ガラスチャンバを排気する際に使用する改良型封止装置
2枚のガラスシート(101,102)により画成されたチャンバ(104)を排気する排気ヘッドアセンブリ(20)のガスケット(10)が設けられている。このガスケット(10)は、アルミニウムのような金属箔から作製することができると共に、一連の溝(17)を備えて型出しされる対向する封止表面(14,15,19)を有しており、封止表面間の厚さの変動は1μm未満である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気を行なうポートを含むガラス壁により画成される(即ち、囲まれる)チャンバの排気に関するものである。本発明は、真空グレージング及びプラズマディスプレイパネルのような真空ガラスパネルとの関連で開発されたもので、ここではそのような状況を考慮して説明されている。しかしながら、本発明は、例えば、フラットパネルにより形成されたディスプレイ装置を含む、もっと広い用途を有している。
【背景技術】
【0002】
真空グレージングの一形態において、2枚の平らなガラス製離間シートは、向かい合わせの関係で位置決めされると共に、通常ソルダーガラスと呼ばれる低融点ガラスで、それらの縁部の周りで密封されている。これらシート間のスペース(即ち、チャンバ)は排気され、そしてこれらシートの対面分離は、小さな支持ピラー網により維持される。典型的な状況において、グレージングは、0.02〜4.00平方メートル程の表面積、2.0mm〜5mm程のシート厚、0.1mm〜0.2mm程の対面間隔を有するガラスシートから構成することができる。
【0003】
平らなガラス製パネルの製造は、通常、2工程からなり、双方の工程がパネルを高温に加熱することを含んでいる。第1工程において、密閉封止がソルダーガラスを使用して2枚のガラスシートの周辺を囲むようになされる。この過程で、ソルダーガラス粉は、ガラスシートの周辺を囲んで液体スラリーとして付着され、そしてアセンブリ全体は、代表的には460℃を超える高温度まで加熱される。この温度で、ソルダーガラスは溶融して、不透過性素材を形成し、ガラスシートを濡らす。従って、該アセンブリが室温まで冷却されるときにソルダーガラスが固化した場合に、強固な漏れのない封止がガラスシートの縁部の周りに形成される。
【0004】
第2の製造工程において、パネルのチャンバは排気される。これは、通常、ガラスシートの1つにある小さな開口、即ち孔を介してパネル内の空気を除去する真空システムを使用することにより行われる。この排気過程中、アセンブリは、通常オーブン内に置かれていて、排気されたスペース内の諸表面から残留ガスを除去するために高温度まで加熱されている。
【0005】
真空システムへのパネルのチャンバの接続は幾つかの方法により行うことができる。1つの方法では、長いガラス管がガラスパネルの1つにある開口の周りに封着され、この管の内部がパネルの内部容積に接続されるようになっている。この封着は、通常、縁部封止過程中にソルダーガラスで行われる。縁部封止過程の完了時にガラスシートが室温まで冷却された後、管は、O−リング式シールカップリングを使用して真空システムに接続される。該接続は、排気過程中にパネルの加熱のために使用されるオーブンの外部の場所で行なわれるのが普通であるから、O−リングは加熱工程の間低温に留まっている。
【0006】
別の排気方法において、開口は、ガラスシートの一方にある単なる孔であってよい。或いは、開口は、短いガラス管がソルダーガラスで封着されるガラスシートの一方を貫通する孔からなることができる。これらの設計を使用する平らなガラスパネルの排気過程において、封止は、開口を囲むガラスシートの表面に対して直接に行われる。この方法の一実行例において、排気カップ(即ち、ヘッド)は、開口に被さって置かれると共に、O−リングでそのシートの表面に封着される。この場合、排気過程中のガラスシートの温度は220℃に制限されるが、その理由は、それより高い温度でO−リング材料が分解するからである。焼出し過程の完了時、開口は、ガラスシートにある孔を覆ってカップを封着することにより、或いはガラス管の端部を融解することにより閉じられる。
【0007】
縁部封止及び排気過程が単一の加熱工程で行なうことができれば、製造時間の短縮及び製造コストの低下のような重要な利点となることが分かってきた。しかしながら、O−リングの材料は縁部封止過程の高温度に耐え抜けられないので、これは、排気カップをガラスシートに封着するのにO−リングが使用されていれば可能ではない。
【0008】
この問題を超克するためにある方法が開発されてきており、その方法は、本出願人の先行出願であるPCT/AU99/00964号に記載されている。この方法は、ソルダーガラス縁部封止を形成するのに用いられる過程の高温度に耐えることができる排気ヘッドを使用する。該排気ヘッドは、カップが排気されるときに大気圧により排気開口を囲んでガラスシートに押し付けられる2つの同心封止表面を有している。これら表面とガラスシートとの間の接触により形成された封止は、完全に漏れがないわけではない。該封止表面は、別個の真空システムを使用して差を付けてポンピングされる2つの同心チャンバをカップとガラスシートとの間に画成する。外側の環状チャンバは、ロータリーポンプを使用して通常排気され、このチャンバ内の圧力は、代表的には約1トルである。内側のチャンバは、拡散ポンプ又はターボ分子ポンプのどちらかを利用する高真空システムを用いてポンピングされ、このチャンバの圧力は、代表的には10−3トルであり、また、10−4トル程の低さにすることができる。排気ヘッドの2つのチャンバ内の圧力は、それらを排気するラインのポンプ排気速度と、ヘッドの諸封止表面とガラスシートの表面との間の複数の小さな隙間を通る空気の漏れ率とに左右される。これら漏れ率は、2つの表面の清浄度及びそれらの平面度を含め、多くのファクターにより決定される。
【0009】
排気ヘッドの中央領域内に10−3トルの真空を達成することは、非常に高い絶縁性ではない真空グレージングの幾つかの設計を含め、多くの適用例について適切なことである。しかしながら、多くの適用例について、もっと高いレベルの真空が望ましい。非常に高い絶縁設計の真空グレージングは、内部容積内の圧力が約10−4トル以下であるべきことを必要としている。その上、プラズマディスプレイパネルの処理要求は、製造中におけるパネルの内部容積内の圧力がもっと低く、10−5トル〜10−6トルであるべきことを必要としている。国際特許出願であるPCT/AU99/00964号において、このような低圧を得るための方法が記載されている。この方法は、排気ヘッド内で3つ以上のポンピング段階を利用している。かかる多重ポンピング技術は非常に満足に機能するが、それらが必要とする真空システムはもっと複雑であり且つもっと経費がかかる。
【0010】
排気ヘッドの別の問題は、カップの金属封止表面とガラスシートの表面との間の直接接触がガラス表面上にマークを生じさせうることである。これらのマークが著しくガラスを弱体化することはないが、それらは、完成された排気済みパネルを外見的に魅力のないものにするので、望ましくない。これらのマークの発生を防止するために、比較的に軟質の金属ガスケットを排気ヘッドとガラス表面との間に使用することができる。このガスケットは、ガラスパネルの製造中に達する最高の温度で溶融してはならず且つこれら高温度で非常に低い蒸気圧を有する材料で製作しなければならない。約660℃の融点を有するアルミニウムは、このガスケット用に非常に適する材料である。
【0011】
従来、ガスケットは、一般的にほぼ50μm厚さの商業用等級の圧延アルミニウム箔から製作されてきた。ガスケットは、排気ヘッドの外径よりも寸法が大きい。それは、ポンプ抜きするためのガラスパネルの開口の周りの領域に適合するのに十分な大きさの中央孔を有している。また、それは、カップの角度領域(angular region)が排気されたときにガスケットとガラスシートの表面との間のスペースから空気を排除するために、排気ヘッドの封止表面間に位置する領域に1つ以上の孔も有している。
【0012】
しかしながら、以前には、ガスケットの使用は、真空グレージングの絶縁性の高い設計に必要とされ且つプラズマディスプレイパネルのために必要とされる真空レベルが実現されることを可能としていなかった。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、少なくとも好適な形態において、高温過程でチャンバを排気するための改良型封止装置に向けられている。
【0014】
好適な形態において、本発明は、ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの方々での前記封止表面間の厚さの変動は1μm未満である、ガスケットを提供する。
【0015】
一実施形態において、前記ガスケットは、耐熱性であると共に400℃を超える、より好ましくは460℃を超える温度に耐えることができる。一形態において、ガスケット材料はまた、これらの高温度で非常に低い蒸気圧を有している。その適用例において、前記ガスケットは、金属又は金属合金から形成されている。特に好適な形態において、前記ガスケットは、20μm〜80μmの厚さを有するアルミニウムから形成されている。
【0016】
一実施形態において、前記ガスケットの少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている。
【0017】
特定の実施形態において、前記ガスケットの少なくとも1つの面は、少なくとも1つの隆起した山部の配列を含むよう型出しされている。使用中、前記隆起した山部は、前記ガスケットの前記面の封止表面を形成し、そして一形態において、高品質のエアシールを提供するように前記ガスケットを取り囲んで連続的に延びている。一形態において、前記隆起した山部は、前記封止面を取り巻いてらせん状に延びていてよいのに対し、別の実施形態において、少なくとも1つ、好ましくはもっと多いリングの形になっていてよい。
【0018】
上述した形態のガスケットは、パネル及び排気ヘッドが高温度にさらされる排気ガラスパネルの製造の際に使用するのに理想的に適している。このような適用例は、上述した単一加熱ステップの製造過程において使用される場合である。本発明の実施形態によるガスケットは、高温環境に適応可能でありながら、アルミニウム箔から形成された従来のガスケットよりも相対的に低い圧縮力下でより効果的な封止を発揮する。
【0019】
ガラス表面に対する封止を行なうのに金属ガスケットを使用する場合、このガスケットを圧縮する力は、ガラスを破砕することがないであろう十分低い力に維持されなければならない。ガラスパネルを排気するのに排気ヘッドを使用する実際の適用例において、ガスケットに圧縮力を加えるのに外部クランプ装置を使用することは望ましくないし、不都合でもある。この圧縮力は、従って、排気ヘッドの外側表面に作用する大気圧により生じる力に理想的には限定されるべきである。直径が70mmの代表的なヘッドについては、この力は約40Kgの重量と等価である。ガスケットに型出しすることを含め、ガスケットはより良いシールを提供するよう変形することを許容される。このことは、型出しが排気ヘッド又はガラス壁に接触するガスケット材料の部分における応力を平らなガスケットに生ずるよりも大きくさせるので、起こる。次に、ガスケット材料は、側方に流れてガスケットの表面にある谷部もしくは溝に入ることができる。加えて、封止表面の厚さの2点間変動が1μm未満であるガスケットを提供することにより、封止表面間の間隙の量が実質的に減少するので、封止構造が著しく改善される。
【0020】
第2に形態において、本発明は、ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形する伸展性がよりあるように型出しされている、ガスケットを提供している。
【0021】
一形態において、ガスケットの一側のみが型出しされている。このガスケットは、平滑な側を排気ヘッドに接触させると共に型出しされた側をガラスシートに接触させた状態で使用されることができる。この場合、双方の側にかかる応力の増加はガスケットが変形するのを容易にする。
【0022】
別の形態において、ガスケットの双方の側が型出しされている。
【0023】
ガスケットが隆起した領域及び少なくとも1つの谷部もしくは溝を含むよう型出しされている構成の場合、隆起した領域からの材料は溝付きの領域を完全に満たさないかも知れない。らせん溝が使用されれば、ガスケットの両側に、排気ヘッドの封止表面を横切り、これらの完全に満たされていないらせん溝を通る、狭い漏れ通路が存在する。簡単な演算は、無視しうる量の空気がガラスパネルの製造中にこれらの溝に沿って漏れることを示している。従って、このらせん漏れ通路の存在は真空シールの品質を著しく劣化させない。
【0024】
一形態において、ガスケットは、厚さの変動を制限するため及び/又はガスケット表面を型出しするためプレスされる。別の形態において、ガスケットの表面上に溝付き構造を直接に形成するためにフォトリソグラフィー技術もまた使用することができる。この方法が使用されたとすれば、排気ヘッドと共にガスケットを使用している間に生ずる変形が適切な品質の真空シールを達成するのに十分であるようにガスケット材料自体の厚さが十分に均一であることが好ましい。従来のように圧延されたアルミニウム箔の厚さの2点間変動は、そのアルミニウム箔が排気ヘッドをガラスシートに対して封止するためにガスケットとして用いられたときに、望ましい変動よりももっと大きい。特化した圧延技術は従来の圧延アルミニウム箔と比較して厚さの2点間変動を減少させうる可能性があり、また、この方法で製造された箔は、溝がフォトリソグラフィーで形成されているのであれば適当である可能性がある。
【0025】
更なる形態において、本発明は、排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する方法を提供している。該方法は、
前記ポートと、該ポートを囲む前記ガラス壁の部分とを、前記ポートに連通する第1キャビティを有する排気ヘッドで覆うステップと、
前記ガラス壁及び前記ヘッドの間にエアシールを提供するよう前記排気ヘッドと前記ガラス壁との間にガスケットを設けるステップと、
前記壁及び前記ヘッドの間の前記シールを向上させるべく前記ガスケットを十分に変形させるようそれに対し圧縮力を引き起こすステップと、
前記第1キャビティを経由して前記ガラスチャンバを排気するステップと、
を備えている。
【0026】
一形態において、本発明のこの側面に基づく方法は、前記ガラス壁及び前記排気ヘッドの間に前記エアシールを維持しながら450℃よりも高い温度に前記ガラス壁をさらすステップを更に備えている。
【0027】
一形態において、前記圧縮力は、前記排気ヘッドにあるキャビティを排気する結果として前記ガスケットに加えられる。一形態において、これは、前記第1キャビティを排気する(次にチャンバを排気する)ことによりなされる。別の形態において、それは前記排気ヘッドにある第2キャビティを介してでもよく、或いは前記圧縮力は第1及び第2キャビティの双方を排気することにより加えられてもよい。
【0028】
特定の形態において、ガスケットは、本発明の先の側面において前述したような任意の形である。より具体的に言えば、ガスケットは、それが標準の平らなアルミニウム箔よりも変形に対してより従順もしくは伸展性のあるようにプレフォームされたアルミニウム箔から形成することができる。一形態において、この箔は、排気ヘッドにあるキャビティを排気する結果として加えられる圧縮力を受けて変形せしめられる。この力の作用下、前記ガラス壁及び前記排気ヘッドに対して前記封止表面間で測定した前記ガスケットの厚さが1μmよりも大きく減少する。
【0029】
更に別の形態において、本発明は、上述したどの方法においても使用できる排気ヘッドアセンブリを提供している。この側面において、前記排気ヘッドアセンブリは、上述したどの形態に基づいても製作しうるガスケットと排気ヘッドとを備えている。
【0030】
更に別の形態において、本発明は、ガラス壁に近い熱膨張率を有している排気ヘッドを提供する。
【0031】
今まで、大抵の真空設備については、ガラスパネルを排気するのに使用される排気ヘッドは、SUS304のようなオーステナイト系(即ち、300系)ステンレス鋼から形成されていた。この材料は、容易に機械加工され且つ溶接されると共に、真空グレージングの製造プロセスで要求されるような高温度で、その強度及び耐食性を保持する。関連温度範囲におけるこの材料の熱膨張率は略18×10−6℃−1である。ソーダ石灰ガラス(これはガラス壁を形成するのに一般的に用いられる)については、熱膨張率はもっと小さくて、約8×10−6℃−1である。
【0032】
熱膨張率がガラスパネルのそれに近い排気ヘッドを設けることにより、このシステムが室温に向かい低下するときに排気ヘッド及びガラスシート間の真空シールのコンダクタンスの劣化を実質的に小さくすることが分かった。金属排気カップに使用するのに適用可能な材料は、マルテンサイト系(即ち、400系)ステンレス鋼を含む。これらの系列のステンレス鋼はオーステナイト系よりも実質的に小さな熱膨張率を有している。例えば、関連温度範囲における400系ステンレス鋼の熱膨張率は略11×10−6℃−1である。
【0033】
熱膨張率がガラス壁のそれに近い排気ヘッドを設けることにより、排気ヘッドアセンブリが上述した形態のいずれかに従って製作されたガスケットを組み入れている場合、特筆すべき利点がもたらされる。測定は、高温度で、比較的に弱い結合がアルミニウム箔とガラスとの間に形成されること、及びアルミニウムガスケットはパネルの冷却中ガラスに対して運動しないことを示した。これら構成要素間の真空シールの品質は、従って、システムが室温まで低下するときに維持される。しかしながら、排気ヘッドの熱膨張率がガラス壁のそれに近くなければ、システムが冷たくなるときに、排気ヘッドはガラスシートよりもっと収縮する。これによりカップの封止表面がガラスの対応する領域に対して相対的に移動される。アルミニウムガスケットはガラスシートに結合されているので、カップはそのためアルミニウムガスケットに対して内側に滑動する。従って、高温度でのガスケットの型出し表面の非弾性的変形の故に形成される非常に良好な真空シールは、システムが室温に向かい低下するときに劣化される。
【0034】
排気ヘッドの熱膨張率をガラス壁のそれに近くすることは、この問題を改善する。このようなことで、システムが室温に向かい低下するときに排気ヘッド及びガラスシートの真空シールのコンダクタンスに起こる劣化は実質的に小さい。
【0035】
更なる側面において、本発明は、ガスケットの封止表面の厚さの変動を減じると共に、圧縮力の作用下の変形に対してガスケットをより伸展性にするように、ガスケットの少なくとも1つの面を型出しするべく、ガスケットを処理する方法に向けられている。一実施形態において、これは単一ステップの圧縮過程で達成される。更なる側面において、本発明は、上述した過程で使用するプレス工具に関係している。
【0036】
この後、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明するのが適切である。図面並びに関連の記載の詳細は、図面の前述した概略的記載に取って代わるものではないと理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、離間した対面関係に維持された2枚の平面ガラスシート101,102から構成される平らな排気ガラスパネル100を例示している。該ガラスシートは、ソーダ石灰ガラスから概して構成されると共に、それらの縁部に沿って、縁部封止ソルダーガラスのビード103によって相互に接続されている。
【0038】
チャンバ104は、2枚のガラスシート101,102により画成されており、またこれらのシートは、支持ピラー105のピラー網又はアレーにより離間関係に維持されている。チャンバ104は10−3トルより下のレベルまで排気され、これにより、他の熱流メカニズムに関して無視できるシートを通る気体熱伝導を可能にする。
【0039】
ガラスシート101は開口106(図2参照)を具備して形成されており、ポンプ抜きガラス管107は、この開口106内に置かれてそこから外方へ突き出るように位置決めされている。ポンプ抜き管は、ソルダーガラスのビード108によりガラスシートに封着されている。ポンプ抜き管は、図1に例示したようにパネルの排気に続いて封着される。
【0040】
平らな排気ガラスパネル100の製造には、主に二作業を必要としており、第1の作業はガラスパネル101,102の周りに縁部シールを設けることであり、第2の作業はチャンバ104を排気することである。典型的には、これら双方の作業はパネルを高温度に加熱することを含んでいる。
【0041】
従来、これら2つの作業は別個のステップで行なわれていたが、これらは、本出願人の先行出願であるPCT/AU99/00964号に詳細に記載されているように単一の加熱ステップで行なうことができる。この単一段階プロセスは、排気ヘッド20が利用されている図2に関して記載されている。最初に、パネル100の2枚のガラスシート101,102が図2の(a)に示すように組み立てられる。その後、液体懸濁液中では粉体であるソルダーガラス21が図2の(b)に示すようにガラスシートの外縁部109,110の周り及びポンプ抜き管7の周りに取り付けられる。
【0042】
排気ヘッド20は、ポンプ抜き管7を覆ってシート101の表面上に配置される。この排気ヘッド20は、中央の第1キャビティ23を組み入れた又は具備して形成された金属本体部22を備えている。第1キャビティ23は、寸法的に、ポンプ抜き管7を受け入れると共に、チャンバ104の排気及びガス抜きを可能にする形に作られている。第1キャビティ23は、ポート24及び導管25を経由して、図9に略示するように焼成チャンバ50の外部に配置される真空ポンプ51に接続されている。
【0043】
第2の環状キャビティ26もまた排気ヘッド20の本体部22内に設けられている。この第2キャビティ26は、第1キャビティ23を囲んで位置決めされると共に、使用時には、ポンプ抜き管7を囲むガラスシート101の表面により閉じられるよう配置されている。第1及び第2キャビティ23,26の間には第1の環状ランド部27が配置されており、第2の環状ランド部28は環状の第2キャビティ26を囲んでいる。
【0044】
ガスケット10は、後から詳細に論じるように、排気ヘッドとガラスシート101との間に配置されており、これは、排気ヘッド20とガラスシート101との間に良好な真空シールを提供するよう設計されている。
【0045】
キャビティ26の環状ランド部27,28は、図9に示したように、ポート29及び導管30を経由して別の真空ポンプ52に接続されている。
【0046】
排気ヘッド20は、代表的には、50mm〜100mmの外径を有し、中央の第1キャビティ23は、代表的には、10mm〜20mm程の直径を有するであろう。ランド部27,28の各々は、1mm程の半径方向の幅を有するが、0.10mm〜10mmの範囲内にあってもよいであろう。
【0047】
パネル100に排気ヘッド20を接続した後、アセンブリ全体をチャンバ内で460℃前後まで加熱する。このプロセスの間、ソルダーガラスが溶融して、グレージング101,102の縁部の周り及びポンプ抜き管7の周りにシール103を形成する。同時に、2つの環状ランド部27及び28の間の環状チャンバ26は、ポンプ52により排気される。このポンプ52は典型的にはロータリーポンプであり、キャビティ26内の圧力は代表的には1トル前後の値に達する。
【0048】
次にグレージング及び排気ヘッドは(380℃前後の温度まで)冷却されて、そこでソルダーガラスが固化し、そして2枚のガラスシート101,102間のチャンバの排気が高真空システム51を排気ヘッド20の中央のキャビティ23に接続することにより開始される。この高真空システム51は、拡散ポンプ又はターボ分子ポンプのどちらかを利用しており、このチャンバにおける圧力は、代表的には10−3トル以下である。
【0049】
排気ヘッドの中央の領域内に10−3トルの真空を達成することは、非常に高絶縁ではない真空グレージングの一部の設計を含め、多くの用途に対して適切である。しかしながら、高レベルの真空が望ましく、例えば、10−3トルの真空を媒介する熱伝導により流れる少量であるが十分な量の熱は、真空グレージングの断熱特性の無視できない低下に結果としてなる。従って、真空グレージングの非常に高い絶縁設計は、内部容積内の圧力が約10−4トル以下とすべきであることを必要とする。加えて、プラズマディスプレイパネルの処理要件は、この製造中のパネルの内部容積における圧力がもっと低く10−5トル〜10−6トルとすべきであることを必要とする。排気ヘッド20及びガラスシート101の間にガスケット10を組み込むことによって、該ガスケットにより与えられる封止の効果のため、このような高レベルの真空を実現することが可能とされる。
【0050】
グレージング100及び排気ヘッド20が冷却されているときに、キャビティ23の排気は維持されている。この冷却期間中に使用される特定の温度/時間スケジュールは、グレージングのために諸内部表面の適切なガス放出を実現するのに必要な時間にすべて左右されており、従って、グレージング100の構造に依存して変化しうる。
【0051】
ガス放出及び排気が完了したならば、ポンプ抜き管107が閉止され、パネルの組立てが完了する。図2の(e)に示した形態において、これは、ポンプ抜き管107の端部を溶融及び溶断することによる。
【0052】
図3及び図4は、上述した排気プロセスにおいて使用されるガスケット10を例示している。
【0053】
ガスケット10は、50μm厚さの商業用等級の圧延アルミニウム箔から製作されるのが典型的である。このガスケットは、ガラスパネルの製造中に達する最高温度で溶融せず且つこれらの高い温度で非常に低い蒸気圧を有する材料で製作することが必要である。また、ガスケットは、排気ヘッドによるガラスのマーク付けを阻止するために比較的に軟質の金属から製作されることが好ましい。アルミニウムは非常に適する材料であるが、当業者には分かるように、その他の適当な金属又は金属合金のようなその他の材料を使用してもよい。
【0054】
ガスケット10は、排気ヘッド20の外径よりも寸法が大きい。それは、対峙する主要な面11及び12を有すると共に、ガラスシート101のポンプ抜き管107の周りの領域に適合するのに十分な大きさの中央の孔13を含んでいる。ガスケット10はまた、面11上に、又は双方の面11,12上に、排気ヘッド20の環状ランド部27,28と整合するよう設計された環状の封止表面14,15も含んでいる。
【0055】
ガスケット10はまた、封止表面14,15の間に1つ以上の孔16も含んでいる。これらの孔は、カップの環状領域が排気されたときにガスケット10とガラスシート101の表面との間のスペースからの空気の除去を可能とする。
【0056】
図4に最も良く示すように、封止表面14,15は、特に、隆起した山部18により隔てられた一連の細かな同心の又は同心に近い谷部17を備えて型出しされている。他方の面12にも同様に型出しされた複数の環状表面19が設けられていて、これらは、ガラスシート101に係合すると共に、ガスケット10の上側の面11にある型出し表面14,15に直接に対峙して配置されている。封止表面(14,15,19)におけるこの外形はガスケットをより従順にするためであり、ガスケットはガラスシート101及び排気ヘッド20の間でのガスケットの圧縮の際により容易に変形するであろう。
【0057】
排気ヘッド20及びガスケット10はプロセス中に高温度に加熱されてガラスパネル100の縁部シールを形成するので、アルミニウムガスケットの降伏強さが低下し、そして排気ヘッド20の係合表面(即ち、ランド部27,28)は、大気圧の力の作用下にガスケットの材料を徐々に変形させる。ガスケットの型出し封止表面14,15は、該表面が平らである場合に起こる変形よりも十分に大きな量の変形が起きることを可能にする。この変形の増大は、2つの理由により起こる。まず第1に、ガスケット10は、封止表面の呼び面積の小部分に過ぎない隆起した山部18上でのみ排気ヘッドの封止表面及びガラスシートと接触している。その結果、これらの表面と接触するガスケット材料の部分における応力が、平らな表面に起こる場合よりも大きくなる。第2に、排気ヘッド及びガラスパネル101の封止表面に接触するガスケットの山部18からの材料が側方に流れてガスケットの封止表面にある谷部17に入ることができる。従って、この過程でのガスケットの所定圧縮量は、ガスケットが平らな封止表面をもつ場合よりもガスケットの材料の移動を実質的に少なくてよくする。図5は、ガスケットが排気ヘッド20とガラスパネル101との間で圧縮された後に金属ガスケットの形状が通常どのようにして変わるかを図解的に示している。谷部17の存在は、そのためにガスケットの従順性を効果的に増して、ガスケットの各面における封止表面での平均1μm〜2μmの全変形を可能にする。
【0058】
排気ヘッド20とガラスシート101との間にシールを提供する際のガスケット10の有効性を更に増すために、このガスケットは、対向縁部領域間の厚さの2点間変動が好ましくは1μm未満、更に好ましくは0.6μm未満の厳しい公差内にあるように設けられている。この厳しい公差を維持することは、ガラス及び排気ヘッドガスケットの封止表面の平面性からの何らかの逸脱が、特にガスケットの変形量がこの平面性の逸脱を補償できない場合に、シールの品質に影響しうるので、シールを改善することになる。
【0059】
排気ヘッドの封止表面は、平面性からの2点間逸脱が±0.1μmよりもっと小さいように機械加工することが可能である。もっと小さい平面性からの逸脱は通常排気ヘッドの直径を覆ってフロートガラス片に起こる。しかしながら、従来の圧延アルミニウム箔の平均厚さの2点間変動は、典型的には、50μm厚の箔について、箔の厚さの±2%、即ち±1μmほどの大きさである。けれども、測定値は、2μmほどの大きさの局所的厚さ変化がかかる箔の数mm離れたポイントで起こりうることを示していた。これらの変動は、圧延過程中に箔が製造される方法のために生ずる。
【0060】
従って、アルミニウムガスケットを使用して良好な真空シールを提供するために、排気ヘッドに作用する大気圧のためにガスケットにかかる比較的に小さな力を受けるアルミニウム箔の平面性からの逸脱により生ぜしめられる間隙を無くすことが必要である。
【0061】
ガスケットの封止表面14,15,19上に型出しを行なうと共に、これら表面の2点間厚さに変動をもたらすために、ガスケット10は、排気アセンブリに組み入れる前に処理される。この前処理は、図6に最も良く示すように、単一圧縮工程により行われる。
【0062】
特に図6に示すように、ガスケットの処理には、一方ではプレス工具40の2つの硬質金属表面41,42によりガスケットの諸領域を他方ではプレス工具46の平らな表面47上に圧縮もしくは押し付けることが含まれる。プレス工具は、この圧縮工程中にガスケットを支承する一側にある表面41,42及び他側にある表面47が、形の上で非常に平らであるように製作されている。これら支承表面の双方はまた、図8に最も良く示すように、若干窪んだ領域44により隔てられた一連の同心の、又は同心に近い隆起した山部43からなる微細構造を有している。金属プレス工具40の支承表面41,42,47にある個々の山部43は、その表面の溝状の領域44よりも1μm〜5μm高いのが典型的である。押圧工程中、ガスケット10は不可逆的に変形されるので、プレス工具10の表面41,42,47の形状がガスケットの表面14,15,19に移され、それによりガスケットの型出し封止表面を形成する。従って、プレス工具の硬質表面、該プレス工具の表面の形状を反映した構造をガスケットの表面に与える。加えて、プレス工具の支承表面は極めて平らであるから、ガスケットの圧縮は同ガスケットの厚さの2点間変動を減少させる。
【0063】
図7は、プレス工具40の支承表面に対する最終機械加工工程を行なう方法を示している。この図に示すように、金属プレス工具40の支承表面41,42,47は、それらが形の上で非常に平らであるように通常の金属加工旋盤60により機械加工される。プレス工具40の支承表面41,42,47の平面性からの2点間逸脱は、旋盤60の主駆動軸にある軸受の品質と、最終加工工程において切削工具を前進させる前後送りの運動の完全性とに左右される。典型的には、良好な状態にある金属加工旋盤で±0.4μmほどの平面性からの2点間逸脱が容易に達成可能である。
【0064】
プレス工具40の支承表面の最終加工工程は、金属プレス工具40の支承表面の極めて微細な層を除去する硬化切削工具61を使用して旋盤で行われる。切削工具の端部は、その外形が機械表面の所望形状を反映するように機械加工されている。この加工の際、切削工具61の端部は、横断面が略円形である形状を有するように機械加工されている。この最終加工工程において、切削工具は、典型的には、機械加工されつつある表面の1回転につき約25μmだけ進める非常に遅い速度で前進される。従って、この加工工程は、金属プレス工具のさもなければ非常に平らな表面上に対応するピッチを有する微細ならせん構造を残す。図7及び図8に示すように、このらせん構造は、中空の谷部44により隔てられた、これら表面の名目上平らな面の上方に若干突き出る一連の山部43からなっている。上述したように、金属プレス工具の支承表面上にある個々の山部43は、その表面の谷部領域よりも代表的には1μm〜5μmだけ高い。
【0065】
金属プレス工具40は、それが排気ヘッド20の封止表面(27,28)の諸位置を中心とすると共に該封止表面よりも若干幅広の金属ガスケットの諸領域から構成されるように、設計されている。このことは、それがガラスパネルの製造プロセス中に真直ぐ進んで排気ヘッド20をガスケット10の処理済み領域上に位置付けるように行われる。一例として、典型的な排気ヘッドは、1mm幅のランド部27,28を有している。この場合、金属プレス工具40は、アルミニウムガスケットを変形させる支承表面41,42が排気ヘッドの封止表面27,28と同じ位置に心出しされると共に約2mm幅であるように設計されるのが典型的である。
【0066】
図6に例示した金属プレス工具40は、軟鋼又は硬化工具鋼のようなアルミニウムよりも相当に硬質の材料から製作されている。工具は2つの部分45,46から構成されており、該部分は、これらがガスケットをプレスするのに使用されるときに所定位置に常に一緒にくるように、整列されている。図示のような工具の一設計例において、一方の部分46は、支承表面47が均一に平らであるように機械加工されているのに対して、他方の部分上の支承表面41,42は、それらが排気ヘッド20の封止表面の位置に対応する場所にある領域においてのみアルミニウムガスケットを押圧するように機械加工されている。プレス工具の別の設計例において(図示せず)、双方の部分の支承表面は工具の残部に対して持ち上げられている。プレス工具の作動原理は双方の場合とも基本的に同一である。上述したように、プレス工具の封止表面は、押圧動作を受けるガスケットの領域が排気ヘッドの封止表面の下に完全に配置できるように、排気ヘッドの封止表面よりも若干幅が大きく製作されている。
【0067】
排気ヘッド20が製造プロセス中にガラスパネル101の上に位置付けられているときに、アルミニウムガスケットヘッド10は、ヘッドの封止表面27,28に関して適切に配置されていることが重要である。特に、ヘッドの封止表面は、プレス工具40においてすでに変形されたガスケットの領域14,15上に完全に設置されていなければならない。これを実現する比較的に簡単な方法の一つは、ガスケットをプレス工具40内に依然として保持しながら、その外側領域の諸部分を曲げることである。これは図6において仮想線で概略的に示されている。プレスされたガスケットの上向き湾曲領域は、ヘッドの封止表面を適切に設置するべく、排気ヘッド20を位置決めするためのガイドを提供している。
【0068】
アルミニウムガスケット10を処理する効果の目安は、システムが460℃前後の温度まで焼成される排気工程の後に排気ヘッドの封止表面によりガスケットに残されている目安となるマークを観察することによって、得ることができる。従来のように圧延されたアルミニウムガスケットが使用される場合、排気ヘッドの封止表面によるガスケットの非弾性的変形に関連した目安のマークは封止区域の周囲を不連続に取り巻いている。しかしながら、プレス済みガスケット10については、排気工程の後にガスケット上にある目安のマークは、ガスケットの周囲を取り巻いて連続的であることが観察される。この観察により、ガスケットの処理は排気ヘッドの封止表面がまたガラスシートの外側表面が未処理のガスケットについて起こるよりも処理済みガスケットの表面とより緊密に接触することが示されている。次にこれは、より良い真空シール、並びに排気ヘッドの諸領域内の圧力減少という結果になる。
【0069】
処理済みガスケットと共に排気ヘッドを使用して平らなガラスパネルを排気する際に得ることができる特性の向上は、ヘッドの封止表面を通るガス流に関連したコンダクタンスを測定することにより定量的に評価された。これらの測定を行なうため、排気ヘッドをガラスシート上に置き、ヘッドの2つの領域を適切に設計された真空システムで排気した。カップの個々の領域をポンプ抜きする2つの真空ライン内の圧力を記録しながら、アセンブリを460℃前後まで加熱し、その後冷却した。これらの測定を行なう方法や排気ヘッドの封止表面を通るガス流のコンダクタンスを演算する方法は、西暦2002年7月に刊行された雑誌「真空科学技術(Vacuum Science and Technology)」第A20巻、第4号の第1384頁〜第1389頁において“平らなガラス表面に対する焼成可能な取外し式全金属真空シール”と題するエヌ・エヌジー・アール・イー・コリンズ(N Ng, R E Collins)及びエム・レンツェン(M Lenzen)の論文に記載されている。
【0070】
この論文に記載された方法を使用して、ヘッドを3mm厚のガラスシートに対し封着し排気したときの、排気ヘッドの外側(Cout)及び内側(Cin)封止表面を通るコンダクタンスの値を測定した。これらの測定の際、ヘッド及びガラスシートをほぼ460℃の温度まで加熱し、この温度に約1時間保持し、その後冷却可能とする。図10は、アルミニウムガスケットのない排気ヘッドについての代表的な測定コンダクタンス及び温度を提示している。図11は、未処理のアルミニウムガスケットをヘッド及びガラスシートの間に使用した場合の同様のデータを示している。図12においては、上述した方法に基づいてプレスしたアルミニウムガスケットを使用した場合のデータが提示されている。いずれの場合でも、コンダクタンスの測定値は温度の上昇に伴って低下している。アルミニウムガスケットが使用されない場合(図10)、又は未処理のアルミニウムガスケットについては(図11)、この低下の大部分は、封止表面を通り且つ排気ラインにあるガス流についてのコンダクタンスの温度依存性に由来している。しかしながら、処理済みガスケットを使用した場合、図12のデータは、高温度で測定された排気ヘッドの封止表面を通るガス流についてのコンダクタンスがガスケットのないときに、或いは未処理のガスケットが使用されたときに、確認されたものよりも実質的に小さいことを示している。例えば、1mm幅の封止表面を有する排気ヘッドについて、ガスケットの処理により主として、排気ヘッドの外側封止表面を通るガス流について高温度でのコンダクタンスが5×10−51s−1から5×10−61s−1以下へと減少する結果となる。同様に、ガスケットの処理により、排気ヘッドの内側封止表面を通るガス流に関連した高温度でのコンダクタンスが10−61s−1から10−81s−1に近い値まで減少する結果となる。これらコンダクタンスの減少は、適切な真空ポンプ抜き技術が使用されれば、排気ヘッドの2つの別個の領域内、またガラスパネルの内部内の圧力を対応してより低くすることが実現可能である。
【0071】
図12のデータは、全金属カップの封止表面を通るガス流についてのコンダクタンスが全金属カップ及びガラスシートの温度の低下につれて増大することを示している。従ってパネル内の圧力もまた、システムが冷えるにつれて増大する。真空グレージングを排気するために処理済みガスケット10を有する排気ヘッド20が使用される場合、グレージングは温度がほぼ200℃に低下したときに封止されるので、これが深刻な問題となることは通常ない。この温度において、処理済みアルミニウムガスケットがヘッドとガラスシートとの間に使用されている場合、コンダクタンスは依然として低く、また、グレージング内の圧力も依然として相応して低い。しかしながら、用途の中には、コンダクタンス及びパネル内に圧力が温度の低下と同じように増大するのが望ましくない可能性がある。これは、特に、パネルを封止する前にそれを室温まで冷却する必要があれば、そのような場合である。測定値は、高温度で、比較的に弱い結合がアルミニウム箔とガラスとの間に形成されること、及びアルミニウムガスケットはこのような冷却中にガラスシートに関して移動しないことを示した。これら2つの構成要素間の真空シールの品質は、システムが室温まで冷えるときに維持されている。システムが冷えるときに全金属カップの封止表面を通るコンダクタンスの増大は、カップ及びガラス間の熱膨張の差によるものであることが分かった。システムが冷えるときに、排気ヘッドはガラスシートよりも大きく収縮する。これにより、カップの封止表面がガラスの対応する領域に対して変位せしめられる。アルミニウムガスケットはガラスシートに結合されているので、カップは従ってアルミニウムガスケットに対して内側へ滑動する。高温度でのガスケットの封止表面の非弾性的変形のために形成されたカップ及びガスケット間の非常に優れた真空封止は、従って、システムが室温に向かい冷えるときに劣化される。
【0072】
大抵の真空設備に関して言うと、図10、図11及び図12において報告した測定で使用される全金属カップは、SUS304のようなオーステナイト系(即ち、300系)ステンレス鋼から製作されている。この材料は、容易に機械加工され且つ溶接されると共に、真空グレージングの製造プロセスで要求されるような高温度で、その強度及び耐食性を保持する。関連温度範囲におけるこの材料の熱膨張率は略18×10−6℃−1である。ソーダ石灰ガラスについては、熱膨張率はもっと小さくて、約8×10−6℃−1である。
【0073】
金属排気カップに使用するのに適用可能な材料は、マルテンサイト系(即ち、400系)ステンレス鋼を含む。これらの系列のステンレス鋼はオーステナイト系よりも実質的に小さな熱膨張率を有している。例えば、関連温度範囲における400系ステンレス鋼の熱膨張率は略11×10−6℃−1である。これらの材料は、真空設備に適しているが、オーステナイト等級のほうが使用するのに都合が良いので、該材料がこの用途に適用されることは滅多にない。
【0074】
図13は、3mm厚のガラスシートに封着されると共に高温加熱サイクルにさらされる2つの排気カップについて、環状領域における圧力と外側封止表面を通るガス流についてのコンダクタンスとの実験的測定値を示している。図13aは、300系(#304)ステンレス鋼を使用してなされた排気カップについてのデータを示している。図13bは、400系(#410)ステンレス鋼を使用してなされた排気カップについてのデータを示している。これらのデータは、#304ステンレス鋼から製作したカップについてのデータと比較して、温度が#410ステンレス鋼から製作した排気カップについて低下するときに、封止表面を通るガス流について起こるコンダクタンスの劣化が実質的に少ないことを示している。図13に提示されたデータは、ヘッド及びガラスの間に存在する熱膨張差がもっと小さければ、システムが室温に向かい下がるときに全金属排気ヘッドとガラスシートとの間に起こる真空封止の劣化は実質的に小さいことを示している。
【0075】
排気ヘッドの膨張特性をガラス壁により良く適合させることの利点は、処理済みガスケット10が利用されようとなかろうと又は他の形式の封止構造が設けられていようとなかろうと達成されることが分かる。
【0076】
従って、本発明は、排気ガラスパネル製造の際にガラス壁に対する排気ヘッドの封止の向上を提供しており、これは、著しく高い真空レベルが達成されることを可能にする。
【0077】
冒頭の特許請求の範囲及び本発明のこれまでの説明は、その文脈が明確な言葉又は不可欠な言外の意味のため別の見方を必要とする場合を除いて、用語“備える”又はその変化形は包括的意味で使用されている、即ち、説明した特徴の存在を明確に述べるためであり、本発明の種々の実施形態における更なる特徴の存在もしくは付加を除外するために使用されているのではない。
【0078】
これまでに説明した諸部分に対し、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく種々の変更及び改変を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】真空グレージングの切欠き概略斜視図である。
【図2】(a)〜(e)は、単一ステップの製造プロセスを使用して、排気ヘッドを組み込んだグレージングを製造する際の連続工程を示している。
【図3】図2のプロセスで使用されるガスケットの平面図である。
【図4】図3のガスケットの一部の詳細断面図である。
【図5】図2の製造プロセスで使用されるときのガスケットの一部を拡大縮尺で示す詳細断面図である。
【図6】図3のガスケットを製造するためのプレス工具の概略図である。
【図7】図6のプレス工具の支承表面を機械加工するためのツーリング装置の概略図である。
【図8】図6のプレス工具の支承表面を拡大縮尺で示す詳細図である。
【図9】焼成チャンバ内に配置されると共に、排気ヘッドを介して外部の真空ポンプに接続されたグレージングを概略的に表示している。
【図10】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図11】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図12】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図13a】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図13b】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気を行なうポートを含むガラス壁により画成される(即ち、囲まれる)チャンバの排気に関するものである。本発明は、真空グレージング及びプラズマディスプレイパネルのような真空ガラスパネルとの関連で開発されたもので、ここではそのような状況を考慮して説明されている。しかしながら、本発明は、例えば、フラットパネルにより形成されたディスプレイ装置を含む、もっと広い用途を有している。
【背景技術】
【0002】
真空グレージングの一形態において、2枚の平らなガラス製離間シートは、向かい合わせの関係で位置決めされると共に、通常ソルダーガラスと呼ばれる低融点ガラスで、それらの縁部の周りで密封されている。これらシート間のスペース(即ち、チャンバ)は排気され、そしてこれらシートの対面分離は、小さな支持ピラー網により維持される。典型的な状況において、グレージングは、0.02〜4.00平方メートル程の表面積、2.0mm〜5mm程のシート厚、0.1mm〜0.2mm程の対面間隔を有するガラスシートから構成することができる。
【0003】
平らなガラス製パネルの製造は、通常、2工程からなり、双方の工程がパネルを高温に加熱することを含んでいる。第1工程において、密閉封止がソルダーガラスを使用して2枚のガラスシートの周辺を囲むようになされる。この過程で、ソルダーガラス粉は、ガラスシートの周辺を囲んで液体スラリーとして付着され、そしてアセンブリ全体は、代表的には460℃を超える高温度まで加熱される。この温度で、ソルダーガラスは溶融して、不透過性素材を形成し、ガラスシートを濡らす。従って、該アセンブリが室温まで冷却されるときにソルダーガラスが固化した場合に、強固な漏れのない封止がガラスシートの縁部の周りに形成される。
【0004】
第2の製造工程において、パネルのチャンバは排気される。これは、通常、ガラスシートの1つにある小さな開口、即ち孔を介してパネル内の空気を除去する真空システムを使用することにより行われる。この排気過程中、アセンブリは、通常オーブン内に置かれていて、排気されたスペース内の諸表面から残留ガスを除去するために高温度まで加熱されている。
【0005】
真空システムへのパネルのチャンバの接続は幾つかの方法により行うことができる。1つの方法では、長いガラス管がガラスパネルの1つにある開口の周りに封着され、この管の内部がパネルの内部容積に接続されるようになっている。この封着は、通常、縁部封止過程中にソルダーガラスで行われる。縁部封止過程の完了時にガラスシートが室温まで冷却された後、管は、O−リング式シールカップリングを使用して真空システムに接続される。該接続は、排気過程中にパネルの加熱のために使用されるオーブンの外部の場所で行なわれるのが普通であるから、O−リングは加熱工程の間低温に留まっている。
【0006】
別の排気方法において、開口は、ガラスシートの一方にある単なる孔であってよい。或いは、開口は、短いガラス管がソルダーガラスで封着されるガラスシートの一方を貫通する孔からなることができる。これらの設計を使用する平らなガラスパネルの排気過程において、封止は、開口を囲むガラスシートの表面に対して直接に行われる。この方法の一実行例において、排気カップ(即ち、ヘッド)は、開口に被さって置かれると共に、O−リングでそのシートの表面に封着される。この場合、排気過程中のガラスシートの温度は220℃に制限されるが、その理由は、それより高い温度でO−リング材料が分解するからである。焼出し過程の完了時、開口は、ガラスシートにある孔を覆ってカップを封着することにより、或いはガラス管の端部を融解することにより閉じられる。
【0007】
縁部封止及び排気過程が単一の加熱工程で行なうことができれば、製造時間の短縮及び製造コストの低下のような重要な利点となることが分かってきた。しかしながら、O−リングの材料は縁部封止過程の高温度に耐え抜けられないので、これは、排気カップをガラスシートに封着するのにO−リングが使用されていれば可能ではない。
【0008】
この問題を超克するためにある方法が開発されてきており、その方法は、本出願人の先行出願であるPCT/AU99/00964号に記載されている。この方法は、ソルダーガラス縁部封止を形成するのに用いられる過程の高温度に耐えることができる排気ヘッドを使用する。該排気ヘッドは、カップが排気されるときに大気圧により排気開口を囲んでガラスシートに押し付けられる2つの同心封止表面を有している。これら表面とガラスシートとの間の接触により形成された封止は、完全に漏れがないわけではない。該封止表面は、別個の真空システムを使用して差を付けてポンピングされる2つの同心チャンバをカップとガラスシートとの間に画成する。外側の環状チャンバは、ロータリーポンプを使用して通常排気され、このチャンバ内の圧力は、代表的には約1トルである。内側のチャンバは、拡散ポンプ又はターボ分子ポンプのどちらかを利用する高真空システムを用いてポンピングされ、このチャンバの圧力は、代表的には10−3トルであり、また、10−4トル程の低さにすることができる。排気ヘッドの2つのチャンバ内の圧力は、それらを排気するラインのポンプ排気速度と、ヘッドの諸封止表面とガラスシートの表面との間の複数の小さな隙間を通る空気の漏れ率とに左右される。これら漏れ率は、2つの表面の清浄度及びそれらの平面度を含め、多くのファクターにより決定される。
【0009】
排気ヘッドの中央領域内に10−3トルの真空を達成することは、非常に高い絶縁性ではない真空グレージングの幾つかの設計を含め、多くの適用例について適切なことである。しかしながら、多くの適用例について、もっと高いレベルの真空が望ましい。非常に高い絶縁設計の真空グレージングは、内部容積内の圧力が約10−4トル以下であるべきことを必要としている。その上、プラズマディスプレイパネルの処理要求は、製造中におけるパネルの内部容積内の圧力がもっと低く、10−5トル〜10−6トルであるべきことを必要としている。国際特許出願であるPCT/AU99/00964号において、このような低圧を得るための方法が記載されている。この方法は、排気ヘッド内で3つ以上のポンピング段階を利用している。かかる多重ポンピング技術は非常に満足に機能するが、それらが必要とする真空システムはもっと複雑であり且つもっと経費がかかる。
【0010】
排気ヘッドの別の問題は、カップの金属封止表面とガラスシートの表面との間の直接接触がガラス表面上にマークを生じさせうることである。これらのマークが著しくガラスを弱体化することはないが、それらは、完成された排気済みパネルを外見的に魅力のないものにするので、望ましくない。これらのマークの発生を防止するために、比較的に軟質の金属ガスケットを排気ヘッドとガラス表面との間に使用することができる。このガスケットは、ガラスパネルの製造中に達する最高の温度で溶融してはならず且つこれら高温度で非常に低い蒸気圧を有する材料で製作しなければならない。約660℃の融点を有するアルミニウムは、このガスケット用に非常に適する材料である。
【0011】
従来、ガスケットは、一般的にほぼ50μm厚さの商業用等級の圧延アルミニウム箔から製作されてきた。ガスケットは、排気ヘッドの外径よりも寸法が大きい。それは、ポンプ抜きするためのガラスパネルの開口の周りの領域に適合するのに十分な大きさの中央孔を有している。また、それは、カップの角度領域(angular region)が排気されたときにガスケットとガラスシートの表面との間のスペースから空気を排除するために、排気ヘッドの封止表面間に位置する領域に1つ以上の孔も有している。
【0012】
しかしながら、以前には、ガスケットの使用は、真空グレージングの絶縁性の高い設計に必要とされ且つプラズマディスプレイパネルのために必要とされる真空レベルが実現されることを可能としていなかった。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、少なくとも好適な形態において、高温過程でチャンバを排気するための改良型封止装置に向けられている。
【0014】
好適な形態において、本発明は、ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの方々での前記封止表面間の厚さの変動は1μm未満である、ガスケットを提供する。
【0015】
一実施形態において、前記ガスケットは、耐熱性であると共に400℃を超える、より好ましくは460℃を超える温度に耐えることができる。一形態において、ガスケット材料はまた、これらの高温度で非常に低い蒸気圧を有している。その適用例において、前記ガスケットは、金属又は金属合金から形成されている。特に好適な形態において、前記ガスケットは、20μm〜80μmの厚さを有するアルミニウムから形成されている。
【0016】
一実施形態において、前記ガスケットの少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている。
【0017】
特定の実施形態において、前記ガスケットの少なくとも1つの面は、少なくとも1つの隆起した山部の配列を含むよう型出しされている。使用中、前記隆起した山部は、前記ガスケットの前記面の封止表面を形成し、そして一形態において、高品質のエアシールを提供するように前記ガスケットを取り囲んで連続的に延びている。一形態において、前記隆起した山部は、前記封止面を取り巻いてらせん状に延びていてよいのに対し、別の実施形態において、少なくとも1つ、好ましくはもっと多いリングの形になっていてよい。
【0018】
上述した形態のガスケットは、パネル及び排気ヘッドが高温度にさらされる排気ガラスパネルの製造の際に使用するのに理想的に適している。このような適用例は、上述した単一加熱ステップの製造過程において使用される場合である。本発明の実施形態によるガスケットは、高温環境に適応可能でありながら、アルミニウム箔から形成された従来のガスケットよりも相対的に低い圧縮力下でより効果的な封止を発揮する。
【0019】
ガラス表面に対する封止を行なうのに金属ガスケットを使用する場合、このガスケットを圧縮する力は、ガラスを破砕することがないであろう十分低い力に維持されなければならない。ガラスパネルを排気するのに排気ヘッドを使用する実際の適用例において、ガスケットに圧縮力を加えるのに外部クランプ装置を使用することは望ましくないし、不都合でもある。この圧縮力は、従って、排気ヘッドの外側表面に作用する大気圧により生じる力に理想的には限定されるべきである。直径が70mmの代表的なヘッドについては、この力は約40Kgの重量と等価である。ガスケットに型出しすることを含め、ガスケットはより良いシールを提供するよう変形することを許容される。このことは、型出しが排気ヘッド又はガラス壁に接触するガスケット材料の部分における応力を平らなガスケットに生ずるよりも大きくさせるので、起こる。次に、ガスケット材料は、側方に流れてガスケットの表面にある谷部もしくは溝に入ることができる。加えて、封止表面の厚さの2点間変動が1μm未満であるガスケットを提供することにより、封止表面間の間隙の量が実質的に減少するので、封止構造が著しく改善される。
【0020】
第2に形態において、本発明は、ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形する伸展性がよりあるように型出しされている、ガスケットを提供している。
【0021】
一形態において、ガスケットの一側のみが型出しされている。このガスケットは、平滑な側を排気ヘッドに接触させると共に型出しされた側をガラスシートに接触させた状態で使用されることができる。この場合、双方の側にかかる応力の増加はガスケットが変形するのを容易にする。
【0022】
別の形態において、ガスケットの双方の側が型出しされている。
【0023】
ガスケットが隆起した領域及び少なくとも1つの谷部もしくは溝を含むよう型出しされている構成の場合、隆起した領域からの材料は溝付きの領域を完全に満たさないかも知れない。らせん溝が使用されれば、ガスケットの両側に、排気ヘッドの封止表面を横切り、これらの完全に満たされていないらせん溝を通る、狭い漏れ通路が存在する。簡単な演算は、無視しうる量の空気がガラスパネルの製造中にこれらの溝に沿って漏れることを示している。従って、このらせん漏れ通路の存在は真空シールの品質を著しく劣化させない。
【0024】
一形態において、ガスケットは、厚さの変動を制限するため及び/又はガスケット表面を型出しするためプレスされる。別の形態において、ガスケットの表面上に溝付き構造を直接に形成するためにフォトリソグラフィー技術もまた使用することができる。この方法が使用されたとすれば、排気ヘッドと共にガスケットを使用している間に生ずる変形が適切な品質の真空シールを達成するのに十分であるようにガスケット材料自体の厚さが十分に均一であることが好ましい。従来のように圧延されたアルミニウム箔の厚さの2点間変動は、そのアルミニウム箔が排気ヘッドをガラスシートに対して封止するためにガスケットとして用いられたときに、望ましい変動よりももっと大きい。特化した圧延技術は従来の圧延アルミニウム箔と比較して厚さの2点間変動を減少させうる可能性があり、また、この方法で製造された箔は、溝がフォトリソグラフィーで形成されているのであれば適当である可能性がある。
【0025】
更なる形態において、本発明は、排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する方法を提供している。該方法は、
前記ポートと、該ポートを囲む前記ガラス壁の部分とを、前記ポートに連通する第1キャビティを有する排気ヘッドで覆うステップと、
前記ガラス壁及び前記ヘッドの間にエアシールを提供するよう前記排気ヘッドと前記ガラス壁との間にガスケットを設けるステップと、
前記壁及び前記ヘッドの間の前記シールを向上させるべく前記ガスケットを十分に変形させるようそれに対し圧縮力を引き起こすステップと、
前記第1キャビティを経由して前記ガラスチャンバを排気するステップと、
を備えている。
【0026】
一形態において、本発明のこの側面に基づく方法は、前記ガラス壁及び前記排気ヘッドの間に前記エアシールを維持しながら450℃よりも高い温度に前記ガラス壁をさらすステップを更に備えている。
【0027】
一形態において、前記圧縮力は、前記排気ヘッドにあるキャビティを排気する結果として前記ガスケットに加えられる。一形態において、これは、前記第1キャビティを排気する(次にチャンバを排気する)ことによりなされる。別の形態において、それは前記排気ヘッドにある第2キャビティを介してでもよく、或いは前記圧縮力は第1及び第2キャビティの双方を排気することにより加えられてもよい。
【0028】
特定の形態において、ガスケットは、本発明の先の側面において前述したような任意の形である。より具体的に言えば、ガスケットは、それが標準の平らなアルミニウム箔よりも変形に対してより従順もしくは伸展性のあるようにプレフォームされたアルミニウム箔から形成することができる。一形態において、この箔は、排気ヘッドにあるキャビティを排気する結果として加えられる圧縮力を受けて変形せしめられる。この力の作用下、前記ガラス壁及び前記排気ヘッドに対して前記封止表面間で測定した前記ガスケットの厚さが1μmよりも大きく減少する。
【0029】
更に別の形態において、本発明は、上述したどの方法においても使用できる排気ヘッドアセンブリを提供している。この側面において、前記排気ヘッドアセンブリは、上述したどの形態に基づいても製作しうるガスケットと排気ヘッドとを備えている。
【0030】
更に別の形態において、本発明は、ガラス壁に近い熱膨張率を有している排気ヘッドを提供する。
【0031】
今まで、大抵の真空設備については、ガラスパネルを排気するのに使用される排気ヘッドは、SUS304のようなオーステナイト系(即ち、300系)ステンレス鋼から形成されていた。この材料は、容易に機械加工され且つ溶接されると共に、真空グレージングの製造プロセスで要求されるような高温度で、その強度及び耐食性を保持する。関連温度範囲におけるこの材料の熱膨張率は略18×10−6℃−1である。ソーダ石灰ガラス(これはガラス壁を形成するのに一般的に用いられる)については、熱膨張率はもっと小さくて、約8×10−6℃−1である。
【0032】
熱膨張率がガラスパネルのそれに近い排気ヘッドを設けることにより、このシステムが室温に向かい低下するときに排気ヘッド及びガラスシート間の真空シールのコンダクタンスの劣化を実質的に小さくすることが分かった。金属排気カップに使用するのに適用可能な材料は、マルテンサイト系(即ち、400系)ステンレス鋼を含む。これらの系列のステンレス鋼はオーステナイト系よりも実質的に小さな熱膨張率を有している。例えば、関連温度範囲における400系ステンレス鋼の熱膨張率は略11×10−6℃−1である。
【0033】
熱膨張率がガラス壁のそれに近い排気ヘッドを設けることにより、排気ヘッドアセンブリが上述した形態のいずれかに従って製作されたガスケットを組み入れている場合、特筆すべき利点がもたらされる。測定は、高温度で、比較的に弱い結合がアルミニウム箔とガラスとの間に形成されること、及びアルミニウムガスケットはパネルの冷却中ガラスに対して運動しないことを示した。これら構成要素間の真空シールの品質は、従って、システムが室温まで低下するときに維持される。しかしながら、排気ヘッドの熱膨張率がガラス壁のそれに近くなければ、システムが冷たくなるときに、排気ヘッドはガラスシートよりもっと収縮する。これによりカップの封止表面がガラスの対応する領域に対して相対的に移動される。アルミニウムガスケットはガラスシートに結合されているので、カップはそのためアルミニウムガスケットに対して内側に滑動する。従って、高温度でのガスケットの型出し表面の非弾性的変形の故に形成される非常に良好な真空シールは、システムが室温に向かい低下するときに劣化される。
【0034】
排気ヘッドの熱膨張率をガラス壁のそれに近くすることは、この問題を改善する。このようなことで、システムが室温に向かい低下するときに排気ヘッド及びガラスシートの真空シールのコンダクタンスに起こる劣化は実質的に小さい。
【0035】
更なる側面において、本発明は、ガスケットの封止表面の厚さの変動を減じると共に、圧縮力の作用下の変形に対してガスケットをより伸展性にするように、ガスケットの少なくとも1つの面を型出しするべく、ガスケットを処理する方法に向けられている。一実施形態において、これは単一ステップの圧縮過程で達成される。更なる側面において、本発明は、上述した過程で使用するプレス工具に関係している。
【0036】
この後、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明するのが適切である。図面並びに関連の記載の詳細は、図面の前述した概略的記載に取って代わるものではないと理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は、離間した対面関係に維持された2枚の平面ガラスシート101,102から構成される平らな排気ガラスパネル100を例示している。該ガラスシートは、ソーダ石灰ガラスから概して構成されると共に、それらの縁部に沿って、縁部封止ソルダーガラスのビード103によって相互に接続されている。
【0038】
チャンバ104は、2枚のガラスシート101,102により画成されており、またこれらのシートは、支持ピラー105のピラー網又はアレーにより離間関係に維持されている。チャンバ104は10−3トルより下のレベルまで排気され、これにより、他の熱流メカニズムに関して無視できるシートを通る気体熱伝導を可能にする。
【0039】
ガラスシート101は開口106(図2参照)を具備して形成されており、ポンプ抜きガラス管107は、この開口106内に置かれてそこから外方へ突き出るように位置決めされている。ポンプ抜き管は、ソルダーガラスのビード108によりガラスシートに封着されている。ポンプ抜き管は、図1に例示したようにパネルの排気に続いて封着される。
【0040】
平らな排気ガラスパネル100の製造には、主に二作業を必要としており、第1の作業はガラスパネル101,102の周りに縁部シールを設けることであり、第2の作業はチャンバ104を排気することである。典型的には、これら双方の作業はパネルを高温度に加熱することを含んでいる。
【0041】
従来、これら2つの作業は別個のステップで行なわれていたが、これらは、本出願人の先行出願であるPCT/AU99/00964号に詳細に記載されているように単一の加熱ステップで行なうことができる。この単一段階プロセスは、排気ヘッド20が利用されている図2に関して記載されている。最初に、パネル100の2枚のガラスシート101,102が図2の(a)に示すように組み立てられる。その後、液体懸濁液中では粉体であるソルダーガラス21が図2の(b)に示すようにガラスシートの外縁部109,110の周り及びポンプ抜き管7の周りに取り付けられる。
【0042】
排気ヘッド20は、ポンプ抜き管7を覆ってシート101の表面上に配置される。この排気ヘッド20は、中央の第1キャビティ23を組み入れた又は具備して形成された金属本体部22を備えている。第1キャビティ23は、寸法的に、ポンプ抜き管7を受け入れると共に、チャンバ104の排気及びガス抜きを可能にする形に作られている。第1キャビティ23は、ポート24及び導管25を経由して、図9に略示するように焼成チャンバ50の外部に配置される真空ポンプ51に接続されている。
【0043】
第2の環状キャビティ26もまた排気ヘッド20の本体部22内に設けられている。この第2キャビティ26は、第1キャビティ23を囲んで位置決めされると共に、使用時には、ポンプ抜き管7を囲むガラスシート101の表面により閉じられるよう配置されている。第1及び第2キャビティ23,26の間には第1の環状ランド部27が配置されており、第2の環状ランド部28は環状の第2キャビティ26を囲んでいる。
【0044】
ガスケット10は、後から詳細に論じるように、排気ヘッドとガラスシート101との間に配置されており、これは、排気ヘッド20とガラスシート101との間に良好な真空シールを提供するよう設計されている。
【0045】
キャビティ26の環状ランド部27,28は、図9に示したように、ポート29及び導管30を経由して別の真空ポンプ52に接続されている。
【0046】
排気ヘッド20は、代表的には、50mm〜100mmの外径を有し、中央の第1キャビティ23は、代表的には、10mm〜20mm程の直径を有するであろう。ランド部27,28の各々は、1mm程の半径方向の幅を有するが、0.10mm〜10mmの範囲内にあってもよいであろう。
【0047】
パネル100に排気ヘッド20を接続した後、アセンブリ全体をチャンバ内で460℃前後まで加熱する。このプロセスの間、ソルダーガラスが溶融して、グレージング101,102の縁部の周り及びポンプ抜き管7の周りにシール103を形成する。同時に、2つの環状ランド部27及び28の間の環状チャンバ26は、ポンプ52により排気される。このポンプ52は典型的にはロータリーポンプであり、キャビティ26内の圧力は代表的には1トル前後の値に達する。
【0048】
次にグレージング及び排気ヘッドは(380℃前後の温度まで)冷却されて、そこでソルダーガラスが固化し、そして2枚のガラスシート101,102間のチャンバの排気が高真空システム51を排気ヘッド20の中央のキャビティ23に接続することにより開始される。この高真空システム51は、拡散ポンプ又はターボ分子ポンプのどちらかを利用しており、このチャンバにおける圧力は、代表的には10−3トル以下である。
【0049】
排気ヘッドの中央の領域内に10−3トルの真空を達成することは、非常に高絶縁ではない真空グレージングの一部の設計を含め、多くの用途に対して適切である。しかしながら、高レベルの真空が望ましく、例えば、10−3トルの真空を媒介する熱伝導により流れる少量であるが十分な量の熱は、真空グレージングの断熱特性の無視できない低下に結果としてなる。従って、真空グレージングの非常に高い絶縁設計は、内部容積内の圧力が約10−4トル以下とすべきであることを必要とする。加えて、プラズマディスプレイパネルの処理要件は、この製造中のパネルの内部容積における圧力がもっと低く10−5トル〜10−6トルとすべきであることを必要とする。排気ヘッド20及びガラスシート101の間にガスケット10を組み込むことによって、該ガスケットにより与えられる封止の効果のため、このような高レベルの真空を実現することが可能とされる。
【0050】
グレージング100及び排気ヘッド20が冷却されているときに、キャビティ23の排気は維持されている。この冷却期間中に使用される特定の温度/時間スケジュールは、グレージングのために諸内部表面の適切なガス放出を実現するのに必要な時間にすべて左右されており、従って、グレージング100の構造に依存して変化しうる。
【0051】
ガス放出及び排気が完了したならば、ポンプ抜き管107が閉止され、パネルの組立てが完了する。図2の(e)に示した形態において、これは、ポンプ抜き管107の端部を溶融及び溶断することによる。
【0052】
図3及び図4は、上述した排気プロセスにおいて使用されるガスケット10を例示している。
【0053】
ガスケット10は、50μm厚さの商業用等級の圧延アルミニウム箔から製作されるのが典型的である。このガスケットは、ガラスパネルの製造中に達する最高温度で溶融せず且つこれらの高い温度で非常に低い蒸気圧を有する材料で製作することが必要である。また、ガスケットは、排気ヘッドによるガラスのマーク付けを阻止するために比較的に軟質の金属から製作されることが好ましい。アルミニウムは非常に適する材料であるが、当業者には分かるように、その他の適当な金属又は金属合金のようなその他の材料を使用してもよい。
【0054】
ガスケット10は、排気ヘッド20の外径よりも寸法が大きい。それは、対峙する主要な面11及び12を有すると共に、ガラスシート101のポンプ抜き管107の周りの領域に適合するのに十分な大きさの中央の孔13を含んでいる。ガスケット10はまた、面11上に、又は双方の面11,12上に、排気ヘッド20の環状ランド部27,28と整合するよう設計された環状の封止表面14,15も含んでいる。
【0055】
ガスケット10はまた、封止表面14,15の間に1つ以上の孔16も含んでいる。これらの孔は、カップの環状領域が排気されたときにガスケット10とガラスシート101の表面との間のスペースからの空気の除去を可能とする。
【0056】
図4に最も良く示すように、封止表面14,15は、特に、隆起した山部18により隔てられた一連の細かな同心の又は同心に近い谷部17を備えて型出しされている。他方の面12にも同様に型出しされた複数の環状表面19が設けられていて、これらは、ガラスシート101に係合すると共に、ガスケット10の上側の面11にある型出し表面14,15に直接に対峙して配置されている。封止表面(14,15,19)におけるこの外形はガスケットをより従順にするためであり、ガスケットはガラスシート101及び排気ヘッド20の間でのガスケットの圧縮の際により容易に変形するであろう。
【0057】
排気ヘッド20及びガスケット10はプロセス中に高温度に加熱されてガラスパネル100の縁部シールを形成するので、アルミニウムガスケットの降伏強さが低下し、そして排気ヘッド20の係合表面(即ち、ランド部27,28)は、大気圧の力の作用下にガスケットの材料を徐々に変形させる。ガスケットの型出し封止表面14,15は、該表面が平らである場合に起こる変形よりも十分に大きな量の変形が起きることを可能にする。この変形の増大は、2つの理由により起こる。まず第1に、ガスケット10は、封止表面の呼び面積の小部分に過ぎない隆起した山部18上でのみ排気ヘッドの封止表面及びガラスシートと接触している。その結果、これらの表面と接触するガスケット材料の部分における応力が、平らな表面に起こる場合よりも大きくなる。第2に、排気ヘッド及びガラスパネル101の封止表面に接触するガスケットの山部18からの材料が側方に流れてガスケットの封止表面にある谷部17に入ることができる。従って、この過程でのガスケットの所定圧縮量は、ガスケットが平らな封止表面をもつ場合よりもガスケットの材料の移動を実質的に少なくてよくする。図5は、ガスケットが排気ヘッド20とガラスパネル101との間で圧縮された後に金属ガスケットの形状が通常どのようにして変わるかを図解的に示している。谷部17の存在は、そのためにガスケットの従順性を効果的に増して、ガスケットの各面における封止表面での平均1μm〜2μmの全変形を可能にする。
【0058】
排気ヘッド20とガラスシート101との間にシールを提供する際のガスケット10の有効性を更に増すために、このガスケットは、対向縁部領域間の厚さの2点間変動が好ましくは1μm未満、更に好ましくは0.6μm未満の厳しい公差内にあるように設けられている。この厳しい公差を維持することは、ガラス及び排気ヘッドガスケットの封止表面の平面性からの何らかの逸脱が、特にガスケットの変形量がこの平面性の逸脱を補償できない場合に、シールの品質に影響しうるので、シールを改善することになる。
【0059】
排気ヘッドの封止表面は、平面性からの2点間逸脱が±0.1μmよりもっと小さいように機械加工することが可能である。もっと小さい平面性からの逸脱は通常排気ヘッドの直径を覆ってフロートガラス片に起こる。しかしながら、従来の圧延アルミニウム箔の平均厚さの2点間変動は、典型的には、50μm厚の箔について、箔の厚さの±2%、即ち±1μmほどの大きさである。けれども、測定値は、2μmほどの大きさの局所的厚さ変化がかかる箔の数mm離れたポイントで起こりうることを示していた。これらの変動は、圧延過程中に箔が製造される方法のために生ずる。
【0060】
従って、アルミニウムガスケットを使用して良好な真空シールを提供するために、排気ヘッドに作用する大気圧のためにガスケットにかかる比較的に小さな力を受けるアルミニウム箔の平面性からの逸脱により生ぜしめられる間隙を無くすことが必要である。
【0061】
ガスケットの封止表面14,15,19上に型出しを行なうと共に、これら表面の2点間厚さに変動をもたらすために、ガスケット10は、排気アセンブリに組み入れる前に処理される。この前処理は、図6に最も良く示すように、単一圧縮工程により行われる。
【0062】
特に図6に示すように、ガスケットの処理には、一方ではプレス工具40の2つの硬質金属表面41,42によりガスケットの諸領域を他方ではプレス工具46の平らな表面47上に圧縮もしくは押し付けることが含まれる。プレス工具は、この圧縮工程中にガスケットを支承する一側にある表面41,42及び他側にある表面47が、形の上で非常に平らであるように製作されている。これら支承表面の双方はまた、図8に最も良く示すように、若干窪んだ領域44により隔てられた一連の同心の、又は同心に近い隆起した山部43からなる微細構造を有している。金属プレス工具40の支承表面41,42,47にある個々の山部43は、その表面の溝状の領域44よりも1μm〜5μm高いのが典型的である。押圧工程中、ガスケット10は不可逆的に変形されるので、プレス工具10の表面41,42,47の形状がガスケットの表面14,15,19に移され、それによりガスケットの型出し封止表面を形成する。従って、プレス工具の硬質表面、該プレス工具の表面の形状を反映した構造をガスケットの表面に与える。加えて、プレス工具の支承表面は極めて平らであるから、ガスケットの圧縮は同ガスケットの厚さの2点間変動を減少させる。
【0063】
図7は、プレス工具40の支承表面に対する最終機械加工工程を行なう方法を示している。この図に示すように、金属プレス工具40の支承表面41,42,47は、それらが形の上で非常に平らであるように通常の金属加工旋盤60により機械加工される。プレス工具40の支承表面41,42,47の平面性からの2点間逸脱は、旋盤60の主駆動軸にある軸受の品質と、最終加工工程において切削工具を前進させる前後送りの運動の完全性とに左右される。典型的には、良好な状態にある金属加工旋盤で±0.4μmほどの平面性からの2点間逸脱が容易に達成可能である。
【0064】
プレス工具40の支承表面の最終加工工程は、金属プレス工具40の支承表面の極めて微細な層を除去する硬化切削工具61を使用して旋盤で行われる。切削工具の端部は、その外形が機械表面の所望形状を反映するように機械加工されている。この加工の際、切削工具61の端部は、横断面が略円形である形状を有するように機械加工されている。この最終加工工程において、切削工具は、典型的には、機械加工されつつある表面の1回転につき約25μmだけ進める非常に遅い速度で前進される。従って、この加工工程は、金属プレス工具のさもなければ非常に平らな表面上に対応するピッチを有する微細ならせん構造を残す。図7及び図8に示すように、このらせん構造は、中空の谷部44により隔てられた、これら表面の名目上平らな面の上方に若干突き出る一連の山部43からなっている。上述したように、金属プレス工具の支承表面上にある個々の山部43は、その表面の谷部領域よりも代表的には1μm〜5μmだけ高い。
【0065】
金属プレス工具40は、それが排気ヘッド20の封止表面(27,28)の諸位置を中心とすると共に該封止表面よりも若干幅広の金属ガスケットの諸領域から構成されるように、設計されている。このことは、それがガラスパネルの製造プロセス中に真直ぐ進んで排気ヘッド20をガスケット10の処理済み領域上に位置付けるように行われる。一例として、典型的な排気ヘッドは、1mm幅のランド部27,28を有している。この場合、金属プレス工具40は、アルミニウムガスケットを変形させる支承表面41,42が排気ヘッドの封止表面27,28と同じ位置に心出しされると共に約2mm幅であるように設計されるのが典型的である。
【0066】
図6に例示した金属プレス工具40は、軟鋼又は硬化工具鋼のようなアルミニウムよりも相当に硬質の材料から製作されている。工具は2つの部分45,46から構成されており、該部分は、これらがガスケットをプレスするのに使用されるときに所定位置に常に一緒にくるように、整列されている。図示のような工具の一設計例において、一方の部分46は、支承表面47が均一に平らであるように機械加工されているのに対して、他方の部分上の支承表面41,42は、それらが排気ヘッド20の封止表面の位置に対応する場所にある領域においてのみアルミニウムガスケットを押圧するように機械加工されている。プレス工具の別の設計例において(図示せず)、双方の部分の支承表面は工具の残部に対して持ち上げられている。プレス工具の作動原理は双方の場合とも基本的に同一である。上述したように、プレス工具の封止表面は、押圧動作を受けるガスケットの領域が排気ヘッドの封止表面の下に完全に配置できるように、排気ヘッドの封止表面よりも若干幅が大きく製作されている。
【0067】
排気ヘッド20が製造プロセス中にガラスパネル101の上に位置付けられているときに、アルミニウムガスケットヘッド10は、ヘッドの封止表面27,28に関して適切に配置されていることが重要である。特に、ヘッドの封止表面は、プレス工具40においてすでに変形されたガスケットの領域14,15上に完全に設置されていなければならない。これを実現する比較的に簡単な方法の一つは、ガスケットをプレス工具40内に依然として保持しながら、その外側領域の諸部分を曲げることである。これは図6において仮想線で概略的に示されている。プレスされたガスケットの上向き湾曲領域は、ヘッドの封止表面を適切に設置するべく、排気ヘッド20を位置決めするためのガイドを提供している。
【0068】
アルミニウムガスケット10を処理する効果の目安は、システムが460℃前後の温度まで焼成される排気工程の後に排気ヘッドの封止表面によりガスケットに残されている目安となるマークを観察することによって、得ることができる。従来のように圧延されたアルミニウムガスケットが使用される場合、排気ヘッドの封止表面によるガスケットの非弾性的変形に関連した目安のマークは封止区域の周囲を不連続に取り巻いている。しかしながら、プレス済みガスケット10については、排気工程の後にガスケット上にある目安のマークは、ガスケットの周囲を取り巻いて連続的であることが観察される。この観察により、ガスケットの処理は排気ヘッドの封止表面がまたガラスシートの外側表面が未処理のガスケットについて起こるよりも処理済みガスケットの表面とより緊密に接触することが示されている。次にこれは、より良い真空シール、並びに排気ヘッドの諸領域内の圧力減少という結果になる。
【0069】
処理済みガスケットと共に排気ヘッドを使用して平らなガラスパネルを排気する際に得ることができる特性の向上は、ヘッドの封止表面を通るガス流に関連したコンダクタンスを測定することにより定量的に評価された。これらの測定を行なうため、排気ヘッドをガラスシート上に置き、ヘッドの2つの領域を適切に設計された真空システムで排気した。カップの個々の領域をポンプ抜きする2つの真空ライン内の圧力を記録しながら、アセンブリを460℃前後まで加熱し、その後冷却した。これらの測定を行なう方法や排気ヘッドの封止表面を通るガス流のコンダクタンスを演算する方法は、西暦2002年7月に刊行された雑誌「真空科学技術(Vacuum Science and Technology)」第A20巻、第4号の第1384頁〜第1389頁において“平らなガラス表面に対する焼成可能な取外し式全金属真空シール”と題するエヌ・エヌジー・アール・イー・コリンズ(N Ng, R E Collins)及びエム・レンツェン(M Lenzen)の論文に記載されている。
【0070】
この論文に記載された方法を使用して、ヘッドを3mm厚のガラスシートに対し封着し排気したときの、排気ヘッドの外側(Cout)及び内側(Cin)封止表面を通るコンダクタンスの値を測定した。これらの測定の際、ヘッド及びガラスシートをほぼ460℃の温度まで加熱し、この温度に約1時間保持し、その後冷却可能とする。図10は、アルミニウムガスケットのない排気ヘッドについての代表的な測定コンダクタンス及び温度を提示している。図11は、未処理のアルミニウムガスケットをヘッド及びガラスシートの間に使用した場合の同様のデータを示している。図12においては、上述した方法に基づいてプレスしたアルミニウムガスケットを使用した場合のデータが提示されている。いずれの場合でも、コンダクタンスの測定値は温度の上昇に伴って低下している。アルミニウムガスケットが使用されない場合(図10)、又は未処理のアルミニウムガスケットについては(図11)、この低下の大部分は、封止表面を通り且つ排気ラインにあるガス流についてのコンダクタンスの温度依存性に由来している。しかしながら、処理済みガスケットを使用した場合、図12のデータは、高温度で測定された排気ヘッドの封止表面を通るガス流についてのコンダクタンスがガスケットのないときに、或いは未処理のガスケットが使用されたときに、確認されたものよりも実質的に小さいことを示している。例えば、1mm幅の封止表面を有する排気ヘッドについて、ガスケットの処理により主として、排気ヘッドの外側封止表面を通るガス流について高温度でのコンダクタンスが5×10−51s−1から5×10−61s−1以下へと減少する結果となる。同様に、ガスケットの処理により、排気ヘッドの内側封止表面を通るガス流に関連した高温度でのコンダクタンスが10−61s−1から10−81s−1に近い値まで減少する結果となる。これらコンダクタンスの減少は、適切な真空ポンプ抜き技術が使用されれば、排気ヘッドの2つの別個の領域内、またガラスパネルの内部内の圧力を対応してより低くすることが実現可能である。
【0071】
図12のデータは、全金属カップの封止表面を通るガス流についてのコンダクタンスが全金属カップ及びガラスシートの温度の低下につれて増大することを示している。従ってパネル内の圧力もまた、システムが冷えるにつれて増大する。真空グレージングを排気するために処理済みガスケット10を有する排気ヘッド20が使用される場合、グレージングは温度がほぼ200℃に低下したときに封止されるので、これが深刻な問題となることは通常ない。この温度において、処理済みアルミニウムガスケットがヘッドとガラスシートとの間に使用されている場合、コンダクタンスは依然として低く、また、グレージング内の圧力も依然として相応して低い。しかしながら、用途の中には、コンダクタンス及びパネル内に圧力が温度の低下と同じように増大するのが望ましくない可能性がある。これは、特に、パネルを封止する前にそれを室温まで冷却する必要があれば、そのような場合である。測定値は、高温度で、比較的に弱い結合がアルミニウム箔とガラスとの間に形成されること、及びアルミニウムガスケットはこのような冷却中にガラスシートに関して移動しないことを示した。これら2つの構成要素間の真空シールの品質は、システムが室温まで冷えるときに維持されている。システムが冷えるときに全金属カップの封止表面を通るコンダクタンスの増大は、カップ及びガラス間の熱膨張の差によるものであることが分かった。システムが冷えるときに、排気ヘッドはガラスシートよりも大きく収縮する。これにより、カップの封止表面がガラスの対応する領域に対して変位せしめられる。アルミニウムガスケットはガラスシートに結合されているので、カップは従ってアルミニウムガスケットに対して内側へ滑動する。高温度でのガスケットの封止表面の非弾性的変形のために形成されたカップ及びガスケット間の非常に優れた真空封止は、従って、システムが室温に向かい冷えるときに劣化される。
【0072】
大抵の真空設備に関して言うと、図10、図11及び図12において報告した測定で使用される全金属カップは、SUS304のようなオーステナイト系(即ち、300系)ステンレス鋼から製作されている。この材料は、容易に機械加工され且つ溶接されると共に、真空グレージングの製造プロセスで要求されるような高温度で、その強度及び耐食性を保持する。関連温度範囲におけるこの材料の熱膨張率は略18×10−6℃−1である。ソーダ石灰ガラスについては、熱膨張率はもっと小さくて、約8×10−6℃−1である。
【0073】
金属排気カップに使用するのに適用可能な材料は、マルテンサイト系(即ち、400系)ステンレス鋼を含む。これらの系列のステンレス鋼はオーステナイト系よりも実質的に小さな熱膨張率を有している。例えば、関連温度範囲における400系ステンレス鋼の熱膨張率は略11×10−6℃−1である。これらの材料は、真空設備に適しているが、オーステナイト等級のほうが使用するのに都合が良いので、該材料がこの用途に適用されることは滅多にない。
【0074】
図13は、3mm厚のガラスシートに封着されると共に高温加熱サイクルにさらされる2つの排気カップについて、環状領域における圧力と外側封止表面を通るガス流についてのコンダクタンスとの実験的測定値を示している。図13aは、300系(#304)ステンレス鋼を使用してなされた排気カップについてのデータを示している。図13bは、400系(#410)ステンレス鋼を使用してなされた排気カップについてのデータを示している。これらのデータは、#304ステンレス鋼から製作したカップについてのデータと比較して、温度が#410ステンレス鋼から製作した排気カップについて低下するときに、封止表面を通るガス流について起こるコンダクタンスの劣化が実質的に少ないことを示している。図13に提示されたデータは、ヘッド及びガラスの間に存在する熱膨張差がもっと小さければ、システムが室温に向かい下がるときに全金属排気ヘッドとガラスシートとの間に起こる真空封止の劣化は実質的に小さいことを示している。
【0075】
排気ヘッドの膨張特性をガラス壁により良く適合させることの利点は、処理済みガスケット10が利用されようとなかろうと又は他の形式の封止構造が設けられていようとなかろうと達成されることが分かる。
【0076】
従って、本発明は、排気ガラスパネル製造の際にガラス壁に対する排気ヘッドの封止の向上を提供しており、これは、著しく高い真空レベルが達成されることを可能にする。
【0077】
冒頭の特許請求の範囲及び本発明のこれまでの説明は、その文脈が明確な言葉又は不可欠な言外の意味のため別の見方を必要とする場合を除いて、用語“備える”又はその変化形は包括的意味で使用されている、即ち、説明した特徴の存在を明確に述べるためであり、本発明の種々の実施形態における更なる特徴の存在もしくは付加を除外するために使用されているのではない。
【0078】
これまでに説明した諸部分に対し、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく種々の変更及び改変を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】真空グレージングの切欠き概略斜視図である。
【図2】(a)〜(e)は、単一ステップの製造プロセスを使用して、排気ヘッドを組み込んだグレージングを製造する際の連続工程を示している。
【図3】図2のプロセスで使用されるガスケットの平面図である。
【図4】図3のガスケットの一部の詳細断面図である。
【図5】図2の製造プロセスで使用されるときのガスケットの一部を拡大縮尺で示す詳細断面図である。
【図6】図3のガスケットを製造するためのプレス工具の概略図である。
【図7】図6のプレス工具の支承表面を機械加工するためのツーリング装置の概略図である。
【図8】図6のプレス工具の支承表面を拡大縮尺で示す詳細図である。
【図9】焼成チャンバ内に配置されると共に、排気ヘッドを介して外部の真空ポンプに接続されたグレージングを概略的に表示している。
【図10】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図11】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図12】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図13a】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【図13b】図2の手順及びその変形例を実施する際に得られた測定値のグラフを示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、該ガスケットは、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの方々での前記封止表面間の厚さの変動は1μm未満である、ガスケット。
【請求項2】
前記ガスケットは、耐熱性であると共に400℃を超える温度に耐えることができる、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記ガスケットは、金属又は金属合金から形成されている、請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記ガスケットは、20μm〜80μmの厚さを有するアルミニウム箔から形成されている、請求項3に記載のガスケット。
【請求項5】
少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項6】
前記ガスケットの少なくとも1つの面は、少なくとも1つの隆起した山部の配列を含むよう型出しされている、請求項5に記載のガスケット。
【請求項7】
前記隆起した山部は、前記ガスケットの前記面の封止表面を形成すると共に、高品質のエアシールを提供するように前記ガスケットを取り囲んで延びている、請求項6に記載のガスケット。
【請求項8】
前記隆起した山部は、前記封止面を取り巻いてらせん状に延びている、請求項7に記載のガスケット。
【請求項9】
前記隆起した山部はリングの形になっている、請求項6又は7に記載のガスケット。
【請求項10】
前記ガスケットの各封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている、請求項5〜9のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項11】
ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、該ガスケットは、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形する伸展性が非型出しガスケットよりもあるように型出しされている、ガスケット。
【請求項12】
前記ガスケットの少なくとも1つの面は、少なくとも1つの隆起した山部の配列を含むよう型出しされている、請求項11に記載のガスケット。
【請求項13】
前記隆起した山部は、前記ガスケットの前記面の封止表面を形成すると共に、適切な気密シールを提供するように前記ガスケットを取り囲んで延びている、請求項12に記載のガスケット。
【請求項14】
前記隆起した山部は、前記封止面を取り巻いてらせん状に延びている、請求項13に記載のガスケット。
【請求項15】
前記隆起した山部は、リングの形になっている、請求項11又は12に記載のガスケット。
【請求項16】
各封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている、請求項11〜15のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項17】
排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する際に使用するための排気ヘッドアセンブリであって、該アセンブリは、前記ポートと連通するよう作動可能である第1キャビティを有する排気ヘッドと、該第1キャビティの周りに広がるガスケットとを備え、該ガスケットは請求項1〜16のいずれか1項に従っている、排気ヘッドアセンブリ。
【請求項18】
排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する方法であって、該方法は、
前記ポートと、該ポートを囲む前記ガラス壁の部分とを、前記ポートに連通する第1キャビティを有する排気ヘッドで覆うステップと、
前記ガラス壁及び前記ヘッドの間にエアシールを提供するよう前記排気ヘッドと前記ガラス壁との間にガスケットを設けるステップと、
前記壁及び前記ヘッドの間の前記シールを向上させるべく前記ガスケットを十分に変形させるようそれに対し圧縮力を加えるステップと、
前記第1キャビティを経由して前記ガラスチャンバを排気するステップと、
を備える、チャンバを排気する方法。
【請求項19】
前記ガラス壁及び前記排気ヘッドの間に前記エアシールを維持しながら400℃より高い温度に前記ガラス壁をさらすステップを更に備える、請求項18に記載のチャンバを排気する方法。
【請求項20】
前記圧縮力は、前記排気ヘッドにあるキャビティを排気する結果として前記ガスケットに加えられる、請求項18又は19に記載のチャンバを排気する方法。
【請求項21】
前記ガスケットは、20μm〜80μmの厚さを有するアルミニウム箔から形成されており、前記圧縮力の作用下に前記ガスケットを変形するときに、前記ガラス壁及び前記排気ヘッドに対して前記封止表面間で測定した前記ガスケットの厚さが1μmよりも大きく減少する、請求項18〜20のいずれか1項に記載のチャンバを排気する方法。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項に記載のチャンバを排気する方法であって、更に、
前記排気ヘッド、ガスケット及びガラス壁を加熱するステップと、
前記排気ヘッド、ガスケット及びガラス壁の冷却中に前記チャンバを排気するステップと、
を備えており、前記ガスケット及び前記排気ヘッドは、前記チャンバが排気されている間にこれら構成要素の相対移動を抑えるように前記ガラス壁に近い熱膨張率を有している、チャンバを排気する方法。
【請求項23】
排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する際に使用する排気ヘッドであって、該排気ヘッドは、前記ガラス壁に近い熱膨張率を有している、排気ヘッド。
【請求項24】
前記ガラス壁はほぼ8×10−6℃−1の熱膨張率を有しており、前記排気ヘッドはほぼ8×10−6℃−1の熱膨張率を有するマルテンサイト系ステンレス鋼から形成されている、請求項23に記載の排気ヘッド。
【請求項25】
ガスケットを処理する方法であって、
前記ガスケットを圧縮するため、対向する面を有すると共に、少なくともその1つの面が型出し表面を含んでいるプレス工具を用意するステップと、
該プレス工具の前記対向する面間で前記ガスケットを圧縮するステップと、
を備え、前記ガスケットの圧縮時に、前記ガスケットの方々での封止表面間の厚さの変動が減少し、前記ガスケットの少なくとも1つの面が前記型出し表面により型出しされて、封止面に対し圧縮力を加えるときに変形すべくより伸展性であるようになっている、ガスケットを処理する方法。
【請求項1】
ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、該ガスケットは、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの方々での前記封止表面間の厚さの変動は1μm未満である、ガスケット。
【請求項2】
前記ガスケットは、耐熱性であると共に400℃を超える温度に耐えることができる、請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記ガスケットは、金属又は金属合金から形成されている、請求項1又は2に記載のガスケット。
【請求項4】
前記ガスケットは、20μm〜80μmの厚さを有するアルミニウム箔から形成されている、請求項3に記載のガスケット。
【請求項5】
少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項6】
前記ガスケットの少なくとも1つの面は、少なくとも1つの隆起した山部の配列を含むよう型出しされている、請求項5に記載のガスケット。
【請求項7】
前記隆起した山部は、前記ガスケットの前記面の封止表面を形成すると共に、高品質のエアシールを提供するように前記ガスケットを取り囲んで延びている、請求項6に記載のガスケット。
【請求項8】
前記隆起した山部は、前記封止面を取り巻いてらせん状に延びている、請求項7に記載のガスケット。
【請求項9】
前記隆起した山部はリングの形になっている、請求項6又は7に記載のガスケット。
【請求項10】
前記ガスケットの各封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている、請求項5〜9のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項11】
ガラス壁及び排気ヘッドの間にエアシールをもたらす際に使用するためのガスケットであって、該ガスケットは、対向する面を有すると共に、この一方の面にあって前記排気ヘッドにある対応の封止表面に係合する第1の封止表面と、他方の面にあって前記ガラス壁に係合する第2の封止表面とを備えており、前記ガスケットの少なくとも1つの面にある前記封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形する伸展性が非型出しガスケットよりもあるように型出しされている、ガスケット。
【請求項12】
前記ガスケットの少なくとも1つの面は、少なくとも1つの隆起した山部の配列を含むよう型出しされている、請求項11に記載のガスケット。
【請求項13】
前記隆起した山部は、前記ガスケットの前記面の封止表面を形成すると共に、適切な気密シールを提供するように前記ガスケットを取り囲んで延びている、請求項12に記載のガスケット。
【請求項14】
前記隆起した山部は、前記封止面を取り巻いてらせん状に延びている、請求項13に記載のガスケット。
【請求項15】
前記隆起した山部は、リングの形になっている、請求項11又は12に記載のガスケット。
【請求項16】
各封止表面は、該封止表面に対し圧縮力を加えるときに変形するため、非型出しガスケットよりも伸展性があるように型出しされている、請求項11〜15のいずれか1項に記載のガスケット。
【請求項17】
排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する際に使用するための排気ヘッドアセンブリであって、該アセンブリは、前記ポートと連通するよう作動可能である第1キャビティを有する排気ヘッドと、該第1キャビティの周りに広がるガスケットとを備え、該ガスケットは請求項1〜16のいずれか1項に従っている、排気ヘッドアセンブリ。
【請求項18】
排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する方法であって、該方法は、
前記ポートと、該ポートを囲む前記ガラス壁の部分とを、前記ポートに連通する第1キャビティを有する排気ヘッドで覆うステップと、
前記ガラス壁及び前記ヘッドの間にエアシールを提供するよう前記排気ヘッドと前記ガラス壁との間にガスケットを設けるステップと、
前記壁及び前記ヘッドの間の前記シールを向上させるべく前記ガスケットを十分に変形させるようそれに対し圧縮力を加えるステップと、
前記第1キャビティを経由して前記ガラスチャンバを排気するステップと、
を備える、チャンバを排気する方法。
【請求項19】
前記ガラス壁及び前記排気ヘッドの間に前記エアシールを維持しながら400℃より高い温度に前記ガラス壁をさらすステップを更に備える、請求項18に記載のチャンバを排気する方法。
【請求項20】
前記圧縮力は、前記排気ヘッドにあるキャビティを排気する結果として前記ガスケットに加えられる、請求項18又は19に記載のチャンバを排気する方法。
【請求項21】
前記ガスケットは、20μm〜80μmの厚さを有するアルミニウム箔から形成されており、前記圧縮力の作用下に前記ガスケットを変形するときに、前記ガラス壁及び前記排気ヘッドに対して前記封止表面間で測定した前記ガスケットの厚さが1μmよりも大きく減少する、請求項18〜20のいずれか1項に記載のチャンバを排気する方法。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項に記載のチャンバを排気する方法であって、更に、
前記排気ヘッド、ガスケット及びガラス壁を加熱するステップと、
前記排気ヘッド、ガスケット及びガラス壁の冷却中に前記チャンバを排気するステップと、
を備えており、前記ガスケット及び前記排気ヘッドは、前記チャンバが排気されている間にこれら構成要素の相対移動を抑えるように前記ガラス壁に近い熱膨張率を有している、チャンバを排気する方法。
【請求項23】
排気ポートを含むガラス壁により少なくとも部分的に囲まれているチャンバを排気する際に使用する排気ヘッドであって、該排気ヘッドは、前記ガラス壁に近い熱膨張率を有している、排気ヘッド。
【請求項24】
前記ガラス壁はほぼ8×10−6℃−1の熱膨張率を有しており、前記排気ヘッドはほぼ8×10−6℃−1の熱膨張率を有するマルテンサイト系ステンレス鋼から形成されている、請求項23に記載の排気ヘッド。
【請求項25】
ガスケットを処理する方法であって、
前記ガスケットを圧縮するため、対向する面を有すると共に、少なくともその1つの面が型出し表面を含んでいるプレス工具を用意するステップと、
該プレス工具の前記対向する面間で前記ガスケットを圧縮するステップと、
を備え、前記ガスケットの圧縮時に、前記ガスケットの方々での封止表面間の厚さの変動が減少し、前記ガスケットの少なくとも1つの面が前記型出し表面により型出しされて、封止面に対し圧縮力を加えるときに変形すべくより伸展性であるようになっている、ガスケットを処理する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【公表番号】特表2006−521504(P2006−521504A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501375(P2006−501375)
【出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000238
【国際公開番号】WO2004/076892
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(500026418)ザ・ユニバーシティ・オブ・シドニー (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000238
【国際公開番号】WO2004/076892
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(500026418)ザ・ユニバーシティ・オブ・シドニー (13)
【Fターム(参考)】
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