説明

キーシート

【課題】押し釦部材の照光において、光源からの距離に係らず、十分な照光が得られ、照光強度のばらつきに起因する照光斑が生じず、更に、所望の押し釦部材だけを照光したり、特別な態様で照光することが可能なーシートを提供する。
【解決手段】光源20と、キーベース12とキートップ14とを含み、基板側のキーベース12から操作面側のキートップ14へ光を透過可能な複数の押し釦部材10と、光源20から発せられた光を複数の押し釦部材10のうち特定の押し釦部材10のキーベース12に直接選択的に供給する導光路6と、を備えたキーシート2を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
携帯電話や携帯情報端末装置(PDA:Personal Digital Assistance)を始めとする携帯用電子機器の押し釦スイッチに用いられるキーシートに関し、特に、押し釦部材を照光可能なキーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯情報端末装置(PDA)を始めとする携帯用電子機器が普及し、これらの携帯用電子機器に用いる押し釦スイッチが広く用いられるようになっている。このような押し釦スイッチの中には、光源を備えて、押し釦部材を基板側から照光可能な押し釦スイッチが知られている。
【0003】
このような押し釦部材を照光可能な押し釦スイッチの中には、光源から発せられた光を導くために導光板を備え、更にその導光板内を広がる光を押し釦部材側へ反射するための反射パターンが設けられた押し釦スイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この押し釦スイッチにおいては、光源から発せられた光が導光板内を広がり、光源から最も近い押し釦部材の位置に到達すると、その位置に配置された反射パターンによって、到達した光の一部が押し釦部材側へ反射されて、この押し釦部材を照光する。そして、反射しなかった残りの光は、導光板内を更に広がって、次の押し釦部材の位置において、同様に、到達した光の一部が押し釦部材側へ反射されて、この押し釦部材を照光する。これを繰り返すことによって、1つの光源を用いて、複数の押し釦部材を照光することができる。
【特許文献1】特開2006−323843号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された押し釦スイッチにおいては、押し釦部材側へ供給(反射)される光の強度が、光源から離れるにつれて弱くなり、押し釦部材へ供給する光の強度が不足する問題が生じ、また、押し釦部材の光源からの距離により、各押し釦部材側の照光強度がばらつくので、照光斑が生じる問題が生じる。ここで、光源からの距離によって反射パターンのドットを変えて、押し釦部材側へ反射する光の強度を均一にする方法も提案されているが、この方法もおのずと限界があり、上記の問題を解決するには至っていない。
また、特許文献1に記載された押し釦スイッチにおいては、光源から発せされた光が導光板内を拡散していくので、例えば、ある特定の押し釦部材だけを照光したり、特別な態様で照光することはできない。
【0005】
従って、本発明の目的は、上述の問題を解決して、押し釦部材の照光において、光源からの距離に係らず、十分な照光が得られ、照光強度のばらつきに起因する照光斑が生じず、更に、所望の押し釦部材だけを照光したり、特別な態様で照光することが可能なーシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明に係るキーシートの1つの実施態様は、光源と、キーベースとキートップとを含み、基板側の前記キーベースから操作面側の前記キートップへ光を透過可能な複数の押し釦部材と、前記光源から発せられた光を前記複数の押し釦部材のうち特定の押し釦部材の前記キーベースに直接選択的に供給する導光路と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、光源の数は1つの場合も、複数の場合も含まれる。また、「光源から発せられた光を直接選択的にキーベースへ供給する」とは、例えば、光源とキーベースとを光ファイバで繋いだ場合と同様に、導光路によって、光源から発せられた光が散乱することなく、特定の押し釦部材のキーベースにだけ直接供給されることを意味する。
【0008】
本実施態様では、導光路によって、光源から発せられた光を特定の押し釦部材(キーベース)に直接選択的に供給することができるので、光源からの位置に係らず、各押し釦部材は十分な照光が得られ、光源からの距離による照光強度のばらつきも抑制されるので、これに起因する照光斑が生る問題も防げる。更に、特定の押し釦部材だけを照光したり、特別な態様で照光することができるので、意匠性に優れたバックライトキーを実現できる。
【0009】
本発明に係るキーシートのその他の実施態様は、透光性を有する弾性材料により、前記導光路及び前記キーベースが一体的に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本実施態様によれば、導光路及びキーベースが一体的に形成されているので、光の減衰を最小限に抑えて、光源から発せられた光を特定の押し釦部材に供給することができる。
【0011】
本発明に係るキーシートのその他の実施態様は、補強版を更に備え、インサート成形または2色成形によって、前記補強板内に、前記導光路及び前記キーベースが一体的に形成されて組み込まれることを特徴とする。
【0012】
本実施態様においては、補強版によってキーシートは十分な強度を有することができ、更に、導光路及びキーベースが一体的に形成されているので、光の減衰を最小限に抑えて、光源から発せられた光を特定の押し釦部材に供給することができる。また、インサート成形または2色成形によって、一体的に形成された導光路及びキーベースが組み込まれた補強板を、容易に確実に製造することができる。
【0013】
本発明に係るキーシートのその他の実施態様は、前記光源及び前記キーベースに接続された両端部を除いて、前記導光路の外表面が、光の透過が困難な部材で覆われていることを特徴とする。
【0014】
本実施態様によれば、光源及びキーベースに接続された両端部を除いて、導光路の外表面が、光の透過が困難な部材で覆われているので、導光路内を進む光が導光路の外に漏れるのを防ぐことができ、光源から発せられた光を、その減衰を最小限に抑えて、特定の押し釦部材に供給することができる。
【0015】
本発明に係るキーシートのその他の実施態様は、前記光源及び前記キーベースに接続された両端部を除いて、前記導光路の屈折率が、前記導光路を覆う部材の屈折率よりも高くなっていることを特徴とする。
【0016】
本実施態様によれば、光源及びキーベースに接続された両端部を除いて、導光路の屈折率が、導光路を覆う部材の屈折率よりも高くなっているので、導光路内を進む光が導光路の外に漏れるのを防ぐことができ、光源から発せられた光を、その減衰を最小限に抑えて、特定の押し釦部材に供給することができる。
【0017】
本発明に係るキーシートのその他の実施態様は、前記導光路の断面積を調整することにより、各々の前記押し釦部材へ供給する光の強さを調整することを特徴とする。
【0018】
本実施態様においては、例えば、光源から遠いキーベースに光を供給する導光路の断面積を、光源から近いキーベースへ光を供給する導光路の断面積よりも大きくすることによって、光源からの距離による各押し釦部材の照光強度のばらつきを抑えることができる。またその他、用途に応じて、導光路の断面積を調整して、各押し釦部材に所望の強度の光を供給することができる。
【0019】
本発明に係るキーシートのその他の実施態様は、1つの前記キーベースが、異なる前記光源と接続された異なる複数の前記導光路と接続されていることを特徴とする。
【0020】
本実施態様によれば、1つの押し釦部材が複数の光源から光の供給を受けるので、輝度の高い照光が実現でき、また、複数の光源の色が異なる場合には、複雑で幻想的な照光を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係るキーシートにおいては、導光路によって、光源から発せられた光を特定の押し釦部材(キーベース)に直接選択的に供給することができるので、光源からの位置に係らず、各押し釦部材は十分な照光が得られ、光源からの距離による照光強度のばらつきも抑制されるので、これに起因する照光斑が生じる問題も防げる。更に、特定の押し釦部材だけを照光したり、特別な態様で照光することができるので、意匠性に優れたバックライトキーを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係るキーシート、及びこのキーシートを用いた押し釦スイッチの実施形態について、以下に図面を用いながら詳細に説明する。
【0023】
(本発明に係るキーシート及び押し釦スイッチの実施形態の説明)
<本発明に係るキーシート及び押し釦スイッチの全体構造の説明>
まず、図1及び図2を用いて、本発明に係るキーシート及びこのキーシートを用いた押し釦スイッチの1つの実施形態について、その全体構造を説明する。ここで、図1は、本発明に係るキーシート及び押し釦スイッチを操作面側から見た平面図であり、図2は、図1の矢印A−Aから見た側面断面図である。なお、以降の説明においては、押し釦スイッチの操作面側(キートップ上面側)を上側、基板側を下側として説明する。
ここで、押し釦スイッチの操作釦となる押し釦部材10は、基板側のキーベース12と操作面側のキートップ14とから構成されるが(図2参照)、図1の平面図においては、キートップ14は図示せず、キーベース12が上部に露出した状態を示している。
【0024】
<本発明に係るキーシートの実施形態の説明>
本実施形態のキーシート2は、主に、補強板4と、導光路6と、互いに接合されたキーベース12及びキートップ14から構成される押し釦部材10と、光源20とを備える。ここで、補強板4は平板状の形状を有し、キーベース12が挿入される穴部4aと、上面側に導光路6を設けるための溝部4bと、光源20が挿入される穴部4cとが設けられている。そして、補強板4の穴部4aと溝部4bには、互いに一体成形されたキーベース12及び導光路6が組み込まれている。また、補強板4には、穴部4cに挿入される形で光源20が取り付けられており、補強板4に組み込まれた導光路6の端部が、この光源20と接続している。
【0025】
これにより、光源20から発せられた光は、光源20と接続された導光路6の中を進んで、この導光路6と一体成形された押し釦部材10のキーベース12へ供給される。また、本実施形態の押し釦部材10は、基板側のキーベース12から操作面14a側のキートップ14へ光を透過可能であり、光源20から出力された光はキートップ14を照らし出し、所謂バックライトキーを構成している。
なお、本実施形態では、光源20として、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)が用いられているが、これに限られるものではなく、有機EL、冷陰極管を始めとするその他のあらゆる光源を用いることができる。
【0026】
キーシート2を構成する部材の材質を説明すると、補強板4は、PC(ポリカーボネイト)。PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテフラート)、PMMA(ポリメタクリル酸メタル/アクリル)を始めとする硬質樹脂材料、ステンレス鋼、アルミニウムを始めとする金属材料、またはセラミックス等の硬質無機材料から構成される。また、一体成形されたキーベース12及び導光路6は、透明なエラストマーを始めとする透光性を有する弾性材料から構成される。また、キーベース12の上部に取り付けられたキートップ14は、補強板4と同様に、PC等の硬質樹脂材料、金属材料、またはセラミックス等の無機材料から構成されるが、光源20からの照光が操作面14a側に透過するように、少なくとも一部が、透光性を有する材料から構成されているか、または切り欠き部分を有している。
【0027】
<導光路及びキーベースが一体的に組み込まれた補強板の製造方法の説明>
上記のように、補強板4には、一体成形されたキーベース12及び導光路6が組み込まれているが、この構造は、本実施形態では樹脂インサート工程により形成されている。
この工程においては、始めに、キーベース12が挿入される穴部4aと、導光路6を設ける溝部4bと、光源20が挿入される穴部4cとが設けられた補強板4を形成する。この形成方法としては、補強板4が樹脂材料からなる場合には、金型に液状の樹脂材料を流し込むことにより形成することができ、補強板4が金属材料からなる場合には、エッチング加工や機械加工等により形成することができる。また、補強板4がセラミック材料からなる場合には、押出成形、射出成形、加圧成形、鋳込み成形、レーザー加工を始めとする任意の成形方法で形成することができる。
【0028】
そして、図3に示すように、金型40、42により形成されるキャビティ46内に、形成した補強板4を配置し、金型42に設けられたゲート44からキャビティ46内に、液状の透明エラストマーを射出する(図3の矢印参照)。これにより、補強板4の穴部4a及び溝部4b内に、透明エラストマーからなる導光路6とキーベース12とが一体的に形成される。
なお、補強板4を樹脂材料で形成する場合には、一次側射出手段と二次側射出手段を有する2色成形工程を用いることによって、キーベース12と導光路6とが一体的に組み込まれた補強板4を、効率的に製造することができる。
【0029】
<本発明に係る押し釦スイッチの実施形態の説明>
上記のようなキーシート2の下側には、図2の二点鎖線に示すように、メタルドーム30を有する基板が配置されており、各押し釦部材10に対応して、各キーベース12の下側にメタルドーム30が配置され、押し釦スイッチを構成している。
【0030】
各押し釦部材10において、操作者がキートップ14の操作面14aを押動操作すると、その押圧力が、キーベース12の下側に設けられた押圧突起12aに伝達される。そして、押圧突起12aはその押圧力を更に下方に伝達して、その下の基板上に配置されたメタルドーム30を押圧する。この押圧力により、メタルドーム30は下方に弾性変形して、基板上に設けられた接点と電気的に導通して、押し釦スイッチがオンの状態になる。一方、操作者がキートップ14の押圧操作を停止すれば、この押圧力は解除され、弾性力によって、メタルドーム30は変形位置から初期位置に戻り、接点との間の導通が停止する。これによって、押し釦スイッチがオフの状態となる。
ここで、押圧突起12aを有するキーベース12が弾性材料から構成されているので、メタルドーム30が有する剛性と組み合わされて、クリック感のある良好な操作感を操作者に付与することができる。
【0031】
(本発明に係る導光路の1つの実施形態の説明)
上記のように、光源20から発せられた光は、導光路6を通って、押し釦部材10のキーベース12に供給され、キーベース12に供給された光はそのキートップ14を照らし出す。ここで、特筆すべきことは、導光路6によって、光源20から発せられた光が、複数の押し釦部材10のうち、特定の押し釦部材10(キーベース12)に直接選択的に供給されることである。ここで、「直接選択的に供給する」とは、例えば、光源20と特定の押し釦部材10(キーベース12)とを光ファイバで繋いだ場合と同様に、導光路6によって、光源20から発せられた光が散乱することなく、特定の押し釦部材10(キーベース12)にだけ直接供給されることを意味する。
【0032】
以上のように、光源20からの光を押し釦部材10(キーベース12)に直接選択的に供給可能にするため、各導光路6は、光源20と接続する端部と、キーベース12と接続する端部(本実施形態では、導光路6とキーベース12とは一体的に形成されている)とを除き、光が導光路6の外部へ漏れないような構成になっている。
【0033】
<光が導光路の外部へ漏れないようにするための手段の説明>
光が導光路6の外部へ漏れないようにする具体的な手段としては、本実施形態では、導光路6を囲む補強板4が、遮光性の極めて高い材料、つまり光の透過率が極めて低い材料から構成されている。具体的には、導光路6を囲む補強板4を、光学濃度(OD値:Optical Density)が高い材料を用いて形成することにより実現できる。
【0034】
光が導光路6の外部へ漏れないようにするその他の手段としては、導光路6の屈折率が、導光路6を覆う補強板4の屈折率よりも高くすることが考えられる。この場合には、光ファイバのコアを進む光と同様に、導光路6の内部を進む光は、導光路6の内表面において内側へ反射され、導光路6の外部へ出るのを防ぐことができる。
【0035】
<導光路の配置の説明>
次に、補強板4に設けられた導光路6の配置について説明を行う。
図1に示すように、原則として、1本の導光路6によって、1つの光源20と1つの押し釦部材10(キーベース12)とが接続されている。従って、例えば、1つの光源20から6つの押し釦部材10へ光を供給する場合には、光源20から、原則として6本の導光路6が接続されている。
このような導光路6の配置により、光源20から発せられた光を、拡散させることなく、特定の押し釦部材10(キーベース12)に直接選択的に供給することができるので、光源20からの位置に係らず、各押し釦部材10に十分な照光を供給でき、光源20からの距離による照光強度のばらつきも抑制できる。更に、1つの光源20に接続された特定の押し釦部材10だけ、例えば、図1において中央及び左側に配置された押し釦部材10だけを照光したり、特別の態様で照光する(例えば、点滅させたり、特別な色で照光する)ことができる。
【0036】
ただし、導光路6の配置は、これに限られるものではなく、図4に示すように、1つの光源20から出た1本の導光路6が分岐して、複数の押し釦部材10(キーベース12)へ光を供給する態様も含まれる。この場合には、各分岐路6’に均等な強さの光が分配されるか、または、常に一定の比率の強さの光が分配されることが望ましい。
【0037】
また、図1に示す6つの押し釦部材10(キーベース12)のうち、縦中央の列に配置された押し釦部材10(キーベース12)は、1つの押し釦部材10(キーベース12)が、各々が異なる光源20と接続された2本の導光路6と接続されている。これにより、2つの光源20から光が供給されるので、更に明るくキートップ14を照らし出すことができ、また、2つの光源20が異なる色を発する場合には、異なる色の光による幻想的なバックライトキーを提供できる。
【0038】
また、本実施形態においては、導光路6の断面積を調整することによって、各押し釦部材10(キーベース12)へ供給する光の強さを調整することもできる。例えば、光源20から遠い位置にある押し釦部材10(キーベース12)に接続された導光路6の断面積を、光源20から近い位置にある押し釦部材10(キーベース12)に接続された導光路6の断面積よりも大きくすることによって、各押し釦部材10(キーベース12)へ供給する光の強さを均等にすることができる。
ただし、導光路6の断面積の調整は、これに限られるものではなく、その他、用途に応じた断面積の調整を行って、各押し釦部材10(キーベース12)に所望の強度の光を供給することができる。
【0039】
また、本実施形態の導光路6の配置では、導光路6が補強板4の上面側に設けられているが、これに限られるものではなく、導光路6の下面側に設けることも、導光路6の内部に設けることもできる。
【0040】
以上のように、本実施形態では、他の押し釦部材へ供給した残りの光で他の押し釦部材を照光する従来の反射パターンを用いたキーシートと異なり、導光路6によって、光源20から発せられた光を特定の押し釦部材10に直接選択的に供給することができるので、光源20からの位置に係らず、各押し釦部材10に十分な強さの光を供給でき、電源20の大きさ、設置数に比べて、照光能力の高いバックライトキーを実現できる。また、光源20からの距離による照光強度のばらつきも抑制されるので、これに起因する照光斑が生じる問題も防止できる。更に、特定の押し釦部材だけを照光したり、特別な態様で照光する(例えば、点滅させたり、異なる色で照光する)ことができるので、意匠性に優れたバックライトキーを実現できる。
【0041】
(本発明に係るキーシートのその他の実施形態の説明)
図5には、本発明に係るキーシートのその他の実施形態を示す。図5に示すキーシート2では、青色の光を発生する光源20Bと、緑色の光を発生する光源20Gと、赤色の光を発生する光源20Rとが装着されており、各色の光源20B、G、Rは、専用の導光路6B、G、Rによって、それぞれ押し釦部材10B、10G、10Rに各色の光を直接選択的に供給することができる。
これにより、押し釦部材10Bを青色に照らし出し、押し釦部材10Gを緑色に照らし出し、押し釦部材10Rを赤色に照らし出すことができる。本実施形態では、更に、押し釦部材10B、10G、10Rに関し、それぞれの色の光源20B、G、Rに応じて、任意のタイミングで、点灯、消灯、点滅等を行うことができるので、意匠性に優れたバックライトキーを提供できる。
なお、本実施形態では、青、緑、赤の3原色を用いているが、これに限られるものではなく、その他の任意の色を用いることができる。
【0042】
また、図6には、1つの光源で青、緑、赤の3原色をそれぞれ任意の強度で出力できる光源20を用いた実施形態を示す。各押し釦部材10は、導光路6により、光源20から直接選択に光が供給され、押し釦部材10を、青、緑、赤の3原色に基づく任意の色で照光することができる。
【0043】
(本発明に係る押し釦部材のその他の実施形態の説明)
次に、図7及び図8には、光源により照光される本発明に係る押し釦部材のその他の実施形態を示す。どちらの実施形態においても、キーベース12とキートップ14との間に光を透過させない遮蔽板18が備えられており、キーベース12に設けられ、遮蔽板18より上側に突き出た突起部分16A、16Bによって、キートップ14内に照光を供給するようになっている。
図7に示す実施形態においては、キーベース12の突起部分16Aがキートップ14の中心部分に配置されており、図7の矢印に示すように、光がキートップ14の中心から広がるようにして、キートップ14を照らし出す。
【0044】
図8に示す実施形態においては、キーベース12の突起部分16Bがキートップ14の中心から離間した位置に円環状に設けられており、図8の矢印に示すように、光が円環状の部分から内外に広がるように、キートップ14を照らし出す。
何れの実施形態においても、意匠性に優れ、幻想的なバックライトキーを提供することができる。
【0045】
(本発明に係るキーシート及びこのキーシートを用いた押し釦スイッチのその他の実施形態の説明)
本発明に係るキーシート及びこのキーシートを用いた押し釦スイッチは、上述の実施形態に限られるものではなく、その他の様々な実施形態が本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るキーシート、及び押し釦スイッチの構造を示す平面図である。
【図2】図1の矢印A−Aから見た側面断面図である。
【図3】樹脂インサート法で、一体成形されたキーベース及び導光路が組み込まれた補強板の製造工程を示す側面断面図である。
【図4】本発明に係る導光路の配置のその他の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明に係るキーシートのその他の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係るキーシートのその他の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明に係る押し釦部材のその他の実施形態を示す模式図である。
【図8】本発明に係る押し釦部材のその他の実施形態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
1 押し釦スイッチ
2 キーシート
4 補強板
4a、c 穴部
4b 溝部
6 導光路
10 押し釦部材
12 キーベース
12a 押圧突起
14 キートップ
14a 操作面
16A、B 突起部
18 遮蔽板
20 光源
30 メタルドーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
キーベースとキートップとを含み、基板側の前記キーベースから操作面側の前記キートップへ光を透過可能な複数の押し釦部材と、
前記光源から発せられた光を前記複数の押し釦部材のうち特定の押し釦部材の前記キーベースに直接選択的に供給する導光路と、
を備えたことを特徴とするキーシート。
【請求項2】
透光性を有する弾性材料により、前記導光路及び前記キーベースが一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキーシート。
【請求項3】
補強版を更に備え、インサート成形または2色成形によって、前記補強板内に、前記導光路及び前記キーベースが一体的に形成されて組み込まれることを特徴とする請求項2に記載のキーシート。
【請求項4】
前記光源及び前記キーベースに接続された両端部を除いて、前記導光路の外表面が、光の透過が困難な部材で覆われていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のキーシート。
【請求項5】
前記光源及び前記キーベースに接続された両端部を除いて、前記導光路の屈折率が、前記導光路を覆う部材の屈折率よりも高くなっていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のキーシート。
【請求項6】
前記導光路の断面積を調整することにより、各々の前記押し釦部材へ供給する光の強さを調整することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のキーシート。
【請求項7】
1つの前記キーベースが、異なる前記光源と接続された異なる複数の前記導光路と接続されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のキーシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−252446(P2009−252446A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97133(P2008−97133)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390001487)サンアロー株式会社 (58)
【Fターム(参考)】