説明

ガラス溶融装置及びガラス溶融方法

ガラス材料を均一に溶融することができ、また清澄プロセスを短縮若しくは不要とすることができるガラス溶融装置及びガラス溶融方法を提供する。ガラス溶融装置200は、内部に28GHzの高周波を発振するジャイロトロン202を有する発振機201と、発振機201からのミリ波を伝送する円形導波管203と、セラミックス製の窯111を内部に設置するアプリケータ204と、窯111内で溶融ガラスの温度を測定する熱電対206及び発振機201に電源を供給する電源盤207を制御するCPU205とを備える。窯111は、調合されたガラス材料(以下「バッチ」という。)を投入するバッチ投入口112をその上部に備え、また、窯111の内部で誘電加熱により均一に溶融されたバッチをバス121に落下させる出口端113をその下部に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、ガラス溶融装置及びガラス溶融方法に関する。
【背景技術】
ガラス製造は、(1)ガラス材料の調合プロセス、(2)調合されたガラス材料(以下「バッチ」という。)への熱エネルギーの供給によるバッチの溶融(ガラス化)プロセス、(3)溶融・ガラス化したバッチ(以下「溶融ガラス」という。)から一定厚さの板ガラスを成形する成形プロセス、(4)成形された板ガラスの除冷プロセスから成る(例えば、特公昭58−37257号公報,特開2000−281365号公報参照)。
フロート式板ガラス製造装置においては、(2)のプロセスにおける熱エネルギーは、重油燃焼により得られる。
しかしながら、重油燃焼により得られる熱エネルギーは、輻射エネルギーであり、被加熱物であるバッチが吸収しやすい波長帯以外の波長は透過するのみで熱に変化しない電磁波の一種である。
また、輻射エネルギーは、被加熱物の表面でそのほとんどが吸収されるので、被加熱物が熱伝導性のよい鋼等である場合は表面層と内部の温度差は小さいが、バッチは、その原料が鋼等と比較して熱伝導性が悪い上に粉体であるため、その表面及び内部の温度差が大きく、(2)のプロセスにおいてバッチのガラス化反応が均一に行われなくなり、溶融ガラス中に不均質部分が発生し、製造されたガラスに光学的な歪(以下「脈理」という。)として残る。この結果、従来は溶融ガラスを対流させて脈理が溶融ガラス内に生じるのを防止したり、溶融ガラス内に清澄剤を入れて溶融ガラス内に泡が残留するのを防止する清澄プロセスを(2)のプロセスと(3)のプロセスの間に設ける必要があった。
本発明の目的は、ガラス材料を均一に溶融することができ、また清澄プロセスを短縮若しくは不要とすることができるガラス溶融装置及びガラス溶融方法を提供することにある。
【発明の開示】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、ガラス製造に用いられるガラス溶融装置において、ガラス材料を準ミリ波からミリ波の範囲の高周波を用いて誘電加熱するガラス溶融装置が提供される。
また、前記高周波は、10〜35GHzの範囲にあることが好ましい。
また、前記ガラス材料の溶融を、前記ガラス材料表面に照射する前記高周波による誘電加熱と前記ガラス材料中に挿入した電極を用いる通電抵抗加熱とにより行うことが好ましい。
また、前記ガラス材料を収容する天井部、側壁部、底部で囲まれた構造体からなる溶融槽を含み、前記溶融槽の少なくとも前記ガラス材料表面から上部の構造体内壁は、金属とりわけ白金又は白金合金で内張されている。
上述の目的を達成するために、本発明によれば、ガラス材料に準ミリ波からミリ波の範囲の高周波を照射して誘電加熱により前記ガラス材料を溶融してガラスを製造する方法であって、前記ガラスは実質的にアルカリ成分を含まず、アルカリ土類金属酸化物及びAlを含有する多成分系ガラスであるガラス溶融方法が提供される。
また、ガラス成分として質量%でSiO:45〜80%、RO:5〜30%、Al:0〜20%、B:0〜20%を含み、実質的にアルカリ成分を含有しないことが好ましい。
また、前記ガラス中のRO成分としてCaO、BaO、SrOの少なくとも1成分を含むことが好ましい。
また、前記ガラスには、清澄剤としてSnO、CeOの群から選ばれた少なくとも一つが含まれることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置の概略構成図である。
図2は、図1における窯(以下溶融槽ともいう。)で溶融された溶融ガラスの成形プロセスの説明図である。
図3は、誘電加熱の模式図である。
図4は、誘電加熱の等価モデルである。
図5は、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置の変形例の概略断面図である。
図6は、非晶質ガラスのバッチ材料と、10GHzの周波数の電磁波に対するその誘電損失係数の値の関係を示すグラフである。
図7は、各種清澄剤の10GHzの周波数の電磁波に対する誘電損失係数の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳説する。
本実施の形態に係るガラス溶融装置は、その一例としてフロート式板ガラス製造装置の一部として用いられる。具体的には、フロート式板ガラス製造装置によるガラス製造は、ガラス材料の調合プロセス、調合されたガラス材料(以下「バッチ」という。)への熱エネルギーの供給によるバッチの溶融(ガラス化)プロセス、溶融・ガラス化したバッチ(以下「溶融ガラス」という。)から一定厚さの板ガラスを成形する成形プロセス、及び成形された板ガラスの除冷プロセスから成るが、このうち、溶融(ガラス化)プロセスにおいて本実施の形態に係るガラス溶融装置が用いられる。
以下、本実施の形態に係るガラス溶融装置について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置200の概略構成図である。
図1において、ガラス溶融装置200は、内部に28GHzのミリ波を発振するジャイロトロン202を有する発振機201と、発振機201からのミリ波を伝送する円形導波管203と、セラミックス製の窯111を内部に設置するアプリケータ204と、窯111内で溶融ガラスの温度を測定する熱電対206及び発振機201に電源を供給する電源盤207を制御するCPU205とを備える。
窯111は、バッチを投入するバッチ投入口112をその上部に備え、溶融ガラスを後述する図2のバス121に落下させる出口端113をその下部に備える。バッチ投入口112から投入されたバッチは、円形導波管203から伝送されるミリ波により誘電加熱で均一に溶融され、溶融ガラスが形成される。この窯111内の溶融ガラスの温度は、例えば約1500℃である。
円形導波管203は、その内部にアプリケータ204においてバックする過大な反射電力をのみを吸収するアイソレータ208と、発振機201からの入射電力及びアプリケータ204からの反射電力を測定するパワーモニタ209と、パワーモニタ209で測定される反射電力が0となるように調整する整合機210と、円形導波管203内部を伝送するミリ波の伝送モードのうち、主モードであるTE02モードのミリ波のみを透過し、それ以外のモードのミリ波の透過を妨げるモードフィルタ211と、窒化珪素の板から成り、アプリケータ204からの反射電力を吸収するバリアウィンドウ212と、導波管放電を検知し、発振機201の検知回路と連動してアーク発生による発振機201のダメージを防止するアークディテクタ213とを備える。
アプリケータ204は、円形導波管203からの電界の一番強い位置に窯111を配置し、また不図示の冷却器が外部に配されており、周りを冷却水によって冷却している。
次に、図1における窯111で溶融された溶融ガラスの成形プロセスを図2を用いて説明する。
図2において、図1のガラス溶融装置200のアプリケータ204内部に配置された窯111内で溶融された溶融ガラスは、耐火レンガ製の細長いバス121内でガラスリボン125となり、固化する温度まで徐々に冷却される。固化温度となったガラスリボン125は、徐冷部130で徐冷される。
バス121は、窯111から落下した溶融ガラスをバス121内に注入する入口端122と、バス121内で溶融ガラスから形成される後述のガラスリボン125を固化温度にまで冷却された後に徐冷部130に流し出す出口端123をその長手方向両端に備える。
さらに、バス121は、その底部に錫等の溶融金属124を満たしており、入口端122から溶融ガラスがバス121内に注入されると、バス121の底部に満たされた溶融金属124上に溶融ガラスが浮いた状態となり、ガラスリボン125が形成される。入口端122のすぐ下流側でガラスリボン125の上方には、クーラ126が設けられている。このクーラ126により、ガラスリボン125が所定の温度に冷却される。クーラ126の下流側でガラスリボン125の上方には、複数の電気ヒータ127が設けられている。この電気ヒータ127により、ガラスリボン125はその固化温度、例えば900℃に制御される。また、電気ヒータ127の下流側で溶融金属124の上方にうず電流が発生する1対の電磁誘導加熱コイル(不図示)が配されている。このうず電流は溶融金属124の中を該溶融金属124が有する電気抵抗に逆らって流れるときにジュール熱を発生し、該溶融金属124が加熱されるが、ガラスリボン125は絶縁体であるためうず電流がガラスリボン125に流れてもジュール熱が発生しないため、ガラスリボン125は加熱されない。これにより、溶融金属124の温度をバス121内で均一な温度とする。
徐冷部130は、バス121内で形成されたガラスリボン125を引張るための、例えば4個の駆動ローラ131が設けられている。この駆動ローラ131によってガラスリボン125を図2の矢印aの方向に所定速度、例えば0.2m/秒で引張り、所望の厚さの板ガラスを成形する。
次に、図1のガラス溶融装置200により実行されるバッチの誘電加熱の原理を図3,図4を用いて説明する。
誘電加熱とは、誘電体を高周波電解中に配置し、誘電体自身の誘電損失による発熱により昇温させる加熱方式をいう。図3に示すように、対向する電極板の間に誘電体を置き、電圧を印加すると、誘電体を構成する分子や有極性の基などが電界の方向へ配列しようとするが、交番周期の短い高周波電界中では高速な振動・回転による分子間摩擦により熱が発生する。図4において、電極の面積S(m)、電極間隔d(m)、誘電体の比誘電率ε、誘電正接tanδ、周波数f(Hz)、電圧E(V)、抵抗Rとすると、このコンデンサの容量C及び誘電正接tanδは以下の関係式を満たす。
C=ε×ε×S/d(F) …(1)
(ε:真空の誘電率)
tanδ=1/(R×2πfC) …(2)
従って、誘電体の発熱にかかる電力Pは上式(1),(2)により
P=E/R=E×tanδ×2πfC
=E×tanδ×2πf×ε×ε×S/d(W) …(3)
となる。よって、発熱にかかる単位体積当たりの電力は、電界の強さ(E/d)の2乗、周波数f、比誘電率ε、誘電正接tanδに比例する。ε・tanδを誘電損失係数と呼び、誘電加熱の容易さを判断する目安となる。
以上説明したように、誘電加熱は、他の加熱方式が放射・伝導・対流による外部の熱源からの熱の移動に依存するのに対し、被加熱物自身の発熱によるため、(1)物質自体の熱伝導を必要とせず、急速且つ均一な加熱が可能であり、(2)基本的に炉体や雰囲気の昇温を必要とせず、被加熱物自体が昇温するので加熱効率が良好となり、(3)高周波電力の印加に対し温度が迅速に上昇し、加熱のレスポンスがよいので制御が容易となり、(4)発熱が物質自体の特性ε・tanδに依存するので選択加熱が可能となり、(5)減圧下や特殊雰囲気での加熱が可能となる。
一方、マイクロ波をバッチに照射した場合、マイクロ波が波長の長い電磁波であるため、バッチを構成する分子の大きさがマイクロ波の波長と同等又はそれよりも短い長さとなる。従って、マイクロ波のエネルギを一旦熱に変換してその熱によりバッチを加熱するので加熱効率が低い。
これに対し、マイクロ波より波長の短い準ミリ波(10〜30GHz)からミリ波(30〜300GHz)の範囲の高周波を利用すると、マイクロ波とは異なり、バッチを構成する分子が直接加熱(誘電加熱)されるため、加熱効率が上昇する。さらに、高周波発振器の設備経済性を考慮すると10〜35GHzが好ましく、25〜35GHzがさらに好ましい。
即ち、上述のように、準ミリ波からミリ波の範囲の高周波で誘電加熱をすることによりバッチを効率よく且つ均一に溶融することができる。
以下、従来の不均一なバッチの溶融において生じる不具合について説明する。
(1)ガラス中の脈理の発生
ガラス中の脈理とは、バッチ中の溶融温度が不均一であったとき、表1に示すように溶融温度毎に異なる反応が起こり、異種のガラスが筋状に形成されることにより発生する。

脈理が生じた部分は基本的に無色ではあるが、周囲のガラスのマトリックスとは異なる屈折率をもっているため、光学ガラスや板ガラスにおいて、像をゆがめたり、透明性や反射性を損なう原因となる。また、ビン等の容器ガラスにおいては、不均質部分との膨張係数の差によってひずみが生じ、強度の低下を招く原因となる。
(2)ガラス中の泡の発生
ガラス中の泡は、バッチが溶融過程でガラス化する際にCO、HO、O、SOなどのガスを放出し、このガスの一部が溶融ガラス中に残存することにより発生する。
次に、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置の変形例を図面を用いて説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置の変形例の概略断面図である。
図5において、ガラス溶融装置300は、天井部301、側壁部302、底部303で囲まれる。天井部301の天頂部に設けられた開口304から導波管305が接続され、導波管305は図示されないジャイロトロンを有する発振器に接続されている。一方、ガラス溶融装置300の側壁部302の底部303に近い部分からガラス溶融装置300内部に向かった通電加熱電極対306が挿入設置されている。また、天井部301及び側壁部302のうちガラス材料が接触しない部分が金属好ましくは白金あるいは白金ロジウム合金の薄板307により内張されている。
ガラス材料Gは、開口304からガラス材料Gの表面に照射された準ミリ波〜ミリ波の帯域の高周波によりその表面及び内部が誘電加熱されると同時に、通電抵抗加熱電極対306により加熱される。かくして、高周波によるガラス材料の上部からの誘電加熱とガラス材料の底部からの伝熱加熱により、ガラス材料は溶融される。ガラス材料に吸収されずに、ガラス材料表面からガラス溶融装置300内部の上部空間に放出された電磁波は、内張された白金板等の薄板307で反射して再度ガラス材料内に入射し、ガラス材料の加熱に寄与する。
次に、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置200,300で溶融するガラスのバッチ材料について説明する。
バッチ中に所定の配合割合で調合されたガラス材料は、加熱昇温により、表1に示す分解反応が各ガラス材料について行われ、互いに反応しながら非晶質のガラス状態にガラス化していく。溶融過程の初期段階(比較的低温)ではガラス材料は表1に示すような分解反応、固溶化反応等が行われ、溶融過程の中後期段階では、ガラス材料の反応生成物と他のガラス材料の反応生成物との反応などが加わり、複雑な反応を経てガラス化が進行していくものと考えられる。個々のガラス材料の反応が生じるには、所定の温度(たとえば表1に示す)以上に加熱昇温することが必要である。すなわち、誘電加熱効率がよいバッチほど、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置200,300で溶融するものとして好ましい。
以下、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置200,300で溶融するものとして好ましい非晶質ガラスのバッチ材料について説明する。
非晶質ガラスのガラス成分は、ガラスの基本的な成分であるSiO、Bの他、耐水性などの化学的性質を確保するためのAl、ガラスの清澄時及び成形時の粘度を調整するための二価(アルカリ土類)金属酸化物(RO=CaO、MgO、SrO、BaO、ZnO)、ガラスの溶解性を向上させるとともに高温域の粘度を調整するための一価(アルカリ)金属酸化物(RO=NaO、KO、LiO)の一部又は全部を含む。これらのガラス成分は、ガラスの使用目的により適量含むよう、バッチの組成が定められる。TFT液晶表示用のガラス基板のように、アルカリ成分がガラス中に含有することが好ましくない場合は、それらが実質的に含まない無アルカリガラスとされる。
また、バッチには、これらのガラス成分の他に、溶融したガラス内からガラス化溶融過程で生じた気泡を効果的に除去するための清澄剤が添加され、さらに必要により着色剤などが添加される。
各酸化物成分は、バッチ材料として金属の炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物などが使用され、とりわけ炭酸塩、硝酸塩がよく用いられる。SiO成分は珪砂、B成分は硼酸(HBO)、Al成分にはアルミナや水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウムが用いられることが多い硼酸(HBO)、Al成分にはアルミナや水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウムが用いられることが多い。
図6は、非晶質ガラスのバッチ材料と、10GHzの周波数の電磁波に対するその誘電損失係数の値の関係を示すグラフである。
図6において、非晶質ガラスのバッチ材料の誘電損失係数の値の他に、無アルカリガラスのバッチの誘電損失係数の値を同時に示した。ここで、無アルカリガラスのバッチとは、TFT液晶表示用の無アルカリガラスのバッチであり、その組成が質量%でSiO:59%、B:12%、Al:14%、CaO:4.5%、BaO:6%、SrO:3%、MgO:0.5%(RO合計:15%)、清澄剤としてSnO:0.5%、CeO:0.5%含有する。
また、図6において、非晶質ガラスのバッチ材料として、ガラスの基本的な成分であるSiO成分のガラス材料である硅砂、同じくガラスの基本的な成分であるB成分のガラス材料である硼酸(HBO)、耐水性などの化学的性質を確保する成分であるAl成分のガラス材料であるアルミナ、ガラスの清澄時及び成形時の粘度を調整するRO成分のガラス材料であるBaCO,CaCO,Sr(NO,Ba(NO,SrCO,MgCO、及びガラスの溶解性を向上させるとともに高温域の粘度を調整するRO成分のガラス材料として代表されるNaCOの誘電損失係数の値を示す。
RO成分のガラス材料のうち、BaCO,CaCO,Sr(NO,Ba(NO,SrCOの誘電損失係数の値は、SiO成分のガラス材料である硅砂より大きいことが分かった。従って、これらの成分を多く含むバッチであるほど、ミリ波が照射されて加熱されたとき熱吸収効率が大きく加熱昇温が効率よく行われ、誘電加熱溶融をする上で好ましいことが分かった。
また、図6には図示していないが、RO成分のガラス材料について以下の結果が得られた。
CaO成分については、誘電損失係数の値が大きい順に炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化カルシウムであり、いずれも硅砂の誘電損失係数の値より大きく、炭酸塩が効率よく加熱昇温できることが期待できる。
BaO成分については、誘電損失係数の値が大きい順に炭酸バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウムであり、いずれも珪砂の誘電損失係数の値より大きく、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩が効率よく加熱昇温できることが期待できる。
SrO成分については、誘電損失係数の値が大きい順に硝酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウムであり、いずれも珪砂の誘電損失係数の値より大きく、硝酸塩、炭酸塩が効率よく加熱昇温できることが期待できる。
MgO成分は、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムであり、水酸化マグネシウムが最も誘電損失係数の値が大きいが、珪砂の誘電損失係数の値より小さく、加熱昇温速度が遅いことが分かった。
また、Al成分のガラス材料であるアルミナの誘電損失係数の値も、SiO成分のガラス材料である硅砂の誘電損失係数の値より大きいことが分かった。さらに、同じ三価の金属酸化物であっても、HBO成分のガラス材料である硼酸の誘電損失係数の値は、SiO成分のガラス材料である硅砂の誘電損失係数の値よりやや小さいことが分かった。さらに、アルミナを多く含むアルミノ硼珪酸ガラスあるいはアルミノ珪酸ガラスのバッチは、上記の理由により効率よく加熱昇温できることが分かった。
一方、NaO成分のガラス材料であるNaCOは、それ自身は分解反応温度が低くガラス化液相温度を下げる働きがあることが知られているが、高周波誘電加熱では加熱昇温させにくいガラス材料であることが分かった。また、図6では図示していないが、RO成分のうちKOのガラス材料である炭酸カリウムの誘電損失係数の値についても、同様であることが分かった。従って、無アルカリガラスのバッチは、RO成分を含有するバッチより上記の理由により効率よく加熱昇温できることが分かった。
以上の結果より、RO(BaO,CaO,SrO)成分のガラス材料を多く含有するアルミノ硼珪酸ガラスあるいはアルミノ珪酸ガラス、とりわけ無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスのバッチ材料がガラス溶融装置200,300で溶融する際に、バッチを効率よく加熱昇温できる点で好ましいことが分かった。
具体的には、本発明の誘電加熱方法により効果的に加熱昇温できるガラス組成は、SiO:45〜80質量%、RO:5〜30%、Al:0〜20%、B:0〜20%を含み実質的にアルカリ金属酸化物の成分を含有しないアルミノ珪酸ガラス又はアルミノ硼珪酸ガラスが好ましい例として挙げることができる。
ここで、SiO成分は、ガラスの非晶質網目構造のネットワークとなるガラス化必須成分であり、その含有量が45%より少ないと耐薬品性が低下し、80%より多いと高温粘性が大きくなって均質に溶融することが難しくなり、また失透物が生じ易くなる。
Al成分は、高周波を効率よく吸収して加熱昇湿されやすい成分であると共に、ガラスの耐熱性及び耐水性を高める成分であり、その含有量は0〜20%が好ましい。20%を超えると耐弗酸性が低下する。TFT液晶表示用ガラス基板に使用されたときに、ガラス上にTFT素子を製造するときのフッ酸耐性として要求される性質が低下する。
RO成分はMgOを除いて、その金属塩が高周波を効率よく吸収して加熱昇温されやすいガラスにする。RO成分を5%以上含有することにより、高温粘性を低くし溶融性を良好に確保し、ガラスの失透物の生成を抑止する。なかでも加熱昇温が容易であるという観点から、CaO,BaO,SrOが好ましい。但し、30%を超えて含有させると、バッチの加熱昇温性はよくなるが、ガラスの耐酸性、耐熱性が悪くなる。
はSiO成分と同じようにガラスの非晶質網目構造のネットワークになる成分であり、他の成分と反応してガラスの液相温度を低下させ、ガラスの粘性を下げ、ガラス化溶融を容易にする。20質量%を超えて含有すると耐酸性が低下するとともにガラスの歪点が低下して、耐熱性が悪化する。B成分のガラス材料として硼酸が用いられることが多いが、硼酸は誘電損失係数の値がSiOより若干小さく、効率よく加熱昇温できる成分ではないが、ガラスの融液化温度を下げるという有用な作用をもつ。
また、加熱昇温し易いバッチとしては、SiOとAlとROの合計量が75質量%以上であり、80質量%以上とするのがさらに好ましい。
次に、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置200,300で溶融するものとして好ましいシリカ系多成分ガラスのバッチについて説明する。
シリカ系多成分ガラスのガラス成分は、ガラスの必須成分であるSiOの他、一価の金属酸化物(RO)、二価の金属酸化物(RO)、三価の金属酸化物(Al,B)、必要により四価の金属酸化物の一部又は全部を含む。これらのガラス成分は、ガラスの使用目的により適量含むよう、バッチの組成が定められる。
また、バッチには、これらのガラス成分の他に、溶融したガラス内からガラス化溶融過程で生じた気泡を効果的に除去するための清澄剤が添加され、さらに必要により着色剤などが添加される。
バッチ材料として、RO成分はナトリウム、カリウム、リチウムそれぞれの炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩が通常用いられる。RO成分はカルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛のそれぞれの炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩が通常用いられる。四価の金属酸化物のガラス材料としては、チタニウムやジルコニウムの酸化物が用いられる。また、SiO成分は珪砂、B成分は硼酸(HBO)、Al成分にはアルミナや水酸化アルミニウムが用いられることが多い。
また、図6において上述したように、RO成分のガラス材料が少なく、RO成分のうち、BaO,CaO,SrOのガラス材料が多く、R成分のうちAlのガラス材料であるアルミナが多く含有されていると、高周波誘電加熱でバッチを効率よく加熱昇温することが分かった。
以上の結果より、RO(BaO,CaO,SrO)成分のガラスを多く含有するアルミノシリケートガラス、とりわけ無アルカリアルミノシリケートガラスのバッチがガラス溶融装置200,300で溶融する際に、バッチを効率よく加熱昇温できる点で好ましいことが分かった。
次に、本発明の実施の形態に係るガラス溶融装置200,300で溶融するバッチに添加される清澄剤について説明する。
溶融した状態のガラス中には、たとえば表1に示されるガラス化反応により発生するCO,SO,O,HOなどが気泡として取り囲まれ、この気泡はガラス製品として泡欠点となる。このような溶融過程で生じた泡は、バッチ中に添加された清澄剤の清澄作用(脱泡作用)により溶融ガラス中から取り除かれる。清澄剤としては、酸化錫(SnO)、酸化セリウム(CeO)、カルマイト、酸化モリブデン(MoO)、酸化バナジウム(V)等のredox系の酸化物(複数の価数を取り得る金属酸化物)やフッ化カルシウム(CaF)、塩化ナトリウム(NaCl)等のハロゲン化合物、硫酸ナトリウム(NaSO)等の化合物が知られているが、バッチの種類により清澄剤の清澄作用が発揮する温度域が異なる。
本発明者らは、清澄剤自身が加熱溶融されたガラス中で高周波エネルギーを効率よく吸収して加熱されれば、清澄剤分子の分解及び酸素放出が促進され、これにより、ガラスの脱泡が一層効果的に行われるとの考えから、清澄剤の誘電損失係数の値を調べた。
図7は、各種清澄剤の10GHzの周波数の電磁波に対する誘電損失係数の測定結果を示すグラフである。
清澄剤として利用される化合物のうち、SnO,CeO,カルマイト,CaF,NaSO,NaClの誘電損失係数の値を測定した。これらの清澄剤は、ガラス組成にも依存するが、おおむね1450℃〜1700℃の温度領域において最大酸素放出範囲があるとされている。
清澄剤自身がそれを取り囲む溶融ガラスからの伝導熱による加熱に加え、高周波のエネルギー吸収により加熱されることを考慮すると、誘電損失係数の値が大きな清澄剤は、より溶融ガラス中で高温度に効率よく加熱維持するという観点から好ましい。このような観点から、図7で示されるようにSnO、CeOは最も好ましい清澄剤の群であり、カルマイト,CaF,NaCl,NaSOの順に誘電損失係数の値が小さくなる。本発明においては、清澄剤は、通常ガラス成分中で0.5〜1質量%程度で含有されるのがよい。
図6及び図7の各ガラス材料の誘電損失係数の値は、高周波の周波数が10GHzにおける値であるが、さらに周波数が大きくなってもこれらの材料の誘電損失係数の値の大きさの序列の傾向は、大きく変わらないことが実験により分かった。すなわちアルカリ土類金属酸化物の多くの金属塩の誘電損失係数の値は、硅砂、アルミナ、硼酸のその値より大きく、アルカリ金属酸化物の塩の誘電損失係数の値は、硅砂、アルミナ、硼酸の値より小さい。本発明のガラス材料の加熱昇温に用いる高周波としては、バッチを構成するガラス材料を誘電加熱する上で10〜300GHzがよいが、高周波発振器の設備経済性を考慮すると10〜35GHzが好ましく、25〜35GHzがさらに好ましい。
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(1)バッチAの誘電加熱実験
質量%でSiO:71.8%、Al:2%、MgO:4%、CaO:8%、NaO:13%、KO:1%、SO:0.2%含有するように、それぞれのガラス成分について硅砂、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのガラス材料を調合してバッチA300gを準備した。このバッチを白金るつぼにいれ、そのるつぼを炉内にセットし、以下の3種のバッチ加熱昇温方法によりバッチを加熱し、溶融した各種ガラスをサンプルとし(実施例1,比較例1,2)、サンプルの特性を比較した。
バッチ溶融方法は、(1)炉内天井壁に設けた輻射加熱ヒータによる輻射加熱する方法(比較例2)、(2)上記ジャイロトロンで2.45GHzの高周波を発振させ、導波管によりガラス材料に導いて照射し、誘電加熱する方法(比較例1)、(3)ジャイロトロンで28GHzの高周波を発振させ、導波管によりガラス材料に導いて照射し、誘電加熱する方法(実施例1)の3つの方法を用いた。
28GHzの高周波を照射して加熱昇温して溶融したガラス(実施例1)中の未熔解残渣物について調べた結果を表2に示す。るつぼ内のガラスには、末熔解残渣物は肉眼で観察されず、バッチ全体が溶融しガラス化されていた。
2.45GHzの高周波を照射して加熱昇温して溶融したガラス(比較例1)中の末熔解残渣物について調べた結果を表2に示す。るつぼ内のガラスには末熔解残渣物があり、溶融が不十分であった。
表2に示す加熱条件で赤外線ヒータによる輻射熱で加熱昇温して溶融したガラス(比較例2)には未熔解残渣物があり、溶融が不十分であった。
以上の結果、28GHzの準ミリ波帯の高周波を照射してガラスを溶融することにより、末熔解残渣がないガラスができることが分かる。これは、ガラス材料が28GHzの高周波に効果的に吸収され、加熱昇温速度が速く効果的に誘電加熱されたためと考えられる。
(2)バッチBの誘電加熱実験
質量%でSiO(硅砂、以下括弧内は用いたガラス材料を示す):58%、B(硼酸):11%、Al(アルミナ);15%、MgO(炭酸マグネシウム):1%、CaO(炭酸カルシウム):5%、SrO(硝酸ストロンチウム):3%、BaO(硝酸バリウム):6%(RO合計:15%)からなるバッチB300gに、質量%で清澄剤としてのSnO及びCeO:各0.5%を添加したもの(実施例2)と、酸化物質量%で清澄剤としてのCaF及びNaCl:0.5%を添加したもの(比較例3)の2種を準備した。これらのバッチを白金るつぼにいれ、そのるつぼを炉内にセットし、上記ジャイロトロンで28GHzの高周波を発振させ、導波管によりセットされたバッチに導いて照射し、誘電加熱によりバッチを溶融してガラスを作成した。この結果、いずれのサンプルについても(実施例2,比較例3)、炉内のガラスには、末熔解残渣物は肉眼で観察されず、ガラス全体が溶融されていた。
さらに、表2に示す加熱溶融の後、1650℃で1時間清澄したのち除冷してガラス塊を取り出したところ、実施例2の溶融ガラス中の微小泡は、清澄剤を入れていない比較例3の溶融ガラスのものと比較して激減した。

本実施の形態に係るガラス溶融装置は、フロート式板ガラスのガラス材料の溶融やガラス長繊維用のガラスの溶融や、光ファイバの紡糸炉で行うファイバー用ガラスの溶融や、ダウンドロー方式で行う液晶表示用の無アルカリガラスの溶融等に用いられる。
さらに、本装置は加熱コスト短縮、有害ガスの発生低減などの点から、ゴミの焼却炉等にも転用可能である。
【産業上の利用可能性】
以上詳細に説明したとおり、本発明のガラス溶融装置によれば、ガラス材料を準ミリ波からミリ波の範囲の高周波を用いて誘電加熱するので、ガラス材料を均一に溶融することができ、また清澄プロセスを短縮若しくは不要とすることができる。
本実施の形態に係るガラス溶融装置によれば、高周波は、25〜35GHzの範囲にあるので、ガラス材料の均一な溶融をより確実に行うことができる。
本実施の形態に係るガラス溶融装置によれば、ガラス材料の表面から遠い部分(溶融ガラス素地面から深い部分)の加熱を、ガラス素地表面から浸透する電磁波による誘電加熱と通電電極加熱とにより加熱し、ガラス素地面近傍のガラス材料を誘電加熱することにより、ガラス材料の深さ方向の対流を促して、ガラス材料を加熱できる。また、ガラスの溶融を、ガラス材料の表面からの誘電加熱とガラス材料(バッチ)中からの伝熱加熱との併用により、ガラス溶融に必要な投入熱量を誘電加熱と抵抗加熱に分担させることができるので、高周波発生設備及び抵抗加熱電源設備をそれぞれ小型化でき、これにより設備経済性をよくすることができる。
本実施の形態に係るガラス溶融装置によれば、ガラス素地表面に照射された高周波は、ガラス材料中に吸収されて加熱昇温に消費されるが、一部はガラス材料表面から上部方向へ向かう。天井部及び/又は側壁部のガラス素地に覆われない部分の構造体内壁を金属とりわけ白金又は白金合金とすることにより、上部に向かう高周波を反射させ、ガラス素地面に再入射させることにより、加熱効率を高めることができる。また、構造体は、耐火煉瓦で構成されその内側に金属とりわけ白金、白金ロジウム合金などの薄板が内張されるので、設備経済性をよくすることができる。
以上詳細に説明したとおり、本発明のガラス溶融方法によれば、無アルカリアルミノ珪酸塩系のガラスは、主成分であるSiO成分の他、Al成分及びRO成分を主要成分とし、それらのガラス材料(出発原料)は、準ミリ波からミリ波帯の周波数の電磁波の吸収効率が大きく、高周波の照射による誘電加熱により効率よく加熱昇温でき、未熔解が生じないガラスの溶融ができる。
本実施の形態に係るガラス溶融方法によれば、実質的にアルカリ成分を含有せず、RO成分を多く含むバッチ、好ましくは、上記RO成分としてCaO、BaO、SrOの少なくとも一成分を含むので、誘電損失係数の値が大きく、バッチの加熱昇温をし易くすることができる。
本実施の形態に係るガラス溶融方法によれば、溶融ガラスには、清澄剤としてSnO、CeOの群から選ばれた少なくとも一つが含まれるので、清澄剤が溶融ガラスと同程度又はそれ以上の大きさの誘電損失係数の値となることから溶融ガラス中で効果的に加熱され、酸素を放出する分解反応が促され、これにより清澄作用が効果的に発揮される。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製造に用いられるガラス溶融装置において、ガラス材料を準ミリ波からミリ波の範囲の高周波を用いて誘電加熱することを特徴とするガラスの溶融装置。
【請求項2】
前記高周波は、その周波数が10〜35GHzの範囲内にあることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のガラス溶融装置。
【請求項3】
前記ガラス材料の溶融を、前記ガラス材料表面に照射する前記高周波による誘電加熱と前記ガラス材料中に挿入した電極を用いる通電抵抗加熱とにより行うことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のガラス溶融装置。
【請求項4】
前記ガラス材料を収容する天井部、側壁部、底部で囲まれた構造体からなる溶融槽を含み、前記溶融槽の少なくとも前記ガラス材料表面から上部の構造体内壁は、白金又は白金合金で内張されていることを特徴とする特許請求の範囲第3項記載のガラス溶融装置。
【請求項5】
ガラス材料に準ミリ波からミリ波の範囲の高周波を照射して誘電加熱により前記ガラス材料を溶融してガラスを製造する方法であって、前記ガラスは、アルカリ土類金属酸化物を含有する多成分系シリケートガラスであることを特徴とするガラスの溶融方法。
【請求項6】
前記高周波はその周波数が10〜35GHzの範囲内にあることを特徴とする特許請求の範囲第5項記載のガラス溶融装置。
【請求項7】
ガラス成分として質量%で
SiO:45〜80%
RO:5〜30%
Al:0〜20%
:0〜20%
を含み、実質的にアルカリ成分を含有しないことを特徴とする特許請求の範囲第5項又は第6項に記載のガラスの溶融方法。
【請求項8】
前記ガラス中のRO成分としてCaO、BaO、SrOの少なくとも1成分を含むことを特徴とする請求項7に記載のガラスの溶融方法。
【請求項9】
前記ガラスには、清澄剤としてSnO、CeOの群から選ばれた少なくとも一つが含まれることを特徴とする特許請求の範囲第7項記載のガラスの溶融方法。

【国際公開番号】WO2005/021450
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513538(P2005−513538)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012757
【国際出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】