説明

ガラス様多糖類の粒子サイズを縮小する方法

本発明はガラス様多糖類の粒子サイズを縮小する方法に関する。本方法は0%〜約13%の水分含有量を有するガラス様多糖類およびガラス状態のガラス様多糖類からなる群から選択されたガラス様多糖類の粒子サイズを効率よく縮小する。本方法は少なくとも3対の逐次ローラーを有するローラーミルの使用を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス様多糖類の粒子サイズを縮小する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス様多糖類は、物理的に改変された特殊な種類の多糖類である。天然の結晶性のものとは異なって、ガラス様多糖類は無定形であり、ガラス様の特徴を有する。ガラス様多糖類は、組織的な結晶形態を持たず、それがこれらを吸収材料としてより適当なものとしている。ガラス様多糖類は、種々の用途で使用されてきた。
【0003】
ガラス様多糖類は、種々の食品関連用途において有用であると記載されてきた。より具体的には、これらは有機感覚刺激性添加物をカプセル化するために使用されてきた(Carrell, P. K.の米国特許第3706598号明細書;Sprattらのカナダ国特許第1319045号明細書;Sairらの米国特許第4232047号明細書;Galluzziらの米国特許第3922354号明細書;Saleebらの米国特許第5972395号明細書、米国特許第4820534号明細書、米国特許第4532145号明細書;Levineらの米国特許第5009900号明細書;Fulgerらの米国特許第5958502号明細書;Frankeらの米国特許第5846580号明細書;Willibald−Ettleらの米国特許第6582753号明細書、米国特許第6248386号明細書)。
【0004】
ガラス様多糖類は、時には吸蔵された水分を含むことがある。この吸蔵された水分はガラス様多糖類の硬さおよび脆性に影響し、これらの研磨性を低下させてこれらを温和な研磨粒子として大いに適当なものとする(Laneらの米国特許第5066335号明細書、米国特許第5360903号明細書、米国特許第5367068号明細書;Koutlakisらの米国特許第6159257号明細書、米国特許出願公開第2004/157532号明細書;Drakeらの米国特許第6726536号明細書、米国特許出願公開第2004/121707号明細書)。
【0005】
ガラス様多糖類はまた、水吸収性材料としても記載されている(Huppeらのカナダ国特許出願公開第2308537号明細書);Thibodeauらのカナダ国特許出願公開第2462053号明細書;Berradaらのカナダ国特許出願公開第2483049号明細書;Drakeらの米国特許出願公開第2004/244652号明細書)。
【0006】
上で引用した出願においては、ガラス様多糖類を粉砕して粒子形態を得る。粒子サイズを縮小するいくつかの有用な技法がRichardらによって記載されている(Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、7th ed.、Perryら、1997、McGraw−Hill、s. 20、1〜56頁)。さらにRichardらは、破砕および粉砕装置を11種類に分類した:ジョークラッシャー、旋回破砕機、重負荷衝撃ミル、ロールミル、ドライパンチェーサーミル、シュレッダー、ロータリーカッターおよびダイサー、媒体ミル、中周速度ミル、高周速度ミルおよび流体エネルギー超微粉砕ミル。
【0007】
ガラス様多糖類を研磨粒子または吸収材料用に粉砕するための、重負荷衝撃ミルおよびその仲間のハンマーミルの使用はこれまでに記載されてきた。しかし、こうした重負荷衝撃ミルの使用は一般に微粒子および大粒子の高い含有量を有する非常に広い粒子サイズ分布をもたらす。大粒子は一般にガラス様多糖類の平均粒子サイズを約350μmより大きく超える。微粒子は一般にガラス様多糖類の平均粒子サイズより約350μm下回る粒子サイズを有する。吸収材産業における用途のためには、望ましい平均粒子サイズは約500μmである。したがって、吸収材産業の常識の範囲内では、大きい粒子は約850μmを超えると規定されており、微粒子は約150μm未満と規定されている。
【0008】
微粒子は一般に望ましくなく、粉塵および粒子サイズ移動問題の原因となる。さらに、狭い粒子サイズ分布は、しばしば水吸収などの一部の用途のためには好ましい。微粒子は、Bergら(米国特許第5300565号明細書)によって報告されているように、ゲルブロッキング問題を生じることが知られている。さらに、微粒子は種々の工業用加工装置の可動部、特にグリスを施した部分に付着しやすい。こうした付着は、最終的には装置の損傷をもたらすクラストを生成する。加えて、微粒子は空気中の浮遊粉塵をも生じやすく、深刻な職業上の健康懸念となる。最後に空気中の浮遊粉塵は、特に多糖類または穀物の場合には、爆発および火災の原因となる可能性がある。
【0009】
大粒子は一般に、生理用ナプキンやエアレイド不織布などの薄い衛生用品を含む用途においては適当ではない。さらに、大粒子は水などの流体をゆっくりとしか吸収しない傾向があり、また衛生用品中でのピンホールの原因となる。
【0010】
微粒子または大粒子に特有の問題を解決するために、粉砕したガラス様多糖類をふるい分けることもできないことはない。しかし、ふるい分け操作は損失となる製品画分をもたらし、それを処分する必要もある。さらに、ガラス様多糖類微粒子のふるい分けは、これらの不規則な形状を考慮すると、可能であったとしても困難な作業である。この不規則な形状は、特に微粒子では、しばしばふるいの目詰まりを起こす。
【0011】
ガラス様多糖類の粒子サイズを縮小するためには、ローラーミルの使用も当技術分野において知られている。ローラーミルはガラス様多糖類粒子を圧縮して「応力」の蓄積をもたらし、その結果、ローラー間で粒子の破裂が起こる。この種のサイズ縮小は非常に侵襲的である。この方法の侵襲性を軽減し、微粒子含有量を低減するためには、複数対の逐次ローラーの使用が、穀物を主体とする製品または食品の粉砕について記載されている(Taylor, T.の米国特許第453364号明細書;Brunner, H.の仏国特許発明第415230号明細書、Johnston, G.の米国特許第1396712号明細書;Nollらの米国特許第2986348号明細書;Huessy, E. G.の米国特許第3895121号明細書;Sartori, R.の仏国特許発明第1296235号明細書;Livrieri, F.の欧州特許第0949003号明細書;Standing, C. N.の米国特許第3933086号明細書;Boczewski, M.P.の米国特許第4220287号明細書;Ruschらの米国特許第4225093号明細書;Bleiskisらの米国特許第4859484号明細書;Gemsjager, H.の米国特許第5031845号明細書;Baltenspergerらの国際公開第89/03245 A1号パンフレット;Wellman, W.の米国特許第5089282号明細書、米国特許第5104671号明細書、米国特許第5141764号明細書、米国特許第5186968号明細書、米国特許第5194287号明細書、米国特許第5211982号明細書;Salemらの米国特許第6098905号明細書;Curran, S. P.の米国特許第5192028号明細書;Leusnerらの米国特許第6887509号明細書;Giguere, R.J.の米国特許第5250313号明細書;Hellwegらの米国特許出願公開第2005/153044号明細書;Morgan, K. R.の国際公開第05/002343号パンフレット;およびWeaver, W. R.の米国特許出願公開第2005/160996号明細書)。
【0012】
ガラス様多糖類を粉砕するためのロールミルの使用はSairらによって記載されている(米国特許第4232047号明細書)。しかし、Sairらは、1対のみのローラーの使用を記載しており、これは、先に言及したように、非常に侵襲的な処理である。さらに、Sairらはガラス様多糖類の水分含有量に関してはまったく記載していないが、これは高度に効果的なサイズ縮小処理のためには決定的に重要な役割を果たす。水分は吸収材の性質に対して直接的な影響力を持つので、水分含有量は吸収材としてのガラス様多糖類の極めて重要な特徴でもある。高い水分含有量を有する製品が低減された吸収性を示すことは関連技術分野において周知である。
【0013】
それ故にガラス様多糖類の効率的な粒子サイズ縮小の方法に対する必要性が依然としてある。
【0014】
本発明はこれらの必要性および他の必要性を満たすことを探求する。
【0015】
本発明は多数の文献に言及するが、これらの内容はその全体を参照により本明細書に組み入れる。
【特許文献1】米国特許第3706598号明細書
【特許文献2】カナダ国特許第1319045号明細書
【特許文献3】米国特許第4232047号明細書
【特許文献4】米国特許第3922354号明細書
【特許文献5】米国特許第5972395号明細書
【特許文献6】米国特許第4820534号明細書
【特許文献7】米国特許第4532145号明細書
【特許文献8】米国特許第5009900号明細書
【特許文献9】米国特許第5958502号明細書
【特許文献10】米国特許第5846580号明細書
【特許文献11】米国特許第6582753号明細書
【特許文献12】米国特許第6248386号明細書
【特許文献13】米国特許第5066335号明細書
【特許文献14】米国特許第5360903号明細書
【特許文献15】米国特許第5367068号明細書
【特許文献16】米国特許第6159257号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2004/157532号明細書
【特許文献18】米国特許第6726536号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2004/121707号明細書
【特許文献20】カナダ国特許出願公開第2308537号明細書
【特許文献21】カナダ国特許出願公開第2462053号明細書
【特許文献22】カナダ国特許出願公開第2483049号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2004/244652号明細書
【特許文献24】米国特許第5300565号明細書
【特許文献25】米国特許第453364号明細書
【特許文献26】仏国特許発明第415230号明細書
【特許文献27】米国特許第1396712号明細書
【特許文献28】米国特許第2986348号明細書
【特許文献29】米国特許第3895121号明細書
【特許文献30】仏国特許発明第1296235号明細書
【特許文献31】欧州特許第0949003号明細書
【特許文献32】米国特許第3933086号明細書
【特許文献33】米国特許第4220287号明細書
【特許文献34】米国特許第4225093号明細書
【特許文献35】米国特許第4859484号明細書
【特許文献36】米国特許第5031845号明細書
【特許文献37】国際公開第89/03245 A1号パンフレット
【特許文献38】米国特許第5089282号明細書
【特許文献39】米国特許第5104671号明細書
【特許文献40】米国特許第5141764号明細書
【特許文献41】米国特許第5186968号明細書
【特許文献42】米国特許第5194287号明細書
【特許文献43】米国特許第5211982号明細書
【特許文献44】米国特許第6098905号明細書
【特許文献45】米国特許第5192028号明細書
【特許文献46】米国特許第6887509号明細書
【特許文献47】米国特許第5250313号明細書
【特許文献48】米国特許出願公開第2005/153044号明細書
【特許文献49】国際公開第05/002343号パンフレット
【特許文献50】米国特許出願公開第2005/160996号明細書
【特許文献51】カナダ国特許出願公開第2519417号明細書
【特許文献52】カナダ国特許出願公開第2362006号明細書
【特許文献53】カナダ国特許出願公開第2426478号明細書
【非特許文献1】Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、7th ed.、Perryら、1997、McGraw−Hill、s. 20、1〜56頁
【非特許文献2】Modern Superabsorbent Polymer Technology (Buchholz, F.L. and Graham, A. T. Eds.、Wiley−VCH、New York、1998, section 4.6.1 Swelling Capacity: Theory and Practice、147頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、ガラス様多糖類の粒子サイズを縮小する新規な方法に関する。本発明はまた、かかる方法によって得られた粒子状材料に加えてかかる粒子状材料を含んでいる組成物にも関する。より詳しくは、本発明はあまり細かくないおよび/または大粒子しか生成しない(すなわち粒子サイズ分布がより狭い)、ガラス様多糖類の粒子サイズを縮小する方法に関する。本発明の方法は、吸収材産業において使用するガラス様多糖類の粒子サイズの縮小に好都合に使用することができる。本発明の方法は、コストおよびエネルギーについても効率的であるというさらなる利点をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施形態において、本発明は、水分含有量が0%〜約13%の範囲にあるガラス様多糖類およびガラス状態にあるガラス様多糖類からなる群から選択されたガラス様多糖類の粒子サイズを縮小する方法に関する。この方法は、ガラス様多糖類に、少なくとも3対の逐次ローラーの粒子サイズ縮小処理を順次実施することを含む。
【0018】
一実施形態において、本発明は、水分含有量が0%〜約13%の範囲にあるガラス様多糖類およびガラス状態にあるガラス様多糖類からなる群から選択されたガラス様多糖類であり、デンプンを含むガラス様多糖類の粒子サイズを縮小する方法に関する。この方法は、ガラス様多糖類に、少なくとも3対の逐次ローラーの粒子サイズ縮小処理を順次実施することを含む。
【0019】
一実施形態において、本発明は、水分含有量が0%〜約13%の範囲にあるガラス様多糖類およびガラス状態にあるガラス様多糖類からなる群から選択されたガラス様多糖類の縮小されたサイズの粒子を含む吸収材組成物に関する。
【0020】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な記述から明らかとなる。しかし、これらの詳細な記述および具体的な実施例は、本発明の実施形態を例示するが、例示のためだけに提示するものであることを理解されたい。それは本発明の主旨および範囲の中での種々の変更および改良はこの詳細な記載から当業者には明白となるからである。
【0021】
本発明を全体的に記載したので、ここでその好ましい実施形態を例示によって示す添付の図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書において使用する用語の明快で一貫した理解を提供するために、いくつかの定義を以下に与える。さらに、本明細書の記載はいくつかの日常的に使用される化学上および技術上の用語に言及する。明快さと一貫性のために選定した用語の定義を与える。
【0023】
特許請求の範囲および/または明細書において「1つの」という語が「含んでいる」という用語と連動して使用される場合は、「1つ」を意味することもあるが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1つまたは2つ以上」と両立する。同様に、「他の1つ」という語は少なくとも第2のものまたはそれより多いことを意味することがある。
【0024】
本明細書および請求項で使用する語「含んでいる(comprising)」(および含んでいるなどの形態、「含む」なども)、「有している(having)」(および有しているなどの形態「有する」なども)、「含んでいる(including)」(および含んでいるなどの形態、「含む」なども)または「含有している(containing)」(および含有しているなどの形態、「含有する」なども)は、包括的または非制限的であり追加的な、挙げられていない要素または方法のステップを排除しない。
【0025】
「約」という用語は、ある値はその値を決定するために使用する装置や方法に関する固有の誤差の変動を含むことを示すために使用する。
【0026】
本明細書において使用する「ガラス様多糖類」という用語は、実質的に均一な無定形固体である多糖類のことを言う。ガラス様多糖類は、一般に溶融多糖類を急速に冷却することによって調製する。急速な冷却は、多糖類の移動性を低下させ、多糖類鎖が熱力学的により有利な結晶状態にパッキングされることを防ぐ。ガラス様多糖類は、しばしば「自己からみ合い」多糖類と呼ばれ、たとえばThibodeauらの(カナダ国特許出願公開第2462053号明細書)またはBerradaらの(カナダ国特許出願公開第2483049号明細書)によって報告されている。さらに、ガラス様多糖類は、割れたガラス様の形状を有するとして特徴付けられる。かかるガラス様形状の非限定的な例は、図2に例示されている。ガラス様多糖類の定義には、凝集体(すなわち、無機物−多糖類凝集体)および多糖類のナノ複合材料(Berradaらのカナダ国特許出願公開第2483049号明細書)が含まれ、これらのすべては少なくとも50%のガラス様多糖類成分を含むことを理解されたい。
【0027】
本明細書で使用する「ガラス状態」という用語は、ガラス状材料、特にポリマー材料の物質の準状態の1つのことを言う。ガラス状態において、多糖類鎖は互いに比較的強く会合しているが、結晶形態は持たない。ガラス状態にあるときは、多糖類はより脆くてより硬い。
【0028】
本明細書で使用する「ゴム状態」という用語は、ガラス状材料、特にポリマー材料の物質の準状態の1つのことを言う。ゴム状態においては、多糖類鎖間の静電相互作用(これの非限定的な例にはH−結合およびイオン結合が含まれる)はより弱く、ポリマー鎖により高い移動性を与える。この付加された運動の自由度が「ゴム状の」ガラス様多糖類を応力に対してより弾力性にし、または加えられた圧力の下でより延性にする。
【0029】
本明細書で使用する「溶融多糖類」という用語は、それ自体の結晶形態を破壊するに足る量の熱と水が与えられた多糖類のことを言う。デンプンに言及する場合には同義的な用語、すなわち「ゼラチン化された」がしばしば使用される。
【0030】
本明細書で使用する「多糖類」という用語は、単糖類繰り返し単位および/または誘導体化された単糖類繰り返し単位を含む骨格を有するポリマーであり、かかる繰り返し単位がポリマーの少なくとも90%を構成するもののことを言う。非限定的な例には、デンプン、改質デンプン、アミロペクチン、改質アミロペクチン、アミロース、改質アミロース、キトサン、キチン、グアーガム、改質グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム、コンニャク粉、コロハガム、メスキートガム、アロエマンナン、セルロース、改質セルロース(代表例にはカルボキシアルキル化セルロースおよびカルボキシメチルセルロースが含まれる)、酸化多糖類、硫酸化多糖類、カチオン性多糖類(代表例にはキトサン、多糖類の第四級アンモニウム誘導体およびグアニジン化多糖類たとえばBerrada, M.によって記載されているもの、カナダ国特許出願公開第2519417号明細書、が含まれる)、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタン、κ、ιまたはλ−カラギーナン、寒天、アルギン酸塩およびこれらの混合物が含まれる。
【0031】
本明細書で使用する「単糖類単位」という用語は、環状のC〜Cアルドースまたはケトースのことを言う。C〜Cアルドースの非限定的な例にはアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、およびリクソースが含まれる。C〜Cケトースの非限定的な例にはリブロース、キシルロース、フルクトース、ソルボースおよびタガトースが含まれる。
【0032】
本明細書で使用する「単糖類誘導体」という用語は、化学的にまたは酵素的に改質された単糖類単位の任意のもののことを言う。
【0033】
本明細書で使用する「水分含有量」という用語は、固体中に含有されている水の量(重量/重量%)のことを言う。
【0034】
本明細書で使用する「周囲温度」という用語は、約15〜約40℃の範囲内の温度のことを言う。
【0035】
本明細書で使用する「ローラー」という用語は、それ自体の長軸に沿って回転する円筒のことを言う。
【0036】
本明細書で使用する「ローラーの対」という用語は、2本の逆向きに回転する実質的に平行に近接して置かれたローラーのことを言う。
【0037】
本明細書で使用する「隙間(gap nip)」という用語は、1対のローラーの間隔のことを言う。効果的であるためには、隙間はサイズ縮小される粒子よりも小さくなければならない。
【0038】
本明細書で使用する「隙間の侵襲性」という用語は、2対の逐次ローラー間の隙間の比のことを言う。「隙間の侵襲性」は次式で定義することができる。
【0039】
隙間1/隙間2=侵襲性比
【0040】
図1の描画で例示されているように、第1の「隙間の侵襲性比」は「隙間A」を「隙間B」で割ることによって得られる。第2の「隙間の侵襲性比」は「隙間B」を「隙間C」で割ることによって得られる。より高い侵襲性比(すなわちより大きい数値)はガラス様多糖類のより多くの粒子が応力を受けることを示す。しかし、与えられる応力が過剰(すなわち約2以上の侵襲性比)である場合は、粒子の過剰な破裂が起こり、より高い微粒子含有量を生じる。
【0041】
本明細書で使用する「逐次ローラー対」という用語は、それぞれの対がガラス様多糖類粒子のサイズに対する縮小効果を有する一連のローラー対のことを言う。図1には、3対の逐次ローラーの一連が例示されている。
【0042】
本明細書で使用する「微」または「微粒子」という用語は、小さい粒子のことを言う。微粒子のサイズは所望の平均粒子サイズから350μmを引くことによって計算することができる。吸収材産業の用途においては、所望の平均粒子サイズは約500μmであり、したがって微粒子は約150μm以下の粒子サイズを有する。
【0043】
本明細書で使用する「大」または「大粒子」という用語は、大きい粒子のことを言う。大粒子のサイズは、所望の平均粒子サイズに350μmを加えることによって計算することができる。吸収材産業の用途においては、所望の平均粒子サイズは約500μmであり、したがって大粒子は約850μm以上の粒子サイズを有する。
【0044】
本明細書で使用する「自由膨潤容量」(FSC)という用語は、「全吸収」とも呼ばれ、組成物1g当たりに吸収される流体の量(g)のことを言う。一般の流体は生理食塩水(0.9重量/重量%NaCl溶液であり、本明細書においては以後0.9%NaCl溶液または生理食塩水と呼ぶ)である。
【0045】
本明細書で使用する「遠心分離保持容量」(CRC)という用語は、「保持量」とも呼ばれ、組成物に250Gの遠心力を与えた後に、組成物1g当たりに保持されている流体の量(g)のことを言う。一般の流体は生理食塩水(0.9重量/重量%NaCl溶液であり、本明細書においては以後0.9%NaCl溶液または生理食塩水と呼ぶ)である。
【0046】
広い意味では、本発明はガラス様多糖類の粒子サイズ縮小のための新規な方法に関する。本発明の一実施形態においては、ガラス様多糖類の粒子サイズを、少なくとも3対の逐次ローラーの処理によって縮小させる。本発明の他の一実施形態においては、ガラス様多糖類は0%〜約13%の範囲内の水分含有量を有する。本発明の他の一実施形態においては、ガラス様多糖類はガラス状態である。
【0047】
縮小工程に続いて、縮小されたガラス様多糖類粒子が得られる。縮小工程は、微粒子および/または大粒子の形成を最小限に抑える。本発明の一実施形態においては、ガラス様多糖類の粒子サイズを縮小させる工程は、狭い粒子サイズ分布を示す粒子を生成する。他の一実施形態においては、本発明の縮小工程は、約5%未満の微粒子含有量および約5%未満の大粒子含有量を有する縮小された粒子を生成する。他の一実施形態においては、本発明の縮小工程は、約2%未満の微粒子含有量および約2%未満の大粒子含有量を有する縮小された粒子を生成する。
【0048】
ガラス様多糖類は、これらの物理的特徴の故に、多糖類の特別な種類を構成する。ガラス様多糖類は、ガラス状態またはゴム状態であることができる。ガラス様多糖類は、周囲温度にあるときには、水分含有量に応じて異なる機構によって破壊されることが意外にも発見された。
【0049】
ゴム状のガラス様多糖類は、高い水分含有量を有するガラス様多糖類であり、プラスチック様の特徴およびゴム様の特徴を持つ傾向がある。こうしたガラス様多糖類は、圧力をかけられた状態では変形しやすく、破裂するよりもむしろ裂ける。さらに、これらのゴム状のガラス様多糖類に特有の高い水分含有量が、粒子に弾力性および延性を付与するので、ローラーミルを使用するこれらの縮小はほとんど無効になる。弾力性および延性は、ローラー処理を実施したときに多糖類がエネルギーを吸収することを可能にする。したがって粒子を適切に砕くためにはより多くのエネルギーが必要になる。エネルギーの吸収は多糖類の温度を急速に増して、多糖類は工業装置に付着しやすくなる。さらに、高い温度の多糖類粉塵は引火性である。
【0050】
ガラス状態のガラス様多糖類は低い水分含有量によって特徴付けられ、より脆くより硬くなる傾向がある。かかるガラス様多糖類はずり応力や圧力などの応力がかかった状態では裂けるよりもむしろ破裂し、それがこれらをローラーミルを使用するサイズ縮小に大いに適するものとする。本発明の一実施形態においては、かかるガラス様多糖類は0%〜約13%の範囲内の水分含有量を有する。本発明の他の一実施形態においては、かかるガラス様多糖類は約7%〜約9%の範囲内の水分含有量を有する。
【0051】
ガラス様材料の温度を下げることが個々のポリマー鎖の移動性を低下させてガラス様材料とすることは熟練技術者の能力の範囲内である。このことは材料をよりガラス状にし、ローラーミルの作用を受けやすくする。しかし、高い温度はガラス様材料を軟化させ、これらをローラーミルにおける使用にはより適さなくする。
【0052】
ローラーミルにおいては、1対の逆向きに回転しているローラーは間隔をあけて離して、「隙間」と呼ばれる空間を画定させる。この間隔は好ましくは、縮小される粒子に加わる応力を制御するために、調節可能である。図1から観察できるように、縮小される粒子は隙間空間A、BおよびC中に順次運ばれ、そこでこれらの粒子はローラーによって加えられる圧力によって応力を受ける。効果的であるためには、隙間は縮小される粒子のサイズよりも小さくなければならない。ローラーミルの構成によっては、逐次ローラーが数対存在してもよい。
【0053】
本発明の一実施形態においては、ローラー対は異なる速度で逆向きに回転している。これによって粒子にずり応力が加わることになり、効率的なサイズの縮小が得られる。一実施形態においては、ローラーは、ローラーの外側表面に沿って置かれた凹凸のある歯を備えている。この歯は隙間に入ってくる粒子を固定し、その中で粒子に衝撃を加える。本発明の一実施形態においては、また図3に例示するように、歯は波のような形をしている。波のへこんだ側は縮小されるガラス様多糖類粒子の方を向いていなければならず、粒子が隙間に導かれるようにする。本発明の他の一実施形態においては、凹凸のある歯は直線状であり、ローラーの全長に及び、ローラーの軸とほぼ平行であるかまたはそれから外れているかのどちらかである。
【0054】
効率的な粒子サイズの縮小を達成しようとする場合は、隙間を適切に調節することが重要である。実際は、逐次の隙間は段々に小さくしなければならない。2対の逐次ローラー間で隙間の差が大きすぎると、過剰に高い侵襲性比となる。こうした高い比はガラス様多糖類粒子の過剰な破裂をもたらして、望ましくない量の微粒子を生成する。本発明の一実施形態においては、隙間の侵襲性比は約1.0〜約2.0の範囲内である。他の一実施形態においては、隙間の侵襲性比は約1.2〜約1.8の範囲内である。
【0055】
本発明の一実施形態においては、ガラス様多糖類粒子は少なくとも3対の逐次ローラーの縮小処理を受ける。もっと多くの逐次ローラーを使用すれば、2対の逐次ローラーの間の侵襲性比をさらに徐々に小さくすることができる。しかし、所望の粒子サイズ分布を得るために、使用する逐次ローラー対の数を決定することは適切な隙間の設定を決定することと同様に熟練者の能力の範囲内である。
【0056】
本発明の縮小されたガラス様多糖類粒子は、狭い粒子サイズ分布を示す。しかし、それでもなお、ふるいを使用してさらに粒子サイズ分布を狭くすることができる。さらに、空中に浮遊している粒子を除去するために、除塵機をローラーの近くで使用することができる。こうした除塵機の使用はさらに粒子サイズ分布を狭くする。
【0057】
本発明の方法において使用するガラス様多糖類は、種々の供給源から得ることができる。非限定的な例にはデンプン、改質デンプン、アミロペクチン、改質アミロペクチン、アミロース、改質アミロース、キトサン、キチン、グアーガム、改質グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム、コンニャク粉、コロハガム、メスキートガム、アロエマンナン、セルロース、改質セルロース(代表例にはカルボキシアルキル化セルロースおよびカルボキシメチルセルロースが含まれる)、酸化多糖類、硫酸化多糖類、カチオン性多糖類、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタン、κ、ιまたはλ−カラギーナン、寒天およびアルギン酸塩が含まれる。マンノース系多糖類の比限定的な例には、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、コンニャクガム、メスキートガム、およびコロハ抽出物が含まれる。他の非限定的な例には架橋多糖類たとえばCoutureらによって記載されているもの(カナダ国特許出願公開第2362006号明細書);多糖類の混合物たとえばBergeron, D.によって記載されているもの(カナダ国特許出願公開第2426478号明細書);化学的に誘導体化された多糖類たとえばBerrada, M.によって記載されているもの(カナダ国特許出願公開第2519417号明細書);および多糖類−無機物凝集体、および多糖類のナノ複合材料たとえばBerradaらによって記載されているもの(カナダ国特許出願公開第2483049号明細書)が含まれる。
【0058】
本発明の一実施形態においては、ガラス様多糖類はデンプンである。デンプンの非限定的な例には、コーン、ワキシーコーン、小麦、ワキシー小麦、米、もち米、ポテト、キャッサバ、ワキシートウモロコシ、ソルガム、ワキシーソルガム、サゴ、そば、豆、エンドウ豆、ライ麦、大麦、およびアマランスが含まれる。
【0059】
ガラス様多糖類は通常、押出成形法によって得られる。このガラス様押出成形物は通常、米国特許第5066335号明細書(Laneら)に記載されているような、ペレットに切断される。本発明の一実施形態においては、ペレットの直径は約2mm〜約8mmの範囲内である。
【0060】
本発明の縮小されたガラス様多糖類粒子は種々の用途、たとえば使い捨て衛生用品(すなわち、おむつ、失禁用品、女性用衛生用品、および吸収材被覆)、エアレイド不織布、家庭用品、シール材料、保湿材(すなわち土壌調整用農業用品)、採鉱および石油掘削、凝結防止塗料、水貯蔵材料(農業/園芸/林業)、吸収性紙製品、外科用吸収材、ペット用トイレ、包帯、傷の被覆、化学品吸収材、化粧品用および医薬品用ポリマーゲル、人口雪、消火技法、および生鮮食品または魚介類の輸送関連用途、ならびに食品包装用途において使用することができる。さらに、本発明の縮小されたガラス様多糖類粒子は、種々の液体を吸収させるために使用することができ、その非限定的な例には生理学的液体、生理食塩水、水および水溶液が含まれる。
【0061】
本発明の縮小されたガラス様多糖類粒子は、他の共吸収材料と混合することができる。本発明の一実施形態においては、組成物は、縮小されたサイズのガラス様多糖類を約1〜約99(重量/重量)%および共吸収材料を約99〜約1(重量/重量)%含む。共吸収材料の非限定的な例には、合成高吸収性ポリマー、マンノース系多糖類、イオン性多糖類、繊維およびこれらの混合物が含まれる。
【0062】
本発明の一実施形態において、吸収材組成物は、縮小されたサイズのガラス様多糖類粒子をイオン性多糖類、カチオン性またはアニオン性多糖類のいずれか、またはこれらの混合物と混合することによって調製される。他の一実施形態においては、吸収材組成物は、縮小されたサイズのガラス様多糖類粒子を1つまたは複数のアニオン性多糖類と混合することによって調製される。
【0063】
アニオン性多糖類の非限定的な例には、カルボキシアルキル多糖類、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、酸化多糖類、キサンタン、カラギーナン、ペクチンおよびこれらの混合物が含まれる。
【0064】
繊維の非限定的な例には、セルロース、ビスコース、レーヨン、酢酸セルロース、ナイロン(登録商標)、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、二成分繊維、ポリエステル、ポリラクチド、ポリプロパンジオール、リヨセル(商標)、ミズゴケおよびこれらの混合物が含まれる。
【0065】
マンノース系多糖類の非限定的な例には、グアー、タラ、ローカストビーン、コンニャク、コロハ抽出物、メスキート抽出物、アロエマンナンおよびこれらの混合物が含まれる。
【0066】
共吸収性の合成高吸収性ポリマーは、一般にモノマーの重合によって得られる。モノマーの非限定的な例にはアクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、無水アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステル、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸塩、マレイン酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ビニルグアニジン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩およびこれらの混合物が含まれる。
【0067】
実験
材料
直径約2mm〜約8mm、水分含有量10%のガラス様の等級A小麦デンプンペレットをArcher Daniels Midland(登録商標)(Decatur, USA, Division Candiac, Canada)から入手した。直径約2mm〜約8mm、水分含有量8%のガラス様コーンスターチペレットをGroupe Lysac Inc.(登録商標)(Boucherville, Canada)から入手した。
【0068】
3対のローラーミル
ガラス様多糖類粒子はModern Processing Equipment (Chicago, USA)製のGran−U−Lizer(商標)1052 TP粉砕機を使用して縮小した。この粉砕機は3対のローラーを備えていた。ローラーは、遠心鋳造二重金属チルド鋳鉄で製作され、直径10インチ、長さ52インチであった。さらに、ローラーは波形歯で凹凸が付けられていた。ローラーは空気圧制御されて、可変の隙間調節ができるようになっていた。すべてのローラー対は、同期されておらず、すなわち異なる速度で回転した。第1のローラー対は、それぞれ478rpmおよび1160rpmの速度で回転した。第2のローラー対は、それぞれ512rpmおよび1160rpmの速度で回転した。第3のローラー対は、それぞれ614rpmおよび1160rpmの速度で回転した。25HPのモーターが各ローラー対に動力を供給した。粉砕機にはModern Processing Equipment (Chicago, USA)製、可変速度モーター駆動の1052PFローラーフィーダー(1HP)で供給した。
【0069】
ふるい機
サンプルは、回転数1725rpmのTyler Ro−Tap(登録商標)試験用シーブシェーカーを使用して約10分間ふるい分けた。サンプルは、20、30、60および100のTylerメッシュの開口を有するふるいを用いてふるい分けた。
【0070】
試験方法
Modern Superabsorbent Polymer Technology (Buchholz, F.L. and Graham, A. T. Eds.、Wiley−VCH、New York、1998, section 4.6.1 Swelling Capacity: Theory and Practice、147頁)、において論じられているように、いくつかの測定方法がポリマーの膨潤能力を特徴付けるために使用されている。高吸収性材料の分野においては、重量測定膨潤能力(Gravimetric Swelling Capacity)[自由膨潤能力(Free Swell Capacity (FSC))とも呼ばれる]および遠心分離能力(Centrifuge Capacity)[遠心分離保持能力(Centrifuge Retention Capacity (CRC))とも呼ばれる]が推奨される方法である。FSCおよびCRCは、得られた吸収材製品の膨潤能力を比較するために使用した。
【0071】
FSCおよびCRC測定のためのティーバッグ
ヒートシール可能なAhlstrom(商標)フィルターペーパー(16.5±0.5g/m)でティーバッグ(10×10cm)を作成した。
【0072】
FSC測定
0.9%NaCl溶液中の自由膨潤能力(FSC)をEDANAから推奨された試験方法440.2−02によって測定した。
【0073】
CRC測定
0.9%NaCl溶液中の遠心分離保持能力(CRC)をEDANAから推奨された試験方法441.2−02によって測定した。
【0074】
(実施例)
(実施例1)
小麦デンプン
第1のローラー対の隙間を0.018インチ(457μm)に調節し;第2のローラー対の隙間を0.010インチ(254μm)に調節し;第3のローラー対の隙間を0.006インチ(152μm)に調節した。第1のローラー対と第2のローラー対に対して計算した侵襲性比は1.80であり;第2のローラー対と第3のローラー対に対して計算した侵襲性比は1.67であった。
【0075】
ガラス様小麦デンプンペレットをミル中に供給した。
【0076】
粉砕されたら、縮小されたガラス様小麦デンプン粒子を10分間ふるい分けした。得られた粒子サイズ分布を本明細書の以下の表1に例示する。
【0077】
【表1】

【0078】
(実施例2〜5)
粒子サイズ分布に関する隙間の効果
本明細書の以下の表2に示すように隙間を変更した。ガラス様小麦デンプンペレットをミル中に供給した。
【0079】
粉砕されたら、縮小されたガラス様小麦デンプン粒子を10分間ふるい分けした。得られた粒子サイズ分布を本明細書の以下の表3に例示する。
【0080】
【表2】

【0081】
【表3】

【0082】
表3から観られるように、縮小されたガラス様多糖類粒子のサイズは隙間の設定に直接関係付けられる。隙間の設定が大きいとより大きな割合の大粒子を生成する。実施例4について第1ローラー対と第2ローラー対に対して計算した侵襲性比は1.75であり;実施例4について第2ローラー対と第3ローラー対に対して計算した侵襲性比は1.6であった。実施例5について第1ローラー対と第2ローラー対に対して計算した侵襲性比は1.75であり;第2ローラー対と第3ローラー対に対して計算した侵襲性比は2.0であった。実施例5における第3ローラー対は実施例4における第3ローラー対よりも侵襲性が大きい。
【0083】
(実施例6)
コーンスターチのガラス様多糖類および吸収材の性質
第1ローラー対の隙間を0.0235インチ(596μm)に調節し;第2ローラー対の隙間を0.0115インチ(292μm)に調節し;第3ローラー対の隙間を0.0085インチ(216μm)に調節した。第1ローラー対と第2ローラー対に対して計算した侵襲性比は2.04であり;第2ローラー対と第3ローラー対に対して計算した侵襲性比は1.35であった。
【0084】
ガラス様コーンスターチペレットをミルに供給した。粉砕されたら、縮小されたガラス様コーンスターチ粒子を10分間ふるい分けした。得られた粒子サイズ分布を本明細書の以下の表4に例示する。縮小されたガラス様コーンスターチ粒子の吸収材特性は以下のとおりであった:自由膨潤能力:7g/g;遠心分離保持能力:4.8g/g。表4から観られるように、第1ローラー対と第2ローラー対の高い侵襲性比によって、より高い含有量の微粒子が生成された。
【0085】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態による3対の逐次ローラーの側面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるガラス様多糖類の走査電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の一実施形態による「波」形ローラー歯の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるローラーの斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
A、B、C それぞれのローラー対の隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)0%〜約13%の水分含有量を有するガラス様多糖類およびガラス状態のガラス様多糖類からなる群から選択されたガラス様多糖類の粒子を準備するステップ、
b)前記粒子に、少なくとも3対の逐次ローラーのサイズ縮小処理を実施してサイズ縮小された粒子を生成させるステップ
を含むガラス様多糖類粒子を縮小する方法。
【請求項2】
前記水分含有量が約7%〜約9%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サイズ縮小された粒子をふるい分けする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ローラー近傍に浮遊している粒子を除去するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記空気中に浮遊する粒子を除塵機を使用して除去する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガラス様多糖類粒子がデンプンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デンプンが、コーン、ワキシーコーン、小麦、ワキシー小麦、米、もち米、ポテト、キャッサバ、ワキシートウモロコシ、ソルガム、ワキシーソルガム、サゴ、そば、豆、エンドウ豆、ライ麦、大麦、アマランスおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
2対の逐次ローラーのそれぞれが、約1.0〜約2.0の範囲内の侵襲性比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
2対の逐次ローラーのそれぞれが、約1.2〜約1.8の範囲内の侵襲性比を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子がペレット形状である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ペレット形状の粒子が、約2mm〜約8mmの範囲内のサイズを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法によって得られた粒子状材料。
【請求項13】
微粒子含有量が約5%未満であるサイズ分布を有する、請求項12に記載の粒子状材料。
【請求項14】
微粒子含有量が約2%未満であるサイズ分布を有する、請求項13に記載の粒子状材料。
【請求項15】
大粒子含有量が約5%未満であるサイズ分布を有する、請求項12に記載の粒子状材料。
【請求項16】
大粒子含有量が約2%未満であるサイズ分布を有する、請求項15に記載の粒子状材料。
【請求項17】
請求項12に記載の粒子状材料および少なくとも1つの共吸収材料を含む吸収材組成物。
【請求項18】
前記共吸収材料が、合成高吸収性ポリマー、マンノース系多糖類、イオン性多糖類、繊維およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載の吸収材組成物。
【請求項19】
前記合成高吸収性ポリマーが、アクリル酸、アクリル酸塩、アクリル酸エステル、無水アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸塩、メタクリル酸エステル、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸塩、マレイン酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、ビニルグアニジン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩およびこれらの混合物からなる群から選択されたモノマーの重合によって得られる、請求項18に記載の吸収材組成物。
【請求項20】
前記マンノース系多糖類が、グアー、タラ、ローカストビーン、コンニャク、コロハ抽出物、メスキート抽出物、アロエマンナンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の吸収材組成物。
【請求項21】
前記イオン性多糖類が、カルボキシアルキル化多糖類、酸化多糖類、硫酸化多糖類、多糖類の第四級アンモニウム誘導体、グアニジン化多糖類、キトサン、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタン、κ、ιまたはλ−カラギーナン、寒天、アルギン酸塩およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の吸収材組成物。
【請求項22】
前記繊維が、セルロース、ビスコース、レーヨン、酢酸セルロース、ナイロン(登録商標)、ポリアルキレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、二成分繊維、ポリエステル、ポリラクチド、ポリプロパンジオール、リヨセル(商標)、ミズゴケおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の吸収材組成物。
【請求項23】
使い捨て衛生用品、エアレイド不織布、家庭用品、シール材料、保湿材、採鉱および石油掘削、凝結防止塗料、水貯蔵材料、吸収性紙製品、外科用吸収材、吸収材被覆、包帯および外科用パッド、ペット用トイレ、流出化学品吸収材、化粧品用および医薬品用ポリマーゲル、人口雪、消火用ゲル、および食品包装からなる群から選択される用途における使用のための、請求項18に記載の吸収材組成物。
【請求項24】
生理学的液体、生理食塩水、水および水溶液からなる群から選択された液体を吸収するための、請求項17および18に記載の吸収材組成物。
【請求項25】
前記粒子に、少なくとも4対の逐次ローラーのサイズ縮小処理を実施してサイズ縮小された粒子を生成させる、請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−527116(P2008−527116A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550645(P2007−550645)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000048
【国際公開番号】WO2006/074556
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(503298977)アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド カンパニー (9)
【Fターム(参考)】