説明

ガーニッシュ及び該ガーニッシュを備えるドアフレーム構造

【課題】ドアフレームへの組付作業性を向上し、且つ安価なガーニッシュ及び該ガーニッシュを備えるドアフレーム構造を提供すること。
【解決手段】車両ドアの窓枠を形成するドアフレーム3の立柱部31に沿って延在し、外部に露出する意匠面11と、意匠面11とは反対側の面であり、立柱部31に取付可能な取付部2を有する取付面と、を備えるガーニッシュ1において、取付部2は、立柱部31の一側端に対して当接可能に取付面から突出するとともに立柱部31の他側端側へ延在する第1係止部21aと、立柱部31の他側端に対して取付面から突出するとともに立柱部31の一側端側へ延在し、且つ第1係止部21aに対して延在方向にずらして配置された第2係止部21bと、を有し、第1係止部21aと第2係止部21bとの最短間隔を立柱部31の第一側端から他側端までの幅よりも大きく設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアフレームに組み付けられるガーニッシュ及び該ガーニッシュを備えるドアフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガーニッシュ及び該ガーニッシュを備えるドアフレーム構造として、例えば特許文献1のようなものが提案されている。特許文献1のガーニッシュは、車両ドアの窓枠を形成するドアフレームの立柱部に沿って延在し、外部に露出する意匠面と、意匠面とは反対側の面であり、立柱部に取付可能な取付部を有する取付面とを備える。
【0003】
特許文献1のガーニッシュの一例は、その延在方向に立柱部の両側端を嵌合可能である嵌合溝(本発明の取付部に相当)が延在方向全域に設けられている。そして、立柱部の延在方向の端部から立柱部の両側端を嵌合溝に嵌合させるようガーニッシュをスライドさせることにより、ガーニッシュをドアフレームに組み付ける。
【0004】
また、特許文献1のガーニッシュの別例は、立柱部の両側端の中央付近に設けられた取付孔に係合可能な突出部(本発明の取付部に相当)が設けられている。そして、この突出部を取付孔に係合することにより、ガーニッシュをドアフレームに組み付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−338522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、一般的にガーニッシュよりも立柱部は長手方向の長さが長く設定されている。そのため、特許文献1のガーニッシュの一例では、ガーニッシュを延在方向一方端から延在方向他端までスライドさせてガーニッシュを所定の位置に組み付ける必要がある。それゆえ、ガーニッシュのドアフレームに対する組付作業性が悪い。
【0007】
また、特許文献1のガーニッシュの別例では、ガーニッシュが立柱部の両側端に取付けられる構成ではない。そのため、ガーニッシュの浮き上がりを防止するために、別途両面テープ等により補助的な取付けが必要となり、部品点数が増加してコスト高となる。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ドアフレームへの組付作業性を向上し、且つ安価なガーニッシュ及び該ガーニッシュを備えるドアフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために講じた第1の課題解決手段は、車両ドアの窓枠を形成するドアフレームの立柱部に沿って延在し、外部に露出する意匠面と、前記意匠面とは反対側の面であり、前記立柱部に取付可能な取付部を有する取付面と、を備えるガーニッシュにおいて、前記取付部は、前記立柱部の一側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の他側端側へ延在する第1係止部と、前記立柱部の前記他側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の前記一側端側へ延在し、且つ前記第1係止部に対して前記延在方向にずらして配置された第2係止部と、を有し、前記第1係止部と前記第2係止部との最短間隔を前記立柱部の前記第一側端から前記他側端までの幅よりも大きく設定した、ことである。
【0010】
また、第2の課題解決手段は、前記取付部は、前記取付面の前記延在方向の少なくとも一方の端部に、前記ドアフレームと嵌合して前記立柱部に対する相対回転を規制する嵌合部を有する、ことである。
【0011】
また、第3の課題解決手段は、前記取付部は、前記ドアフレームのウインドパネルを保持する側と当接可能な当接部を有し、前記嵌合部と前記当接部とが協働することで、前記立柱部に対する前記延在方向への移動を規制することである。
【0012】
また、第4の課題解決手段は、車両上下方向に延在する立柱部と、前記立柱部の上端に連結され、車両前後方向に延在し、前記立柱部とともに車両ドアの窓枠を形成する上縁部と、を有するドアフレームと、外部に露出する意匠面と、前記意匠面とは反対側の面であり、前記立柱部に取付可能な取付部を有する取付面と、を有し、前記立柱部に沿って延在するガーニッシュと、を備えるドアフレーム構造において、前記立柱部は、一定断面形状を呈し、前記取付部は、前記立柱部の一側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の他側端側へ延在する第1係止部と、前記立柱部の前記他側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の前記一側端側へ延在し、且つ前記第1係止部に対して前記延在方向にずらして配置された第2係止部と、を有し、前記第1係止部と前記第2係止部との最短間隔を前記立柱部の前記第一側端から前記他側端までの幅よりも大きく設定した、ことである。
【0013】
また、第5の課題解決手段は、前記取付部は、前記取付面の上端部に、前記ドアフレームの上縁部と嵌合して前記立柱部に対する相対回転を規制する嵌合部を有することである。
【0014】
また、第6の課題解決手段は、前記取付部は、前記ドアフレームの上縁部と当接可能な当接部を有し、前記嵌合部と前記当接部とが協働することで、前記立柱部に対する前記延在方向への移動を規制することである。
【0015】
また、第7の課題解決手段は、車両ドアの窓枠を形成するドアフレームの立柱部に沿って延在し、外部に露出する意匠面と、前記意匠面とは反対側の面であり、前記立柱部に取付可能な取付部を有する取付面と、を備えるガーニッシュにおいて、前記取付部は、前記取付面の前記延在方向の少なくとも一方の端部から突出し、前記ドアフレームに嵌合する嵌合部と、前記立柱部の一側端に対して当接可能に前記取付面から突出する第1当接部と、前記立柱部の他側端に対して前記取付面から突出し、且つ前記第1当接部に対して前記延在方向にずらして配置された第2当接部と、を有し、前記第1当接部と前記第2当接部との最短間隔を前記立柱部の前記第一側端から前記他側端までの幅よりも大きく設定し、前記嵌合部により前記立柱部との相対移動を規制する、ことである。
【発明の効果】
【0016】
第1の課題解決手段によれば、ガーニッシュの第1係止部と第2係止部との間に立柱部を配置させてガーニッシュを回転させることにより、立柱部の一側端に第1係止部が係止される。また、立柱部の他側端に第2係止部が係止される。そして、第1係止部と第2係止部とが協働することで、ドアフレームに対するガーニッシュの短手方向の移動を規制し、第1係止部、第2係止部及び取付面とが協働することで、ドアフレームに対するガーニッシュの厚み方向の移動を規制する。そのため、ガーニッシュはドアフレームに取付け可能となる。それゆえ、立柱部に対してガーニッシュを延在方向一方端から延在方向他端までスライドさせてドアフレームに取付ける必要がなく、ガーニッシュをドアフレームに対して回転させるだけで取付けできる。よって、ガーニッシュのドアフレームへの取付作業性が向上する。また、ガーニッシュは、立柱部の両側端に取付けられるため、別途両面テープ等により補助的な取付けがなくともガーニッシュの浮き上がりを防止できる。それゆえ、ガーニッシュの取付けに対して部品点数を減らすことができ、ガーニッシュが安価となる。
【0017】
第2の課題解決手段によれば、取付面の延在方向の少なくとも一方の端部に位置する嵌合部がドアフレームと嵌合することで、ガーニッシュがドアフレームに対して相対回転することを規制する。そのため、ドアフレームへのガーニッシュの係止状態が解除されることを抑制でき、ガーニッシュのドアフレームへの取付信頼性が向上する。
【0018】
第3の課題解決手段によれば、嵌合部と当接部とが協働することで、ドアフレームに対するガーニッシュの延在方向の移動を規制する。そのため、ドアフレームと嵌合部との嵌合状態が解除されることを抑制でき、ひいてはガーニッシュの係止状態が解除されることを抑制できる。それゆえ、ガーニッシュのドアフレームへの取付信頼性がより向上する。
【0019】
第4の課題解決手段によれば、第1の課題解決手段に記載の作用効果と同様の作用効果を奏する。また、本願のガーニッシュにより立柱部を一定断面形状とすることができ、例えば立柱部を加工してガーニッシュの意匠面の形状に合わせる構成に比べてドアフレームを簡素化できる。加えて、一定断面形状を呈する立柱部の両側端部を利用して、ガーニッシュが取付け可能となるため、例えばドアフレームの立柱部へ取付孔を設ける等の必要がなく、ドアフレームをより簡素化できる。
【0020】
第5の課題解決手段によれば、第2の課題解決手段に記載の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0021】
第6の課題解決手段によれば、第3の課題解決手段に記載の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0022】
第7の課題解決手段によれば、ガーニッシュの第1当接部と第2当接部との間に立柱部を当接させてガーニッシュを回転させる。このことにより、立柱部の一側端に第1当接部が当接すると共に立柱部の他側端に第2当接部が当接する。そして、嵌合部によりガーニッシュは立柱部との相対移動が規制される。このように、第1当接部、第2当接部及び嵌合部が協働することでガーニッシュをドアフレームに取付け可能となる。そのため、立柱部に対してガーニッシュを延在方向一方端から延在方向他端までスライドさせてドアフレームに取付ける必要がなく、ガーニッシュをドアフレームに対して回転させるだけで取付けできる。それゆえ、ガーニッシュのドアフレームへの取付作業性が向上する。また、ガーニッシュは、立柱部の両側端に嵌合するため、別途両面テープ等により補助的な取付けがなくともガーニッシュの浮き上がりを防止できる。それゆえ、ガーニッシュの取付けに対して部品点数を減らすことができ、ガーニッシュが安価となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施例のドアフレーム構造の全体図である。
【図2】第1実施例のドアフレーム構造の部分拡大図である。
【図3】第1実施例のガーニッシュの取付面を示す単品図である。
【図4】第1実施例のドアフレームの単品図である。
【図5】図2におけるA−A断面図である。
【図6】図2におけるB−B断面図である。
【図7】第1実施例のガーニッシュの取付け(初期)工程図である。
【図8】第1実施例のガーニッシュの取付け(中間)工程図である。
【図9】第1実施例のガーニッシュの取付け(終了)工程図である。
【図10】第2実施例のガーニッシュの取付面を示す単品図である。
【図11】第2実施例のガーニッシュの取付け工程図である。
【図12】第3実施例のガーニッシュの裏面単品図である
【図13】第3実施例のガーニッシュの取付け工程図である。
【図14】第4実施例のドアフレーム構造の全体図である。
【図15】第4実施例のガーニッシュの取付面を示す単品図である。
【図16】第4実施例のドアフレームの単品図である。
【図17】第4実施例のガーニッシュの取付け工程図である。
【図18】第5実施例のガーニッシュ1dの取付面12を示す単品図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1実施例を図1〜図5に基づいて説明する。
【0025】
図1は、第1実施例の車両ドアDのドアフレーム構造100の全体図である。ドアフレーム構造100は、車両上下方向に延在する立柱部31と、立柱部31の上端に連結され車両前後方向に延在する上縁部32とを有し、立柱部31と上縁部32とによりウインドパネルWPによって開閉される窓部の窓枠34を形成するドアフレーム3と、立柱部31及び上縁部32を支持するドアパネル33と、ドアフレーム3の立柱部31に取付けられるガーニッシュ1と、を備える。なお、第1実施例で用いられるドアフレーム3は、一定断面形状を呈する立柱部31及び上縁部32により構成されている。
【0026】
図2は、第1実施例のドアフレーム構造100の部分拡大図である。
【0027】
ガーニッシュ1は、車外側に露出して車両ドアDの意匠面を形成する意匠面11と、意匠面11の反対側の面であり、立柱部31に取付け可能な取付部2を有する取付面12と、を備える。また、ガーニッシュ1は立柱部31の延在方向(車両上下方向)に延在している。詳説すると、略車両上下方向に延在する一辺が、略車両前後方向に延在する一辺に対して長く設定されており、ガーニッシュ1は全体として略長方形状を呈している。
【0028】
取付部2は、立柱部31に係止されてガーニッシュ1の短手方向(車両前後方向)及びガーニッシュ1の厚み方向(車幅方向)の移動を規制する係止部21a(第1係止部)及び係止部21b(第2係止部)と、ガーニッシュ1がドアフレーム3から離間することを防止して特にガーニッシュ1の車両前後方向及びガーニッシュ1の車両下方の移動を規制する嵌合部22aと、ガーニッシュ1がドアフレーム3から離間することを防止して特に上縁部32に当接してガーニッシュ1の車両上方への移動を規制する当接部23と、を有する。
【0029】
係止部21a、21bはガーニッシュ1の延在方向にずらして配置されている。また、嵌合部22aは、上縁部32と立柱部31との接続部35に嵌合するため、ガーニッシュ1の延在方向上端に具備される。
【0030】
図3は、第1実施例のガーニッシュ1の取付面12を示す単品図である。ガーニッシュ1の取付面12には、立柱部31に係止される係止部21a、21b、21cと、立柱部31と上縁部32との接続部35に嵌合する嵌合部22aと、ドアパネル33の凸部33a(図4参照)に嵌合する嵌合部22bと、上縁部32に当接する当接部23と、を備える。そして、これら係止部21a、21b、21c、嵌合部22a、22b及び当接部23を有するガーニッシュ1は、合成樹脂で一体成形されている。
【0031】
また、係止部21a及び21bの最短間隔L1は、立柱部31の幅L2よりも大きく設定されている。そのため、係止部21aと係止部21bとの間に立柱部31を仮配置させた状態でガーニッシュ1が回転可能となっている。
【0032】
図4は、第1実施例のドアフレーム3の単品図である。上縁部32の接続部35近傍の上端部位には、ガーニッシュ1の嵌合部22aに嵌め込まれる凹部32aが設けられている。凹部32aは、該上端部位からドアフレーム3の延在方向(車両下方)に向けて凹設されている。また、ドアパネル33は、ガーニッシュ1の嵌合部22bに嵌合する凸部33aを有する。凸部33aは、ドアパネル33における立柱部31が連結される後方部位からドアフレーム3の延在方向(車両上方)に向けて凸設されている。
【0033】
図5は、図2におけるA−A断面図である。立柱部31は、ガラスランチャンネル(図示略)が収納される溝部4と、ウェザストリップ(図示略)を保持するC字状の横断面であるリテーナ部5と、から構成される。また、溝部4の車内側壁部であってドアの内側面を形成するところには、車両(図示略)のセンターピラー側に設けられたウェザストリップと接触する接触部6が設けられる。その結果、ドアフレーム3の横断面形状は、図3に示す如く、接触部6を基礎に、溝部4の車外側壁部41及びリテーナ部5の車外側壁部51が形成され、溝部4、リテーナ部5及び接触部6によって全体がT字状の断面形態をなすようになっている。そして、立柱部31の車外側壁部41、51の箇所に、樹脂製成形品からなるガーニッシュ1が取り付く構成となっている。そしてガーニッシュ1がドアフレーム3に取り付いた状態では、車外側壁部41、51から構成され車両外側に位置する面である当接面31A、32Aは、取付面12と当接する。
【0034】
また、車外側壁部41の端部41a(一側端)は、係止部21aに係止され、車外側壁部51の端部51a(他側端)は、係止部21bに係止される。詳説すると、係止部21aは、取付面12から突出して端部41aと当接する当接部210aと、当接部210aから端部51a側へ延在する延在部211aと、を有する。また、係止部21bは、取付面12から突出して端部51aと当接する当接部210bと、210bから端部41a側へ延在する延在部211bと、を有する。当接部210a(210b)は、立柱部31の端部41a(51a)に当接することで、ガーニッシュ1の車両前後方向の移動を規制する。また、取付面12及び延在部211a(211b)は、車外側壁部41(51)を挟持することで、ガーニッシュ1の車幅方向の移動を規制する。ここで、挟持するとは、取付面12及び延在部211a(211b)は、車外側壁部41(51)に対して必ずしも圧接されていなくても、当接可能になっていればよい。
【0035】
図6は、図2におけるB−B断面図である。上縁部32は、一定断面で構成されるドアフレーム3であるため、図5に示す立柱部31の構造と同一である。もちろん、上縁部32は立柱部31の構造と異なっていてもよい。
【0036】
図6に示すように、ガーニッシュ1の嵌合部22aは車外側壁部41の端部41a、すなわちドアフレーム3に嵌合する。詳説すると、嵌合部22aは、取付面12から突出して端部41aと当接する当接部220aと、当接部220aから車両下方へ延在する延在部221aと、を有する。当接部220aは、上縁部32の端部41aに当接することで、ガーニッシュ1の車両下方への移動を規制する。また、取付面12及び延在部221aは、車外側壁部41を挟持することで、ガーニッシュ1の車幅方向の移動を規制する。
【0037】
また、図6に示すように、ガーニッシュ1の当接部23は、上縁部32の端部51aと当接することでガーニッシュ1の車両上方への移動を規制する。取付面12から突出して端部51aと当接する当接部23は、車両下方から車両上方にかけて車幅方向に肉厚となる断面略垂直三角形状を呈する。詳説すると、当接部23は、取付面12から、車両下方から車両上方にかけて車幅方向に離間するよう徐変したテーパ面230と、取付面12から車幅方向に直立するとともに該テーパ面230の上端に連結する当接面231とを有する。そのため、ガーニッシュ1を立柱部31に取付ける際、ガーニッシュ1を立柱部31に対して車両下方へスライドさせると、当接面32Aは取付面12に沿って相対移動した後、当接面32Aは所定位置からテーパ面230に沿って移動する。そして、車外側壁部41、51が当接部23を乗り越えた後、再び当接面32Aは取付面12に当接するとともに端部41aは嵌合部22aに嵌合するよう設定されている。また、車外側壁部41、51が当接部23を乗り越えた後、当接面231は車外側壁部51の端部51aと当接することでガーニッシュ1の車両下方への移動を規制する。
【0038】
なお、嵌合部22aは、ガーニッシュ1の車両下方への移動を規制すると共に車両前後方向への移動を規制する。嵌合部22aをガーニッシュ1の端部以外の箇所に設けた場合でも同様の作用効果が得られる。
【0039】
以下、第1実施例のガーニッシュ1の取付け動作を図7〜図9に基づいて説明する。
【0040】
図7、8、9は、それぞれ第1実施例のガーニッシュ1の取付け(初期)工程図、取付け(中間)工程図、(終了)工程図である。
【0041】
図7に示すように、取付け初期工程において、ガーニッシュ1は、係止部21aと21bとの間に立柱部31が位置するように、嵌合部22aが車両後側に位置するよう傾けられた状態で仮配置される。このとき、当接部23は、立柱部31若しくは上縁部32に接触しており、ガーニッシュ1の上方部位は下方部位に比べて車両外側に向けて弾性変形している。
【0042】
図8に示すように、取付け初期工程後の取付け中期工程において、ガーニッシュ1は、図7に示す状態から嵌合部22aが車両前側に移動するよう回転される。これにより、立柱部31に対して係止部21a、21b、21cが係止され、ガーニッシュ1はドアフレーム3に取付けられる。
【0043】
図9に示すように、取付け中期工程後の取付け終了工程において、ガーニッシュ1は図8に示す状態から車両下側にスライドされる。これにより、上縁部32の凹部32a及びドアパネル33の凸部33aに嵌合部22a、22bが嵌合されるとともに当接部23が窓枠24内に配置される。
【0044】
本実施形態によれば以下の作用効果を奏し得ることができる。
【0045】
(1)ガーニッシュ1の係止部21aと係止部21bとの間に立柱部31を配置させてガーニッシュ1を回転させることにより、立柱部31の端部41aに係止部21aが係止される。また、立柱部31の端部51aに係止部21bが係止される。そして、係止部21aと係止部21bとが協働することで、ドアフレーム3に対するガーニッシュ1の短手方向の移動を規制し、係止部21a、係止部21b及び取付面12とが協働することで、ドアフレーム3に対するガーニッシュ1の厚み方向の移動を規制する。そのため、ガーニッシュ1はドアフレーム3に取付け可能となる。それゆえ、立柱部31に対してガーニッシュ1を下方端から上方端までスライドさせてドアフレーム3に取付ける必要がなく、ガーニッシュ1をドアフレーム3に対して回転させるだけで取付けできる。よって、ガーニッシュ1のドアフレーム3への取付作業性が向上する。また、ガーニッシュ1は、立柱部31の両端部41a、51aに取付けられるため、別途両面テープ等により補助的な取付けがなくともガーニッシュ1の浮き上がりを防止できる。それゆえ、ガーニッシュ1の取付けに対して部品点数を減らすことができ、ガーニッシュ1が安価となる。
【0046】
(2)取付面12の上端部に位置する嵌合部22aがドアフレーム3の上縁部32と嵌合することで、ガーニッシュ1がドアフレーム3に対して相対回転することを規制する。そのため、ドアフレーム3へのガーニッシュ1の係止状態が解除されることを抑制でき、ガーニッシュ1のドアフレーム3への取付信頼性が向上する。
【0047】
(3)嵌合部22aと当接部23とが協働することで、ドアフレーム3に対するガーニッシュ1の延在方向の移動を規制する。そのため、ドアフレーム3と嵌合部22aとの嵌合状態が解除されることを抑制でき、ひいてはガーニッシュ1の係止状態が解除されることを抑制できる。それゆえ、ガーニッシュ1のドアフレーム3への取付信頼性がより向上する。
【0048】
(4)ガーニッシュ1を適用することで立柱部31を一定断面形状とすることができ、例えば立柱部を加工してガーニッシュの意匠面の形状に合わせる構成に比べてドアフレーム3を簡素化できる。加えて、一定断面形状を呈する立柱部31の両端部41a、51aを利用して、ガーニッシュ1が取付け可能となるため、例えばドアフレームの立柱部へ取付孔を設ける等の必要がなく、ドアフレーム3をより簡素化できる。
【0049】
以下、第2実施例を図10に基づいて説明する。
【0050】
第2実施例の構成は、第1実施例の構成に対し係止部21a、21b、21cの配置箇所を変更したものである。他の箇所に関しては第1実施例と同様であるため、同一の部位及び機能を有するものは同一の符号で表わす。
【0051】
図10は、第2実施例のガーニッシュ1aの取付面12を示す単品図である。ガーニッシュ1aは、第1実施例の図3に示す係止部21a、21b、21cの配置箇所を立柱部31を基準に反転した構成である。
【0052】
以下、第2実施例のガーニッシュ1aの取付け動作を図11に基づいて説明する。
【0053】
図11は、第2実施例のガーニッシュ1aの取付け工程図である。ガーニッシュ1aの係止部21a、21b、21cは第1実施例の配置箇所と反転しているため、ガーニッシュ1aは係止部21aと21bとの間に立柱部31が位置するよう、嵌合部22aが車両前側に傾けられた状態で仮配置される。そして、ガーニッシュ1aは、嵌合部22aが車両後側に移動するよう回転される。
【0054】
なお、他の動作及び第2実施例の作用効果は、第1実施例と同様である。
【0055】
以下、第3実施例を図12に基づいて説明する。
【0056】
第3実施例の構成は、第1実施例の構成に対し係止部21a、21bの形状を変更したものである。他の箇所に関しては第1実施例と同様であるため、同一の部位及び機能を有するものは同一の符号で表わす。
【0057】
図12は、第3実施例のガーニッシュ1bの取付面12を示す単品図である。ガーニッシュ1bは、第1実施例の図3に示す係止部21a相当を車両上側の端部(嵌合部22a相当)から車両下側へ延在する係止部21d(第1係止部)と、係止部21b相当と21c相当とを一体にして車両下側の端部から車両上側へ延在する係止部21e(第2係止部)と、を備える。
【0058】
以下、第3実施例のガーニッシュ1bの取付け動作を図13に基づいて説明する。
【0059】
図13は、第3実施例のガーニッシュ1bの取付け工程図である。ガーニッシュ1bは、係止部21dと21eとの間に立柱部31が位置するよう、嵌合部22aを車両前側に傾けられた状態で仮配置される。そして、ガーニッシュ1bは、嵌合部22aを車両前側に回転する。他の動作に関しては第1実施例と同様である。
【0060】
以下、第3実施例の効果を説明する。
【0061】
(5)係止部21d及び係止部21dをガーニッシュ1bの延在方向に長く設定したことにより、ガーニッシュと1bとドアフレーム3との係止状態をより好適にできる。
【0062】
他の動作に関しては第1実施例と同様である。
【0063】
以下、第4実施例を図14〜図16に基づいて説明する。
【0064】
第4実施例は、第1実施例の構成に対しガーニッシュ1の嵌合部22a及びドアフレーム3の上縁部31の形状を変更したものである。他の箇所に関しては第1実施例と同様であるため、同一の部位及び機能を有するものは同一の符号で表わす。
【0065】
図14は、第4実施例の車両ドアDのドアフレーム構造100cの全体図である。第1実施例との相違点は図1で示したドアフレーム3の上縁部31を車両後側へ延在した点である。また、ガーニッシュ1cの車両上側の端部は、上縁部31の車両下側の端部に当接している。なお、ガーニッシュ1cの車両上側の端部が上縁部31の車両下側の端部に当接しているため、ドアフレーム3との相対回転が規制される。
【0066】
図15は、第4実施例のガーニッシュ1cの取付面12を示す単品図である。第1実施例との相違点は図3で示したガーニッシュ1cの嵌合部22aをドアフレーム3の上縁部32に設けた凸部32bと嵌合する嵌合部22cに変更した点である。
【0067】
図16は、第4実施例のドアフレーム3cの単品図である。第1実施例との相違点は図4で示した上縁部32の凹部32aを呈さない形状である。
【0068】
以下、第4実施例のガーニッシュ1cの取付け動作を図17に基づいて説明する。
【0069】
図17は、第4実施例のガーニッシュ1cの取付け工程図である。ガーニッシュ1cは、係止部21aと21bとの間に立柱部31が位置するよう、ガーニッシュ1cの車両上側の端部が車両後側に傾けられた状態で仮配置される。このとき、ガーニッシュ1cの当接部23は、立柱部31若しくは上縁部32に弾性変形しながら接触している。そして、ガーニッシュ1cは、立柱部31と係止部21a、21b、21cとが係合するよう、ガーニッシュ1cの車両上側の端部を車両前側に回転する。他の動作に関しては第1実施例と同様である。
【0070】
以下、第4実施例の効果を説明する。
【0071】
(6)ガーニッシュ1cの取付面12に嵌合部22aを有せず、且つドアフレーム3cの上縁部32に加工を施さないため、第1実施例と比べ安価なドアフレーム構造100cを提供できる。
【0072】
他の効果に関しては第1実施例と同様である。
【0073】
以下、第5実施例を図18に基づいて説明する。
【0074】
第4実施例の構成は、第1実施例または第4実施例の構成に対し係止部21a、21b及び嵌合部22aの形状を変更したものである。他の箇所に関しては第1実施例及び第4実施例と同様であるため、同一の部位及び機能を有するものは同一の符号で表わす。
【0075】
図18は、第5実施例のガーニッシュ1dの取付面12を示す単品図である。第1実施例若しくは第4実施例の相違点は、図3、図5並びに図15で示す取付面12に係止部21a、21b、21cの延在部211a、211b、211cを呈さない点、且つ嵌合部22aを呈さない点である。なお、第1実施例のドアフレーム3を用いる場合、ガーニッシュ1dは嵌合部22aを有する構成でも良い。
【0076】
以下、実施例5の動作は実施例1若しくは実施例4と同様であるため、第5実施例の効果を説明する。
【0077】
当接部210a、210b、210c、嵌合部22a及び当接部23によりガーニッシュ1dを取付けることができるため、第1実施例若しくは第4実施例と比べ安価なガーニッシュ1dを提供できる。他の効果に関しては第1実施例と同様である。
【0078】
なお、第1実施例〜第5実施例のガーニッシュ1a〜1dは、立柱部31の幅より幅方向の長さが大きくなっているが、この構成に限定されず、立柱部31とガーニッシュ1の幅方向の長さが同一であっても良い。
【0079】
また、取付部2は、係止部21a〜21e、嵌合部22a、22b及び当接部23を有する構成であるが、係止部21aのみを有する構成でも良い。
【0080】
また、ドアフレーム3は一定断面形状を呈する構成であるが、厳密に一定断面のものだけでなく、延在方向に多少の徐変がある等、ある程度の幅を持つ構成でも良い。例えば、係止部21a21e(当接部210a〜210c)の形状に合わせ立柱部31に切欠きを呈する構成等がある。
【符号の説明】
【0081】
D 車両ドア
WP ウインドパネル
100、100a、100b、100c ドアフレーム構造
1、1a、1b、1c、1d ガーニッシュ
11 意匠面
12 取付面
2 取付部
21a、21d 係止部(第1係止部)
21b、21e 係止部(第2係止部)
210a 当接部(第1当接部)
210b 当接部(第2当接部)
22a、22b、22c 嵌合部
23 当接部
3 ドアフレーム
31 立柱部
32 上縁部
41a 端部(一側端)
51a 端部(他側端)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアの窓枠を形成するドアフレームの立柱部に沿って延在し、
外部に露出する意匠面と、
前記意匠面とは反対側の面であり、前記立柱部に取付可能な取付部を有する取付面と、を備えるガーニッシュにおいて、
前記取付部は、前記立柱部の一側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の他側端側へ延在する第1係止部と、前記立柱部の前記他側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の前記一側端側へ延在し、且つ前記第1係止部に対して前記延在方向にずらして配置された第2係止部と、を有し、
前記第1係止部と前記第2係止部との最短間隔を前記立柱部の前記第一側端から前記他側端までの幅よりも大きく設定したことを特徴とするガーニッシュ。
【請求項2】
前記取付部は、前記取付面の前記延在方向の少なくとも一方の端部に、前記ドアフレームと嵌合して前記立柱部に対する相対回転を規制する嵌合部を有することを特徴とする請求項1に記載のガーニッシュ。
【請求項3】
前記取付部は、前記ドアフレームのウインドパネルを保持する側と当接可能な当接部を有し、
前記嵌合部と前記当接部とが協働することで、前記立柱部に対する前記延在方向への移動を規制することを特徴とする請求項2に記載のガーニッシュ。
【請求項4】
車両上下方向に延在する立柱部と、前記立柱部の上端に連結され、車両前後方向に延在し、前記立柱部とともに車両ドアの窓枠を形成する上縁部と、を有するドアフレームと、
外部に露出する意匠面と、前記意匠面とは反対側の面であり、前記立柱部に取付可能な取付部を有する取付面と、を有し、前記立柱部に沿って延在するガーニッシュと、を備えるドアフレーム構造において、
前記立柱部は、一定断面形状を呈し、
前記取付部は、前記立柱部の一側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の他側端側へ延在する第1係止部と、前記立柱部の前記他側端に対して当接可能に前記取付面から突出するとともに前記立柱部の前記一側端側へ延在し、且つ前記第1係止部に対して前記延在方向にずらして配置された第2係止部と、を有し、
前記第1係止部と前記第2係止部との最短間隔を前記立柱部の前記第一側端から前記他側端までの幅よりも大きく設定したことを特徴とするドアフレーム構造。
【請求項5】
前記取付部は、前記取付面の上端部に、前記ドアフレームの上縁部と嵌合して前記立柱部に対する相対回転を規制する嵌合部を有することを特徴とする請求項4に記載のドアフレーム構造。
【請求項6】
前記取付部は、前記ドアフレームの上縁部と当接可能な当接部を有し、
前記嵌合部と前記当接部とが協働することで、前記立柱部に対する前記延在方向への移動を規制することを特徴とする請求項5に記載のドアフレーム構造。
【請求項7】
車両ドアの窓枠を形成するドアフレームの立柱部に沿って延在し、
外部に露出する意匠面と、
前記意匠面とは反対側の面であり、前記立柱部に取付可能な取付部を有する取付面と、を備えるガーニッシュにおいて、
前記取付部は、前記取付面の前記延在方向の少なくとも一方の端部から突出し、前記ドアフレームに嵌合する嵌合部と、前記立柱部の一側端に対して当接可能に前記取付面から突出する第1当接部と、前記立柱部の他側端に対して前記取付面から突出し、且つ前記第1当接部に対して前記延在方向にずらして配置された第2当接部と、を有し、
前記第1当接部と前記第2当接部との最短間隔を前記立柱部の前記第一側端から前記他側端までの幅よりも大きく設定し、前記嵌合部により前記立柱部との相対移動を規制することを特徴とするガーニッシュ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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