説明

キサンテート類とシクロデキストリン類の会合物およびそれらの使用

本発明は、キサンテート類とシクロデキストリン類の会合物、そこから製造される医薬製剤、ならびにアルツハイマー病、ウイルス病、腫瘍、心血管疾患、および自己免疫疾患、例えばリウマチ、多発性硬化症、円形脱毛症、エリテマトーデス、脳卒中、肺浮腫を処置するための、または放射線防護剤として使用するための、これらの製剤を含有する医薬品に関する。本会合物は、一般式Iのキサンテート(式中、R1は適宜置換されたアリールまたはアルキル残基を表し、R2は金属原子、適宜置換されたアルキル、アルコキシ、アミノもしくはアンモニウム基またはハロゲンを表す)およびシクロデキストリン(この場合、シクロデキストリンは、置換または無置換アルファ-、ベータ-またはガンマ-シクロデキストリンであることができる)を含有する。さらにまた、本発明は、化学合成への前記会合物の使用にも関係する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキサンテート類の会合物およびそれらの使用に関する。本会合物は化学合成および医薬製剤の製造に使用することができる。本製剤は医薬品として適切である。本発明は、アルツハイマー病、ウイルス病、腫瘍、心血管疾患、および自己免疫疾患、例えばリウマチ、多発性硬化症、円形脱毛症、エリテマトーデス、脳卒中、肺浮腫を処置するための、または放射線防護剤として使用するための、これらの製剤を含有する医薬品の使用にも関係する。
【背景技術】
【0002】
キサンテート類と金属、例えば白金、金、銅、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、ビスマス、およびパラジウムとの錯体化合物は、疾患、特に腫瘍疾患を処置するのに適している(非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3)。
【0003】
キサンテート類、特にトリシクロデカン-9イル-キサンテート(D609)は、抗ウイルス活性および抗腫瘍活性を持つ物質であることが、例えば非特許文献4、非特許文献5、および特許文献1から知られている。
【0004】
しかし、非特許文献6によれば、キサンテート類の抗ウイルス性は、酸性媒質中またはイオン性界面活性剤の存在下でしか明白でない。
【0005】
アルツハイマー病のモデルにおけるD609の保護特性は、非特許文献7;非特許文献8、および非特許文献9に記述されている。
【0006】
多発性硬化症モデルにおけるD609の保護効果は非特許文献10に記述されている。
【0007】
非特許文献11によれば、D609は脳卒中の動物モデルにおいて保護効果を示した。
【0008】
D609による肺浮腫からの保護は、非特許文献12において証明された。
【0009】
キサンテート類は化学的に極めて不安定であるため、それらを水性製剤として、特に全身適用において、医薬的に使用することは、安定性の理由から実行することができない。
【0010】
さらにまた、キサンテート類は、その低い安定性ゆえに、化学合成でも、限られた範囲でしか使用することができない。
【特許文献1】米国特許第4,602,037号
【非特許文献1】「Antitumoral activity of a sulphur-containing platinum complex with an acidic pH optimum(酸性pH至適条件を持つ含硫黄白金錯体の抗腫瘍活性)」Amtmann E,Zoller M,Wesch H,Schilling G. Cancer Chemother Pharmacol. 2001 Jun;47(6):461-6.
【非特許文献2】「Synthesis and structure-activity relationship of novel antitumoral platinum xanthate complexes(新規抗腫瘍性白金キサンテート錯体の合成および構造活性相関)」Friebolin W.,Schilling G.,Zoller M.,Amtmann E.,J. Med. Chem. 2004 Apr 22;47(9):2256-63.
【非特許文献3】「Antitumoral activity of non-platinum xanthate complexes(非白金キサンテート錯体の抗腫瘍活性)」Friebolin W,Schilling G,Zoller M,Amtmann E. J Med Chem. 2005 Dec 15;48(25):7925-31。
【非特許文献4】「DNA and RNA virus species are inhibited by xanthates,a class of antiviral compounds with unique properties(DNAおよびRNAウイルス種は、ユニークな性質を持つ一群の抗ウイルス化合物であるキサンテート類によって阻害される)」Sauer G.,Amtmann E.,Melber K.,Knapp A.,Muller K.,Hummel K.,Scherm A.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1984 Jun;81(11):3263-7
【非特許文献5】Amtmann E.,Sauer G.による「Selective killing of tumor cells by xanthates(キサンテート類による腫瘍細胞の選択的死滅)」Cancer Lett. 1987 Jun;35(3):237-44
【非特許文献6】「Synergistic antiviral effect of xanthates and ionic detergents(キサンテート類とイオン性界面活性剤の相乗的抗ウイルス効果)」Amtmann E.,Muller-Decker K.,Hoss A.,Schalasta G.,Doppler C.,Sauer G.,Biochem. Pharmacol. 1987 May 1;36(9):1545-9
【非特許文献7】Mohmmad Abdul H.,Butterfield DA.による「Protection against amyloid beta-peptide (1-42)-induced loss of phospholipid asymmetry in synaptosomal membranes by tricyclodecan-9-xanthate (D609) and ferulic acid ethyl ester: implications for Alzheimer's disease(アミロイドベータペプチド(1-42)が誘発するシナプトソーム膜におけるリン脂質非対称性の喪失からの、トリシクロデカン-9-キサンテート(D609)およびフェルラ酸エチルエステルによる保護;アルツハイマー病との関連)」Biochim. Biophys. Acta. 2005 Jun 30;1741(1-2):140-8
【非特許文献8】「In vivo protection of synaptosomes from oxidative stress mediated by Fe2+/H2O2 or 2,2-azobis-(2-amidinopropane) dihydrochloride by the glutathione mimetic tricyclodecan-9-yl-xanthate(グルタチオンを模倣したトリシクロデカン-9-イル-キサンテートによる、Fe2+/H2O2または2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドが媒介する酸化ストレスからの、シナプトソームのインビボ保護)」Joshi G,Sultana R,Perluigi M,Allan Butterfield D. Free Radic Biol Med. 2005 Apr 15;38(8):1023-31
【非特許文献9】「Protective effect of the xanthate, D609, on Alzheimer's amyloid beta-peptide (1-42)-induced oxidative stress in primary neuronal cells(一次ニューロン細胞におけるアルツハイマーのアミロイドベータペプチド(1-42)誘発性酸化ストレスに対するキサンテートD609の保護効果)」Sultana R,Newman S,Mohmmad-Abdul H,Keller JN,Butterfield DA. Free Radic Res. 2004 May;38(5):449-58
【非特許文献10】「Prevention of experimental allergic encephalomyelitis by targeting nitric oxide and peroxynitrite: implications for the treatment of multiple sclerosis(一酸化炭素およびペルオキシナイトライトのターゲティングによる実験的アレルギー性脳脊髄炎の予防:多発性硬化症の処置との関連)」Hooper DC.,Bagasra O.,Marini J.C.,Zborek A.,Ohnishi S.T.,Kean R.,Champion J.M.,Sarker A.B.,Bobroski L.,Farber J.L.,Akaike T.,Maeda H.,Koprowski H.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1997 Mar 18;94(6):2528-33
【非特許文献11】「Pivotal role for acidic sphingomyelinase in cerebral ischemia-induced ceramide and cytokine production, and neuronal apoptosis(脳虚血が誘発するセラミドおよびサイトカイン産生ならびにニューロンアポトーシスにおける酸性スフィンゴミエリナーゼの中枢的役割)」Yu Z.F.,Nikolova-Karakashian M.,Zhou D.,Cheng G.,Schuchman E.H.,Mattson M.P.,J.Mol. Neurosci. 2000 Oct;15(2):85-97
【非特許文献12】「PAF-mediated pulmonary edema: a new role for acid sphingomyelinase and ceramide(PAFが媒介する肺浮腫:スフィンゴミエリナーゼおよびセラミドの新しい役割)」Goggel R.,Winoto-Morbach S.,Vielhaber G.,Imai Y.,Lindner K.,Brade L.,Brade H.,Ehlers S.,Slutsky A.S.,Schutze S.,Gulbins E.,Uhlig S.,Nat. Med. 2004 Feb;10(2):155-60
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
D609などのキサンテート類は顕著な刺激性および溶血性も示す。そのため、全身適用、特に静脈内適用は、著しく制限されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、一定のシクロデキストリン類を含む会合物が、水存在下でのキサンテート類の安定性を大きく改善しうることを見出した。また、驚くべきことに、静脈内適用後の一定のキサンテート類の溶血性および毒性が低下することも、明らかになった。
【0013】
したがって、驚くべきことに、本発明の会合物は、水存在下でのキサンテート類の不安定性という課題に対する解決策になる。さらにまた、医薬的忍容性が明らかに改善され、全身適用が可能になる。
【0014】
したがって、要すれば水存在下でのキサンテートの安定性(ただしこれに限るわけではない)を保証する、キサンテートおよびシクロデキストリンを含有する会合物および/または医薬製剤が提供されるので、本発明は上述の課題を解決する。本製剤は、要すれば、キサンテートの活性を増強する佐剤、および/またはキサンテートおよび活性増強佐剤の刺激効果を低減する乳化剤を含有することができる。
【0015】
本製剤は、シクロデキストリンと、一般式Iのキサンテートとの会合物を含有する:
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、R1は、置換されていてもよいアリールまたはアルキル残基を表す)。
【0018】
好ましくは、R1は、アダマンチル、ノルボルニル、トリシクロデシル、ベンジル、線状または分岐C1-C20アルキル、C3-C20シクロアルキル、フリル、ピリジル、アントラシル、ナフチル、フェナントリル、ペリナフチルまたはキヌクリジニル残基を表し、前記線状または分岐C1-C20アルキル残基は、ヒドロキシル、C1-C4アルコキシ基、ハロゲン原子またはアミノ基で置換されていてもよく、前記C3-C20シクロアルキル残基は、ヒドロキシル、C1-C4アルコキシまたはC1-C4アルキル基、ハロゲン原子またはアミノ基で置換されていてもよい。指定した化合物が複数の立体異性体、エナンチオマーおよび/または互変異性体として存在しうる限り、本発明は、全ての立体異性体、エナンチオマーおよび/または互変異性体に関する。
【0019】
R1は、シクロドデシル、ドデシル、ウンデシル、デシル、トリシクロ[5,2,1,02,6]-デシル、ノニル、オクチル、ビシクロ[2,2,1]-ヘプチル、シクロヘキシル、ヘキシル、ペンチル、ブチル、プロピル、イソプロピル、エチル、メチル、およびトルオイル残基であることが、とりわけ有利である。トリシクロ[5,2,1,02,6]-デシル残基、特にそのexo/exo立体異性体は、より一層有利である。
【0020】
R2は、金属原子、適宜置換されたアルキル、アルコキシ、アミノもしくはアンモニウム基またはハロゲンを表す。R2は、好ましくは、一価もしくは多価金属原子、線状C1-C6アルキル残基、ヒドロキシ置換C1-C6アルキル残基、C1-C6アルコキシ残基、アミノ基、C1-C6アルカミノ残基、(C1-C6アルキル)2-アミノ残基、(C1-C6アルキル)3-アンモニウム残基、ハロゲン、2,3-ジヒドロキシプロピルまたはヒドロキシ-(C1-C6アルコキシ)-メチルを表す。ナトリウム塩およびカリウム塩ならびにジメチルグリシルエステルおよびメチルエステルは、とりわけ有利である。
【0021】
例えばR2が切断除去されうる基であるようなキサンテートプロドラッグは適切である。プロドラッグは、体内に吸収されてから、通常は酵素反応によって、活性成分に変換される。適切な切断可能R2基は、特に、例えば-C-O-COR'(式中、R'はC1-C10アルキル残基を表す)などのエステル基を持つ残基である。メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびペンチル、特にメチル、エチル、i-プロピル、n-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチルは、R'残基としてとりわけ好ましい。
【0022】
シクロデキストリンは、細菌によるデンプンの分解中に生成するα-1-4結合したグルコース分子の環である。α-、β-およびγ-シクロデキストリンと呼ばれる6員、7員または8員環は、数多くの方法で置換することができる。本発明によれば、無置換シクロデキストリンと置換シクロデキストリンはどちらも、単独でも二つ以上の組み合わせでも、適切である。
【0023】
とりわけ好ましいのは、アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:10016-20-3)、アルファ-シクロデキストリンホスフェートナトリウム塩(CAS番号:199684-60-1)、アルファ-シクロデキストリン,硫酸化ナトリウム塩水和物(CAS番号:699020-02-5)、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-アルファ-シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-アルファ-シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-オクチル)-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:140395-31-9)、ヘキサキス-6-ブロモ-6-デオキシ-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:53784-82-0)、ヘキサキス-6-ヨード-6-デオキシ-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:131105-41-4)、ヘキサキス(6-O-tertブチルジメチルシリル)-アルファ-シクロデキストリン、ブチルアルファ-シクロデキストリン、スクシニル-アルファ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-33-3)、ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:7585-39-9)、ベータ-シクロデキストリン水和物(CAS番号:68168-23-0)、ベータ-シクロデキストリンホスフェートナトリウム塩(CAS番号:199684-61-2)、ベータ-シクロデキストリンサルフェート、ベータ-シクロデキストリン,硫酸化ナトリウム塩(CAS番号:37191-69-8)、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:94035-02-6)、6-モノデオキシ-6-モノアミノ-ベータ-シクロデキストリン、6-O-アルファ-D-グルコシル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:92517-02-7)、6-O-アルファ-マルトシル-ベータ-シクロデキストリン水和物(CAS番号:104723-60-6)、ヘプタキス-6-アジド-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3-ジ-O-アセチル-6-O-スルホ)-ベータ-シクロデキストリン七ナトリウム塩(CAS番号:196398-66-0)、ヘプタキス-(2,3-ジ-O-メチル6-O-スルホ)-ベータ-シクロデキストリン七ナトリウム塩(CAS番号:201346-23-8)、ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:51166-71-3)、ヘプタキス-(2,6-ジ-O-エチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:111689-03-3)、ヘプタキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:55216-11-0)、ヘプタキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス-(2,3,6-トリ-O-ベンゾイル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:23666-43-5)、ヘプタキス-(2,3,6-トリ-O-エチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:111689-01-1)、ヘプタキス-6-ヨード-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:30754-23-5)、ヘプタキス-6-(ジメチル-tert-ブチルシリル)-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス-6-ブロモ-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン、モノアセチル-ベータ-シクロデキストリン、ジアセチル-ベータ-シクロデキストリン、トリアセチル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:23739-88-0)、ヘプタキス(3-O-アセチル-2,6-ジ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:131889-29-7)、ヘプタキス-(6-O-マルトシル)-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス(6-O-スルホ)-ベータ-シクロデキストリン七ナトリウム塩(CAS番号:197587-31-8)、ヘプタキス(6-O-t-ブチルジメチルシリル-2,3-ジ-O-アセチル)-ベータ-シクロデキストリン、スクシニル-(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリン、(2,6-ジ-O-)エチル-ベータ-シクロデキストリン、(2-カルボキシエチル)-ベータ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシエチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-32-2)、(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-35-5)、ブチル-ベータ-シクロデキストリン、メチル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-36-6)、シリル((6-O-tert-ブチルジメチル)-2,3,-ジ-O-アセチル)-ベータ-シクロデキストリン、スクシニル-ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:17465-86-0)、ガンマ-シクロデキストリン水和物(CAS番号:91464-90-3)、ガンマ-シクロデキストリンホスフェートナトリウム塩(CAS番号:199684-62-3)、スルホプロピル-ベータ-シクロデキストリン、カルボキシメチル-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス(2,6-ジ-O-ペンチル)-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス-6-(ジメチル-tert-ブチルシリル)-6-デオキシ-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス-6-ブロモ-6-デオキシ-ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:53784-84-2)、オクタキス-6-ヨード-6-デオキシ-ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:168296-33-1)、オクタキス(6-O-t-ブチルジメチルシリル)-ガンマ-シクロデキストリン、スクシニル-ガンマ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-34-4)、アセチル-ガンマ-シクロデキストリン、ブチル-ガンマ-シクロデキストリンおよび指定したシクロデキストリン類の二つ以上の混合物である。
【0024】
ベータ-シクロデキストリン類、特にヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンおよびメチル-ベータ-シクロデキストリンは、より一層よく適している。
【0025】
活性増強佐剤は、好ましくは、イオン性界面活性剤である。これは、6〜19個のC原子を持つ脂肪酸またはその塩であることができる。デカン酸、ウンデカン酸またはラウリン酸のカリウム塩は、とりわけ有利である。活性増強佐剤は、C原子数8〜18の脂肪族残基を持つサルフェートであることもできる。Na-ラウリン酸サルフェートはとりわけ好ましい。佐剤に関する他の選択肢は、デオキシコール酸もしくは医薬的に忍容できるその塩、またはホスホン酸である。
【0026】
キサンテート1部につき0.1〜10部の活性増強佐剤を含有する製剤は、よく適していることが判明している。1:1というキサンテート対活性増強佐剤の比は、とりわけ有利である。
【0027】
好ましくは、刺激効果低減乳化剤はステロイドである。コレステロール、コレスタノール、コラン酸、コンドリラステロール、およびα、β、γシステロール(Sisterol)は適切である。コレステロールはとりわけ有利である。リン脂質、特にホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトールまたはステアリルアミンも、刺激効果低減乳化剤として適切である。
【0028】
刺激効果低減乳化剤がコレステロールであり、活性増強佐剤がデカン酸のNaまたはK塩であり、シクロデキストリンがヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンまたはメチル-ベータ-シクロデキストリンであり、かつキサンテートがトリシクロ[5,2,1,02,6]-9イル-キサンテートである製剤は、とりわけ好ましい。特に、キサンテート1部につき、1部のデカン酸カリウム塩、4部のコレステロール、および3〜20部のシクロデキストリンが存在する。
【0029】
もう一つのとりわけ好ましい製剤は、トリシクロ[5,2,1,02,6]-9イル-キサンテートおよびメチル-ベータ-シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含有し、この場合、好ましくは、キサンテート1部につき3〜20部のシクロデキストリンが存在する。
【0030】
さらにまた、本発明は、アルツハイマー病、ウイルス病、腫瘍、心血管疾患、および自己免疫疾患、例えばリウマチ、多発性硬化症、円形脱毛症、エリテマトーデス、脳卒中、肺浮腫を処置するための、または放射線防護剤として使用するための、医薬品を提供する。これらの薬剤は医薬的に活性なキサンテートをプロドラッグの形で含有することも同様に可能である。また、本薬剤は一般的賦形剤を含有する。他の活性成分も、それらがキサンテート類の効果にも安定性にも有害な影響を与えないのであれば、含有されていてよい。
【0031】
本薬剤は、乾燥物質、凍結乾燥物、溶液、懸濁液、エマルション、軟膏、クリーム、ローションまたはスプレーの形態で提供することができる。好ましい投与形式は、例えば錠剤、チンキ剤、注射用溶液剤、ローション剤、スプレー剤、ジュース剤、そして特に軟膏であり、その場合は、親油性物質または他の任意の適切な非水性または水性製剤基剤を、軟膏の基剤として使用することができる。
【0032】
本発明の医薬製剤および薬剤は、アルツハイマー病、ウイルス病、腫瘍、心血管疾患、および自己免疫疾患、例えばリウマチ、多発性硬化症、円形脱毛症、エリテマトーデス、脳卒中、肺浮腫の処置に、または放射線防護剤としての使用に、適している。
【0033】
また、本発明のシクロデキストリン-キサンテート会合物は、化学合成にも使用することができる。したがって、例えばキサンテート化合物、特に金属錯体を製造するために、キサンテートを可溶性のシクロデキストリンまたは固形担体に結合されたシクロデキストリンと会合させることができる。シクロデキストリン-キサンテート会合物は、特に、一般式X-Z-Yの金属錯体(この場合、XとYの両方、ならびにXのみまたはYのみが、キサンテート残基を表す)を製造するのに適している。XとYは同じであっても異なってもよい。Zは、キサンテート類との錯体を形成することができる金属、例えば白金、銅、金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、ビスマス、およびパラジウムを表す。非対称錯体(XがYとは異なる)の製造は、担体材料に結合されたシクロデキストリンを、まずキサンテートと、次に金属と、次にもう一つのキサンテートまたは金属錯体を形成することができる他の分子、例えばジチオカルバメート、アミンまたはジアミンなどと、逐次的に反応させることによって達成することができる。
【0034】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく例示するが、それらは本発明を限定するものではない。別段の指定がない限り、本発明における部および%指定は、重量に基づく。
【実施例】
【0035】
<実施例1>
60℃におけるメチル-ベータ-シクロデキストリンによるさまざまなキサンテートの安定化
水にそれぞれ10mg/mlのメチルキサンテート、プロピルキサンテート、ブチルキサンテート、ヘプチルキサンテート、ヘキシルキサンテート、デシルキサンテート、イソプロピルキサンテート、またはトリシクロ[5,2,1,02,6]-デシルキサンテート(D609)を含有する溶液を、100mg/mlのメチル-ベータ-シクロデキストリンの存在下または非存在下、60℃で24時間インキュベートした。水性媒質中のキサンテート類は対応するアルコール、CS2、およびキサンテート塩のタイプに依存して、KOHまたはNaOHに分解する。したがってキサンテート類の分解は、pH値を測定し、検量線を用いることによって、定量的に検出することができる。測定の結果を表1に要約する。いずれの場合も、シクロデキストリンの存在下では分解が著しく少なかった。
【0036】
【表1】

【0037】
<実施例2>
室温におけるヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンによるexo/exo D609の安定化
水に10mg/mlのexo/exo D609を含有する溶液を、100mg/mlのメチル-ベータ-シクロデキストリンの存在下または非存在下、室温でインキュベートした。キサンテートD609は、水溶液中で分解して、トリシクロデカノール、CS2、およびKOHを形成する。したがってD609の分解は、pH値を測定し、検量線を用いることによって、定量的に検出することができる。個々の溶液のpH値を、PANPEHA試験紙(Schleicher & Schuell)を使って、45日後に決定した。純水にD609を含有する溶液は12.5というpH値を持っていた。これは完全な分解に相当する。シクロデキストリンを含有する溶液のpH値は7.0と測定された。これは<0.1%の分解に相当する。したがって、シクロデキストリンの存在下では、分解速度が1000分の1以下である。
【0038】
<実施例3>
60℃において異なるシクロデキストリンがD609に及ぼす安定化効果
さまざまなシクロデキストリンを含有する溶液(100mg/ml)に、exo/exo D609を溶解した(10mg/ml)。試料を60℃で8日間インキュベートした。各試料10μlを水90μlで希釈し、100μlの酢酸エチル/3mg/ml p-ブロモアセトフェノンを加えた。30分間振とうした後、各酢酸エチル相5μlをRP-18薄層プレートにのせ、そのプレートを、移動相としてアセトニトリルを含有しているTLCチャンバーに15分間入れた。新たに調製した9mg/ml D609の溶液+95℃で48時間インキュベートしておいた1mg/mlのD609溶液(分解対照)を、較正用試料として使用した。D609特異的なスポットをUV光下で可視化し、写真撮影した。図1から明らかなように、さまざまなシクロデキストリンが、分解に対して異なる保護効果を示す。メチル-ベータ-シクロデキストリンは格段に有効である。ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン類の中では、MS 0.8の置換率を持つHP-ベータ-シクロデキストリンが最も有効だった。
【0039】
<実施例4>
シクロデキストリンによる静脈内適用後のD609の毒性の低下
D609のexo/exo異性体またはヘキシルキサンテートを、0.9%NaClまたは0.9%NaCl/30%ヒドロキシ-ベータ-シクロデキストリンに、30mg/mlの濃度で溶解した。次に、0.9%NaCl溶液を使って、D609またはヘキシルキサンテートの濃度が30、20、10、および5mg/mlになるように、希釈液を調製した。3匹の雌Balb Cマウスのそれぞれに、0.2ml/20g体重の各溶液を、外側尾静脈に注射した。動物を注射後48時間監視し、生存を記録した。結果を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
高D609用量では、生き残る動物の数が、シクロデキストリンによって、明らかに増加する。D609単独でのLD50は75mg/kgであることがわかったのに対して、シクロデキストリンの存在下ではLD50が250mg/kgだった。ヘキシルキサンテートのLD50は、シクロデキストリンの存在下でも非存在下でも、130mg/kgだった。
【0042】
<実施例5>
キサンテート類の溶血効果の阻害
雌Balb Cマウスから眼窩後穿刺によって静脈血を採取し、その血液にヘパリンを加えた。次に、リン酸緩衝食塩水を使って血液を1:75に希釈した。メチルキサンテート、ブチルキサンテート、およびヘキシルキサンテート、ならびにexo/exo D609を、リン酸緩衝食塩水に溶解した(原液10mg/ml)。希釈した血液100μlと希釈したキサンテート100μlをそれぞれ96穴マイクロタイタープレートに入れて、キサンテートの最終濃度を2、1、0.5、0.25、0.125、0.063、および0.031mg/mlにした。食塩水を対照にした。室温で30分間インキュベートした後、5,000gで5分間の遠心分離を行い、上清を取り出した。ELISAリーダーを使って450nmにおける上清の吸光(OD450)を測定した。用量反応曲線(図2および3)を使って、最大吸光の50%に到達する濃度、したがって赤血球の50%が溶解される濃度(IC50)を決定した。メチルキサンテートおよびブチルキサンテートの場合、シクロデキストリンの存在下および非存在下に関する用量反応曲線は、著しい相違を示さない。これに対し、ヘキシルキサンテートおよびD609の溶血効果は、シクロデキストリンの存在下で、著しく低下した。完全な溶血は、シクロデキストリンの存在下でも非存在下でも、1mg/mlのメチルキサンテートおよびブチルキサンテートで達成された。ヘキシルキサンテートおよびD609は、単独では、それぞれ0.5mg/mlの濃度で、完全に溶血性だった。シクロデキストリンの存在下では、それぞれ1.0および2.0mg/mlでのみ、この効果が存在した。シクロデキストリン非存在下での50%溶血(IC50)は、0.6mg/mlメチルキサンテート、0.8mg/mlブチルキサンテート、0.3mg/mlヘキシルキサンテート、および0.125mg/ml D609であることがわかった。シクロデキストリンの存在下で見出された対応する値は、それぞれ0.65、0.65、0.75、および0.8mg/mlだった。したがってメチルキサンテートおよびブチルキサンテートの溶血効果に対する影響は何もなかった。これに対して、ヘキシルキサンテートおよびD609の場合は、それぞれ2.5倍および6.4倍というIC50の明確な上昇が見出された。
【0043】
<実施例6>
ベータ-ヒドロキシシクロデキストリンとD609の会合物の抗ウイルス効力
D-MEM培地(10%ウシ胎仔血清を補足したもの)中のヒト肺癌細胞(Calu-6)を24穴プレート(Greiner)に播種した(それぞれ3×106細胞/プレート)。5%CO2雰囲気下、37℃で24時間インキュベートした後、培地を傾瀉し、ウイルス懸濁液(HSV-1、Angelotti株、200プラーク形成単位/ml)0.1mlを加えた。37℃で1時間インキュベートした後、D609(exo/exo異性体)またはD609とベータ-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン(b-HP)(Sigma、ミュンヘン、No.33,260-7)の混合物を含有する新鮮な培地(DMEM、10%血清、0.85g NaHCO3/l)を加えた。
【0044】
以下の濃度を設定した:
D609:0、10、20、30μg/ml
D609/b-HP,1:1:0、10/10、20/20、30/30μg/ml
D609/b-HP,1:2:0、10/20、20/40、30/60μg/ml
72時間後に、培地を傾瀉し、プレートを3%ホルマリンで固定し、0.5%クリスタルバイオレットで染色した。プレートを乾燥した後、1ウェルあたりのプラーク数を決定し、平均±標準偏差を算出した。その結果(用量反応曲線)を図4にプロットする。D609/b-HP,1:1およびD609/b-HP,1:2の用量反応曲線は、D609単独の反応曲線と著しくは相違しない。したがってベータ-ヒドロキシプロピル-シクロデキストリンはD609の抗ウイルス活性に対して何の影響を持たない。
【0045】
<実施例7>
クリーム剤の製造
5gのexo/exo D609、50gのヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、3.5gの1,2-プロパンジオール、4.5gのパラフィン油、1.5gのセチルジメチコンコポリオール、0.5gのトリヒドロキシステアレート、および100gに達する量の精製水を混合し、シリンダーミルまたは類似の装置を使ってホモジナイズした。このクリーム剤は局所外用に適している。
【0046】
<実施例8>
注射用溶液剤の製造
100mgのexo/exo D609、1gのヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、および90mgのNaClを混合し、精製水を加えて最終体積を10mlに調節した。この注射用溶液剤はすぐに使用することができ、何の問題もなく長期間にわたって貯蔵することができる。
【0047】
<実施例7>
カプセル剤の製造
50mgのexo/exo D609および500mgのメチル-ベータ-シクロデキストリンを混合し、胃液耐性になるようにコーティングされた硬ゼラチンカプセルに充てんした。このカプセル剤は経口適用に適している。
【0048】
<実施例8>
錠剤の製造
36mgのexo/exo D609、364mgのヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン、200mgの微結晶セルロース、20mgのカルボキシメチル-デンプンNaタイプA、および30mgのタルクを混合し、圧縮して錠剤を形成させた。次に、その錠剤を胃液耐性薄膜形成剤でコーティングする。この錠剤は経口適用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、D609特異的なスポットをUV光下で可視化し、写真撮影したものを示す。
【図2】図2は、用量反応曲線を示す。
【図3】図3は、用量反応曲線を示す。
【図4】図4は、1ウェルあたりのプラーク数を決定し、平均±標準偏差を算出した結果(用量反応曲線)をプロットしたものを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのキサンテート:
【化1】

(式中、R1は置換されていてもよいアリールまたはアルキル残基を表し、R2は金属原子、置換されていてもよいアルキル、アルコキシ、アミノもしくはアンモニウム基またはハロゲンを表す)と、シクロデキストリンとを含有する会合物。
【請求項2】
シクロデキストリンがアルファ-シクロデキストリン(CAS番号:10016-20-3)、アルファ-シクロデキストリンホスフェートナトリウム塩(CAS番号:199684-60-1)、アルファ-シクロデキストリン,硫酸化ナトリウム塩水和物(CAS番号:699020-02-5)、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-アルファ-シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-アルファ-シクロデキストリン、ヘキサキス(2,3,6-トリ-O-オクチル)-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:140395-31-9)、ヘキサキス-6-ブロモ-6-デオキシ-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:53784-82-0)、ヘキサキス-6-ヨード-6-デオキシ-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:131105-41-4)、ヘキサキス(6-O-tertブチル-ジメチルシリル)-アルファ-シクロデキストリン、ブチル-アルファ-シクロデキストリン、スクシニル-アルファ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-アルファ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-33-3)、ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:7585-39-9)、ベータ-シクロデキストリン水和物(CAS番号:68168-23-0)、ベータ-シクロデキストリンホスフェートナトリウム塩(CAS番号:199684-61-2)、ベータ-シクロデキストリンサルフェート、ベータ-シクロデキストリン,硫酸化ナトリウム塩(CAS番号:37191-69-8)、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:94035-02-6)、6-モノデオキシ-6-モノアミノ-ベータ-シクロデキストリン、6-O-アルファ-D-グルコシル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:92517-02-7)、6-O-アルファ-マルトシル-ベータ-シクロデキストリン水和物(CAS番号:104723-60-6)、ヘプタキス-6-アジド-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス(2,3-ジ-O-アセチル-6-O-スルホ)-ベータ-シクロデキストリン七ナトリウム塩(CAS番号:196398-66-0)、ヘプタキス-(2,3-ジ-O-メチル-6-O-スルホ)-ベータ-シクロデキストリン七ナトリウム塩(CAS番号:201346-23-8)、ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:51166-71-3)、ヘプタキス-(2,6-ジ-O-エチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:111689-03-3)、ヘプタキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:55216-11-0)、ヘプタキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス-(2,3,6-トリ-O-ベンゾイル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:23666-43-5)、ヘプタキス-(2,3,6-トリ-O-エチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:111689-01-1)、ヘプタキス-6-ヨード-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:30754-23-5)、ヘプタキス-6-(ジメチル-tert-ブチルシリル)-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス-6-ブロモ-6-デオキシ-ベータ-シクロデキストリン、モノアセチル-ベータ-シクロデキストリン、ジアセチル-ベータ-シクロデキストリン、トリアセチル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:23739-88-0)、ヘプタキス(3-O-アセチル-2,6-ジ-O-メチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:131889-29-7)、ヘプタキス-(6-O-マルトシル)-ベータ-シクロデキストリン、ヘプタキス(6-O-スルホ)-ベータ-シクロデキストリン七ナトリウム塩(CAS番号:197587-31-8)、ヘプタキス(6-O-t-ブチルジメチルシリル-2,3-ジ-O-アセチル)-ベータ-シクロデキストリン、スクシニル-(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリン、(2,6-ジ-O-)エチル-ベータ-シクロデキストリン、(2-カルボキシエチル)-ベータ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシエチル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-32-2)、(2-ヒドロキシプロピル)-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-35-5)、ブチル-ベータ-シクロデキストリン、メチル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-36-6)、シリル((6-O-tert-ブチルジメチル)-2,3,-ジ-O-アセチル)-ベータ-シクロデキストリン、スクシニル-ベータ-シクロデキストリン、ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:17465-86-0)、ガンマ-シクロデキストリン水和物(CAS番号:91464-90-3)、ガンマ-シクロデキストリンホスフェートナトリウム塩(CAS番号:199684-62-3)、スルホプロピル-ベータ-シクロデキストリン、カルボキシメチル-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6-トリ-O-アセチル)-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス(2,3,6-トリ-O-メチル)-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス(2,6-ジ-O-ペンチル)-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス-6-(ジメチル-tert-ブチルシリル)-6-デオキシ-ガンマ-シクロデキストリン、オクタキス-6-ブロモ-6-デオキシ-ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:53784-84-2)、オクタキス-6-ヨード-6-デオキシ-ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:168296-33-1)、オクタキス(6-O-t-ブチルジメチルシリル)-ガンマ-シクロデキストリン、スクシニル-ガンマ-シクロデキストリン、(2-ヒドロキシプロピル)-ガンマ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-34-4)、アセチル-ガンマ-シクロデキストリン、ブチル-ガンマ-シクロデキストリンおよびその混合物から選択される、請求項1に記載の会合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の会合物を含有する医薬製剤。
【請求項4】
キサンテートの活性を増強する佐剤および/または乳化剤を含有する、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項5】
R1がシクロドデシル、ドデシル、ウンデシル、デシル、トリシクロ[5,2,1,02,6]-デシル、ノニル、オクチル、ビシクロ[2,2,1]-ヘプチル、シクロヘキシル、ヘキシルまたはトルオイル残基であることを特徴とする、請求項3または4に記載の医薬製剤。
【請求項6】
R2が切断可能基であることを特徴とする、請求項3〜5の少なくとも一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
R2がナトリウムもしくはカリウム原子またはジメチルグリシルエステルもしくはメチルエステル基であることを特徴とする、請求項3〜5の少なくとも一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
乳化剤がステロイドまたはリン脂質であることを特徴とする、請求項3〜7の少なくとも一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
乳化剤がコレステロールまたはホスファチジルコリンであることを特徴とする、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
キサンテート1部につき1〜10部、好ましくは2〜4部の乳化剤を含有することを特徴とする、請求項7または8に記載の医薬製剤。
【請求項11】
佐剤としてイオン性界面活性剤、好ましくは6〜19個のC原子を持つ脂肪酸、または8〜18個のC原子を持つアルキルサルフェートを含有することを特徴とする、請求項3〜9の少なくとも一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
佐剤がホスホン酸、デオキシコール酸または医薬的に忍容できるその塩から選択されることを特徴とする、請求項3〜9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
二つ以上のシクロデキストリンを含有することを特徴とする、請求項3〜12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:94035-02-6)および/またはメチル-ベータ-シクロデキストリン(CAS番号:128446-36-6)を含有することを特徴とする、請求項3〜13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
請求項3〜15の少なくとも一項に記載の医薬製剤を含有することを特徴とする、アルツハイマー病、ウイルス病、腫瘍、心血管疾患、および自己免疫疾患、例えばリウマチ、多発性硬化症、円形脱毛症、エリテマトーデス、脳卒中、肺浮腫を処置するための、または放射線防護剤として使用するための医薬品。
【請求項16】
親油性物質、好ましくはワセリン中に医薬製剤を含有する軟膏であることを特徴とする、請求項15に記載の医薬品。
【請求項17】
水性軟膏基剤中に医薬製剤を含有する軟膏であることを特徴とする、請求項15に記載の医薬品。
【請求項18】
溶解用の乾燥、混合または単一物質の形態をした医薬製剤を含有することを特徴とする、請求項15に記載の医薬品。
【請求項19】
化学合成のための、請求項1または2に記載の会合物の使用。
【請求項20】
シクロデキストリンが担体に結合されることを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
キサンテート-金属錯体の合成であることを特徴とする、請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
異なる配位子を持つキサンテート-金属錯体の合成であることを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
金属が白金、金、銅、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、ビスマスまたはパラジウムであることを特徴とする、請求項21または22に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−531343(P2009−531343A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501891(P2009−501891)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002170
【国際公開番号】WO2007/112828
【国際公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(504144828)バイオスフィングス アクチエンゲゼルシャフト (1)
【住所又は居所原語表記】Wilhelm−Leuschner−Str.9−11,D−60329 Frankfurt,Germany
【Fターム(参考)】