説明

ガス絶縁電力機器の異常検出方法

【課題】大掛かりな設備が不要で分離作業を簡単なものにする。ガスの分離性能を向上させる。
【解決手段】検出対象のガス絶縁電力機器から取り出した吸着剤4(ステップS1)を絶縁ガスの分解ガスよりも吸着剤に吸着されやすい液体に接触させることで(ステップS2)吸着剤4から液体中に放出されたガスを分析し(ステップS3)、分解ガスの検出に基づいてガス絶縁電力機器内での異常を検出する(ステップS4〜S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばSFガスやSFガスを含む混合ガス等を絶縁ガスとして用いたガス絶縁電力機器、例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS)、ガス遮断器(GCB)、キュービクル形ガス開閉装置(C−GIS)、ガス絶縁変圧器、管路気中ガス絶縁送電線路(GIL)などのガス絶縁電力機器の異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
GIS等のガス絶縁電力機器の異常を検出する方法として、例えば特開2008−67535号公報に開示されたものがある。このガス絶縁電力機器の異常検出方法では、ガス絶縁電力機器から取り出した吸着剤を分析し、絶縁ガスから生じた分解ガスの検出に基づいてガス絶縁電力機器の異常を検出するものである。
【0003】
吸着剤に吸着されているガスを分析するためには吸着剤からガスを分離する必要がある。そのため、吸着剤を加熱し、場合によっては真空引きを併用することで吸着剤からガスを分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−67535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吸着剤からガスを分離する上記の方法は、吸着剤を加熱する必要があり、また、場合によっては真空引きを行なう必要があるので、分離に必要な設備が大掛かりなものとなると共に、分離のための作業が煩雑になる。また、ガスの分離性能が必ずしも優れているとは言えない。
【0006】
本発明は、大掛かりな設備が不要で分離作業が簡単なものであり、且つ、ガスの分離性能に優れているガス絶縁電力機器の異常検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法は、検出対象のガス絶縁電力機器から取り出した吸着剤を絶縁ガスの分解ガスよりも吸着剤に吸着されやすい液体に接触させることで吸着剤から液体中に放出されたガスを分析し、分解ガスの検出に基づいてガス絶縁電力機器内での異常を検出するものである。
【0008】
ガス絶縁電力機器の接地タンク内で通電異常や絶縁異常等の異常が発生すると、絶縁ガスから分解ガスが発生する。この分解ガスは吸着剤によって吸着除去される。分解ガスを吸着した吸着剤をガス絶縁電力機器から取り出し、ガス分離用の液体、即ち分解ガスよりも吸着剤に吸着されやすい液体に接触させる、例えば液体中に浸漬させて接触させると、吸着剤に吸着されていたガスが放出される。この放出ガスを捕集して分析し、分解ガスの検出に基づいてガス絶縁電力機器内での異常を検出する。
【0009】
ここで、請求項2記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法のように、ガスの分析は、ガスクロマトグラフィ、ガス検知管、フーリエ変換赤外分光光度計のうち、少なくともいずれか一つによって行なわれることが好ましい。
【0010】
また、請求項3記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法は、吸着剤がガス絶縁電力機器の接地タンク内に配置されていたものである。したがって、接地タンクが点検等によって開かれた場合に取り出された吸着剤を使用して異常の検出が行なわれる。
【0011】
さらに、請求項4記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法は、吸着剤がガス絶縁電力機器の接地タンクの外に設けられ且つ接地タンク内に連通された密閉容器内に配置されていたものである。したがって、接地タンクを閉じたまま、密閉容器のみを開いて吸着剤を取り出すことができる。即ち、接地タンク内を開放することはなく、接地タンク内の気密性を維持しながら吸着剤を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法では、吸着剤を液体中に浸漬させる等して液体に接触させるだけで吸着剤からガスを分離させて分析用のガスとすることができるので、大掛かりな設備が不要であり、また、簡単な作業で吸着剤からガスを分離させることができる。また、吸着剤を接触させ液体は吸着されていた分解ガスよりも吸着剤に吸着されやすいものであり、液体に吸着剤を接触させると、吸着されていた分解ガスが放出され、代わりに液体を吸着することになる。そのため、分解ガスの分離を良好に行なうことができる。
【0013】
ここで、請求項2記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法のように、ガスの分析を、ガスクロマトグラフィ、ガス検知管、フーリエ変換赤外分光光度計のうち、少なくともいずれか一つによって行なうことが好ましい。
【0014】
また、請求項3記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法では、接地タンク内に配置されていた吸着剤をそのまま利用するので、既に広く運用されている既存のガス絶縁電力機器にそのまま適用することができる。
【0015】
さらに、請求項4記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法では、接地タンクを閉じたまま、密閉容器のみを開いて吸着剤を取り出すことができるので、接地タンク内の気密性を維持しながら吸着剤を取り出して異常の検出を行うことができる。即ち、ガス絶縁電力機器の運転を継続しながら内部で生じた異常の検出を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のガス絶縁電力機器の異常検出方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明を実施するガス絶縁電力機器の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、本発明のガス絶縁電力機器の異常検出方法の実施形態の一例を示す。ガス絶縁電力機器の異常検出方法(以下、単に異常検出方法という)は、検出対象のガス絶縁電力機器から取り出した吸着剤(ステップS1)を絶縁ガスの分解ガスよりも吸着剤に吸着されやすい液体に接触させることで(ステップS2)吸着剤から液体中に放出されたガスを分析し(ステップS3)、分解ガスの検出に基づいてガス絶縁電力機器内での異常を検出する(ステップS4〜S6)ものである。
【0018】
ガス絶縁電力機器は、例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS)、ガス遮断器(GCB)、キュービクル形ガス開閉装置(C−GIS)、ガス絶縁変圧器、管路気中ガス絶縁送電線路(GIL)等である。ただし、これらに限るものではなく、絶縁ガスが封入された容器内に導体を電気的に絶縁した状態で収容すると共に、容器内で発生した絶縁ガスの分解ガスを吸着剤によって吸着除去するものであれば上記以外のガス絶縁電力機器であっても良い。本実施形態では、ガス絶縁電力機器はガス絶縁開閉装置である。
【0019】
本実施形態のガス絶縁電力機器を図2に示す。なお、このようなガス絶縁電力機器としては、例えば特開2008−67535号公報に開示されたものがある。このガス絶縁電力機器は、絶縁ガス1が封入された接地タンク2内に導体3を電気的に絶縁した状態で収容すると共に、接地タンク2内で発生した絶縁ガス1の分解ガスを吸着剤4によって吸着除去するものである。そして、吸着剤4を接地タンク2とは別に外に設けた密閉容器5に収容すると共に、密閉容器5を接地タンク2に切り離し可能に接続して密閉容器5内と接地タンク2内とを連通させ、密閉容器5を切り離す場合に接地タンク側連通路28を閉じる第1の開閉弁を備えている。
【0020】
接地タンク2には、内部の真空引き及び絶縁ガス1の封入に使用する給排気管(ガス配管)6と、この給排気管6を開閉する開閉弁7が設けられている。本実施形態では、接地タンク側連通路28は接地タンク2の給排気管6であり、第1の開閉弁は給排気管6に設けられた開閉弁7である。つまり、接地タンク2に通常設けられている既存の給排気管6と開閉弁7を利用している。このため、密閉容器5の取り付けが容易である。また、既存の接地タンク2の設計変更を行わずにそのまま密閉容器5を取り付けることができ、特に、既に設置され運転されているガス絶縁電力機器に対しても後付けすることができる。さらに、後付けした密閉容器5を取り外すことでガス絶縁電力機器を元の状態に戻すことができる。
【0021】
密閉容器5には、密閉容器側連通路10と、密閉容器5を切り離す場合に密閉容器側連通路10を閉じる第2の開閉弁11が設けられている。密閉容器側連通路10は接地タンク側連通路28に接続されている。密閉容器側連通路10と接地タンク側連通路28とは、互いのフランジ10a,6aを突き合わせてボルトによって固定することで切り離し可能に接続されている。
【0022】
導体(主回路)3は、例えば高電圧中心導体で、例えば円筒形状を成している。導体3は、例えば円筒形状を成す接地タンク(機器外被)2の中心位置に配置され、支持絶縁物(スペーサ)8によって支持されている。
【0023】
ガス絶縁電力機器の運転時には、第1及び第2の開閉弁7,11を開き、接地タンク2内と密閉容器5内とを連通させておく。接地タンク2内で通電異常や絶縁異常等の異常が発生すると、絶縁ガス1から分解ガスが発生し、分解ガスの濃度が増加する。接地タンク2内と密閉容器5内とは連通されており、分解ガスは自然に拡散して密閉容器5内に到達し、吸着剤4によって吸着除去される。このため、接地タンク2内の分解ガスの濃度を減少させることができる。分解ガスの多くは金属を腐食させる腐食性ガスである。吸着剤4によって分解ガスを吸着除去するので、接地タンク2や導体3等を腐食させる程には分解ガスの濃度は高くならず、これらの腐食を防止することができる。
【0024】
密閉容器5を接地タンク2から切り離す場合、第1の開閉弁7によって接地タンク側連通路28を閉じることで接地タンク2内の気密性を維持できる。このため、ガス絶縁電力機器の運転を止めずに密閉容器5を切り離して吸着剤4を取り出すことができる。また、第2の開閉弁11によって密閉容器側連通路10を閉じることで密閉容器5内の気密性を維持することができるので、吸着剤4が外気に接触し難くなる。
【0025】
吸着剤4は、例えば合成ゼオライト系吸着剤であり、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の結晶性含水アルミノ珪酸塩で構成されている。吸着剤4は例えば粒状に成形されている。ただし、吸着剤4としては、このようなもの限定されるものではない。吸着剤4として、例えば東ソー株式会社製の合成ゼオライト系吸着剤「ゼオラム」(商品名)の使用が可能である。
【0026】
ガス絶縁電力機器の絶縁ガスとしては、例えばSFガス、SFガスを含む混合ガス等が使用される。ただし、これらのガスに限るものではなく、例えばNガス,COガス,Cガス,c−Cガス,CFIガス,CFガスおよびこれらの混合ガス等が使用されていることもある。即ち、本発明では、絶縁ガスとして例えばSFガス、SFガスを含む混合ガスが使用されている場合は勿論のこと、その他のガスが使用されている場合であっても適用可能である。以下、絶縁ガスとしてSFガスが使用されている場合を例に説明する。
【0027】
絶縁ガスとしてSFガスを使用した場合、接地タンク内で通電異常や絶縁異常等の異常が発生すると、絶縁ガスから分解ガスとしてSF、SOF、SO、HF、SOF、SOが発生する。これらの分解ガスのうち、その一部種類又は全種類を検出の対象とするモニターガスとして予め選定しておく。また、吸着剤4を浸漬させる液体(以下、浸漬用液体という)として、モニターガスを溶解しないもの又はモニターガスに溶解し難いものを選定しておく。ここで「モニターガスに溶解し難い」とは、モニターガスが浸漬用液体に溶解されるが、その程度が低く、浸漬用液体に全てが溶解されてしまう前に浸漬用液体を通り抜けることができ、捕集されて分析によってその存在が検出可能な場合をいう。即ち、吸着剤4から浸漬用液体中に放出されたガスの中にモニターガスが含まれていた場合、捕捉したガスを分析してモニターガスを検出できることをいう。
【0028】
ここで、モニターガスと浸漬用液体の選定に当たり、各分解ガスの特性を検討する。各分解ガスの特性を表1に示す。表1より、SOは常温では水に溶けないことがわかる。また、SOはSOFの加水分解によっても生じ且つ安定であるので、他の分解ガスに比べて濃度が高くなる。
【0029】
【表1】

【0030】
一方、機器に設置される吸着剤は分解ガス吸着用でもあるが,機器を乾燥状態に保つための水分吸着用のものであるため,特に水分を吸着しやすい。したがって、吸着剤4を水に接触させることで、吸着されていた分解ガス及び絶縁ガスを放出させることができる。さらに、水は入手が容易で、安価であり、取り扱いが容易である。
【0031】
したがって、本実施形態では、分解ガスのうち、SOをモニターガスとして選定すると共に、浸漬用液体として水(純粋)を使用する。ただし、水に溶解するSF、SOF、SO、HF、SOFであっても、その全てが完全に溶解される前に浸漬用液体中を通り抜けて液面に到達することができるので、これらのうちの一部の種類又は全種類を、SOに加えて又はSOに代えてモニターガスとして選定しても良い。即ち、モニターガスは1種類でも良いが、複数の分解ガスをモニターガスとして選定しても良い。さらに、浸漬用液体として水を選定しているが、必ずしも水に限るものではなく、モニターガスよりも吸着剤4に吸着しやすく吸着剤4からモニターガスを分離して放出させることができるものであれば、水以外の液体を使用しても良い。水以外の浸漬用液体として、例えばエタノール、メタノール、等の使用も可能である。
【0032】
吸着剤4は、浸漬用液体に粒状のまま浸漬させても良いし、例えば粉末状にすり潰した後に浸漬させるようにしても良い。また、浸漬する時間は、吸着剤4の形状等によって変化するものであり、一様に特定できるものではないが、吸着剤4に吸着されていたモニターガスが浸漬用液体中に放出されるのに十分な時間とする。例えば、吸着剤4を浸漬用液体に浸漬させた場合に、吸着剤4から浸漬用液体中にガスが放出されている様子が観察できなくなるまでの時間とすることが考えられる。ただし、これに限るものではない。
【0033】
ガスの分析は、ガスクロマトグラフィ、ガス検知管、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)のうち、少なくともいずれか一つによって行なわれることが好ましい。ただし、使用可能な分析機器はこれらに限るものではなく、モニターガスの検出が可能であればその他の分析機器を使用しても良い。また、分析は、複数種類の分析機器の使用を組み合わせても良いし、1種類の分析機器の使用でも良い。
【0034】
ガス絶縁電力機器の密閉容器5内から取り出した吸着剤4には、密閉容器5と接地タンク2とが連通されているため、接地タンク2内のガスと同じガスが吸着されている。この吸着剤4を浸漬用液体(水)に浸漬すると(ステップS1,S2)、吸着の対象がガスから水に代わるので、即ち接地タンク2内のガスよりも水の方が吸着剤4に吸着され易いので、吸着剤4に水が吸着されて水中にガスが放出される。いま、浸漬用液体の温度は150℃以下であり、モニターガス(SO)は浸漬用液体に溶けずに捕集される。また、絶縁ガスであるSFガスも水に対して不溶性であり捕集される。さらに、水に溶解するSF、SOF、SO、HF、SOFであっても、溶け残ったものは捕集される。即ち、吸着剤4から浸漬用液体中に放出された混合ガスが捕集される。この混合ガスを分析し(ステップS3)、モニターガスが検出されればガス絶縁電力機器内で異常が発生していたことがわかり(ステップS4,S5)、検出されなければ当該ガス絶縁電力機器内で異常は発生していないことがわかる(ステップS4,S6)。なお、混合ガスの捕集は、例えば浸漬用液体の中から液面に上昇してきたものを液面の上で捕集することで行なわれる。ただし、これに限るものではなく、例えば液中で混合ガスを捕集するようにしても良い。
【0035】
つまり、本発明では、使用する絶縁ガスの種類によって、異常の発生により生じる分解ガスの種類が予めわかるので、分解ガスの一部種類又は全種類をモニターガスとして選定しておく。そして、浸漬用液体としてモニターガスを吸着剤4から分離するものを選定しておき、吸着剤4の浸漬によって放出され捕集されたガスを分析し、モニターガスの検出に基づいてガス絶縁電力機器内で生じていた異常を検出するものである。
【0036】
本発明では、ガス絶縁電力機器から取り出した吸着剤4を浸漬用液体に浸漬させるだけでガスを分離させることができるので、大掛かりな分離設備が不要であり、また、簡単な作業で吸着剤4からガスを分離させることができる。また、吸着剤4はガス絶縁電力機器内の水分を除去する役割をも有するものであり、水分を良好に吸収することから、水中に吸着剤4を浸漬すると吸着していたガスを良好に放出し、代わりに水を吸着することになる。そのため、ガスの分離を良好に行なうことができる。
【0037】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の説明では、吸着剤4は接地タンク2の外の密閉容器5内に配置されていたものであったが、必ずしもこれに限るものではなく、例えば接地タンク2内に配置されていたものであっても良い。この場合には、密閉容器5を有していない既存のガス絶縁電力機器にもそのまま適用可能である。
【実施例1】
【0038】
浸漬用液体に浸漬することで吸着剤4に吸着されていたガスを分離できることを確認するための実験を行なった。吸着剤4には東ソー株式会社製の合成ゼオライト系吸着剤4「ゼオラム」(F−9,球状品,サイズ4〜8#)を使用した。また、浸漬用液体として精製水を使用した。実験は、吸着剤4にSFガスを吸着させて行なった。また、比較のために、空気中に放置しておいた吸着剤4(SFガスを吸着していない吸着剤4)についても同様の実験を行なった。
【0039】
SFガスを吸着させた吸着剤4を精製水に浸漬させ、精製水中に放出され液面に上昇してきたガスにSF検出装置(HALOTECK社製 78Halogen leak detector)を適用したところ、SFガスの反応を示した。これにより、吸着剤4に吸着されていたSFガスが精製水中に放出されたことを確認できた。一方、空気中に放置しておいた吸着剤4を精製水に浸漬させた場合にも、精製水中にガスが放出されていたが、そのガスに対してSF検出装置に反応はなかった。
【0040】
以上より、SFガスを吸着させた吸着剤4を精製水に浸漬させることでSFガスを分離できることが確認できた。したがって、水と反応しない(溶解しない)分解ガス(例えばSO等)や溶解しにくい分解ガスも同様に精製水によって吸着剤4から分離できると考えられる。
【符号の説明】
【0041】
2 接地タンク
4 吸着剤
5 密閉容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象のガス絶縁電力機器から取り出した吸着剤を絶縁ガスの分解ガスよりも前記吸着剤に吸着されやすい液体に接触させることで前記吸着剤から前記液体中に放出されたガスを分析し、前記分解ガスの検出に基づいて前記ガス絶縁電力機器内での異常を検出することを特徴とするガス絶縁電力機器の異常検出方法。
【請求項2】
前記ガスの分析は、ガスクロマトグラフィ、ガス検知管、フーリエ変換赤外分光光度計のうち、少なくともいずれか一つによって行なわれることを特徴とする請求項1記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法。
【請求項3】
前記吸着剤は、前記ガス絶縁電力機器の接地タンク内に配置されていたものであることを特徴とする請求項1記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法。
【請求項4】
前記吸着剤は、前記ガス絶縁電力機器の接地タンクの外に設けられ且つ前記接地タンク内に連通された密閉容器内に配置されていたものであることを特徴とする請求項1記載のガス絶縁電力機器の異常検出方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−206963(P2010−206963A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50373(P2009−50373)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】