ガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置
【課題】ガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置を提供する。
【解決手段】第1基板と、第2基板と、第1基板と第2基板との間に備わった発光素子と、及び第1基板と第2基板とを接着させ、発光素子を密封させるシーリング材を具備した発光装置であって、シーリング材はV+4イオンを含む発光装置、該発光装置を得るためのガラスフリット、シーリング材形成用の組成物、及び該シーリング材形成用の組成物を利用した発光装置の製造方法である。これにより、該発光装置のシーリング材は、塗布法及び電磁波照射によって簡単に形成でき、製造コストが安く、シーリング材の形成時に発光素子の劣化も実質的に防止され、また、シーリング材のシーリング特性にもすぐれ、高寿命性を有する発光装置を得ることができる。
【解決手段】第1基板と、第2基板と、第1基板と第2基板との間に備わった発光素子と、及び第1基板と第2基板とを接着させ、発光素子を密封させるシーリング材を具備した発光装置であって、シーリング材はV+4イオンを含む発光装置、該発光装置を得るためのガラスフリット、シーリング材形成用の組成物、及び該シーリング材形成用の組成物を利用した発光装置の製造方法である。これにより、該発光装置のシーリング材は、塗布法及び電磁波照射によって簡単に形成でき、製造コストが安く、シーリング材の形成時に発光素子の劣化も実質的に防止され、また、シーリング材のシーリング特性にもすぐれ、高寿命性を有する発光装置を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフリット、シーリング材形成用の組成物、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。さらに詳細には、V+4イオンを含むガラスフリット、V+5イオン及びフィラを含むガラスフリット、該ガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物、該シーリング材形成用の組成物を利用して形成したシーリング材を具備した発光装置及び該発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子、電子放出素子、ディスプレイパネルのような電子素子は、水分及び/または酸素の浸透によって劣化してしまうという特性を有している。したがって、電子素子の安定した駆動と寿命との確保のために、封止構造が要求される。
【0003】
電子素子を封止するために、従来は、金属カンやガラスを溝を有するようにキャップ状に加工しかかる溝に水分吸収のための乾湿剤をパウダー状に搭載したり、または水分吸収のための乾湿剤をフィルム形態に製造しかかるフィルムを両面テープを利用して接着する方法が用いられていた。
【0004】
特許文献1は、有機化合物からなる有機発光層が互いに対向する一対の電極間に置かれた構造を有する積層体と、積層体を外気と遮断する気密性容器、及び気密性容器内に配置されたアルカリ金属またはアルカリ金属酸化物のような乾燥手段と、を有する有機電界発光表示素子を開示している。しかし、有機電界発光素子は、その気密性容器の形状により、表示装置全体が厚くなる。また、乾燥手段が水分を吸着した後、固体状態を維持するとしても、不透明であって前面発光に適用不可能である。
【0005】
特許文献2は、0.1ないし200μmの粒子サイズを有する固体粒子を含む吸収剤及びバインダを利用して形成された吸収層を採用した有機電界発光素子を開示している。
【0006】
しかし、従来の封止方法では、満足すべきレベルの寿命特性を有する有機発光装置を得られず、この改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−148066号公報
【特許文献2】米国特許第6,226,890号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、密封特性にすぐれるシーリング材を具備し、高寿命性を有する発光装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、発光装置を提供できるガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はV+4イオンを含むガラスフリットを提供する。
【0010】
本発明はV+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物を提供する。シーリング材形成用の組成物は、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラをさらに含んでもよい。
【0011】
本発明はV+5イオンを含むガラスフリット及びリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラを含むシーリング材形成用の組成物を提供する。
【0012】
本発明は、第1基板と、第2基板と、第1基板と第2基板との間に備わった発光素子と、第1基板と第2基板とを接着させ、発光素子を密封させるシーリング材とを具備した発光装置であって、シーリング材がV+4イオンを含む発光装置を提供する。発光装置のシーリング材としては200nmないし10,000nm範囲の電磁波を放出できる電磁波ソースを照射して形成されたものを用いることができる。
【0013】
本発明は、発光素子の備わった第1基板を用意する段階、前述のようなシーリング材形成用の組成物を用意する段階、シーリング材形成用の組成物を第2基板のシーリング材形成領域に提供する段階、シーリング材形成用の組成物が塗布された第2基板を熱処理する段階、熱処理されたシーリング材形成用の組成物及び発光素子が第1基板と第2基板との間に備わるように、第1基板と第2基板とを合着させる段階、及び熱処理されたシーリング材形成用の組成物に電磁波ソースを照射してシーリング材を形成する段階を含む発光装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レーザ、光ランプのように、局部的に電磁波を供給できるソースを利用してシーリング材を形成できるので、シーリング材の形成時に発光素子の劣化が防止できるだけではなく、シーリング材の密封特性にすぐれ、高寿命性を有する発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態にかかる発光装置の具体例を概略的に図示した断面図である。
【図2】実施形態にかかる発光装置に備わった発光素子の具体例を概略的に図示した断面図である。
【図3】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図4】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図5】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図6】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図7】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図8】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図9】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図10】実施例1から得たN2雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物、及び比較例1から得た大気雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物の透光率グラフである。
【図11】実施例2から得たシーリング材のシール幅(seal width)を表した図面である。
【図12】実施例2の有機発光装置の寿命特性を表したイメージである。
【図13】比較例2の有機発光装置の寿命特性を表したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明が以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。図中、同一の機能及び用途を有するものについては同様の符号を付して説明を省略する。
【0017】
本発明の実施形態にかかるガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置の製造方法を利用すれば、製造コストが安く、シーリング特性にすぐれ、シーリング材の形成時に発光素子の劣化が防止され、長寿命を有する発光装置を得ることができる。
【0018】
(ガラスフリット)
実施形態にかかるガラスフリットは、1種以上のイオンを含む酸化物であって、V+4イオンを含む。V+4イオンは、多様な波長の電磁波を吸収でき、V+4イオンを含むガラスフリットは、電磁波の照射によって軟化しうる。例えば、V+4イオンは、810nmのレーザ光を吸収できる。
【0019】
ガラスフリットは、V+4イオン以外にも、各種イオンをさらに含んでもよい。例えば、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0020】
さらに具体的に、ガラスフリットは、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。または、ガラスフリットは、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。
【0021】
ガラスフリットに含まれたイオンのうち一部は、ガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させるための還元剤から由来したイオンでありうる。例えば、Al+3イオン、Sn2+イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン、Zn+2イオンとしては、実施形態にかかるガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させるために、ガラスフリット製造時に添加された還元剤であるAl、Sn、Mg、Cu、Znから由来したものを用いることができる。また、実施形態にかかるガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤として、炭素(C)を利用できる。還元剤としてCを利用する場合、これは、ガラスフリットに少量の有機物として残留しうる。
【0022】
ガラスフリットは、電磁波を効果的に吸収できるように、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmの平均粒径(D50)を有することができる。一方、ガラスフリットの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmの平均粒径(DMAX)を有することができる。
【0023】
ガラスフリットの「平均粒径D50」及び「最大粒径Dmax」は、公知の測定機器及び測定原理を利用できる。例えば、前記ガラスフリットの平均粒径D50及び最大粒径Dmaxは、Microtrac S3500(Microtrac社のParticle Analyzerである)で測定でき、これは、Tri-Laser System技術を利用するが、レーザをガラスフリットサンプルに0ないし180°の範囲で照射し、散乱した広範囲の粒径分布データを取った後、前記データを統計的に処理して平均粒径D50及び最大粒径Dmaxを得ることができる。Dmaxは、粒径累積分布データのうち最大値を示すものであり、D50は、粒径累積分布データのうち最大値対比で50%に該当する値を示すものであり、D50及びDmaxの定義は、当業者に周知である。後述するようなフィラの平均粒径D50及び最大粒径Dmax測定もまたこれと同一である。
【0024】
(ガラスフリットの製造方法)
前述のようなV+4イオンを含むガラスフリットの製造方法の具体例は、次の通りである。
【0025】
(ア)まず、V2O5を含む各種酸化物と、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤とを混合する。V2O5以外の使用可能な各種酸化物としては、BaO、ZnO、TeO2、Fe2O3、CuO、NdO、K2O、Sb2O3、P2O5、TiO、Al2O3、B2O3、WO6、SnO、Bi2O3、CaO、SiO2、ZrO2などがあるが、これらに限定されない。還元剤としては、Al、Sn、Mg、Cu、Zn、炭素などがあるが、これらに限定されない。
【0026】
(イ)その後、これをルツボに入れて熱処理する。熱処理温度及び熱処理温度は、溶融させようとする酸化物及び還元剤の種類及並びに量により異なるが、約600℃ないし1,200℃の温度範囲及び10分ないし240分の時間範囲から選択されうる。これから得た融解物を冷却させてガラスを得た後、これを粉砕してV+4イオンを含むガラスフリットを得ることができる。
【0027】
前述のようなV+4イオンを含むガラスフリットは、発光装置のシーリング材形成用の組成物に含まれうる。V+4イオンを含むガラスフリットについての詳細な説明は、前述参照。
【0028】
シーリング材形成用の組成物は、V+4イオンを含むガラスフリットを含むが、200nmないし10,000nm波長範囲の電磁波を吸収できる。したがって、シーリング材形成用の組成物は、前述のような波長範囲を有する電磁波照射により、効果的に軟化しうる。
【0029】
シーリング材形成用の組成物は、電磁波照射によって軟化しつつ、その体積が膨脹しうる。その場合、優秀な密封特性を有するシーリング材を得にくくなることがある。したがって、シーリング材形成用の組成物は、熱膨張係数を下げることができるフィラをさらに含んでもよい。
【0030】
フィラの具体例としては、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ(例えば、リン酸ジルコニウム)、ジルコニウム系フィラ(例えば、ジルコニウム)、ユークリプタイト系フィラ(例えば、β−ユークリプタイト)、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛、チタン酸アルミニウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。このうち、2以上の組み合わせを使用できる。
【0031】
さらに具体的に、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラは、例えば、Zr2(WO4)(PO4)2であるが、これに限定されない。
【0032】
前述のようなシーリング材形成用の組成物に含まれうるフィラは、電磁波照射によって効果的に軟化することが望ましい。これを考慮し、フィラの平均粒径(D50)は、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmである。一方、フィラの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmである。
【0033】
前述のようなシーリング材形成用の組成物の熱膨張係数は、25x10−7/℃ないし95x10−7/℃、望ましくは、35x10−7/℃ないし65x10−7/℃になりうる。これにより、実施形態にかかる発光装置のシーリング材の形成時、電磁波照射による体積変化による基板間の不整合を防止できる。
【0034】
前述のようなフィラの含有量は、前述のような熱膨張係数範囲を得つつも、ガラスフリットの含有量が過度に減少しない範囲内で選択されうる。例えば、フィラの含有量は、ガラスフリットの含有量及びフィラの含有量の総量100重量部当たり5重量部ないし80重量部、望ましくは、20重量部ないし60重量部の範囲から選択されうる。
【0035】
一方、シーリング材形成用の組成物は、適切な印刷性、粘度、フロー性などを得るために、ビヒクルをさらに含んでもよい。ビヒクルとしては、シーリング材形成用の組成物を基板に提供した後、熱処理時に分解されうるような有機物を用いることができる。
【0036】
例えば、ビヒクルは、樹脂及び溶媒を含んでもよい。樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂であるが、これらに限定されない。溶媒は、テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上であるが、これらに限定されない。
【0037】
より具体的には、アクリル系樹脂の例として、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートなどがあり、メタクリル系樹脂の例として、プロピレングリコールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどがあり、ビニル系樹脂の例として、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどがあり、エポキシ系樹脂の例として、環状脂肪族エポキシド、エポキシアクリレートなどがあり、ウレタン系樹脂の例として、ウレタンアクリレートなどがあり、セルロース系樹脂の例として、エチルセルロース、硝酸セルロースなどがあるが、これらに限定されない。
【0038】
ビヒクルの含有量は、シーリング材形成用の組成物の印刷性、粘度、フロー性などを考慮して選択されうるが、例えば、シーリング材形成用の組成物100重量部当たり10重量部ないし60重量部、望ましくは、20重量部ないし50重量部の範囲内で選択されうる。
【0039】
実施形態にかかるシーリング材形成用の組成物は、V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むが、フィラとしては、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラを用いることができる。
【0040】
本明細書において、「V+5イオンを含むガラスフリット」とは、V+4イオンを含んでいないガラスフリットを意味する。後述のように、実施形態にかかる発光装置のシーリング材は、必ずV+4イオンを含むが、V+4イオンは、多様な方法でシーリング材に含まれうる。例えば、前述のように、ガラスフリット自体がV+4イオンを含んでもよいが、V+4イオンを含んでいないガラスフリットを利用しても、還元剤を利用するか、または還元雰囲気下で熱処理し、V+5イオンをV+4イオンに還元させることができる。すなわち、V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むシーリング材形成用の組成物は、ガラスフリット自体がV+4イオンを含んでいないにしても、還元剤を利用したり、または還元雰囲気下で熱処理されることにより、V+4イオンを含んでもよい。
【0041】
シーリング材形成用の組成物のうち、V+5イオンを含むガラスフリットは、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン及びBi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0042】
さらに具体的に、V+5イオンを含むガラスフリットは、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。
【0043】
ガラスフリットは、電磁波を効果的に吸収できるように、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmの平均粒径(D50)を有することができる。一方、ガラスフリットの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmである。
【0044】
シーリング材形成用の組成物に含まれたリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラは、Zr2(WO4)(PO4)2であるが、これに限定されない。
【0045】
シーリング材形成用の組成物は、リン酸ジルコニウム系フィラ(例えば、リン酸ジルコニウム)、ジルコニウム系フィラ(例えば、ジルコニウム)、ユークリプタイト系フィラ(例えば、β−ユークリプタイト)、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択されたフィラをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0046】
前述のようなシーリング材形成用の組成物に含まれうるフィラは、電磁波照射によって効果的に軟化することが望ましい。これを考慮し、フィラの平均粒径(D50)は、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmである。一方、フィラの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし60μmである。
【0047】
前述のようなシーリング材形成用の組成物の熱膨張係数は、25x10−7/℃ないし95x10−7/℃、望ましくは、35x10−7/℃ないし65x10−7/℃になりうる。これにより、実施形態にかかる発光装置のシーリング材の形成時、電磁波照射による体積変化による基板間の不整合を防止できる。
【0048】
前述のようなフィラの含有量は、前述のような熱膨張係数範囲を得つつも、ガラスフリットの含有量が過度に減少しない範囲内で選択されうる。例えば、フィラの含有量は、ガラスフリットの含有量及びフィラの含有量総量100重量部当たり5重量部ないし80重量部、望ましくは、20重量部ないし60重量部の範囲から選択されうる。
【0049】
V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むシーリング材形成用に組成物は、還元剤をさらに含んでもよい。還元剤は、V+5イオンをV+4イオンに還元させる役割を行う。例えば、実施形態にかかるシーリング材形成用の組成物は、基板に塗布された後、電磁波ソースにより照射される前に熱処理過程を経るが、このとき、シーリング材形成用の組成物に含まれた還元剤により、ガラスフリットのうちV+5イオンは、V+4イオンに還元されうる。
【0050】
還元剤の例としては、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、炭素(C)などがあるが、これらに限定されない。
【0051】
還元剤の含有量は、ガラスフリットの含有量、シーリング材形成用の組成物の熱処理温度及び時間によって異なりうるが、ほぼガラスフリット100重量部当たり0.01重量部ないし20重量部、望ましくは、0.1重量部ないし2重量部の範囲内で選択されうる。
【0052】
シーリング材形成用の組成物は、適切な印刷性、粘度、フロー性などを得るために、ビヒクルをさらに含んでもよい。ビヒクルとしては、シーリング材形成用の組成物を基板に提供した後、熱処理時に分解されうるような有機物を用いることが出来る。
【0053】
例えば、ビヒクルは、樹脂及び溶媒を含んでもよい。樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上であるが、これらに限定されない。溶媒は、テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上であるが、これらに限定されない。
【0054】
ビヒクルにうち一部以上は、前述のようなV+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤としての役割を行うこともできる。
【0055】
さらに具体的に、アクリル系樹脂の例として、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートなどがあり、メタクリル系樹脂の例として、プロピレングリコールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどがあり、ビニル系樹脂の例として酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどがあり、エポキシ系樹脂の例として、環状脂肪族エポキシド、エポキシアクリレートなどがあり、ウレタン系樹脂の例として、ウレタンアクリレートなどがあり、セルロース系樹脂の例として、エチルセルロース、硝酸セルロースなどがあるが、これらに限定されない。
【0056】
ビヒクルの含有量は、シーリング材形成用の組成物の印刷性、粘度、フロー性などを考慮して選択されうるが、例えば、シーリング材形成用の組成物100重量部当たり10重量部ないし60重量部、望ましくは、20重量部ないし50重量部の範囲内で選択されうる。
【0057】
以上、述べた通り、i)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物、及びii)V+5イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物は、各種電子装置、例えば、有機発光表示装置、電子放出表示装置、プラズマディスプレイパネルなどにおいて、発光素子を酸素及び/または水分から遮断して密封するシーリング材を形成するのに使われうる。
【0058】
i)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物のうち、V+4イオンを含むガラスフリットは、V+4イオン以外にも、V+5イオンをさらに含んでもよいので、必要により、ii)V+5イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物に追加されうる還元剤をさらに含み、残存するV+5イオンを追加で還元させることもできる。
【0059】
実施形態にかかる発光装置は、第1基板、第2基板、第1基板と第2基板との間に備わった発光素子、及び第1基板と第2基板とを接着させ、発光素子を密封させるシーリング材を有する。実施形態にかかる発光装置の具体例を図示した図1を参照し、実施形態にかかる発光装置をさらに詳細に説明する。
【0060】
図1は、実施形態にかかる発光装置の一具体例であって、発光素子が有機発光素子である有機発光装置の断面図を概略的に図示したものである。
【0061】
図1の発光装置10は、第1基板11及び第2基板15を具備し、第1基板11の上部には、発光素子13が備わっている。図1の発光装置10のうち第2基板15は、封止基板の役割を行う。そして、第1基板11と第2基板15との間には、第1基板11と第2基板15とを互いに接着させ、発光素子を密封させるシーリング材18が備わっている。シーリング材18は、V+4イオンを含む。
【0062】
第1基板11は、各種発光装置で一般的に使用できる基板ならば、特別に限定されない。例えば、ガラス基板、金属基板、プラスチック材基板などを使用できるが、これらに限定されない。
【0063】
(有機発光素子)
図2は、有機発光素子13の一具体例の断面図を概略的に図示する。さらに具体的に、図2は、能動(AM:Active Matrix type)駆動型有機発光素子13の一具体例の断面図を概略的に図示する。
【0064】
基板11の上面には、基板11の平滑性と不純元素の浸透遮断とのために、バッファ層41が備わっている。バッファ層41は、SiO2及び/またはSiNxなどで形成できるが、これらに限定されない。
【0065】
基板11の上面に、薄膜トランジスタ(TFT)が備わっている。TFTは、各画素別に一つ以上備わりうる。
【0066】
具体的に、バッファ層41上に、所定パターンの半導体層42が形成されている。半導体層42は、非晶質シリコンまたはポリシリコンのような無機半導体物質、またはペンタセンのような有機半導体物質を含むことができ、ソース領域、ドレイン領域及びチャンネル領域を備える。
【0067】
半導体層42の上部には、SiO2、SiNxなどから形成されるゲート絶縁膜43が備わっており、ゲート絶縁膜43の上部には、ゲート電極44が備わっている。ゲート電極44は、MoW、Al/Cuのような物質を含むが、これに限定されるものではなく、隣接層との密着性、積層される層の平坦性、電気抵抗及び加工性などを考慮し、多様な材料からなりうる。
【0068】
ゲート電極44は、TFTオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。
【0069】
ゲート電極44の上部には、層間絶縁膜45が備わっており、層間絶縁膜45の上部には、ソース電極46及びドレイン電極47が備わっている。ソース電極46及びドレイン電極47は、例えば、Au、Pd、Pt、Ni、Rh、Ru、Ir、Os、Al、Mo、またはこれら以外にも、Al:Nd合金、MoW合金のような二種以上の金属からなる合金を使用でき、金属の酸化物としては、ITO、IZO、NiO、Ag2O、In2O3・Ag2O、CuAlO2、SrCu2O2、及びZrでドーピングされたZnOなどを使用できるが、これらに限定されない。前述のような金属または金属酸化物のうち、2以上を組み合わせて使用できる。
【0070】
ソース電極46及びドレイン電極47は、コンタクトホールを介してそれぞれ半導体層42のソース及びドレインの領域に電気的に連結されうる。かようなTFTの上部には、パッシベーション膜48が備わっている。
【0071】
パッシベーション膜48は、無機物及び/または有機物を含んでもよい。無機物の例には、SiO2、SiNx、SiON、Al2O3、TiO2、Ta2O5、HfO2、ZrO2、BST、PZTなどを含むことができ、有機物の例としては、一般汎用高分子(PMMA、PS)、フェノール基を有する高分子誘導体、アクリル系高分子、イミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子、及びそれらの混合物などを含んでもよいが、これらに限定されない。パッシベーション膜48は、無機絶縁膜と有機絶縁膜との複合積層体でもっても形成可能である。
【0072】
パッシベーション膜48の上部には、有機発光素子50のアノード電極になりうる第1電極51が備わっている。第1電極51は、例えば、仕事関数の大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などを利用して透明電極として備わりうる。または、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びそれらの組み合わせを含む反射膜を形成した後、その上に、仕事関数の大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などを形成することにより、反射電極として備わりうるなど、多様な変形例が可能である。第1電極51は、TFTのドレイン電極47と電気的に連結されている。
【0073】
第1電極51の上部には、画素定義膜49が備わっているが、画素定義膜49は、第1電極51の一部以上を露出させ、有機層52の備わりうる開口部を有する。画素定義膜49の開口部には、有機層52が備わっており、その上部には、カソード電極になる第2電極53が備わっている。
【0074】
第1電極51と第2電極53との間に介在された有機層52は、第1電極51と第2電極53との電気的駆動により発光する。有機層52は、低分子または高分子の有機物を使用できる。一方、有機層52は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された一つ以上の層を、必要によって含んでもよい。使用可能な低分子有機材料としては、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを挙げることができ、高分子有機材料としては、ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)やポリアニリン(PANI)などを利用できるが、これらに限定されない。有機層52は、蒸着法、レーザを利用した熱転写方式、インクジェットプリンティング、スピンコーティング法のような多様な方法を利用して形成できる。
【0075】
第2電極53としては、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caなどを利用した透明電極または反射電極を用いることができる。または、ITO、IZO、ZnO、またはIn2O3のような透明導電物質で、補助電極層やバス電極ラインを追加で形成できるなど、多様な変形例が可能である。
【0076】
たとえ図示されていないにしても、第2電極53の上部には、保護層を追加で形成できるが、保護層は、耐熱性、耐化学性、耐透湿性を提供し、有機層52に水分及び/または酸素が浸透することを追加で防止する役割を行う。保護層は、無機層や、無機層と有機層とが交互に積層された構造を有することができるなど、多様な変形例が可能である。
【0077】
保護層に含まれうる無機層は、シリコン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、チタン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物及びシリコン酸化窒化物(SiON)からなる群から選択された一つ以上の金属酸化物を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0078】
保護層に含まれうる有機層は、ベンゾシクロブテン環含有化合物の架橋体、またはヒドロシルセスキオキサンなどからなりうるが、これらに限定されない。
【0079】
尚、保護層に含まれうる無機層及び有機層についてのより詳細な説明は、大韓民国特許公開第2005−0077919号公報に記載されている。
【0080】
実施形態にかかる発光装置の発光素子の例として、図2に図示された有機発光素子について説明したが、本発明の発光装置は、その他多様な形態の発光素子を含んでもよい。
【0081】
図1の発光装置10のうち第2基板15としては、封止基板を用いることができる。第2基板15としては、絶縁体であるガラス基板または透明なプラスチック基板を使用し、プラスチック基板でもって形成する場合、プラスチック基板の内面は、水分から保護するための保護膜が形成され、保護膜は、耐熱性、耐化学性、耐透湿性を有するようにする。このように、封止基板が透明性材質からなる場合には、前面発光型に利用されうる。
【0082】
第1基板11と第2基板15との間には、第1基板11と第2基板15を接着させ、発光素子13を密封(特に、酸素及び水分から)させるシーリング材18が備わっている。
【0083】
シーリング材18は、V+4イオンを含む。V+4イオンは、200nmないし10,000nm波長の範囲を有する電磁波(例えば、紫外線、可視光線、赤外線など)を効果的に吸収できる。かような電磁波の吸収程度を考慮し、シーリング材18のうち、V+4イオンの含有量は、0.001モル%ないし50モル%、望ましくは、0.01モル%ないし30モル%である。一方、シーリング材18としては、レーザまたは光ランプを利用して形成されたものを用いることができる。レーザまたは光ランプなどは、シーリング材形成領域に対して局部的に電磁波を照射することができるものであるので、発光装置10の発光素子13は、シーリング材18の形成時に実質的に劣化されない。
【0084】
シーリング材18は、フィラをさらに含んでもよい。
【0085】
フィラは、シーリング材形成用の組成物の熱膨張係数を下げる役割を行うものである。
【0086】
フィラの具体例としては、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ(例えば、リン酸ジルコニウム)、ジルコニウム系フィラ(例えば、ジルコニウム)、ユークリプタイト系フィラ(例えば、β−ユークリプタイト)、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛、チタン酸アルミニウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。このうち、2以上の組み合わせを使用できる。
【0087】
さらに具体的に、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラは、例えば、Zr2(WO4)(PO4)2であるが、これに限定されない。
【0088】
フィラは、電磁波照射によって効果的に軟化することが望ましい。これを考慮し、フィラの平均粒径(D50)は、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし150μmである。一方、フィラの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmである。
【0089】
前述のようなフィラの含有量は、前述のような熱膨張係数範囲を得つつも、ガラスフリットの含有量が過度に減少しない範囲内で選択されうる。例えば、フィラの含有量は、ガラスフリットの含有量及びフィラ含有量の総量100重量部当たり5重量部ないし80重量部、望ましくは、20重量部ないし60重量部の範囲から選択されうる。
【0090】
シーリング材18は、V+4イオン以外にも、各種イオンをさらに含んでもよい。例えば、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0091】
さらに具体的に、シーリング材18は、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。または、シーリング材18は、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。
【0092】
シーリング材18に含まれたイオンのうち一部は、ガラスフリットに含まれたV+5イオンをV+4イオンに還元させるための還元剤から由来したイオンでありうる。例えば、Al+3イオン、Sn2+イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン、Zn+2イオンなどは、実施形態にかかるガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させるために、ガラスフリット製造時に添加された還元剤であるAl、Sn、Mg、Cu、Znなどから由来したものを用いることができる。一方、シーリング材18は、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤として利用された炭素(C)から由来した少量の有機物を含むこともできる。
【0093】
(発光装置の製造方法)
実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を、図3ないし図9を用いて以下に説明する。
【0094】
図9に示すように、実施形態にかかる発光装置20は、第1基板21と、第1基板21上に等間隔に離間して配置された発光素子23a、23b、23cと、発光素子23a〜23cを密封するように発光素子23a〜23cの周囲を取り囲むように配置されたシーリング材28a、28b、28cと、シーリング材28a、28b、28cを挟んで発光素子23a〜23cを密封するように第1基板21に対向して配置された第2基板25と、を有する。
【0095】
(ア)まず、図3に示すように、発光素子23を備える第1基板21を用意する。第1基板21は、前述のように、各種電子装置で使われうる基板であり、発光素子23は、有機発光素子であるが、これらに限定されない。発光素子23の製造方法は、種々の方法を利用できる。
【0096】
(イ)次に第2基板25を用意する。そして、図4(断面図)及び図5(上面図)に示すように第2基板25の上部に、シーリング材形成領域に沿ってシーリング材形成用の組成物27a,27b,27c,27d,27e,27fを設ける。シーリング材の形成領域は、例えば、図5に示すように、第1基板21と第2基板25との合着後、有機発光素子23を取り囲む形状であるが、これに限定されない。第2基板25は封止基板であって、ガラス基板またはプラスチック基板を利用できる。
【0097】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fは、前述のような、i)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物、またはii)V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むシーリング材形成用の組成物を用いることができる。尚、これについての詳細な説明については前述参照。
【0098】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fを第2基板25に提供する方法は、インクジェットプリンティング法、スクリーンプリンティング法など、公知の多様な方法を利用できる。
【0099】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fには、V+4イオンが含まれることもあり、含まれないこともある。例えば、V+4イオンを含むガラスフリットを含む場合には、シーリング材形成用の組成物27a〜27fには、V+4イオンが存在し、そうではない場合には、シーリング材形成用の組成物27a〜27fには、V+4イオンが存在しないこともある。このとき、後述する熱処理段階により、V+4イオンが生成されうる。
【0100】
(ウ)次に、シーリング材形成用の組成物27a〜27fが設けられた第2基板25を熱処理し、図6に示すように、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax,27bx,27cxが塗布された第2基板25を得る。
【0101】
熱処理を介し、シーリング材形成用の組成物27a〜27fは、一定の形状を有する膜の形態を備えることができ、シーリング材形成用の組成物27a〜27fのうち一部以上のV+5イオンは、V+4イオンに還元されうる。したがって、図7に示すような合着段階を効果的に行うことができ、図8に示すように、電磁波を照射する場合、これを効果的に吸収できる。熱処理の結果、シーリング材形成用の組成物のうち、ビヒクルは分解されうる。
【0102】
熱処理雰囲気は、還元雰囲気または大気雰囲気でありうる。還元雰囲気は、例えば、N2雰囲気、水素雰囲気などでありうる。これにより、シーリング材形成用の組成物27a〜27fのうち、V+5イオンがV+4イオンに還元されうる。特に、ガラスフリットがV+4イオンを含有せず、シーリング材形成用の組成物27a〜27fがV+4イオンをV+5イオンに還元させる還元剤を含んでいない場合、熱処理雰囲気は、還元雰囲気であることが望ましい。
【0103】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fが還元剤を含む場合、熱処理雰囲気は、必ずしも還元雰囲気である必要はない。Al、Sn、Mg、Cu、Zn、炭素のような還元剤を含む場合、それらは、熱処理段階で酸化されつつ、V+5イオンをV+4イオンに還元させることができる。
【0104】
熱処理温度及び時間は、V+5イオンをV+4イオンに還元させることができる温度及び時間、シーリング材形成用の組成物のうち、ビヒクルを分解させることができるほどの温度及び時間のうちから選択されたことが望ましい。これを考慮し、熱処理温度及び時間は、250℃ないし750℃、望ましくは、350℃ないし550℃の範囲、及び5分ないし240分、望ましくは、10分ないし120分の範囲から選択されうる。
【0105】
図6に示すような熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxには、必ずV+4イオンが含まれている。V+4イオンは、a)ガラスフリット自体に含まれたV+4イオン、b)熱処理段階で、ガラスフリットに存在しうるV+5イオンがシーリング材形成用の組成物に存在しうる還元剤によって還元されることによって生成されたV+4イオン、またはc)ガラスフリットに存在しうるV+5イオンが還元雰囲気下で熱処理されることによって生成されたV+4イオンでありうる。
【0106】
(エ)次に、図7に示すように、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cx及び発光素子23が第1基板21及び第2基板25間に位置するように、第1基板21及び第2基板25を合着させる。このとき、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxは、例えば、発光素子23を取り囲む形態になりうる。
【0107】
(オ)その後、図8に示すように、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxに電磁波29を照射し、図9に示すように、第1基板21と第2基板25とを接着させ、発光素子23a〜23cを密封させるシーリング材28a〜28cを形成する。
【0108】
電磁波29は、第1基板21または第2基板25を介して熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxに照射されうる。このとき、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxに存在するV+4イオンは、電磁波29を吸収し、そのエネルギーによって軟化及び/または溶融されつつ、シーリング材28になりうる。
【0109】
電磁波29は、V+4イオンが吸収できる波長領域である200nmないし10,000nmの波長範囲を有することができる。したがって、電磁波29としては、紫外線、可視光線、赤外線などを用いることができる。電磁波29のソースとしては、前述のような波長領域を有する電磁波を放出できるレーザ、光ランプなどであるが、これらに限定されない。例えば、電磁波29は、810nmのレーザ光を用いることができる。
【0110】
図8に示すように、本発明の実施形態にかかる製造方法によれば、シーリング材の形成領域にだけ電磁波を選択的に照射することにより、シーリング材を形成できる。これにより、シーリング材28の形成時に、発光素子23の劣化が防止されうる。
【0111】
実施形態にかかる発光装置の製造方法は、図3ないし図9を参照して説明したが、これらに限定されるものではなく、多様な変形例が可能である。
【0112】
実施形態にかかる発光装置のシーリング材は、電磁波照射によって形成されうる。このために、図8に示された電磁波照射の段階中で、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxには、必ずV+4イオンが存在せねばならない。このために、次のような方法を利用できる:
a)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物を利用する方法;
b)シーリング材形成用の組成物に、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤を添加し、熱処理時にV+5イオンをV+4イオンを還元させる方法;
c)還元雰囲気下で熱処理し、シーリング材形成用の組成物のうちV+5イオンをV+4イオンに還元させる方法。
【0113】
a)、b)及びc)のうち、一つ以上の方法を使用できる。例えば、V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物を還元雰囲気下で熱処理し、ガラスフリットのうち、V+5イオンを追加的にV+4イオンに還元させることができるなど、多様な変形例が可能である。
【0114】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0115】
実施例1
A.ガラスフリットの製造
V2O5 29.2g、ZnO 5.2g、BaO 14.7g及びTeO 250.8gを混合して白金ルツボに入れ、電気炉で約1時間800℃で熱処理した。熱処理の結果として得た溶融物を冷却させた後、ボールミル(Ball-mill)を利用し、平均粒径(D50)が2μmであり、平均粒径(DMAX)が10μmであるガラスフリットを得た。ガラスフリットは、V+5イオン、Zn+2イオン、Ba+2イオン及びTe+4イオンを含む。
【0116】
ガラスフリット50gをZr2(WO4)(PO4)2 50g(平均粒径(D50)は3μm、平均粒径(DMAX)は15μm、商品名はZWPである、KCM社製である)と混合した後、かかる混合物の熱膨張係数を熱機械分析装置(TMA(thermal mechanical analysis)装置)を利用して測定した。その結果、ガラスフリットとZr2(WO4)(PO4)2との混合物の熱膨張係数は、約50x10−7/℃であることが確認された。
【0117】
混合物に、エチルセルロース系樹脂を含むビヒクルを50g混合した後で撹拌し、シーリング材形成用の組成物を得た。
【0118】
B.シーリング材形成用組成物の熱処理
Aから得たシーリング材形成用の組成物を、スクリーンプリンティング法を利用してガラス基板上部に、幅600μm、厚さ30μmに塗布した後、これを420℃の温度のN2雰囲気で4時間熱処理した。
【0119】
比較例1
実施例1のAに記載されたような方法で、シーリング材形成用の組成物を製造した。その後、実施例1のBのうち、N2雰囲気の代わりに大気(エアー)雰囲気下で熱処理した点を除いて、実施例1のBに記載されたような方法で、シーリング材形成用の組成物を熱処理した。
【0120】
評価例1−透光率
実施例1によってN2雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物、及び比較例1によって大気雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物に対し、透光率を評価した。透光率は、400nmから1,100nmまでの波長の光を、それぞれ熱処理されたシーリング材形成用の組成物の塗布されたガラス基板を介して照射した後、その透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(UV−VIS Spectrometer装置)を利用して測定することによって評価した。その結果を図10に示す。図10によれば、実施例1から得た熱処理されたシーリング材形成用の組成物(N2雰囲気下で熱処理)に対する透光率は、810nm波長で17.5%であったが、比較例1から得た熱処理されたシーリング材形成用の組成物(大気雰囲気下で熱処理)に対する透光率は、810nm波長で60.5%であることを確認できる。すなわち、実施例1から得たN2雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物は、可視光線ないし近赤外線領域の光を効果的に吸収することが分かる。これはN2雰囲気下の熱処理結果、V+5イオンがV+4イオンに還元されたためであると分析される。
【0121】
実施例2
有機発光素子(本願出願人であるSDI社製作)を具備した第1ガラス基板を用意した。次に、実施例1のAに示すようなシーリング材形成用の組成物を用意した後、実施例1のBに記載されたと同一の方法を利用し、これを封止基板である第2ガラス基板に塗布した。シーリング材形成用の組成物が塗布された第2ガラス基板を420℃、N2雰囲気下で4時間熱処理した。
【0122】
その後、有機発光素子を熱処理されたシーリング材形成用の組成物を取り囲むように、第1ガラス基板と第2ガラス基板とを合着した後、810nm波長のレーザを、熱処理されたシーリング材形成用の組成物に照射し、シーリング材を形成した。
【0123】
シーリング材のシール幅を観察した写真を図11に示す。図11によれば、シール幅は約500μmと観察された。このことから、シーリング材は、レーザ光を吸収し、これによって溶融されたものであることが確認できる。
【0124】
比較例2
実施例2のうち、シーリング材形成用の組成物をN2雰囲気の代わりに、大気雰囲気下で熱処理した点を除いて、実施例2に記載された方法と同じ過程を行った。その結果、810nmのレーザ照射によるシーリング材形成が不可能であり、第1ガラス基板及び第2ガラス基板が密封されなかった。特定理論に限定されないが、大気雰囲気下の熱処理によっては、十分な量のV+4イオンが生成されず、レーザ光吸収が効果的に起こらなかったためであると分析される。
【0125】
比較例3
実施例2のうち、第2基板にシーリング材形成用の組成物の代わりに、有機シーラント(Sealant)であるエポキシ樹脂を塗布した後、これを硬化させシーリング材を形成したという点を除いて、実施例2に記載された方法と同じ方法で有機発光装置を製作した。
【0126】
評価例2−寿命特性評価
実施例2及び比較例3から得た有機発光装置の寿命を評価し、図12及び図13にそれぞれの結果を示した。具体的に、85%の相対湿度及び85℃の温度条件下で、300時間放置した後で駆動評価を行うことにより、有機発光装置の寿命を評価した。図12は、実施例2の有機発光装置を表したものであり、図13に表した比較例3の有機発光装置とは異なり、実質的に暗点が発生していないことを確認できる。これは、実施例2の有機発光装置のシーリング材により、水分による劣化がほとんど起こっていないためであると分析される。これから、実施形態にかかる発光装置は、高寿命性を有することを確認できる。
【0127】
本発明の望ましい実施例を参照しつつ説明したが、当該技術分野の当業者は、本発明の思想及び領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解することが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明のガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置は、例えば、ディスプレイ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
10,20…発光装置
11,21…第1基板
13…有機発光素子
23a〜23f…有機発光素子
15,25…第2基板
18…シーリング材
28a〜28f…シーリング材
27…シーリング材形成用の組成物
27ax,27bx,27cx…熱処理されたシーリング材形成用の組成物
29…電磁波
41…バッファ層
42…半導体層
43…ゲート絶縁膜
44…ゲート電極
45…層間絶縁膜
46…ソース電極
47…ドレイン電極
48…パッシベーション膜
49…画素定義膜
50…有機発光素子
51…第1電極
52…有機層
53…第2電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフリット、シーリング材形成用の組成物、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。さらに詳細には、V+4イオンを含むガラスフリット、V+5イオン及びフィラを含むガラスフリット、該ガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物、該シーリング材形成用の組成物を利用して形成したシーリング材を具備した発光装置及び該発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子、電子放出素子、ディスプレイパネルのような電子素子は、水分及び/または酸素の浸透によって劣化してしまうという特性を有している。したがって、電子素子の安定した駆動と寿命との確保のために、封止構造が要求される。
【0003】
電子素子を封止するために、従来は、金属カンやガラスを溝を有するようにキャップ状に加工しかかる溝に水分吸収のための乾湿剤をパウダー状に搭載したり、または水分吸収のための乾湿剤をフィルム形態に製造しかかるフィルムを両面テープを利用して接着する方法が用いられていた。
【0004】
特許文献1は、有機化合物からなる有機発光層が互いに対向する一対の電極間に置かれた構造を有する積層体と、積層体を外気と遮断する気密性容器、及び気密性容器内に配置されたアルカリ金属またはアルカリ金属酸化物のような乾燥手段と、を有する有機電界発光表示素子を開示している。しかし、有機電界発光素子は、その気密性容器の形状により、表示装置全体が厚くなる。また、乾燥手段が水分を吸着した後、固体状態を維持するとしても、不透明であって前面発光に適用不可能である。
【0005】
特許文献2は、0.1ないし200μmの粒子サイズを有する固体粒子を含む吸収剤及びバインダを利用して形成された吸収層を採用した有機電界発光素子を開示している。
【0006】
しかし、従来の封止方法では、満足すべきレベルの寿命特性を有する有機発光装置を得られず、この改善が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−148066号公報
【特許文献2】米国特許第6,226,890号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、密封特性にすぐれるシーリング材を具備し、高寿命性を有する発光装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、発光装置を提供できるガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はV+4イオンを含むガラスフリットを提供する。
【0010】
本発明はV+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物を提供する。シーリング材形成用の組成物は、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラをさらに含んでもよい。
【0011】
本発明はV+5イオンを含むガラスフリット及びリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラを含むシーリング材形成用の組成物を提供する。
【0012】
本発明は、第1基板と、第2基板と、第1基板と第2基板との間に備わった発光素子と、第1基板と第2基板とを接着させ、発光素子を密封させるシーリング材とを具備した発光装置であって、シーリング材がV+4イオンを含む発光装置を提供する。発光装置のシーリング材としては200nmないし10,000nm範囲の電磁波を放出できる電磁波ソースを照射して形成されたものを用いることができる。
【0013】
本発明は、発光素子の備わった第1基板を用意する段階、前述のようなシーリング材形成用の組成物を用意する段階、シーリング材形成用の組成物を第2基板のシーリング材形成領域に提供する段階、シーリング材形成用の組成物が塗布された第2基板を熱処理する段階、熱処理されたシーリング材形成用の組成物及び発光素子が第1基板と第2基板との間に備わるように、第1基板と第2基板とを合着させる段階、及び熱処理されたシーリング材形成用の組成物に電磁波ソースを照射してシーリング材を形成する段階を含む発光装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、レーザ、光ランプのように、局部的に電磁波を供給できるソースを利用してシーリング材を形成できるので、シーリング材の形成時に発光素子の劣化が防止できるだけではなく、シーリング材の密封特性にすぐれ、高寿命性を有する発光装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態にかかる発光装置の具体例を概略的に図示した断面図である。
【図2】実施形態にかかる発光装置に備わった発光素子の具体例を概略的に図示した断面図である。
【図3】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図4】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図5】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図6】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図7】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図8】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図9】実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を説明した図面である。
【図10】実施例1から得たN2雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物、及び比較例1から得た大気雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物の透光率グラフである。
【図11】実施例2から得たシーリング材のシール幅(seal width)を表した図面である。
【図12】実施例2の有機発光装置の寿命特性を表したイメージである。
【図13】比較例2の有機発光装置の寿命特性を表したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明が以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。図中、同一の機能及び用途を有するものについては同様の符号を付して説明を省略する。
【0017】
本発明の実施形態にかかるガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置の製造方法を利用すれば、製造コストが安く、シーリング特性にすぐれ、シーリング材の形成時に発光素子の劣化が防止され、長寿命を有する発光装置を得ることができる。
【0018】
(ガラスフリット)
実施形態にかかるガラスフリットは、1種以上のイオンを含む酸化物であって、V+4イオンを含む。V+4イオンは、多様な波長の電磁波を吸収でき、V+4イオンを含むガラスフリットは、電磁波の照射によって軟化しうる。例えば、V+4イオンは、810nmのレーザ光を吸収できる。
【0019】
ガラスフリットは、V+4イオン以外にも、各種イオンをさらに含んでもよい。例えば、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0020】
さらに具体的に、ガラスフリットは、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。または、ガラスフリットは、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。
【0021】
ガラスフリットに含まれたイオンのうち一部は、ガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させるための還元剤から由来したイオンでありうる。例えば、Al+3イオン、Sn2+イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン、Zn+2イオンとしては、実施形態にかかるガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させるために、ガラスフリット製造時に添加された還元剤であるAl、Sn、Mg、Cu、Znから由来したものを用いることができる。また、実施形態にかかるガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤として、炭素(C)を利用できる。還元剤としてCを利用する場合、これは、ガラスフリットに少量の有機物として残留しうる。
【0022】
ガラスフリットは、電磁波を効果的に吸収できるように、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmの平均粒径(D50)を有することができる。一方、ガラスフリットの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmの平均粒径(DMAX)を有することができる。
【0023】
ガラスフリットの「平均粒径D50」及び「最大粒径Dmax」は、公知の測定機器及び測定原理を利用できる。例えば、前記ガラスフリットの平均粒径D50及び最大粒径Dmaxは、Microtrac S3500(Microtrac社のParticle Analyzerである)で測定でき、これは、Tri-Laser System技術を利用するが、レーザをガラスフリットサンプルに0ないし180°の範囲で照射し、散乱した広範囲の粒径分布データを取った後、前記データを統計的に処理して平均粒径D50及び最大粒径Dmaxを得ることができる。Dmaxは、粒径累積分布データのうち最大値を示すものであり、D50は、粒径累積分布データのうち最大値対比で50%に該当する値を示すものであり、D50及びDmaxの定義は、当業者に周知である。後述するようなフィラの平均粒径D50及び最大粒径Dmax測定もまたこれと同一である。
【0024】
(ガラスフリットの製造方法)
前述のようなV+4イオンを含むガラスフリットの製造方法の具体例は、次の通りである。
【0025】
(ア)まず、V2O5を含む各種酸化物と、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤とを混合する。V2O5以外の使用可能な各種酸化物としては、BaO、ZnO、TeO2、Fe2O3、CuO、NdO、K2O、Sb2O3、P2O5、TiO、Al2O3、B2O3、WO6、SnO、Bi2O3、CaO、SiO2、ZrO2などがあるが、これらに限定されない。還元剤としては、Al、Sn、Mg、Cu、Zn、炭素などがあるが、これらに限定されない。
【0026】
(イ)その後、これをルツボに入れて熱処理する。熱処理温度及び熱処理温度は、溶融させようとする酸化物及び還元剤の種類及並びに量により異なるが、約600℃ないし1,200℃の温度範囲及び10分ないし240分の時間範囲から選択されうる。これから得た融解物を冷却させてガラスを得た後、これを粉砕してV+4イオンを含むガラスフリットを得ることができる。
【0027】
前述のようなV+4イオンを含むガラスフリットは、発光装置のシーリング材形成用の組成物に含まれうる。V+4イオンを含むガラスフリットについての詳細な説明は、前述参照。
【0028】
シーリング材形成用の組成物は、V+4イオンを含むガラスフリットを含むが、200nmないし10,000nm波長範囲の電磁波を吸収できる。したがって、シーリング材形成用の組成物は、前述のような波長範囲を有する電磁波照射により、効果的に軟化しうる。
【0029】
シーリング材形成用の組成物は、電磁波照射によって軟化しつつ、その体積が膨脹しうる。その場合、優秀な密封特性を有するシーリング材を得にくくなることがある。したがって、シーリング材形成用の組成物は、熱膨張係数を下げることができるフィラをさらに含んでもよい。
【0030】
フィラの具体例としては、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ(例えば、リン酸ジルコニウム)、ジルコニウム系フィラ(例えば、ジルコニウム)、ユークリプタイト系フィラ(例えば、β−ユークリプタイト)、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛、チタン酸アルミニウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。このうち、2以上の組み合わせを使用できる。
【0031】
さらに具体的に、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラは、例えば、Zr2(WO4)(PO4)2であるが、これに限定されない。
【0032】
前述のようなシーリング材形成用の組成物に含まれうるフィラは、電磁波照射によって効果的に軟化することが望ましい。これを考慮し、フィラの平均粒径(D50)は、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmである。一方、フィラの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmである。
【0033】
前述のようなシーリング材形成用の組成物の熱膨張係数は、25x10−7/℃ないし95x10−7/℃、望ましくは、35x10−7/℃ないし65x10−7/℃になりうる。これにより、実施形態にかかる発光装置のシーリング材の形成時、電磁波照射による体積変化による基板間の不整合を防止できる。
【0034】
前述のようなフィラの含有量は、前述のような熱膨張係数範囲を得つつも、ガラスフリットの含有量が過度に減少しない範囲内で選択されうる。例えば、フィラの含有量は、ガラスフリットの含有量及びフィラの含有量の総量100重量部当たり5重量部ないし80重量部、望ましくは、20重量部ないし60重量部の範囲から選択されうる。
【0035】
一方、シーリング材形成用の組成物は、適切な印刷性、粘度、フロー性などを得るために、ビヒクルをさらに含んでもよい。ビヒクルとしては、シーリング材形成用の組成物を基板に提供した後、熱処理時に分解されうるような有機物を用いることができる。
【0036】
例えば、ビヒクルは、樹脂及び溶媒を含んでもよい。樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂であるが、これらに限定されない。溶媒は、テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上であるが、これらに限定されない。
【0037】
より具体的には、アクリル系樹脂の例として、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートなどがあり、メタクリル系樹脂の例として、プロピレングリコールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどがあり、ビニル系樹脂の例として、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどがあり、エポキシ系樹脂の例として、環状脂肪族エポキシド、エポキシアクリレートなどがあり、ウレタン系樹脂の例として、ウレタンアクリレートなどがあり、セルロース系樹脂の例として、エチルセルロース、硝酸セルロースなどがあるが、これらに限定されない。
【0038】
ビヒクルの含有量は、シーリング材形成用の組成物の印刷性、粘度、フロー性などを考慮して選択されうるが、例えば、シーリング材形成用の組成物100重量部当たり10重量部ないし60重量部、望ましくは、20重量部ないし50重量部の範囲内で選択されうる。
【0039】
実施形態にかかるシーリング材形成用の組成物は、V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むが、フィラとしては、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラを用いることができる。
【0040】
本明細書において、「V+5イオンを含むガラスフリット」とは、V+4イオンを含んでいないガラスフリットを意味する。後述のように、実施形態にかかる発光装置のシーリング材は、必ずV+4イオンを含むが、V+4イオンは、多様な方法でシーリング材に含まれうる。例えば、前述のように、ガラスフリット自体がV+4イオンを含んでもよいが、V+4イオンを含んでいないガラスフリットを利用しても、還元剤を利用するか、または還元雰囲気下で熱処理し、V+5イオンをV+4イオンに還元させることができる。すなわち、V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むシーリング材形成用の組成物は、ガラスフリット自体がV+4イオンを含んでいないにしても、還元剤を利用したり、または還元雰囲気下で熱処理されることにより、V+4イオンを含んでもよい。
【0041】
シーリング材形成用の組成物のうち、V+5イオンを含むガラスフリットは、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン及びBi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0042】
さらに具体的に、V+5イオンを含むガラスフリットは、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。
【0043】
ガラスフリットは、電磁波を効果的に吸収できるように、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmの平均粒径(D50)を有することができる。一方、ガラスフリットの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmである。
【0044】
シーリング材形成用の組成物に含まれたリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラは、Zr2(WO4)(PO4)2であるが、これに限定されない。
【0045】
シーリング材形成用の組成物は、リン酸ジルコニウム系フィラ(例えば、リン酸ジルコニウム)、ジルコニウム系フィラ(例えば、ジルコニウム)、ユークリプタイト系フィラ(例えば、β−ユークリプタイト)、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択されたフィラをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0046】
前述のようなシーリング材形成用の組成物に含まれうるフィラは、電磁波照射によって効果的に軟化することが望ましい。これを考慮し、フィラの平均粒径(D50)は、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし15μmである。一方、フィラの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし60μmである。
【0047】
前述のようなシーリング材形成用の組成物の熱膨張係数は、25x10−7/℃ないし95x10−7/℃、望ましくは、35x10−7/℃ないし65x10−7/℃になりうる。これにより、実施形態にかかる発光装置のシーリング材の形成時、電磁波照射による体積変化による基板間の不整合を防止できる。
【0048】
前述のようなフィラの含有量は、前述のような熱膨張係数範囲を得つつも、ガラスフリットの含有量が過度に減少しない範囲内で選択されうる。例えば、フィラの含有量は、ガラスフリットの含有量及びフィラの含有量総量100重量部当たり5重量部ないし80重量部、望ましくは、20重量部ないし60重量部の範囲から選択されうる。
【0049】
V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むシーリング材形成用に組成物は、還元剤をさらに含んでもよい。還元剤は、V+5イオンをV+4イオンに還元させる役割を行う。例えば、実施形態にかかるシーリング材形成用の組成物は、基板に塗布された後、電磁波ソースにより照射される前に熱処理過程を経るが、このとき、シーリング材形成用の組成物に含まれた還元剤により、ガラスフリットのうちV+5イオンは、V+4イオンに還元されうる。
【0050】
還元剤の例としては、アルミニウム(Al)、錫(Sn)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、炭素(C)などがあるが、これらに限定されない。
【0051】
還元剤の含有量は、ガラスフリットの含有量、シーリング材形成用の組成物の熱処理温度及び時間によって異なりうるが、ほぼガラスフリット100重量部当たり0.01重量部ないし20重量部、望ましくは、0.1重量部ないし2重量部の範囲内で選択されうる。
【0052】
シーリング材形成用の組成物は、適切な印刷性、粘度、フロー性などを得るために、ビヒクルをさらに含んでもよい。ビヒクルとしては、シーリング材形成用の組成物を基板に提供した後、熱処理時に分解されうるような有機物を用いることが出来る。
【0053】
例えば、ビヒクルは、樹脂及び溶媒を含んでもよい。樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上であるが、これらに限定されない。溶媒は、テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上であるが、これらに限定されない。
【0054】
ビヒクルにうち一部以上は、前述のようなV+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤としての役割を行うこともできる。
【0055】
さらに具体的に、アクリル系樹脂の例として、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートなどがあり、メタクリル系樹脂の例として、プロピレングリコールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどがあり、ビニル系樹脂の例として酢酸ビニル、N−ビニルピロリドンなどがあり、エポキシ系樹脂の例として、環状脂肪族エポキシド、エポキシアクリレートなどがあり、ウレタン系樹脂の例として、ウレタンアクリレートなどがあり、セルロース系樹脂の例として、エチルセルロース、硝酸セルロースなどがあるが、これらに限定されない。
【0056】
ビヒクルの含有量は、シーリング材形成用の組成物の印刷性、粘度、フロー性などを考慮して選択されうるが、例えば、シーリング材形成用の組成物100重量部当たり10重量部ないし60重量部、望ましくは、20重量部ないし50重量部の範囲内で選択されうる。
【0057】
以上、述べた通り、i)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物、及びii)V+5イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物は、各種電子装置、例えば、有機発光表示装置、電子放出表示装置、プラズマディスプレイパネルなどにおいて、発光素子を酸素及び/または水分から遮断して密封するシーリング材を形成するのに使われうる。
【0058】
i)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物のうち、V+4イオンを含むガラスフリットは、V+4イオン以外にも、V+5イオンをさらに含んでもよいので、必要により、ii)V+5イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物に追加されうる還元剤をさらに含み、残存するV+5イオンを追加で還元させることもできる。
【0059】
実施形態にかかる発光装置は、第1基板、第2基板、第1基板と第2基板との間に備わった発光素子、及び第1基板と第2基板とを接着させ、発光素子を密封させるシーリング材を有する。実施形態にかかる発光装置の具体例を図示した図1を参照し、実施形態にかかる発光装置をさらに詳細に説明する。
【0060】
図1は、実施形態にかかる発光装置の一具体例であって、発光素子が有機発光素子である有機発光装置の断面図を概略的に図示したものである。
【0061】
図1の発光装置10は、第1基板11及び第2基板15を具備し、第1基板11の上部には、発光素子13が備わっている。図1の発光装置10のうち第2基板15は、封止基板の役割を行う。そして、第1基板11と第2基板15との間には、第1基板11と第2基板15とを互いに接着させ、発光素子を密封させるシーリング材18が備わっている。シーリング材18は、V+4イオンを含む。
【0062】
第1基板11は、各種発光装置で一般的に使用できる基板ならば、特別に限定されない。例えば、ガラス基板、金属基板、プラスチック材基板などを使用できるが、これらに限定されない。
【0063】
(有機発光素子)
図2は、有機発光素子13の一具体例の断面図を概略的に図示する。さらに具体的に、図2は、能動(AM:Active Matrix type)駆動型有機発光素子13の一具体例の断面図を概略的に図示する。
【0064】
基板11の上面には、基板11の平滑性と不純元素の浸透遮断とのために、バッファ層41が備わっている。バッファ層41は、SiO2及び/またはSiNxなどで形成できるが、これらに限定されない。
【0065】
基板11の上面に、薄膜トランジスタ(TFT)が備わっている。TFTは、各画素別に一つ以上備わりうる。
【0066】
具体的に、バッファ層41上に、所定パターンの半導体層42が形成されている。半導体層42は、非晶質シリコンまたはポリシリコンのような無機半導体物質、またはペンタセンのような有機半導体物質を含むことができ、ソース領域、ドレイン領域及びチャンネル領域を備える。
【0067】
半導体層42の上部には、SiO2、SiNxなどから形成されるゲート絶縁膜43が備わっており、ゲート絶縁膜43の上部には、ゲート電極44が備わっている。ゲート電極44は、MoW、Al/Cuのような物質を含むが、これに限定されるものではなく、隣接層との密着性、積層される層の平坦性、電気抵抗及び加工性などを考慮し、多様な材料からなりうる。
【0068】
ゲート電極44は、TFTオン/オフ信号を印加するゲートライン(図示せず)と連結されている。
【0069】
ゲート電極44の上部には、層間絶縁膜45が備わっており、層間絶縁膜45の上部には、ソース電極46及びドレイン電極47が備わっている。ソース電極46及びドレイン電極47は、例えば、Au、Pd、Pt、Ni、Rh、Ru、Ir、Os、Al、Mo、またはこれら以外にも、Al:Nd合金、MoW合金のような二種以上の金属からなる合金を使用でき、金属の酸化物としては、ITO、IZO、NiO、Ag2O、In2O3・Ag2O、CuAlO2、SrCu2O2、及びZrでドーピングされたZnOなどを使用できるが、これらに限定されない。前述のような金属または金属酸化物のうち、2以上を組み合わせて使用できる。
【0070】
ソース電極46及びドレイン電極47は、コンタクトホールを介してそれぞれ半導体層42のソース及びドレインの領域に電気的に連結されうる。かようなTFTの上部には、パッシベーション膜48が備わっている。
【0071】
パッシベーション膜48は、無機物及び/または有機物を含んでもよい。無機物の例には、SiO2、SiNx、SiON、Al2O3、TiO2、Ta2O5、HfO2、ZrO2、BST、PZTなどを含むことができ、有機物の例としては、一般汎用高分子(PMMA、PS)、フェノール基を有する高分子誘導体、アクリル系高分子、イミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子、及びそれらの混合物などを含んでもよいが、これらに限定されない。パッシベーション膜48は、無機絶縁膜と有機絶縁膜との複合積層体でもっても形成可能である。
【0072】
パッシベーション膜48の上部には、有機発光素子50のアノード電極になりうる第1電極51が備わっている。第1電極51は、例えば、仕事関数の大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などを利用して透明電極として備わりうる。または、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びそれらの組み合わせを含む反射膜を形成した後、その上に、仕事関数の大きいITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などを形成することにより、反射電極として備わりうるなど、多様な変形例が可能である。第1電極51は、TFTのドレイン電極47と電気的に連結されている。
【0073】
第1電極51の上部には、画素定義膜49が備わっているが、画素定義膜49は、第1電極51の一部以上を露出させ、有機層52の備わりうる開口部を有する。画素定義膜49の開口部には、有機層52が備わっており、その上部には、カソード電極になる第2電極53が備わっている。
【0074】
第1電極51と第2電極53との間に介在された有機層52は、第1電極51と第2電極53との電気的駆動により発光する。有機層52は、低分子または高分子の有機物を使用できる。一方、有機層52は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層及び電子注入層からなる群から選択された一つ以上の層を、必要によって含んでもよい。使用可能な低分子有機材料としては、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを挙げることができ、高分子有機材料としては、ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)やポリアニリン(PANI)などを利用できるが、これらに限定されない。有機層52は、蒸着法、レーザを利用した熱転写方式、インクジェットプリンティング、スピンコーティング法のような多様な方法を利用して形成できる。
【0075】
第2電極53としては、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caなどを利用した透明電極または反射電極を用いることができる。または、ITO、IZO、ZnO、またはIn2O3のような透明導電物質で、補助電極層やバス電極ラインを追加で形成できるなど、多様な変形例が可能である。
【0076】
たとえ図示されていないにしても、第2電極53の上部には、保護層を追加で形成できるが、保護層は、耐熱性、耐化学性、耐透湿性を提供し、有機層52に水分及び/または酸素が浸透することを追加で防止する役割を行う。保護層は、無機層や、無機層と有機層とが交互に積層された構造を有することができるなど、多様な変形例が可能である。
【0077】
保護層に含まれうる無機層は、シリコン窒化物、アルミニウム窒化物、ジルコニウム窒化物、チタン窒化物、ハフニウム窒化物、タンタル窒化物、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物及びシリコン酸化窒化物(SiON)からなる群から選択された一つ以上の金属酸化物を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0078】
保護層に含まれうる有機層は、ベンゾシクロブテン環含有化合物の架橋体、またはヒドロシルセスキオキサンなどからなりうるが、これらに限定されない。
【0079】
尚、保護層に含まれうる無機層及び有機層についてのより詳細な説明は、大韓民国特許公開第2005−0077919号公報に記載されている。
【0080】
実施形態にかかる発光装置の発光素子の例として、図2に図示された有機発光素子について説明したが、本発明の発光装置は、その他多様な形態の発光素子を含んでもよい。
【0081】
図1の発光装置10のうち第2基板15としては、封止基板を用いることができる。第2基板15としては、絶縁体であるガラス基板または透明なプラスチック基板を使用し、プラスチック基板でもって形成する場合、プラスチック基板の内面は、水分から保護するための保護膜が形成され、保護膜は、耐熱性、耐化学性、耐透湿性を有するようにする。このように、封止基板が透明性材質からなる場合には、前面発光型に利用されうる。
【0082】
第1基板11と第2基板15との間には、第1基板11と第2基板15を接着させ、発光素子13を密封(特に、酸素及び水分から)させるシーリング材18が備わっている。
【0083】
シーリング材18は、V+4イオンを含む。V+4イオンは、200nmないし10,000nm波長の範囲を有する電磁波(例えば、紫外線、可視光線、赤外線など)を効果的に吸収できる。かような電磁波の吸収程度を考慮し、シーリング材18のうち、V+4イオンの含有量は、0.001モル%ないし50モル%、望ましくは、0.01モル%ないし30モル%である。一方、シーリング材18としては、レーザまたは光ランプを利用して形成されたものを用いることができる。レーザまたは光ランプなどは、シーリング材形成領域に対して局部的に電磁波を照射することができるものであるので、発光装置10の発光素子13は、シーリング材18の形成時に実質的に劣化されない。
【0084】
シーリング材18は、フィラをさらに含んでもよい。
【0085】
フィラは、シーリング材形成用の組成物の熱膨張係数を下げる役割を行うものである。
【0086】
フィラの具体例としては、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ(例えば、リン酸ジルコニウム)、ジルコニウム系フィラ(例えば、ジルコニウム)、ユークリプタイト系フィラ(例えば、β−ユークリプタイト)、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛、チタン酸アルミニウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。このうち、2以上の組み合わせを使用できる。
【0087】
さらに具体的に、リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラは、例えば、Zr2(WO4)(PO4)2であるが、これに限定されない。
【0088】
フィラは、電磁波照射によって効果的に軟化することが望ましい。これを考慮し、フィラの平均粒径(D50)は、0.1μmないし30μm、望ましくは、0.5μmないし150μmである。一方、フィラの平均粒径(DMAX)は、1μmないし150μm、望ましくは、3μmないし30μmである。
【0089】
前述のようなフィラの含有量は、前述のような熱膨張係数範囲を得つつも、ガラスフリットの含有量が過度に減少しない範囲内で選択されうる。例えば、フィラの含有量は、ガラスフリットの含有量及びフィラ含有量の総量100重量部当たり5重量部ないし80重量部、望ましくは、20重量部ないし60重量部の範囲から選択されうる。
【0090】
シーリング材18は、V+4イオン以外にも、各種イオンをさらに含んでもよい。例えば、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含んでもよいが、これらに限定されない。
【0091】
さらに具体的に、シーリング材18は、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。または、シーリング材18は、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含んでもよい。
【0092】
シーリング材18に含まれたイオンのうち一部は、ガラスフリットに含まれたV+5イオンをV+4イオンに還元させるための還元剤から由来したイオンでありうる。例えば、Al+3イオン、Sn2+イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン、Zn+2イオンなどは、実施形態にかかるガラスフリットのうち、V+5イオンをV+4イオンに還元させるために、ガラスフリット製造時に添加された還元剤であるAl、Sn、Mg、Cu、Znなどから由来したものを用いることができる。一方、シーリング材18は、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤として利用された炭素(C)から由来した少量の有機物を含むこともできる。
【0093】
(発光装置の製造方法)
実施形態にかかる発光装置の製造方法の具体例を、図3ないし図9を用いて以下に説明する。
【0094】
図9に示すように、実施形態にかかる発光装置20は、第1基板21と、第1基板21上に等間隔に離間して配置された発光素子23a、23b、23cと、発光素子23a〜23cを密封するように発光素子23a〜23cの周囲を取り囲むように配置されたシーリング材28a、28b、28cと、シーリング材28a、28b、28cを挟んで発光素子23a〜23cを密封するように第1基板21に対向して配置された第2基板25と、を有する。
【0095】
(ア)まず、図3に示すように、発光素子23を備える第1基板21を用意する。第1基板21は、前述のように、各種電子装置で使われうる基板であり、発光素子23は、有機発光素子であるが、これらに限定されない。発光素子23の製造方法は、種々の方法を利用できる。
【0096】
(イ)次に第2基板25を用意する。そして、図4(断面図)及び図5(上面図)に示すように第2基板25の上部に、シーリング材形成領域に沿ってシーリング材形成用の組成物27a,27b,27c,27d,27e,27fを設ける。シーリング材の形成領域は、例えば、図5に示すように、第1基板21と第2基板25との合着後、有機発光素子23を取り囲む形状であるが、これに限定されない。第2基板25は封止基板であって、ガラス基板またはプラスチック基板を利用できる。
【0097】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fは、前述のような、i)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物、またはii)V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含むシーリング材形成用の組成物を用いることができる。尚、これについての詳細な説明については前述参照。
【0098】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fを第2基板25に提供する方法は、インクジェットプリンティング法、スクリーンプリンティング法など、公知の多様な方法を利用できる。
【0099】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fには、V+4イオンが含まれることもあり、含まれないこともある。例えば、V+4イオンを含むガラスフリットを含む場合には、シーリング材形成用の組成物27a〜27fには、V+4イオンが存在し、そうではない場合には、シーリング材形成用の組成物27a〜27fには、V+4イオンが存在しないこともある。このとき、後述する熱処理段階により、V+4イオンが生成されうる。
【0100】
(ウ)次に、シーリング材形成用の組成物27a〜27fが設けられた第2基板25を熱処理し、図6に示すように、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax,27bx,27cxが塗布された第2基板25を得る。
【0101】
熱処理を介し、シーリング材形成用の組成物27a〜27fは、一定の形状を有する膜の形態を備えることができ、シーリング材形成用の組成物27a〜27fのうち一部以上のV+5イオンは、V+4イオンに還元されうる。したがって、図7に示すような合着段階を効果的に行うことができ、図8に示すように、電磁波を照射する場合、これを効果的に吸収できる。熱処理の結果、シーリング材形成用の組成物のうち、ビヒクルは分解されうる。
【0102】
熱処理雰囲気は、還元雰囲気または大気雰囲気でありうる。還元雰囲気は、例えば、N2雰囲気、水素雰囲気などでありうる。これにより、シーリング材形成用の組成物27a〜27fのうち、V+5イオンがV+4イオンに還元されうる。特に、ガラスフリットがV+4イオンを含有せず、シーリング材形成用の組成物27a〜27fがV+4イオンをV+5イオンに還元させる還元剤を含んでいない場合、熱処理雰囲気は、還元雰囲気であることが望ましい。
【0103】
シーリング材形成用の組成物27a〜27fが還元剤を含む場合、熱処理雰囲気は、必ずしも還元雰囲気である必要はない。Al、Sn、Mg、Cu、Zn、炭素のような還元剤を含む場合、それらは、熱処理段階で酸化されつつ、V+5イオンをV+4イオンに還元させることができる。
【0104】
熱処理温度及び時間は、V+5イオンをV+4イオンに還元させることができる温度及び時間、シーリング材形成用の組成物のうち、ビヒクルを分解させることができるほどの温度及び時間のうちから選択されたことが望ましい。これを考慮し、熱処理温度及び時間は、250℃ないし750℃、望ましくは、350℃ないし550℃の範囲、及び5分ないし240分、望ましくは、10分ないし120分の範囲から選択されうる。
【0105】
図6に示すような熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxには、必ずV+4イオンが含まれている。V+4イオンは、a)ガラスフリット自体に含まれたV+4イオン、b)熱処理段階で、ガラスフリットに存在しうるV+5イオンがシーリング材形成用の組成物に存在しうる還元剤によって還元されることによって生成されたV+4イオン、またはc)ガラスフリットに存在しうるV+5イオンが還元雰囲気下で熱処理されることによって生成されたV+4イオンでありうる。
【0106】
(エ)次に、図7に示すように、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cx及び発光素子23が第1基板21及び第2基板25間に位置するように、第1基板21及び第2基板25を合着させる。このとき、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxは、例えば、発光素子23を取り囲む形態になりうる。
【0107】
(オ)その後、図8に示すように、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxに電磁波29を照射し、図9に示すように、第1基板21と第2基板25とを接着させ、発光素子23a〜23cを密封させるシーリング材28a〜28cを形成する。
【0108】
電磁波29は、第1基板21または第2基板25を介して熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxに照射されうる。このとき、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxに存在するV+4イオンは、電磁波29を吸収し、そのエネルギーによって軟化及び/または溶融されつつ、シーリング材28になりうる。
【0109】
電磁波29は、V+4イオンが吸収できる波長領域である200nmないし10,000nmの波長範囲を有することができる。したがって、電磁波29としては、紫外線、可視光線、赤外線などを用いることができる。電磁波29のソースとしては、前述のような波長領域を有する電磁波を放出できるレーザ、光ランプなどであるが、これらに限定されない。例えば、電磁波29は、810nmのレーザ光を用いることができる。
【0110】
図8に示すように、本発明の実施形態にかかる製造方法によれば、シーリング材の形成領域にだけ電磁波を選択的に照射することにより、シーリング材を形成できる。これにより、シーリング材28の形成時に、発光素子23の劣化が防止されうる。
【0111】
実施形態にかかる発光装置の製造方法は、図3ないし図9を参照して説明したが、これらに限定されるものではなく、多様な変形例が可能である。
【0112】
実施形態にかかる発光装置のシーリング材は、電磁波照射によって形成されうる。このために、図8に示された電磁波照射の段階中で、熱処理されたシーリング材形成用の組成物27ax〜27cxには、必ずV+4イオンが存在せねばならない。このために、次のような方法を利用できる:
a)V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物を利用する方法;
b)シーリング材形成用の組成物に、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤を添加し、熱処理時にV+5イオンをV+4イオンを還元させる方法;
c)還元雰囲気下で熱処理し、シーリング材形成用の組成物のうちV+5イオンをV+4イオンに還元させる方法。
【0113】
a)、b)及びc)のうち、一つ以上の方法を使用できる。例えば、V+4イオンを含むガラスフリットを含むシーリング材形成用の組成物を還元雰囲気下で熱処理し、ガラスフリットのうち、V+5イオンを追加的にV+4イオンに還元させることができるなど、多様な変形例が可能である。
【0114】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0115】
実施例1
A.ガラスフリットの製造
V2O5 29.2g、ZnO 5.2g、BaO 14.7g及びTeO 250.8gを混合して白金ルツボに入れ、電気炉で約1時間800℃で熱処理した。熱処理の結果として得た溶融物を冷却させた後、ボールミル(Ball-mill)を利用し、平均粒径(D50)が2μmであり、平均粒径(DMAX)が10μmであるガラスフリットを得た。ガラスフリットは、V+5イオン、Zn+2イオン、Ba+2イオン及びTe+4イオンを含む。
【0116】
ガラスフリット50gをZr2(WO4)(PO4)2 50g(平均粒径(D50)は3μm、平均粒径(DMAX)は15μm、商品名はZWPである、KCM社製である)と混合した後、かかる混合物の熱膨張係数を熱機械分析装置(TMA(thermal mechanical analysis)装置)を利用して測定した。その結果、ガラスフリットとZr2(WO4)(PO4)2との混合物の熱膨張係数は、約50x10−7/℃であることが確認された。
【0117】
混合物に、エチルセルロース系樹脂を含むビヒクルを50g混合した後で撹拌し、シーリング材形成用の組成物を得た。
【0118】
B.シーリング材形成用組成物の熱処理
Aから得たシーリング材形成用の組成物を、スクリーンプリンティング法を利用してガラス基板上部に、幅600μm、厚さ30μmに塗布した後、これを420℃の温度のN2雰囲気で4時間熱処理した。
【0119】
比較例1
実施例1のAに記載されたような方法で、シーリング材形成用の組成物を製造した。その後、実施例1のBのうち、N2雰囲気の代わりに大気(エアー)雰囲気下で熱処理した点を除いて、実施例1のBに記載されたような方法で、シーリング材形成用の組成物を熱処理した。
【0120】
評価例1−透光率
実施例1によってN2雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物、及び比較例1によって大気雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物に対し、透光率を評価した。透光率は、400nmから1,100nmまでの波長の光を、それぞれ熱処理されたシーリング材形成用の組成物の塗布されたガラス基板を介して照射した後、その透過率を、紫外可視近赤外分光光度計(UV−VIS Spectrometer装置)を利用して測定することによって評価した。その結果を図10に示す。図10によれば、実施例1から得た熱処理されたシーリング材形成用の組成物(N2雰囲気下で熱処理)に対する透光率は、810nm波長で17.5%であったが、比較例1から得た熱処理されたシーリング材形成用の組成物(大気雰囲気下で熱処理)に対する透光率は、810nm波長で60.5%であることを確認できる。すなわち、実施例1から得たN2雰囲気下で熱処理されたシーリング材形成用の組成物は、可視光線ないし近赤外線領域の光を効果的に吸収することが分かる。これはN2雰囲気下の熱処理結果、V+5イオンがV+4イオンに還元されたためであると分析される。
【0121】
実施例2
有機発光素子(本願出願人であるSDI社製作)を具備した第1ガラス基板を用意した。次に、実施例1のAに示すようなシーリング材形成用の組成物を用意した後、実施例1のBに記載されたと同一の方法を利用し、これを封止基板である第2ガラス基板に塗布した。シーリング材形成用の組成物が塗布された第2ガラス基板を420℃、N2雰囲気下で4時間熱処理した。
【0122】
その後、有機発光素子を熱処理されたシーリング材形成用の組成物を取り囲むように、第1ガラス基板と第2ガラス基板とを合着した後、810nm波長のレーザを、熱処理されたシーリング材形成用の組成物に照射し、シーリング材を形成した。
【0123】
シーリング材のシール幅を観察した写真を図11に示す。図11によれば、シール幅は約500μmと観察された。このことから、シーリング材は、レーザ光を吸収し、これによって溶融されたものであることが確認できる。
【0124】
比較例2
実施例2のうち、シーリング材形成用の組成物をN2雰囲気の代わりに、大気雰囲気下で熱処理した点を除いて、実施例2に記載された方法と同じ過程を行った。その結果、810nmのレーザ照射によるシーリング材形成が不可能であり、第1ガラス基板及び第2ガラス基板が密封されなかった。特定理論に限定されないが、大気雰囲気下の熱処理によっては、十分な量のV+4イオンが生成されず、レーザ光吸収が効果的に起こらなかったためであると分析される。
【0125】
比較例3
実施例2のうち、第2基板にシーリング材形成用の組成物の代わりに、有機シーラント(Sealant)であるエポキシ樹脂を塗布した後、これを硬化させシーリング材を形成したという点を除いて、実施例2に記載された方法と同じ方法で有機発光装置を製作した。
【0126】
評価例2−寿命特性評価
実施例2及び比較例3から得た有機発光装置の寿命を評価し、図12及び図13にそれぞれの結果を示した。具体的に、85%の相対湿度及び85℃の温度条件下で、300時間放置した後で駆動評価を行うことにより、有機発光装置の寿命を評価した。図12は、実施例2の有機発光装置を表したものであり、図13に表した比較例3の有機発光装置とは異なり、実質的に暗点が発生していないことを確認できる。これは、実施例2の有機発光装置のシーリング材により、水分による劣化がほとんど起こっていないためであると分析される。これから、実施形態にかかる発光装置は、高寿命性を有することを確認できる。
【0127】
本発明の望ましい実施例を参照しつつ説明したが、当該技術分野の当業者は、本発明の思想及び領域から外れない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解することが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明のガラスフリット、シーリング材形成用の組成物及び発光装置は、例えば、ディスプレイ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
10,20…発光装置
11,21…第1基板
13…有機発光素子
23a〜23f…有機発光素子
15,25…第2基板
18…シーリング材
28a〜28f…シーリング材
27…シーリング材形成用の組成物
27ax,27bx,27cx…熱処理されたシーリング材形成用の組成物
29…電磁波
41…バッファ層
42…半導体層
43…ゲート絶縁膜
44…ゲート電極
45…層間絶縁膜
46…ソース電極
47…ドレイン電極
48…パッシベーション膜
49…画素定義膜
50…有機発光素子
51…第1電極
52…有機層
53…第2電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
V+4イオンを含むことを特徴とするガラスフリット。
【請求項2】
V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、Sb+3イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項3】
V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項4】
V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項5】
前記V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンが、Sn+3イオン、Al+3イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン及びZn+2イオンからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項4に記載のガラスフリット。
【請求項6】
200nmないし10,000nm範囲の電磁波を吸収できることを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項7】
V+4イオンを含むガラスフリットを含むことを特徴とするシーリング材形成用の組成物。
【請求項8】
前記V+4イオンを含むガラスフリットが、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項9】
前記V+4イオンを含むガラスフリットが、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項10】
前記V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンが、Sn+3イオン、Al+3イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン及びZn+2イオンからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項9に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項11】
200nmないし10,000nm範囲の電磁波を吸収できることを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項12】
リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ、ジルコニウム系フィラ、ユークリプタイト系フィラ、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択された一つ以上のフィラをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項13】
前記リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラがZr2(WO4)(PO4)2であることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項14】
前記フィラの平均粒径(D50)が0.1μmないし30μmであることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項15】
前記フィラの平均粒径(DMAX)が1μmないし150μmであることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項16】
熱膨張係数が25x10−7/℃ないし95x10−7/℃であることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項17】
アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂と、
テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上の溶媒と
を含むビヒクルをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項18】
V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含み、前記フィラがリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラを含むことを特徴とするシーリング材形成用の組成物。
【請求項19】
前記V+5イオンを含むガラスフリットが、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項20】
前記リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラがZr2(WO4)(PO4)2であることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項21】
前記フィラの平均粒径(D50)が0.1μmないし30μmであることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項22】
前記フィラの平均粒径(DMAX)が1μmないし150μmであることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項23】
熱膨張係数が25x10−7/℃ないし95x10−7/℃であることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項24】
V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤をさらに含み、前記還元剤がAl、Sn、Mg、Cu、Zn、炭素からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項25】
アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂と、
テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上の溶媒と
を含むビヒクルをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項26】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に備わった発光素子と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着させ、前記発光素子を密封させるシーリング材とを具備した発光装置であって、
前記シーリング材がV+4イオンを含むことを特徴とする発光装置。
【請求項27】
前記シーリング材が200nmないし10,000nm範囲の電磁波を吸収することによって形成されたことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項28】
前記シーリング材がレーザまたは光ランプを利用して形成されたことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項29】
前記シーリング材がフィラをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項30】
前記フィラがリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ、ジルコニウム系フィラ、ユークリプタイト系フィラ、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項29に記載の発光装置。
【請求項31】
前記フィラの平均粒径(D50)が0.1μmないし30μmであることを特徴とする請求項29に記載の発光装置。
【請求項32】
前記フィラの平均粒径(DMAX)が1μmないし150μmであることを特徴とする請求項29に記載の発光装置。
【請求項33】
前記シーリング材がV+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項34】
前記シーリング材がV+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項35】
V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項36】
前記V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンが、Sn+2イオン、Al+3イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン及びZn+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンであることを特徴とする請求項35に記載の発光装置。
【請求項37】
前記発光素子が有機発光素子であることを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項38】
発光素子が備わった第1基板を用意する段階と、
請求項9から請求項25のうちいずれか1項に記載のシーリング材形成用の組成物を用意する段階と、
前記シーリング材形成用の組成物を第2基板のシーリング材形成領域に提供する段階と、
前記シーリング材形成用の組成物が塗布された第2基板を熱処理する段階と、
前記熱処理されたシーリング材形成用の組成物及び前記発光素子が前記第1基板と前記第2基板との間に備わるように、前記第1基板と前記第2基板とを合着させる段階と、
熱処理されたシーリング材形成用の組成物に電磁波ソースを照射してシーリング材を形成する段階と
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項39】
前記熱処理段階を還元雰囲気下で行い、シーリング材形成用の組成物のうちV+5イオンをV+4イオンに還元させることを特徴とする請求項38に記載の発光装置の製造方法。
【請求項40】
前記シーリング材形成用の組成物がV+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤を含む場合、前記熱処理段階で前記還元剤により、V+5イオンがV+4イオンに還元されることを特徴とする請求項38に記載の発光装置の製造方法。
【請求項41】
前記熱処理温度が250℃ないし750℃であることを特徴とする請求項39に記載の発光装置の製造方法。
【請求項42】
前記熱処理されたシーリング材形成用の組成物がV+4イオンを含むことを特徴とする請求項39に記載の発光装置の製造方法。
【請求項43】
前記電磁波ソースが200nmないし10,000nm範囲の電磁波を放出できるレーザまたは光ランプであることを特徴とする請求項39に記載の発光装置の製造方法。
【請求項1】
V+4イオンを含むことを特徴とするガラスフリット。
【請求項2】
V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、Sb+3イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項3】
V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項4】
V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項5】
前記V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンが、Sn+3イオン、Al+3イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン及びZn+2イオンからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項4に記載のガラスフリット。
【請求項6】
200nmないし10,000nm範囲の電磁波を吸収できることを特徴とする請求項1に記載のガラスフリット。
【請求項7】
V+4イオンを含むガラスフリットを含むことを特徴とするシーリング材形成用の組成物。
【請求項8】
前記V+4イオンを含むガラスフリットが、V+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項9】
前記V+4イオンを含むガラスフリットが、V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項10】
前記V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンが、Sn+3イオン、Al+3イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン及びZn+2イオンからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項9に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項11】
200nmないし10,000nm範囲の電磁波を吸収できることを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項12】
リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ、ジルコニウム系フィラ、ユークリプタイト系フィラ、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択された一つ以上のフィラをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項13】
前記リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラがZr2(WO4)(PO4)2であることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項14】
前記フィラの平均粒径(D50)が0.1μmないし30μmであることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項15】
前記フィラの平均粒径(DMAX)が1μmないし150μmであることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項16】
熱膨張係数が25x10−7/℃ないし95x10−7/℃であることを特徴とする請求項12に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項17】
アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂と、
テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上の溶媒と
を含むビヒクルをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項18】
V+5イオンを含むガラスフリット及びフィラを含み、前記フィラがリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラを含むことを特徴とするシーリング材形成用の組成物。
【請求項19】
前記V+5イオンを含むガラスフリットが、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項20】
前記リン酸ジルコニウム・タングステン系フィラがZr2(WO4)(PO4)2であることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項21】
前記フィラの平均粒径(D50)が0.1μmないし30μmであることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項22】
前記フィラの平均粒径(DMAX)が1μmないし150μmであることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項23】
熱膨張係数が25x10−7/℃ないし95x10−7/℃であることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項24】
V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤をさらに含み、前記還元剤がAl、Sn、Mg、Cu、Zn、炭素からなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項25】
アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された一つ以上の樹脂と、
テルピノール、ジヒドロテルピノール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノブチレートからなる群から選択された一つ以上の溶媒と
を含むビヒクルをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のシーリング材形成用の組成物。
【請求項26】
第1基板と、
第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に備わった発光素子と、
前記第1基板と前記第2基板とを接着させ、前記発光素子を密封させるシーリング材とを具備した発光装置であって、
前記シーリング材がV+4イオンを含むことを特徴とする発光装置。
【請求項27】
前記シーリング材が200nmないし10,000nm範囲の電磁波を吸収することによって形成されたことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項28】
前記シーリング材がレーザまたは光ランプを利用して形成されたことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項29】
前記シーリング材がフィラをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項30】
前記フィラがリン酸ジルコニウム・タングステン系フィラ、リン酸ジルコニウム系フィラ、ジルコニウム系フィラ、ユークリプタイト系フィラ、コージエライト系フィラ、アルミナ、シリカ、ケイ酸亜鉛及びチタン酸アルミニウムからなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項29に記載の発光装置。
【請求項31】
前記フィラの平均粒径(D50)が0.1μmないし30μmであることを特徴とする請求項29に記載の発光装置。
【請求項32】
前記フィラの平均粒径(DMAX)が1μmないし150μmであることを特徴とする請求項29に記載の発光装置。
【請求項33】
前記シーリング材がV+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン、Te+4イオン、Fe+3イオン、Cu+2イオン、Nd+2イオン、K+1イオン、Sb+3イオン、P+5イオン、Ti+2イオン、Al+3イオン、B+3イオン、W+6イオン、Sn+2イオン、Bi+3イオン、Ca+2イオン、Si+4イオン、Zr+4イオン及びMg+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項34】
前記シーリング材がV+5イオン、Ba+2イオン、Zn+2イオン及びTe+4イオンをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項35】
V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項36】
前記V+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤から由来したイオンが、Sn+2イオン、Al+3イオン、Mg+2イオン、Cu+2イオン及びZn+2イオンからなる群から選択された一つ以上のイオンであることを特徴とする請求項35に記載の発光装置。
【請求項37】
前記発光素子が有機発光素子であることを特徴とする請求項26に記載の発光装置。
【請求項38】
発光素子が備わった第1基板を用意する段階と、
請求項9から請求項25のうちいずれか1項に記載のシーリング材形成用の組成物を用意する段階と、
前記シーリング材形成用の組成物を第2基板のシーリング材形成領域に提供する段階と、
前記シーリング材形成用の組成物が塗布された第2基板を熱処理する段階と、
前記熱処理されたシーリング材形成用の組成物及び前記発光素子が前記第1基板と前記第2基板との間に備わるように、前記第1基板と前記第2基板とを合着させる段階と、
熱処理されたシーリング材形成用の組成物に電磁波ソースを照射してシーリング材を形成する段階と
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項39】
前記熱処理段階を還元雰囲気下で行い、シーリング材形成用の組成物のうちV+5イオンをV+4イオンに還元させることを特徴とする請求項38に記載の発光装置の製造方法。
【請求項40】
前記シーリング材形成用の組成物がV+5イオンをV+4イオンに還元させる還元剤を含む場合、前記熱処理段階で前記還元剤により、V+5イオンがV+4イオンに還元されることを特徴とする請求項38に記載の発光装置の製造方法。
【請求項41】
前記熱処理温度が250℃ないし750℃であることを特徴とする請求項39に記載の発光装置の製造方法。
【請求項42】
前記熱処理されたシーリング材形成用の組成物がV+4イオンを含むことを特徴とする請求項39に記載の発光装置の製造方法。
【請求項43】
前記電磁波ソースが200nmないし10,000nm範囲の電磁波を放出できるレーザまたは光ランプであることを特徴とする請求項39に記載の発光装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−148699(P2011−148699A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95934(P2011−95934)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【分割の表示】特願2007−337636(P2007−337636)の分割
【原出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【分割の表示】特願2007−337636(P2007−337636)の分割
【原出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
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