説明

ガス絶縁開閉装置及びガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法

【課題】電気接点や周辺部品が当初設定した損耗限界に達したことを直接的に検出するためのガス絶縁開閉装置及びガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法を提供する。
【解決手段】遮断器の絶縁ノズル6に、アーク13による損耗により遮断器ガス容器1内にガス状物質を放出するマーキング物質14を含有させた。絶縁ノズル6は耐熱性と絶縁性を確保するため、通常フッ素樹脂で成形されているが、通常用いられるフッ素樹脂に、耐熱性と絶縁性に優れた塩素系樹脂、例えばポリ塩化ビニリデンをマーキング物質14として、フッ素樹脂と均一に混ぜて成形した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁開閉装置に用いられる部品のアーク損傷を検出するためのものであり、特に、電気接点が当初設定した損耗限界に達したことを容易に検出するためのガス絶縁開閉装置及びガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所や変電所における高電圧用の遮断器、断路器あるいは開閉器などの電力機器には電気回路を開閉するための電気接点が組み込まれている。また、近年では、経済性と環境調和性を高める観点から、電力機器のコンパクト化が進められており、電気接点は小径化する傾向にあるが、一方で、電力需要の増大に伴って電力機器の高電圧・大容量化も図られており、小径化した電気接点における電流密度は増大している。
【0003】
上記のような電力機器においては、高電圧下で遮断動作が繰り返し行われるため、その電気接点には、開閉時に発生するアーク熱による蒸発や損耗が生じる。そのため従来より、電気接点に生じる損耗限界を正確に把握することは、電気接点を正しく作動させ、電力機器の稼動率を挙げる上で非常に重要であった。
【0004】
このような電気接点の損耗限界検出方法としては、ブラシにマグネットを取り付けて磁気的な変化を検知する方法(特許文献1参照)や接点に圧電素子を取り付けて電圧変化を監視するもの、開閉機器に振動センサや加速度センサを取り付けて本体の異常振動等を検出するものがある(特許文献2及び3参照)。これらの監視装置においては、接点付近にセンサ等を設置し、電気または機械的な特性変化を計測することで、異常を検出するものである。
【0005】
また、特殊なセンサ等は取り付けずに、電極そのものからアーク時に発生する光を解析することにより損耗を検出する方法が提案されている(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開平6−14501号公報
【特許文献2】特開平10−241481号公報
【特許文献3】特開平11−354341号公報
【特許文献4】特開2005−71727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に開示されるような従来の監視装置においては、変形または損耗に起因すると思われる機器特性の変化を測定し、異常発生の初期過程で検出するものであり、電極やノズル等の損耗限界を直接的に検出することは困難であった。
【0007】
また、例えば特許文献4は、電極の損耗を検出するには適しているが、開閉装置のようにノズル等の周辺部品の損耗を検出することはできなかった。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、電気接点や周辺部品が当初設定した損耗限界に達したことを直接的に検出するためのガス絶縁開閉装置及びガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、消弧性ガスを封入した容器内に、接離可能な一対のアーク接触子と、その一方のアーク接触子側に設けられたパッファピストンおよびパッファシリンダからなるパッファ室と、前記パッファシリンダと一体的に固着されたノズルを備えた消弧室を有し、前記パッファ室を圧縮することによって、前記消弧性ガスを前記ノズルに導き、前記一対のアーク接触子間に発生しているアークに吹付けてアークを消弧するガス絶縁開閉装置において、前記アーク接触子、パッファ室又は消弧室を構成する部品は、当該部品に本来の耐性又は耐絶縁性を確保するために使用される元素とは異なる元素を含む物質をマーキング物質として含み、前記マーキング物質は、前記アークの熱によって前記部品が熱分解により損耗するのに伴って、前記ガス中にガス状に放出されるものであることを特徴とする。
【0010】
以上のような本発明によれば、ガス絶縁開閉装置用部品にマーキング物質として、開閉装置内部に使用されている元素と異なる元素を含む物質を使用することにより、開閉装置の開閉動作に伴ってアークが発生し当該部品が損耗した場合に、当該マーキング物質が熱分解によりガス状となって容器内に拡散する。ガス絶縁開閉装置容器内のガス中におけるガス状のマーキング物質の濃度を測定することにより、機器の分解点検や、X線透過撮影等の特別な診断装置を使用することなく、ガス絶縁開閉装置用部品の損耗の正確な限界評価が可能となり、ガス絶縁開閉装置用部品の寿命評価を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のような本発明によれば、電気接点や周辺部品が当初設定した損耗限界に達したことを直接的に検出するためのガス絶縁開閉装置及びガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る代表的な実施形態について、図1〜図3を参照して具体的に説明する。以下では、本発明を実施する一例として、ガス遮断器を例に取り説明するが、本発明はガス遮断器だけではなく、遮断器、断路器あるいは開閉器などの電力機器において電気回路を開閉するための電気接点をはじめ、ガス絶縁開閉装置用部品に広く適用することができるものである。
【0013】
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るガス遮断器の基本的な構成を示したものである。
【0014】
本実施形態のガス遮断器の基本的な構成は従来と同様であるが、念のため説明すると以下のとおりである。すなわち、消弧性ガスを封入したガス容器1内に、操作機構部8に連結された中空の操作ロッド9が設けられている。そして、この操作ロッド9は、同軸状のパッファ室11によって包囲されている。操作ロッド9とパッファ室11との間にはパッファピストン10が挿入され、このパッファピストン10と操作ロッド9とによってこれらに囲まれたパッファ室11が形成されている。
【0015】
操作ロッド9の先端部分には可動アーク接触子7が設置され、この可動アーク接触子7と反対の位置には、側面に排気穴12が設けられている。また、可動アーク接触子7の外周にはガス流路を備えた絶縁ノズル6と可動通電接触子5が配置され、可動アーク接触子7に対向した位置には、固定アーク接触子4が配置され、その外側に固定通電接触子3が配置されている。
【0016】
このような構成からなるガス遮断器においては、操作機構部8による操作ロッド9の遮断動作により固定通電接触子3と可動通電接触子7とが開離した後、固定アーク接触子4と可動アーク接触子7間にアーク13が発生し、このアークによって周囲の部品が高温に曝されるため、激しく損耗する。
【0017】
そこで、本実施形態では、図2に概念図を示すように、上記のような遮断器の絶縁ノズル6を、アーク13による損耗でガス容器1内にガス状物質を放出するマーキング物質14を含むように構成した。
【0018】
ここで、絶縁ノズル6は耐熱性と絶縁性を確保するため、通常フッ素樹脂で成形されているが、本実施形態では、通常用いられるフッ素樹脂に、耐熱性と絶縁性に優れた塩素系樹脂、例えばポリ塩化ビニリデンをマーキング物質14として、フッ素樹脂と均一に混ぜて成形した。このように、マーキング物質14として、遮断器内部に使用されている元素とは異なる元素である、塩素(Cl)からなる物質を用いる。
【0019】
また、本実施形態では、ガス容器1の所定の箇所、ここでは、固定導体側にガス容器1内のガスを採取するガス採取バルブ16が設けられている。このバルブ16の開閉により、容器1内のガスを採取し、その成分を検出するようになっている。
【0020】
以上のような本実施形態によれば、操作機構部8と操作ロッド9による遮断動作による固定アーク接触子4と可動アーク接触子7間におけるアーク13の発生で、遮断器を構成する部品は損耗する。このとき、絶縁ノズル6には、遮断器内部に本来使用されている元素とは異なる元素を含む物質をマーキング物質として使用しているため、損耗の進行に比例してガス容器1内にガス状のマーキング物質14が蓄積され、その濃度は徐々に増加する。
【0021】
より具体的には、アーク13による熱で絶縁ノズル6が損耗すると、この絶縁ノズル6に通常用いられるフッ素樹脂と均一に混ぜ合わせた塩素系樹脂が、熱分解によりガス状の塩素を発生する。この塩素はガス状であるため遮断器内に徐々に蓄積し、その濃度は図3に示すように増加する。
【0022】
そこで、ガス採取バルブ16から、ガス容器1内のガスを採取し、このガス中に含まれるマーキング物質14の濃度を、図示しない分析装置によりモニタリングする。上述のとおり、マーキング物質14は、遮断器内部に本来使用されている元素とは異なる元素を含む物質を使用することで微量でも判定が可能である。また、このとき、絶縁ノズル6の損耗限界を、予め限界濃度として設定することにより、損耗限界の判定が可能となる。
【0023】
これにより、機器の分解点検や、X線透過撮影等の特別な診断装置を使用することなく、絶縁ノズル6をはじめとする遮断器部品の損耗の正確な限界評価が可能となり、遮断器部品の寿命評価を容易に行うことができる。
【0024】
ここで、採取したガス中に含まれるマーキング物質の分析方法としては、ガス中のマーキング物質の濃度が比較的高い場合や、ガスの一部をサンプリングできる場合には、ガスクロマトグラフィや検知管により行うことが可能であり、一方で、ガス中のマーキング物質の濃度が比較的薄く、サンプリング量を多く採取できる場合には、水や吸収液にガスを通して塩素を吸収させ、イオンクロマトグラフィや滴定法、比色分析法等の化学分析が適用できる。さらにサンプリング量があまりない場合には、質量分析法またはガスクロマトグラフ質量分析法などが適用できる。
【0025】
また、この分析のタイミングは特に限定されるものではないが、絶縁ノズル6からのマーキング物質14の放出は、アーク13の発生に起因するものであるから、基本的には遮断動作後に行うのが好ましい。
【0026】
なお、本実施形態と同様の構成を、アーク13によって損傷する有機材料を使用した部品、例えば極間絶縁筒2など遮断器部品の全般に用いることも可能であり、これにより本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0027】
(2)第2の実施形態
本発明の第2の実施形態について、図4及び図5を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
本実施形態においては、第1の実施形態と基本構成を同じくするガス遮断器において、絶縁ノズル6の構成を図4に示すように改良したものである。すなわち、絶縁ノズル6の外装側の損耗限界と設定した厚さまでを従来と同様にフッ素樹脂により構成したフッ素樹脂層Pとし、絶縁ノズル6の内装側の損耗限界と設定した位置にマーキング物質14である塩素系樹脂により構成した塩素系樹脂層Cを設けたものである。
【0029】
以上のような本実施形態によれば、損耗限界まではマーキング物質14を含まないテフロン樹脂で構成したノズルを使用することにより、図5に示すように、ガス中のマーキング物質14の濃度である塩素濃度は、絶縁ノズル6の損耗具合に対して比例して増加するようなことはなくわずかに増加するに過ぎない。そして、絶縁ノズル6の損耗が損耗限界である塩素系樹脂層Cに達した段階で、ガス中の塩素濃度は急激に上昇する。
【0030】
そこで、この点を損耗限界として、判定することにより、機器の分解点検や、X線透過撮影等の特別な診断装置を使用することなく、絶縁ノズル6をはじめとする遮断器部品の損耗の正確な限界評価が可能となり、遮断器部品の寿命評価を容易に行うことができる。
【0031】
(3)第3の実施形態
本発明の第3の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
本実施形態においては、第1の実施形態と基本構成を同じくするガス遮断器において、図6の概念図に示すように、このアーク接触子の損傷を検出するため、固定アーク接触子4にマーキング物質14を混入したものである。
【0033】
一般にアーク接触子は、高温に曝され激しく損耗するため、アーク接触子の接点材料としては、耐熱性の良い材料が使用されており、一般にCu−W合金が適用されている例が多いが、本実施形態では、固定アーク接触子4に、マーキング物質Mとして、フッ素又はフッ酸と反応することにより、フッ化物を生成する物質を用いる。具体的には、常温でガス状のフッ化物15を生成する物質としてSe,Ge,Teが適用可能であり、また、比較的沸点の低いフッ化物15を生成する物質としてSb,Os,Cr,Re,Vが適用可能である。
【0034】
以上のような本実施形態において、ガス容器1内の絶縁ガスとしてSF6 ガスを使用した場合、遮断時に発生するアーク13によりSF6 ガスが分解され、フッ素またはフッ酸Fが生成される。一方、固定アーク接触子4からは、同様にアーク13の発生により、接触子に含まれるフッ素系樹脂の気化した成分がマーキング物質Mとして発生する。そして、このフッ素またはフッ酸Fと、マーキング物質Mとして用いたSe,Ge,Te、又はSb,Os,Cr,Re,Vとが反応し、フッ化物15が生成される。
【0035】
そして、このフッ化物15は、図7に示すように、損耗の進行に比例してガス容器1内に蓄積され、その濃度は徐々に増加する。そこで、第1の実施形態と同様の手法、すなわち、ガス状のフッ化物15を生成する場合には機器のガスをサンプリングしてガスクロマトグラフィにより検知するか、吸収液と反応させて吸収液中のマーキング元素濃度を分析することによりガス容器1内のガスをサンプリングすることで、フッ化物15のガス中の濃度を分析することができる。そして、この濃度の変化を調べ、損耗限界に相当する限界濃度を予め設定することにより、損耗限界の判定が可能となる。
【0036】
これにより、機器の分解点検や、X線透過撮影等の特別な診断装置を使用することなく、固定アーク接触子をはじめとする遮断器部品の損耗の正確な限界評価が可能となり、遮断器部品の寿命評価を容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態は、第1の実施形態の手法に加え、ガス容器1内のガス温度が下がって、フッ化物15が固体または液体になる場合があるが、そのような場合には、機器内部に表面抵抗センサを配置し、この抵抗変化を測定することにより、アーク接触子の損耗限界を判定することも可能である。
【0038】
なお、第3の実施形態においては、マーキング物質を含有させるアーク接触子を固定アーク接触子に限って説明したが、これを可動アーク接触子に置き換えてそのまま適用することも可能であり、この場合も固定アーク接触子の場合と同様な効果を奏するものである。
【0039】
(4)第4の実施形態
本発明の第4の実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0040】
本実施形態においては、第1の実施形態と基本構成を同じくするガス遮断器において、第3の実施形態で示した、固定アーク接触子4の構成を図8の概念図に示すように改良したものである。すなわち、固定アーク接触子4の外装側の損耗限界と設定した厚さまでを従来と同様にCu−W合金等によりマーキング物質を含まない層として構成し、固定アーク接触子4の内装側の損耗限界となる位置より内側をマーキング物質14であるSe,Ge,Te又はSb,Os,Cr,Re,Vにより構成したマーキング層Lとしたものである。
【0041】
以上のような本実施形態によれば、損耗限界まではマーキング物質14を含まない層で構成することにより、図9に示すように、ガス中のマーキング物質14の濃度、すなわち、第3の実施形態で示したフッ化物15の濃度は、固定アーク接触子4の損耗具合に対して比例して増加するようなことはなくわずかに増加するに過ぎない。そして、固定アーク接触子4の損耗が損耗限界であるマーキング層Lに達した段階で、ガス中のフッ化物15の濃度は急激に上昇する。
【0042】
そこで、この点を損耗限界として、判定することにより、機器の分解点検や、X線透過撮影等の特別な診断装置を使用することなく、固定アーク接触子4をはじめとする遮断器部品の損耗の正確な限界評価が可能となり、遮断器部品の寿命評価を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガス遮断器の基本的な構成を示す図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る絶縁ノズルの損傷検出を表す概念図。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるマーキング物質のガス中濃度と絶縁ノズルの損傷具合の関係を示すグラフ。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る絶縁ノズルの損傷検出を表す概念図。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるマーキング物質のガス中濃度と絶縁ノズルの損傷具合の関係を示すグラフ。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る絶縁ノズルの損傷検出を表す概念図。
【図7】本発明の第3の実施形態におけるフッ化物のガス中濃度とアーク接触子の損傷具合の関係を示すグラフ。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る絶縁ノズルの損傷検出を表す概念図。
【図9】本発明の第4の実施形態におけるフッ化物のガス中濃度とアーク接触子の損傷具合の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0044】
1…ガス容器
2…極間絶縁筒
3…固定通電接触子
4…固定アーク接触子
5…可動通電接触子
6…絶縁ノズル
7…可動アーク接触子
8…操作機構部
9…操作ロッド
10…パッファピストン
11…パッファ室
12…排気穴
13…アーク
14…マーキング物質
15…フッ化物
16…ガス採取バルブ
L…マーキング層
M…マーキング物質
P…フッ素樹脂層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消弧性ガスを封入した容器内に、接離可能な一対のアーク接触子と、その一方のアーク接触子側に設けられたパッファピストンおよびパッファシリンダからなるパッファ室と、前記パッファシリンダと一体的に固着されたノズルを備えた消弧室を有し、前記パッファ室を圧縮することによって、前記消弧性ガスを前記ノズルに導き、前記一対のアーク接触子間に発生しているアークに吹付けてアークを消弧するガス絶縁開閉装置において、
前記アーク接触子、パッファ室又は消弧室を構成する部品は、当該部品に本来の耐性又は耐絶縁性を確保するために使用される元素とは異なる元素を含む物質をマーキング物質として含み、
前記マーキング物質は、前記アークの熱によって前記部品が熱分解により損耗するのに伴って、前記ガス中にガス状に放出されるものであることを特徴とするガス絶縁開閉装置。
【請求項2】
前記ノズルは、フッ素系樹脂と、マーキング物質として混入した塩素系樹脂とからなることを特徴とする請求項1記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項3】
前記ノズルは、外装から損耗限界となる厚さまでをフッ素樹脂層で形成し、前記フッ素系樹脂層より内装に塩素系樹脂からなるマーキング物質層を備えたことを特徴とする請求項1記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項4】
前記容器内に封入される消弧性のガスとして、SF6 ガスを含み、
前記アーク接触子に、マーキング物質として、前記アークの熱による熱分解により前記SF6 ガスの分解成分と反応して低沸点または昇華性のフッ化物を生成する成分を含んだ材料を混入したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項5】
前記容器内に封入される消弧性のガスとして、SF6 ガスを含み、
前記アーク接触子は、外装の損耗限界となる厚さまでフッ素樹脂層を備え、前記フッ素系樹脂層より内装にマーキング物質として、前記アークの熱による熱分解により前記SF6 ガスの分解成分と反応して低沸点または昇華性のフッ化物を生成する成分を含んだ材料からなるマーキング物質層を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項6】
前記フッ化物を生成する成分を含んだ材料は、Se,Ge,Te、又はSb,Os,Cr,Re,Vのいずれかであることを特徴とする請求項4又は5記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項7】
前記容器内に、前記フッ化物の生成量を測定する表面抵抗センサを備えたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のガス絶縁開閉装置。
【請求項8】
消弧性ガスを封入した容器内に配設される、接離可能な一対のアーク接触子、その一方のアーク接触子側に設けられたパッファピストンおよびパッファシリンダからなるパッファ室、又は前記パッファシリンダと一体的に固着されたノズルを備えた消弧室、を構成するガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法において、
前記部品が当該部品に本来の耐性又は耐絶縁性を確保するために使用される元素とは異なる元素を含む物質をマーキング物質として含み、
開閉動作により前記一対のアーク接触子間に発生するアークの熱により、前記部品の熱分解による損耗に伴ってガス状に放出される前記マーキング物質の、前記容器内におけるガス中の濃度を検知して前記部品の損耗限界を判定することを特徴とするガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法。
【請求項9】
前記容器内に封入される消弧性のガスとして、SF6 ガスを含み、
前記アーク接触子が、マーキング物質として、前記アークの熱による熱分解により前記SF6 ガスの分解成分と反応して低沸点または昇華性のフッ化物を生成する成分を含んだ材料が混入されたものであり、
開閉動作により前記一対のアーク接触子間に発生するアークの熱により、前記部品の熱分解による損耗に伴って生成される前記フッ化物の、前記容器内におけるガス中の濃度を検知して前記アーク接触子の損耗限界を判定することを特徴とする請求項8記載のガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法。
【請求項10】
前記アークの発生後、前記容器内のガス温度が下がって前記フッ化物が固体または液体になった場合に、前記容器内に設けられた前記フッ化物の生成量を測定する表面抵抗センサを用いて、前記容器内の抵抗変化を測定することにより、アーク接触子の損耗限界を判定することを特徴とする請求項9記載のガス絶縁開閉装置用部品のアーク損傷検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−98011(P2008−98011A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279218(P2006−279218)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】