説明

キャップ検査装置及びキャップ検査方法

【課題】検査対象の容器の大きさが異なる場合でも容易に対応可能なキャップ検査装置を提供する。
【解決手段】口金部101にキャップCPを装着した樽100がコンベア2の搬送経路に沿って搬送され、樽100の上方からキャップCPの天面Uの傾斜を検知するキャップ検査装置1であって、搬送経路の上方に設けられ、天面Uの同一直線上にない3点の測定範囲A1〜A3までの距離を計測する計測ユニット3と、計測ユニット3の計測結果に基づいて、天面Uが傾斜しているか否かを判別する制御装置10と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口金部に装着されたキャップの良否を検査するキャップ検査装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料が充填される容器の口金部には、口金部の汚れを防止するとともに容器の内容物を示すためにキャップが装着される。容器に対してキャップが正常に装着されていない場合、口金部に対しキャップの天面が斜めに傾いている。このようなキャップの容器への装着の良否を検査する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、口金部の中心軸線の回りに容器を回転させつつ中心軸線に直交する方向からキャップの上端で一部遮られるようにレーザー光を照射して、回転するキャップにより遮られなかったレーザー光の光量に基づいてキャップ天面が斜めか否かを判別する。
【特許文献1】特開2007−069909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述の装置では、容器の側方からレーザー光を照射しているため、容器の高さが変更される毎に投光位置を調整する必要があり手間がかかる。
【0004】
そこで、本発明は検査対象の容器の高さが異なる場合でも容易に対応可能なキャップ検査装置及びキャップ検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のキャップ検査装置は、口金部(101)にキャップ(CP)を装着した容器(100)が搬送手段(2)の搬送経路に沿って搬送され、前記容器の上方から前記キャップの天面(U)の傾斜を検知するキャップ検査装置(1)であって、前記搬送経路の上方に設けられ、同一直線上に位置しないように前記天面に配置された3点以上の測定点(A1〜A3)までの距離を計測する計測手段(3)と、前記計測手段の計測結果に基づいて、前記天面が傾斜しているか否かを判別する判別手段(10)と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0006】
本発明のキャップ検査装置によれば、搬送手段の搬送経路の上方に設けられた計測手段により、搬送手段にて搬送される容器の天面までの距離が計測される。計測手段は天面の同一直線上にない3点以上の測定点までの距離を計測し、その計測結果に基づいて判別手段がキャップの天面が傾斜しているか否かを判別する。同一直線上にない3点以上の各測定点までの距離を測定しているので、キャップの傾斜方向によっては傾斜が検知できないということもなく、キャップの傾斜を確実に検知することができる。各測定点での距離を比較して傾斜を検知できるので、検査対象の容器の大きさが異なってキャップの高さが異なる場合でも容易に対応でき、確実にキャップの傾斜を検知することができる。
【0007】
本発明のキャップ検査装置の一形態において、各測定点は、前記キャップの天面の中心に対して周方向に等間隔に並んで配置されていてもよい。この形態によれば、天面に対して測定点が均等に配置されているので、キャップの天面が傾斜している場合にどのような傾斜方向でも確実に検知することができる。
【0008】
本発明のキャップ検査装置の一形態において、前記測定点が3点であってもよい。この形態によれば、測定点が3点、同一直線上に位置しないように天面に配置されていれば、どの方向に傾斜したキャップであっても傾斜を検知することができる。
【0009】
本発明のキャップ検査装置の一形態において、前記計測手段は、前記測定点に応じた個数の非接触式の変位センサ(5a〜5c)で構成されていてもよい。この形態によれば、簡易な構成で計測手段を設けることができる。また、キャップの天面と非接触なのでキャップに汚れが付着したり、キャップが外れたりすることを防止できる。
【0010】
本発明のキャップ検査装置の一形態において、前記判別手段は、各測定点までの距離を計測した測定値のうち2つの測定値の差を全ての組合せに対して求め、求めた差のいずれかの値が所定の値以上となった場合に前記天面が傾斜しているとして判別してもよい。この形態によれば、キャップの傾斜を確実に判別することができる。
【0011】
本発明のキャップ検査装置の一形態において、前記判別手段の判別結果に基づいて、前記天面が傾斜した容器を前記搬送経路から排除する排除手段(4)をさらに備えてもよい。この形態によれば、キャップの天面が傾斜した容器を排除して、市場に不良の容器が流通することを防ぐことができる。
【0012】
本発明のキャップ検査方法は、口金部(101)にキャップ(CP)を装着した容器(100)が搬送手段(2)の搬送経路に沿って搬送され、前記容器の上方から前記キャップの天面(U)の傾斜を検知するキャップ検査方法であって、前記搬送経路の上方から、同一直線上に位置しないように前記天面に配置された3点以上の測定点(A1〜A3)までの距離を計測する計測工程と、前記計測手段の計測結果に基づいて、前記天面が傾斜しているか否かを判別する判別工程と、を備えたことにより上記課題を解決する。
【0013】
本発明のキャップ検査方法によれば、キャップの天面に同一直線上にない3点以上の測定点までの距離を計測し、その測定結果に基づいてキャップの天面が傾斜しているか否かを判別する。同一直線上にない3点以上の各測定点までの距離を測定しているので、キャップの傾斜方向によっては傾斜が検知できないということもなく、キャップの傾斜を確実に検知することができる。各測定点での距離を比較して傾斜を検知できるので、検査対象の容器の大きさが異なってキャップの高さが異なる場合でも容易に対応でき、確実にキャップの傾斜を検知することができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明のキャップ検査装置及びキャップ検査方法においては、搬送手段の搬送経路の上方から、搬送手段にて搬送される容器の天面までの距離が計測される。天面の同一直線上にない3点以上の測定点までの距離を計測し、その計測結果に基づいて判別手段がキャップの天面が傾斜しているか否かを判別する。同一直線上にない3点以上の各測定点までの距離を測定しているので、キャップの傾斜方向によっては傾斜が検知できないということもなく、キャップの傾斜を確実に検知することができる。各測定点での距離を比較して傾斜を検知できるので、検査対象の容器の大きさが異なってキャップの高さが異なる場合でも容易に対応でき、確実にキャップの傾斜を検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に本発明の一形態に係るキャップ検査装置の概略図を示す。キャップ検査装置1は、容器としての樽100の口金部101に装着されたキャップCPが正常に装着されているか否かを検査する装置である。図4に樽100の概略図を示す。樽100は、ステンレス鋼等の金属製で、ビールや発泡酒等の飲料が充填される周知のものである。樽100の口金部101の中央には、非導電性の材料、例えばゴム等で形成されたメインシールパッキン101aが設けられている。キャップCPの側面部は、熱を加えると縮む熱可塑性の樹脂で構成され、樽100の口金部101の天面101bを覆うように口金部101に装着される。キャップCPの天面Uの板紙には、樽100に充填されている飲料の名称及びメーカ名等が印刷されている。
【0017】
図示しないキャップ装着装置により、飲料が充填された樽100の口金部101にはキャップCPが装着され、その後、キャップCPが加熱されることにより口金部101にキャップCPが密着する。キャップCPと口金部101との間に異物が存在したり、キャップCPが口金部101に対してずれて装着されたりすると、キャップCPの天面Uが傾斜することがある。このようにキャップCPが斜めに傾いて装着されているとキャップCPが外れて口金部101に異物が付着する等の汚染のおそれがあるため、製品出荷以前に該当製品を排除する必要がある。
【0018】
キャップ装着装置にてキャップCPが装着された樽100は、搬送手段としてのコンベア2の搬送経路に沿ってキャップ検査装置1に順次搬送される。キャップ検査装置1は、キャップCPの天面Uまでの距離を計測する計測手段としての計測ユニット3と、計測ユニット3の計測結果に基づいてキャップCPが傾斜して装着された樽100を排除する排除手段としてのプッシャー4とを備えている。計測ユニット3は、3つの変位センサ5a、5b、5cを有している。変位センサ5a、5b、5cには、それぞれレーザー光を利用した非接触型の周知の変位センサが用いられる。なお、各変位センサ5a〜5cをそれぞれ区別する必要がない場合には、参照符号を5で代表する。計測ユニット3は、コンベア2の上方の、コンベア2の搬送経路に沿って順次搬送される樽100のキャップCPに対して計測に必要な間隔を保った位置に設けられている。各変位センサ5は、正常に装着されたキャップCPの天面Uに対してそれぞれ同じ距離を検出するように設けられている。正常に装着されたキャップCPの天面Uが水平であれば、各変位センサ5のレーザー光の投光部も水平に並んで設置される。
【0019】
図2に各変位センサ5の測定範囲を表示した配置図を示す。コンベア2で搬送される樽100の前端が検査位置P1に到達したときに、その樽100のキャップCPの天面Uの中心Oに対して周方向に各変位センサ5a、5b、5cの測定点としての測定範囲A1、A2、A3が等間隔に並んで配置されるように計測ユニット3が構成される。本形態では、キャップCPの天面Uの中心Oに対して120°ずつ間隔を設けて測定範囲A1〜A3が配置され、各測定範囲A1〜A3のそれぞれが同一直線上に位置しないように配置されている。
【0020】
プッシャー4は、キャップCPが傾斜して装着された不良の樽100aをコンベア2の搬送経路から押し出して排除する。プッシャー4は、不良の樽100aの前端が排除位置P2に到達したときにその樽100aを押し出すプッシャー部材4aと、プッシャー部材4aを押出位置と退避位置との間で移動可能に駆動させるアクチュエータ4bとを有している。プッシャー部材4aに押し出された樽100aは、コンベア2から分岐した図示しない排除通路へ送り出されて区別される。なお、プッシャー部材4a及びアクチュエータ4bは、周知技術を用いて構成してよい。
【0021】
キャップ検査装置1は、制御装置10を有する。制御装置10は、一例としてマイクロプロセッサを有するコンピュータユニットとして構成されている。制御装置10は、計測ユニット3の各変位センサ5から出力された出力信号を処理し、その結果に基づいてプッシャー4の動作を制御する。
【0022】
キャップ検査装置1の動作を説明する。コンベア2では、樽100が順次搬送され、検査位置P1に前端が到達した樽100のキャップCPの天面Uまでの距離を各変位センサ5で計測する。図3Aに正常にキャップCPが装着された樽100の検査の様子を説明する図を示す。正常に装着されたキャップCPの天面Uは水平に搬送されてくるため、各変位センサ5では、ほぼ同一の測定値が得られる。変位センサ5aで測定した測定値H1、変位センサ5bで測定した測定値H2及び変位センサ5cで測定した測定値H3は、制御ユニット10にそれぞれ出力される。制御装置10は、測定値H1、H2、H3のうち、2つの測定値の差を全ての組合せに対して求め、全ての差が5[mm]未満である場合、キャップCPが正常に装着されているとして判断する。つまり、測定値H1〜H3が、
|H1−H2|<5[mm]
|H2−H3|<5[mm]
|H3−H1|<5[mm]
のそれぞれの関係式をみたすときは、正常にキャップCPが装着されているとして取り扱う。ここで、各測定値H1〜H3のそれぞれの差が5[mm]未満となるようにしているが、この値は仕様等に応じて適宜変更してよい。
【0023】
図3BにキャップCPが傾斜して装着された樽100の検査の様子を説明する図を示す。図3Bにおいては、変位センサ5cの測定値H3の値が小さくなり、測定値H1〜H3のそれぞれの値が異なる。各変位センサ5は、測定した測定値H1〜H3を制御ユニット10にそれぞれ出力する。制御ユニット10は、各測定値H1〜H3から2つを選択した組合せにおける測定値の差を求め、求めた差のいずれかの値が5[mm]以上となった場合、その樽100をキャップCPが傾斜して装着されているとして判断する。本形態では、キャップCPの傾斜を3点で計測しているため、キャップCPの傾斜方向によっては傾斜が検知できないということもなく、キャップCPの傾斜を確実に検知することができる。各測定値を比較して傾斜を検知できるので、検査対象の樽100の大きさが異なってキャップCPの高さが異なる場合でも容易に対応でき、確実にキャップCPの傾斜を検知することができる。なお、本形態において、制御装置10が判別手段として機能する。
【0024】
キャップCPが傾斜しているとして判断された不良の樽100aの前端が排除位置P2に到達すると、プッシャー4が動作してコンベア2の搬送経路から不良の樽100aが排除される。なお、検査位置P1及び排除位置P2に搬送される樽100を検出するセンサ等を設けて樽100の検出結果が制御装置10へ出力されるように構成してもよい。光電センサ等の各種センサを利用することにより、各位置P1、P2を通過する樽100のカウントや検知タイミング、排除タイミング等の制御ができる。
【0025】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、変位センサ5を非接触式の変位センサとして説明したが、これに限られない。変位センサ5が接触式の各種センサであってもよい。また、非接触式の変位センサとしてレーザー光を利用したタイプで説明したが、これに限られず、LED式や超音波式等であってもよい。本形態では、3つの測定範囲A1〜A3、つまり3個の変位センサ5a〜5cを利用してキャップCPの天面Uの傾斜を検知したがこれに限られず、3つ以上の測定範囲を有していてもよい。より確実に天面Uの傾斜を検知することができる。また、各測定範囲毎に変位センサを有する必要はなく、時間差で異なる位置での天面までの距離を測定することで、構成する変位センサの個数を減らしてもよい。キャップCPの形状に応じて測定範囲の配置を適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一形態に係るキャップ検査装置の概略図。
【図2】各変位センサの測定範囲を表示した配置図。
【図3A】正常にキャップが装着された樽の検査の様子を説明する図。
【図3B】キャップが傾斜して装着された樽の検査の様子を説明する図。
【図4】樽の概略図。
【符号の説明】
【0027】
1 キャップ検査装置
2 コンベア(搬送手段)
3 計測ユニット(計測手段)
4 プッシャー(排除手段)
5a、5b、5c 変位センサ
10 制御装置(判別手段)
100 樽(容器)
101 口金部
A1、A2、A3 測定範囲(測定点)
CP キャップ
U 天面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口金部にキャップを装着した容器が搬送手段の搬送経路に沿って搬送され、前記容器の上方から前記キャップの天面の傾斜を検知するキャップ検査装置であって、
前記搬送経路の上方に設けられ、同一直線上に位置しないように前記天面に配置された3点以上の測定点までの距離を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測結果に基づいて、前記天面が傾斜しているか否かを判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とするキャップ検査装置。
【請求項2】
各測定点は、前記キャップの天面の中心に対して周方向に等間隔に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ検査装置。
【請求項3】
前記測定点が3点であることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ検査装置。
【請求項4】
前記計測手段は、前記測定点に応じた個数の非接触式の変位センサで構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のキャップ検査装置。
【請求項5】
前記判別手段は、各測定点までの距離を計測した測定値のうち2つの測定値の差を全ての組合せに対して求め、求めた差のいずれかの値が所定の値以上となった場合に前記天面が傾斜しているとして判別することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のキャップ検査装置。
【請求項6】
前記判別手段の判別結果に基づいて、前記天面が傾斜した容器を前記搬送経路から排除する排除手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のキャップ検査装置。
【請求項7】
口金部にキャップを装着した容器が搬送手段の搬送経路に沿って搬送され、前記容器の上方から前記キャップの天面の傾斜を検知するキャップ検査方法であって、
前記搬送経路の上方から、同一直線上に位置しないように前記天面に配置された3点以上の測定点までの距離を計測する計測工程と、
前記計測手段の計測結果に基づいて、前記天面が傾斜しているか否かを判別する判別工程と、
を備えたことを特徴とするキャップ検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−133824(P2010−133824A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309916(P2008−309916)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(392032100)キリンエンジニアリング株式会社 (54)
【Fターム(参考)】