ガラスパネルの排気口の形成方法及びこれを用いて製造したガラスパネル製品
【課題】ガラスパネルの排気口の形成方法及びこれを用いて製造したガラスパネル製品に関し、ガラスパネルの突出した排気管のない排気口として良好な密閉性を確保する。
【解決手段】本発明は、厚さ方向に間隔を置いて密閉空間を有する一対の板ガラスのうちいずれか一側の板ガラスに前記密閉空間内の気体を外部に排出できる排気口を形成する方法において、前記一側の板ガラスに排気ホールを形成すること、前記排気ホールの上部に排気管形態の密封用成形材を垂直に挿入すること、前記板ガラス間の気体を外部に排出すること、前記密封用成形材を加熱して前記密封用成形材を流動状態で形成した後、前記密封用成形材が崩れながら前記密封用成形材によって前記排気ホールを閉鎖させること、及び前記排気ホール内に残留する前記密封用成形材を固体化し、突出した排気管を用いずに良好な密閉性を確保することを含むガラスパネルの排気口の形成方法に関するものである。
【解決手段】本発明は、厚さ方向に間隔を置いて密閉空間を有する一対の板ガラスのうちいずれか一側の板ガラスに前記密閉空間内の気体を外部に排出できる排気口を形成する方法において、前記一側の板ガラスに排気ホールを形成すること、前記排気ホールの上部に排気管形態の密封用成形材を垂直に挿入すること、前記板ガラス間の気体を外部に排出すること、前記密封用成形材を加熱して前記密封用成形材を流動状態で形成した後、前記密封用成形材が崩れながら前記密封用成形材によって前記排気ホールを閉鎖させること、及び前記排気ホール内に残留する前記密封用成形材を固体化し、突出した排気管を用いずに良好な密閉性を確保することを含むガラスパネルの排気口の形成方法に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の板ガラス間の空間部が減圧(又はガス封入)されているガラスパネル(例えば、真空複層ガラス、プラズマディスプレイパネルなど)を形成し、空間部の減圧を実施するときの排気口をガラスパネルの本体に形成し、減圧後に排気口を密閉する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、厚さ方向に間隔を置いて配置された一対の板ガラスのうちいずれか一側の板ガラスに、前記両側の板ガラス間の密閉空間内部の気体を外部に排出するための排気口を設置するとき、前記一側の板ガラスに排気ホールを設置し、前記排気ホールに排気管を垂直に設置した。
【0003】
これと同時に、排気管の下端部と前記一側の板ガラスの前記排気ホールの上部周りの接合部に密封用成形材を介在させて加熱・溶融することによって、前記密封用成形材を流動させ、固体化して密封部を形成する方法でガラスパネルの排気口を形成した。
【0004】
次に、前記排気口を介して板ガラス間の気体を外部に排出し、減圧した後でそのガラス管を加熱することによって、先端部を閉鎖して密封した。したがって、排気管がガラスパネルの表面から突出することを避けることができなかった。
【0005】
図1a〜図1cは、従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【0006】
図1aを参照すると、上部板ガラス18の一側に排気ホール5を形成する。
【0007】
図1bを参照すると、排気ホール5の上端部6に排気管7を挿入した後、排気管7と上部板ガラス18との間の接合部に密封用成形材8を配置する。
【0008】
図1cを参照すると、密封用成形材8を加熱・溶融することによって、前記密封用成形材を流動させ、固体化して密封部19を形成する方法で板ガラスの排気口を形成する。
【0009】
前記のようにして排気口を完成すると、排気口を介して板ガラス間のガスを排出し、排気管7の上部を密封する段階を行う。
【0010】
図2a及び図2bは、従来技術に係る排気口の閉鎖方法を示した断面図である。
【0011】
図2aを参照すると、密封部19を含む排気管7の上部に減圧用吸入口を含む蓋61を覆う。
【0012】
次に、蓋61の一側に設けられた吸入口を介して板ガラス14、18間のガスを排出しながら、排気管7の上部を加熱装置62で加熱する。
【0013】
このとき、板ガラス14、18間には、内部空間を維持させながら、外部から吸入するガスを遮断するためのシーリング部材15がさらに形成される。
【0014】
図2bを参照すると、排気管7の上部を溶融して排気管を閉鎖させる。
【0015】
上述した従来の板ガラス排気口の形成及び密閉方法は、排気管として使用したガラス管が板ガラスの一側のガラス表面から突出するので、板ガラスの接合又は複層加工などの後加工工程を行う場合、加工性に制約が生じるという問題がある。
【0016】
特に、板ガラスを積層したり、後加工する工程で排気管が損傷する場合、板ガラス間の真空又は減圧状態が損傷するので、これを防止するために閉鎖状態の排気口の上部に保護キャップをさらに形成することができる。
【0017】
図3は、従来技術に係る排気口の保護キャップを示した断面図である。
【0018】
図3を参照すると、密封部19及び閉鎖状態の排出用ガラス管7に備えられる突出型排気口の上部に保護キャップ70を形成したことが分かる。この場合、後加工工程での排気口の損傷は防止できるが、接合加工及び複層加工工程に制約が伴う。
【0019】
また、従来の排気管を加熱して密閉する場合、ガラス管を溶融して密閉するが、一般的な板ガラスの軟化点温度以上に温度を上昇させなければならないので、ガラスパネルを構成する板ガラスに変形が発生しうるという問題がある。
【0020】
図4は、従来技術に係る排気口の閉鎖段階でのガラスパネルの変形問題を示した断面図である。
【0021】
図4を参照すると、2枚の板ガラス14、18間にシーリング部材15及び間隔維持部材16を含む形態で備えられるガラスパネルの上部に、突出型排気口が形成されたことが分かる。このとき、突出型排気口の排気管7と上部板ガラス18との間の界面を密封するために密封部19を形成するが、密封用成形材を板ガラスの軟化点温度以上に加熱・溶融することによって、上部板ガラス18が損傷する問題が発生した。
【0022】
上述した問題を解決するために、ガラスパネルの製造時、板ガラス間の空間部を減圧させるための排気口を最小限の高さで形成しなければならなく、ガラスパネルに損傷を与えずに効率的に排気口を密閉させる方法に対する研究が進められているが、未だに明らかな成果を達成していない実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2002−012455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
前記問題を解決するために、本発明は、排気管を使用せずに、排気ホールを漏斗状に形成した後、密封用成形材を排気管の形態で形成することによって、密封用成形材を通してガラスパネル間の気体を排出すると同時に、密封用成形材を溶融させることによって、自然に排気ホールを閉鎖できるようにし、排気口として最終的に突出した排気管を備えなくとも良好な密閉性を確保できるガラスパネルの排気口の形成方法及びこれを用いて製造したガラスパネル製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法は、厚さ方向に間隔を置いて密閉空間を有する一対の板ガラスのうちいずれか一側の板ガラスに前記密閉空間内の気体を外部に排出できる排気口を形成する方法において、前記一側の板ガラスに排気ホールを形成すること、前記排気ホールの上部に排気管形態の密封用成形材を垂直に挿入すること、前記密封用成形材を通して前記板ガラス間の気体を外部に排出すること、前記密封用成形材を加熱して前記密封用成形材を流動状態で形成した後、前記密封用成形材が崩れながら前記密封用成形材によって前記排気ホールを閉鎖させること、及び前記排気ホール内に残留する前記密封用成形材を固体化して密閉性を確保することを含む。
【0026】
ここで、前記排気管形態の密封用成形材の外径は5mm以下に形成され、内径は1mm以上に形成されることを特徴とする。
【0027】
また、前記排気ホールの断面は、上部が広くかつ下部が狭い漏斗状や階段状に形成されることを特徴とし、前記排気ホールの上部の最大直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上大きく形成され、前記排気ホールの下部の最小直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上小さく形成されることを特徴とする。
【0028】
併せて、前記密封用成形材の軟化点が前記板ガラスの軟化点より100℃以上低い物質を使用することを特徴とする。
【0029】
併せて、本発明に係るガラスパネル製品は、上述した方法で製造され、非突出型の平面状排気口を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明のガラスパネル排気口の形成方法は、排気管形態で製造された密封型成形材を通して減圧した後、密封用成形材を加熱して排気ホールを密閉させることによって、排気口の突出部位を最小化でき、後でガラスパネルの接合又は複層加工過程で突出部位による制約を最小化できるという効果を提供する。
【0031】
また、排気口の密閉作業で板ガラスより融点の低い密封用成形材を使用することによって、従来より低い温度で加熱して密閉し、その結果、密封工程で使用されるエネルギーを節約することができ、ガラスパネルの変形を防止して生産性を極大化できるという効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【図1b】従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【図1c】従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【図2a】従来技術に係る排気口の閉鎖方法を示した断面図である。
【図2b】従来技術に係る排気口の閉鎖方法を示した断面図である。
【図3】従来技術に係る排気口の保護キャップを示した断面図である。
【図4】従来技術に係る排気口の閉鎖段階でのガラスパネルの変形問題を示した断面図である。
【図5a】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5b】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5c】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5d】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5e】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5f】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図6a】本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図6b】本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図6c】本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図7a】本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図7b】本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図7c】本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図8a】本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図8b】本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図8c】本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図9】本発明に係るガラスパネルを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法及びこれを用いて製造したガラスパネル製品についてより詳細に説明する。
【0034】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現可能である。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全般にわたって同一の参照符号は、同一構成要素を示す。
【0035】
図5a〜図5fは、本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0036】
図5aを参照すると、本発明の第1の特徴的な構成で、厚さ方向に間隔を置いて配置された一対の板ガラスのうち一側の板ガラスに、前記一対の板ガラス間の密閉空間部を減圧・密閉するための排気口が形成される。このとき、説明の便宜上、排気口が形成される板ガラスを上部板ガラス100といい、排気口が形成される部分の断面のみを示した。
【0037】
図示したように、上部板ガラス100の一側に厚さ方向に貫通する排気ホール110、120が形成され、本発明に係る排気ホール110、120は、上側から下側に行くほど徐々にホールの直径が減少する漏斗状に形成することが望ましい。
【0038】
このように漏斗状の排気ホール110、120を有する理由は、加熱によって溶融状態にある密封用成形材を排気ホール110、120の内部に自然に流入させ、密閉させるためである。
【0039】
したがって、排気ホールの誘導傾斜面120を板ガラス100の表面部分に形成し、前記誘導傾斜面120は、ガラスパネルの加工状況に応じて多様な形態で形成することができる。
【0040】
図5aでは、平面形態が二つの同心円をなすように2個の傾斜面を含む形態で形成されており、図6aでは、単一傾斜面を見ることができ、図7a及び図8aでは階段状の傾斜面を見ることができる。前記各実施例については、下記の図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
次に、図5bを参照すると、排気ホール110、120の誘導傾斜面120に、排気管形態で成形された密封用成形材130を挿入する。
【0042】
本発明では、非突出型排気口を形成するために、従来に問題となった排気管を使用しないことを特徴とするので、密封用成形材130を排気管形態に製作して使用する。このとき、本発明に係るガラスパネルの減圧処理は、真空チャンバ内で行ったり、排気ホールの部位に局部的な真空環境を作って行うので、排気管形態の密封用成形材130の高さは、既存の排気管のように高くなくてもよい。併せて、後続工程で密封用成形材130によって排気ホール110、120を密閉させなければならないので、上部板ガラス100の表面から0.5〜2mmの範囲内で突出した形態で形成することが望ましい。密封用成形材130が、排気ホールの誘導傾斜面120に挿入された状態で板ガラス100表面の高さより0.5mm未満の形態で形成される場合、ガラスパネルの減圧処理工程後、密閉過程で密閉が円滑に行われないこともあり、2mmを超える高さで形成される場合、後続工程で密封用成形材130が上部板ガラス100の表面に露出するという問題が発生しうる。
【0043】
併せて、本発明で使用される密封用成形材130は、環状、漏斗状などの多様な形態で形成することができ、上部板ガラス100に接触する部分の成形材の軟化点が板ガラスに接触しない部分の成形材の軟化点より低い物質が結合されてなる異種構造で形成することができる。
【0044】
このうち、特に、パイプ型排気管の形態で密封用成形材130が設けられる場合、排気管形態の密封用成形材130の外径は5mm以下にすることが望ましく、その内径は1mm以上に形成することが望ましい。密封用成形材130の外径が5mmを超える場合は、密閉後、密封材がガラス表面に突出するようになる。また、密封用成形材130の内径を1mm以上に設定することによって、減圧工程でガラスパネル内部の気体を円滑に排気できる空間を確保する。
【0045】
その次に、上述した真空チャンバ又は局部真空装置を用いてガラスパネル間の空間を減圧させる。そして、プラズマディスプレイパネルなどのガラスパネル製品を製造するためには、減圧後にガス封入過程も連続的に行う。
【0046】
このとき、密封用成形材130は、上部板ガラス100に接触する部分の成形材の軟化点が上部板ガラス100に接触しない部分の成形材の軟化点より低い物質が結合されてなる異種構造で形成することができる。
【0047】
このような形態の密封用成形材130は、加熱溶融によって流動する密封用成形材130が排気ホールの誘導傾斜面120に沿って広がりやすい形態であって、接着性能も向上し、良好な密封効果を発揮できるようにする。
【0048】
その次に、図5c及び図5dを参照すると、加熱装置140を用いた加熱工程で密封用成形材130を加熱することによって、密封用成形材130の上部が密封された形態の成形材に製造する。このとき、密封用成形材130の軟化点が、ガラスパネルに使用される板ガラスの軟化点より100℃以上低い物質を使用することによって、従来より低い温度で加熱密閉工程を行えるようにする。したがって、密封工程で使用されるエネルギーを節約することができ、ガラスパネルの変形を防止し、生産性を極大化させることができる。
【0049】
その次に、図5eを参照すると、加熱装置140を用いた加熱を充分に行わせ、上部が密封された形態の成形材130aが溶融状態で流れるようにし、排気ホールの下部110にも埋められるようにして排気口用成形材130bを形成する。
【0050】
その次に、図5fを参照すると、加熱装置140を除去した後、排気口用成形材130bを固体化して排気口密封材150の形態にし、排気口を完全に閉鎖できるようにする。
【0051】
前記のように密封用成形材を加熱して排気ホールを密閉させることによって、排気口の突出部位を最小化することができ、後でガラスパネルの接合又は複層加工過程で突出部位による制約を最小化できるようにする。このとき、本発明は、上部板ガラス100の表面に排気口密封材150を完全に露出させないことが望ましいが、図5d又は図5eの過程でのエネルギー消費を減少させるために密封材の溶融のための加熱を最小化することができ、これによって、排気口密封材150の一部が上部板ガラス100の表面から突出するようになる。このとき、許容可能な範囲を0.5mm以内にするだけで、本発明に係る排気口の製造方法に全く影響を及ぼさなくなる。
【0052】
本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法は、以上説明した通りであり、このうち、本発明の主要特徴の一つになる排気ホールの誘導傾斜面の形態によって多様な実施例を使用することができる。
【0053】
図6a〜図6cは、本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0054】
図6aを参照すると、基本的な漏斗状の排気ホール210、220を示したもので、単一傾斜面220を有する上部板ガラス200が備えられる。
【0055】
次に、図6bを参照すると、単一傾斜面220の上部に排気管形態の密封用成形材230を挿入する。このとき、挿入と同時に溶融加熱工程を行い、密封用成形材230の下端が単一傾斜面220に融着できるようにし、減圧工程を円滑に行えるようにする。
【0056】
その次に、図6cを参照すると、単一傾斜面220を有する排気ホール210内に排気口密封材240を形成する。このとき、単一傾斜面220の角度によって排気口密封材240の形成深さを自由に調節することができ、これによって、ガラスパネルの真空信頼度も調節することができる。
【0057】
図7a〜図7cは、本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0058】
図7a〜図7cを参照すると、単一階段状の排気ホール310、320を上部板ガラス300に形成し、密封用成形材330を用いて下部排気ホール310を完全に密封させ、排気口密封材340を形成できるようにする。
【0059】
このような形態の排気ホール310、320の構造では、初期の溶融加熱時に密封用成形材330が排気ホールに密着する面積を増加させ、減圧工程の信頼性をより向上させることができる。
【0060】
図8a〜図8cは、本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0061】
図8a〜図8cを参照すると、二重階段状の排気ホール410、420を上部板ガラス400に形成し、密封用成形材430を用いて下部排気ホール410を完全に密封させ、排気口密封材440を形成できるようにする。
【0062】
このような形態の排気ホール410、420の構造では、初期の溶融加熱時に密封用成形材430が排気ホールに密着する面積を増加させ、減圧工程の信頼性をより向上させることができる。
【0063】
また、階段状の傾斜により、溶融加熱時に密封用成形材430を下部排気ホール410により容易に誘導させ、一般の傾斜状よりも安定的な構造の排気口密封材440を形成することができる。
【0064】
上述したように、本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法は、多様な実施例で行うことができ、これを用いたガラスパネル製品は、次のような形態で形成することができる。
【0065】
図9は、本発明に係るガラスパネルを示した斜視図である。
【0066】
図9を参照すると、上部板ガラス500と下部板ガラス590との間にコーナー用密封材580が形成され、前記各板ガラス500、590間の空間を減圧させるための排出口520が形成される。このとき、排出口520は、排気口密封材を含み、上部板ガラス500の表面高さと類似した高さにすることが望ましい。
【0067】
併せて、本発明に係るガラスパネル製品のためには、コーナー用密封材580の溶融温度より高い溶融温度を有する密封用成形材を形成することが望ましい。コーナー用密封材580の溶融温度より高い溶融温度を有する密封用成形材を形成する場合は、ガラスパネルのコーナー密封過程で排気口密封材が減圧工程前に閉鎖されることを防止することができ、その結果、不良減少及び生産量増大効果を得ることができる。
【0068】
以上、添付の図面を参照して本発明の各実施例を説明したが、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須特徴を変更せずとも他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。したがって、以上説明した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものでないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0069】
100、200、300、400、500:上部板ガラス、110、210、310、410:排気ホール、120、220:傾斜面、130、230、330、430:密封用成形材、140:加熱装置、130a:上部が密封された形態の成形材、130b:排気口用成形材、150、240、340、440:排気口密封材、320:単一階段状段差、420:二重階段状段差、520:排出口、580:コーナー用密封材、590:下部板ガラス
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の板ガラス間の空間部が減圧(又はガス封入)されているガラスパネル(例えば、真空複層ガラス、プラズマディスプレイパネルなど)を形成し、空間部の減圧を実施するときの排気口をガラスパネルの本体に形成し、減圧後に排気口を密閉する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、厚さ方向に間隔を置いて配置された一対の板ガラスのうちいずれか一側の板ガラスに、前記両側の板ガラス間の密閉空間内部の気体を外部に排出するための排気口を設置するとき、前記一側の板ガラスに排気ホールを設置し、前記排気ホールに排気管を垂直に設置した。
【0003】
これと同時に、排気管の下端部と前記一側の板ガラスの前記排気ホールの上部周りの接合部に密封用成形材を介在させて加熱・溶融することによって、前記密封用成形材を流動させ、固体化して密封部を形成する方法でガラスパネルの排気口を形成した。
【0004】
次に、前記排気口を介して板ガラス間の気体を外部に排出し、減圧した後でそのガラス管を加熱することによって、先端部を閉鎖して密封した。したがって、排気管がガラスパネルの表面から突出することを避けることができなかった。
【0005】
図1a〜図1cは、従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【0006】
図1aを参照すると、上部板ガラス18の一側に排気ホール5を形成する。
【0007】
図1bを参照すると、排気ホール5の上端部6に排気管7を挿入した後、排気管7と上部板ガラス18との間の接合部に密封用成形材8を配置する。
【0008】
図1cを参照すると、密封用成形材8を加熱・溶融することによって、前記密封用成形材を流動させ、固体化して密封部19を形成する方法で板ガラスの排気口を形成する。
【0009】
前記のようにして排気口を完成すると、排気口を介して板ガラス間のガスを排出し、排気管7の上部を密封する段階を行う。
【0010】
図2a及び図2bは、従来技術に係る排気口の閉鎖方法を示した断面図である。
【0011】
図2aを参照すると、密封部19を含む排気管7の上部に減圧用吸入口を含む蓋61を覆う。
【0012】
次に、蓋61の一側に設けられた吸入口を介して板ガラス14、18間のガスを排出しながら、排気管7の上部を加熱装置62で加熱する。
【0013】
このとき、板ガラス14、18間には、内部空間を維持させながら、外部から吸入するガスを遮断するためのシーリング部材15がさらに形成される。
【0014】
図2bを参照すると、排気管7の上部を溶融して排気管を閉鎖させる。
【0015】
上述した従来の板ガラス排気口の形成及び密閉方法は、排気管として使用したガラス管が板ガラスの一側のガラス表面から突出するので、板ガラスの接合又は複層加工などの後加工工程を行う場合、加工性に制約が生じるという問題がある。
【0016】
特に、板ガラスを積層したり、後加工する工程で排気管が損傷する場合、板ガラス間の真空又は減圧状態が損傷するので、これを防止するために閉鎖状態の排気口の上部に保護キャップをさらに形成することができる。
【0017】
図3は、従来技術に係る排気口の保護キャップを示した断面図である。
【0018】
図3を参照すると、密封部19及び閉鎖状態の排出用ガラス管7に備えられる突出型排気口の上部に保護キャップ70を形成したことが分かる。この場合、後加工工程での排気口の損傷は防止できるが、接合加工及び複層加工工程に制約が伴う。
【0019】
また、従来の排気管を加熱して密閉する場合、ガラス管を溶融して密閉するが、一般的な板ガラスの軟化点温度以上に温度を上昇させなければならないので、ガラスパネルを構成する板ガラスに変形が発生しうるという問題がある。
【0020】
図4は、従来技術に係る排気口の閉鎖段階でのガラスパネルの変形問題を示した断面図である。
【0021】
図4を参照すると、2枚の板ガラス14、18間にシーリング部材15及び間隔維持部材16を含む形態で備えられるガラスパネルの上部に、突出型排気口が形成されたことが分かる。このとき、突出型排気口の排気管7と上部板ガラス18との間の界面を密封するために密封部19を形成するが、密封用成形材を板ガラスの軟化点温度以上に加熱・溶融することによって、上部板ガラス18が損傷する問題が発生した。
【0022】
上述した問題を解決するために、ガラスパネルの製造時、板ガラス間の空間部を減圧させるための排気口を最小限の高さで形成しなければならなく、ガラスパネルに損傷を与えずに効率的に排気口を密閉させる方法に対する研究が進められているが、未だに明らかな成果を達成していない実情にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2002−012455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
前記問題を解決するために、本発明は、排気管を使用せずに、排気ホールを漏斗状に形成した後、密封用成形材を排気管の形態で形成することによって、密封用成形材を通してガラスパネル間の気体を排出すると同時に、密封用成形材を溶融させることによって、自然に排気ホールを閉鎖できるようにし、排気口として最終的に突出した排気管を備えなくとも良好な密閉性を確保できるガラスパネルの排気口の形成方法及びこれを用いて製造したガラスパネル製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法は、厚さ方向に間隔を置いて密閉空間を有する一対の板ガラスのうちいずれか一側の板ガラスに前記密閉空間内の気体を外部に排出できる排気口を形成する方法において、前記一側の板ガラスに排気ホールを形成すること、前記排気ホールの上部に排気管形態の密封用成形材を垂直に挿入すること、前記密封用成形材を通して前記板ガラス間の気体を外部に排出すること、前記密封用成形材を加熱して前記密封用成形材を流動状態で形成した後、前記密封用成形材が崩れながら前記密封用成形材によって前記排気ホールを閉鎖させること、及び前記排気ホール内に残留する前記密封用成形材を固体化して密閉性を確保することを含む。
【0026】
ここで、前記排気管形態の密封用成形材の外径は5mm以下に形成され、内径は1mm以上に形成されることを特徴とする。
【0027】
また、前記排気ホールの断面は、上部が広くかつ下部が狭い漏斗状や階段状に形成されることを特徴とし、前記排気ホールの上部の最大直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上大きく形成され、前記排気ホールの下部の最小直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上小さく形成されることを特徴とする。
【0028】
併せて、前記密封用成形材の軟化点が前記板ガラスの軟化点より100℃以上低い物質を使用することを特徴とする。
【0029】
併せて、本発明に係るガラスパネル製品は、上述した方法で製造され、非突出型の平面状排気口を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、本発明のガラスパネル排気口の形成方法は、排気管形態で製造された密封型成形材を通して減圧した後、密封用成形材を加熱して排気ホールを密閉させることによって、排気口の突出部位を最小化でき、後でガラスパネルの接合又は複層加工過程で突出部位による制約を最小化できるという効果を提供する。
【0031】
また、排気口の密閉作業で板ガラスより融点の低い密封用成形材を使用することによって、従来より低い温度で加熱して密閉し、その結果、密封工程で使用されるエネルギーを節約することができ、ガラスパネルの変形を防止して生産性を極大化できるという効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1a】従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【図1b】従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【図1c】従来技術に係る排気口の形成方法を示した断面図である。
【図2a】従来技術に係る排気口の閉鎖方法を示した断面図である。
【図2b】従来技術に係る排気口の閉鎖方法を示した断面図である。
【図3】従来技術に係る排気口の保護キャップを示した断面図である。
【図4】従来技術に係る排気口の閉鎖段階でのガラスパネルの変形問題を示した断面図である。
【図5a】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5b】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5c】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5d】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5e】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図5f】本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図6a】本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図6b】本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図6c】本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図7a】本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図7b】本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図7c】本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図8a】本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図8b】本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図8c】本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【図9】本発明に係るガラスパネルを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法及びこれを用いて製造したガラスパネル製品についてより詳細に説明する。
【0034】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現可能である。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全般にわたって同一の参照符号は、同一構成要素を示す。
【0035】
図5a〜図5fは、本発明の第1の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0036】
図5aを参照すると、本発明の第1の特徴的な構成で、厚さ方向に間隔を置いて配置された一対の板ガラスのうち一側の板ガラスに、前記一対の板ガラス間の密閉空間部を減圧・密閉するための排気口が形成される。このとき、説明の便宜上、排気口が形成される板ガラスを上部板ガラス100といい、排気口が形成される部分の断面のみを示した。
【0037】
図示したように、上部板ガラス100の一側に厚さ方向に貫通する排気ホール110、120が形成され、本発明に係る排気ホール110、120は、上側から下側に行くほど徐々にホールの直径が減少する漏斗状に形成することが望ましい。
【0038】
このように漏斗状の排気ホール110、120を有する理由は、加熱によって溶融状態にある密封用成形材を排気ホール110、120の内部に自然に流入させ、密閉させるためである。
【0039】
したがって、排気ホールの誘導傾斜面120を板ガラス100の表面部分に形成し、前記誘導傾斜面120は、ガラスパネルの加工状況に応じて多様な形態で形成することができる。
【0040】
図5aでは、平面形態が二つの同心円をなすように2個の傾斜面を含む形態で形成されており、図6aでは、単一傾斜面を見ることができ、図7a及び図8aでは階段状の傾斜面を見ることができる。前記各実施例については、下記の図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
次に、図5bを参照すると、排気ホール110、120の誘導傾斜面120に、排気管形態で成形された密封用成形材130を挿入する。
【0042】
本発明では、非突出型排気口を形成するために、従来に問題となった排気管を使用しないことを特徴とするので、密封用成形材130を排気管形態に製作して使用する。このとき、本発明に係るガラスパネルの減圧処理は、真空チャンバ内で行ったり、排気ホールの部位に局部的な真空環境を作って行うので、排気管形態の密封用成形材130の高さは、既存の排気管のように高くなくてもよい。併せて、後続工程で密封用成形材130によって排気ホール110、120を密閉させなければならないので、上部板ガラス100の表面から0.5〜2mmの範囲内で突出した形態で形成することが望ましい。密封用成形材130が、排気ホールの誘導傾斜面120に挿入された状態で板ガラス100表面の高さより0.5mm未満の形態で形成される場合、ガラスパネルの減圧処理工程後、密閉過程で密閉が円滑に行われないこともあり、2mmを超える高さで形成される場合、後続工程で密封用成形材130が上部板ガラス100の表面に露出するという問題が発生しうる。
【0043】
併せて、本発明で使用される密封用成形材130は、環状、漏斗状などの多様な形態で形成することができ、上部板ガラス100に接触する部分の成形材の軟化点が板ガラスに接触しない部分の成形材の軟化点より低い物質が結合されてなる異種構造で形成することができる。
【0044】
このうち、特に、パイプ型排気管の形態で密封用成形材130が設けられる場合、排気管形態の密封用成形材130の外径は5mm以下にすることが望ましく、その内径は1mm以上に形成することが望ましい。密封用成形材130の外径が5mmを超える場合は、密閉後、密封材がガラス表面に突出するようになる。また、密封用成形材130の内径を1mm以上に設定することによって、減圧工程でガラスパネル内部の気体を円滑に排気できる空間を確保する。
【0045】
その次に、上述した真空チャンバ又は局部真空装置を用いてガラスパネル間の空間を減圧させる。そして、プラズマディスプレイパネルなどのガラスパネル製品を製造するためには、減圧後にガス封入過程も連続的に行う。
【0046】
このとき、密封用成形材130は、上部板ガラス100に接触する部分の成形材の軟化点が上部板ガラス100に接触しない部分の成形材の軟化点より低い物質が結合されてなる異種構造で形成することができる。
【0047】
このような形態の密封用成形材130は、加熱溶融によって流動する密封用成形材130が排気ホールの誘導傾斜面120に沿って広がりやすい形態であって、接着性能も向上し、良好な密封効果を発揮できるようにする。
【0048】
その次に、図5c及び図5dを参照すると、加熱装置140を用いた加熱工程で密封用成形材130を加熱することによって、密封用成形材130の上部が密封された形態の成形材に製造する。このとき、密封用成形材130の軟化点が、ガラスパネルに使用される板ガラスの軟化点より100℃以上低い物質を使用することによって、従来より低い温度で加熱密閉工程を行えるようにする。したがって、密封工程で使用されるエネルギーを節約することができ、ガラスパネルの変形を防止し、生産性を極大化させることができる。
【0049】
その次に、図5eを参照すると、加熱装置140を用いた加熱を充分に行わせ、上部が密封された形態の成形材130aが溶融状態で流れるようにし、排気ホールの下部110にも埋められるようにして排気口用成形材130bを形成する。
【0050】
その次に、図5fを参照すると、加熱装置140を除去した後、排気口用成形材130bを固体化して排気口密封材150の形態にし、排気口を完全に閉鎖できるようにする。
【0051】
前記のように密封用成形材を加熱して排気ホールを密閉させることによって、排気口の突出部位を最小化することができ、後でガラスパネルの接合又は複層加工過程で突出部位による制約を最小化できるようにする。このとき、本発明は、上部板ガラス100の表面に排気口密封材150を完全に露出させないことが望ましいが、図5d又は図5eの過程でのエネルギー消費を減少させるために密封材の溶融のための加熱を最小化することができ、これによって、排気口密封材150の一部が上部板ガラス100の表面から突出するようになる。このとき、許容可能な範囲を0.5mm以内にするだけで、本発明に係る排気口の製造方法に全く影響を及ぼさなくなる。
【0052】
本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法は、以上説明した通りであり、このうち、本発明の主要特徴の一つになる排気ホールの誘導傾斜面の形態によって多様な実施例を使用することができる。
【0053】
図6a〜図6cは、本発明の第2の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0054】
図6aを参照すると、基本的な漏斗状の排気ホール210、220を示したもので、単一傾斜面220を有する上部板ガラス200が備えられる。
【0055】
次に、図6bを参照すると、単一傾斜面220の上部に排気管形態の密封用成形材230を挿入する。このとき、挿入と同時に溶融加熱工程を行い、密封用成形材230の下端が単一傾斜面220に融着できるようにし、減圧工程を円滑に行えるようにする。
【0056】
その次に、図6cを参照すると、単一傾斜面220を有する排気ホール210内に排気口密封材240を形成する。このとき、単一傾斜面220の角度によって排気口密封材240の形成深さを自由に調節することができ、これによって、ガラスパネルの真空信頼度も調節することができる。
【0057】
図7a〜図7cは、本発明の第3の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0058】
図7a〜図7cを参照すると、単一階段状の排気ホール310、320を上部板ガラス300に形成し、密封用成形材330を用いて下部排気ホール310を完全に密封させ、排気口密封材340を形成できるようにする。
【0059】
このような形態の排気ホール310、320の構造では、初期の溶融加熱時に密封用成形材330が排気ホールに密着する面積を増加させ、減圧工程の信頼性をより向上させることができる。
【0060】
図8a〜図8cは、本発明の第4の実施例に係るガラスパネルの排気口の形成方法を示した断面図である。
【0061】
図8a〜図8cを参照すると、二重階段状の排気ホール410、420を上部板ガラス400に形成し、密封用成形材430を用いて下部排気ホール410を完全に密封させ、排気口密封材440を形成できるようにする。
【0062】
このような形態の排気ホール410、420の構造では、初期の溶融加熱時に密封用成形材430が排気ホールに密着する面積を増加させ、減圧工程の信頼性をより向上させることができる。
【0063】
また、階段状の傾斜により、溶融加熱時に密封用成形材430を下部排気ホール410により容易に誘導させ、一般の傾斜状よりも安定的な構造の排気口密封材440を形成することができる。
【0064】
上述したように、本発明に係るガラスパネルの排気口の形成方法は、多様な実施例で行うことができ、これを用いたガラスパネル製品は、次のような形態で形成することができる。
【0065】
図9は、本発明に係るガラスパネルを示した斜視図である。
【0066】
図9を参照すると、上部板ガラス500と下部板ガラス590との間にコーナー用密封材580が形成され、前記各板ガラス500、590間の空間を減圧させるための排出口520が形成される。このとき、排出口520は、排気口密封材を含み、上部板ガラス500の表面高さと類似した高さにすることが望ましい。
【0067】
併せて、本発明に係るガラスパネル製品のためには、コーナー用密封材580の溶融温度より高い溶融温度を有する密封用成形材を形成することが望ましい。コーナー用密封材580の溶融温度より高い溶融温度を有する密封用成形材を形成する場合は、ガラスパネルのコーナー密封過程で排気口密封材が減圧工程前に閉鎖されることを防止することができ、その結果、不良減少及び生産量増大効果を得ることができる。
【0068】
以上、添付の図面を参照して本発明の各実施例を説明したが、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須特徴を変更せずとも他の具体的な形態で実施可能であることを理解できるだろう。したがって、以上説明した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものでないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0069】
100、200、300、400、500:上部板ガラス、110、210、310、410:排気ホール、120、220:傾斜面、130、230、330、430:密封用成形材、140:加熱装置、130a:上部が密封された形態の成形材、130b:排気口用成形材、150、240、340、440:排気口密封材、320:単一階段状段差、420:二重階段状段差、520:排出口、580:コーナー用密封材、590:下部板ガラス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向に間隔を置いて密閉空間を有する一対の板ガラスのうち一側の板ガラスに前記密閉空間内の気体を外部に排出できる排気口を形成する方法において、
前記一側の板ガラスに排気ホールを形成すること;
前記排気ホールの上部に排気管形態の密封用成形材を垂直に挿入すること;
前記板ガラス間の気体を外部に排出すること;
前記密封用成形材を加熱して前記密封用成形材を流動状態で形成した後、前記密封用成形材が崩れながら前記密封用成形材によって前記排気ホールを閉鎖させること;及び
前記排気ホール内に残留する前記密封用成形材を固体化して密閉性を確保することを含むガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項2】
前記排気管形態の密封用成形材の外径は5mm以下に形成され、内径は1mm以上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項3】
前記排気ホールの断面は、上部に傾斜面を有する漏斗状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項4】
前記排気ホールの傾斜面は階段状に形成されることを特徴とする、請求項3に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項5】
前記排気ホールの最大直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上大きく形成され、前記排気ホールの最小直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上小さく形成されることを特徴とする、請求項3に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項6】
前記密封用成形材の軟化点が前記板ガラスの軟化点より100℃以上低い物質を使用することを特徴とする、請求項1に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項7】
前記密封用成形材は、前記板ガラスに接触する部分の成形材の軟化点が前記板ガラスに接触しない部分の成形材の軟化点より低い物質が結合されてなる異種構造であることを特徴とする、請求項6に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のうちいずれか一つの方法で製造され、
非突出型の平面状排気口を有することを特徴とするガラスパネル製品。
【請求項1】
厚さ方向に間隔を置いて密閉空間を有する一対の板ガラスのうち一側の板ガラスに前記密閉空間内の気体を外部に排出できる排気口を形成する方法において、
前記一側の板ガラスに排気ホールを形成すること;
前記排気ホールの上部に排気管形態の密封用成形材を垂直に挿入すること;
前記板ガラス間の気体を外部に排出すること;
前記密封用成形材を加熱して前記密封用成形材を流動状態で形成した後、前記密封用成形材が崩れながら前記密封用成形材によって前記排気ホールを閉鎖させること;及び
前記排気ホール内に残留する前記密封用成形材を固体化して密閉性を確保することを含むガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項2】
前記排気管形態の密封用成形材の外径は5mm以下に形成され、内径は1mm以上に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項3】
前記排気ホールの断面は、上部に傾斜面を有する漏斗状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項4】
前記排気ホールの傾斜面は階段状に形成されることを特徴とする、請求項3に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項5】
前記排気ホールの最大直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上大きく形成され、前記排気ホールの最小直径は、前記排気管形態の密封用成形材の外径を基準にして0.5mm以上小さく形成されることを特徴とする、請求項3に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項6】
前記密封用成形材の軟化点が前記板ガラスの軟化点より100℃以上低い物質を使用することを特徴とする、請求項1に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項7】
前記密封用成形材は、前記板ガラスに接触する部分の成形材の軟化点が前記板ガラスに接触しない部分の成形材の軟化点より低い物質が結合されてなる異種構造であることを特徴とする、請求項6に記載のガラスパネルの排気口の形成方法。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のうちいずれか一つの方法で製造され、
非突出型の平面状排気口を有することを特徴とするガラスパネル製品。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図9】
【公表番号】特表2013−508260(P2013−508260A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536714(P2012−536714)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009199
【国際公開番号】WO2011/083926
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】One IFC Building,10 Gukjegeumyung−ro,Yeongdeungpo−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009199
【国際公開番号】WO2011/083926
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(509286787)エルジー・ハウシス・リミテッド (49)
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
【住所又は居所原語表記】One IFC Building,10 Gukjegeumyung−ro,Yeongdeungpo−gu,Seoul,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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