説明

キノリン化合物の合成のための新規な化学的方法

パラジウム触媒の非存在下で特に3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを含む、キノリン環系の8位にアミン基を有する3−フェニルスルホニルキノリンを製造する新規な簡略化され、かつ経済的な方法を述べる。そのように製造された3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンは、所望によりその多形形態のうちの1つに結晶化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリン化合物、特に、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの合成のための新規な化学的方法に関し、その多形形態の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
WO03/080580(Glaxo Group Limited)は、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの2つの多形形態(形態1;実施例51および形態II;実施例52)に加えて、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを含むスルホニルキノリン化合物(実施例16)の調製を記述している。これらのスルホニルキノリンは、5−HT受容体に対する親和性を有すると開示され、CNSおよび他の障害の治療に有用であると主張されている。3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンは、アルツハイマー病の可能性のある治療薬として現在試験中である。
【0003】
WO05/040124(Glaxo Group Limited)は、形態IおよびIIより高い融点を有することを特徴とする3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンのさらなる多形形態を記述している。3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンのこのさらなる多形形態は、形態IIIと呼ばれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術分野において記述されている3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを製造するために用いられている方法は、パラジウム触媒の存在下で8−ヨード−3−フェニルスルホニルキノリンとピペラジンとを反応させることを含む。しかし、パラジウムは貴金属であり、したがって、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを製造する方法にそれを使用することにより、当該方法を実施するための費用は多大なものとなる。
【0005】
さらに、パラジウムは有毒であるので、該金属を化学反応における触媒として用いる場合、および反応が完結したときに触媒を廃棄する場合に、予防措置を講じなければならない。再び、そのような予防措置の履行により、パラジウムを触媒として使用する化学的方法を実施するための費用は多大なものとなる。
【0006】
したがって、パラジウム触媒の使用を回避するキノリン環系の8位にアミン基を有する3−フェニルスルホニルキノリンを製造する簡潔かつ経済的な方法の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
パラジウム触媒の非存在下で3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを含む、キノリン環系の8位にアミン基を有する3−フェニルスルホニルキノリンを製造する新規な簡略化され、かつ経済的な方法が今回発見された。そのように製造された3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンは、次に所望によりその多形形態のうちの1つに結晶化することができる。
【0008】
したがって、本発明の第1の態様において、式(I):
【0009】
【化1】

(I)
の化合物またはその塩を製造する方法であって、
式(II):
【0010】
【化2】

(II)
の化合物を塩基および溶媒の存在下で式RNHの化合物と反応させることを含む方法を提供する
[式中、
およびRは、独立に水素またはC1〜6アルキルを表すか、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、O、NおよびSから選択される1個または2個のさらなるヘテロ原子を含んでもよい、置換されていてもよい4〜7員単環式ヘテロシクリル基を形成しており、
Phは、置換されていてもよいフェニル基を表す]。
【0011】
およびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって、置換されていてもよい4〜7員単環式ヘテロシクリル基を形成している場合、該ヘテロシクリル基は、ハロゲン、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシおよび−COC1〜6アルキルからなる群から選択される同じまたは異なっていてもよい1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)の置換基で置換されていてもよい。
【0012】
Phが所望により置換されている場合、該フェニル基は、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、アミド、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびC1〜6アルキルからなる群から選択される同じまたは異なっていてもよい1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)の置換基で置換されていてもよい。
【0013】
「ヘテロシクリル」という用語は、特に断らない限り、酸素、窒素または硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含む4〜7員単環式飽和または部分的不飽和脂肪族環を意味することを意図する。そのような単環の適切な例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、オキシピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジアゼパニル、アゼパニル、ジヒドロイミダゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアピラニルおよびテトラヒドロフラニルなどがある。
【0014】
「塩基」という用語は、プロトン受容体として作用することができる任意の物質を意味することを意図する。炭酸カリウムは、上述の方法に使用するのに適する塩基の例である。
【0015】
「溶媒」という用語は、他の物質を溶解することができる物質を意味することを意図する。N−プロパノールは、上述の方法における反応物を溶解するのに適する溶媒の例である。
【0016】
本発明の第1の態様において述べた方法の特定の実施形態において、該方法をパラジウムの非存在下で、かつ、より詳細に任意の金属の非存在下で実施する。
【0017】
本明細書で述べる本発明の第1の態様の特定の実施形態において、RNHは、ピペラジンを表し、より詳細には、式(II)の化合物に対するピペラジンのモル当量が約3より大きく、また1つの実施形態において約5より大きくするように過剰なピペラジンである。
【0018】
本発明の第1の態様の1つの実施形態において、フェニルは置換されていない。
【0019】
本発明の第1の態様の1つの実施形態において、式(II)の化合物は8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンであり、式RNHの化合物はピペラジンである。
【0020】
本発明の第1の態様の1つの実施形態において、式(II)の化合物とRNHとの反応を約95から約105℃までの温度で行わせる。さらなる実施形態において、反応を約100℃の温度で行わせる。
【0021】
本発明の第1の態様の1つの実施形態において、反応を窒素中で行わせる。
【0022】
本発明の第1の態様のさらなる実施形態において、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを炭酸カリウムおよびn−プロパノールの存在下で過剰のピペラジンと約95から約105℃までの温度で反応させることを含む、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを調製する方法を提供する。
【0023】
本発明の第2の態様は、式(III):
【0024】
【化3】

(III)
[式中、Rはヨウ素または臭素を表す]
の化合物をジアミンリガンド、金属触媒、塩基および極性非プロトン性溶媒の存在下でHSOPhまたはその塩と反応させることを含む式(II)の化合物またはその塩を調製する方法を提供する。
【0025】
「ジアミンリガンド」という用語は、金属触媒内の金属原子と電子を共有し、それにより、金属触媒と安定な錯体を形成することができる2つのアミノ基を含む任意の分子を意味することを意図する。ジアミンリガンドの例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびN,N’−ジメチルエチレンジアミンなどがある。
【0026】
「金属触媒」という用語は、少なくとも1つの金属原子を含む任意の触媒、例えば、ヨウ化銅(CuI)を意味することを意図する。
【0027】
「極性非プロトン性溶媒」という用語は、H結合に供与することができる水素原子を有さない任意の親水性溶媒を意味することを意図する。極性非プロトン性溶媒の例としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびヘキサメチルホスホロトリアミドなどがある。
【0028】
「塩基」という用語は、プロトン受容体として作用することができる任意の物質を意味することを意図する。ジイソプロピルエチルアミンは、上述の本発明の第2の態様の方法に使用するのに適する塩基である。
【0029】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、式(III)の化合物は、8−フルオロ−3−ヨードキノリンである。
【0030】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、HSOPhの塩は、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩である。
【0031】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、ジアミンリガンドは、N,N’−ジメチルエチレンジアミンである。
【0032】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、金属触媒は、CuIである。
【0033】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、塩基は、ジイソプロピルエチルアミンおよび炭酸カリウムからなる群から選択される。
【0034】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、極性非プロトン性溶媒は、ジメチルスルホキシドである。
【0035】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、反応を約60から約110℃までの温度で行わせる。さらなる実施形態において、反応を約90から約105℃までの温度で行わせる。さらなる実施形態において、反応を約100から約103℃までの温度で行わせる。
【0036】
本発明の第2の態様の1つの実施形態において、反応を窒素中で行わせる。
【0037】
本発明の第2の態様のさらなる実施形態において、8−フルオロ−3−ヨードキノリンをN,N’−ジメチルエチレンジアミン、CuI、ジイソプロピルエチルアミンおよびジメチルスルホキシドの存在下でHSOPhナトリウム塩と約90から約105℃までの温度で反応させることを含む、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを調製する方法を提供する。
【0038】
本発明の第3の態様は、8−フルオロキノリンを溶媒の存在下で電子親和性ヨウ素または臭素の供給源として作用することができるヨウ素化剤または臭素化剤と反応させることを含む、式(III)の化合物またはその塩を調製する方法を提供する。
【0039】
「ヨウ素化剤」という用語は、電子親和性ヨウ素の供給源として作用することができる任意のヨウ素含有分子を意味することを意図する。ヨウ素化剤の例は、N−ヨードコハク酸イミドである。
【0040】
「臭素化剤」電子親和性臭素の供給源として作用することができる任意の臭素含有分子を意味することを意図する。臭素化剤の例は、N−ブロモコハク酸イミドである。
【0041】
上述のような式(III)の化合物を調製する方法に用いるのに適する溶媒の例は、酢酸(AcOH)である。
【0042】
本明細書で述べる本発明の第3の態様の1つの実施形態において、ヨウ素化剤はN−ヨードコハク酸イミドであり、臭素化剤はN−ブロモコハク酸イミドである。
【0043】
本明細書で述べる本発明の第3の態様の1つの実施形態において、反応を約60から約100℃までの温度で行わせる。さらなる実施形態において、反応を約75から約85℃までの温度で行わせる。さらなる実施形態において、反応を約80℃の温度で行わせる。
【0044】
本発明の第3の態様の1つの実施形態において、反応を窒素中で行わせる。
【0045】
本明細書で述べる本発明の第3の態様の1つの実施形態において、反応が完結したとき、任意の残存ヨウ素化剤または臭素化剤を還元するために、還元剤、例えば、亜硫酸ナトリウム溶液を反応混合物に加える。
【0046】
「還元剤」という用語は、電子またはその電子の一部を他の物質に供与する任意の物質を意味することを意図する。
【0047】
本発明の第3の態様のさらなる実施形態において、8−フルオロキノリンを酢酸の存在下でN−ヨードコハク酸イミドまたはN−ブロモコハク酸イミドと約75から約85℃までの温度で反応させることを含む、8−フルオロ−3−ヨードキノリンを調製する方法を提供する。
【0048】
本発明のさらなる実施形態において、式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)8−フルオロキノリンを溶媒の存在下で電子親和性ヨウ素または臭素の供給源として作用することができるヨウ素化剤または臭素化剤と反応させて、式(III)の化合物を生成させ、反応が完結したとき還元剤を加えてもよい工程、
(ii)式(III)の化合物をジアミンリガンド、金属触媒および極性非プロトン性溶媒の存在下でHSOPhまたはその塩と反応させて、式(II)の化合物を生成させる工程、および
(iii)式(II)の化合物を塩基および溶媒の存在下で式RNHの化合物と反応させて、式(I)の化合物またはその塩を生成させる工程
を含む方法を提供する。
【0049】
1つの実施形態において、上の方法の工程(iii)をパラジウム触媒の非存在下で行わせるか、任意の金属触媒の非存在下で行わせる。
【0050】
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン調製する方法であって、
(i)8−フルオロキノリンを酢酸の存在下でN−ヨードコハク酸イミドまたはN−ブロモコハク酸イミドと約75から約85℃までの温度で反応させて8−フルオロ−3−ヨードキノリンを生成させ、次いで、反応が完結したとき亜硫酸ナトリウム溶液を加える工程、
(ii)8−フルオロ−3−ヨードキノリンをN,N’−ジメチルエチレンジアミン、CuI、ジイソプロピルエチルアミンおよびジメチルスルホキシドの存在下でベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩と約90から約105℃までの温度で反応させて、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを生成させる工程、および
(iii)8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを炭酸カリウムおよびn−プロパノールの存在下で過剰のピペラジンと約95から約105℃までの温度で反応させて、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを生成させる工程
を含む方法を提供する。
【0051】
この方法は、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを酢酸エチルに溶解し、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させることを含む、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン多形形態Iの調製をさらに含んでもよい。
【0052】
該方法は、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンをイソプロパノールに溶解し、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させることを含む、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン多形形態IIの調製をさらに含んでもよい。
【0053】
該方法は、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンをエタノールに溶解し、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させることを含む、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン多形形態IIIの調製をさらに含んでもよい。
【0054】
上述の再結晶工程のいずれかにおいて、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを溶媒に溶解した後、混合物を例えば、炭によりろ過して、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させる前に任意の不溶性物質を除去してもよい。
【0055】
上述の再結晶工程のいずれかにおいて、再結晶を促進するために、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物に所望の多形形態の、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを接種してもよい。
【0056】
本発明の1つの実施形態において、したがって、
(i)8−フルオロキノリンを酢酸の存在下でN−ヨードコハク酸イミドまたはN−ブロモコハク酸イミドと約75から約85℃までの温度で反応させて8−フルオロ−3−ヨードキノリンを生成させ、次いで、反応が完結したとき亜硫酸ナトリウム溶液を加える工程、
(ii)8−フルオロ−3−ヨードキノリンをN,N’−ジメチルエチレンジアミン、CuI、ジイソプロピルエチルアミンおよびジメチルスルホキシドの存在下でベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩と約90から約105℃までの温度で反応させて、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを生成させる工程、
(iii)8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを炭酸カリウムおよびn−プロパノールの存在下で過剰のピペラジンと約95から約105℃までの温度で反応させて、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを生成させる工程、および
(iv)3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを
(a)酢酸エチルに溶解し、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物を場合によってろ過し、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させて、多形形態Iを形成させる、または
(b)イソプロパノールに溶解し、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物を場合によってろ過し、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させて、多形形態IIを形成させる、または
(c)エタノールに溶解し、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物を場合によってろ過し、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させて、多形形態IIIを形成させる工程
を含む、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの多形形態I、IIまたはIIIを調製する方法を提供する。
【0057】
本発明のさらなる態様において、すぐ直前に記載の方法は、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物に、工程(a)にて3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの形態Iを、工程(b)にて形態IIを、あるいは工程(c)にて形態IIIを播種する付加的な工程を含む。
【0058】
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの「多形形態I」は、以下:
(i)2945、2819、1606、1590、1566、1487、1469、1447、1380、1323、1283、1247、1164、1138、1126、1107、1095、1083、1056、1026、997、964、949、919、906、879、859、824、785、761、723、705cm−1にピークを有する赤外線スペクトル;および/または
(ii)215、252、293、304、315、338、556、705、858、997、1025、1098、1154、1363、1382、1397、1566、1584、1606および3059cm−1にピークを有するラマンスペクトル;および/または
(iii)6.84、8.61、10.47、13.01、15.11、15.90、16.24、16.63、17.20、18.00、19.65、21.07、21.66、22.20、22.62、23.99、25.61、26.12、26.76、27.96、28.86、29.64、30.26、30.85、31.31、32.60、33.08、33.70、34.35、35.65、36.85、38.05および38.46°での特徴的な2θXRPD角;および/または
(iv)158℃の融点
の特性により特徴付けられる。
【0059】
6.84、8.61、10.47、13.01、15.11、15.90、16.24、16.63、17.20、18.00、19.65、21.07、21.66、22.20、22.62、23.99、25.61、26.12、26.76、27.96°の2θXRPD角は、特に形態Iに固有のものである。
【0060】
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの「多形形態II」は、以下:
(i)3335、2939、2812、1585、1564、1485、1470、1443、1382、1361、1322、1310、1250、1232、1179、1158、1129、1107、1093、1061、1022、1000、950、914、862、813、774、760、727cm−1にピークを有する赤外線スペクトル;および/または
(ii)216、252、288、617、701、726、863、1000、1026、1078、1153、1197、1339、1360、1381、1396、1445、1564、1584および3052cm−1にピークを有するラマンスペクトル;および/または
(iii)9.30、9.95、10.99、13.40、14.63、15.03、16.04、16.47、17.93、18.19、18.73、19.17、20.69、21.49、22.12、23.55、24.59、25.27、27.03、28.22、28.61、29.48、29.81、30.70、32.05、33.32、33.95、34.39、34.90、35.77、36.25、36.80、37.60、38.19、38.70および39.26°での特徴的な2θXRPD角;および/または
(iv)164℃の融点
の特性により特徴付けられる
【0061】
9.30、9.95、10.99、13.40、14.63、15.03、16.04、16.47、17.93、18.19、18.73、19.17、20.69、21.49、22.12、23.55、24.59、25.27、27.03°の2θXRPD角は、特に形態IIに固有のものである。
【0062】
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの「多形形態III」は以下:
(i)724、758、777、804、818、838、856、905、918、948、1023、1055、1081、1092、1118、1136、1153、1178、1244、1302、1318、1365、1378、1403、1444、1471、1490、1569、1584、1603および2819cm−1にピークを有する赤外線スペクトル;および/または
(ii)159、184、214、241、285、304、318、429、545、558、614、706、724、803、856、1000、1023、1080、1093、1136、1152、1233、1243、1317、1343、1364、1378、1403、1446、1569、1584、1602、3050および3073cm−1にピークを有するラマンスペクトル;および/または
(iii)10.29、10.76、11.94、14.33、14.61、14.93、16.02、16.80、17.47、17.92、19.13、19.55、19.84、20.33、21.16、21.36、23.33、23.96、24.44、24.67、25.51、26.12、27.13、27.77、28.06、28.35、29.23、29.46、30.06、30.35、31.27、32.35、32.66、33.08、33.77、34.49、35.18、36.42、37.34、38.39および39.51°での特徴的な2θXRPD角;および/または
(iv)188℃での融点
の特性により特徴付けられる。
【0063】
10.29、11.94、17.47、19.55、19.84および20.33°の2θXRPD角は、特に形態IIIに固有のものである。
【0064】
本発明のさらなる態様において、式(II)および(III)の化合物を提供する。
【0065】
本発明のこのさらなる態様の1つの実施形態において、化合物8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンおよび8−フルオロ−3−ヨードキノリンを提供する。これらの化合物は、本明細書で述べる方法における中間体である。
【0066】
式(I)、(II)および(III)の化合物、例えば、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンおよび8−フルオロ−3−ヨードキノリンは、それらの酸付加塩を形成することができる。製薬上許容できる適切な塩は、当業者には明らかであり、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸、および有機酸、例えば、コハク酸、マレイン酸、酢酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸またはナフタレンスルホン酸を用いて形成される酸付加塩などのJ.Pharm.Sci.、1977、第66巻、1〜19ページに記載されているものを含む。本発明は、その範囲内に式(II)および(III)の化合物のすべての可能な化学量論的および非化学量論的形、例えば、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンおよび8−フルオロ−3−ヨードキノリンを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
以下の非限定的実施例は、本発明の方法を例示するものである。
【実施例】
【0068】
(実施例1a)
8−フルオロ−3−ヨードキノリンの調製
【0069】
【化4】

N−ヨードコハク酸アミド(68.56g、305.81ミリモル、1.5当量)をAcOH(129ml、4.3体積)中8−フルオロキノリン(30g、203.87ミリモル)の溶液に加えた。混合物を250mL CLR(制御式実験用反応器)中N下において撹拌し、80℃に加熱した。24時間後に、残存ヨウ素を失活させるために80℃に1時間維持しながら、NaSO(15g、0.5重量)をHO(63ml、2.1体積)とともにフラスコに加えた。1時間後に、反応物を80℃から22℃に30分間にわたって冷却した。22℃に達したとき、結晶を真空下でろ別し、2:1AcOH/HO(60ml、2体積)およびHO(180mL、3×2体積)で洗浄し、結晶を乾燥した。結晶を50℃の油浴に接続したオーブン中において減圧下で乾燥した。ケーキをオーブンから取り出して、表題化合物を淡褐色固体として得た(38.63g、66%)。
【0070】
(実施例1b)
8−フルオロ−3−ヨードキノリンの調製
【0071】
【化5】

N−ヨードコハク酸アミド(NIS)(229.0g、1.018モル、2.29重量、1.50当量)を氷酢酸(AcOH)(430ml、4.3体積)中8−フルオロキノリン(100.0g、0.68モル、1.00重量、1.00当量)の撹拌溶液に加えた。8−フルオロキノリンは、Orgasynth(www.orgasynth.com)から入手することができる。混合物を窒素下で約80℃に加熱した。23.5時間後に、亜硫酸ナトリウム(50.0g、0.397モル、0.5重量、0.584当量)および水(210ml、2.1体積)を加え、混合物を約80℃に再加熱した。1.5時間後に、混合物を約60〜65℃に冷却し、8−フルオロ−3−ヨードキノリン(100mg、0.1重量%)を接種した。生成物は速やかに結晶化するので、撹拌スラリーを1.5時間にわたって室温に冷却した。1.25時間後に、真空ろ過により生成物を収集した。層を1:1酢酸/水(2×300ml、3体積)および水(2×300ml、2×3体積)で洗浄した。層を5分間吸引乾燥し、物質をさらなる処理に供せずに用いた。物質のサンプルを真空中で40〜45℃で乾燥して、所望の生成物を75%の収率で得た。
H NMR、D MeOH、400MHz
7.50ppm(1H,ddd,J 1.5,7.5&11.0Hz)、7.58ppm(1H,dt,J 5&8Hz)、7.64ppm(1H,dd,J 1.0&8.5Hz)、8.78ppm(1H.t,J 1.5Hz)、8.99ppm(1H,d,J 2.0Hz)
【0072】
(実施例2a)
8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンの調製
【0073】
【化6】

ジメチルスルホキシド(500ml、5体積)、85%N,N’−ジメチルエチレンジアミン(9.2mL、0.092体積、0.20当量)およびヨウ化銅(CuI)(7g、0.07重量、0.10当量)の混合物を室温で15分間撹拌して、溶液を生じさせた。水(200ml、2体積)を加え、混合物を22℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(64mL、0.64体積、1.00当量)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩(120.0g、1.20重量、2.00当量)および8−フルオロ−3−ヨードキノリン(1.4重量/重量%AcOHおよび22重量/重量%HOを含む123.4gの物質[100gの8−フルオロ−3−ヨードキノリン、1.00重量、1.00当量に相当する])を順次加え、得られたスラリーを窒素中で1時間にわたり100℃に加熱し、次いで、98〜102℃に10時間維持し、1時間にわたり22℃に冷却し、次いで、内容物をさらに1時間撹拌した。生成物を真空ろ過により収集し、ケーキを5:2体積/体積ジメチルスルホキシド−水(2×100ml、2×2.00体積)および水(2×100ml、2×2.00体積)で洗浄した。層を吸引乾燥し、生成物を真空中で45〜50℃で乾燥して、表題化合物78.6g(収率75%)を得た。
H NMR、CDCl、400MHz
7.54〜7.67ppm、(5H,m)、7.79ppm(1H,d,8.0Hz)、8.04ppm(2H,d,7.5Hz)、8.86ppm(1H,s)、9.32ppm(1H,d,2.0Hz)。
【0074】
(実施例2b)
8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンの調製
【0075】
【化7】

ヨウ化銅(CuI)(0.7g、0.07重量、0.10当量)をジメチルスルホキシド(50ml、5体積)および85%N,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.92ml、0.092体積、0.20当量)の撹拌溶液に加えた。混合物を室温で5分間撹拌して、溶液を生じさせた。水(20ml、2体積)を加え(発熱、内容物が40℃に上昇)、内容物を40〜50℃に維持した。ジイソプロピルエチルアミン(6.4ml、0.64体積、1.00当量)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩(12.0g、1.20重量、2.00当量)および8−フルオロ−3−ヨードキノリン(10.0g、1.00重量、1.00当量)を順次加え、得られたスラリーを窒素中で100℃に加熱し、次いで、100℃で12時間維持した。その後、反応混合物を1時間にわたって20℃に冷却し、次いで、20℃で5時間熟成した。生成物を真空ろ過により収集し、ケーキを5:2体積/体積ジメチルスルホキシド−水(2×10ml、2×1.00体積)および水(2×20ml、2×2.00体積)で洗浄した。層を吸引乾燥し、生成物を真空中で50℃で乾燥して、表題化合物8.04g(収率76%)を得た。
H NMR、CDCl、400MHz
7.54〜7.67ppm、(5H,m)、7.79ppm(1H,d,8.0Hz)、8.04ppm(2H,d,7.5Hz)、8.86ppm(1H,s)、9.32ppm(1H,d,2.0Hz)。
【0076】
(実施例3a)
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの調製
【0077】
【化8】

フラスコに8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリン(50.00g、174.03ミリモル、1.00重量、1.00当量)、ピペラジン(74.95g、870.14ミリモル、1.50重量、5.00当量)、炭酸カリウム(24.05g、174.03ミリモル、0.48重量、1.00当量)およびn−プロパノール(100ml、2体積)を入れた。混合物を撹拌し、窒素中で約100℃に加熱した。17.25時間後に、水(400ml、8体積)を93〜98℃で1.25時間にわたって加えた。スラリーを室温に冷却した。1.5時間後に、生成物を真空ろ過により収集した。層を4:1水/n−プロパノール(2×100ml、2×2体積)および水(2×100ml、2×2体積)で洗浄した。層を短時間吸引乾燥し、次いで、生成物を真空中で50〜55℃で乾燥して、表題化合物50.92g(収率82.8%)を得た。
H NMR、CDCl、400MHz
3.17ppm(4H,t,J 4.5Hz)、3.34ppm(4H,t,J 4.5Hz)、7.27ppm(1H,dd,J 2.0&7.0Hz)、7.49〜7.60ppm(5H,m)、8.00〜8.02ppm(2H,m)、8.76ppm(1H,d,J 2.5Hz)、9.22ppm(1H,d,J 2.5Hz)。
【0078】
(実施例3b)
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン形態IIIの調製
【0079】
【化9】


容器に8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリン(20.00g、1.00重量、1.00当量)、ピペラジン(30.0g、50重量、5.00当量)、炭酸カリウム(9.60g、0.48重量、1.00当量)およびn−プロパノール(40ml、2体積)を入れた。混合物を撹拌し、窒素中で約100℃に加熱した。23時間後に、反応混合物を95℃に冷却し、n−プロパノール(2×0.1ml、2×0.005体積)でスラリーにした形態III3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン(20mg、0.001重量、0.001当量)を接種した。(形態III3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを調製する方法についてはWO05/040124を参照のこと。)反応混合物を95℃で15分間熟成し、1時間にわたって30℃に冷却した。水(160ml、8体積)を1時間にわたって加え、内容物を30〜34℃に維持した。スラリーを30℃で16時間熟成し、次いで、生成物を真空ろ過により収集した。層を4:1水/n−プロパノール(2×40ml、2×2体積)で洗浄し、吸引乾燥した。生成物を真空中で50℃で乾燥して、表題化合物21.25g(収率86%)を得た。
H NMR、CDCl、400MHz
3.17ppm(4H,t,J 4.5Hz)、3.34ppm(4H,t,J 4.5Hz)、7.27ppm(1H,dd,J 2.0&7.0Hz)、7.49〜7.60ppm(5H,m)、8.00〜8.02ppm(2H,m)、8.76ppm(1H,d,J 2.5Hz)、9.22ppm(1H,d,J 2.5Hz)。
【0080】
(実施例4a)
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの多形形態IIへの再結晶化
【0081】
【化10】


3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン(80.0g)およびイソプロパノール(1440mL、18体積)の混合物を加熱して15分間還流し、混合物をGF/Bろ紙を通して真空下でろ過して、不溶物を除去した。フィルターとフラスコを熱イソプロパノール(160mL、2体積)で洗浄し、追加のイソプロパノール(140mL)を溶液に加えて、ろ過過程での蒸発損失を補った。ろ液を加熱して還流し、冷却により結晶化した固体を溶解し、次いで、CUNO(商標)固定化炭フィルター(www.cuno.com)に通した。次いで、フィルターを還流イソプロパノール(400mL、5体積)ですすいだ。ろ液を加熱して還流し、冷却により結晶化した固体を溶解した。次いで、得られた溶液を50℃に冷却し、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン(形態II、80mg、0.001重量、0.001当量)を接種した(形態II3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを調製する方法についてはWO03/080580を参照のこと。)内容物を15分間熟成し、1時間にわたって22℃に冷却し、次いで、さらに1時間20分間にわたり22℃で熟成した。内容物をろ過し、ケーキをイソプロパノール(2×80mL、2×1体積)で洗浄した。ケーキを吸引乾燥し、次いで、減圧下で50℃で一夜乾燥して、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン、形態II(57.9g、72%)を得た。
【0082】
(実施例4b)
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの多形形態IIへの再結晶化
【0083】
【化11】


3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン(813g)およびイソプロパノール(16.3L、20体積)の混合物を80〜82℃で35分間加熱し、次いで、CUNO(商標)固定化炭フィルター(www.cuno.com)に通し、次いで、フィルターを還流イソプロパノール(2.4L、3体積)ですすいだ。ろ液を加熱して還流し、冷却により結晶化した固体を溶解した。得られた溶液を63℃に冷却し、イソプロパノール(2×8ml、2×0.01体積)でスラリーにした3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン、形態II(0.81g、0.001重量、0.001当量)を接種した。(形態II3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを調製する方法についてはWO03/080580を参照のこと。)内容物を63〜61℃で15分間熟成し、3時間45分間にわたって22℃に冷却し、次いで、さらに30分間にわたり22〜21℃で熟成した。内容物をろ過し、ケーキをイソプロパノール(2×1.2L、2×1.5体積)で洗浄した。ケーキを吸引乾燥し、次いで、減圧下で50℃で乾燥して、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン、形態II(622g、77%)を得た。
【0084】
(実施例5a)
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの多形形態IIIへの再結晶化
【0085】
【化12】

フラスコに3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン(8.4g、23.77ミリモル)およびエタノール(168ml、20体積)を入れた。混合物を100℃の油浴中で加熱して還流した。溶液を真空下でろ過して、任意の不溶物を除去し、次いで、再加熱して還流した。CUNO(商標)装置(固定化炭フィルター)を還流エタノール(42ml、5体積)を通過させて予熱した。還流混合物をCUNO(商標)装置にポンプで送り、完了後にさらなる還流エタノール(42ml、5体積)をポンプで送った。黄色溶液について蒸留を行って、エタノールの体積を5体積に減少させた。5体積に達したとき、加熱を止め、溶液を冷却油浴中に留めながら50℃に冷却した。50℃で反応物に3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン、形態IIIを接種し、絶えず撹拌しながら、放置して結晶を形成させた。(形態III3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの調製についてはWO05/040124を参照のこと。)固体を真空下でろ別し、エタノール(33.6ml、2×2体積)で洗浄し、吸引乾燥した。ケーキをオーブンに入れて減圧下で50℃で乾燥した。ケーキをオーブンから取り出して、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン(3.869g、46%)を淡黄色固体として得た。
【0086】
(実施例5b)
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの多形形態IIIへの再結晶化
【0087】
【化13】


容器に3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン(1.023kg、1当量、1重量)およびエタノール(10.2L、10体積)を入れ、混合物を75℃に加熱して固体を溶解し、次いで、溶液を5ミクロンラインフィルターを介して第2の容器に移した。第1の容器に72℃に加熱したエタノールを入れ、溶液を5ミクロンラインフィルターを介して第2の容器に移した。ろ液を55℃に冷却し、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン、形態III(1.0g、0.001重量、0.001当量)を接種し、混合物を45分間にわたって35℃に冷却し、35℃に1時間保持し、次いで、30分間にわたって20℃に冷却した。(形態III3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの調製についてはWO05/040124を参照のこと。)混合物を20℃で1時間25分間熟成し、真空ろ過により分離した。ケーキを0℃に冷却したエタノール(2.05L、2体積)で洗浄し、50℃オーブン中において減圧下で乾燥して、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン、形態III(752g、74%)を得た。
【0088】
多形形態の特性評価データを取得するためのハードウエア
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの多形形態の赤外スペクトルを、普遍的減衰総反射(Attenuated Total Reflection)(ATR)付属品を装着したNicolet Avatar 360 FT−IR分光計を用いて記録した。
【0089】
ガラス管中の3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの多形形態のフーリエ変換(FT)ラマンスペクトルを、ThermNicolet 960 Enhanced Synchronization Protocol(E.S.P.)分光計を用いて取得した。1064nmでの励起がサンプル位置で400mWの出力を有するNd:YVO4レーザーによりもたらされた。4cm−1分解能で1200回のスキャンを記録した。
【0090】
3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンの固体多形形態の粉末X線回折パターンを、次の取得条件を用いて記録した。非粉砕物質をトップフィルドSiカップに充填した。粉末パターンは、Cu陰極(40kV、40mA)、可変発散スリット、一次および二次ソーラスリットならびに位置検知型検出器を装着したBruker D8 Advance X線粉末回折計を用いて得た。データは、0.0145°2θのステップサイズ(1ステップ当たり1秒)を用いて2〜40°2θの範囲にわたって取得した。データ収集中にサンプルを回転した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
で示される化合物またはその塩を製造する方法であって、
式(II)
【化2】

(II)
で示される化合物を、塩基および溶媒の存在下で、式:RNHの化合物と反応させることを含む方法
[式中:
およびRは、独立して、水素またはC1〜6アルキルを表すか、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、O、NおよびSから選択される1個または2個のさらなるヘテロ原子を含んでもよい、置換されていてもよい4〜7員単環式ヘテロシクリル基を形成しており、
Phは、置換されていてもよいフェニル基を表す]。
【請求項2】
式(I)の化合物が3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンであり、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを炭酸カリウムおよびn−プロパノールの存在下で過剰のピペラジンと約95から約105℃までの温度で反応させることを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1で定義されている式(II)の化合物またはその塩を製造する方法であって、式(III)
【化3】

(III)
[式中、Rはヨウ素または臭素を表す]
で示される化合物をジアミンリガンド、金属触媒、塩基および極性非プロトン性溶媒の存在下でHSOPhまたはその塩と反応させることを含む方法。
【請求項4】
式(II)の化合物が8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンであり、8−フルオロ−3−ヨードキノリンをN,N’−ジメチルエチレンジアミン、CuI、ジイソプロピルエチルアミンおよびジメチルスルホキシドの存在下でHSOPhナトリウム塩と約90から約105℃までの温度で反応させることを含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
8−フルオロキノリンを溶媒の存在下で電子親和性ヨウ素または臭素の供給源として作用することができるヨウ素化剤または臭素化剤と反応させることを含む、請求項3に記載の式(III)の化合物またはその塩を製造する方法。
【請求項6】
8−フルオロキノリンを酢酸の存在下でN−ヨードコハク酸イミドまたはN−ブロモコハク酸イミドと約75から約85℃までの温度で反応させることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
請求項1で定義されている式(I)の化合物を調製する方法であって、
(i)8−フルオロキノリンを溶媒の存在下で電子親和性ヨウ素または臭素の供給源として作用することができるヨウ素化剤または臭素化剤と反応させて、式(III)の化合物を生成させ、反応が完結したとき還元剤を加えてもよい工程、
(ii)式(III)の化合物をジアミンリガンド、金属触媒および極性非プロトン性溶媒の存在下でHSOPhまたはその塩と反応させて、式(II)の化合物を生成させる工程、および
(iii)式(II)の化合物を塩基および溶媒の存在下で式RNHの化合物と反応させて、式(I)の化合物またはその塩を生成させる工程
を含む方法。
【請求項8】
式(I)の化合物が3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンであり、
(iv)8−フルオロキノリンを酢酸の存在下でN−ヨードコハク酸イミドまたはN−ブロモコハク酸イミドと約75から約85℃までの温度で反応させて8−フルオロ−3−ヨードキノリンを生成させ、次いで、反応が完結したとき亜硫酸ナトリウム溶液を加える工程、
(v)8−フルオロ−3−ヨードキノリンをN,N’−ジメチルエチレンジアミン、CuI、ジイソプロピルエチルアミンおよびジメチルスルホキシドの存在下でベンゼンスルフィン酸ナトリウム塩と約90から約105℃までの温度で反応させて、8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを生成させる工程、および
(i)8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンを炭酸カリウムおよびn−プロパノールの存在下で過剰のピペラジンと約95から約105℃までの温度で反応させて、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを生成させる工程
を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
そのように生成させた3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを
(a)酢酸エチルに溶解し、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物をろ過してもよく、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させて、多形形態Iを形成させるか、または
(b)イソプロパノールに溶解し、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物をろ過してもよく、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させて、多形形態IIを形成させるか、または
(c)エタノールに溶解し、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリン溶媒混合物をろ過してもよく、次いで、3−フェニルスルホニル−8−ピペラジン−1−イルキノリンを再結晶させて、多形形態IIIを形成させる
さらなる工程を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
請求項1に定義されている式(II)の化合物またはその塩。
【請求項11】
8−フルオロ−3−フェニルスルホニルキノリンまたはその塩である、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
請求項3に定義されている式(III)の化合物またはその塩。
【請求項13】
8−フルオロ−3−ヨードキノリンまたはその塩である、請求項12記載の化合物。

【公表番号】特表2009−513569(P2009−513569A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532680(P2008−532680)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009460
【国際公開番号】WO2007/039238
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】