説明

ガス生成システム

【課題】 ガス生成システムのための基礎アセンブリーが提供される。
【解決手段】 基礎アセンブリーは基礎部材、および基礎部材に取り付けられたリテーナーを含む。代替の実施態様では、アセンブリーは、基礎部材とリテーナーの両方へモールドされたイニシエーターを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願との相互参照
この出願は、2008年12月4日に出願された、米国仮出願番号61/200,833の利益を要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明は、一般にガス生成システムの動作を始めるための火工品イニシエーターを利用するガス生成システムに関係する。1つの態様では、本発明はガス生成システムの基礎アセンブリーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
基礎アセンブリーは基礎部材、および基礎部材に取り付けられたリテーナーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1は、本発明の第一の実施態様にかかるガス生成システムハウジングのための基礎アセンブリーの横断面図である。
【図2A】図2Aは、図1の中で示される実施態様に組み入れられた基礎部材の横断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの中で示される基礎部材の平面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の実施態様にかかるリテーナーの横断面図である。
【図3B】図3Bは、本発明の実施態様にかかるリテーナーの平面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の第二の実施態様にかかる基礎アセンブリーの横断面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの中で示される基礎アセンブリーの平面図である。
【図4C】図4Cは、図4Aの中で示される基礎アセンブリーの部分の拡大図である。
【図5】図5は、本発明の実施態様にかかる基礎アセンブリーの実施態様を組込むガス生成システムの横断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施態様にかかる基礎アセンブリーを備えたガス生成システムを組込む例示的な車両乗員保護システムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1−3Bは、本発明の1つの実施態様にかかる、ガス生成システム200のハウジング34の部分を形成するの基礎アセンブリー10の1つの実施態様を示す図である。図1−3B中に示される実施態様では、基礎アセンブリー10は、ガス生成システムハウジング34(例えば図5を参照)の一部を形成する基礎部材11を含み、イニシエーター20、ブースター物質56を含むブースターカップ54、ガス生成物質60、フィルター70、自己点火物質(図示されない)および図5に示されるような他の成分のような公知のガス生成システム成分を含むエンクロージャーを提供する。
【0006】
基礎部材11は、公知の火工品イニシエーター20をその内部に収容するためのオリフィス12を有する内部部分11aを含む。内壁11bは基礎部材の内部部分11aから伸び、外壁11cは反対の内壁11bに伸びる。連結部11dは壁11bおよび11cを連結する。壁11bおよび11cおよび連結部11dは連結し、リテーナー18の部分をその内部に受容するための環状のキャビティー13を形成する。図1−3Cに示される実施態様では、壁11bおよび11cは環状に配置されるが、異なる壁配置も、特定の用途の必要性に応じて可能である。車両または他のデバイスへのガス生成システムの取り付けを容易にするために、周辺フランジ11eが外壁11cから伸びる。基礎部材11はスタンピングされるか、または他の方法で、金属、合金または他の好適な材料から形成されることができる。
【0007】
図1−3C中で示される実施態様では、基礎アセンブリー10は、ガス生成システムフィルターおよびガス生成物質60(後述する)を配置し保持するためのリテーナー18も含む。図1−3中に示される実施態様では、リテーナー18は環状の基礎部分18a、基礎部分の外側端から伸びる環状の外壁18b、および基礎部分の内側端から伸びる環状の内壁18cを有する。内壁18c、基礎部分18aおよび外壁18bは結合して、ガス生成物質60およびフィルター70の端部を受容するためのキャビティー18mを画定する。内壁18cはさらに内部キャビティー18dを形成する。内部キャビティー18dは、基礎部分18aから第一の内部直径を有する環状の第一の部分18e、および第一の部分18eと隣接して第一の内部直径よりも小さい第二の内部直径を有する環状の第二の部分18fへと、基礎部分18aから離れる方向においてネックダウンして絞られている。第一の部分18eの内部直径は、基礎内部部分11aと内側壁11bがキャビティー18dに挿入されたときに、基礎内壁11bとぴったりとはまるかまたは滑りばめの状態で接触するような寸法にされる。リテーナー11はスタンピング、延伸、または他の方法により、金属、合金または他の好適な材料から形成されることができる。
【0008】
基礎部材11にリテーナー18を取り付けるために、基礎部材内部部分11aと内側壁11bがキャビティー18dに挿入され、基礎部材連結部分11dおよびリテーナー基礎部分18aとが接触されるか、または互いに近接して配置される。その後、基礎部材とリテーナーは、基礎部材連結部11dおよびリテーナー基礎部分18aに沿って溶接される。基礎部材にリテーナーを取り付ける他の方法も企図されている。
【0009】
図4A−5を再び参照する。ガス生成システム10は、さらに、ガス生成組成物30の燃焼を始めるために、ガス生成システムが活性化される際に、イニシエーターとブースター組成物または他の発火性物質との流体連通を可能にするように配置されたイニシエーターまたは点火剤20を含んでいる。図5中で示される実施態様では、イニシエーター20の端は、固体化されたモールド物質50から、ガス生成システムに組み入れられたブースターカップ54によって形成されたブースターチャンバー内に伸びる。
【0010】
基礎アセンブリーの特別の実施態様110では、イニシエーターは基礎アセンブリーに組み入れられ、基礎部材11およびリテーナー18の両方へモールドされる。基礎部材へイニシエーターを直接モールドすることは、基礎部材とイニシエーターの間の気密シールを形成する。本発明のガス生成システムで使用するに好適なイニシエーターの1つの例は、参照され本明細書に組込まれる、米国特許6,009,809に記載されている。
【0011】
本明細書において、基礎アセンブリー内へイニシエーターを「モールド」するとは、イニシエーターが所定の位置に配置され、モールド操作のために確保された後に、ハウジング内へ射出、注入または他の方法で挿入するためにふさわしい粘度を有する、流動可能なモールド物質、接着剤、または他の物質を、ハウジング内部に投入し、イニシエーターとハウジングとの間、およびイニシエーターとリテーナーとの間の空間を満たすことをいう。したがって、基礎部材とリテーナーは、モールドの一部分を形成する。基礎部材、リテーナーおよびイニシエーターに接触する流動可能な物質は、次いで硬化または固体化され、イニシエーターの一部分を収納し、基礎部材とリテーナーへイニシエーターをしっかりと固定する。固体化されたモールド物質は、さらに基礎部材とイニシエーターの間の気密シールを形成することができる。
【0012】
図4Aおよび4Cに見られるように、内部部分11aおよび内壁11bがキャビティー18dへ挿入された時、オリフィス12を含む基礎部材内部部分11aはリテーナーキャビティー18d内へ伸びる。さらに、イニシエーター20が基礎アセンブリー10内にモールドされた時、イニシエーターの一部分は、基礎部材の第一の側11zからオリフィス12を通り、第一の側と反対側の基礎部材の第二の側11yまで伸びる。オリフィス12は小さすぎ、イニシエーター20のボディ部分20aが基礎部材内側部分11aの1つの側から基礎部材内側部分の他の側に、矢印A(図4C)で示される方向に通り抜けることはできない。これはオリフィス12を通ってイニシエーター20が除去されたり突き出したりすることを防ぐことを助ける。
【0013】
さらに図4Cに見られるように、イニシエーター20が基礎部材11とリテーナー18にモールドされる時、基礎部材内側部分11aがモールド物質50内へ突き出す。したがって、基礎部材へイニシエーターをモールドするモールド物質は、基礎部材の第一の側11zに沿って伸び、さらに基礎部材の第二の側11yに沿っても伸びる。基礎部材内側部分11aのモールド物質50内への突き出しは、図示されるように、固体化されたモールド物質と、その内部に収納されたイニシエーター20を、基礎アセンブリー10の他の要素に対して所定の位置にしっかりと固定することを助ける。
【0014】
図1−5は、以下に記載されるように、単一のイニシエーター20を収納し、しっかりと固定するように形成された、基礎アセンブリー11の実施態様を示す。基礎部材とリテーナーへモールドされた単一のイニシエーターについて記載されたが、図1中で示される実施態様に適用可能な特徴および原則は、さらに、基礎アセンブリーにモールドされた多数のイニシエーターを組込む実施態様にも適用可能である。
【0015】
ここに示された実施態様では、基礎アセンブリーへ1つまたは複数のイニシエーターをしっかりと取り付けるためのモールド物質は、所望の製造方法、システム操作上の要求および他の適切な要因のような要因に基づいて選択されることができる。ポリマー、注入および射出可能な接着剤およびポッティング化合物のような物質、および/または他の好適な物質が使用されることができる。圧力および温度のようなモールディングパラメータは、選択されたモールド物質と方法のような要因、モールド物質が挿入されることになっている型の構造および他の適切な要因に基づいて、反復実験により決定されることができる。
【0016】
図4Aおよび4Cを参照する。別の特定の実施態様では、付随する電気コネクター(図示されない)を受容し固定するコネクターハウジング構造30が、イニシエーター20を収納する構造内にモールドされ、基礎部材11とリテーナー18にイニシエーターを連結する。コネクターハウジング構造30は、当該技術分野において公知の方法で、車両の電気的な装置にイニシエーター20を接続するために使用される。所望の場合、公知の電気的な短絡クリップ構造(図示されない)も、モールド物質内にモールドされることができる。
【0017】
図5は、ガス生成システム200に組み入れられた基礎アセンブリーの実施態様110を示す。図5を参照する。ガス生成システム200は、基礎アセンブリー110およびに基礎アセンブリーに取り付けられたキャップ36を含む一般に円筒状のハウジング34を有し、システムハウジングを形成する。キャップ36は、それに沿って形成された複数の開口部21を有し、ハウジングの内部と付随するエアバッグ(図示されない)の間の流体連通を許容する。ハウジング34内への水蒸気の侵入を防ぐために、開口部21は、アルミニウムまたはステンレス鋼箔のような箔(図示されない)で覆われることができる。箔は、しばしば「バーストホイル」と呼ばれ、典型的には0.01から約0.20mmまでの厚さである。箔は、典型的には接着剤の使用により、ハウジングの内部表面に接着される。
【0018】
ブースターカップ54は、イニシエーター20の露出した部分を包み、ハウジング34の内部に配置された公知のブースター物質56を含むブースターチャンバー80を画定し、インフレーターの活性化の際に、ブースター物質とガス生成物質60との流体連通を可能とする。イニシエーター20の活性化は、ブースター物質の燃焼を起こし、それにより当該技術分野において公知の方法でガス生成物質60の燃焼を起こす。
【0019】
ガス生成物質60は、ブースターカップ54の外側で、リテーナーキャビティー18mの内部に配置される。ガス生成物質60は、無煙のガス生成組成物を含むエアバッグ用途において有用な任意の公知のガス生成組成物であることができ、たとえば米国特許番号5,035,757、5,872,329、6,074,502、6,287,400、6,306,232および6,475,312に記載される組成物およびプロセスがあげられるが、これに制限されるものではない。これらの特許は参照され、本明細書の一部とされる。他の好適な組成物は、米国特許出願番号10/407,300および60/369,775に述べられる。これらの特許は参照され、本明細書の一部とされる。
【0020】
図5を再び参照する。公知のフィルタ70内には、ガス生成物質60およびハウジング34の外壁との間に形成されるプレナム(plenum)が生ずる。
【0021】
図6は、本明細書に記載された基礎アセンブリーの実施態様の1つの可能な用途を示す。本明細書に記載されたガス生成システム200または基礎アセンブリーの別の実施態様を含む他のガス生成システムは、エアバッグシステム800に組み入れられる。エアバッグシステム800は少なくとも1つのエアバッグ902、および該エアバッグに連結された基礎アセンブリーの実施態様を含むガス生成システムを含み、ガス生成システムが活性化した際にはエアバッグの内部と流体連通が可能にするようにエアバッグに連結される。エアバッグシステム800は衝突センサー810を含むか、またはこれと接続される。衝突センサー810はクラッシュセンサーアルゴリズム(図示されない)を含み、衝突の場合に例えばイニシエーター20(図6には示されない)の活性化によってエアバッグシステム800の起動の信号を送る。
【0022】
インフレーターの操作は、図5を参照して議論される。衝突時に、衝突センサー(図示されない)からの信号はイニシエーター20に伝えられ、それによって、ブースター組成物56を活性化する。ブースター組成物56の燃焼からの熱は、ガス生成物質60の燃焼を引き起こす。ガス生成物質60の燃焼によって生成された膨張ガスは、半径方向に進み、フィルター70を通り抜け、開口部21を通ってハウジング34から排出される。
【0023】
図6を再び参照する。ガス生成システムは基礎アセンブリーの実施態様、またはそのようなガス生成システムを含むエアバッグシステムは、安全ベルトアセンブリー850のような追加の要素を含む、より広範な、より包括的な乗り物乗員拘束システム880に組み入れられることができる。安全ベルトアセンブリー850は、安全ベルトハウジング852および、ハウジング852から伸びる安全ベルト825を含む。安全ベルトリトラクタメカニズム854(例えば、ばね式のメカニズム)は、ベルトの端部分に連結されることができる。さらに、衝突の際にリトラクタメカニズムを始動させるために、安全ベルトプリテンショナー856がベルトリトラクターメカニズム854に連結されることができる。安全ベルト825と共に使用されることができる典型的なシートベルトリトラクターメカニズムは、米国特許5,743,480、5,553,803、5,667,161、5,451,008、4,558,832および4,597,546に記載されている。これらの特許は参照され、本明細書の一部とされる。安全ベルト825が組み合わされることができる典型的なプリテンショナーの例は米国特許6,505,790および6,419,177に記載されている。これらの特許は参照され、本明細書の一部とされる。
【0024】
安全ベルトアセンブリ850は、例えばプリテンショナーに組み入れられたイニシエーター24(図6には示されない)または他のイニシエーター(図示されない)の起動によって、ベルトプリテンショナー856の起動信号を生成するクラッシュセンサーアルゴリズム(図示されない)を含む、衝突センサ858(例えば慣性センサあるいは加速度計)を含むことができるか、またはこれと接続されることができる。先に参照され、本明細書の一部として組み込まれた米国特許番号6,505,790および6,419,177は、そのような方法で始動するプリテンショナーの例を提供する。
【0025】
上に記載された様々な成分は公知の方法で形成されることが理解される。様々な要素が、たとえば炭素鋼、アルミニウム、金属の合金または様々なポリマーから成形、スタンピングまたは他の方法により形成されることができる。
【0026】
本発明の実施態様の先の記載は例示の目的だけのためにあることが理解される。開示された実施態様について種々の構造および作動上の特徴は、当業者の能力により種々の変更を、本出願の特許請求の範囲に記載された本願発明の技術的範囲を離れることなく加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎部材;および
該基礎部材に取り付けられたリテーナーを含む、ガス生成システムのための基礎アセンブリー。
【請求項2】
該基礎部材および該リテーナーへモールドされたイニシエーターをさらに含む、請求項1記載の基礎アセンブリー。
【請求項3】
該基礎部材の第一の側から、該第一の側と反対の第二の側まで、該基礎部材内に形成された開口部を通って該イニシエーターの一部分が伸びる、請求項2記載の基礎アセンブリー。
【請求項4】
該基礎部材の該開口部のサイズが、該基礎部材の該第2の側のイニシエーター部分が該基礎部材の該第一の側へ移動するのを防ぐようにされる、請求項3記載の基礎アセンブリー。
【請求項5】
該基礎部材へ該イニシエーターをモールドするモールド物質が、該基礎部材の該第一の側に沿って伸び、さらに該第一の側と反対の該基礎部材の該第二の側に沿って伸びる、請求項2記載の基礎アセンブリー。
【請求項6】
請求項1記載の基礎アセンブリーを含むガス生成システム。
【請求項7】
請求項1記載の基礎アセンブリーを含む車両乗員保護システム。
【請求項8】
該基礎部材へ該イニシエーターをモールドする該モールド物質が、付随する電気コネクターを受容し固定するためのコネクターハウジング構造を形成する、請求項2記載の基礎アセンブリー。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−115787(P2011−115787A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269928(P2010−269928)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(507000143)ティー ケー ホールディングス インク (18)
【Fターム(参考)】