ガス発生器
本発明は入れ子の関係で結合されたキャップ(14)とベース(16)から形成されるハウジング(12)を含むガス生成器(10)を提供する。少なくとも1つの取付部材(20)は、好ましくはキャップ(14)の周辺フランジ(18)回りに対称に、一体化されて形成される。へこみ部および突出部から形成される周縁(60)の外形は、キャップ(14)とベース(16)との間に連動する伝達を提供する。複数のフック部材(36)は、ベース(16)の周縁(38)回りに対称に形成される。各フック部材(36)は、キャップ(14)のそれぞれの突出部(30)に対応している。弧状溝(40)は、各々それぞれのフック部材(36)の内壁により形成されている。好ましくは、溝の弧の長さまたは内壁(42)が第2の端(46)よりも第1の端(44)における方が大きいことにより、溝(40)はテーパ形状である。結果として、ベース(16)は、キャップ(14)に回動可能に据え付けられるとき、フック/キャップ周辺境界において締まり嵌めを提供する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互参照
この特許出願は、2002年7月30日に出願された仮出願No.60/399,596の利益を享受する。
【0002】
発明の背景
本発明は、ガス発生器に関し、例えば車両乗員保護システムのエアバッグを膨らませるために用いられ、より詳細には、効率の良い組み立て方法を特徴とする、改善された構造に関する。
自動車のエアバッグを展開するための膨張システムは、一般に未膨張エアバッグと流通するガス発生器を備える。着火回路は典型的に、感知された車両加速度が所定の閾値を超えたときに、加速度応答の慣性スイッチを使用するようにしてガス発生器をトリガする。
多くのガス発生器(またはインフレータ)の設計において、インフレータは、それに一体化された他の構成要素とハウジングとを溶接することによって組み立てられる。中に収容されたガス発生物の自己点火を防ぐために、インフレータハウジングが過度に熱せられないように留意しなければならない。さらに、溶接設計のコストおよび複雑さは、必然的に増大する。したがって、溶接組み立てを必要としないガス発生器を設計することは、当該技術分野において進歩であろう。
【0003】
発明の概要
上述した事項は、ベースおよびキャップから形成されるハウジングを含むガス発生器であって、このキャップが回動可能に、かつ/または粘着させてベースに据え付けられる、前記ガス発生器によって解決される。より詳細には、このインフレータは、ベースおよびキャップから形成されるハウジングを含み、このキャップはさらにキャップ周縁を含み、このベースはさらにベース周縁を含み、当該ガス発生器の組み立ての際に、ベース周縁は、キャップ周縁の回りに回動可能に据え付けられる。複数の突出部は、間隔をおいて設けられ、キャップ周縁に一体化され、この複数の突出部は、それぞれ他の突出部の半径と実質的に等しい第1の半径を有する。複数のフック部材は、間隔を空けて設けられ、ベース周縁に一体化され、各フック部材は、前記複数の突出部の1つに対応している。複数のフック部材は、それぞれ他のフック部材と等しいフック半径を有し、このフック半径は、突出部の第1の半径よりも大きい。
このガス発生器の組み立てに際しては、突出部のそれぞれを、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、キャップが前記ベースに回動可能に据え付けられる。上記に説明された構造の組み立てに係る方法もまた考えられる。さらに、キャップをベースに据え付けるため、およびガス発生器をシールするために、好ましくは粘着性物質が用いられる。
【0004】
好適な態様(単数または複数)の詳細な説明
車両乗員保護システムにおいて、本発明は、入れ子の関係として回動可能に結合されたキャップ14とベース16から形成されるハウジング12を備える、ガス発生器10を含む。
周辺フランジ18は、キャップ14の回りに広がり、下記に述べる機能的特徴のためにベースを提供する。少なくとも1つの取付部材20および好ましくは複数の取付部材20は、キャップ14の回りに対称に形成され、フランジ18に一体化される。穴22は、雄型留め具(male fastener)(図示せず)を受けるために各取付部材20を貫通して形成され、それによりインフレータ10の車両への取り付けを容易にしている。図面に示すように、カップ24は、ガス発生物26を受けるためにキャップ14内に近接して形成される。複数のガス出口孔28は、カップ24の周辺回りに形成される。
【0005】
図面に示すように、一態様は、複数の突出部30を含み、また、この突出部30は、それぞれフランジ18から広がり、取付部材20に対応して設けられる。突出部30は、下記に説明する複数のベースフック部材と摺動可能に嵌合し、それによりキャップ14はベース16に回動可能に据え付けられる。それぞれの突出部30の半径“B”は、他の突出部30の半径に等しいか、または少なくとも実質的に等しい。下記に説明するように、へこみ部および突出部からそれぞれ形成される周縁34の外形は、キャップ14とベース16との間の連動する伝達を容易にしている。
また、複数のへこみ部32は、フランジ18から広がり、キャップとベースを回動可能に据え付ける前に、キャップ14のベース16に対する周方向の整列または方向付けを容易にしており、ここで、へこみ部32は、それぞれ対応する突出部30に並列して配される。各へこみ部30の半径“D”は、他のへこみ部30の半径に等しいか、または少なくとも実質的に等しいが、突出部30の半径“B”よりは小さい。
【0006】
複数のフック部材36は、ベース16の周縁38回りに対称に形成され、それによりベース16のキャップ14への取り付けを容易にする。弧状溝40は、各フック部材36のそれぞれの内壁面42によって形成される。図面に示すように、ベース16は、好ましくは4つのベースフック部材36を備え、各フック部材36はそれぞれの突出部30に対応する。それぞれのフック部材36は、第1の弧状端44および第2の弧状端46を有する。溝40は好ましくは、溝40すなわち内壁面42の弧の長さ(arcuate length)は、第1の端44の方が第2の端46よりも大きくすることにより得られるテーパ形状である。結果として、ベース16は、キャップ14に回動可能に据え付けられるときに、フック/キャップ周辺境界において締まり嵌めを提供する。また、他の取付方法、例えばボールとソケットなど、も考えられる。環状壁または環48は、ベース16内の中央に半径方向に設けられる。弧状溝40によって形成されるテーパ形のギャップ50は、好ましくは(1〜10)/1000インチの範囲であり、それによりハウジング12を加圧するときに完全な関連する粘着シールが保証される。
【0007】
点火器52は、点火器が作動時にガス発生物26に点火することにより環48内にプレス嵌めされる。当該技術分野において知られているように、点火器52は、車両乗員保護システム(図示せず)の衝突センサと電気的または機械的に伝達する。衝突イベントの際に、コンピュータアルゴリズムまたはその他のものによって生成された電気信号が点火器52に送られ、それによりプロペラント26の燃焼が開始して、インフレータ10と流通するエアバッグ(図示せず)の膨張が開始する。
プロペラントまたはガス発生物26は、好ましくはMylar(登録商標)バッグ54内にシールされ、それによりプロペラント26を湿気および周囲の気候からシールする。本発明にしたがって、プラスティックフィルムまたはポリエステルフィルム内のガス発生物26を密閉シールすることにより、キャップ14/ベース16境界およびインフレータ10の他の領域における、ガス生成器10の強度のシール(enhanced sealing)の必要性が減る。このバッグを形成するポリエステルフィルムまたはプラスティックフィルムは、デュポン社から購入でき、一般にMylar(登録商標)として、製品名では例えばMylar(登録商標)350SBL300として知られるものである。他の適切なフィルムも用いることができるが、それは上述したMylar(登録商標)に似た性質を有すべきである。
【0008】
キャップ14およびベース16は、鍛造、ダイカストまたはその他の当該技術分野において公知の方法によって形成される。キャップ14およびベース16は、好ましくは炭素鋼、アルミニウムまたはその他の材料で形成される。キャップ14およびベース16は、例えばミネソタ州ミネアポリスのGlobe Tool社などの会社から手に入れることができる。プロペラント26は、当該技術分野において公知であるいずれのガス発生物でもよい。好適なガス発生組成物は、ペレット形状でもよく、これらに限定されないが、共同所有の米国特許第5,035,757号;5,872,329号;6,210,505号に記載されているものを含み、これらに教示されるものは本明細書に参照として組み込まれる。点火器52は、当該技術分野において公知の方法および製造業者によって造られ、供給され得る。
【0009】
さらに本発明にしたがって、キャップ14およびベース16は、フランジ18および周縁38に沿って粘着接続される。この2つの部材をハウジング12に粘着接続することにより、その他溶接またはクリンプなどの典型的な接続手段を、望ましい場合でない限り、避けることができる。好適な態様においては、突出部30およびフック部材36を含む、本明細書に定義する留め手段を含むが、下記に説明される粘着性物質は留め手段の全てではないにしてもほとんどの性質を構成するので、所望により、本発明に関連して使用される粘着性物質が留め手段の複雑さを減らすことができると考えられる。それによりインフレータ10の構成の単純さが増し、製造コストが減少する。同じ方法で、典型的なクリンプまたは溶接を必要とせずに、点火器52を環48に粘着接続することができる。
【0010】
インフレータ10の構成要素を組み立てるときには、粘着性物質を最初に部品接触面に施されなければならない。本発明にしたがって、粘着性物質56は、好ましくは約110〜120℃の分解温度を有する。より一般には、接着剤56の分解温度は、好ましくはガス発生物26の自己点火温度より低い(例えば約150℃)。プロペラント26がわずかに高い相対温度で自己発火する場合、自己点火温度より低い分解温度を有する接着剤56を提供することにより、インフレータ10の通気が促進される。換言すれば、周囲温度が上昇するとき、各部の境界における接着剤によって提供されるシールは、プロペラント26の自己点火よりも先に分解し、それによりインフレータ10の不慮の破裂を防ぐことができる。こうして全体のシステムの安全性が向上する。
【0011】
模範的な接着剤、一般に2部エポキシ(two-part epoxies)、はミシガン州イーストランシングのVantico社によって、ARALDITE(登録商標)AW−8595/HARDENER(登録商標)HW−8595、EPIBOND(登録商標)1590−A/BおよびARADALITE(登録商標)2014の取引名で提供されている。その他の模範的な接着剤は、ミネソタ州ミネアポリスの3Mによって、2214Regular、2214Hi−Dense、2214HiFlex、2214Hi−temp、Non−Metallic Filled、DP460Off−WhiteおよびDP420Off−Whiteの取引名で提供されるものを含む。この接着剤は、製造業者の指示および提案にしたがって適用され、用いられるべきである。
インフレータ10を組み立てるために、プロペラント26はMylar(登録商標)ポーチ54内に密閉シールされ、そしてキャップ14に入れられる。公知の編みワイヤ(woven wire)の環状メッシュ58がガスフィルタリングを提供するためにキャップ14内に入れられてもよい。接着剤56は、フランジ20/周縁38境界において形成されるキャップ/ベース境界、またはキャップフランジ20とベース周縁38との間に施されるべきである。換言すれば、キャップ14が回動可能にベース16に据え付けられると、キャップ周縁60はベース周縁38に粘着接合される。
【0012】
接着剤54を施した後、フック部材36はへこみ部32と、それを覆うような関係で接合される。そしてフック部材36は、ベース16がキャップ14に対して反時計回りに回転する際に、フランジ20と摺動可能に嵌合する。したがって図面に示すように、環48の中心と内溝40により決定される半径は、キャップ14の軸中心と突出部材30の周縁38により決定される半径Bよりもわずかに大きくなければならない。フック36がキャップ縁60の回りを第1の端44から第2の端46に回転すると、テーパ形の溝40内のキャップ14の相対的な運動により、ベース/キャップ締まり嵌めが提供される。したがって、それぞれの溝40は、突出部30の周縁60の回りに回動可能に据え付けられる。
同様の方法で、点火器52と環48との間に形成される部分境界に接着剤56を施してもよい。
【0013】
この接着剤は、好ましくは誘導コイルによる約100℃の温度で硬化する。このように調整された硬化手順にしたがって他の公知の硬化方法も用いることができ、それは、自己点火を防ぎ、製造業者の提案に対応することができる。
最後に、さらに本発明にしたがって、キャップ/ベース連接部においてハウジング12の強度を高めるために、キャップ14とベース16の境界回りにクリンプ型留め具が用いられてもよい。例えば、イリノイ州シカゴのTOX/PRESSOTECHNIK社によって、クリンプ型の留め具が提供され得る。
【0014】
本発明のまた別の側面において、ハウジングの外側にバーコード62を粘着させて施してもよい。プロペラント26の重量および型、製造日並びに材料ロットなどのデータがこのバーコード内に暗号化されており、それにより将来における同一性の証明および多種の安全基準の遵守が容易になる。バーコード62は、この目的で開発される当該技術分野に属する機器を用いてスキャンすることができる。例えばバーコードの作成およびスキャン用の機器が、PDF417の取引名でニューヨーク州ホルツビル(Holtsville)のSymbol Technologiesによって提供される。
多種の好適な態様が本明細書に記載されているが、通常の知識を有する者であれば、記載の態様を改変し得ることを認識するであろう。したがって、上記の記載は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、容易に理解され、添付の請求の範囲に記載されるように、最良の形態で本発明を記載したものと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にしたがうインフレータの上面図である。
【図2】本発明にしたがうインフレータの斜視図である。
【図3】本発明にしたがう、図4のインフレータの横断面図である。
【図4】本発明にしたがうインフレータキャップの上面図である。
【図5】本発明にしたがう、図1のインフレータキャップの横断面図である。
【図6】フック部材内に形成される溝の図である。
【図7】キャップのフック部材とベースの周縁との境界を示す図である。
【図8】インフレータ内のMylar(登録商標)含有プロペラントを示す図である。
【図9】本発明にしたがう点火器を示す図である。
【図10】本発明にしたがうインフレータベースを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願との相互参照
この特許出願は、2002年7月30日に出願された仮出願No.60/399,596の利益を享受する。
【0002】
発明の背景
本発明は、ガス発生器に関し、例えば車両乗員保護システムのエアバッグを膨らませるために用いられ、より詳細には、効率の良い組み立て方法を特徴とする、改善された構造に関する。
自動車のエアバッグを展開するための膨張システムは、一般に未膨張エアバッグと流通するガス発生器を備える。着火回路は典型的に、感知された車両加速度が所定の閾値を超えたときに、加速度応答の慣性スイッチを使用するようにしてガス発生器をトリガする。
多くのガス発生器(またはインフレータ)の設計において、インフレータは、それに一体化された他の構成要素とハウジングとを溶接することによって組み立てられる。中に収容されたガス発生物の自己点火を防ぐために、インフレータハウジングが過度に熱せられないように留意しなければならない。さらに、溶接設計のコストおよび複雑さは、必然的に増大する。したがって、溶接組み立てを必要としないガス発生器を設計することは、当該技術分野において進歩であろう。
【0003】
発明の概要
上述した事項は、ベースおよびキャップから形成されるハウジングを含むガス発生器であって、このキャップが回動可能に、かつ/または粘着させてベースに据え付けられる、前記ガス発生器によって解決される。より詳細には、このインフレータは、ベースおよびキャップから形成されるハウジングを含み、このキャップはさらにキャップ周縁を含み、このベースはさらにベース周縁を含み、当該ガス発生器の組み立ての際に、ベース周縁は、キャップ周縁の回りに回動可能に据え付けられる。複数の突出部は、間隔をおいて設けられ、キャップ周縁に一体化され、この複数の突出部は、それぞれ他の突出部の半径と実質的に等しい第1の半径を有する。複数のフック部材は、間隔を空けて設けられ、ベース周縁に一体化され、各フック部材は、前記複数の突出部の1つに対応している。複数のフック部材は、それぞれ他のフック部材と等しいフック半径を有し、このフック半径は、突出部の第1の半径よりも大きい。
このガス発生器の組み立てに際しては、突出部のそれぞれを、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、キャップが前記ベースに回動可能に据え付けられる。上記に説明された構造の組み立てに係る方法もまた考えられる。さらに、キャップをベースに据え付けるため、およびガス発生器をシールするために、好ましくは粘着性物質が用いられる。
【0004】
好適な態様(単数または複数)の詳細な説明
車両乗員保護システムにおいて、本発明は、入れ子の関係として回動可能に結合されたキャップ14とベース16から形成されるハウジング12を備える、ガス発生器10を含む。
周辺フランジ18は、キャップ14の回りに広がり、下記に述べる機能的特徴のためにベースを提供する。少なくとも1つの取付部材20および好ましくは複数の取付部材20は、キャップ14の回りに対称に形成され、フランジ18に一体化される。穴22は、雄型留め具(male fastener)(図示せず)を受けるために各取付部材20を貫通して形成され、それによりインフレータ10の車両への取り付けを容易にしている。図面に示すように、カップ24は、ガス発生物26を受けるためにキャップ14内に近接して形成される。複数のガス出口孔28は、カップ24の周辺回りに形成される。
【0005】
図面に示すように、一態様は、複数の突出部30を含み、また、この突出部30は、それぞれフランジ18から広がり、取付部材20に対応して設けられる。突出部30は、下記に説明する複数のベースフック部材と摺動可能に嵌合し、それによりキャップ14はベース16に回動可能に据え付けられる。それぞれの突出部30の半径“B”は、他の突出部30の半径に等しいか、または少なくとも実質的に等しい。下記に説明するように、へこみ部および突出部からそれぞれ形成される周縁34の外形は、キャップ14とベース16との間の連動する伝達を容易にしている。
また、複数のへこみ部32は、フランジ18から広がり、キャップとベースを回動可能に据え付ける前に、キャップ14のベース16に対する周方向の整列または方向付けを容易にしており、ここで、へこみ部32は、それぞれ対応する突出部30に並列して配される。各へこみ部30の半径“D”は、他のへこみ部30の半径に等しいか、または少なくとも実質的に等しいが、突出部30の半径“B”よりは小さい。
【0006】
複数のフック部材36は、ベース16の周縁38回りに対称に形成され、それによりベース16のキャップ14への取り付けを容易にする。弧状溝40は、各フック部材36のそれぞれの内壁面42によって形成される。図面に示すように、ベース16は、好ましくは4つのベースフック部材36を備え、各フック部材36はそれぞれの突出部30に対応する。それぞれのフック部材36は、第1の弧状端44および第2の弧状端46を有する。溝40は好ましくは、溝40すなわち内壁面42の弧の長さ(arcuate length)は、第1の端44の方が第2の端46よりも大きくすることにより得られるテーパ形状である。結果として、ベース16は、キャップ14に回動可能に据え付けられるときに、フック/キャップ周辺境界において締まり嵌めを提供する。また、他の取付方法、例えばボールとソケットなど、も考えられる。環状壁または環48は、ベース16内の中央に半径方向に設けられる。弧状溝40によって形成されるテーパ形のギャップ50は、好ましくは(1〜10)/1000インチの範囲であり、それによりハウジング12を加圧するときに完全な関連する粘着シールが保証される。
【0007】
点火器52は、点火器が作動時にガス発生物26に点火することにより環48内にプレス嵌めされる。当該技術分野において知られているように、点火器52は、車両乗員保護システム(図示せず)の衝突センサと電気的または機械的に伝達する。衝突イベントの際に、コンピュータアルゴリズムまたはその他のものによって生成された電気信号が点火器52に送られ、それによりプロペラント26の燃焼が開始して、インフレータ10と流通するエアバッグ(図示せず)の膨張が開始する。
プロペラントまたはガス発生物26は、好ましくはMylar(登録商標)バッグ54内にシールされ、それによりプロペラント26を湿気および周囲の気候からシールする。本発明にしたがって、プラスティックフィルムまたはポリエステルフィルム内のガス発生物26を密閉シールすることにより、キャップ14/ベース16境界およびインフレータ10の他の領域における、ガス生成器10の強度のシール(enhanced sealing)の必要性が減る。このバッグを形成するポリエステルフィルムまたはプラスティックフィルムは、デュポン社から購入でき、一般にMylar(登録商標)として、製品名では例えばMylar(登録商標)350SBL300として知られるものである。他の適切なフィルムも用いることができるが、それは上述したMylar(登録商標)に似た性質を有すべきである。
【0008】
キャップ14およびベース16は、鍛造、ダイカストまたはその他の当該技術分野において公知の方法によって形成される。キャップ14およびベース16は、好ましくは炭素鋼、アルミニウムまたはその他の材料で形成される。キャップ14およびベース16は、例えばミネソタ州ミネアポリスのGlobe Tool社などの会社から手に入れることができる。プロペラント26は、当該技術分野において公知であるいずれのガス発生物でもよい。好適なガス発生組成物は、ペレット形状でもよく、これらに限定されないが、共同所有の米国特許第5,035,757号;5,872,329号;6,210,505号に記載されているものを含み、これらに教示されるものは本明細書に参照として組み込まれる。点火器52は、当該技術分野において公知の方法および製造業者によって造られ、供給され得る。
【0009】
さらに本発明にしたがって、キャップ14およびベース16は、フランジ18および周縁38に沿って粘着接続される。この2つの部材をハウジング12に粘着接続することにより、その他溶接またはクリンプなどの典型的な接続手段を、望ましい場合でない限り、避けることができる。好適な態様においては、突出部30およびフック部材36を含む、本明細書に定義する留め手段を含むが、下記に説明される粘着性物質は留め手段の全てではないにしてもほとんどの性質を構成するので、所望により、本発明に関連して使用される粘着性物質が留め手段の複雑さを減らすことができると考えられる。それによりインフレータ10の構成の単純さが増し、製造コストが減少する。同じ方法で、典型的なクリンプまたは溶接を必要とせずに、点火器52を環48に粘着接続することができる。
【0010】
インフレータ10の構成要素を組み立てるときには、粘着性物質を最初に部品接触面に施されなければならない。本発明にしたがって、粘着性物質56は、好ましくは約110〜120℃の分解温度を有する。より一般には、接着剤56の分解温度は、好ましくはガス発生物26の自己点火温度より低い(例えば約150℃)。プロペラント26がわずかに高い相対温度で自己発火する場合、自己点火温度より低い分解温度を有する接着剤56を提供することにより、インフレータ10の通気が促進される。換言すれば、周囲温度が上昇するとき、各部の境界における接着剤によって提供されるシールは、プロペラント26の自己点火よりも先に分解し、それによりインフレータ10の不慮の破裂を防ぐことができる。こうして全体のシステムの安全性が向上する。
【0011】
模範的な接着剤、一般に2部エポキシ(two-part epoxies)、はミシガン州イーストランシングのVantico社によって、ARALDITE(登録商標)AW−8595/HARDENER(登録商標)HW−8595、EPIBOND(登録商標)1590−A/BおよびARADALITE(登録商標)2014の取引名で提供されている。その他の模範的な接着剤は、ミネソタ州ミネアポリスの3Mによって、2214Regular、2214Hi−Dense、2214HiFlex、2214Hi−temp、Non−Metallic Filled、DP460Off−WhiteおよびDP420Off−Whiteの取引名で提供されるものを含む。この接着剤は、製造業者の指示および提案にしたがって適用され、用いられるべきである。
インフレータ10を組み立てるために、プロペラント26はMylar(登録商標)ポーチ54内に密閉シールされ、そしてキャップ14に入れられる。公知の編みワイヤ(woven wire)の環状メッシュ58がガスフィルタリングを提供するためにキャップ14内に入れられてもよい。接着剤56は、フランジ20/周縁38境界において形成されるキャップ/ベース境界、またはキャップフランジ20とベース周縁38との間に施されるべきである。換言すれば、キャップ14が回動可能にベース16に据え付けられると、キャップ周縁60はベース周縁38に粘着接合される。
【0012】
接着剤54を施した後、フック部材36はへこみ部32と、それを覆うような関係で接合される。そしてフック部材36は、ベース16がキャップ14に対して反時計回りに回転する際に、フランジ20と摺動可能に嵌合する。したがって図面に示すように、環48の中心と内溝40により決定される半径は、キャップ14の軸中心と突出部材30の周縁38により決定される半径Bよりもわずかに大きくなければならない。フック36がキャップ縁60の回りを第1の端44から第2の端46に回転すると、テーパ形の溝40内のキャップ14の相対的な運動により、ベース/キャップ締まり嵌めが提供される。したがって、それぞれの溝40は、突出部30の周縁60の回りに回動可能に据え付けられる。
同様の方法で、点火器52と環48との間に形成される部分境界に接着剤56を施してもよい。
【0013】
この接着剤は、好ましくは誘導コイルによる約100℃の温度で硬化する。このように調整された硬化手順にしたがって他の公知の硬化方法も用いることができ、それは、自己点火を防ぎ、製造業者の提案に対応することができる。
最後に、さらに本発明にしたがって、キャップ/ベース連接部においてハウジング12の強度を高めるために、キャップ14とベース16の境界回りにクリンプ型留め具が用いられてもよい。例えば、イリノイ州シカゴのTOX/PRESSOTECHNIK社によって、クリンプ型の留め具が提供され得る。
【0014】
本発明のまた別の側面において、ハウジングの外側にバーコード62を粘着させて施してもよい。プロペラント26の重量および型、製造日並びに材料ロットなどのデータがこのバーコード内に暗号化されており、それにより将来における同一性の証明および多種の安全基準の遵守が容易になる。バーコード62は、この目的で開発される当該技術分野に属する機器を用いてスキャンすることができる。例えばバーコードの作成およびスキャン用の機器が、PDF417の取引名でニューヨーク州ホルツビル(Holtsville)のSymbol Technologiesによって提供される。
多種の好適な態様が本明細書に記載されているが、通常の知識を有する者であれば、記載の態様を改変し得ることを認識するであろう。したがって、上記の記載は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、容易に理解され、添付の請求の範囲に記載されるように、最良の形態で本発明を記載したものと解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にしたがうインフレータの上面図である。
【図2】本発明にしたがうインフレータの斜視図である。
【図3】本発明にしたがう、図4のインフレータの横断面図である。
【図4】本発明にしたがうインフレータキャップの上面図である。
【図5】本発明にしたがう、図1のインフレータキャップの横断面図である。
【図6】フック部材内に形成される溝の図である。
【図7】キャップのフック部材とベースの周縁との境界を示す図である。
【図8】インフレータ内のMylar(登録商標)含有プロペラントを示す図である。
【図9】本発明にしたがう点火器を示す図である。
【図10】本発明にしたがうインフレータベースを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース、および該ベースに回動可能に据え付けられたキャップを含むハウジングを含む、ガス発生器。
【請求項2】
ガス発生器であって:
ベースおよびキャップを含むハウジングであって、該キャップはさらにキャップ周縁を含み、前記ベースはベース周縁をさらに含み、該ベース周縁が、前記キャップ周縁の回りに回動可能に取り付けられる、前記ハウジング;
間隔をおいて設けられ、前記キャップ周縁に一体化された複数の突出部であって、該複数の突出部は、それぞれ他の突出部の半径と実質的に等しい第1の半径を有する、前記複数の突出部;および
間隔を空けて設けられ、前記ベース周縁に一体化された複数のフック部材であって、各フック部材は、前記複数の突出部の1つに対応して設けられ、前記複数のフック部は、それぞれ他のフック部材の半径と実質的に等しいフック半径を有し、前記フック半径は前記第1の半径よりも大きい、前記複数のフック部材とを含み;
該ガス発生器の組み立ての際に、前記突出部のそれぞれを、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、前記キャップが前記ベースに回動可能に据え付けられる、前記ガス発生器。
【請求項3】
請求項2に記載のガス発生器であって:
間隔をおいて設けられ、キャップ周縁に一体化された複数のへこみ部であって、該複数のへこみ部は、それぞれ他のへこみ部の半径と実質的に等しい第3の半径を有し、前記第3の半径は前記第1の半径よりも小さい、前記複数のへこみ部をさらに含み;
該ガス発生器の組み立ての際に、前記へこみ部をフック部材同士の間に配置して、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、前記キャップが前記ベースに回動可能に据え付けられる、前記ガス発生器。
【請求項4】
請求項2に記載のガス発生器であって:
その組み立ての際にベースとキャップとの間に形成される境界;および
キャップをベースに取り付けるために、その組み立ての際に前記境界内に施される粘着性組成物をさらに含む、前記ガス発生器。
【請求項5】
粘着性組成物が150℃以下の分解温度を有する、請求項4に記載のガス発生器。
【請求項6】
粘着性組成物が約110〜120℃の分解温度を有する、請求項5に記載のガス発生器。
【請求項7】
請求項2に記載のガス発生器であって:
ガス発生点火器を配置するために、キャップ内の中央に放射状に広がって形成される環;および
前記環内に粘着させて据え付けられ、シールされるガス発生点火器をさらに含む、前記ガス発生器。
【請求項8】
請求項2に記載のガス発生器であって:
それぞれのフック部材内に各内壁面がそれぞれ形成される複数の内壁面;および
前記内壁面の1つによって各溝がそれぞれ形成され、各溝が第1の端および第2の端を有する、複数の溝であって、第1の端における前記溝の弧の長さは、第2の単における前記溝の弧の長さよりも大きく、それによりテーパ形の溝が形成される、前記複数の溝を含み;
該ガス発生器の組み立ての際に、突出部のそれぞれを、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、キャップがベースに回動可能に据え付けられ、前記テーパ形の溝がそれによりそれぞれの突出部と各フックメンバとの間にそれぞれ締まり嵌めを形成する、前記ガス発生器。
【請求項9】
データ認証用に該ガス発生器に関連するバーコードをさらに含む、請求項2に記載のガス発生器。
【請求項10】
ベースおよびキャップを含むハウジングを有するガス発生器を組み立てる方法であって、前記ベースを前記キャップに粘着させて据え付けるステップを含む、前記方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって:
ベース周縁に沿って複数のフック部材を形成するステップ;
キャップ周縁に沿って対応する複数の突出部材を形成するステップ;
その組み立ての際に、キャップとベースとの間に形成される境界に粘着性物質を施すステップ;および
それぞれのフック部材を対応する突出部に亘って摺動可能に嵌合させることによって、ベースをキャップに回動可能に粘着させて据え付けるステップをさらに含む、前記方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって:
キャップ内の中央に放射状に広がる環を形成するステップ;および
前記環内に、ガス発生点火器を粘着させて据え付けるステップを含む、前記方法。
【請求項13】
該ガス発生器に、データ認証用のバーコードを取り付けるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ベースをキャップに回動可能に据え付けるステップさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項1】
ベース、および該ベースに回動可能に据え付けられたキャップを含むハウジングを含む、ガス発生器。
【請求項2】
ガス発生器であって:
ベースおよびキャップを含むハウジングであって、該キャップはさらにキャップ周縁を含み、前記ベースはベース周縁をさらに含み、該ベース周縁が、前記キャップ周縁の回りに回動可能に取り付けられる、前記ハウジング;
間隔をおいて設けられ、前記キャップ周縁に一体化された複数の突出部であって、該複数の突出部は、それぞれ他の突出部の半径と実質的に等しい第1の半径を有する、前記複数の突出部;および
間隔を空けて設けられ、前記ベース周縁に一体化された複数のフック部材であって、各フック部材は、前記複数の突出部の1つに対応して設けられ、前記複数のフック部は、それぞれ他のフック部材の半径と実質的に等しいフック半径を有し、前記フック半径は前記第1の半径よりも大きい、前記複数のフック部材とを含み;
該ガス発生器の組み立ての際に、前記突出部のそれぞれを、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、前記キャップが前記ベースに回動可能に据え付けられる、前記ガス発生器。
【請求項3】
請求項2に記載のガス発生器であって:
間隔をおいて設けられ、キャップ周縁に一体化された複数のへこみ部であって、該複数のへこみ部は、それぞれ他のへこみ部の半径と実質的に等しい第3の半径を有し、前記第3の半径は前記第1の半径よりも小さい、前記複数のへこみ部をさらに含み;
該ガス発生器の組み立ての際に、前記へこみ部をフック部材同士の間に配置して、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、前記キャップが前記ベースに回動可能に据え付けられる、前記ガス発生器。
【請求項4】
請求項2に記載のガス発生器であって:
その組み立ての際にベースとキャップとの間に形成される境界;および
キャップをベースに取り付けるために、その組み立ての際に前記境界内に施される粘着性組成物をさらに含む、前記ガス発生器。
【請求項5】
粘着性組成物が150℃以下の分解温度を有する、請求項4に記載のガス発生器。
【請求項6】
粘着性組成物が約110〜120℃の分解温度を有する、請求項5に記載のガス発生器。
【請求項7】
請求項2に記載のガス発生器であって:
ガス発生点火器を配置するために、キャップ内の中央に放射状に広がって形成される環;および
前記環内に粘着させて据え付けられ、シールされるガス発生点火器をさらに含む、前記ガス発生器。
【請求項8】
請求項2に記載のガス発生器であって:
それぞれのフック部材内に各内壁面がそれぞれ形成される複数の内壁面;および
前記内壁面の1つによって各溝がそれぞれ形成され、各溝が第1の端および第2の端を有する、複数の溝であって、第1の端における前記溝の弧の長さは、第2の単における前記溝の弧の長さよりも大きく、それによりテーパ形の溝が形成される、前記複数の溝を含み;
該ガス発生器の組み立ての際に、突出部のそれぞれを、対応するフック部材内に摺動可能に嵌合させることによって、キャップがベースに回動可能に据え付けられ、前記テーパ形の溝がそれによりそれぞれの突出部と各フックメンバとの間にそれぞれ締まり嵌めを形成する、前記ガス発生器。
【請求項9】
データ認証用に該ガス発生器に関連するバーコードをさらに含む、請求項2に記載のガス発生器。
【請求項10】
ベースおよびキャップを含むハウジングを有するガス発生器を組み立てる方法であって、前記ベースを前記キャップに粘着させて据え付けるステップを含む、前記方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって:
ベース周縁に沿って複数のフック部材を形成するステップ;
キャップ周縁に沿って対応する複数の突出部材を形成するステップ;
その組み立ての際に、キャップとベースとの間に形成される境界に粘着性物質を施すステップ;および
それぞれのフック部材を対応する突出部に亘って摺動可能に嵌合させることによって、ベースをキャップに回動可能に粘着させて据え付けるステップをさらに含む、前記方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって:
キャップ内の中央に放射状に広がる環を形成するステップ;および
前記環内に、ガス発生点火器を粘着させて据え付けるステップを含む、前記方法。
【請求項13】
該ガス発生器に、データ認証用のバーコードを取り付けるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
ベースをキャップに回動可能に据え付けるステップさらに含む、請求項10に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2006−507170(P2006−507170A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−524287(P2004−524287)
【出願日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/024151
【国際公開番号】WO2004/011301
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(399042247)オートモーティブ システムズ ラボラトリー インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年7月30日(2003.7.30)
【国際出願番号】PCT/US2003/024151
【国際公開番号】WO2004/011301
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(399042247)オートモーティブ システムズ ラボラトリー インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】
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