説明

ガス発生器用シールテープ

【課題】ハウジングの外側から貼り付けてガス排出口を閉塞した場合において、圧力を受けて開裂しても小片が飛び散ることがないガス発生器用シールテープを提供すること。
【解決手段】乗員拘束装置用ガス発生器のガス排出口113を外側から閉塞するためのシールテープ10Aであり、厚さ方向に圧力を受けたときに開いてガス排出口113を開口する、開裂部12と固着支持部15から形成される扉部16を有している。圧力を受けると扉部16が開いてガス排出口113が開口されるが、シールテープ10Aは固着支持部15において固着状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌等に搭載されるエアバッグシステム等の乗員拘束装置用ガス発生器に使用するシールテープ、前記シールテープを使用した乗員拘束装置用ガス発生器、前記シールテープを使用した乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車輌に搭載される乗員拘束装置の一つとしてエアバッグシステムが知られている。
このエアバッグシステムに使用されるガス発生器は、外殻容器となるガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤等が収容されたものであり、ガス排出口は、防湿目的で内側から貼り付けられたシールテープにより閉塞されている。
【0003】
特許文献1は、筒状ハウジング10内にガス発生剤41、42が充填されたエアバッグ用ガス発生器の発明である。ガス排出口13は、筒状ハウジングの長さ方向中間の近傍に形成されている。図示されていないが、構造上明らかに、ガス排出口13は防湿目的で内側からシール材で閉塞されているものと認められる。
特許文献2は、図1に示されているとおり、引用文献1の筒状のハウジング10と比べると高さの低い(長さの短い)ハウジング3内にガス発生剤15が充填されたインフレータの発明である。ハウジング3に形成されたガス排出口21は、内側からシール材17で閉塞されている。
特許文献3は、ハウジング12内が2室に区切られ、それぞれの室にガス発生剤36、86が充填されている、ハウジング12の側壁22に設けられたガス排出口24は、内側から粘着フォイルシール46で閉塞されている。
【0004】
ガス発生器の製造工程では、初期工程において、ハウジングの内側からシールテープを貼り付けてガス排出口を閉塞した後、必要な部品を組み込む組立方式が採用される。
このような組立方式の場合には、シールテープと後工程で組み込まれる部品とが接触してシールテープが損傷しないようにすることが重要になる。
【0005】
サイド用ガス発生器や助手席用ガス発生器は、それらの設置スペースとの関係から筒状ハウジングを使用したものが多いが(特許文献1の図1参照)、長さに比べて内径の小さなものほど、内側からシールテープを貼り付ける組立方式は難しいものとなる。
特にガス排出口が長さ方向の中間又はその近傍位置にあるような筒状ハウジングを有するガス発生器(特許文献1の図1参照)の場合には、シールテープの貼り付けも含めた組立工程の困難性が大きくなるほか、シールテープの貼り付け状態の確認自体も難しくなる。
【0006】
このような問題を解決する方法としては、ハウジングの外側からシールテープを貼り付ける組立方式が考えられる。
しかし、従来のシールテープを使用してハウジングの外側からガス排出口を閉塞した場合には、ガス発生器の作動時において、開裂して飛び散ったシールテープ片がエアバッグ内に流入して損傷させるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−178643号公報
【特許文献2】DE 198 17 485 A1明細書
【特許文献3】USP 6,032,979明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ハウジングの外側から貼り付けてガス排出口を閉塞した場合において、圧力を受けて開裂しても小片が飛び散ることがないガス発生器用シールテープを提供することを課題とする。
さらに本発明は、前記シールテープを使用したガス発生器、前記シールテープを使用したガス発生器の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
〔請求項1〕
本発明は、課題の解決手段として、
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口113を外側から閉塞するためのシールテープ10Aであって、
シールテープ10Aが、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口113を開口できる複数の扉部16を形成するための複数の開裂部12と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部12と共に複数の扉部16を形成するための固着支持部15を有しており、
複数の開裂部12が、
長さ方向に間隔をおいて、幅方向の一端側から他端側に線状に延ばされた複数の線状脆弱部13と、
複数の線状脆弱部13のそれぞれの先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部14の組み合わせからなるものであり、
固着支持部15が、幅方向の開裂阻止部14が形成された側から所定幅(L1)でかつ長さ方向に連続した帯状部からなるものであり、
複数の扉部16が、開裂部12と固着支持部15で囲まれた領域からなるものであり、
複数の扉部16の配置状態が、シールテープ10Aで複数のガス排出口113を外側から閉塞したとき、扉部16が開くとガス排出口113の全体が開口できるように調整されている、シールテープ(以下「第1シールテープ」という)を提供する。
【0010】
本発明の第1シールテープは、乗員拘束装置(エアバッグ装置等の)で使用するガス発生器の外殻容器となるハウジングに形成された複数のガス排出口を外側から閉塞するためのものである。
【0011】
本発明の第1シールテープは、開裂部と固着支持部を有しており、開裂部と固着支持部により複数の扉部(ガス排出口の数と同じ数の扉部)が形成されているものである。
なお、本発明の第1シールテープは、一面にハウジングに貼り付けるための粘着剤層を有しているものでもよいし、第1シールテープとしては粘着剤層を有していないものであるが、ガス発生器の製造時に第1シールテープの一面に粘着剤を塗布して(粘着剤層を形成して)使用されるものであってもよい。以下の各発明においても同様である。
【0012】
開裂部の線状脆弱部は、厚さ方向からの圧力を受けたときに開裂するものであり、
(1)幅方向の一端縁から開始され、他端縁側に線状に延ばされた線状脆弱部、又は
(2)幅方向の一端縁から間隔をおいた位置から開始され、他端縁側に線状に延ばされた線状脆弱部にすることができる。
線状脆弱部は、連続した線状のものでもよいし、不連続の線状(破線等)であってもよい。
線状脆弱部は、必要に応じて先端がT字型、Y字型、十字型等に枝分かれした形状のものにすることもできる。1本の線からなる線状脆弱部の場合には先端が1つになり、先端がT字型又はY字型等に枝分かれした線状脆弱部の場合には先端が2つになり、先端が十字型に枝分かれした線状脆弱部の場合には先端が3つになる。
【0013】
開裂阻止部は、線状脆弱部が開裂したときに開裂の進行を阻止するためのものであり、
(1)線状脆弱部の先端(形状により、1つ又は2つ以上)に接して又は近傍に形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の貫通孔、
(2)線状脆弱部の先端(形状により、1つ又は2つ以上)に接して又は近傍に形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の薄肉部、又は
(3)線状脆弱部の先端(形状により、1つ又は2つ以上)に接して又は近傍に形成された厚肉部、
にすることができる。
【0014】
線状脆弱部が厚さ方向からの圧力を受けると幅方向に開裂が進行するが、開裂が開裂阻止部に到達したとき、開裂阻止部における外力の分散作用(上記(1)、(2)の場合)又は外力の減衰作用(上記(3)の場合)により開裂の進行が阻止される。その結果、固着支持部にまで開裂が及ぶことが防止される。
【0015】
開裂部の線状脆弱部は、複数のガス排出口と同数だけ等間隔に形成することができる。このとき、ガス排出口と同数の扉部が形成される。
固着支持部となる帯状部の幅(L1)は、第1シールテープの幅(L)の15〜40%の範囲、好ましくは20〜30%の範囲にする。
【0016】
本発明の第1シールテープは、開裂部及び固着支持部により形成された複数の扉部(ガス排出口の数と同じ数の扉部)を有していることにより、乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口を外側から閉塞したときであっても、下記の特有の作用効果を奏することができるものである。
【0017】
〔第1の作用効果(開裂部による作用効果)〕
第1の作用効果(開裂部による作用効果)は、ガス発生器の作動時において、第1シールテープが厚さ方向からの圧力を受けたとき、線状脆弱部において容易に開裂して開く(扉状に開く)ことによりガス排出口を開口し、かつ第1シールテープの開裂片(小片)が生じることを防止するものである。このとき、開裂阻止部の作用により、第1シールテープ全体が破断すること(即ち、扉部が固着支持部から脱落すること)が防止されるため、固着支持部による固着状態も維持される。
【0018】
〔第2の作用効果(固着支持部による作用効果)〕
第2の作用効果(固着支持部による作用効果)は、ガス発生器の作動時において、第1シールテープが厚さ方向からの圧力を受けたとき、固着支持部による固着状態が維持されることによって、線状脆弱部における扉状の開裂を促進すると共に、作動時における第1シールテープ自体の脱落を防止し、脱落した第1シールテープが千切れて小片が生じることも防止するものである。
【0019】
〔請求項4〕
本発明は、課題の他の解決手段として、
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口113を外側から閉塞するためのシールテープ10Cであって、
シールテープ10Cが、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口113を開口できる複数の扉部16a〜16cを形成するための複数の開裂部12と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部12と共に複数の扉部16を形成するための固着支持部を有しており、
複数の開裂部12が、
長さ方向に間隔をおいて、幅方向の一端側から他端側に線状に延ばされた、前記ガス排出口数の2倍本数からなる線状脆弱部13と、
複数の線状脆弱部13のそれぞれの先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部14の組み合わせからなるものであり、
固着支持部が、
幅方向の前記開裂阻止部14が形成された側に長さ方向に連続して形成された帯状部からなる第1固着支持部15と、
2本の開裂部12で長さ方向に挟まれた、複数のガス排出口113を外側から閉塞したときにガス排出口113に面していない領域からなる第2固着支持部19a〜19dからなるものであり、
複数の扉部16a〜16cが、開裂部12と第1固着支持部15で囲まれ、第2固着支持部19a〜19dを除いた領域からなるものであり、
複数の扉部16a〜16cと第2固着支持部19a〜19dが長さ方向に交互になるように配置されており、シールテープ10Cで複数のガス排出口113を外側から閉塞したとき、扉部16a〜16cが開くとガス排出口113の全体が開口できるように調整されている、シールテープ(以下「第2シールテープ」という)を提供する。
【0020】
第2シールテープは、開裂部の線状脆弱部の数がガス排出口の数の2倍だけ形成されている。
このため、第2シールテープでハウジングに形成された複数のガス排出口を外側から閉塞したとき、2本の線状脆弱部と固着支持部の帯状部で囲まれた複数の領域は、ガス排出口に面している領域とガス排出口に面していない領域が長さ方向に交互に形成された状態となる。
このとき、ガス排出口に面している領域が扉部(ガス排出口と同数の扉部)となり、ガス排出口に面していない第1固着部を除いた領域が第2固着支持部となる。
第2シールテープは、上記のように複数の扉部(ガス排出口と同数の扉部)を有していることにより、上記した第1及び第2の作用効果を発現することができる。
【0021】
〔請求項5〕
本発明は、課題の他の解決手段として、
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口113を外側から閉塞するためのシールテープ50Bであって、
前記シールテープ50Bが、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口113を開口できる扉部を形成するための複数の開裂部62と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部62と共に複数の扉部を形成するための固着支持部68を有しており、
前記開裂部62が、
多角形(辺の総数がn)のn−1の辺を形成するように線状脆弱部63,64,65が組み合わされた扉部となる領域と、
前記線状脆弱部63,64,65の2箇所の先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部66,67の組み合わせからなるものであり、
前記開裂部62が完全な多角形であるとき、前記ガス排出口113が内側に包囲できる大きさのものであり、
前記固着支持部68が、
前記開裂部62が完全な多角形であるときの外側領域(但し、開裂阻止部66,67は含まれない)であり、
前記扉部が、前記開裂部62が完全な多角形であるときの内側領域からなるものであり、
前記複数の扉部の配置状態が、シールテープ50Bで複数のガス排出口113を外側から閉塞したとき、扉部が開くとガス排出口113の全体が開口できるように調整されている、シールテープ(以下「第3シールテープ」という)を提供する。
【0022】
第3シールテープは、開裂部における線状脆弱部の形態が上記した発明(第1シールテープ及び第2シールテープ)とは異なるものであるが、上記した発明と同じ第1の作用効果と第2の作用効果を発現することができる。
【0023】
開裂部の線状脆弱部は、多角形(辺の総数がn)のn−1の辺を形成するように組み合わせたものであり、例えば、三角形の二辺の組み合わせ(2本の線状脆弱部の組み合わせ)、四角形(正方形、長方形、台形等)の三辺(3本の線状脆弱部の組み合わせ)の組み合わせになる。
【0024】
開裂阻止部は、例えば、三角形の場合には、二辺のそれぞれの先端に接して又は近傍に形成されており、四角形の場合には正対する二辺のそれぞれの先端に接して形成されており、
(1)前記二辺の先端に接して又は近傍に形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の貫通孔、
(2)前記二辺の先端に接して又は近傍に形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の薄肉部、又は
(3)前記二辺の先端に接して又は近傍に形成された厚肉部、
にすることができる。
【0025】
固着支持部は、開裂部(線状脆弱部の組み合わせ)が完全な多角形であるときの外側領域(開裂阻止部は含まれない)であり、例えば、開裂部が三角形の二辺の組み合わせからなる場合には、三角形にしたときの外側領域であり、開裂部が四角形の三辺の組み合わせからなる場合には、四角形にしたときの外側領域である。
【0026】
扉部は、開裂部と固着支持部から形成されている(線状脆弱部で囲まれた、固着支持部を除いた領域から形成されている)。
開裂部の線状脆弱部が正方形の一辺がないものであるとき、厚さ方向からの圧力を受けると、正方形の一辺を残して3辺で開裂が進行して正方形に開く(正方形の扉状に開く)ことによりガス排出口を開口し、開裂が開裂阻止部に到達したとき、開裂阻止部における外力の分散作用(上記(1)、(2)の場合)又は外力の減衰作用(上記(3)の場合)により開裂の進行が阻止される。
【0027】
〔請求項6〕
本発明は、課題の他の解決手段として、
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口(113)を外側から閉塞するためのシールテープ(50C)であって、
シールテープ(50C)が、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口(113)を開口できる扉部を形成するための複数の開裂部(72)と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部(72)と共に複数の扉部を形成するための固着支持部(77)を有しており、
複数の開裂部(72)が、
部分円形(半円形を含む)又は部分楕円形(半楕円形を含む)を形成するように線状脆弱部(73)が組み合わされた扉部となる領域と、
線状脆弱部(73)の2箇所の先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部(74,75)の組み合わせからなるものであり、
前記部分円形又は前記部分楕円形の内側にガス排出口(113)が包囲される大きさのものであり、
固着支持部(77)が、
開裂部(72)が前記部分円形又は前記部分楕円形であるときの外側領域(但し、開裂阻止部(74,75)は含まれない)であり、
前記扉部が、
開裂部(72)が前記部分円形又は前記部分楕円形であるとき内側領域からなるものであり、
複数の扉部の配置状態が、シールテープ(50D)で複数のガス排出口(113)を外側から閉塞したとき、扉部が開くとガス排出口(113)の全体が開口できるように調整されている、シールテープ(以下「第4シールテープ」という)を提供する。
【0028】
本発明は、開裂部における線状脆弱部の形態が上記した発明(第1〜第3シールテープ)とは異なるものであるが、上記した発明と同じ第1の作用効果と第2の作用効果を発現することができる。
【0029】
開裂部の線状脆弱部は、部分円形又は部分楕円形の一部を形成するように線状脆弱部を組み合わせたものであり、円周の一部が切れたもの(円弧)又は楕円周の一部が切れたものである。楕円形を利用する場合は、長軸を直交するように切断した形状にすることが好ましい。
部分円形は半円形が好ましく、部分楕円形は長軸を直交するよう2等分した半楕円形が好ましい。
なお、線状脆弱部の組み合わせは、円形や楕円形の類似形状、例えば、角部が丸い多角形の一部が切れたものにすることもできる。
【0030】
開裂阻止部は、例えば、線状脆弱部が円周の一部が切れたものの場合(例えば半円形)には、切れた円周の2つの先端に接して形成されており、線状脆弱部が楕円周の一部が切れたものの場合(例えば半楕円形)には、切れた楕円周の2つの先端に接して又は近傍に形成されており、
(1)前記二つの先端に接して又は近傍に形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の貫通孔、
(2)前記二つの先端に接して又は近傍に形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の薄肉部、又は
(3)前記二つの先端に接して又は近傍に形成された厚肉部、
にすることができる。
固着支持部は、開裂部(線状脆弱部の組み合わせ)が部分円形(例えば半円形)又は部分楕円形(例えば半楕円形)であるときの外側領域(開裂阻止部は含まれない)である。
【0031】
扉部は、開裂部(線状脆弱部の組み合わせ)部分円形(例えば半円形)又は部分楕円形(例えば半楕円形)であるとき内側領域からなるものである。
開裂部の線状脆弱部が楕円形の一部がないもの(例えば、楕円形の長軸を二等分した半楕円形)であるとき、厚さ方向からの圧力を受けると、前記半楕円形を形成するように開裂が進行して半楕円形に開く(半楕円形の扉状に開く)ことによりガス排出口を開口し、開裂が開裂阻止部に到達したとき、開裂阻止部における外力の分散作用(上記(1)、(2)の場合)又は外力の減衰作用(上記(3)の場合)により開裂の進行が阻止される。
【0032】
〔請求項10〕
本発明は、他の課題の解決手段として、
複数のガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤が収容された乗員拘束装置用ガス発生器であって、
前記ガス排出口が、請求項1〜9のいずれか1項記載のシールテープにより、前記シールテープの扉部が前記ガス排出口に面するように外側から閉塞されている、乗員拘束装置用のガス発生器を提供する。
【0033】
本発明のガス発生器は、上記したシールテープ(第1〜第4シールテープ)により、シールテープの扉部がガス排出口に面するようにして外側から閉塞されている。
【0034】
本発明のガス発生器は、ハウジングの外側からシールテープをがり付けられてガス排出口が閉塞されているものであるから、内側からシールテープを貼り付けにくい細長い形状の筒状ハウジングにおいて好適となる。
本発明のガス発生器は、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものが好ましく、より好ましくは6以上、さらに好ましくは10以上のものにすることができる。
【0035】
さらに本発明のガス発生器は、ハウジングの外側からシールテープが貼り付けられてガス排出口が閉塞されているものであるから、内側からシールテープを貼り付けにくい細長い形状で、かつガス排出口が筒状ハウジングの中央付近に形成されたものにおいて特に好適となる。
本発明のガス発生器は、点火器(点火器組立体)を2つ有するディアルタイプのもの等のハウジングの両端が開口している場合には、筒状ハウジングの両端側から1つずつ点火器(点火器組立体)や開口を閉塞する閉塞部材を組み込むことになる。このようなガス発生器の場合には、HL/HDの比率が上記範囲であり、かつ複数のガス排出口が、筒状ハウジングの長さ(HL)の中間位置(1/2HL)を含む、一端側からの長さが30〜70%の範囲内に形成されているものが好ましく、35〜65%の範囲内に形成されているものがより好ましく、40〜60%の範囲内に形成されているものがさらに好ましい。
本発明のガス発生器は、ハウジングが一端側の開口部が予め閉塞された閉塞底を有し、他端側の開口部が、そこからガス発生剤を含む構成部品が収容された後に閉塞された(第2閉塞部)構造のもので、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものであるとき、
複数のガス排出口が、前記第2閉塞部から0.2×HL以上の範囲に形成されているものが好ましく、0.35以上、さらには0.4以上の範囲に形成されているものがさらに好ましい。
【0036】
第1〜第4シールテープを使用したガス発生器は、作動時においてガス排出口からガスが排出される過程においてシールテープが厚さ方向からガスの圧力を受けたとき、シールテープによる第1の作用効果と第2の作用効果が発揮される。このため、シールテープは、開裂部において瞬時に開裂して扉状に開き、ガス排出口を開口してガスを排出する。そして、固着支持部はハウジングの外壁面に固着したままで残り、シールテープ自体が脱落したり、千切れたりすることがない。
【0037】
〔請求項13〕
本発明は、さらに別の課題の解決手段として、
複数のガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤が収容された乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法であって、
請求項1〜9のいずれか1項記載のシールテープで、前記複数のガス排出口を外側から、前記シールテープの扉部が前記ガス排出口に面するように閉塞する工程を有している乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法を提供する。
【0038】
本発明のガス発生器の製造方法は、ハウジングの外側からシールテープ(第1〜第4シールテープ)を貼り付けてガス排出口を閉塞する方法であるから、内側からシールテープを貼り付けにくい細長い形状の筒状ハウジングにも容易に適用することができる。
本発明のガス発生器の製造方法は、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものの製造方法として好ましく、6以上のもの、さらには10以上のものの製造方法としてより好ましい。
【0039】
さらに本発明のガス発生器の製造方法は、ハウジングの外側からシールテープを貼り付けてガス排出口を閉塞する方法であるから、内側からシールテープを貼り付けにくい細長い形状で、かつガス排出口が筒状ハウジングの中央付近に形成されたものにも容易に適用することができる。
本発明のガス発生器の製造方法は、点火器(点火器組立体)を2つ有するディアルタイプのもの等のハウジングの両端が開口している場合には、筒状ハウジングの両端側から1つずつ点火器(点火器組立体)や開口を閉塞する閉塞部材を組み込むことになる。このようなガス発生器の製造方法の場合には、HL/HDの比率が上記範囲であり、かつ複数のガス排出口が、筒状ハウジングの長さ(HL)の中間位置(1/2HL)を含む、一端側からの長さが30〜70%の範囲内に形成されているものの製造方法として好ましく、35〜65%の範囲内に形成されているものの製造方法としてより好ましく、40〜60%の範囲内に形成されているものの製造方法としてさらに好ましい。
本発明のガス発生器の製造方法は、ハウジングが一端側の開口部が予め閉塞された閉塞底を有し、他端側の開口部が、そこからガス発生剤を含む構成部品が収容された後に閉塞された(第2閉塞部)構造のもので、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものであるとき、
複数のガス排出口が、前記第2閉塞部から0.2×HL以上の範囲に形成されているものの製造方法として好ましく、0.35以上、さらには0.4以上の範囲に形成されているものの製造方法として好ましい。
【0040】
本発明のガス発生器の製造方法は、製品(ガス発生器)の保管、運搬、モジュールケースへの組み込み等の過程において、ハウジングの外側に貼り付けられたシールテープが損傷しないように、シールテープを保護材で覆う工程を付加することができる。
保護材は、プラスチック、ゴム、不織布、織布、紙又はこれらの複合材(積層材)からなるシートのようなものを使用することができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明のシールテープは、ガス発生器のハウジングの外側から貼り付けてガス排出口を閉塞するために使用することができる。
本発明のシールテープを使用してガス排出口を閉塞したガス発生器は、作動時においてもシールテープが扉状に開いてガス排出口が開口されるため、作動性能を損なうことが無く、シールテープが千切れて小片が生じることもない。
本発明のシールテープを使用したガス発生器の製造方法は、外側からシールテープを貼り付ければよいため製造が容易であり、特に細長い形状のハウジングを有するガス発生器や、ハウジングの長さ方向の中間位置又はその近傍位置にガス排出口があるガス発生器の製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(a)、(b)は、本発明のシールテープの一実施形態(第1シールテープ)を示す平面図。
【図2】(a)は、本発明のシールテープの別実施形態(第1シールテープ)を示す平面図、(b)は(a)のII−II線の断面図。
【図3】(a)、(b)は、本発明のシールテープの別実施形態(第2シールテープ)を示す平面図。
【図4】(a)、(b)は、本発明のシールテープの別実施形態(第3シールテープ)を示す平面図。
【図5】(a)、(b)は、本発明のシールテープの別実施形態(第3シールテープ)を示す平面図。
【図6】(a)、(b)は、本発明のシールテープの別実施形態(第4シールテープ)を示す平面図。
【図7】(a)、(b)、(c)は、本発明のシールテープの別実施形態(第3シールテープ)を示す平面図。
【図8】本発明のガス発生器の軸方向断面図。
【図9】(a)は、ガス発生器へのシールテープの貼り付け前の状態を示す斜視図、(b)はシールテープを貼り付けた後の斜視図。
【図10】図9(b)における作動時の変化を説明するための斜視図。
【図11】図9(b)とは異なるシールテープを貼り付けたときの斜視図。
【図12】図9(b)とは異なるシールテープを貼り付けたときの斜視図。
【図13】図9(b)とは異なるシールテープを貼り付けたときの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(1)図1(a)、(b)に示すシールテープ(第1シールテープ)
図1(a)、(b)により本発明の第1シールテープを説明する。
本発明の第1シールテープは、エアバッグ装置等の乗員拘束装置のガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口を外側から閉塞するためのシールテープである。
本発明の第1シールテープは、アルミニウムやステンレス等の金属からなるものである。
本発明の第1シールテープは、一面にハウジングに貼り付けるための粘着剤層を有しているものでもよいし、第1シールテープとしては粘着剤層を有していないものであるが、ガス発生器の製造時に第1シールテープの一面に粘着剤を塗布して(粘着剤層を形成して)使用されるものであってもよい。
図1(a)、(b)に示すガス排出口113は、第1シールテープでガス発生器のハウジングに形成されたガス排出口を外側から閉塞したときのガス排出口の位置を示すものである。
【0044】
図1(a)に示すシールテープ10Aは、帯状の基材11上に複数の開裂部12が、長さ方向に間隔をおいて、幅方向(一端縁11aから他端縁11b方向)に形成されている。
【0045】
開裂部12は、シールテープ10Aの厚さ方向に圧力を受けたときに開裂する線状脆弱部13と、線状脆弱部13の先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部14の組み合わせからなるものである。
【0046】
線状脆弱部13は、シールテープ10Aの端縁11aから形成され、反対側の端縁11b側に線状に延ばされたものである。
線状脆弱部13は、厚さ方向に圧力を受けたときに開裂できるものであれば、図1(a)に示すように端縁11aに達していなくてもよく、端縁11aから少し離れた位置から端縁11b側に形成されていてもよい。
線状脆弱部13は、線状の傷(切り込み)又は線状の切断部等の脆弱部からなるものである。
線状脆弱部13のシールテープ10Aの長さ方向における間隔は、ガス排出口113の直径よりも大きく、かつ複数のガス排出口113を外側から閉塞したとき、線状脆弱部13とガス排出口113が厚さ方向に重ならないように調整されている。図1(a)では、線状脆弱部13は、シールテープ10Aを貼り付けて閉塞するガス排出口113と同数が、長さ方向に等間隔で形成されている。
【0047】
開裂阻止部14は、シールテープ10Aを厚さ方向に貫通した円形の貫通孔からなるものであり、線状脆弱部13の先端に接して形成されている。
開裂阻止部(貫通孔)14は、シールテープ10Aが線状脆弱部13において開裂したとき、線状脆弱部13の延長方向に加えられる外力を分散させ、開裂の進行を阻止する作用をするためのものである。このため、開裂阻止部(貫通孔)14の形状は、円形、楕円形が好ましく、多角形の場合には、角部が丸みを帯びたものにすることが好ましい。
開裂阻止部14と線状脆弱部13は、開裂阻止作用を高めるため、線状脆弱部13の延長線上に開裂阻止部(貫通孔)14の中心が存在するように位置関係が調整されている。
【0048】
開裂阻止部14は、貫通孔と同形状の薄肉部にすることもできる。開裂阻止部14を薄肉部にするときは、他の部分(基材11)の厚みの50%以下の厚みにすることが好ましい。
【0049】
固着支持部15は、開裂部12が形成されていない、端縁11bから所定長さ(L1)の範囲の帯状部である。
固着支持部15の長さはシールテープ10Aの長さとなる。
固着支持部15の幅(L1)は、シールテープ10Aの幅さ(L)の15〜40%の範囲が好ましく、好ましくは20〜30%の範囲である。
【0050】
図1(a)において、隣接する2つの開裂部12と固着支持部15で囲まれた領域であり、ハウジングのガス排出口113を閉塞したときにガス排出口113に面する領域が、作動時において厚さ方向からの圧力を受けたときに開いてガス排出口113を開口する扉部16となる。扉部16はガス排出口113と同数だけ形成されている。
図1(b)は、作動時において厚さ方向からの圧力を受けたときに扉部16が反対側に180°開いて、シールテープ10Aで閉塞されていたガス排出口113が開口された状態を示している。
なお、図1(b)は、扉部16の動作が分かり易くするためのものであり、扉部16が必ず図1(b)に示すように開くことを意味するものではなく、また開裂阻止部(円形の貫通孔)14の変化状態も図示していない。
【0051】
(2)図2(a)、(b)に示すシールテープ(第1シールテープ)
図2(a)、(b)により、本発明の第1シールテープの別実施形態を説明する。
図2(a)で示すシールテープ10Bは、開裂部の開裂阻止部が異なるほかは、図1(a)に示すシールテープ10Aと同じものである。
【0052】
開裂阻止部18は、線状脆弱部13の先端に接して形成された厚肉部からなるものである。
開裂阻止部18は、図2(b)に示すように、図1(a)の固着支持部15に相当する基材11上に帯状部材17(シールテープ10Bと同じ材質のもの)を固着して厚肉部を形成したものである。
開裂阻止部18は、図2(b)に示す断面形状になるように一体成形されたものでもよい。
開裂阻止部18の幅は、図1(a)に示すL1と同じ幅にすることができる。開裂阻止部18の長さは、線状脆弱部13が形成されている長さ範囲であればよいが、シールテープ10Bと同じ長さにすることもできる。
【0053】
開裂阻止部18の厚み(T2)は、線状脆弱部13が形成されている部分の厚み(基材11の厚み)(T1)よりも大きく、T1とT2の厚み比(T2/T1)が1.5以上であることが好ましく、1.5〜3.0の範囲であることがより好ましい。
【0054】
(3)図3(a)、(b)に示すシールテープ(第2シールテープ)
図3(a)、(b)により本発明の第2シールテープを説明する。
本発明の第2シールテープは、エアバッグ装置などの乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口を外側から閉塞するためのシールテープである。
本発明の第2シールテープは、アルミニウムやステンレス等の金属からなるものである。
本発明の第2シールテープは、一面にハウジングに貼り付けるための粘着剤層を有しているものでもよいし、第2シールテープとしては粘着剤層を有していないものであるが、ガス発生器の製造時に第2シールテープの一面に粘着剤を塗布して(粘着剤層を形成して)使用されるものであってもよい。
図3(a)、(b)に示すガス排出口113は、第2シールテープでガス発生器のハウジングに形成されたガス排出口を外側から閉塞したときのガス排出口の位置を示すものである。
【0055】
図3(a)で示すシールテープ10Cにおいて、開裂部12を構成する線状脆弱部13と開裂阻止部14は、図1(a)で示すシールテープ10Aと同じものである。
但し、図3(a)で示す開裂部12は、シールテープ10Cを貼り付けて閉塞するガス排出口113の2倍の数が、長さ方向に間隔をおいて形成されている。
【0056】
図3(a)で示すシールテープ10Cにおいては、固着支持部は第1固着支持部15と第2固着支持部19a〜19dからなる。
第1固着支持部15は、開裂部12が形成されていない、端縁11bから所定長さ(L1)の範囲の帯状部からなるものであり、長さはシールテープ10C長さとなる。
第2固着支持部19a〜19dは、2本の開裂部12で長さ方向に挟まれた、複数のガス排出口113を外側から閉塞したときにガス排出口113に面していない領域からなるものである。
第1固着支持部15の幅(L1)は、図1(a)のL1と同じ幅にすることができるが、第2固着支持部19a〜19dにより固着力が増強されることから、図1(a)のL1よりも短い幅にすることができる。
よって、図1(a)のシールテープ10Aと同じテープ幅(L)であっても、開裂部12の長さをより長くすることができる(幅L1をより短くすることができる)ため、図1(a)のシールテープ10Aと同じテープ幅(L)のものであっても、より大きなガス排出口を閉塞できるようになる。
【0057】
図3(a)で示すシールテープ10Cは、ハウジングに形成された複数のガス排出口113を外側から閉塞したとき、開裂部12と第1固着支持部15で囲まれた複数の領域が存在しており、ガス排出口113に面している領域(扉部16a〜16c)と、ガス排出口113に面していない領域(第2固着支持部19a〜19d)が長さ方向に交互に形成された状態となっている。
【0058】
図3(b)は、作動時において厚さ方向からの圧力を受けたときに扉部16a〜16cが反対側に180°開いて、シールテープ10Cで閉塞されていたガス排出口113が開口された状態を示している。
このとき、シールテープ10Cは、第1固着支持部15に加えて、第2固着支持部19a〜19dでもハウジングに固着されているため、図1(a)で示すシールテープ10A、図2(a)で示すシールテープ10Bと比べると、ハウジングに対する固着面積が大きくなっている。
このため、図3(a)で示すシールテープ10Cは、図1(a)で示すシールテープ10A、図2(a)で示すシールテープ10Bと比べると、第2の作用効果がより発現されやすくなっている。
【0059】
(4)図4、図5に示すシールテープ(第3シールテープ)
図4、図5により本発明の第3シールテープを説明する。本発明の第3シールテープは、エアバッグ装置などの乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口を外側から閉塞するためのシールテープである。
本発明の第3シールテープは、アルミニウムやステンレス等の金属からなるものである。
本発明の第3シールテープは、一面にハウジングに貼り付けるための粘着剤層を有しているものでもよいし、第3シールテープとしては粘着剤層を有していないものであるが、ガス発生器の製造時に第3シールテープの一面に粘着剤を塗布して(粘着剤層を形成して)使用されるものであってもよい。
図4、図5に示すガス排出口113は、第3シールテープでガス発生器のハウジングに形成されたガス排出口を外側から閉塞したときのガス排出口の位置を示すものである。
【0060】
(4-1)図4に示すシールテープ50A
図4(a)に示すシールテープ50Aは、帯状の基材51上に複数の開裂部52が、長さ方向に間隔をおいて、幅方向(一端縁51aから他端縁51b方向)に形成されている。
開裂部52は、シールテープ50Aの厚さ方向に圧力を受けたときに開裂する線状脆弱部53、54と、開裂の進行を阻止するための開裂阻止部55、56の組み合わせからなるものである。
【0061】
線状脆弱部52、53は、三角形の二辺を形成するように2本の線状脆弱部が組み合わせられたものである。
線状脆弱部52、53は、線状の傷(切り込み)又は線状の切断部等の脆弱部からなるものである。
開裂部52、53は、それが完全な三角形であるとき(三角形の扉部)、ガス排出口113が完全な三角形に接することなく内側に包囲される大きさのものである。
【0062】
開裂阻止部55、56は、シールテープ50Aを厚さ方向に貫通した円形の貫通孔からなるものであり、開裂部52、53の先端に接して形成されている。なお、貫通孔に代えて同形状の薄肉部にすることもできる。
開裂阻止部(貫通孔)55、56は、シールテープ50Aが開裂部52、53において開裂したとき、開裂部52、53の延長方向に加えられる外力を分散させ、開裂の進行を阻止する作用をするためのものである。このため、開裂阻止部(貫通孔)55、56の形状は、円形、楕円形が好ましく、多角形の場合には、角部が丸みを帯びたものにすることが好ましい。
開裂阻止部55、56と開裂部52、53は、開裂阻止作用を高めるため、開裂部52、53の延長線上に開裂阻止部(貫通孔)55、56の中心が存在するように位置関係が調整されている。
【0063】
固着支持部57は、開裂部52(線状脆弱部53、54)が完全な三角形であるときの外側領域(開裂阻止部55、56は含まれない)である。基材51と固着支持部57は大部分が重複するが、基材51は、開裂部52が形成されている部分も含む点で区別される。
【0064】
扉部は、開裂部52(線状脆弱部53、54)が完全な三角形であるときの内側領域からなり、一辺(線状脆弱部53、54を繋いだときの辺)が固着支持部57と接するものである。
図4(a)に示すシールテープ50Aでガス発生器のガス排出口113を閉塞したとき、厚さ方向の圧力を受けて線状脆弱部53、54が一辺(線状脆弱部53、54を繋いだときの辺)を残して開裂すると、三角形の扉状に開いてガス排出口113の全体が開口される。
【0065】
図4(b)に示すシールテープ50Aは、脆弱部52の向きが異なるほかは、図4(a)に示すシールテープ50Aと同じものである。
図4(a)に示すシールテープ50Aは、開裂部53、54の接触点(角)52aが幅方向(端縁51a方向)に向いているが、図4(b)に示すシールテープ50Aは、開裂部53、54の接触点(角)52aが長さ方向に向いている。
【0066】
図4(a)、(b)に示すシールテープ50Aは、図1、図2に示すシールテープ10Aと比べると固着支持部の面積が大きくなっているため、第2の作用効果がより発現されやすくなっている。
【0067】
(4-2)図5に示すシールテープ50B
図5(a)に示すシールテープ50Bは、帯状の基材61上に複数の開裂部62が、長さ方向に間隔をおいて、幅方向(一端縁61aから他端縁61b方向)に形成されている。
開裂部62は、シールテープ50Bの厚さ方向に圧力を受けたときに開裂する線状脆弱部63、64、65と、開裂の進行を阻止するための開裂阻止部66、67の組み合わせからなるものである。
【0068】
線状脆弱部63、64、65は、正方形の三辺を形成するように3本の線状脆弱部が組み合わせられたものである。
線状脆弱部63、64、65は、線状の傷(切り込み)又は線状の切断部等の脆弱部からなるものである。
線状脆弱部63、64、65は、それが完全な正方形であるとき(正方形の扉部)、ガス排出口113が完全な正方形に接することなく内側に包囲されるものである。
【0069】
開裂阻止部66、67は、シールテープ50Bを厚さ方向に貫通した円形の貫通孔からなるものであり、線状脆弱部64、65の先端に接して形成されている。なお、貫通孔に代えて同形状の薄肉部にすることもできる。
開裂阻止部(貫通孔)66、67は、シールテープ50Bが線状脆弱部63、64、65において開裂したとき、線状脆弱部64、65の延長方向に加えられる外力を分散させ、開裂の進行を阻止する作用をするためのものである。このため、開裂阻止部(貫通孔)66、67の形状は、円形、楕円形が好ましく、多角形の場合には、角部が丸みを帯びたものにすることが好ましい。
開裂阻止部66、67と線状脆弱部64、65は、開裂阻止作用を高めるため、線状脆弱部64、65の延長線上に開裂阻止部(貫通孔)66、67の中心が存在するように位置関係が調整されている。
【0070】
固着支持部68は、開裂部62(線状脆弱部63、64、65)が完全な正方形であるときの外側領域(開裂阻止部66、67は含まれない)である。基材61と固着支持部68は大部分が重複するが、基材61は、開裂部62が形成されている部分も含む点で区別される。
【0071】
扉部69(図5(c))は、開裂部62(線状脆弱部63、64、65)が完全な正方形であるときの内側領域からなり、一辺(線状脆弱部64、65を繋いだときの辺)が固着支持部68と接するものである。
シールテープ50Bでガス発生器のガス排出口113を閉塞したとき、厚さ方向の圧力を受けて線状脆弱部63、64、65が一辺(線状脆弱部64、65を繋いだときの辺)を残して開裂すると、図5(c)に示すように正方形の扉69のように開いてガス排出口113の全体が開口される。
【0072】
図5(b)に示すシールテープ50Bは、開裂部62の向きが異なるほかは、図5(a)に示すシールテープ50Bと同じものである。
図5(a)に示すシールテープ50Bは、線状脆弱部63が幅方向と垂直方向(長さ方向と平行方向)に向いているが、図5(b)に示すシールテープ50Bは、線状脆弱部63が幅方向と平行方向(長さ方向と垂直方向)に向いている。
【0073】
図5(a)、(b)に示すシールテープ50Bは、図1、図2に示すシールテープ10Aと比べると固着支持部の面積が大きくなっているため、第2の作用効果がより発現されやすくなっている。
【0074】
(5)図6に示すシールテープ(第4シールテープ)
図6により本発明の第4シールテープを説明する。本発明の第4シールテープは、エアバッグ装置などの乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口を外側から閉塞するためのシールテープである。
本発明の第4シールテープは、アルミニウムやステンレス等の金属からなるものである。
本発明の第4シールテープは、一面にハウジングに貼り付けるための粘着剤層を有しているものでもよいし、第4シールテープとしては粘着剤層を有していないものであるが、ガス発生器の製造時に第4シールテープの一面に粘着剤を塗布して(粘着剤層を形成して)使用されるものであってもよい。
図6に示すガス排出口113は、第4シールテープでガス発生器のハウジングに形成されたガス排出口を外側から閉塞したときのガス排出口の位置を示すものである。
【0075】
図6(a)に示すシールテープ50Cは、帯状の基材71上に複数の開裂部72が、長さ方向に間隔をおいて、幅方向(一端縁71aから他端縁71b方向)に形成されている。
開裂部72は、シールテープ50Cの厚さ方向に圧力を受けたときに開裂する線状脆弱部73と、線状脆弱部73の開裂の進行を阻止するための開裂阻止部74、75の組み合わせからなるものである。
【0076】
線状脆弱部73は、半楕円形(長軸を2等分した楕円形)を形成するものである。
線状脆弱部73は、曲線状の傷(切り込み)又は曲線状の切断部等の脆弱部からなるものである。
線状脆弱部73の内側領域は半楕円形状の扉部となるもので、ガス排出口113が半楕円形に接することなく内側に包囲されるものである。このような大小関係を扉部とガス排出口113が有していることにより、シールテープ50Cでガス発生器のガス排出口113を閉塞したとき、厚さ方向の圧力を受けて線状脆弱部73が開裂すると、半楕円形の扉状に開いてガス排出口113の全体が開口される。
【0077】
開裂阻止部74、75は、シールテープ50Cを厚さ方向に貫通した円形の貫通孔からなるものであり、開裂部73の2つの先端に接して形成されている。なお、貫通孔に代えて同形状の薄肉部にすることもできる。
開裂阻止部(貫通孔)74、75は、シールテープ50Cが線状脆弱部73において半楕円形に開裂したとき、線状脆弱部73の2つの先端の延長方向に加えられる外力を分散させ、開裂の進行を阻止する作用をするためのものである。このため、開裂阻止部(貫通孔)74、75の形状は、円形、楕円形が好ましく、多角形の場合には、角部が丸みを帯びたものにすることが好ましい。
開裂阻止部74、75と線状脆弱部73の2つの先端は、開裂阻止作用を高めるため、線状脆弱部73の2つの先端の延長線上に開裂阻止部(貫通孔)74、75の中心が存在するように位置関係が調整されている。
【0078】
固着支持部77は、開裂部72(線状脆弱部73)が完全な楕円形であるときの外側領域(開裂阻止部74、75は含まれない)である。基材71と固着支持部77は大部分が重複するが、基材71は、開裂部72が形成されている部分も含む点で区別される。
【0079】
扉部は、開裂部72(線状脆弱部73)が半楕円形であるときの内側領域からなり、一辺(線状脆弱部73の先端2点を繋いだときの辺)が固着支持部77と接するものである。
シールテープ50Cでガス発生器のガス排出口113を閉塞したとき、厚さ方向の圧力を受けて線状脆弱部73が一辺(線状脆弱部73の先端2点を繋いだときの辺)を残して開裂すると、半楕円形の扉のように開いてガス排出口113の全体が開口される。
【0080】
図6(b)に示すシールテープ50Cは開裂部72の向きが異なるほかは、図6(a)に示すシールテープ50Cと同じものである。
図6(a)に示すシールテープ50Cは、線状脆弱部73の湾曲部が幅方向(端縁71a方向)に向いているが、図6(b)に示すシールテープ50Cは、線状脆弱部73の湾曲部が長さ方向に向いている。
【0081】
図6(a)、(b)に示すシールテープ50Cは、図1、図2に示すシールテープ10Aと比べると固着支持部の面積が大きくなっているため、第2の作用効果がより発現されやすくなっている。
【0082】
(6)図7に示すシールテープ(第3シールテープと第4シールテープ)
図7(a)、(b)、(c)に示すシールテープ50Dは、第3シールテープと第4シールテープのいずれも実施できるものであるが、図7(a)、(b)、(c)では第3シールテープの実施形態として説明する。
【0083】
図7(a)に示すシールテープ50Dは、帯状の基材81上に複数の開裂部82が、長さ方向に間隔をおいて、幅方向(一端縁81aから他端縁81b方向)に形成されている。
開裂部82は、シールテープ10Dの厚さ方向に圧力を受けたときに開裂する線状脆弱部83、84、85と、線状脆弱部84、85の先端からの開裂の進行を阻止するための開裂阻止部86の組み合わせからなるものである。
【0084】
線状脆弱部83、84、85は、台形の三辺を形成するように3本の線状脆弱部が組み合わせられたものである。
線状脆弱部83、84、85は、線状の傷(切り込み)又は線状の切断部等の脆弱部からなるものである。
線状脆弱部83、84、85は、それが完全な台形であるとき(台形状の扉部)、ガス排出口113が完全な台形に接することなく内側に包囲されるものである。このような大小関係を線状脆弱部83、84、85とガス排出口113が有していることにより、シールテープ50Dでガス発生器のガス排出口113を閉塞したとき、厚さ方向の圧力を受けて線状脆弱部83、84、85が一辺を残して開裂すると、台形の扉状に開いてガス排出口113の全体が開口される。
【0085】
開裂阻止部86は、線状脆弱部84、85の先端に接して形成された厚肉部である。
開裂阻止部86は、図2(a)、(b)に示すようにして形成された厚肉部にすることができる。
開裂阻止部86の厚み(T2)は、基材81の厚み(T1)よりも大きく、T1とT2の厚み比(T2/T1)が1.5以上であることが好ましく、1.5〜2.5の範囲であることがより好ましい。
【0086】
固着支持部87は、開裂部82(線状脆弱部83、84、85)が完全な台形であるときの外側領域であり、開裂阻止部86も含まれる。基材81と固着支持部87は大部分が重複するが、基材81は、開裂部82が形成されている部分も含む点で区別される。
【0087】
扉部は、開裂部82(線状脆弱部83、84、85)が完全な台形であるときの内側領域からなり、一辺(線状脆弱部84、85を繋いだときの辺)が固着支持部87と接するものである。
シールテープ50Dでガス発生器のガス排出口113を閉塞したとき、厚さ方向の圧力を受けて線状脆弱部83、84、85が一辺(線状脆弱部84、85を繋いだときの辺)を残して開裂すると、台形の扉のように開いてガス排出口113の全体が開口される。
【0088】
図7(b)に示すシールテープ50Dは、以下の点において図7(a)に示すシールテープ50Dと異なっている。
図7(a)に示すシールテープ50Dは、線状脆弱部83が幅方向と垂直方向(長さ方向と平行方向)に向いているが、図7(b)に示すシールテープ50Dは、線状脆弱部83が幅方向と平行方向(長さ方向と垂直方向)に向いている。
【0089】
図7(b)に示すシールテープ50Dは、端縁81a側と端縁81b側の両方に開裂阻止部(開裂阻止部86と同じ厚肉部)86a、86bが形成されている。
線状脆弱部84の先端は開裂阻止部86aに接しており、線状脆弱部85の先端は開裂阻止部86bに接している。
【0090】
図7(c)に示すシールテープ50Dは、線状脆弱部83、84、85の形成状態は図7(b)と同じであるが、開裂阻止部(開裂阻止部86と同じ厚肉部)86cが、線状脆弱部84、85の先端部と接して、かつシールテープ50Dの幅方向に延ばされている。
【0091】
図7(a)、(b)、(c)に示すシールテープ50Dは、図1、図2に示すシールテープ10Aと比べると固着支持部の面積が大きくなっているため、第2の作用効果がより発現されやすくなっている。
【0092】
<ガス発生器>
本発明のガス発生器は、上記したシールテープ(図1〜図7に示す第1〜第4シールテープ)により、ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口が外側から閉塞されたものである。
本発明のガス発生器は、上記したシールテープ(図1〜図7に示す第1〜第4シールテープ)を使用して、既存の各種ガス発生器に適用することができるものであり、例えば、
特許文献1(特開2005−178643号公報)の図1に示すエアバッグ用ガス発生器のハウジング10のガス排出口13を含む外壁面に外側から前記シールテープを貼り付けたもの、
特許文献2(DE 198 17 485 A1明細書)の図1に示すエアバッグ用ガス発生器のハウジング3のガス排出口21を含む外壁面に外側から前記シールテープを貼り付けたもの、
特許文献3(USP 6,032,979明細書)の図1に示すエアバッグ用ガス発生器のハウジング12のガス排出口24を含む外壁面に外側から前記シールテープを貼り付けたものにすることができる。
【0093】
次に、特開2005−178643号公報の図1に示すエアバッグ用ガス発生器と同じ構造(但し、寸法は同一ではない)のものであって、ガス排出口の位置をハウジングの長さ方向の中間位置にしたエアバッグ装置用(サイドエアバッグ装置用)のガス発生器を図8〜図13により説明する。
【0094】
(図8に示す実施形態)
図8に示すガス発生器100は、外殻容器が、一端部(閉塞端部)111が閉塞され、他端部112が開放された筒状ハウジング101からなる。
筒状ハウジング101は、外径(HD)と長さ(HL)の比率(HL/HD)が4のものである。
【0095】
筒状ハウジング101内には、開口124を有する内筒部材120が配置され、この内筒部材120の外側にフィルタ103が設置されている。
内筒部材120の内側は、第1ガス発生剤141、第2ガス発生剤142が充填された燃焼室181、182が形成されている。
ハウジング101の他端部(開放側端部)112には、点火器115が取り付けられたカラー116が設けられている。
【0096】
筒状ハウジング101の長さ方向の中間位置(1/2HLであり、開放側端部112からは0.5×HLの位置となる)には、円周方向に均等間隔で複数のガス排出口113が形成されている。
複数のガス排出口113は、筒状ハウジング101の周壁部104に貼り付けられたシールテープ10(図1〜図7に示す第1〜第4シールテープ)により外側から閉塞されている。
なお、ガス排出口113が長さ方向に分離して複数箇所に形成されている場合には、複数枚のシールテープ10を使用する。
【0097】
(図9、図10に示す実施形態)
図9(a)、(b)は、シールテープ10として図1(a)に示すシールテープ10Aを使用したときの貼り付け方法及び貼り付け状態を説明するための斜視図である。
図9(a)は、貼り付ける前のシールテープ10Aとガス排出口113を含むハウジング101を示している。
図9(b)は、ハウジング101のガス排出口113を含む周壁部104にシールテープ10Aを外側から貼り付けて、ガス排出口113を閉塞した状態を示している。図示するとおり、複数のガス排出口113は、2本の線状脆弱部13の間に位置している。
【0098】
次に、図8において、ガス排出口113を閉塞するシールテープ10として図1(a)に示すシールテープ10Aを使用したときの動作を説明する。
点火器115の作動により、第1ガス発生剤142と第2ガス発生剤141が着火燃焼してガスが発生する。ガスは、内筒部材120の開口124から流出し、フィルタ103を通過した後、シールテープ10Aを破って、複数のガス排出口113から排出される。
【0099】
このようなガス排出過程においてシールテープ10Aが破れるときは、図10に示すように、厚さ方向からのガス圧を受けたシールテープ10Aが線状脆弱部13において開裂され、四角形の扉16のように開いて(例えば、図1(b)の扉部16)ガス排出口113が開口される。
このようにして瞬時にガス排出口113が開口され、圧力が長くかかることがないため、シールテープ10Aが破断して小片が生じることがない。
線状脆弱部13における開裂の進行は開裂阻止部14である貫通孔にて停止されるため、固着支持部15はハウジング周壁面104に固着されたままで残る。
このように固着支持部15の固着状態が維持されているため、線状脆弱部13における開裂も促進されることになり、シールテープ10A自体の脱落防止、さらにはシールテープ10Aが千切れて小片が生じることも防止される。
【0100】
(図11に示す実施形態)
図8に示すガス発生器100は、シールテープ10に代えて、図2(a)で示すシールテープ10Bを使用することができる。
図11は、図9(b)に相当する図面であり、図2(a)に示すシールテープ10Bを使用して、ハウジング101のガス排出口113を外側から閉塞した状態を示す斜視図である。
【0101】
図8に示すガス発生器100において、シールテープ10に代えて、図2(a)に示すシールテープ10Bを使用した場合には、厚さ方向からのガス圧を受けたシールテープ10Cが線状脆弱部13において開裂して、正方形の扉状に開いてガス排出口113が開口される。線状脆弱部13における開裂の進行は、開裂阻止部18である厚肉部にて停止される。
【0102】
(図12に示す実施形態)
図8に示すガス発生器100は、シールテープ10に代えて、図5(a)、(b)で示すシールテープ50Bを使用することができる。
図12(a)は、図9(b)に相当する図面であり、図5(a)に示すシールテープ50Bを使用して、ハウジング101のガス排出口113を外側から閉塞した状態を示す図である。
図12(b)は、図9(b)に相当する図面であり、図5(b)に示すシールテープ50Bを使用して、ハウジング101のガス排出口113を外側から閉塞した状態を示す図である。
【0103】
図8に示すガス発生器100において、シールテープ10に代えて、図5(a)に示すシールテープ50Bを使用した場合には、開裂部63、64、65が開裂して、正方形の扉状に開いて(図5(c)の扉部69)ガス排出口113が開口される。開裂部64、65の開裂は、開裂阻止部66、67で停止される。固着支持部68は、ハウジング101に固着されたままで残る。
【0104】
(図13に示す実施形態)
図8に示すガス発生器100は、シールテープ10に代えて、図6(a)、(b)で示すシールテープ50Cを使用することができる。
図13(a)は、図9(b)に相当する図面であり、図6(a)に示すシールテープ50Cを使用して、ハウジング101のガス排出口113を外側から閉塞した状態を示す図である。
図13(b)は、図9(b)に相当する図面であり、図6(b)に示すシールテープ50Cを使用して、ハウジング101のガス排出口113を外側から閉塞した状態を示す図である。
【0105】
図8に示すガス発生器100において、シールテープ10に代えて、図6(a)に示すシールテープ50Bを使用した場合には、開裂部73が開裂して、半楕円形の扉状に開いてガス排出口113が開口される。開裂部73の2つの先端からの開裂は、開裂阻止部74、75で停止される。固着支持部77は、ハウジング101に固着されたままで残る。
【0106】
<ガス発生器の製造方法>
次に、図8に示すガス発生器100の製造方法を説明する。
従来のガス発生器のように、ハウジング101の内側からシールテープ10を貼ってガス排出口113を閉塞するものの場合には、
初期工程においてハウジング101の内側からシールテープ10を貼ってガス排出口113を閉塞し、
その後、フィルタ103、内筒部材124を取り付け、
第1ガス発生剤141、第2ガス発生剤142を充填し、
カラー116に固定した点火器115を嵌め込んだ後、端部112をかしめてカラー116を固定するという工程で製造することになる。
【0107】
しかし、本願発明の製造方法では、シールテープ10を外側から貼り付けてガス排出口113を閉塞する。
本願発明の製造方法のように外側からシールテープ10を貼り付ける方法の場合には、内側から貼り付ける従来方法のように貼り付け工程順序は制限されることがない。望ましくは、ハウジング101内の防湿性を確保するため、ガス発生剤141、142を収容する前の段階にて貼り付ける。
但し、シールテープ10を外側から貼り付けてガス排出口113を閉塞する工程では、使用するシールテープの形態に応じて、図9〜図12に示すように、シールテープとガス排出口の位置を調整するようにして貼り付ける。
また本発明の製造方法では、シールテープで外側からガス排出口を閉塞した後、シールテープを保護材で覆う工程を付加することもできる。
【0108】
本発明の製造方法は、ハウジング101の外側からシールテープ10を貼り付けてガス排出口113を閉塞する方法であることから、図8に示すハウジング103のような細長い形状のものであり、しかもガス排出口113がハウジング103の長さ方向中間位置にあるような場合であっても、簡単に処理することができる。
またフィルタ103を取り付けるときに、フィルタ103とシールテープ10が接触することもなくなる。
このため、従来方法と同じ工数ではあるが、作業負担が軽減されることになり、シールテープ10の貼り付け状態の確認も簡単にできるようになり、製品としての品質向上にも繋がる。
【符号の説明】
【0109】
10A シールテープ(第1シールテープ)
11 シールテープ基材
12 開裂部
13 線状脆弱部
14 開裂阻止部
15 固着支持部
16 扉部
10C シールテープ(第2シールテープ)
12 開裂部
13 線状脆弱部
14 開裂阻止部
15 第1固着支持部
16a〜16c 扉部
19a〜19d 第2固着支持部
113 ガス排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口(113)を外側から閉塞するためのシールテープ(10A)であって、
シールテープ(10A)が、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口(113)を開口できる複数の扉部(16)を形成するための複数の開裂部(12)と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部(12)と共に複数の扉部(16)を形成するための固着支持部(15)を有しており、
複数の開裂部(12)が、
長さ方向に間隔をおいて、幅方向の一端側から他端側に線状に延ばされた複数の線状脆弱部(13)と、
複数の線状脆弱部(13)のそれぞれの先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部(14)の組み合わせからなるものであり、
固着支持部(15)が、幅方向の開裂阻止部(14)が形成された側から所定幅(L1)でかつ長さ方向に連続した帯状部からなるものであり、
複数の扉部(16)が、開裂部(12)と固着支持部(15)で囲まれた領域からなるものであり、
複数の扉部(16)の配置状態が、シールテープ(10A)で複数のガス排出口(113)を外側から閉塞したとき、扉部(16)が開くとガス排出口(113)の全体が開口できるように調整されている、シールテープ。
【請求項2】
前記線状脆弱部が、前記複数のガス排出口と同数だけ等間隔に形成されており、前記ガス排出口と同数の扉部を形成できるものである、請求項1記載のシールテープ。
【請求項3】
前記固着支持部となる帯状部の幅(L1)がシールテープの幅(L)の 〜 %の範囲である、請求項1又は2記載のシールテープ。
【請求項4】
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口(113)を外側から閉塞するためのシールテープ(10C)であって、
シールテープ(10C)が、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口(113)を開口できる複数の扉部(16a〜16c)を形成するための複数の開裂部(12)と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部(12)と共に複数の扉部(16)を形成するための固着支持部を有しており、
複数の開裂部(12)が、
長さ方向に間隔をおいて、幅方向の一端側から他端側に線状に延ばされた、前記ガス排出口数の2倍本数からなる線状脆弱部(13)と、
複数の線状脆弱部(13)のそれぞれの先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部(14)の組み合わせからなるものであり、
固着支持部が、
幅方向の前記開裂阻止部(14)が形成された側に長さ方向に連続して形成された帯状部からなる第1固着支持部(15)と、
2本の開裂部(12)で長さ方向に挟まれた、複数のガス排出口(113)を外側から閉塞したときにガス排出口(113)に面していない領域からなる第2固着支持部(19a〜19d)からなるものであり、
複数の扉部(16a〜16c)が、開裂部(12)と第1固着支持部(15)で囲まれ、第2固着支持部(19a〜19d)を除いた領域からなるものであり、
複数の扉部(16a〜16c)と第2固着支持部(19a〜19d)が長さ方向に交互になるように配置されており、シールテープ(10C)で複数のガス排出口(113)を外側から閉塞したとき、扉部(16a〜16c)が開くとガス排出口(113)の全体が開口できるように調整されている、シールテープ。
【請求項5】
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口(113)を外側から閉塞するためのシールテープ(50B)であって、
シールテープ(50B)が、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口(113)を開口できる扉部を形成するための複数の開裂部(62)と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部(62)と共に複数の扉部を形成するための固着支持部(68)を有しており、
開裂部(62)が、
多角形(辺の総数がn)のn−1の辺を形成するように線状脆弱部(63,64,65)が組み合わされた扉部となる領域と、
線状脆弱部(63,64,65)の2箇所の先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部(66,67)の組み合わせからなるものであり、
開裂部(62)が完全な多角形であるとき、ガス排出口(113)が内側に包囲できる大きさのものであり、
固着支持部(68)が、
開裂部(62)が完全な多角形であるときの外側領域(但し、開裂阻止部(66,67)は含まれない)であり、
前記扉部が、開裂部(62)が完全な多角形であるときの内側領域からなるものであり、
前記複数の扉部の配置状態が、シールテープ(50B)で複数のガス排出口(113)を外側から閉塞したとき、扉部が開くとガス排出口(113)の全体が開口できるように調整されている、シールテープ。
【請求項6】
乗員拘束装置用ガス発生器のハウジングに形成された複数のガス排出口(113)を外側から閉塞するためのシールテープ(50C)であって、
シールテープ(50C)が、
厚さ方向に圧力を受けたときに開くことでガス排出口(113)を開口できる扉部を形成するための複数の開裂部(72)と、
厚さ方向に圧力を受けたときにハウジングに固着されたままであり、複数の開裂部(72)と共に複数の扉部を形成するための固着支持部(77)を有しており、
複数の開裂部(72)が、
部分円形(半円形を含む)又は部分楕円形(半楕円形を含む)を形成するように線状脆弱部(73)が組み合わされた扉部となる領域と、
線状脆弱部(73)の2箇所の先端における開裂の進行を阻止するための開裂阻止部(74,75)の組み合わせからなるものであり、
前記部分円形又は前記部分楕円形の内側にガス排出口(113)が包囲される大きさのものであり、
固着支持部(77)が、
開裂部(72)が前記部分円形又は前記部分楕円形であるときの外側領域(但し、開裂阻止部(74,75)は含まれない)であり、
前記扉部が、
開裂部(72)が前記部分円形又は前記部分楕円形であるとき内側領域からなるものであり、
複数の扉部の配置状態が、シールテープ(50D)で複数のガス排出口(113)を外側から閉塞したとき、扉部が開くとガス排出口(113)の全体が開口できるように調整されている、シールテープ。
【請求項7】
前記開裂阻止部が、前記開裂部を形成する線状脆弱部の先端に接して形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の貫通孔である、請求項1〜6のいずれか1項記載のシールテープ。
【請求項8】
前記開裂阻止部が、前記開裂部を形成する線状脆弱部の先端に接して形成された円形状、楕円形状又は角が丸い多角形状の薄肉部である、請求項1〜6のいずれか1項記載のシールテープ。
【請求項9】
前記開裂阻止部が、前記開裂部を形成する線状脆弱部の先端に接して形成された厚肉部である、請求項1〜6のいずれか1項記載のシールテープ。
【請求項10】
複数のガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤が収容された乗員拘束装置用ガス発生器であって、
前記ガス排出口が、請求項1〜9のいずれか1項記載のシールテープにより、前記シールテープの扉部が前記ガス排出口に面するように外側から閉塞されている、乗員拘束装置用のガス発生器。
【請求項11】
前記ハウジングが筒状で、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものである、請求項10記載の乗員拘束装置用ガス発生器。
【請求項12】
前記ハウジングが筒状で、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものであり、
前記複数のガス排出口が、前記ハウジングの長さ(HL)の中間位置(1/2HL)を含む、一端側からの長さが30〜70%の範囲内に形成されている、請求項10又は11記載の乗員拘束装置用ガス発生器。
【請求項13】
前記ハウジングが、一端側の開口部が予め閉塞された閉塞底を有し、他端側の開口部が、そこからガス発生剤を含む構成部品が収容された後に閉塞された(第2閉塞部)構造のものであり、
ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものであり、
前記複数のガス排出口が、前記第2閉塞部から0.2×HL以上の範囲に形成されている、請求項10又は11記載の乗員拘束装置用ガス発生器。
【請求項14】
複数のガス排出口を有するハウジング内にガス発生剤が収容された乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法であって、
請求項1〜9のいずれか1項記載のシールテープで、前記複数のガス排出口を外側から、前記シールテープの扉部が前記ガス排出口に面するように閉塞する工程を有している乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法。
【請求項15】
前記ハウジングが筒状で、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものである、請求項14記載の乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法。
【請求項16】
前記ハウジングが筒状で、ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものであり、
前記複数のガス排出口が、前記ハウジングの長さ(HL)の中間位置(1/2HL)を含む、一端側からの長さが30〜70%の範囲内に形成されている、請求項14又は15記載の乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法。
【請求項17】
前記ハウジングが、一端側の開口部が予め閉塞された閉塞底を有し、他端側の開口部が、そこからガス発生剤を含む構成部品が収容された後に閉塞された(第2閉塞部)構造のものであり、
ハウジングの長さ(HL)とハウジングの外径(HD)との比率(HL/HD)が2以上のものであり、
前記複数のガス排出口が、前記第2閉塞部から0.2×HL以上の範囲に形成されている、請求項10又は11記載の乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法。
【請求項18】
前記複数のガス排出口を請求項1〜9のいずれか1項記載のシールテープで外側から閉塞した後、前記シールテープを保護材で覆う工程を有している、請求項14〜17のいずれか1項記載の乗員拘束装置用ガス発生器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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