それぞれの水素ガス溶存水のpH、ORP値、溶存水素量を計測した。なお、製造条件は表1に示す通りである。
【0060】
【表1】

【0061】
図10のグラフに示すように、実施品1及び実施品2では、水素ガス供給量を150ml以上とした場合に、水素ガス溶存水のORP値が−550〜−600mVとなった。また、実施品1では、水素ガス供給量を100mlとしても、水素ガス溶存水のORP値を約−190mVまでしか低下させることができなかったのに対し、実施品2では、水素ガス供給量を10mlとした時点で、水素ガス溶存水のORP値はすでに約−480mVまで低下し、水素ガス供給量を50mlとすると、実施品1で水素ガス供給量を150mlとしたときとほぼ同じ約−550mVまで低下した。このことから、水道水を予め脱気しておくと、より少ない水素ガス供給量で水素ガス溶存水のORP値を低下させることができることが分かった。これは、脱気により水素ガスが水に溶け込み易くなったためであると推測される。
【0062】
図11のグラフに示すように、実施品2によって製造した水素ガス溶存水は、実施品1によって製造した水素ガス溶存水よりも、溶存水素量が大きいことが分かった。これは、実施品1で製造した水素ガス溶存水は、水素ガス以外の気体(空気など)が多く溶解しているのに対し、実施品2で製造した水素ガス溶存水は、水を予め脱気したことにより、溶解している気体の殆どが水素ガスとなったからであると考えられる。
【0063】
さらに、図12のグラフに示すように、実施品1で水素ガス溶存水を製造した場合、水素ガス溶存水のpHは、水素ガス供給量に拘わらずほぼ一定であり、水素ガスを溶解させる前の水道水と殆ど同じpH6.6〜6.8であった。一方、実施品2で水素ガス溶存水を製造した場合には、水素ガス溶存水のpHが水素ガスを溶解させる前の水道水より高くなった。例えば、水素ガス供給量を500mlとした場合にはpH7.8となったが、依然として中性領域に保持されていることが分かった。
【0064】
以上を纏めると、実施品1によれば、水素ガスを溶解させる前の水とほぼ同じpHの水素ガス溶存水を製造することができた。実施品2によれば、水素ガスを溶解させる前より若干pHが上昇するものの、実施品1より少ない水素ガス量で水素ガス溶存水を製造することができた。
【0065】
[実施例2]
実施品1及び実施品2において、第2通水孔51の孔径を2.0〜3.0mmの範囲で変化させると共に、孔径以外の条件を下記表2の如く設定して水素ガス溶存水を実際に製造し、その単位時間当たりの製造量、pH、ORP値、溶存水素量を計測した。
【0066】
【表2】

【0067】
[実験結果]
図13には、実施品1で製造した場合の第2通水孔51の孔径に対する単位時間当たりの製造量、pH、ORP値、溶存水素量が示されており、図14には、実施品2で製造した場合の第2通水孔51の孔径に対する単位時間当たりの製造量、pH、ORP値、溶存水素量が示されている。これらのグラフに示すように、実施品1及び実施品2の何れの場合でも、第2通水孔51の孔径を大きくするに従って、単位時間当たりの製造量が増加することが分かった。具体的には、孔径を最小の2.0mmとした場合には、1分間当たりの製造量が5〜6Lであったのに対し、孔径を最大の3.0mmとした場合には、1分間当たりの製造量が約2倍の10〜12Lとなった。
【0068】
また、水素ガス溶存水のORP値は、僅かではあるが第2通水孔51の孔径が小さくなるに従い低下することが分かった。
【0069】
pHに関しては、実施品1で製造した水素ガス溶存水は、第2通水孔51の孔径に拘わらず水素ガスを溶解する前の水道水とほぼ同じpHであった。実施品2で製造した水素ガス溶存水は、孔径に拘わらず水素ガスを溶解する前の水道水よりpHが上昇し、孔径を2.6mm以下としたときに上昇量が比較的大きかった。
【0070】
溶存水素量は、実施品1及び実施品2の何れの場合も、孔径を3.0mmとしたときに比較的低かったが、それでも1.0ppm以上であることが分かった。その他の孔径(2.0〜2.8mm)では、孔径に拘わらずほぼ同じであった。
【0071】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0072】
(1)上記第1及び第2実施形態では、磁場付与装置17を備えていたが磁場付与装置17を備えていなくてもよい。
【0073】
(2)上記実施形態では、水素ガス溶存水の原水として、水道水を使用していたが、水道水に限るものではない。例えば、井戸水、湧き水、工業用水でもよい。また、軟水、純水、蒸留水を使用してもよいし、水を電気分解することで陰極側に生成された陰極水を使用してもよい。ここで、陰極水は、電気分解する前の水よりもORP値が低くなっているので、この陰極水に水素ガスを溶存させることで、さらにORP値の低い水素ガス溶存水を製造することができる。
【0074】
(3)上記実施形態では、配管11の途中にガス溶存水生成ミキサー10を1つだけ備えていたが、複数のガス溶存水生成ミキサー10を直列又は並列に接続してもよい。
【0075】
(4)上記実施形態では、水道管に配管11を直接接続していたが、水道水を蓄える貯水槽を設けて、ここに配管11を接続してもよい。このようにすれば、気液混合ポンプ12に供給される水の圧力、さらには、ミキサー10にかかる圧力が一定となり、より安定した水素ガス溶存水を製造することが可能となる。
【0076】
(5)上記実施形態では、製造された水素ガス溶存水は、そのまま超音波洗浄装置に送水されていたが、生成水タンクを設けて一旦貯留するようにしてもよい。生成水タンクは密閉することが好ましいが開放していてもよい。これにより、生成水タンク内に水素ガスが滞留することが防がれる。
【0077】
(6)上記実施形態では、採水管21に溶存水素計64を備えていたが、この溶存水素計64の計測値に基づいて、水素ガスの供給量を自動制御する制御装置を備えていてもよい。
【0078】
(7)上記実施形態では、破断溝52が形成された板金部材50の他に、破断溝52が形成されていないミキシング壁40を1つ或いは2つ備えていたが、板金部材50のみを備えていてもよいし、板金部材50の他に3つ以上のミキシング壁40を備えていてもよい。なお、板金部材50を最も下流側に配置することが好ましい。
【0079】
(8)水素ガス溶存水を環流させるための循環配管を設けて、水素ガス溶存水がミキサー10を複数回通過するような構成としてもよい。
【0080】
(9)上記実施形態では、板金部材50を周方向で4等分する位置に破断溝52が形成されていたが、その他複数等分する位置に放射状に設けてもよい。
【0081】
(10)上記実施形態では、破断溝52を板金部材50の下流側の面だけに形成していたが上流側の面だけ或いは、上流側と下流側の両面に形成してもよい。
【0082】
(11)配管11のうち磁場付与装置17より上流側に、水道水に混入した異物(錆等)を除去するためのプレフィルターを設けてもよい。
【0083】
(12)水が流れる配管11のうち、気液混合ポンプ12より上流側位置にガス配管14を接続して、気液混合ポンプ12に流入する直前の水に水素ガスを吹き込むようにしてもよい。
【0084】
(13)ミキシング壁40に複数の第1通水孔41を設けてもよい。
【0085】
(14)ガス溶存水製造装置のうち、磁場付与装置17或いは脱気装置25より下流側の配管11を複数系統に分岐させて、各系統にそれぞれ、気液混合ポンプ12、ミキサー10及び脱泡装置19を設けてもよい。このようにすれば、異なる水質(pH、溶存水素量、ORP値)の水素ガス溶存水を同時に製造することが可能となる。また、何れか一方の系統で水素ガス溶存水の製造ができなくなっても、他方の系統で水素ガス溶存水の製造を継続することができる。
【0086】
(15)水に溶解させるガスは、水素ガスに限定するものではなく、例えば、酸素、オゾン、二酸化炭素、アンモニア等でもよい。
【0087】
(16)気液混合ポンプ12より上流側に、水道水中の残留塩素を除去するための脱塩素装置と、金属イオンを除去するための軟水装置とを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガス溶存水製造装置の概念図
【図2】ガス溶存水生成ミキサーの側断面図
【図3】(A)ミキシング壁の平面図、(B)ミキシング壁の断面図
【図4】(A)内部隔壁の平面図、(B)内部隔壁の断面図
【図5】(A)板金部材の平面図、(B)板金部材の断面図
【図6】(A)破断した板金部材の平面図、(B)図6(A)におけるX−X断面図
【図7】第2実施形態に係るガス溶存水製造装置の概念図
【図8】第3実施形態に係るガス溶存水生成ミキサーの側断面図
【図9】第4実施形態に係るガス溶存水生成ミキサーの側断面図
【図10】実施品1と実施品2で製造された水素ガス溶存水の水素ガス供給量とORP値との関係を示すグラフ
【図11】水素ガス溶存水の水素ガス供給量と溶存水素量との関係を示すグラフ
【図12】水素ガス溶存水の水素ガス供給量とpHとの関係を示すグラフ
【図13】実施品1で製造した場合の第2通水孔の孔径と水素ガス溶存水の単位時間当たり製造量、ORP値、pH、溶存水素量との関係を示すグラフ
【図14】実施品2で製造した場合の第2通水孔の孔径と水素ガス溶存水の単位時間当たり製造量、ORP値、pH、溶存水素量との関係を示すグラフ
【符号の説明】
【0089】
10,70,80 ガス溶存水生成ミキサー
12 気液混合ポンプ
17 磁場付与装置(磁場付与手段)
19 脱泡装置
25 脱気装置
31B 端部壁部材
31N 螺旋孔
40 ミキシング壁(上流側の区画壁)
41 第1通水孔
42 内部隔壁(円形板)
42N 螺旋孔
50 板金部材
51 第2通水孔
52 破断溝
56 ノズル本体(延長インナーパイプ)
57 ノズルヘッド
58 連結ナット
100,200 ガス溶存水製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを混合した水が流される流路を有したボディと、前記流路を軸方向で複数の流体通過エリアに区画する区画壁と、前記区画壁に貫通形成されて、前記流体通過エリア同士の間を連絡する通水孔とを備え、水圧を前記通水孔で高めて前記流体通過エリアで下げるように変化させることで前記水に対する前記ガスの溶存量を高めてガス溶存水を生成するためのガス溶存水生成ミキサーであって、
前記区画壁には、上流側から予め定められた基準値以上の水圧を受けたときに破断又は変形して前記通水孔の開口面積を広げる破断部が形成されたことを特徴とするガス溶存水生成ミキサー。
【請求項2】
前記区画壁を2つ以上設け、最も下流に配置された前記区画壁に形成された前記通水孔の開口面積を、他の前記区画壁に形成された前記通水孔の開口面積より小さくすると共に、前記破断部は、前記最も下流に配置された前記区画壁に形成されたことを特徴とする請求項1の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサー。
【請求項3】
前記区画壁の少なくとも一部を前記ボディに着脱可能に取り付けた板金部材で構成して、その板金部材に前記通水孔を貫通形成し、
前記破断部は、前記通水孔の開口縁に一端が接続されて前記通水孔から離れる方向に延びかつ前記板金部材の一部を薄肉にしてなる破断溝で構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス溶存水生成ミキサー。
【請求項4】
前記ボディは、外側円筒管の両端部を端部壁で閉塞する共に、一方の前記端部壁の中心に形成された貫通孔に流入側パイプを接続すると共に、他方の前記端部壁の中心に形成された貫通孔に流出側パイプを接続した構造をなし、
前記区画壁は、前記外側円筒管の内部に軸方向に対をなして設けられ、
前記上流側の区画壁は、前記外側円筒管の内周面に固定された円形板で構成されると共に、その中心に前記通水孔が貫通成形され、
前記下流側の区画壁は、前記外側円筒管の内周面に固定された円形板と、前記円形板の中心に形成された貫通孔に一端部を嵌合固定されて、前記流出側パイプの内側に向かって延びた延長インナーパイプと、前記延長インナーパイプの先端外面に形成された雄螺子に螺合された雌螺子スリーブと、前記延長インナーパイプの先端面と、前記雌螺子スリーブの一端部から内側に張り出した押さえ壁との間に外縁部を挟まれて取り付けられた円形の板金部材とから構成されると共に、その板金部材に前記通水孔が貫通形成され、
前記破断部は、前記通水孔の開口縁に一端が接続されて前記通水孔から離れる方向に延びかつ前記板金部材の一部を薄肉してなる破断溝で構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス溶存水生成ミキサー。
【請求項5】
前記破断溝は、断面V字形であることを特徴とする請求項3又は4に記載のガス溶存水生成ミキサー。
【請求項6】
前記破断溝は、前記通水孔から放射状に延びていることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサー。
【請求項7】
前記ガスは水素ガスであることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサー。
【請求項8】
前記水は、水道水又は水を電気分解することで陰極側に生成する陰極水であることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサー。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載のガス溶存水生成ミキサーと、
前記水と共に前記ガスを吸引し、そのガスと前記水とを混合して前記ガス溶存水生成ミキサーへ向けて排出する気液混合ポンプとを備えたことを特徴とするガス溶存水製造装置。
【請求項10】
前記ガス溶存水生成ミキサーを経て製造された前記ガス溶存水中の気泡を除去する脱泡手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載のガス溶存水製造装置。
【請求項11】
前記気液混合ポンプの吸引口より上流側に、前記水に対して磁場を付与する磁場付与手段を設けたことを特徴とする請求項9又は10に記載のガス溶存水製造装置。
【請求項12】
前記気液混合ポンプの吸引口より上流側に、前記水に予め含まれる気体を脱気するための脱気手段を備えたことを特徴とする請求項9乃至11の何れかに記載のガス溶存水製造装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−114184(P2008−114184A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301892(P2006−301892)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(593161478)佐藤工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】