説明

ガラス基板再生装置

【課題】抜取って品質を確認したガラス基板から、次に抜取るガラス基板間では、層膜の除去が不十分なガラス基板が搬出され続けることのないガラス基板再生装置。
【解決手段】1)アルカリ処理槽1、20−1の酸処理槽寄りに、透過率・反射率測定機1、TH−1が設けられ、その測定結果が予め設定された閾値範囲1外である際には警報を発しアルカリ処理槽1の処理条件を調整し、2)酸処理槽40のアルカリ処理槽2寄りに、抵抗値測定機Teが設けられ、その測定結果が予め設定された許容される閾値範囲2外である際には警報を発し酸処理槽の酸処理条件を調整し、3)アルカリ処理槽2の搬出装置寄りに、透過率・反射率測定機2が設けられ、その測定結果が予め設定された閾値範囲3外である際には警報を発しアルカリ処理槽2の処理条件を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不良品カラーフィルタをガラス基板として再生する際のガラス基板再生装置に関するものであり、特に、従来行われていた、工程からガラス基板を抜き取っての外観検査を必要としないガラス基板再生装置提に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの表示装置において、カラー表示、反射率の低減、コントラストの調整、分光特性制御などの目的にカラーフィルタを用いることは有用な手段となっている。この表示装置に用いられるカラーフィルタは、多くの場合、画素として形成され用いられる。表示装置に用いられるカラーフィルタの画素を形成する方法として、これまで実用されてきた方法には、印刷法、フォトリソグラフィ法などが挙げられる。
【0003】
図1は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの画素の一例を拡大して示す平面図である。また、図2は、図1に示すカラーフィルタの画素のX−X線における断面図である。図1、及び図2に示すように、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタは、ガラス基板(1)上にブラックマトリックス(2)、着色画素(3)、及び透明導電膜(4)が順次に形成されたものである。
【0004】
液晶表示装置に用いられる上記カラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板(1)上にブラックマトリックス(2)を形成し、次に、ブラックマトリックス(1)が形成されたガラス基板上のブラックマトリックスの開口部に位置合わせして着色画素(3)を形成し、更に透明導電膜(4)を形成するといった方法が広く用いられている。
【0005】
ブラックマトリックス(2)は遮光性を有し、その開口部にてガラス基板上での着色画素の位置を定め、着色画素の大きさを均一なものとしている。また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。このブラックマトリックス(2)の形成は、例えば、ガラス基板(1)上に、黒色感光性樹脂の塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介したパターン露光、現像によって不要な部分の黒色感光性樹脂を除去し、残存した樹脂にてブラックマトリックスを形成するといったフォトリソグラフィ法がとられている。
【0006】
また、着色画素(3)は、例えば、赤色、緑色、青色の色再現フィルタの機能を有するものであり、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板(1)上に、顔料などの色素を分散させた着色感光性樹脂の塗布膜を設け、この塗布膜へのフォトマスクを介した露光、現像によって着色画素を形成するといったフォトリソグラフィ法がとられている。
【0007】
また、透明導電膜(4)の形成は、着色画素が形成されたガラス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0008】
上記方法により製造されたカラーフィルタは、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたものである。多様な液晶表示装置の実用に伴い、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには、上記基本的な機能に付随して、例えば、1)保護層(オーバーコート層)、2)スペーサー機能を有するフォトスペーサー(突起部)、3)液晶の配向を制御する配向制御突起、4)透過表示の領域と反射表示の領域を通過する光の位相を揃えるための光路差調整層、5)反射表示の領域への光散乱層、などの種々な機能がカラーフィルタの用途、仕様にもとづき付加されるようになった。
【0009】
上記種々な機能を有する層は、ブラックマトリックス(2)、着色画素(3)と同様に、いずれも、感光性樹脂、或いは非感光性樹脂を用いて形成された樹脂層である。図3は、ガラス基板(1)上にブラックマトリックス(2)、着色画素(3)、透明導電膜(4)が順次に形成された、該透明導電膜(4)上に配向制御突起(5)及びフォトスペーサー(6)が形成されたカラーフィルタの一例の断面図である。
【0010】
このようなカラーフィルタの実際の製造においては、ガラス基板(1)上にブラックマトリックス(2)、着色画素(3)、透明導電膜(4)、配向制御突起(5)、及びフォトスペーサー(6)を形成する各工程では、樹脂の残渣、パーティクルなどの異物(異物付着)や、ピンホール、パターン欠けなどの欠陥が発生することがある。
この欠陥が、品質基準に達しないカラーフィルタは不良品扱いとなるが、ガラス基板自体に傷などの不良がないものは、このカラーフィルタをガラス基板として再生し、ガラス基板は再利用されてきた。
【0011】
不良品扱いとなったカラーフィルタのブラックマトリックス(2)やフォトスペーサー(6)など、感光性樹脂、或いは非感光性樹脂を用いて形成された樹脂層を除去し、カラーフィルタをガラス基板として再生する際の処理液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物、炭酸アルカリ金属塩などのアルカリ液が挙げられる。このアルカリ液を使用したアルカリ処理によって樹脂層を除去している。
【0012】
また、透明導電膜(3)の材料としては、ITOが広く用いられている。ITO膜を除去し、カラーフィルタをガラス基板として再生する際の処理液としては、例えば、塩酸と硝酸の混合液、塩化第二鉄と塩酸の混合液、希塩酸などの酸液(エッチング液)が挙げられる。このエッチング液を使用した酸処理によってITO膜を除去している。
【0013】
一般に、アルカリ液はアルカリ処理により、また、エッチング液は酸処理により次第に疲労するので、アルカリ液及び酸液の各々は適切な時点で液の補充、或いは液の更新を行うことにしている。通常は、例えば、アルカリ処理、或いは酸処理に投入した不良品扱いのカラーフィルタの数量を算出しておくことによって、略適切な時点でのアルカリ液及び酸液の各々の補充、或いは更新が行われている。
【0014】
ガラス基板再生装置を用いた実際の再生作業における品質の確認、すなわち、ガラス基板上の樹脂層がアルカリ処理により除去された状態(品質)の確認、及び、ITO膜が酸処理により除去された状態(品質)の確認は、例えば、処理されたガラス基板を工程から抜き取り、その外観を検査することによって行われている。
【0015】
しかし、このような、工程からガラス基板を抜き取り、抜き取ったガラス基板を外観検査によって品質を確認する方法では、工程から抜き取って品質を確認したガラス基板から、次に抜き取るガラス基板までの間で、例えば、何らかの原因によるアルカリ液、酸液などの処理液の急激な疲労劣化や、或いはガラス基板再生装置に突発的な不具合が発生した場合には、次に抜き取るガラス基板までの間は、樹脂層又は/及びITO膜の除去が不十分な状態のガラス基板が搬出され続けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−179438号公報
【特許文献2】特開2006−154752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、不良品扱いとなったカラーフィルタに、アルカリ処理を施して樹脂層を除去し、また酸処理を施して透明導電膜を除去するガラス基板再生装置において、従来は発生することのあった事態、すなわち、工程から抜き取って品質を確認したガラス基板から、次に抜き取るガラス基板までの間では、樹脂層又は/及び透明導電膜の除去が不十分な状態のガラス基板が搬出され続ける、といった事態が発生することのないガラス基板再生装置、つまりは、工程からガラス基板を抜き取っての外観検査を必要としないガラス基板再生装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、少なくとも、アルカリ処理槽1、酸処理槽、アルカリ処理槽2が、この順序に設けられ、複数のカラーフィルタを順次にアルカリ処理槽1へ搬入し、上記各槽にてカラーフィルタの樹脂層1、透明導電膜、樹脂層2を連続して除去しガラス基板を再生するガラス基板再生装置において、
1)a)前記アルカリ処理槽1にアルカリ処理条件を調整する調整機構1が設けられており、アルカリ処理槽1の水洗槽1を介した酸処理槽寄りに、樹脂層1の除去状態を測定する透過率・反射率測定機1が設けられており、
b)該透過率・反射率測定機1は、アルカリ処理槽1でのアルカリ処理後の樹脂層1の除去状態を測定し、該測定結果が予め設定された許容される閾値範囲1外である際には、警報機1を作動して警報を発し、また上記調整機構1は、アルカリ処理槽1のアルカリ処理条件を調整し、
2)a)前記酸処理槽に酸処理条件を調整する調整機構2が設けられており、酸処理槽の水洗槽2を介したアルカリ処理槽2寄りに、透明導電膜の除去状態を測定する抵抗値測定機が設けられており、
b)該抵抗値測定機は、酸処理槽での酸処理後の透明導電膜の除去状態を測定し、該測定結果が予め設定された許容される閾値範囲2外である際には、警報機2を作動して警報を発し、また上記調整機構2は、酸処理槽の酸処理条件を調整し、
3)a)前記アルカリ処理槽2にアルカリ処理条件を調整する調整機構3が設けられており、アルカリ処理槽2の水洗槽3を介した搬出装置寄りに、樹脂層2の除去状態を測定する透過率・反射率測定機2が設けられており、
b)該透過率・反射率測定機2は、アルカリ処理槽2でのアルカリ処理後の樹脂層2の除去状態を測定し、該測定結果が予め設定された許容される閾値範囲3外である際には、警報機3を作動して警報を発し、また上記調整機構3は、アルカリ処理槽2のアルカリ処理条件を調整することを特徴とするガラス基板再生装置である。
【0019】
また、本発明は、上記発明によるガラス基板再生装置において、前記アルカリ処理槽1でのアルカリ処理後の閾値範囲1、酸処理槽での酸処理後の閾値範囲2、アルカリ処理槽2でのアルカリ処理後の閾値範囲3の各々の閾値範囲を数段階に区分し、警報機の各々は該区分に対応した数段階の警報を発することを特徴とするガラス基板再生装置である。
【0020】
また、本発明は、上記発明によるガラス基板再生装置において、前記アルカリ処理槽1、酸処理槽、アルカリ処理槽2の各々を分割し、アルカリ処理槽1を分割したアルカリ処理槽間に前記透過率・反射率測定機1を設け、酸処理槽を分割した酸処理槽間に前記抵抗値測定機を設け、アルカリ処理槽2を分割したアルカリ処理槽間に前記透過率・反射率測定機2を設けたことを特徴とするガラス基板再生装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、1)a)アルカリ処理槽1にアルカリ処理条件を調整する調整機構1が設けられており、アルカリ処理槽1の水洗槽1を介した酸処理槽寄りに、樹脂層1の除去状態を測定する透過率・反射率測定機1が設けられており、b)透過率・反射率測定機1は、アルカリ処理槽1でのアルカリ処理後の樹脂層1の除去状態を測定し、測定結果が予め設定された許容される閾値範囲1外である際には、警報機1を作動して警報を発し、また上記調整機構1は、アルカリ処理槽1のアルカリ処理条件を調整し、
2)a)酸処理槽に酸処理条件を調整する調整機構2が設けられており、酸処理槽の水洗槽2を介したアルカリ処理槽2寄りに、透明導電膜の除去状態を測定する抵抗値測定機が設けられており、b)抵抗値測定機は、酸処理槽での酸処理後の透明導電膜の除去状態を測定し、該測定結果が予め設定された許容される閾値範囲2外である際には、警報機2を作動して警報を発し、また上記調整機構2は、酸処理槽の酸処理条件を調整し、
3)a)アルカリ処理槽2にアルカリ処理条件を調整する調整機構3が設けられており、アルカリ処理槽2の水洗槽3を介した搬出装置寄りに、樹脂層2の除去状態を測定する透過率・反射率測定機2が設けられており、b)透過率・反射率測定機2は、アルカリ処理槽2でのアルカリ処理後の樹脂層2の除去状態を測定し、測定結果が予め設定された許容される閾値範囲3外である際には、警報機3を作動して警報を発し、また上記調整機構3は、アルカリ処理槽2のアルカリ処理条件を調整することガラス基板再生装置であるので、従来は発生することのあった事態、すなわち、工程から抜き取って品質を確認したガラス基板から、次に抜き取るガラス基板までの間では、樹脂層又は/及び透明導電膜の除去が不十分な状態のガラス基板が搬出され続ける、といった事態が発生することのないガラス基板再生装置となる。
【0022】
また、本発明は、アルカリ処理槽1でのアルカリ処理後の閾値範囲1、酸処理槽での酸処理後の閾値範囲2、アルカリ処理槽2でのアルカリ処理後の閾値範囲3の各々の閾値範囲を数段階に区分し、警報機の各々は該区分に対応した数段階の警報を発するので、除去状態の不具合を早期に認知することが可能となる。また、例えば、処理液の更新、或いは装置の故障部位の修復など、適切な対応を迅速に行うことが可能となる。
【0023】
また、本発明は、アルカリ処理槽1、酸処理槽、アルカリ処理槽2の各々を分割し、アルカリ処理槽1を分割したアルカリ処理槽間に前記透過率・反射率測定機1を設け、酸処理槽を分割した酸処理槽間に前記抵抗値測定機を設け、アルカリ処理槽2を分割したアルカリ処理槽間に前記透過率・反射率測定機2を設けたので、樹脂層1、2、或いは透明導電膜の除去状態の不具合を、より早期に認知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】液晶表示装置用カラーフィルタの画素の一例を拡大して示す平面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタの画素のX−X線における断面図である。
【図3】透明導電膜上に配向制御突起及びフォトスペーサーが形成されたカラーフィルタの一例の断面図である。
【図4】本発明によるガラス基板再生装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
【図5】請求項3に係わるガラス基板再生装置の一例での構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図4は、本発明によるガラス基板再生装置の一例における構成の概略を示す説明図である。図4に示すように、この一例に示すガラス基板再生装置は、アルカリ処理槽1(20−1)、水洗槽1(30−1)、透過率・反射率測定機1(TH−1)、酸処理槽(40)、水洗槽2(30−2)、抵抗値測定機(Te)、アルカリ処理槽2(20−2)、水洗槽3(30−3)、透過率・反射率測定機2(TH−2)が、この順序に設けられてて構成され、アルカリ処理槽1(20−1)の前方には搬入装置(LD)が設けられ、また透過率・反射率測定機2(TH−2)の後方には搬出装置(ULD)が設けられている。
【0026】
本発明においては、カラーフィルタを構成する配向制御突起(5)やフォトスペーサー(6)など、透明導電膜(4)の上方に形成された樹脂層を樹脂層1、また、ブラックマトリックス(2)、着色画素(3)など、透明導電膜(4)の下方に形成された樹脂層を樹脂層2と称している。
【0027】
上記ガラス基板再生装置の搬入装置(LD)がカラーフィルタをアルカリ処理槽1(20−1)へ搬入すると、アルカリ処理槽1(20−1)は、カラーフィルタにアルカリ処理を施し樹脂層1を除去し、水洗槽1(30−1)は、樹脂層1の除去後のカラーフィルタを水洗する。
【0028】
続いて、上記酸処理槽(40)は、カラーフィルタに酸処理を施し透明導電膜を除去し、水洗槽2(30−2)は、透明導電膜の除去後のカラーフィルタを水洗する。
続いて、上記アルカリ処理槽2(20−2)は、カラーフィルタにアルカリ処理を施し樹脂層2を除去し、水洗槽3(30−3)は、樹脂層2の除去後のカラーフィルタ(ガラス基板)を水洗する。
【0029】
このように、ガラス基板再生装置は、カラーフィルタの樹脂層1、透明導電膜、樹脂層2を順次に除去しガラス基板を再生する。不良品カラーフィルタは連続してアルカリ処理槽1へ搬入され、上記各槽による各処理が連続して施され、ガラス基板が連続して再生される。
【0030】
本発明によるガラス基板再生装置は、アルカリ処理槽1(20−1)にアルカリ処理条件を調整する調整機構1(図示せず)が設けられている。また、アルカリ処理槽1(20−1)に隣接した水洗槽1(30−1)を介した酸処理槽(40)寄りに、すなわち、水洗槽1(30−1)と酸処理槽(40)の間に樹脂層1の除去状態を測定する透過率・反射率測定機1(TH−1)が設けられている。
【0031】
透過率・反射率測定機1(TH−1)は、アルカリ処理槽1(20−1)でのアルカリ処理後の樹脂層1の除去状態を測定し、この測定結果が予め設定された許容される閾値範囲1外である際には、透過率・反射率測定機1(TH−1)に備えられた警報機1(図示せず)を作動して警報を発する。また、透過率・反射率測定機1(TH−1)は、伝達路1(D1)を経て、アルカリ処理槽1(20−1)での、例えば、処理液の濃度など処理条件の調整を調整機構1へ指示する。
【0032】
また、ガラス基板再生装置は、酸処理槽(40)に酸処理条件を調整する調整機構2(図示せず)が設けられている。また、酸処理槽(40)に隣接した水洗槽2(30−2)を介したアルカリ処理槽2(20−2)寄りに、すなわち、水洗槽2(30−2)とアルカリ処理槽2(20−2)の間に透明導電膜の除去状態を測定する抵抗値測定機(Te)が設けられている。
【0033】
抵抗値測定機(Te)は、酸処理槽(40)での酸処理後の透明導電膜の除去状態を測定し、この測定結果が予め設定された許容される閾値範囲2外である際には、警報機2(
図示せず)を作動して警報を発する。、また、抵抗値測定機(Te)は、伝達路2(D2)を経て、酸処理槽(40)での、例えば、処理液の濃度など処理条件の調整を調整機構2へ指示する。
【0034】
また、ガラス基板再生装置は、アルカリ処理槽2(20−2)にアルカリ処理条件を調整する調整機構3(図示せず)が設けられている。また、アルカリ処理槽2(20−2)に隣接した水洗槽3(30−3)を介した搬出装置(ULD)寄りに、すなわち、水洗槽3(30−3)と搬出装置(ULD)の間に樹脂層2の除去状態を測定する透過率・反射率測定機2(TH−2)が設けられている。
【0035】
透過率・反射率測定機2(TH−2)は、アルカリ処理槽2(20−2)でのアルカリ処理後の樹脂層2の除去状態を測定し、この測定結果が予め設定された許容される閾値範囲3外である際には、透過率・反射率測定機2(TH−2)に備えられた警報機3(図示せず)を作動して警報を発する。また、透過率・反射率測定機2(TH−2)は、伝達路3(D3)を経て、アルカリ処理槽2(20−2)での、例えば、処理液の濃度など処理条件の調整を調整機構3へ指示する。
【0036】
上記のように、本発明によるガラス基板再生装置は、樹脂層などの除去不良が発生した際の対応を即時に行う。また、作業者は、除去不良の発生による波及範囲の追求が容易になる。従って、本発明によるガラス基板再生装置を用いることにより再生処理の収率が向上する。なお、搬出装置(ULD)から搬出されたガラス基板の検査は、前記抜取検査とは異なる外観検査、例えば、再生したガラス基板をロット編成し、ロット毎の評価を行う検査など適宜に行うことになる。
【0037】
上記のように、本発明によるガラス基板再生装置は、従来は発生することのあった事態、すなわち、工程から抜き取って品質を確認したガラス基板から、次に抜き取るガラス基板までの間では、樹脂層又は/及び透明導電膜の除去が不十分な状態のガラス基板が搬出され続ける、といった事態が発生することのないガラス基板再生装置となる。つまりは、工程からガラス基板を抜き取っての外観検査を必要としないガラス基板再生装置といえる。
【0038】
なお上記警報機1〜3の作動による警報があると、作業者は調整機構1〜3による処理条件の調整結果を確認することになるが、仮に、調整機構1〜3による調整の効果が不十分な際は、調整機構が行う調整以外の、例えば、処理液の更新、或いは装置面での原因究明などの対応を早期に行うことが可能となる。
【0039】
また、請求項2に係わる発明は、アルカリ処理槽1(20−1)でのアルカリ処理後の閾値範囲1、酸処理槽(40)での酸処理後の閾値範囲2、アルカリ処理槽2(20−2)でのアルカリ処理後の閾値範囲3の各々の閾値範囲を数段階に区分し、警報機1〜3の各々は該区分に対応した数段階の警報を発することを特徴としている。
【0040】
閾値範囲を、例えば、軽重の3段階に区分し、この3段階に対応した警報を、予報、軽警報、重警報とし、例えば、音色、テンポなどを設定して警報に順序を設けて発する。このように、警報に軽重の3段階を設定し順序を設けて発することによって、除去状態の不具合を早期に認知することが可能となる。
また、発した警報の軽重を識別することにより、例えば、処理液の更新、或いは装置の故障部位の修復など、適切な対応を迅速に行うことが可能となる。
【0041】
また、図5は、請求項3に係わるガラス基板再生装置の一例における構成の概略を示す説明図である。図5に示すように、このガラス基板再生装置は、図4に示すアルカリ処理
槽1(20−1)を2分割して、前アルカリ処理槽1(20−1A)と後アルカリ処理槽1(20−1B)とし、この前アルカリ処理槽1(20−1A)と後アルカリ処理槽1(20−1B)との間に、図4に示す透過率・反射率測定機1(TH−1)を設けてある。
【0042】
また、図4に示す酸処理槽(40)を2分割して、前酸処理槽(40A)と後酸処理槽(40B)とし、この前酸処理槽(40A)と後酸処理槽(40B)ととの間に、図4に示す抵抗値測定機(Te)を設けてある。
また、図4に示すアルカリ処理槽2(20−2)を3分割して、前アルカリ処理槽2(20−2A)と中アルカリ処理槽2(20−2B)と後アルカリ処理槽2(20−1C)とし、この前アルカリ処理槽2(20−2A)と中アルカリ処理槽2(20−1B)との間に、図4に示す透過率・反射率測定機2(TH−2)を設けてある。
【0043】
このように、処理槽を分割し、分割した処理槽間に測定機を設けることによって、樹脂層1、2、或いは透明導電膜の除去状態の不具合を、より早期に認知することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・ガラス基板
2・・・ブラックマトリックス
3・・・着色画素
4・・・透明導電膜
5・・・配向制御突起
6・・・フォトスペーサー
20−1・・・アルカリ処理槽1
20−2・・・アルカリ処理槽2
20−1A・・・前アルカリ処理槽1
20−1B・・・後アルカリ処理槽1
20−2A・・・前アルカリ処理槽2
20−2B・・・中アルカリ処理槽2
20−2C・・・後アルカリ処理槽2
30−1・・・水洗槽1
30−2・・・水洗槽2
30−3・・・水洗槽3
40・・・酸処理槽
40A・・・前酸処理槽
40B・・・後酸処理槽
D1〜D3・・・伝達路1〜伝達路3
LD・・・搬入装置
Te・・・抵抗値測定機
TH−1・・・透過率・反射率測定機1
TH−2・・・透過率・反射率測定機2
ULD・・・搬出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、アルカリ処理槽1、酸処理槽、アルカリ処理槽2が、この順序に設けられ、複数のカラーフィルタを順次にアルカリ処理槽1へ搬入し、上記各槽にてカラーフィルタの樹脂層1、透明導電膜、樹脂層2を連続して除去しガラス基板を再生するガラス基板再生装置において、
1)a)前記アルカリ処理槽1にアルカリ処理条件を調整する調整機構1が設けられており、アルカリ処理槽1の水洗槽1を介した酸処理槽寄りに、樹脂層1の除去状態を測定する透過率・反射率測定機1が設けられており、
b)該透過率・反射率測定機1は、アルカリ処理槽1でのアルカリ処理後の樹脂層1の除去状態を測定し、該測定結果が予め設定された許容される閾値範囲1外である際には、警報機1を作動して警報を発し、また上記調整機構1は、アルカリ処理槽1のアルカリ処理条件を調整し、
2)a)前記酸処理槽に酸処理条件を調整する調整機構2が設けられており、酸処理槽の水洗槽2を介したアルカリ処理槽2寄りに、透明導電膜の除去状態を測定する抵抗値測定機が設けられており、
b)該抵抗値測定機は、酸処理槽での酸処理後の透明導電膜の除去状態を測定し、該測定結果が予め設定された許容される閾値範囲2外である際には、警報機2を作動して警報を発し、また上記調整機構2は、酸処理槽の酸処理条件を調整し、
3)a)前記アルカリ処理槽2にアルカリ処理条件を調整する調整機構3が設けられており、アルカリ処理槽2の水洗槽3を介した搬出装置寄りに、樹脂層2の除去状態を測定する透過率・反射率測定機2が設けられており、
b)該透過率・反射率測定機2は、アルカリ処理槽2でのアルカリ処理後の樹脂層2の除去状態を測定し、該測定結果が予め設定された許容される閾値範囲3外である際には、警報機3を作動して警報を発し、また上記調整機構3は、アルカリ処理槽2のアルカリ処理条件を調整することを特徴とするガラス基板再生装置。
【請求項2】
前記アルカリ処理槽1でのアルカリ処理後の閾値範囲1、酸処理槽での酸処理後の閾値範囲2、アルカリ処理槽2でのアルカリ処理後の閾値範囲3の各々の閾値範囲を数段階に区分し、警報機の各々は該区分に対応した数段階の警報を発することを特徴とする請求項1記載のガラス基板再生装置。
【請求項3】
前記アルカリ処理槽1、酸処理槽、アルカリ処理槽2の各々を分割し、アルカリ処理槽1を分割したアルカリ処理槽間に前記透過率・反射率測定機1を設け、酸処理槽を分割した酸処理槽間に前記抵抗値測定機を設け、アルカリ処理槽2を分割したアルカリ処理槽間に前記透過率・反射率測定機2を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のガラス基板再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−78927(P2011−78927A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234143(P2009−234143)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】