説明

キサンテン誘導体及び該誘導体を含有する熱可塑性ポリマー組成物

【課題】250℃における蒸散量が少なく、しかも、熱安定性に優れた熱可塑性ポリマー組成物を与える化合物を提供することが課題である。
【解決手段】式(1)で表されるキサンテン誘導体。


(式(1)中、Aは、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基には、水酸基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基又はハロゲン原子が結合していてもよく、該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基を構成する炭素原子はヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
Rはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基又はアシル基を表す。iは0〜3のいずれかの整数を表し、jは0又は1を表し、kは0〜4のいずれかの整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キサンテン誘導体及び該誘導体を含有する熱可塑性ポリマー組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマーの1種であるブタジエン系ポリマーの熱安定性を向上させるために、キサンテンをブタジエン系ポリマーに混練してなる熱可塑性ポリマー組成物が特許文献1に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−20540号公報([0064]実施例3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らが検討したところ、通常の熱可塑性ポリマーの混練温度である250℃において、キサンテンの蒸散量が多いことが明らかになった。250℃における蒸散量が少なく、しかも、熱安定性に優れた熱可塑性ポリマー組成物を与える化合物を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らが鋭意検討した結果、本発明に至った。
即ち、本発明は、
[1] 式(1)で表されるキサンテン誘導体。

【0006】
(式(1)中、Aは、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜24の脂環式炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基には、水酸基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基又はハロゲン原子が結合していてもよく、該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基を構成する炭素原子はヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基又は炭素数2〜4のアシル基を表す。iは0〜3のいずれかの整数を表し、jは0又は1を表し、kは0〜4のいずれかの整数を表す。)
【0007】
[2] Aが、炭素数6〜12の脂肪族炭化水素基であることを特徴とする[1]記載のキサンテン誘導体。
[3] Aが、2−エチルシクロヘキシル基又は4−フェニルプロピル基であり、i、j及びkがいずれも0であることを特徴とする[1]記載のキサンテン誘導体。
【0008】
[4] [1]〜[3]のいずれか記載のキサンテン誘導体と、熱可塑性ポリマーとを含有することを特徴とする熱可塑性ポリマー組成物。
[5] 熱可塑性ポリマー100重量部に対してキサンテン誘導体を0.001〜5重量部含有することを特徴とする[4]記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【0009】
[6] 式(1−2)で表されるハロゲン化物と式(1−1)で表わされる化合物とを縮合させる縮合工程を含むことを特徴とする式(1)で表されるキサンテン誘導体の製造方法。

【0010】
(式中、Aは、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜24の脂環式炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基には、水酸基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基又はハロゲン原子が結合していてもよく、該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基を構成する炭素原子はヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子を表す。
Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基又は炭素数2〜4のアシル基を表す。iは0〜3のいずれかの整数を表し、jは0又は1を表し、kは0〜4のいずれかの整数を表す。)
【0011】
[7] 熱可塑性ポリマーを熱安定化させるための[1]〜[3]のいずれか記載のキサンテン誘導体の使用。
【発明の効果】
【0012】
本発明のキサンテン誘導体は、250℃における蒸散量が少なく、しかも、熱安定性に優れた熱可塑性ポリマー組成物を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、式(1)で表されるキサンテン誘導体(以下、キサンテン誘導体(1)と記すことがある)である。

【0014】
式(1)中、Rは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、t-ペンチル基などの炭素数1〜8のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基などの炭素数1〜8のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;水酸基又はアセチル基などの炭素数2〜4のアシル基を表す。
【0015】
iは0〜3のいずれかの整数を表し、jは0又は1を表し、kは0〜4のいずれかの整数を表す。特に、i=j=k=0であることが好ましい。
【0016】
式(1)中、Aは、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜24の脂環式炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基には、水酸基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基又はハロゲン原子が結合していてもよく、該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基を構成する炭素原子はヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
【0017】
芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基であるAには、水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、t-ペンチル基などの炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基が結合していてもよい。
【0018】
また、Aを構成する炭素原子は、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
【0019】
芳香族炭化水素基としては、例えば、式(2)及び式(3)で表される芳香族炭化水素基等が挙げられる。

【0020】
式(2)中、R〜Rの1つは結合部位を表し、該結合部位以外のR〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
【0021】
式(3)中、R11〜R18の1つは結合部位を表し、該結合部位以外のR11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
【0022】
式(2)で表される芳香族炭化水素基を含むキサンテン誘導体(1)としては、式(2−1)〜式(2−5)で表される化合物などが例示され、特に式(2−7)及び式(2−8)で表される化合物が好ましい。

【0023】
式(3)で表される芳香族炭化水素基を含むキサンテン誘導体(1)としては、式(3−1)〜式(3−3)で表される化合物などが例示される。

【0024】
芳香族炭化水素基の異なる例示として、アラルキル基が挙げられる。具体的には、ベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基、4−ブチルベンジル基などが例示される。
【0025】
Aがアラルキル基であるキサンテン誘導体(1)としては、式(6−1)〜式(6−4)で表される化合物などが例示される。

【0026】
Aの脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−ヘプタデシル基などの直鎖状アルキル基、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、1−メチルヘプチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルエチル基、1−エチルプロピル基、1−エチルブチル基、1−エチルペンチル基、1−エチルヘプチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,3−ジエチルヘキシル基などの分岐アルキル基などが挙げられる。
【0027】
該脂肪族炭化水素基には、水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基が結合していてもよい。
また、該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子は、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
【0028】
Aが脂肪族炭化水素基であるキサンテン誘導体(1)としては、式(4−1)〜式(4−7)で表される化合物などが例示される。

【0029】
Aが脂環式炭化水素基であるキサンテン誘導体(1)としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。
【0030】
該脂環式炭化水素基には、水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、n-オクチル基、t-オクチル基、t-ペンチル基などの炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基などの炭素数1〜10のアルコキシ基が結合していてもよい。
また、該脂環式炭化水素基を構成する炭素原子は、酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
【0031】
Aが脂環式炭化水素基であるキサンテン誘導体(1)としては、式(5−1)〜式(5−8)で表される化合物などが例示される。

【0032】
キサンテン誘導体(1)としては、Aが炭素数6〜12の炭化水素基であると250℃における蒸散量が少なく、かつ、熱安定性に優れる熱可塑性ポリマー組成物を与えることから好ましい。特に、Aが炭素数6〜12の脂肪族炭化水素基を有するキサンテン誘導体は、250℃における蒸散量が少なく、熱安定性に優れる熱可塑性ポリマー組成物を与えしかも、シクロヘキサンへの溶解性に優れることから好ましく、とりわけ、式(4−1)で表される化合物(Aが2−エチルシクロヘキシル基であり、i、j及びkがいずれも0であるキサンテン誘導体(1))又は式(6−1)で表される化合物(Aが4−フェニルプロピル基であり、i、j及びkがいずれも0であるキサンテン誘導体(1))が好ましい。
【0033】
ブタジエン系ポリマーへの化合物の添加は、通常、シクロヘキサンなどの炭化水素溶媒に該化合物を溶解させたのち、ブタジエン系ポリマーの製造時に該化合物の溶解液を混合させ、ブタジエン系ポリマーの製造時の溶媒とともに該炭化水素溶媒が除去される。従って、シクロヘキサンへの溶解性に優れると、炭化水素溶媒の使用量が減少される傾向があり、結果として、ブタジエン系ポリマーの製造時における溶媒の除去量が少なくなる傾向があることから好ましい。
【0034】
本発明のキサンテン誘導体(1)の製造方法としては、例えば、式(1−2)で表される炭素数2〜25のハロゲン化物(以下、ハロゲン化合物(1−2)と記すことがある)と式(1−1)で表わされる化合物(以下、化合物(1−1)と記すことがある)とを縮合させる縮合工程を含む方法などが挙げられる。
【0035】

(式中、A、R、i、j及びkは、前記と同じ意味を表す。Xは、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子を表す。)
【0036】
具体的な縮合工程の一例としては、ハロゲン化合物(1−2)と化合物(1−1)を塩基存在下にて縮合させる方法などであり、特に、化合物(1−1)と塩基とを共存させた後、ハロゲン化合物(1−2)と縮合させる方法が好ましい。
【0037】
塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、アニリン、ピリジン等の有機塩基塩化亜鉛、塩化鉄等の金属塩化物などが挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(1−1)1モルに対して、通常、0.1〜10モル程度であり、特に、0.5〜2モルが好ましい。
【0038】
ハロゲン化合物(1−2)の使用量は、化合物(1−1)の水酸基1当量に対して、通常、0.7〜1.5モル程度である。
【0039】
該縮合は、無溶媒で行ってもよいが、通常、溶媒を用いて縮合する。
具体的には、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類が例示される。又、無溶媒でも実施できる。溶媒を使用する場合の溶媒使用量は、1−ヒドロキシキサンテンに対し、0.01〜500重量倍で、好ましくは0.1〜100重量倍である。
縮合の反応温度は、通常、0〜150℃程度で行い、好ましくは50〜100℃である。
【0040】
縮合の圧力は、通常、常圧下で行うが、共沸温度を低くするために減圧下で反応させてもよく、反応速度が遅い場合には加圧下で反応させてもよい。
【0041】
本発明のキサンテン誘導体(1)を熱可塑性ポリマーに配合させることにより、得られる熱可塑性ポリマー組成物は、熱安定性に優れる。熱可塑性ポリマー100重量部に対してキサンテン誘導体を0.0005〜5重量部、好ましくは0.001重量部〜3重量部程度配合させる。
【0042】
本発明のキサンテン誘導体(1)を含む熱可塑性ポリマー組成物は、熱安定性を阻害しない範囲でキサンテン誘導体以外の添加剤を含有させていてもよい。このような添加剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、造核剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、充填剤、顔料、可塑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、界面活性剤、加工助剤、発泡剤、乳化剤、光沢剤、中和剤、結着剤などを挙げることができる。
【0043】
フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n-オクタデシル-β-(4’ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフィエニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]-ウンデカン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクダデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデシル−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデシル−1’−イル)フェノールおよびそれらの混合物などのアルキル化モノフェノール、
【0044】
2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールおよびそれらの混合物などのアルキルチオメチルフェノール、
2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル ステアレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル) アジペートおよびそれらの混合物などのヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、
α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびそれらの混合物などのトコフェロール、
【0045】
2,2’−チオビス(6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−t−アミルフェノール)、4,4’−(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィドなどのヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、
【0046】
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール)]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−イソブチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール ビス[3,3−ビス−3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタンおよびそれらの混合物などのアルキリデンビスフェノールおよびその誘導体、
【0047】
3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテートおよびそれらの混合物などのO−ベンジル誘導体、N−ベンジル誘導体およびS−ベンジル誘導体、
【0048】
ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネートおよびそれらの混合物などのヒドロキシベンジル化マロネート誘導体、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノールおよびそれらの混合物などの芳香族ヒドロキシベンジル誘導体、
【0049】
2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−n−オクチルチオ−4,6−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシシンナモイルオキシ)エチル]イソシアヌレートおよびそれらの混合物などのトリアジン誘導体、
【0050】
ジメチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸モノエステルのカルシウム塩およびそれらの混合物などのベンジルホスホネート誘導体、
4−ヒドロキシラウリル酸アニリド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、オクチル−N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバネートおよびそれらの混合物などのアシルアミノフェノール誘導体、
【0051】
β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物などの一価アルコールまたは多価アルコールとのエステル、
【0052】
β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物などの一価アルコールまたは多価アルコールとのエステル、
【0053】
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸とメタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、チオエチレングリコール、スピログリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタンおよびそれらの混合物などの一価アルコールまたは多価アルコールとのエステル、
【0054】
N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]トリメチレンジアミンおよびそれらの混合物などのβ−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミドなどが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は異なる2種以上を混合して用いてもよい。
【0055】
特に好ましくは、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n-オクタデシル-β-(4’ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)プロピオネート、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフィエニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]-ウンデカン、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートなどが挙げられる。
【0056】
リン系酸化防止剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,6,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピン、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ジイソデシル ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ジフェニレンジホスホナイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシル ホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル) フルオロ ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル) エチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル) メチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル) ホスファイトおよびそれらの混合物などが挙げられる。
リン系酸化防止剤は異なる2種以上を混合して用いてもよい。
【0057】
特に、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,6,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1.3.2]ジオキサホスフェピンなどが挙げられる。
【0058】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O−オクレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−O-クレゾール、ジラウリル 3,3’−チオジプロピオネート、トリデシル 3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル 3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ラウリル ステアリル 3,3’−チオジプロピオネート、ネオペンタンテトライルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤は異なる2種以上を混合して用いてもよい。
特に好ましくは、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオン酸エステルが挙げられる。
【0059】
紫外線吸収剤としては、例えばフェニル サリシレート、4−t−ブチルフェニル サリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニル サリシレート、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートおよびそれらの混合物などのサリシレート誘導体、
【0060】
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの混合物などの2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、
【0061】
2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[4−t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル 3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル 3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル 3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル 3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸およびそれらの混合物などの2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0062】
紫外線吸収剤は異なる2種以上を混合して用いてもよい。
特に好ましくは、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。かかる紫外線吸収剤はそれぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。
【0063】
光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート、ビス((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル) セバケート、ビス(N−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) セバケート、ビス(N−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1−アクロイル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル) 2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルデカンジオエート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル メタクリレート、4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−1−[2−(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、
【0064】
1,2,3,4−ブタンテトラボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールおよび3、9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよび3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)]、ポリ[(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ))、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの重縮合物、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4,7−テトラキス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N’,4−トリス[4,6−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンおよびそれらの混合物などのヒンダードアミン系光安定剤、エチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル α−カルボメトキシシンナメート、メチルα−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメートおよびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンおよびそれらの混合物などのアクリレート系光安定剤、
【0065】
2,2’−チオビス−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、モノアルキルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体およびそれらの混合物などのニッケル系光安定剤、
4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブチルアニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキシアニリド、2−エトキシ−5,4’−ジ−t−ブチル−2’−エチルオキサニリドおよびそれらの混合物などのオキサミド系光安定剤、
【0066】
2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2,4−ジヒドロキシフェニル−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンおよびそれらの混合物などの2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン系光安定剤などが挙げられる。
【0067】
光安定剤は異なる2種以上を混合して用いてもよい。
特に好ましくは、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物などが挙げられる。
【0068】
中和剤としては、例えば、合成ハイドロタルサイト、天然ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム等が挙げられる。滑剤としては、例えば、パラフィン、ポリエチレンワックス、ステアリン酸、ブチルステアレート、硬化ひまし油、ステアリルアルコールやステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
【0069】
帯電防止剤としては、例えば、第1級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン系帯電防止剤;硫酸化油、石鹸、硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類、脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩、脂肪酸エチルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、琥珀酸エステルスルホン酸塩や燐酸エステル塩等のアニオン系の帯電防止剤;多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノまたは脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等の非イオン系の帯電防止剤;カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性系の帯電防止剤が挙げられる。
【0070】
防曇剤としては、例えば、ステアリン酸 モノグリセリド、オレイン酸 モノグリセリド、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ソルビタン モノラウレートやソルビタン モノステアレート等が挙げられる。
【0071】
核剤としては、1,3,2,4−ジ−ベンジリデン−ソルビトール、1,3,2,4−ジ−ジ−(p−メチル−ベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−エチル−ベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(2',4'−ジ−メチル−ベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロロ−ベンジリデン−2,4−p−メチル−ベンジリデン−ソルビトール、1,3,2,4−ジ−(p−プロピル−ベンジリデン)ソルビトール、アルミニウム−モノ−ヒドロキシ−ジ−p−t−ブチルベンゾエート、ソジウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ソジウム−2,2'−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチル−フェニル)フォスフェート、タルク、安息香酸ナトリウム、リチウム−2,2'−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等を挙げることができる。
【0072】
充填剤としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化クロム(3価)、酸化鉄、酸化亜鉛、シリカ、珪藻土、アルミナ繊維、酸化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン等の酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の塩基性物又は水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム等の(亜)硫酸塩;珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カリウム、珪酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、モンモリロライト、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ペントナイト等の珪酸塩;カオリン(陶土)、パーライト、鉄粉、銅粉、鉛粉、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化珪素繊維、黄銅繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、硼酸亜鉛、硼酸アルミニウム、メタ硼酸バリウム、硼酸カルシウム、硼酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0073】
難燃剤としては、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、トリフェニルホスフェート、赤燐、ハロゲンを含むリン酸エステル、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。また、ハロゲン化合物の難燃性を高める助剤として、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどを挙げることができる。
【0074】
熱可塑性ポリマーに前記キサンテン誘導体とともに配合し得る添加剤としては、特に、酸化防止剤が好ましく、とりわけ、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
本発明のキサンテン誘導体は、該誘導体を有効成分とする安定剤として用いることができる。該安定剤は、キサンテン誘導体のみからなる安定剤であってもよいし、キサンテン誘導体と前記添加剤との混合物であってもよい。
【0075】
本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、前記キサンテン誘導体(1)と、熱可塑性ポリマーとを含有する熱可塑性ポリマー組成物である。
本発明の熱可塑性ポリマー組成物からの蒸散する割合(以下、蒸散性と記すことがある)が少ない。蒸散する割合が少ない、すなわち、蒸散性が小さい場合、熱可塑性ポリマー組成物を高温で混練した場合、熱可塑性ポリマー組成物からキサンテン誘導体(1)が蒸散する割合が少なく、結果として混練後の熱可塑性ポリマー組成物の熱安定性を向上させることを意味する。
蒸散性の評価は、具体的には、セイコーインスツルメンツ社製の示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA 6200R)にキサンテン誘導体(1)を昇温測度20℃/分、窒素300ml/分の流通下に置き、250℃到達後15分間、前記窒素流通下で保持した後のキサンテン誘導体(1)が減少した割合を重量百分率で評価することができる。
【0076】
本発明の熱可塑性ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー100重量部に対して、通常、キサンテン誘導体を0.0005〜5重量部、好ましくは0.001重量部〜3重量部程度含有する。
【0077】
本発明の熱可塑性ポリマー組成物に含まれる熱可塑性ポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン[例えば、プロピレン系樹脂、エチレン系樹脂(高密度ポリエチレン(HD−PE)、低密度ポリエチレン(LD−PE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体など)、環状ポリオレフィン、メチルペンテンポリマー]、ポリスチレン類[ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、特殊アクリルゴム−アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体など]、塩素化樹脂(例えば、塩素化ポリエチレン、ポリクロロプレン、塩素化ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン)、メタクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタール、グラフト化ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸など)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、芳香族ポリエステル樹脂、ジアリルフタレートプレポリマー、シリコーン樹脂、ポリイソプレン、ブタジエン重合体などが挙げられる。特に、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリスチレン類、ブタジエン重合体が好ましく、とりわけ、プロピレン系樹脂又はブタジエン重合体が好ましい。
【0078】
ここで、ブタジエン重合体とは、ブタジエンに由来する構造単位を含有する重合体又は該重合体の水素添加物である。かかるブタジエン重合体としては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB)などのスチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリブタジエンなどが挙げられる。
【0079】
ブタジエン重合体は、例えば溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法などの通常の方法で製造することができる。ブタジエン重合体は、樹脂であってもよいし、ゴムであってもよい。ブタジエン重合体がポリブタジエンである場合には、溶液重合法により製造されたポリブタジエンゴムであってもよいし、乳化重合法により製造されたポリブタジエンゴムであってもよい。
【0080】
ここで、プロピレン系樹脂とは、プロピレンに由来する構造単位を含有するポリオレフィンを意味し、具体的には、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体などが挙げられる。
【0081】
本発明において熱可塑性ポリマーとしてプロピレン系樹脂を用いる場合、プロピレン系樹脂としては1種類で使用してもよく、2種以上をブレンドして使用してもよい。
【0082】
α−オレフィンとしては、通常、炭素原子数4〜12のα−オレフィンであり、たとえば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられ、さらに好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
【0083】
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、たとえば、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン−1−オクテンランダム共重合体などが挙げられる。
【0084】
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、たとえば、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体などが挙げられる。
【0085】
プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体における主にプロピレンからなる共重合体成分としては、たとえば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分などが挙げられ、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分としては、たとえば、プロピレン−エチレン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−エチレン−1−オクテン共重合体成分、プロピレン−1−ブテン共重合体成分、プロピレン−1−ヘキセン共重合体成分、プロピレン−1−オクテン共重合体成分などが挙げられる。なお、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分におけるエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの含有量は、通常、0.01〜20重量%である。
【0086】
また、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体としては、たとえば、プロピレン−エチレンブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−エチレン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−エチレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ブテン)ブロック共重合体、(プロピレン−1−ブテン)−(プロピレン−1−ヘキセン)ブロック共重合体などが挙げられる。
【0087】
また、本発明において熱可塑性ポリマーとしてプロピレン系樹脂を用いる場合、好ましくは、結晶性プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。さらに好ましくは、プロピレン単独重合体成分または主にプロピレンからなる共重合体成分と、プロピレンとエチレンおよび/または炭素原子数4〜12のα−オレフィンの共重合体成分からなるポリプロピレン系ブロック共重合体である。
【0088】
本発明の熱可塑性ポリマー組成物の製造方法としては、例えば、キサンテン誘導体(1)と熱可塑性ポリマーとを混合後、単軸又は多軸の押出し機により溶融混練する方法、例えば、熱可塑性ポリマーを重合した後の溶液にキサンテン誘導体(1)を予め溶剤に溶解又は懸濁させた液をフィードし、その後、蒸発留去等の方法で溶剤を除く方法等が挙げられる。
【0089】
このようにして得られた熱可塑性ポリマー組成物は、さらに成形して、フィルム、成形材料やパイプ等の製品に加工することができる。
【0090】
本発明の化合物(1)は、熱可塑性ポリマーの熱安定性を向上させることができる。ここで、熱可塑性ポリマー組成物の熱安定性の評価は、該組成物を200℃でSBSと押出成形してペレット作製し、得たペレットを150℃の乾熱状態に2時間放置してその後のゲルの発生が少ない試料ほど熱安定性に優れることを意味する。
【0091】
具体的には、精秤した試料約0.5gを250mlのシクロヘキサン中に24時間放置して溶解させ、120メッシュの金網用いてろ過し、続いて、金網を乾燥してその残渣分をゲルとし、用いた試料に対する重量百分率で測定することができる。
【実施例】
【0092】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。
【0093】
(合成例1:1−(3−フェニルプロピルオキシ)−9H−キサンテン(6−1)の合成例)
9H−キサンテン−1−オール3.0gと25%水酸化ナトリウム水溶液150gを反応容器に仕込み、室温にて15分攪拌した。次に、1−ブロモ−3−フェニルプロパン8.4gを20〜25℃/約30分で滴下した後、トリエチルアミン0.8gをテトラヒドロフラン40gで希釈し、流入した。完溶したことを確認した後、50℃まで昇温し、25時間保温した。
【0094】
反応後、水、テトラヒドロフラン、トルエン、飽和食塩水を加え、分液した。水層はテトラヒドロフランで抽出し、各有機層を合わせて濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/9)にて精製した。各フラクションを濃縮後、酢酸エチル、ヘキサン、メタノールにより晶析した。得られた結晶を減圧下、約60℃で乾燥し、1−(3−フェニルプロピルオキシ)−9H−キサンテン(式(6−1)で表される化合物) 2.13g(収率46.5%)を得た。HNMR及び13CNMRの結果を次に示す。
【0095】
1H NMR (CDCl3, 500MHz) δ 7.29-7.26(2H,m,(n)), 7.21-7.12(5H : 2H,,m,(m) , 1H,m,(l) , 1H,m,(k) , 1H,m,(j)), 7.06(1H,dd,(i)), 7.00-6.97(2H : 1H,m,(h) , 1H,m,(g)), 6.64(1H,d,(f)), 6.44(1H,d,(e)), 3.95-3.92(2H,m,(d)), 3.91(2H,s,(c)), 2.81(2H,t,(b)), 2.14-2.09(2H,m,(a))
13C NMR (CDCl3, 500MHz) δ 156.8, 152.3, 151.4, 141.1, 129.3, 128.44, 128.40, 127.5, 127.3, 125.9, 122.8, 120.0, 116.3, 109.4, 108.7, 104.8, 67.0, 32.2, 30.7, 22.5
【0096】
(合成例2:1−(2−エチルヘキシルオキシ)−9H−キサンテン(4−1)の合成例)
9H−キサンテン−1−オール4.1とトルエン82.1g、40%水酸化カリウム水溶液2.5gをガラス製反応容器に仕込み、15分程度で還流温度まで昇温した。還流温度で2時間30分共沸脱水し、水分を除去した。単蒸留により、トルエンを除去し、N,N−ジメチルスルホキシド16.1gを加え、さらに1−ブロモ−2−エチルヘキサン4.07gをトルエン5.24gに溶解させた液を、79〜83℃で25分かけて滴下した。その後、同温度にて2時間保温した。
反応後、室温まで冷却し、濾過した。ケーキをN,N−ジメチルスルホキシド10.9gにて洗浄し、減圧下にて濃縮した後、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製することで、1−(2−エチルヘキシルオキシ)−9H−キサンテン(式(4−1)で表される化合物) 4.11g(収率73.2%)を得た。HNMR及び13CNMRの結果を次に示す。
【0097】
1H NMR (CDCl3, 500MHz) δ 7.17-7.12(2H : 1H,m,(o) , 1H,m,(n)), 7.10-7.07(1H,m,(m)), 6.99-6.96(2H : 1H,m,(l) , 1H,m,(k)), 6.63(1H,d,(j)), 6.50(1H,d,(i)), 3.92(2H,s,(h)), 3.84(2H,d,(g)), 1.76-1.71(1H,m,(f)) , 1.56-1.36(4H : 2H,m,(e) , 2H,m,(d)),1.34-1.30(2H,m,( c)),0.95-0.86(6H : 3H,m,(b) , 3H,m,(a))
13C NMR(CDCl3, 500MHz) δ 157.1, 152.3, 151.4, 129.3, 127.4, 127.3, 122.8, 120.1, 116.3, 109.4, 108.5, 104.7, 70.4, 39.5, 30.7, 29.1, 24.1, 23.1, 22.6, 14.1, 11.2
【0098】
(蒸散性評価)
本発明の熱可塑性ポリマー組成物からの蒸散物の量の評価(以下、蒸散性評価と記すことがある)は該組成物に含まれるキサンテン誘導体(1)について、該誘導体のみを250℃まで昇温するまでに減量した割合(以下、熱減量率と記すことがある)によって評価した。具体的には、セイコーインスツルメンツ社製の示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA 6200R)にキサンテン誘導体(1)を用いて、昇温測度20℃/分、雰囲気ガス窒素300ml/分の流通下に置き、キサンテン誘導体(1)が減少した割合を重量百分率で求めた。実施例1として、前記合成例1で得られた1−(3−フェニルプロポキシ)−9H−キサンテン(6−1)、実施例2としては、前記合成例2で得られた1−(2−エチルヘキサノイル)−9H−キサンテン(4−1)、比較例1としてはキサンテンを用い、熱減量率を表1に示した。
【0099】
表1から、キサンテン(比較例1)では250℃に昇温するまでに50重量%のキサンテンが減量してしまうが、本発明のキサンテン誘導体(1)はほとんど減量しなかった。
【0100】
【表1】

【0101】
(熱安定性評価)
スチレン−ブタジエンブロック共重合体〔BASF社製Styrolux〕100重量部に、キサンテン誘導体(1)を0.3重量部をドライブレンドした後、30mmφの一軸押出機を用いて200℃で押出成形して、ペレットを作製した。150℃で1時間の熱処理を行い、その後、精秤した該ペレット約0.5gを250mlのシクロヘキサン中に24時間放置して溶解させ、120メッシュの金網用いてろ過し、続いて、金網を乾燥してその残渣分をゲルとし、用いた試料に対する重量百分率で測定した。
実施例1として、前記合成例1で得られた1−(3−フェニルプロピルオキシ)−9H−キサンテン(6−1)、実施例2として、前記合成例2で得られた1−(2−エチルヘキシルオキシ)−9H−キサンテン(4−1)を用い、ゲル分率を表2に示した。
本発明の熱可塑性ポリマー組成物はゲル分率が1%程度であり、熱安定性に優れる。
【0102】
【表2】

【0103】
(シクロヘキサンへの溶解性)
前記合成例2で得られた1−(2−エチルヘキシルオキシ)−9H−キサンテン(4−1)は、25℃におけるシクロヘキサン100gに対し、60g以上の溶解度を有し、シクロヘキサンへの溶解性に優れる。
一方、キサンテンは、25℃におけるシクロヘキサン100gに対し、10gの溶解度を有し、シクロヘキサンへの溶解性に劣る。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明のキサンテン誘導体は、250℃における蒸散量が少なく、しかも、熱安定性に優れた熱可塑性ポリマー組成物を与えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるキサンテン誘導体。

(式(1)中、Aは、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜24の脂環式炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基には、水酸基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基又はハロゲン原子が結合していてもよく、該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基を構成する炭素原子はヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基又は炭素数2〜4のアシル基を表す。iは0〜3のいずれかの整数を表し、jは0又は1を表し、kは0〜4のいずれかの整数を表す。)
【請求項2】
Aが、炭素数6〜12の脂肪族炭化水素基であることを特徴とする請求項1記載のキサンテン誘導体。
【請求項3】
Aが、2−エチルシクロヘキシル基又は4−フェニルプロピル基であり、i、j及びkがいずれも0であることを特徴とする請求項1記載のキサンテン誘導体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載のキサンテン誘導体と、熱可塑性ポリマーとを含有することを特徴とする熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項5】
熱可塑性ポリマー100重量部に対してキサンテン誘導体を0.001〜5重量部含有することを特徴とする請求項4記載の熱可塑性ポリマー組成物。
【請求項6】
式(1−2)で示されるハロゲン化物と式(1−1)で表わされる化合物とを縮合させる縮合工程を含むことを特徴とする式(1)で表されるキサンテン誘導体の製造方法。

(式中、Aは、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基、炭素数1〜24の脂肪族炭化水素基又は炭素数5〜24の脂環式炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基には、水酸基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基又はハロゲン原子が結合していてもよく、該芳香族炭化水素基、該脂肪族炭化水素基及び該脂環式炭化水素基を構成する炭素原子はヘテロ原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。Xはハロゲン原子を表す。
Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基又は炭素数2〜4のアシル基を表す。iは0〜3のいずれかの整数を表し、jは0又は1を表し、kは0〜4のいずれかの整数を表す。)
【請求項7】
熱可塑性ポリマーを熱安定化させるための請求項1〜3のいずれか記載のキサンテン誘導体の使用。

【公開番号】特開2010−100573(P2010−100573A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274081(P2008−274081)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】