説明

ガラス製品成形機用バッフルアーム組立体

バッフルマニホルドをバッフルアームに取り付ける迅速脱着装置を有するガラス製品製造機械用バッフルアーム組立体。この組立体は、孔を有するバッフルアーム(102)及びバッフルマニホルド(101)を含み、バッフルマニホルドは、この孔を貫通して延び且つバッフルアームに対するバッフルマニホルドの回転を可能にするセグメント(105)を有する。迅速脱着装置は又、ねじ山なしナット(210又は310)及びねじ山なしナットとバッフルマニホルドセグメントとの間の差し込み形連結部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製品成形機用バッフルアーム組立体、特にバッフルマニホルドをガラス製品成形機用バッフルアームに取り付けるためのねじ山なしナットに関する。
【背景技術】
【0002】
工具駆動式ねじ山付き締結具(ねじ部品)、例えばナット及びボルトは、産業界においてどこにでも見受けられる。かかる締結具は、弛み状態になる場合があるので組み立て及び分解のための工具の使用及び/又は締め付け不足又は締め付け過剰を阻止するためのトルクモニタ機器を必要とする場合がある。ねじ山付きナット及び植込みボルトの例示の一使用例が米国特許出願公開第2008/0184742号明細書に示されており、この米国特許出願公開は、バッフルマニホルドの植込みボルトに螺着されるナットを含むガラス製品製造装置に関し、植込みボルトは、バッフルアームのカラーを貫通して延びる。バッフルマニホルドをバッフルアームに結合する他のやり方としては、ねじ山付き又はねじ山なしクランプカラー及びマニホルド植込みボルトにピン留めされるバッフルカラーの使用が挙げられる。しかしながら、かかるやり方でも、組み立て及び分解のために工具が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一般的な目的は、本発明の一側面によれば、ガラス製品成形機のバッフルマニホルドをバッフルアームに取り付けるために工具又はトルクモニタ機器の使用を必ずしも必要としないねじ山なしナットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、互いに別々に又は互いに組み合わせて実施できる多くの側面を有する。
【0005】
本発明の一側面によれば、ガラス製品成形機のバッフルマニホルドをバッフルアームに取り付ける迅速脱着装置は、孔を備えたバッフルアームと、バッフルマニホルドとを有し、バッフルマニホルドは、孔を貫通して延び且つバッフルアームに対するバッフルマニホルドの回転を可能にするセグメントを有する。迅速脱着装置は、ねじ山なしナットを更に有し、ねじ山なしナットとバッフルマニホルドセグメントとの間には差し込み形連結部が設けられる。
【0006】
本発明の内容は、本発明の追加の目的、特徴、利点及び観点と共に、以下の説明、特許請求の範囲の記載及び添付の図面から最も良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の例示の実施形態に従ってねじ山なし植込みボルトとねじ山なしナットとの間のねじ山なし連結具を含むバッフルアーム組立体の前から見た斜視図である。
【図2】図1のねじ山なしナットの上から見た拡大部分斜視図である。
【図3】図1のバッフルアーム組立体の一部分の拡大部分分解組立斜視図である。
【図4】図1のバッフルアーム組立体の例示のねじ山なし植込みボルトの上から見た拡大部分斜視図である。
【図5】図1のバッフルアーム組立体のねじ山なし植込みボルトの拡大平面図である。
【図6】図1のバッフルアーム組立体のねじ山なし植込みボルトの拡大部分側面図である。
【図7】図1のねじ山なしナットの拡大斜視図である。
【図8】図1のねじ山なしナットの拡大分解組立斜視図である。
【図9】図1のねじ山なしナットのカラーの拡大斜視図である。
【図10】図9の10‐10線に沿った図1のカラーの断面図である。
【図11】図1のねじ山なしナットのキャップの拡大斜視図である。
【図12】図11に示されたキャップの平面図である。
【図13】図12の13‐13線に沿った図11に示されているキャップの断面図である。
【図14】図1のねじ山なしナット及び植込みボルトの拡大平面図である。
【図15】図14の15‐15線に沿った図1のねじ山なしナットの断面図である。
【図16】図14の16‐16線に沿った図1のねじ山なしナットの断面図である。
【図17】本発明の例示の第2の実施形態としてのねじ山なしナットの上から見た斜視図である。
【図18】図17のねじ山なしナットの分解組立斜視図である。
【図19】図17のねじ山なしナットのカラーの上から見た斜視図である。
【図20】図19に示されたカラーの下から見た斜視図である。
【図21】図19に示されたカラーの平面図である。
【図22】図21の22‐22線に沿った図19に示されているカラーの断面図である。
【図23】図21の23‐23線に沿った図19に示されているカラーの断面図である。
【図24】図17のねじ山なしナットのキャップの斜視図である。
【図25】図24に示されたキャップの側面図である。
【図26】図25の26‐26線に沿った図24に示されているキャップの断面図である。
【図27】図17のねじ山なしナットの下から見た斜視図である。
【図28】図4のねじ山なし植込みボルトに取り付けられた状態で示されている図17のねじ山なしナットの部分平面図である。
【図29】図28の29‐29線に沿った図28のねじ山なしナット及び植込みボルトの断面図である。
【図30】図28の30‐30線に沿った図28のねじ山なしナット及び植込みボルトの断面図である。
【図31】図28の31‐31線に沿った図28のねじ山なしナット及び植込みボルトの断面図である。
【図32】図28の32‐32線に沿った図28のねじ山なしナット及び植込みボルトの断面図である。
【図33】図29の図に類似した図28のねじ山なしナット及び植込みボルトの断面図であり、植込みボルトから取り外されたナットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、以下に詳細に説明する本発明の特徴を除き、米国特許出願公開第2008/0184742号明細書に開示されているガラス製品成形機とほぼ同じであるのが良いガラス製品成形機のバッフルアーム組立体100を示している。組立体100は、バッフルアーム102及びリンクアーム103の端部から吊り下げられたバッフルホルダマニホルド101を含む。バッフルアーム102は、孔を構成するカラー104を有し、マニホルド101のセグメント105がこの孔を貫通して延びている。セグメント105は、バッフルアーム102に対するバッフルマニホルド101の回転を可能にするようカラー104の孔内で回転可能である。
【0009】
図2は、バッフルマニホルド101をバッフルアーム102に取り付ける迅速脱着装置を示している。例えば、本発明の第1の例示の実施形態としてのねじ山なしナット210がマニホルド101をバッフルアーム102に結合するようセグメント105に固定されている。以下に詳細に説明するように、ナット210は、差し込み形連結部によりセグメント105に結合されるのが良い。カラー104は、カラー104に対するマニホルドセグメント105及びねじ山なしナット210の回転を容易にするブッシュ、支承体等(図示せず)を更に有するのが良い。図3に示されているように、セグメント105は、カラー104の上面を越えて延びてねじ山なしナット210に結合されるねじ山なし植込みボルト106を有する。(本明細書で用いられる「頂」、「底」、「前側」、「後側」、「〜の後ろ」、「上方」、「下方」、「半径方向」、「周方向」、「側方」、「長手方向」、「横方向」、「垂直」、「水平」等という方向を表す用語は、説明の目的で用いられており、必ずしも本発明を限定するものではない。)
【0010】
図4〜図6を参照すると、植込みボルト106は、2つ又は3つ以上の周方向に間隔を置いて設けられた出張り又はラグ107を有している。出張り107は、端面108、側面109及び端面と側面との間の丸み110を有するのが良い。端面108は、形状が外方に湾曲しているのが良く且つ植込みボルト106の大きい方の直径を定めるのが良い。側面109も又、外方に湾曲しているのが良く且つ植込みボルト106の小直径外周部111(図6)の軸方向延長部であるのが良い。丸み110は、内方に湾曲しているのが良く且つ植込みボルト106の端面108と側面109との間の滑らかな移行部を構成するのが良い。図示のように、植込みボルト106は、ナット200の良好な組み立てを促進するよう面取りされるのが良い。例えば、植込みボルト106は、頂面112と端面108との間及び端面108と丸み110との間が面取りされているのが良い。セグメント105及び植込みボルト106の任意他の適当な形態を使用することができる。例えば、図示の植込みボルト106は、2つの直径方向反対側の出張り107を有しているが、植込みボルトは、3つ又は4つ以上の周方向に間隔を置いて設けられた出張りを有しても良い。
【0011】
次に図7及び図8を参照すると、ナット210は、主要構成要素として、長手方向軸線A、カラー212及びカラー212によって任意適当な仕方で支持されたキャップ又はロック214を有する。例えば、ロック214は、回転的に固定されるが軸方向に動くことができる仕方でカラー212に結合されている。ナット210は、全体として円筒形の器具であるのが良く、カラー212及びロック214は、全体として円筒形の構成部品であるのが良い。図8に示されているように、ナット210は、カラー212とロック214を全体として互いに遠ざかる方向に付勢するばね216及びロック214をカラー212に当接保持するリテーナ218を更に有する。ナット210を組み立てるためには、ばね216をカラー212とロック214との間に配置し、ロック214をばね216及びカラー212に押し付け、ロック214をカラー212に押し付けている状態でリテーナ218をロック214に結合する。リテーナ218をいったんロック214に結合すると、ロック214に加えられている圧縮力を除くのが良い。かくして、ナット210は、自蔵式組立体であるのが良い。
【0012】
全体として図8〜図10を参照すると、カラー212は、第1の端222と第2の端224との間で軸方向に延びている軸方向に延びた壁220及び壁220により包囲された段付き通路226を有する。通路226は、小直径内周部228、第1の端ぐり部230及び第2の端ぐり部232(図10)によって画定されるのが良く、これら端ぐり部230,232は、半径方向に延びる壁234を画定している。カラー212は、軸方向に延びる壁220から第1の端222のところで軸方向に突き出た出張り236を更に有している。
【0013】
全体として図8及び図11〜図13を参照すると、ロック214は、第1の端240と第2の端242(図8及び図13)との間に延びている軸方向に延びた壁238(図13)及び壁238から半径方向外方に延びている半径方向に延びた出張りフランジ244を有し、半径方向に延びている出張りフランジ244は、出張り用ポケット246を含む。ロック214は、カラー212の内周部228と協働するバレル外周部248(図13)及びカラー212の第1の端ぐり部230と協働する肩外周部250(図13)を更に有する。ロック214は、第2のロック端242に隣接して壁238に設けられたリテーナ溝252を更に有する。ロック214は、並進保持出張り254(図12)及び回転保持出張り256を更に備え、並進保持出張り254は、回転保持出張り256相互間で周方向に設けられている。例えば、ロック214は、内面258を有し、出張り254,256は、この内面から内方に突き出ている。出張り254,256は、植込みボルト出張り受座260及びこれら受座相互間の半周方向植込みボルト出張り隙間通路262を構成している。2つの植込みボルト出張り受座260は、図4〜図6の植込みボルト106の2つの植込みボルト出張り107に対応しているが、任意適当な数の対応の受座260及び出張り107を設けることができる。
【0014】
組み立てられた状態では、図14を参照すると、ロック214は、カラー出張り236によってカラー212に回転可能に結合され、カラー出張り236は、ロック214の出張り用ポケット246内に軸方向に延びていて、これらの中で軸方向に動くことができる。回転保持出張り256は、植込みボルト106の半径方向丸み110内に配置されて植込みボルト106の半径方向端面108及び半径方向側面109と協働して植込みボルト106に対するナット210の回転に抵抗するようになっている。
【0015】
図15に示されているように、ばね216は、ロック214とカラー212を全体として互いに遠ざかる方向に付勢するようロック214の半径方向に延びるフランジ244とカラー212の半径方向に延びる壁234との間に配置されている。ばね216は又、ばね216の圧縮が行われない場合にバッフルマニホルドセグメント105に対するねじ山なしナット210の回転に抵抗するようねじ山なしナット210をバッフルマニホルドセグメント105に対して付勢する。ばね216は、波形ばねであるのが良い。例えば、ばね216は、イリノイ州レイク・チューリッヒ所在のスモーリー・スチール・リング・カンパニー(Smalley Steel Ring Company)から入手できるC200‐M1波形ばねであるのが良い。任意他の適当な形式のばねを使用することができ、かかるばねとしては、コイルばね、エラストマーばね等が挙げられる。
【0016】
また、図15に示されているように、リテーナ218は、リテーナ218がカラー212の第2の端ぐり部232内に設けられてナット210の自由状態で半径方向に延びる壁234に係合するようロック214のリテーナ溝252内に配置されている。リテーナ218は、スナップリングであるのが良い。例えば、リテーナは、ニュージャージー州フィリップスバーグ所在のトゥルアーク・カンパニー・エルエルシー(Truarc Company LLC)から入手できるM2400外部保持リングであるのが良い。別の実施形態では、リテーナ218は、ロック214の一体部分、例えば、カラー212、ロック214及びばね216の組み立て後に据込み加工されるのが良いフランジであっても良い。
【0017】
図14〜図16を参照すると、カラー212の第2の端224は、表面、例えばバッフルアームカラー104の表面に支えられている。また、並進保持出張り254は、ナット210を植込みボルト106に軸方向に当接保持するよう植込みボルト出張り107の後ろに配置されている。さらに、回転ロック出張り256は、植込みボルト出張り107に隣接して配置されると共に植込みボルト出張り107の側面109と軸方向にオーバーラップしている。
【0018】
ナット210を植込みボルト106から結合解除することが望ましい場合、ロック214をばね216により加えられる付勢力に抗してカラー212に向かって押す。最終的に、ロック214をカラー212に向かって変位させているとき、回転保持出張り256は、回転保持出張り256が植込みボルト出張り107に対して軸方向に動いて植込みボルト出張り107を軸方向に通過したとき、植込みボルト出張り107に対して回転可能に動くことができる状態になる。例えば、回転保持出張り256の頂面264は、植込みボルト出張り107の底面113を軸方向に通過し、それによりナット214を植込みボルト106に対して回転させることができる。図示の実施形態では、ナット210を約90°回すと、植込みボルト出張り107は、出張り254,256相互間の植込みボルト出張り隙間通路262を通過することができ、その結果、ナット210を植込みボルト106から取り外すことができるようになる。
【0019】
ナット210を元に戻すため、ナット210を植込みボルト106に装着して植込みボルト出張り107が出張り254,256相互間の植込みボルト出張り隙間通路262を通過するようにし、ナット210を前進させてバッフルアームカラー104に当て、その結果、ロック214がナットカラー212に押し付けられて回転保持出張り256の頂面264が植込みボルト出張り107の底面113を軸方向に通過するようにし、それによりナット210を植込みボルト106に対して回転させることができるようにする。図示の実施形態では、ナット210を約90°回すと、並進保持出張り254は、植込みボルト出張り107の後ろに配置され、その結果、ロック214に加えられている圧縮力を除くと、ばね216は、ロック214を前進させてこれを植込みボルト出張り107に当て、それにより植込みボルト出張り107を出張り受座260内に嵌め込んでこれを並進保持出張り254に軸方向に当接させると共に回転保持出張り256相互間でこれらに周方向に当接させるようにする。
【0020】
したがって、植込みボルト106への組み付け時に、カラー212は、ナット210の軸方向に静止し且つ周方向に回転可能な部材であり、これに対し、ロック214は、軸方向に並進可能であると共に周方向に回転可能であるナット210の一部材である。
【0021】
図17〜図30は、本発明の別の例示の実施形態を示している。この実施形態は、図7〜図16の実施形態と多くの点でほぼ同じであり、図1〜図6の例示の環境内で使用でき、これら実施形態に見られる同一の参照符号は、添付の図面の幾つかの図全体にわたって同一又は対応の要素を示している。したがって、共通の本発明の内容の大部分は、ここでは全体として繰り返されず、これら実施形態を参照により引用し、これらの説明を互いに組み込む。
【0022】
次に図17及び図18を参照すると、ナット310は、主要構成要素として、カラー312及びカラー312によって任意適当な仕方で支持されたロック314を有する。例えば、ロック314は、回転的に固定されるが軸方向に動くことができる仕方でカラー312に結合されている。ナット310は、全体として円筒形の器具であるのが良く、カラー312及びロック314は、全体として円筒形の構成部品であるのが良い。
【0023】
図18に示されているように、ナット310は、カラー312とロック314を全体として互いに遠ざかる方向に付勢するばね316及びロック314をカラー312に当接保持するリテーナ318を更に有する。ナット310を組み立てるためには、ばね316をカラー312とロック314との間に配置し、ロック314をばね316及びカラー312に押し付け、ロック314を押し付けた状態でリテーナ318をカラー312に結合する。リテーナ318をいったんカラー312に結合すると、ロック314に加えられている圧縮力を除くのが良い。かくして、ナット310は、自蔵式組立体であるのが良い。
【0024】
全体として図18〜図23を参照すると、カラー312は、第1の端322と第2の端324との間に延びている軸方向に延びた壁320、壁320によって包囲されていて、ロック314(図18)の対応の部分と協働する内面332(図22及び図23)を備えた半径方向に延びる壁328(図22及び図23)によって画定された段付き通路326、ばね316のための端ぐり部330(図18)及び内面332と端ぐり部330との間の肩334を有する。カラー312は、第1の端322に隣接して壁320に設けられたリテーナ溝352を更に有する。壁320は、リテーナ318の取り外しを助けるよう第1の端322に周方向に間隔を置いて設けられた交互に位置するスプライン加工部と開口部(図示せず)を有するのが良い。カラー312は、半径方向に延びる壁328から半径方向内方に延びる並進保持出張り354を更に有する。出張り354は、内面332から内方に突き出ていて、これら出張りは、半周方向に延び又は弧状であるのが良く且つパイロット部分353及び肩334を越えて軸方向に突き出た出張り係合部分355を含むよう段付きであるのが良い。
【0025】
全体として図18及び図24〜図26を参照すると、ロック314は、第1の端340と第2の端342との間に延びている軸方向に延びた壁338(図26)を有する。ロック314は、半径方向に延びるフランジ344を更に有し、このフランジは、ばね316(図18)と協働するよう軸方向に延びる壁338から半径方向外方に延びている。ロック314は、カラー312(図18)の内周部328と協働するバレル外周部348及びカラー312(図18)の端ぐり部330と協働するフランジ外周部350を更に有する。ロック314は、更に、カラー312に向かうロック314の手動押し込みを助ける半径方向に延びる壁341を有するのが良い。変形例として、壁314を省くと共に/或いは例えば第1の例示の実施形態のフランジとほぼ同じ半径方向外方に延びるフランジを設けても良い。ロック314は、回転ロック出張り356を更に備え、並進保持出張り354は、組み立ての際、回転保持出張り356相互間に周方向に配置されるのが良い。例えば、ロック314は、内面358を有し、出張り356は、この内面から内方に突き出る。図26に最も良く示されているように、出張り356は、互いに約90°の間隔を置いて設けられるのが良い側部355及び側部355相互間の丸み付きノーズ357を有する。出張り356は、第2の端342及び/又はフランジ344から軸方向に間隔を置いて配置されるのが良い。
【0026】
図27及び図28を参照すると、ロック314は、カラー312の並進保持出張り354によってカラー312に回転可能に結合されており、これら並進保持出張り354は、ロック314の壁338の途切れ部内に且つロック314の回転ロック出張り356相互間に配置されていると共にこれら回転ロック出張りに対して軸方向に動くことができる。出張り354,356は、植込みボルト出張り受座360及びこれら相互間の植込みボルト出張り隙間通路362を構成している。図28に示されているように、回転ロック出張り356は、植込みボルト106の丸み110内に設けられた状態で植込みボルト106に対するナット310の回転に抵抗するよう植込みボルト106の半径方向端面108及び半径方向側面109と協働する。図29に示されているように、カラー312の第2の端324は、バッフルアームカラー104に当接して位置する。
【0027】
図29を参照すると、ばね316は、ロック314とカラー312を全体として互いに遠ざかる方向に付勢するようロック314のフランジ344とカラー312の半径方向に延びる壁320との間に配置されている。ばね316は又、ばね316の圧縮が行われない場合にバッフルマニホルドセグメント105に対するねじ山なしナット310の回転に抵抗するようねじ山なしナット310をバッフルマニホルドセグメント105に対して付勢する。ばね316は、波形ばねであるのが良い。例えば、このばねは、イリノイ州レイク・チューリッヒ所在のスモーリー・スチール・リング・カンパニーから入手できるC200‐L3‐M1波形ばねであるのが良い。任意他の適当な形式のばねを使用することができ、かかるばねとしては、コイルばね、エラストマーばね等が挙げられる。
【0028】
また、図29に示されているように、リテーナ318は、リテーナ318が組み立ての際にロック314の半径方向に延びるフランジ344と協働するようカラー312のリテーナ溝352内に配置されている。リテーナ318は、スナップリングであるのが良い。例えば、リテーナ318は、ニュージャージー州フィリップスバーグ所在のトゥルアーク・カンパニー・エルエルシーから入手できるM2300内部保持リングであるのが良い。別の実施形態では、リテーナ318は、カラー312の一体部分、例えば、カラー312、ロック314及びばね316の組み立て後に据込み加工されるのが良いフランジであっても良い。
【0029】
図30を参照すると、並進保持出張り354は、ナット310を植込みボルト106に軸方向に当接保持するよう植込みボルト出張り107の後ろに配置されている。また、パイロット部分353がセグメント105のパイロット周囲部114と協働する。図31に示されているように、回転ロック出張り356は、植込みボルト出張り107に隣接して設けられていて、植込みボルト出張り107の側面109と軸方向にオーバーラップしている。
【0030】
図31を参照すると、ナット310を植込みボルト106から結合解除することが望ましい場合、ロック314をばね316により加えられる付勢力に抗してカラー312に向かって押す。最終的に、ロック314をカラー312に向かって変位させているとき、回転保持出張り356は、回転保持出張り356が植込みボルト出張り107に対して軸方向に動いて植込みボルト出張り107を軸方向に通過したとき、植込みボルト出張り107に対して回転可能に動くことができる状態になる。例えば、回転保持出張り356の頂面364は、植込みボルト出張り107の底面113を軸方向に通過し、それによりナット314を植込みボルト106に対して回転させることができる。図示の実施形態では、ナット310を約90°回すと、植込みボルト出張り107は、出張り354,356相互間を通過することができる。したがって、ナット310を図33に示されているように植込みボルト106から取り外すことができる。
【0031】
ナット310を元に戻すため、ナット310を植込みボルト106に装着して植込みボルト出張り107が出張り354,356相互間を通過するようにし、ナット310を前進させてバッフルアームカラー104に当て、その結果、ロック314がナットカラー312に押し付けられて回転保持出張り356の頂面364が植込みボルト出張り107の底面113を軸方向に通過するようにし、それによりナット310を植込みボルト106に対して回転させることができるようにする。図示の実施形態では、ナット310を約90°回すと、並進保持出張り354は、植込みボルト出張り107の後ろに配置される。次に、ロック314に加わっている圧縮力を除くと、ばね316は、ロック314を前進させてこれを植込みボルト出張り107に当接させて植込みボルト出張り107を回転ロック出張り356相互間で周方向に支え又は植込みボルト出張り107を回転ロック出張り356相互間に周方向に嵌め込むようになっている。
【0032】
したがって、カラー312は、ナット310の軸方向に静止し且つ周方向に回転可能な部材であり、これに対し、ロック314は、軸方向に並進可能であると共に周方向に回転可能であるナット310の一部材である。
【0033】
図15と図30の比較により、実施形態相互間の機能上の差が明らかになる。図15に示されているように、バッフルマニホルド101のセグメント105が例えばマニホルド101とガラス製品成形機の別の部分との突然の係合又は係合解除に起因して軸方向に動くと、ロック214も又、カラー212に対して動くことになる。これは、ロック214とセグメント105との間に、植込みボルト出張り107に対する半径方向保持出張り(図示せず)の軸方向係合解除及び植込みボルト出張り107に対する半径方向保持出張り(図示せず)の周方向隙間の形成を可能にする空間Sが設けられているからである。かかる「遊び」は、多くの用途にとって許容できる場合がある。しかしながら、かかる遊びが望ましくない用途では、図30に示されている実施形態が好ましい場合がある。
【0034】
再び図30を参照すると、セグメントパイロット周囲部114及び植込みボルト出張り107の軸方向表面相互間には、これら軸方向表面相互間における並進保持出張り354の係合及び係合解除を可能にするのにちょうど十分な軸方向間隔が設けられている。また、ロック314は、バッフルアーム102のカラー104に当接して配置されている。したがって、全ての意図及び目的に関し、ロック314は、ナットカラー312又はバッフルアームカラー104に対して動くことはない。
【0035】
カラー212,312及びロック214,314を製作するのに、例えば、ブランクからの機械加工、ニヤネット若しくはインベストメント鋳造又は粉末金属成形加工を行うのが良い。カラー212及びロック314は、例えば、ロックウェルCスケールで58〜62の硬度までイオン窒化処理されたAISI4140スチールで構成されるのが良い。カラー312及びロック314は、例えば、ロックウェルCスケールで54〜58の硬度まで且つ約0.8mmの深さまで浸炭されたAISI8620スチールで構成されるのが良い。カラー212,312及びロック214,314は、任意他の適当な方法で製造できると共に任意他の適当な材料で構成できる。
【0036】
かくして、上述の目的及び狙いの全てを完全に満足させるねじ山なしナットが開示された。本発明を幾つかの例示の実施形態と関連して説明し、追加の改造例及び変形例について説明した。上述の説明を考慮すると、当業者であれば他の改造例及び変形例を容易に想到するであろう。例えば、バッフルアーム組立体100は、本発明のねじ山なしナット210,310に用いられる数え切れないほど多くの考えられる環境のうちの1つの例示の環境を提供しているに過ぎない。ほんの幾つかの例としては、車両用出張りナット、給水栓注ぎ口ナット又は工具及びトルクモニタ手段の使用が望ましくない任意の用途が挙げられる。本発明は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるかかる全ての改造例及び変形例を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を備えたバッフルアーム(102)を有し、
バッフルマニホルド(101)を有し、前記バッフルマニホルドは、前記孔を貫通して延び且つ前記バッフルアームに対する前記バッフルマニホルドの回転を可能にするセグメント(105)を有するガラス製品成形機用バッフルアーム組立体(100)において、前記バッフルマニホルドは、
ねじ山なしナット(210又は310)、及び前記ねじ山なしナットと前記バッフルマニホルドセグメントとの間の差し込み形連結部によって前記バッフルアームに取り付けられ、
前記ねじ山なしナット及び前記差し込み形連結部は、前記バッフルマニホルドを前記バッフルアームに取り付ける迅速脱着装置を構成する、バッフルアーム組立体。
【請求項2】
前記差し込み形連結部は、前記バッフルマニホルドセグメント(105)に設けられた外部出張り(107)、前記ねじ山なしナットに設けられた内部出張り(254,256又は354,356)及びばね(216又は316)を含み、前記ばねは、前記ねじ山なしナットのばねが圧縮されていないとき、前記バッフルマニホルドセグメントに対する前記ねじ山なしナットの回転に抵抗するよう前記ねじ山なしナットを前記バッフルマニホルドセグメントに対して付勢する、請求項1記載のバッフルアーム組立体。
【請求項3】
前記バッフルマニホルドセグメントは、複数の出張り(107)を備えた植込みボルト(106)を有し、前記ねじ山なしナットは、
周方向に間隔を置いて配置され、且つ、前記ねじ山なしナットが前記植込みボルトに結合されるとき、前記植込みボルト出張りの後ろに位置決め可能な複数の並進保持出張り(254又は354)を有し、
周方向に間隔を置いて配置されると共に前記並進保持出張りに隣接して位置決めされた複数の回転保持出張り(256又は356)を有し、前記回転保持出張りは、前記回転保持出張りが前記植込みボルト出張りと軸方向にオーバーラップするよう前記植込みボルト出張りに隣接して位置決め可能であり、
前記並進保持出張り及び前記回転保持出張りは、前記植込みボルト出張りを受け入れる受座を構成すると共に前記受座相互間に周方向に位置していて、前記植込みボルト出張りを通過させることができる通路を構成し、
前記回転保持出張りは、前記植込みボルト出張りに対して軸方向に動くことができ、且つ、前記回転保持出張りを前記植込みボルト出張りに対して軸方向に動かして前記植込みボルト出張りを軸方向に離すと、前記植込みボルト出張りに対して回転可能に動くことができる、請求項1記載のバッフルアーム組立体。
【請求項4】
前記ねじ山なしナットは、
軸方向に延びる壁(220)及び半径方向に延びる壁(234)を備えたカラー(212)と、
前記カラーに結合されたロック(214)とを更に有し、前記ロックは、前記周方向に間隔を置いて設けられた並進保持出張り及び前記周方向に間隔を置いて設けられた回転保持出張りを支持した部分を有する、請求項3記載のバッフルアーム組立体。
【請求項5】
前記ねじ山なしナットは、
軸方向に延びる壁(320)、半径方向に延びる壁(328)及び前記半径方向に延びる壁から半径方向内方に延びる前記周方向に間隔を置いて設けられた並進保持出張り(354)を備えたカラー(312)と、
前記カラーに結合されたロック(314)とを更に有し、前記ロックは、休止位置において前記並進保持出張りに隣接して位置決めされると共にこれと軸方向にオーバーラップする前記周方向に間隔を置いて設けられた回転保持出張り(356)を支持した部分を有し、前記ロックは、前記回転保持出張りが前記並進保持出張りに軸方向に整列するよう前記カラーに対して軸方向に動くことができる、請求項3記載のバッフルアーム組立体。
【請求項6】
ねじ山なしナット(210又は310)であって、
周方向に間隔を置いて配置されていて、且つ、前記ねじ山なしナットが植込みボルト(106)に結合されるとき、前記植込みボルトの出張り(107)の後ろに位置決め可能な複数の並進保持出張り(254又は354)を有し、
周方向に間隔を置いて配置されると共に前記並進保持出張りに隣接して位置決めされた複数の回転保持出張り(256又は356)を有し、前記回転保持出張りは、前記ねじ山なしナットが前記植込みボルトに結合されるとき、前記回転保持出張りが前記植込みボルト出張りに対して軸方向にオーバーラップ可能であるように前記植込みボルト出張りに隣接して位置決め可能であり、
前記並進保持出張り及び前記回転保持出張りは、前記植込みボルト出張りを受け入れる受座を構成すると共に前記受座相互間に周方向に位置していて、前記植込みボルト出張りを通過させることができる通路を構成し、前記回転保持出張りは、前記植込みボルト出張りに対して軸方向に動くことができ、且つ、前記回転保持出張りを前記植込みボルト出張りに対して軸方向に動かして前記植込みボルト出張りを軸方向に離すとき、前記植込みボルト出張りに対して回転可能に動くことができる、ねじ山なしナット。
【請求項7】
軸方向に延びる壁(220)及び半径方向に延びる壁(234)を備えたカラー(212)と、
前記カラーに結合されたロック(214)とを有し、前記ロックは、前記周方向に間隔を置いて設けられた並進保持出張り及び前記周方向に間隔を置いて設けられた回転保持出張りを支持した部分を有する、請求項6記載のねじ山なしナット。
【請求項8】
軸方向に延びる壁(320)、半径方向に延びる壁(328)、及び前記半径方向に延びる壁から半径方向内方に延びる前記周方向に間隔を置いて設けられた並進保持出張り(354)を備えたカラー(312)と、
前記カラーに結合されたロック(314)とを有し、前記ロックは、休止位置において前記並進保持出張りに隣接して位置決めされると共に軸方向にオーバーラップする前記周方向に間隔を置いて設けられた回転保持出張り(356)を支持した部分を有し、前記ロックは、前記回転保持出張りが前記並進保持出張りに軸方向に整列するよう前記カラーに対して軸方向に動くことができる、請求項6記載のねじ山なしナット。
【請求項9】
前記カラーと前記ロックとの間に設けられていて、且つ、前記カラーと前記ロックを互いに軸方向に遠ざかる方向に付勢するばね(216又は316)と、前記カラー又は前記ロックによって支持されていて、前記ねじ山なしナットが自蔵式組立体であるように前記カラーと前記ロックを一緒に軸方向に保持するリテーナ(218又は318)とを有する、請求項6記載のねじ山なしナット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2012−526958(P2012−526958A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510819(P2012−510819)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/031860
【国際公開番号】WO2010/132183
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(508153833)オウェンス ブロックウェイ グラス コンテナー インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】