説明

キシレン化合物のマルチゾーン製造方法

環状化合物を含む炭化水素原料を転換して芳香族化合物、特にキシレン化合物を製造するためのマルチゾーン方法。71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲を有するナフサ沸点範囲流(16)を改質/トランスアルキル化ゾーン(18)内で改質及び/又はトランスアルキル化して、キシレンの純度が向上したキシレン含有芳香族化合物を多く含有する高オクタン価流(36)を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、炭化水素原料を転換して芳香族化合物、特にキシレン化合物、並びに、低硫黄ディーゼル及び他の炭化水素製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題や新しく制定された規則及び規制によって、販売可能な製品に対して要求される硫黄や窒素等の汚染物質の下限値が益々低下していることは明らかである。最近では、新しい規制によって、ガソリンやディーゼル等の輸送燃料で使用される液体炭化水素から本質的に完全に硫黄を除去することが求められている。
【0003】
さらに、ディーゼル燃料の質の向上に対する要求が高まり、流動接触分解(FCC)装置からの分解軽油(LCO)をディーゼルプールに混合することがさらに困難となっている。セタン価の向上及びディーゼルエンジンからの粒子状物質の排出の低減に対する強い要求によってLCOを混合することが困難となっている、というのは、LCO流は芳香族化合物、ナフタレン類、インダン類及びテトラリン類を多く含有し、それらの物質はすべてセタン価が低く、燃焼時に煤を生成する傾向があるからである。ディーゼルに混合可能なLCOの割合が低下しているため、LCOの残りを重油に混合しなければならず、その結果、重油の価値は実質的に低下する。
【0004】
LCOを使用するための代替手段は、LCOを穏やかに水素化分解して製品の品質を向上させることである。LCOの水素化分解によってセタン価が向上した蒸留流と共に、水素化分解によって通常得られるオクタン価よりも高いオクタン価を有する芳香族化合物を多く含有するガソリン流が生成される。石油化学製品の製造用の製油所の中には、LCO水素化分解装置内で生成される芳香族ガソリンから高価なキシレンの収率を最大にするためにさらなる処理を行うことが望ましい場合もある。
【0005】
重要な各種工業化学製品の原料としての石油からキシレン異性体が大量に生成される。キシレン異性体のうち最も重要なものはパラキシレンである。パラキシレンは、高い基礎需要から高成長し続けているポリエステルの主要な原料である。オルトキシレンは無水フタル酸を生成するために使用され、その市場は大きいが成熟している。メタキシレンは、使用量は多くはないが、可塑剤、アゾ染料及び木材防腐剤(wood preserver)等の製品のための使用は増加している。一般に、エチルベンゼンがキシレン混合物中に存在し、スチレンの製造のために回収される場合もあるが、通常はC8芳香族化合物の望ましくない成分であると考えられている。
【0006】
芳香族炭化水素の中でのキシレンの総合的な重要性は、工業化学製品の原料としてのベンゼンの重要性に匹敵する。キシレンは需要を満たす程に十分な量又は十分な高純度でナフサの分留によって石油から直接回収されないため、キシレンの純度及び収率を向上させるために他の炭化水素の転換が必要である。原油を蒸留して得られるナフサである直留ナフサ原料のために、中間反応器(inter-reactor)の再加熱による非常に過酷な改質を利用して、30〜60%の全環状化合物含有量の大量(例えば、40〜70重量%)のパラフィンを所望のキシレン及び/又はベンゼンに転換する必要がある。さらに、改質ナフサ中に大量の非芳香族化合物が残留しているため、非芳香族化合物を除去し、芳香族化合物をトランスアルキル化してベンゼン及びキシレンに転換するための実質的に後続の処理が必要となる。
【0007】
従来、ナフサからのC7及びC9/C10留分(cut)を含有する非キシレン共沸(co-boiling)原料流のみをトランスアルキル化ゾーンに供給し、ナフサ中にC8留分を含有するキシレン共沸流を、トランスアルキル化ゾーンを迂回して製品キシレン塔に直接供給する場合には、キシレン製品の純度は低下する(すなわち、キシレン含有量が80%未満となる)。
【発明の概要】
【0008】
本方法及び本処理装置では、非キシレン共沸流のみを改質及び/又はトランスアルキル化するのではなく、少なくとも80%の環状化合物、40%未満のナフテン及び20%未満のパラフィンを有しかつ典型的には71℃(160°F)〜216℃(420°F)の範囲で沸騰するキシレン共沸非芳香族化合物流を含む全留分(full cut)水素化分解ナフサ流を改質及び/又はトランスアルキル化する。全留分水素化分解ナフサからのキシレン共沸非芳香族化合物を改質及び/又はトランスアルキル化ゾーンに供給することによっても、より純度の高い(すなわち、純度が少なくとも90%を超える)キシレンが得られ、キシレンの全収率に顕著な影響を与えない。さらに、本方法によって、改質ゾーンを単一反応器に縮小し、パラフィン及びナフテンの含有量が低くかつ芳香族化合物の含有量が高い供給流を分解する(cracking)機能を有するトランスアルキル化ゾーンを改質ゾーンの後に設けてもよい。
【0009】
一側面では、本発明は、穏やかな水素化分解による炭化水素系原料からのキシレンの製造方法であって、該キシレン流の純度が向上し、例え損失が存在したとしても、顕著な収率の損失はほとんどない方法を提供する。この側面では、本方法は、相当量の多重環状芳香族化合物及び環状パラフィンを含有する炭化水素系原料流を得る工程と、該原料流を主分留ゾーンに送り、そこで該流を71℃(160°F)〜216℃(420°F)の範囲で沸騰する少なくともナフサ流と、ガソリンに直接混合するための91℃(195°F)未満又はより好ましくは71℃(160°F)未満で沸騰する軽質ナフサを含んでいてもよい他流とに分離する工程とを含む。また、炭素数が典型的には7個(C7)及び8個(C8)であるC7〜C9炭化水素等の相当量の中間留分炭化水素を含んでなる該ナフサ流はC9芳香族化合物及びナフテンも含んでいてもよい(また、C9及びC10芳香族化合物等の重質留分炭化水素も含んでいてもよい)。
【0010】
該ナフサ流をトランスアルキル化ゾーンに導入し、該流の少なくとも一部をトランスアルキル化条件下でトランスアルキル化触媒と接触させて、キシレンとして回収される液体炭化水素流出物及び水素を含んでなるガス流を生成する。トランスアルキル化後の該回収されたキシレンの量は、該ナフサ流を該トランスアルキル化触媒と接触させる前の該ナフサ流のキシレン含有量よりも多い。別の側面では、該流を該トランスアルキル化ゾーンに供給する前に、該ナフサ流からのキシレン共沸非芳香族化合物を改質ゾーンに導入して該ナフサ流の芳香族炭化水素含有量を増加させてもよい。次いで、キシレン含有量が増加した、該トランスアルキル化ゾーンからの該ナフサ流の留分を、該流を含んでなる他の留分から分離する。
【0011】
この側面では、C7〜C10非芳香族化合物(すなわち、ナフテン)の一部を該改質ゾーン内で芳香族化合物に転換してもよく、残りのC7〜C10非芳香族化合物を該トランスアルキル化ゾーン内で液化石油ガス(LPG)範囲の組成物に分解してもよい。さらに別の側面では、ナフサ流原料は少なくとも75%の環状化合物を有し、該ナフサ流は、沸点が71℃(160°F)〜216℃(420°F)であり、40%未満のナフテンを有する。
【0012】
本方法の一側面では、キシレン共沸留分を有する留分の全収率は、例え減少したとしても、原料からの該選択されたナフサ流の分離及び転換によって顕著に減少することはない。但し、得られたキシレン流の純度は実質的に向上し、いくつかの側面では、約90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上の純度レベルに到達する場合もある。本方法のそのような側面では、C6及びC8芳香族化合物の収率が向上する場合もあり、C7芳香族化合物をトランスアルキル化工程でC9芳香族化合物と反応させてさらなる混合キシレンを生成し、それにより収率及び純度を向上させてもよい。
【0013】
別の側面では、炭化水素系原料を、分留ゾーン内で少なくとも91℃(195°F)未満で沸騰する軽質炭化水素流を含んでなる留分流と、193℃(380°F)を超える温度で沸騰しかつ相当量の超低硫黄ディーゼルを含んでなる炭化水素流を含んでなる留分流とに分離してもよい。場合に応じて、71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲を有する選択されたナフサ流をトランスアルキル化ゾーンの前に改質ゾーンに導入してもよい。この側面では、該ナフサ流を、改質条件下での中間反応器による再加熱なしに単一反応器内で改質触媒と接触させて流出物を生成した後、該トランスアルキル化ゾーンに移動してもよい。さらに別の側面では、ナフサ流のすべて又は一部を、部分的に該改質ゾーンを迂回し、該ナフサ流の一部を該トランスアルキル化ゾーンに直接導入してもよい。該改質ゾーンで生成した水素は該トランスアルキル化流出物から分離される。
【0014】
別の側面では、炭化水素系原料は、それが水素化分解される水素化分解ゾーンで生成されたものであってもよい。該水素化分解ゾーンからの流出物は分離されて、水素を含んでなる流と、71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点を有するナフサ流とを生成する。この場合、このナフサ流は40%未満のナフテンを有し、該流を改質/トランスアルキル化ゾーンに送って純度が向上したキシレン流が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本明細書に記載する方法及び処理装置の好適な態様の簡略プロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載する方法及び処理装置は、炭化水素原料からのキシレンの製造において特に有用である。好適な炭化水素原料は、149℃(300°F)〜399℃(750°F)の範囲で沸騰し、好ましくは少なくとも50体積%の芳香族化合物を含有する。特に好適な原料は、炭化水素製品の製造で使用される流動接触分解(fluid catalytic cracking:FCC)プロセスの副生成物である分解軽油(light cycle oil:LCO)の少なくとも一部を含有する。LCOは経済的かつ好都合な原料である、というのは、一般には最終製品とはみなされず、相当量の硫黄、窒素及び多核芳香族化合物を含有するからである。従って、本方法及び本処理装置によって比較的低価値のLCO流を高価なキシレン炭化水素化合物、低硫黄ディーゼル製品、ガソリン製品及び/又は他の炭化水素製品に転換することができる。任意の他の分解プロセス(すなわち、水素化分解、FCC、熱分解)からの分解ナフサを含む他の可能な原料を使用して所望のパラフィン、ナフテン及び環状化合物含有物範囲(content range)を生成してもよい。
【0017】
一側面では、原料を、通常は主分留ゾーン内で、71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲を有する少なくとも1つの(通常は蒸留による)留分流、すなわち主ナフサ流に分離する。あるいは、主分留ゾーンによって原料流をより高い又はより低い沸点範囲を有する1つ又は2つ以上のさらなる留分流に分離してもよい。トランスアルキル化ゾーンが平衡限界反応器(equilibrium-limited reactor)であるため、C8留分を含むすべてのナフサ流をトランスアルキル化ゾーンに送ることによって全液体収率の一部が損失する場合もあるが、得られるキシレンの純度が高レベルであることが全液体収率における最小限の損失より勝っていることを証明している。本方法及び本装置によってより高純度のキシレン製品が提供されるが、それらは任意の理論に束縛されることを意図するものではない、というのは、存在する任意のナフテンを芳香族化合物に転換してもよく、それによりC7及びC8芳香族化合物の収率を増加させ、トランスアルキル化ゾーン内でC7芳香族化合物をC9芳香族化合物と反応させてさらなる混合キシレンを生成することができるからである。
【0018】
本方法の一側面では、主分留ゾーンによって原料流を異なる沸点範囲を有する少なくとも3つの留分に分離してもよい。第1の留分は、ガソリンに直接混合するのに適した126℃(260°F)未満の温度で沸騰する軽質ナフサ流を含んでいてもよい。別の側面では、第1の留分は、91℃(195°F)未満、より好ましくは71℃(160°F)未満の温度で沸騰する軽質ナフサ流を含んでいてもよい。この流は、典型的にはベンゼンを含み、相当量のC7ナフテン又はトルエンを含有しない。あるいは、第1の留分中のベンゼンの量を減少させることが望ましい場合には、その留分の分留点を71℃(160°F)に下げてもよい。
【0019】
71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲を有する主ナフサ流すなわち第2の留分を選択してもよく、上記流は、主としてC7〜C9炭化水素等の中間留分炭化水素ナフサを含む(また、C9及びC10炭化水素等の重質留分ナフサを含んでいてもよい)。あるいは、第1の留分がより高沸点の126℃(260°F)未満で沸騰する場合、126℃(260°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲を有する第2の留分を選択してもよい。一側面では、上記流は、原料流からの実質的にすべてのC7及びC8化合物、実質的にすべてのC9及びC10芳香族化合物及び実質的にすべてのC9ナフテン(存在する場合)を含んでいてもよい。主ナフサ流のC8化合物はキシレンを含み、主ナフサ流中のキシレン含有量は一般に3重量%を超える。別の側面では、主ナフサ流中のキシレン含有量は5重量%を超え、さらに別の側面では、主ナフサ流のキシレン含有量は10重量%を超える。そのような一側面では、未処理のナフサ流、すなわち、再循環されるナフサを含まないナフサ流を使用してもよく、未処理のナフサ流のキシレン含有量は、該流の少なくとも5重量%であってもよく、別のそのような側面では、20重量%であってもよい。
【0020】
第2の留分の組成は、原料の組成、並びに、特定の用途のための第2の留分の所望の組成に応じて異なる。例えば、選択される沸点範囲を特定の用途に合わせて縮小又は拡大して芳香族化合物とナフテン(すなわち、非芳香族環状化合物)の異なる混合物を生成してもよい。一側面では、主ナフサ流は、40%未満のナフテン、例えば10〜40%、好ましくは15〜30%の範囲のナフテンを有し、20%未満のパラフィン、好ましくは15%未満のパラフィンを有する。
【0021】
第3の留分は、193℃(380°F)を超える、より好ましくは216℃(420°F)を超える温度で沸騰する超低硫黄ディーゼル流を含む原料から選択してもよい。超低硫黄ディーゼル流は、再処理のために回収又は場合に応じて再循環させ、水素化分解等の可能なさらなる処理工程後に主分留塔を再度通過させてもよい。
【0022】
さらに別の側面では、主ナフサ流は中間留分ナフサを含み、71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲を有する重質留分ナフサも含み、中間留分ナフサ流と別の重質留分ナフサ流にさらに分離してもよい。この側面では、中間留分ナフサ流は、71℃(160°F)〜176℃(350°F)の温度範囲を有していてもよく、存在する場合には、原料流からの実質的にすべてのC7及びC8化合物並びに大部分のC9芳香族化合物及びC9ナフテンを含んでいてもよい。重質留分ナフサ流は、176℃(350°F)〜216℃(420°F)の温度範囲を有していてもよく、C9及びC10芳香族化合物を含んでいてもよい。この側面では、中間留分ナフサ流を、(後述の)改質/トランスアルキル化ゾーンに導入してもよく、重質留分ナフサ流を、改質/トランスアルキル化ゾーンに導入するか、又は(後述の)キシレン製品塔に直接導入してもよい。この場合、超低硫黄ディーゼル流からなる第3の留分は、204℃(400°F)、好ましくは216℃(420°F)を超える温度で沸騰する流を含む。
【0023】
一側面では、主分留ゾーンからの主ナフサ流を改質ゾーンに供給する。主ナフサ流は、40%未満のナフテン含有量及び20%未満、好ましくは15%未満のパラフィン含有量を有し、主分留ゾーンに送られる上記流は、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%の環状化合物を有する。この側面では、主ナフサ流中の非環状化合物の量を制限して液体製品の収率を向上させかつ水素消費量を最小にすることが好ましい。
【0024】
別の側面では、後述の最終分留ゾーン(すなわち、キシレン塔)の塔底流から選択されるC9及びC10芳香族化合物を含有する流を改質反応器/トランスアルキル化ゾーンに供給してもよく、又は、改質ゾーンを迂回してトランスアルキル化ゾーンに直行させてもよい。さらに、主分留ゾーンによって中間留分及び重質留分ナフサ流を2つの流に分離する場合、主にC9及びC10芳香族化合物を含む重質ナフサ流をトルエン塔からの塔底流又はキシレン塔からの塔底流と合わせ、改質/トランスアルキル化ゾーンに再循環させてもよい。
【0025】
改質ゾーンでは、ナフサ流及び高水素濃度ガスを予備加熱し、通常は1基の反応器を含む反応ゾーンに供給してもよい。但し、他の反応器形態を使用して同様の結果を得てもよい。反応物を上昇流、下降流又は半径流式で個々の反応器内で触媒と接触させてもよい。触媒を、連続触媒再生機能を伴う固定床又は移動床装置内に含有させてもよい。不活性化した触媒を再活性化する代替的方法は当業者によく知られており、触媒再生及び再活性化のためにすべての構成装置を停止させる半再生式、又は個々の反応器がシステムから分離し、他の反応器が運転中であっても再生及び再活性化が行われるスイング反応器操作(swing-reactor operation)を含む。
【0026】
改質ゾーンに導入される水素構成ガスは、好ましくは少なくとも70%の純粋な水素ガスを含有していてもよい。トランスアルキル化ゾーンを通過した後、高水素濃度ガスを分離及び再循環させても、分離及び回収してもよい。これは、本明細書で述べるように、典型的にはトランスアルキル化ゾーン下流の第2の分離器を使用して行ってもよい。
【0027】
本発明の改質ゾーンで適用する改質条件は、700kPa(100psig)〜7MPa(1000psig)、好ましくは700kPa(100psig)〜3.5MPa(500psig)の範囲内で選択される圧力を含む。特に良好な結果は、低圧力、すなわち、350kPa(50psig)〜2750kPa(400psig)の圧力で得られる。改質温度は、300℃(572°F)〜565℃(1049°F)の範囲内であってもよい。改質ゾーンに流入する炭化水素供給物1モル当たり1〜20モルの量の水素を得るのに十分な水素を供給する。その場合、炭化水素供給物1モル当たり2〜10モルの水素を使用した場合に優れた結果が得られる。同様に、改質で使用する液空間速度は、0.2〜20hr−1の範囲から選択してもよい。
【0028】
改質ゾーン及びトランスアルキル化ゾーンは、同様又は異なる触媒の1つ又は2つ以上の床を有してもいてもよく、そのような床は、1つ又は2つ以上の容器内に配置してもよい。上記ゾーンは、複数の容器を使用する結合した連続プロセスに一体化させても、直接連結してもよい。一体化した改質−トランスアルキル化ゾーンは、1種又は2種以上の改質触媒及び/又はトランスアルキル化触媒をそれぞれ含有する1つ又は2つ以上の容器又は床を含んでいてもよい。そのような種類の触媒は、同一の粒子表面に複合化された二重触媒機能によって分離されている。
【0029】
改質ゾーンからの水素含有流出物をトランスアルキル化ゾーンに導入してもよい。さらなる水素をトランスアルキル化ゾーンに添加してもよく、さらなる水素は好ましくは硫化水素又はアンモニアを本質的に含有しない少なくとも70モル%の水素を含有する。一体化した改質−トランスアルキル化ゾーンに好適に用いられる運転条件としては、通常300℃(572°F)〜550℃(1022°F)の温度及び0.2〜10hr−lの範囲の液空間速度が挙げられる。
【0030】
トランスアルキル化ゾーンでは、一緒にした原料を好ましくは蒸気相中かつ水素の存在下でトランスアルキル化することができる。改質ゾーンからの流出物は、流出物中にC6+成分からなる非芳香族化合物を20%未満含有する。また、(後述の)キシレン製品塔の塔底流から得られたC9+芳香族炭化水素及びより重質分を、トランスアルキル化ゾーンに直接供給し、そのようにして改質ゾーンを迂回してもよい。また、この重質芳香族流の迂回路は、改質ゾーンの出口とトランスアルキル化ゾーンの入口との間で必要とされる任意の温度差制御のためのヒートシンクとして使用することもできる。原料を液相中でトランスアルキル化する場合、水素の存在は任意である。存在する場合、遊離水素は、炭化水素1モル当たり0.1モル〜10モルの量で原料及び再循環炭化水素と結び付けられる。これは水素:炭化水素比と呼ばれることもある。トランスアルキル化反応によって、キシレン含有量が増加しかつトルエンも含有する製品が好適に生成される。一側面では、トランスアルキル化ゾーンは、付随する非芳香族化合物の分解機能を有し、ベンゼンからA9沸点範囲の非芳香族化合物を除去する。これらの非芳香族化合物をLPG範囲材料に分解することによって下流の分留ゾーンから高純度のベンゼン又はキシレン製品が得られる。
【0031】
トランスアルキル化反応ゾーンへの供給物は最初に冷却しなければならない場合もある、というのは、改質ゾーンからの流出物の温度が通常は所望の温度よりも高いからである。改質流出物流は、通常は、より低温のC9/C10又はトルエン再循環流と一緒にすることによって冷却する。次いで、その供給物を反応ゾーン内に通してもよい。その反応ゾーンは1基又は2基以上の個々の反応器を含んでいてもよい。トランスアルキル化触媒の円筒形固定床を有する単一の反応容器を使用することが好ましいが、必要に応じて、触媒の移動床を使用する他の反応形態又は半径流式反応器を用いてもよい。一緒にした供給物を反応ゾーン内に通すと、未転換の供給物及び炭化水素製品を含む流出物流の生成をもたらす。この流出物を、通常は反応ゾーンへの流入流との間接的な熱交換によって冷却した後、空気又は冷却水を使用してさらに冷却することができる。次いで、その流出物を分留塔又は一連の分留塔(すなわち、ベンゼン塔及びその下流のトルエン塔)に送ってもよい。場合によっては、その供給物があまりに低温であるために反応ゾーンの流出物との間接的熱交換によって所望の温度に到達させることが不可能な場合には、その供給物を加熱してもよく、その場合、より温かい流、蒸気又は炉との交換によって反応温度まで加熱してもよい。
【0032】
トランスアルキル化反応を行うために、本発明は、少なくとも1つのゾーンにトランスアルキル化触媒を組み込んでもよいが、特定の触媒に限定するものではない。トランスアルキル化ゾーンに用いる条件としては、通常300℃(572°F)〜540℃(1004°F)の範囲の温度が挙げられる。トランスアルキル化ゾーンは、100kPa(14.7psig)〜6MPa(870psig)の広い範囲にわたる穏やかに上昇された圧力下で運転することができる。トランスアルキル化反応は、広い範囲の空間速度で行うことができる。液空間速度は一般に0.1〜20hr−lの範囲である。
【0033】
実質的に硫黄を含有しない環境で本発明の改質ゾーンを運転することが好ましい実施法である。当該技術分野で知られている任意の保護床制御手段を使用して改質反応ゾーンに供給するナフサ原料を処理してもよい。例えば、ナフサ原料に対して保護床吸着プロセス、保護床触媒プロセス又はそれらの組み合わせを行ってもよい。好ましい保護床吸着プロセスは、吸着剤、例えば、モレキュラーシーブ、高表面積アルミナ、高表面積シリカアルミナ、炭素モレキュラーシーブ、結晶性アルミノケイ酸塩、活性炭及び高表面積金属(例えば、ニッケル又は銅)含有組成物を用いてもよい。保護床は、改質ゾーン又は水素化分解ゾーン内の分離型容器又は触媒容器に充填してもよく、あるいは、容器それ自体であってもよい。また、保護床は、トランスアルキル化触媒の上を通過する特定流から生じ得る硫黄又は塩化物等の任意の汚染物質を処理するために、必要に応じて、トランスアルキル化ゾーンと連結して充填してもよい。但し、硫黄の一部は、容器の金属壁によって触媒されるコークス生成の制御のために必要とされ、0.5ppmの量でその系内に再注入してもよい。
【0034】
任意の好適な改質触媒を改質ゾーン内で使用してもよい。好ましい改質触媒は、少なくとも1種の白金族金属成分及び場合に応じてスズ又はレニウム等の変性剤金属成分を表面に分散させた耐火性固形酸化物担体を含有する。その担体は、アルミナ、シリカ/アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア及びゼオライト等の当該技術分野で周知のいくつかの担体のうちのいずれかとすることができる。担体として使用可能なアルミナとしては、γアルミナ、θアルミナ、δアルミナ及びαアルミナが挙げられ、γ及びθアルミナが好ましい。そのアルミナの中には、スズ、ジルコニウム、チタン及びリン酸塩等の変性剤を含有するアルミナが含まれる。使用可能なゼオライトとしては、フォージャサイト、ゼオライトβ、Lゼオライト、ZSM5、ZSM8、ZSM11、ZSM12及びZSM35が挙げられる。その担体は、球、小球(pill)、ケーク、押出し物、粉末及び顆粒等の任意の所望の形状に形成することができ、任意の特定の大きさで使用してもよい。
【0035】
球状アルミナ担体の調製方法の1つは、米国特許第2,620,314号に記載されている周知の油滴法によるものである。油滴法は、当該技術分野で教示される技術のいずれかによって、好ましくはアルミニウム金属を塩酸と反応させることによってアルミニウムヒドロゾルを形成する工程と、そのヒドロゾルを好適なゲル化剤と合わせる工程と、得られた混合物を高温に維持した油浴に滴下する工程とを含む。混合物の液滴は、それらが固化しかつヒドロゲル球が形成されるまで油浴中に放置する。次いで、ヒドロゲル球を油浴から連続的に回収し、通常は油及びアンモニア性溶液中で特定のエイジング及び乾燥処理を施してそれらの物理的特性をさらに向上させる。次いで、得られたエイジング処理したゲル状の球を80℃〜260℃の比較的低温で洗浄及び乾燥した後、455℃〜705℃の温度で1〜20時間か焼する。この処理はヒドロゲルの対応する結晶性γアルミナへの転換をもたらす。θアルミナを所望する場合、ヒドロゲル球は950℃〜1100℃の温度でか焼する。
【0036】
担体材料の他の形態は、円筒形押し出物であってもよく、好ましくは、アルミナ粉末を、押し出し可能な生地が形成されるまで水及びHCl等の好適な素練り促進剤と混合することによって調製する。得られた生地を適切な大きさの金型を通して押し出し、押出粒子を形成してもよい。次いで、これらの粒子を260℃〜427℃の温度で0.1〜5時間乾燥して押出粒子を形成する。耐火性無機酸化物は実質的に純粋なアルミナを含むことが好ましい。典型的な実質的に純粋なアルミナは、米国特許第3,852,190号及び第4,012,313号ではチーグラーの米国特許第2,892,858号に記載されているチーグラー高級アルコール合成反応からの副生成物として特徴付けられている。
【0037】
改質触媒の必須成分は、分散した白金族成分であってもよい。この白金族成分は、複合体の他の成分の1つ又は2つ以上との化学的組み合わせ中の酸化物、硫化物、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物等の化合物として、又は元素金属として、最終触媒複合体中に存在していてもよい。この成分の実質的にすべてが元素状態で存在し、担体材料内に均一に分散できることが好ましい。この成分は、触媒的に有効な任意の量で最終触媒複合体中に存在していてもよいが、比較的少量であることが好ましい。所望の担体上に分散させることができる白金族金属のうち、好ましい金属はロジウム、パラジウム及び白金であり、白金が最も好ましい。
【0038】
IVA(IUPAC14)族金属成分が改質触媒の任意成分であってもよい。IVA(IUPAC14)族金属のうち、ゲルマニウム及びスズが好ましく、スズが特に好ましい。この成分は、元素金属として、酸化物、硫化物、ハロゲン化物及びオキシ塩化物等の化合物として、又は、多孔質担体材料及び/又は触媒複合体の他の成分との物理的又は化学的組み合わせとして存在してもよい。好ましくは、IVA(IUPAC14)族金属の実質的な部分が、元素金属の上記酸化状態で完成触媒中に存在する。
【0039】
また、レニウムは、改質触媒の任意の金属助触媒であってもよい。上記触媒成分に加えて、他の成分を触媒に添加してもよい。例えば、鉛、インジウム、ガリウム、イリジウム、ランタン、セリウム、リン、コバルト、ニッケル、鉄及びそれらの混合物の非排他的リストから選択される変性剤金属を改質触媒に添加してもよい。
【0040】
脱水素、脱水素環化又は水素化反応を含む本発明の態様で特に有用な改質触媒の別の任意成分は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属成分であってもよい。より具体的には、この任意の成分を、アルカリ金属(セシウム、ルビジウム、カリウム、ナトリウム及びリチウム)の化合物及びアルカリ土類金属(カルシウム、ストロンチウム、バリウム及びマグネシウム)の化合物からなる群から選択することができる。
【0041】
任意の好適なトランスアルキル化触媒をトランスアルキル化ゾーンで使用することができる。好ましいトランスアルキル化触媒は、任意の金属成分と組み合わせた固体酸材料を含有する。好適な固体酸材料としては、全形態及び全種類のモルデナイト、マザイト(mazzite)(ωゼオライト)、βゼオライト、ZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−22、ZSM−23、MFI型ゼオライト、NES型ゼオライト、EU−1、MAPO−36、MAPSO−31、SAPO−5、SAPO−11、SAPO−41及びシリカ−アルミナ又はそのような固体酸のイオン交換型が挙げられる。例えば、米国特許第3,849,340号には、初期のSiO/Alのモル比が30:1未満となるように調製されたモルデナイトからAlを酸抽出することによって調製された、SiO/Alのモル比が少なくとも40:1のモルデナイト成分と、銅、銀及びジルコニウムから選択された金属成分とを含む触媒複合体について記載されている。上記及び他の既知の触媒材料と組み合わされた耐火性無機酸化物は、トランスアルキル化操作において有用であることが知られている。
【0042】
例えば、米国特許第5,763,720号にはシリカ−アルミナについて記載れている。また、結晶性アルミノケイ酸塩がトランスアルキル化触媒として当該技術分野で用いられている。米国特許第3,832,449号にはZSM−12について特に記載されている。米国再発行特許第28,341号(米国原特許第3,308,069号)にはゼオライトβについて特に記載されている。米国特許第5,723,710号にはゼオライトβの好適な形態について記載されており、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。また、MFI型ゼオライトの調製も当該技術分野で周知である。一方法では、そのゼオライトを、アルミナ源、シリカ源、アルカリ金属源、水及びアルキルアンモニウム化合物又はその前駆体を含有する混合物を結晶化することによって調製することができる。
【0043】
さらなる記載が米国特許第4,159,282号、第4,163,018号及び第4,278,565号にある。米国特許第4,241,036号にはゼオライトωの合成について記載されている。本発明で有用なZSM中位細孔径ゼオライトとしては、ZSM−5(米国特許第3,702,886号)、ZSM−11(米国特許第3,709,979号)、ZSM−12(米国特許第3,832,449号)、ZSM−22(米国特許第4,556,477号)、ZSM−23(米国特許第4,076,842号)が挙げられる。欧州特許第0378916Bl号にはNES型ゼオライト及びNU−87の調製方法について記載されている。EUO構造型EU−1ゼオライトについては、米国特許第4,537,754号に記載されている。MAPO−36については米国特許第4,567,029号に記載されている。MAPSO−31については米国特許第5,296,208号に記載されており、典型的なSAPO組成物についてはSAPO−5、SAPO−11及びSAPO−41を含めて米国特許第4,440,871号に記載されている。
【0044】
トランスアルキル化触媒の製造を容易にし、強度を与えかつ製造コストを低減するために、場合に応じて耐火性結合剤または基質を使用することができる。結合剤は組成物中で均一であって、本方法で使用される条件に対して比較的耐火性を有するものでなければならない。好適な結合剤としては、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、クロミア、チタニア、ボリア、トリア、リン酸塩、酸化亜鉛及びシリカのうちの1つ又は2つ以上の無機酸化物が挙げられる。アルミナが好ましい結合剤である。
【0045】
また、トランスアルキル化触媒は任意の金属成分を含有していてもよい。好ましい金属成分の一つは、ニッケル、鉄、コバルト及び白金族金属を含むVIII(IUPAC8〜10)族金属であってもよい。白金族、すなわち、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム及びイリジウムのうち、白金が特に好ましい場合がある。別の好ましい金属成分はレニウムであってもよく、以下、レニウムを用いて金属成分について概説する。この金属成分は、複合体の他の成分の1つ又は2つ以上との化学的組み合わせにおいて、酸化物、硫化物、ハロゲン化物又はオキシハロゲン化物等の化合物として最終触媒複合体中に存在していてもよい。レニウム金属成分を、共沈、イオン交換、共粉砕(co-mulling)又は含浸等の任意の好適な方法で触媒に組み込むことができる。好ましい触媒の調製方法では、レニウム金属の分解可能な可溶性化合物を使用して比較的均一に担体材料を含浸させる。使用し得る典型的なレニウム化合物としては、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸ナトリウム、過レニウム酸カリウム、オキシ塩化レニウムカリウム(potassium rhenium oxychloride)、ヘキサクロロレニウム(IV)酸カリウム、塩化レニウム、七酸化二レニウム、過レニウム酸及び同様の化合物が挙げられる。好ましくは、その化合物は、過レニウム酸アンモニウム又は過レニウム酸であればよい、というのは、あらゆる共汚染物質(co-contaminant)種を除去するための余分なプロセスが必要となる可能性が少ないからである。
【0046】
トランスアルキル化触媒は、場合に応じて、上記金属成分と共にさらなる金属成分を含んでいてもよく、あるいは、すべての上記金属成分の代わりにさらなる金属成分を含んでいてもよい。触媒のさらなる金属成分としては、例えば、スズ、ゲルマニウム、鉛、インジウム及びそれらの混合物が挙げられる。そのようなさらなる金属成分の触媒的に有効な量を当該技術分野で知られている任意の手段によって触媒に組み込むことができる。
【0047】
改質/トランスアルキル化ゾーンから得られた流出物を気液分離器に導入して、高水素濃度ガス流(場合に応じて再循環してもよい)および液体炭化水素流を生成することができる。トランスアルキル化ゾーンからの流出物は、流出物流中にC6+成分の少なくとも20%の最小のキシレン含有量を有していてもよい。気液分離器は、場合に応じて、移動圧力の低下を補償するために改質/トランスアルキル化ゾーン内の反応器圧力よりも低い172kPa(25psig)の圧力で運転してもよい。気液分離器からの液体炭化水素流をベンゼン塔内でさらに分留してトルエン、キシレン及びより高沸点の芳香族化合物からベンゼンを分離してもよい。ベンゼン塔から排出された塔頂留出物流は主にベンゼンを含有し、ベンゼン製品流として回収してもよく、又は、場合に応じて、主分留ゾーンの上流に位置するストリッパーに再循環して最も高価なキシレンの収率を最大にしてもよい。塔頂留出物流は、塔頂留出物流中に200モルppm〜2モル%のトルエンを含有する95〜99.6%の回収ベンゼンを含有していてもよい。ベンゼン塔は、塔頂留出物流中に95〜99.6%の回収ベンゼンが得られるパラメータで運転することができる。あるいは、ベンゼン塔の塔頂留出物流は、塔頂の真下すなわち塔頂留出物流からベンゼンの大部分を除去することによって高純度のベンゼン製品を生成し、軽質成分を塔頂留出物から除去することができるように構成してもよい。次いで、このベンゼン流を副(side)精留塔に送り、そこでベンゼンのより高純度な(sharper)留分を回収することができる。場合に応じて、気液分離器からの液体炭化水素流を主分留ゾーンの上流に位置するストリッパーに送ってもよく、そのようにしてトランスアルキル化ゾーン内で生成した任意の重質化合物を主分留ゾーンの底部で除去してもよい。
【0048】
ベンゼン分留塔からの流出物は、C7+芳香族化合物を含んでいてもよいが、別の分留塔(すなわち、トルエン塔)に送ってもよく、そこでキシレン及びより高沸点の芳香族化合物からトルエンを分離する。一側面では、トルエンを改質ゾーンに再循環させて最も高価なキシレンの収率を最大にしてもよい。別の側面では、トルエンをトランスアルキル化ゾーンに再循環して、改質ゾーンを迂回してもよい。さらに別の側面では、トルエンを回収してすべてを再循環させなくてもよく、又は、一部を回収し一部を再循環してもよい。塔頂留出物流に含有されているキシレンの量は500〜700モルppmであってもよい。塔底流に含有されているトルエンの量は、その底部のキシレン留分中に500〜1000モルppmであってもよい。キシレンの製造を犠牲にしてより多くのベンゼン及びトルエンを所望する場合には、それらを製品タンクに誘導してもよい。例えば、操作者がさらなる高オクタン価ガソリンを生成することを望む場合、ベンゼン/トルエンの正味製品流量を増加させ、それにより全体的キシレンの製造量を減少させる。このような容易に利用可能な特徴によって異なる製品リストを製造するための非常に柔軟な方法が提供される。
【0049】
次に、トルエン塔からの流出物をキシレン塔等の最終分留ゾーンに送って、より高沸点の他の化合物からキシレンを分離してもよい。キシレン製品流を136℃(277°F)〜143℃(290°F)の沸点範囲を有する塔頂留出物流として回収してもよい。塔頂留出物流で回収されるキシレンのマスフローは、トランスアルキル化ゾーンへの流入前のキシレンのマスフローよりも多い。キシレン塔の塔頂留出物流中で回収されるキシレンは、中間留分ナフサ流をキシレン塔に直接送り、そのようにして改質及び/又はトランスアルキル化ゾーンを迂回する場合に回収されるキシレンよりも多い。さらに、100重量ppm〜1.5重量%のC9+芳香族化合物を有する塔頂留出物流中のキシレン含有量は99%であってもよい。
【0050】
キシレン塔の塔底流は、A10+化合物及び/又はC9/C10芳香族化合物を含むサイドカット塔底流として回収してもよく、それらを再循環させ、改質ゾーン及び/又はトランスアルキル化ゾーンに供給してもよい。トルエン塔からの上記トルエン塔頂留出物製品をキシレン塔からのサイドカット流と合わせ、改質/トランスアルキル化ゾーンに一緒に供給してもよい。
【0051】
別の側面では、LCO原料を供給し、最初に水素化処理反応条件下で水素と共に脱窒及び脱硫反応ゾーンに導入して上記主分留ゾーンのための原料を得る。LCO原料は、場合に応じて、主分留ゾーン塔底留分(すなわち、超低硫黄ディーゼルを含む上記第3の留分)からの液体再循環流と合わせてもよい。一側面では、LCO原料を、204℃(400°F)〜482℃(900°F)の温度、3.5MPa(500psig)〜17.3MPa(2500psig)の圧力、0.1〜10hr−1の、水素化処理触媒又は水素化処理触媒の組み合わせを有する未処理の炭化水素系原料の液空間速度を使用するような穏やかな水素化処理/脱窒/脱硫反応条件にさらす。また、主分留塔への原料の導入前に、LCO原料の他の水素化処理又は他の処理を使用してもよい。あるいは、LCO原料を水素と合わせ、水素化分解プロセスへの導入前に加熱してもよく、LCO原料は、C9+炭化水素を含有する炭化水素流を含んでいてもよい。
【0052】
本明細書で使用する「水素化処理」という用語は、水素含有処理ガス(treat gas)を、硫黄や窒素等のヘテロ原子の除去に対して主に活性な好適な触媒の存在下で使用するプロセスを指す。LCO原料を処理するために使用される好適な水素化処理触媒は、任意の既知の従来の水素化処理触媒であってもよく、その例としては、高表面積担体材料、好ましくはアルミナに担持された少なくとも1つのVIII族金属、好ましくは鉄、コバルト及びニッケル、より好ましくはコバルト及び/又はニッケル並びに少なくとも1つのVI族金属、好ましくはモリブデン及びタングステンからなる触媒が挙げられる。
【0053】
他の好適な水素化処理触媒としてはゼオライト基材触媒及び貴金属触媒が挙げられ、その貴金属はパラジウム及び白金から選択することができる。本発明では、2種類以上の水素化処理触媒を同一の反応容器で使用してもよい。VIII族金属は、通常は2〜20重量%、好ましくは4〜12重量%の量で存在してもよい。VI族金属は通常は1〜25重量%、好ましくは2〜25重量%の量で存在してもよい。典型的な水素化処理の温度は、3.5MPa(500psig)〜17.3MPa(2500psig)、好ましくは3.5MPa(500psig)〜13.9MPa(2000psig)の圧力下で204℃(400°F)〜482℃(900°F)であってもよい。
【0054】
本発明の一側面によれば、上記脱窒及び脱硫ゾーンから得られた流出物を、水素化処理反応器に後続して水素化分解反応器が設けられている水素化分解ゾーンに導入してもよい。水素化分解ゾーンは、同一又は異なる触媒の1つ又は2つ以上の床を含んでいてもよい。一側面では、好ましい水素化分解触媒は、1つ又は2つ以上のVIII族又はVIB族金属水素化成分と合わせた非晶質基材又は低レベルゼオライト基材を使用してもよい。別の側面では、水素化分解触媒は、Ni−Mo及びNi−Wを有するY及びβゼオライト触媒から選択してもよい。さらに別の側面では、水素化分解ゾーンは、一般に、微量のVIII族金属水素化成分を表面に蒸着してもよい任意の結晶性ゼオライト分解基材を含む触媒を含んでいてもよい。さらなる水素化成分は、ゼオライト基材を組み込むためにVIB族から選択してもよい。
【0055】
ゼオライト製分解基材は当該技術分野ではモレキュラーシーブとも呼ばれ、通常、シリカ、アルミナ及び1つ又は2つ以上のナトリウム、マグネシウム、カルシウム及び希土類金属等の交換性陽イオンからなる。それらは、4〜14オングストロームの比較的均一な直径の結晶細孔によってさらに特徴付けられる。シリカ/アルミナのモル比が3〜12であるゼオライトを用いることが好ましい。天然に発見される好適なゼオライトとしては、例えば、モルデナイト、スティルバイト、輝沸石、フェリ沸石、ダキアルディ沸石、菱沸石、エリオン沸石及びフォージャス沸石が挙げられる。好適な合成ゼオライトとしては、例えば、合成フォージャス沸石及びモルデナイト等のB、X、Y及びL結晶型が挙げられる。好ましいゼオライトは、8〜12オングストロームの結晶孔径を有し、シリカ/アルミナのモル比が4〜6であるゼオライトである。好ましい群に属するゼオライトの主要な例は、合成Yモレキュラーシーブである。
【0056】
天然に存在するゼオライトは、通常ナトリウムの形態、アルカリ土類金属の形態又はそれらの混合形態で発見される。合成ゼオライトは、多くの場合、最初にナトリウムの形態で調製される。いずれの場合も、分解(cracking)基材として使用するためには、元のゼオライトの一価金属の大部分又はすべてを、多価金属及び/又はアンモニウム塩でイオン交換した後、加熱して、ゼオライトに結合したアンモニウムイオンを分解し、それらの場所に、水素イオン及び/又は水をさらに除去することによって実際に脱陽イオン化された交換部位を残すことが好ましい。特にこの種の水素又は「脱陽イオン化された」Yゼオライトについては米国特許第3,130,006号に記載されている。
【0057】
多価金属−水素混合ゼオライトは、最初にアンモニウム塩でイオン交換した後、一部を多価金属塩で逆交換し、次いでか焼することによって調製してもよい。合成モルデナイトの場合等の一部の場合では、水素の形態は、アルカリ金属ゼオライトの直接の酸処理によって調製することができる。好ましい分解基材は、初期のイオン交換容量に対して金属陽イオンが少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%不足している分解基材である。特に望ましくかつ安定性のあるゼオライトの種類は、イオン交換容量の少なくとも20%が水素イオンによって満たされるものである。
【0058】
水素化成分として本発明の好ましい水素化分解触媒で用いられる活性金属は、VIII族の金属、すなわち、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金であってもよい。これらの金属に加えて、それらと共に、モリブデン及びタングステン等のVIB族の金属を含む他の助触媒も用いてもよい。触媒中の水素化金属の量は大幅に変化させることができる。大まかに言えば、0.05〜30重量%の間の任意の量を使用してもよい。貴金属の場合、通常は0.05〜2重量%を使用することが好ましい。水素化金属を組み込むための好ましい方法は、ゼオライト基材材料を、金属が陽イオンの形態で存在する所望の金属の好適な化合物の水溶液と接触させることである。選択した水素化金属又は複数の金属の添加後、得られた触媒粉末を濾過及び乾燥し、添加した潤滑剤や結合剤等でペレット化し、必要に応じて、触媒を活性化しかつアンモニウムイオンを分解するために、371℃(700°F)〜648℃(1200°F)の温度の空気中でか焼してもよい。
【0059】
あるいは、ゼオライト成分を最初にペレット化した後、水素化成分を添加し、か焼によって活性化してもよい。希釈されていない形態で上記触媒を用いてもよく、あるいは、粉末化ゼオライト触媒を5〜90重量%の割合でアルミナ、シリカゲル、シリカ−アルミナ共ゲル(cogel)、活性粘土等の他の比較的低活性の触媒、希釈剤又は結合剤と混合し、共ペレット化(copellet)してもよい。これらの希釈剤はそのまま用いてもよく、あるいは、添加された微量のVIB族及び/又はVIII族金属等の水素化金属を含んでいてもよい。
【0060】
また、本発明の方法では、さらなる金属促進触媒を使用してもよく、金属促進触媒には、例えば、アルミノリン酸塩モレキュラーシーブ、結晶性クロモケイ酸塩(chromosilicate)及び他の結晶性ケイ酸塩が含まれる。結晶性クロモケイ酸塩については米国特許第4,363,718号により完全に記載されている。
【0061】
水素化分解触媒と接触させるLCO原料の水素化分解は、水素の存在下で、好ましくは232℃(450°F)〜468℃(875°F)の温度、3.5MPa(500psig)〜20.8MPa(3000psig)の圧力、0.1〜30hr−lの液空間速度(LHSV)及び84標準m/m(500標準立法フィート/バレル)〜4200m/m(25,000標準立法フィート/バレル)の水素循環量を含む水素化分解反応器条件で行ってもよい。本発明によれば、水素化分解条件は、高純度のキシレン化合物及び低硫黄ディーゼルの製造のためのLCO原料に基づいて選択してもよい。
【0062】
水素化処理/水素化分解ゾーンは、1種類又は2種類の水素化処理触媒又は水素化分解触媒をそれぞれ含有する1つ又は2つ以上の容器又は床を含んでいてもよい。場合に応じて、液体炭化水素流を水素化処理/水素化分解ゾーンに再循環させ、そこで再循環流を水素化分解触媒に直接導入してもよく、あるいは、水素化処理触媒の床内を通過させた後、水素化分解触媒と接触させてもよい。
【0063】
水素化分解ゾーンから得られた流出物を主分留ゾーンの上流に位置する高圧分離器に導入してもよい。高圧分離器によって、水素、硫化水素及びアンモニアを含む蒸気流及び液体炭化水素流を生成することができる。高圧分離器は、好ましくは149℃(300°F)〜288℃(550°F)の温度及び1.3MPa(200psig)〜17.3MPa(2500psig)の圧力で運転することができる。別の側面では、水素化分解ゾーンから得られた流出物を大気圧等の低圧力で特定の水素をストリッピングせずに運転中の塔に導入してもよい。また、精留塔によって、水素、硫化水素及びアンモニアを含む蒸気流と、炭化水素を含む液体流とを生成してもよい。
【0064】
水素、硫化水素及びアンモニアを含む蒸気流を処理して硫化水素及びアンモニアを除去し、高水素濃度再循環ガスを生成することができる。その蒸気流をアミン洗浄装置に供給し、そこで高水素濃度ガス流からアンモニア及び硫化水素を分離した後、高水素濃度ガス流を再循環ガス圧縮機に送り、水素化分解/水素化処理ゾーン又は存在する場合は第2段階の水素圧縮機の一方に供給してもよい。
【0065】
高圧分離器から得られた液体炭化水素流は、一部は下流の主分留ゾーンに供給するが、さらなる高圧分離器内で、通常は最初の高圧分離器よりも低い圧力でさらにフラッシュ分離して(flash)軽質ガスを除去し、次いでその軽質ガスを燃料に送ってもよい。次いで、その液体製品をストリッパー塔に送り、そこで水蒸気蒸留(steam strip)してプロパン及びブタンを除去し、そのプロパン及びブタンはストリッパーの塔頂留出物流中の液化石油ガス(LPG)回収物に送ってもよい。得られたストリッパー塔底製品は、ガソリン、ケロシン及び蒸留沸点範囲材料を含有し、次いで主分留塔に供給する。主分留塔内のストリッパー塔底製品は、相当量の環状パラフィン及び芳香族化合物を含有する。次いで、上記プロセスと同様に、主分留塔によってストリッパー塔底製品を蒸留により1つ又は2つ以上の主留分流又は少なくとも2つ以上の留分流に分離することができる。
【0066】
本発明の一側面では、水素構成ガスを、存在すれば水素圧縮機によって上記水素化分解/水素化処理ゾーンに供給してもよい。好適な水素構成流は、純度が90%を超える、好ましくは99%を超える水素、例えばPSA水素回収プロセスからの水素等を含有する任意の流である。水素圧縮機は2段階圧縮機を含んでいてもよく、そこでは、水素化分解及び/又は水素化処理ゾーンに導入する前に、水素を第1段階圧縮機に導入した後、第2段階圧縮機に導入する。水素化処理及び/又は水素化分解反応器を使用する場合は、生成した水素を再循環水素及びプロセス供給物と一緒にし、この反応器への供給物を生成してもよい。
【0067】
水素化処理/水素化分解ゾーンの下流では、主分留ゾーンの上流に位置する高圧分離器の頂部からの高水素濃度ガスを好ましくはアミン処理して硫化水素を除去し、水で洗浄してアンモニアを除去した後、水素化分解ゾーン再循環ガス圧縮機に送ってもよく、次いで、水素化分解ゾーン再循環ガス圧縮機によって、再循環水素ガスを2つの可能な位置、すなわち、第2段階圧縮機及び/又は水素化処理/水素化分解ゾーンに送ってもよい。
【実施例】
【0068】
以下の実施例1は本発明の方法の一側面を利用する。上述のように、本方法では、主分留ゾーンへの原料を分離して71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲を有するナフサ流を得、ナフサ流を上記改質/トランスアルキル化ゾーンに送った。次いで、上述のように改質/トランスアルキル化ゾーンからの流出物を分離及び分留してキシレン流を得た。
【0069】
実施例2では、実施例1で使用した同一の原料を主分留ゾーンで2つの流、すなわち、ナフサ流(71℃(160°F)〜216℃(420°F)の沸点範囲)とより重質の炭化水素ディーゼル沸点範囲流(204℃(400°F)を超える沸点範囲)に分離した。最初にキシレン沸点範囲材料(136℃(276°F)〜143℃(290°F)の沸点範囲)をナフサ流から分離し、次いで、残りのナフサ流を分離した後、改質/トランスアルキル化ゾーンに送る。従って、C8流を最初に最終分留塔に直接送り(すなわち、キシレン製品塔に送り)、キシレン沸点範囲材料の分離後、キシレン塔からの塔底流を改質/トランスアルキル化ゾーンに再循環させる。
【0070】
以下の表に、実施例1及び実施例2の方法によって得られた材料収支データを示すように、本発明のこの側面の方法によって、キシレンの収率を顕著に低下させることなくキシレン純度を実質的に向上させる。また、キシレン製品含有量(すなわち、パラキシレン、オルトキシレン及びメタキシレン)に換算した実施例1の方法からのC8芳香族留分の純度は、エチルベンゼン及び/又は他の非キシレンC8芳香族化合物の含有量がより高い実施例2の方法からのC8芳香族留分の純度よりも向上する(例えば、A8キシレン製品の純度を参照)。
【0071】
【表1】

【0072】
図面は、本明細書に記載する方法及び処理装置の好適な態様の簡略プロセスフロー図である。上記図面は、本方法及び本装置を概略的に説明することを意図するものであり、いかなる発明も限定するものではない。
【0073】
分解軽油を含有する液体炭化水素系原料は、ライン1からプロセスに導入してもよく、ライン48及び51によって供給される後述の水素再循環流と混合してもよい。得られた混合物はライン2を通して移動してもよく、ライン46によって供給される後述の高水素濃度ガス流と合わせてもよい。このようにして得られた混合物はライン3を通して移動し、水素化処理/水素化分解ゾーン4に導入することができる。水素化処理/水素化分解ゾーン4から得られた流出物はライン5を通して移動し、分留ゾーン6に導入することができる。高水素濃度ガス流はライン9によって分留ゾーン6から排出し、アミン洗浄装置41に導入することができる。硫化水素及びアンモニアは、ライン42によってアミン洗浄装置41から排出及び回収することができる。
【0074】
硫化水素及びアンモニアの濃度が低下した高水素濃度ガス流をアミン洗浄装置41から排出し、ライン47を通して再循環圧縮機57に移動することができる。ナフサを含有する液体炭化水素流はライン7によって分留ゾーン6から排出し、ライン7から分留ゾーン8に導入し、フラッシュ分離した後、ライン10及び11から分留ゾーン12に導入することができる。プロパン及びブタン流は、ライン59によって分留ゾーン12の塔頂から排出し、LPG回収物に送ってもよい。液体炭化水素流は、ライン13によって分留ゾーン12から排出し、主分留ゾーン14に導入することができる。超低硫黄ディーゼルを含有する炭化水素流は、ライン17を通して移動し、分留ゾーン14から排出することができる。C5/ガソリンを含有する別の炭化水素流は、ライン15によって分留ゾーン14から排出してもよい。C7+芳香族化合物を含有するさらに別の炭化水素流は、ライン16及び60によって分留ゾーン14から排出し、改質/トランスアルキル化ゾーン18に送ることができる。
【0075】
高水素濃度ガスは、ライン39を通して移動し、必要に応じてライン40及び60から改質/トランスアルキル化ゾーン18に導入してもよい。改質/トランスアルキル化ゾーン18のトランスアルキル化部分から得られた流出物はライン19を通して移動し、気液分離器20に導入することができる。高水素濃度ガス流は、ライン21によって気液分離器20から排出し、場合に応じて第2段階の水素圧縮機56に導入して圧縮高水素濃度ガス流を生成してもよい。圧縮高水素濃度ガス流はライン45によって運ばれ、ライン46及び3から水素化分解ゾーン4に導入することができる。
【0076】
トランスアルキル化された炭化水素を含有する液体炭化水素流をライン22によって気液分離器20から排出し、ベンゼンストリッパー23に導入することができる。ベンゼン含有流をライン24によってベンゼンストリッパー23から排出し、場合に応じてライン11を通して移動し、場合に応じて分留ゾーン12に導入してもよい。C7+芳香族化合物含有液体流をライン25によってベンゼンストリッパー23から排出し、トルエン塔26に導入することができる。トルエン含有流をライン27によってトルエン塔26から排出し、一部をライン30、32、34、40及び60を通して移動し、改質/トランスアルキル化ゾーン18に導入してもよく、あるいは、一部をライン30、31及び33からトランスアルキル化ゾーンに導入し、そのようにして改質ゾーンを迂回してもよい。トルエン含有流の別の部分を、ライン29によってトルエン塔26から排出し、回収することができる。
【0077】
C8+芳香族化合物含有液体流を、ライン28によってトルエン塔26から排出し、分留ゾーン35に導入することができる。キシレン含有流をライン36によって分留ゾーン35から排出し、回収することができる。C9及びC10芳香族化合物を含有するサイドカット流をライン38によって分留ゾーン35から排出し、ライン38、61、34、40及び60から改質/トランスアルキル化ゾーン18に導入することができる。別の態様では、ライン38中のC9及びC10芳香族化合物を含有するサイドカット流を、改質/トランスアルキル化ゾーン18の改質部分を迂回して、ライン38、62及び33を通して改質/トランスアルキル化ゾーン18のトランスアルキル化部分に直接送ってもよい。C10+芳香族化合物を含有する炭化水素流をライン37によって分留ゾーン35から排出することができる。
【0078】
本質的に硫化水素を含有しない高水素濃度ガス流を、ライン53から第1段階の水素圧縮機54に導入し、得られた圧縮高水素濃度ガスは、ライン55を通して第2段階の水素圧縮機56に移動した後、ライン45及び3を通してさらに移動して水素化処理/水素化分解ゾーン4に導入する。また、得られた圧縮高水素濃度ガス流をライン58によって再循環圧縮機57から排出し、一部をライン48、51、2及び3によって運び、上記のように高水素濃度再循環ガスとして水素化処理/水素化分解ゾーン4に導入し、残部をライン49によって運び、上述のライン45によって供給される高水素濃度ガスと合わせ、得られた混合物をライン46及び3を通して移動し、水素化分解ゾーン4に導入してもよい。高水素濃度ガス流をライン48及び50から供給し、場合に応じて、水素化処理ゾーンを迂回して水素化分解ゾーン4に導入することができる。
【0079】
上記記載及び図面は、本発明の方法が包含する利点及びその使用によって得られる利益を明確に説明するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キシレン含有量が3%を超え、71℃(160°F)〜216℃(420°F)の範囲で沸騰するナフサ流(16)を得る工程と、
(b)該ナフサ流の少なくとも一部を、トランスアルキル化ゾーン(18)内でトランスアルキル化条件下で少なくともトランスアルキル化触媒と接触させて液体炭化水素系トランスアルキル化流出物(19)及び水素を含んでなるガス流を生成する工程であって、該トランスアルキル化条件は、該トランスアルキル化流出物が実質的に非芳香族化合物共沸物を含有しないキシレンを含みかつ該トランスアルキル化触媒と接触させる前の該ナフサ流(16)のキシレン含有量よりも高いキシレン含有量を有するように選択される工程と、
(c)該トランスアルキル化ゾーン(18)後に、キシレンを回収して少なくとも90重量%のキシレン含有量を有するキシレン製品を得る工程と
を含んでなるキシレンの製造方法。
【請求項2】
少なくとも80%の環状成分含有量を有するナフサ流(16)を得、該ナフサ流(16)が10%〜40%のナフテン含有量をさらに有すると共に15%未満のパラフィン含有量を有し、かつ、該ナフサ流(16)がC7、C8及びC9芳香族成分を含む中間留分ナフサを主に含み、該中間留分流が該ナフサ流の該C8芳香族成分を実質的にすべて含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
キシレン製品(36)が98%を超える全キシレン含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
トランスアルキル化ゾーン(18)からの製品流(22)をベンゼンストリッパー(23)及びトルエンストリッパー(26)に誘導してストリップされたベンゼン製品流(24)及びストリップされたトルエン製品流(27)を得る工程をさらに含み、ストリップされた製品流の一方又は両方の一部を該トランスアルキル化ゾーン(18)に再循環させる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
炭化水素系供給流(13)を主分留ゾーン(14)に送る工程をさらに含んでなり、該主分留ゾーン(14)からの該供給流(13)を少なくともナフサ流(16)に分離した後、トランスアルキル化触媒と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
主分留ゾーン(14)内の供給流(13)を、91℃(195°F)未満で沸騰する軽質炭化水素流を主に含んでなる第1の留分(15)と、193℃(380°F)を超える温度で沸騰する超低硫黄ディーゼル流を主に含んでなる第3の留分(17)とに分離する工程をさらに含み、ナフサ流(16)が第2の留分である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ナフサ流(16)の少なくとも一部を改質ゾーン(18)内で改質条件下で改質触媒と接触させて水素及び芳香族化合物を含んでなる改質ゾーン流出物を生成した後、トランスアルキル化ゾーン(18)に送る工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
改質条件が700kPa(100psig)〜3.5MPa(500psig)の圧力、300℃(572°F)〜565℃(1049°F)の温度、及び0.2〜20hr−lの液空間速度を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
トランスアルキル化条件が、200℃(392°F)〜540℃(1004°F)の温度、700kPa(100psig)〜6MPa(870psig)の圧力、及び0.1〜20hr−1の液空間速度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
主分留ゾーン(14)の上流においてC9+炭化水素(1)を含んでなる炭化水素系流を水素化分解ゾーン(4)内で水素化分解条件下で水素化分解触媒と接触させてキシレンを含んでなる水素化分解ゾーン流出物(5)を生成し、該流出物(5)の一部を該主分留ゾーン(14)に送る工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2010−514776(P2010−514776A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544145(P2009−544145)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/086554
【国際公開番号】WO2008/082842
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(598055242)ユーオーピー エルエルシー (182)
【Fターム(参考)】