説明

キーシート

【課題】薄肉の樹脂キートップを備えていても樹脂キートップが割れ難いキーシートの提供。
【解決手段】樹脂キートップ10の裏面全体を金属シート13が支持しているため、樹脂キートップ10を押圧すると押し子14に伝わる局部的な反力を金属シート13が受けて拡散でき、樹脂キートップ10の撓みを抑えることができる。よって樹脂キートップ10を割れを難くすることができる。また樹脂キートップ10の押圧操作時には、舌の付け根部分13bを支軸として金属シート13が上下方向に可動するため、樹脂キートップ10の押圧荷重を高くすることなく、樹脂キートップ10を押込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、PDA、携帯型AV機器などの各種携帯機器、各種リモコン、各種キーボードなどの各種電子機器の操作部に用いられるキーシートに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、PDAなどの電子機器は、小型化、薄型化されてきており、これら電子機器に用いられるキーシートについても小型化、薄型化が要請されている。こうした要請に応えるキーシートとして、図12で示すように、樹脂フィルムでなるベースシート1に薄板状の樹脂キートップ2とフレームシート3を接着層4で固着した薄型構造のキーシート5が例えば特開2007−66818号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
この薄型構造のキーシート5では樹脂キートップ2の厚さが0.4mm程度であり、ベースシート1の厚さも50μm以下と薄くなっている。このようにベースシート1が薄く撓み易いため、押圧操作し易いキーシート5を実現している。図13で示すように、ベースシート1の裏面に押し子6を形成し、接点スイッチとしての皿ばね7を有する回路基板8上に配置したキースイッチとすると、樹脂キートップ2を押圧した際の押圧荷重が低いため、樹脂キートップ2の押圧時の皿ばね7によるクリック感を的確に操作者に伝えることができ、操作感が良好である。
【特許文献1】特開2007−66818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこのキーシート5は、図14で示すように、樹脂キートップ2の操作面を押圧すると、操作面全体が押圧されるのに対して接触面積の小さな押し子6を通じて皿ばね7に力が加わるため、樹脂キートップ2の外縁が撓んでしまう。樹脂キートップ2のこうした変形は、押圧操作を行う度に繰り返されるため、薄い樹脂キートップ2は屈曲疲労によって割れてしまうおそれがある。特に、ゲーム機能が搭載されている機器では押圧回数が多く押圧力も大きくなる傾向にあり、樹脂キートップ2が割れ易くなっている。
【0005】
以上のような背景の下になされたのが本発明である。すなわち本発明の目的は、薄肉の樹脂キートップを備えていても樹脂キートップが割れ難いキーシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく本発明は、薄板状の樹脂キートップと、樹脂キートップを操作面側に固着するベースシートと、樹脂キートップの裏面側で基板上の接点スイッチを押圧する押し子と、を備えるキーシートについて、押圧操作による樹脂キートップの撓みを抑制する金属薄板を樹脂キートップ裏面側にさらに備えることを特徴とするキーシートを提供する。
【0007】
本発明では、押圧操作による樹脂キートップの撓みを抑制する金属薄板を樹脂キートップの裏面側に備えるため、樹脂キートップの割れをおこしにくくすることができる。即ち樹脂キートップの裏面側に金属薄板が固着しているため、樹脂キートップを押圧操作しても、樹脂キートップの撓み変形を小さく抑えるか又は撓まないようにすることができる。即ち、樹脂キートップ押圧時には押し子で接点スイッチを押圧するため、押し子には接点スイッチからの反力が生じているが、樹脂キートップの外縁には押圧力に対する反力が無く、金属薄板が無い場合には樹脂キートップの外縁は押圧方向であるキーシート側に曲がってしまう。しかし金属薄板を有すれば、接点スイッチからの反力は金属薄板を通じて樹脂キートップに広く拡散するため、樹脂キートップの外縁を曲がり難くすることができる。
【0008】
さらに、金属薄板が金属製であるため、金属は荷重変化や衝撃をほぼ減衰することなく伝えることから、クリック感の良好な押圧操作を実現することができる。また、金属の曲げ強度は一般的な樹脂の3倍程度はあり、樹脂より割れ難く剛性も大きいことからキーシートの厚さを厚くすることなしに樹脂キートップの割れにくい薄型のキーシートを実現することができる。なお、金属薄板は、樹脂キートップと固着していてもよいし、固着していなくてもよい。金属薄板が樹脂キートップと固着する場合は、樹脂キートップの裏面に直接的に固着することもできるし、ベースシートを介して間接的に固着することもできる。
【0009】
また、キーシートが薄板状の樹脂キートップを複数備えるものであり、金属薄板が、一枚板状の金属シートであって、樹脂キートップの仕切り位置に樹脂キートップを押圧した際に金属薄板の面方向に沿って生じる応力を絶縁するスリットを有するキーシートとすることができる。樹脂キートップの仕切り位置に樹脂キートップを押圧した際に金属薄板の面方向に沿って生じる応力を絶縁するスリットを有するため一枚板状の金属シートであっても、押圧操作時に樹脂キートップの撓みを抑制しながら、樹脂キートップを押込み可能に支持することができる。そして皿ばねを押圧した時のクリック感を高めることができる。また、スリットは、樹脂キートップを押圧する際に、隣接する樹脂キートップが波打つように動いてしまったり、ぐらついてしまったりといった樹脂キートップどうしが干渉する問題を生じ難くすることができる。そして、一枚板状の金属シートを用いるため、樹脂キートップやベースシートとの固着が容易である。なおここで、「樹脂キートップの仕切り位置」とは、樹脂キートップどうしが隣接する場合は、その樹脂キートップどうしを仕切る境界をいうものとし、また、樹脂キートップが樹脂キートップの周囲に設けたフレームシートなどの縁部分と隣接する場合は、樹脂キートップとフレームシートなどの縁部分とを仕切る境界をいうものとする。そしてさらに、樹脂キートップが他の樹脂キートップやフレームシートと狭間で隣接し、境界部分が線状に表れるときはその線上をいい、樹脂キートップどうしが離れて設けられ境界部分が広がりを有するときは、その広がり部分である。そして、隣接する樹脂キートップの仕切り位置の全部に絶縁スリットがある必要がなくその一部にあれば良い。
【0010】
金属薄板のスリットを金属薄板に対する平面視で舌片状に形成することができる。スリットを舌片状とすれば、スリットで仕切られた部分が舌の付け根部分で一枚板状の金属薄板から離れないようにすることができ、舌の周囲部分で舌片状部分以外からの拘束を解くことができる。よって、舌の付け根部分を支軸として舌片が上下に可動となり、舌片上に支持された樹脂キートップは、樹脂キートップ押圧操作時に樹脂キートップの撓みが抑制されながらも、押圧荷重が軽く押圧操作感の良いキーシートが得られる。なお「平面視」とは、キーシートを添付の図面での平面図で表すようにして見た場合を意味するものとする。
【0011】
金属薄板が、この金属薄板に対する平面視で樹脂キートップの裏面方向投影位置内に納まる金属片とすることができる。金属薄板が、この金属薄板に対する平面視で樹脂キートップの裏面方向投影位置内に納まる金属片であるため、樹脂キートップの仕切り位置に金属部分を設けないようにすることができ、樹脂キートップの押圧時には金属薄板を曲げる必要がなく、ベースシートを撓ませる押圧荷重で入力することができる。よって金属薄板を設けない場合と同様の押圧荷重に抑えながら、樹脂キートップの撓みを抑えて樹脂キートップの割れを防止することができる。
【0012】
金属薄板がその肉厚を貫通する透孔を有するものであり、押し子がこの透孔を通じて樹脂キートップ裏面側に金属薄板から突き出たものとすることができる。このように、金属薄板が透孔となる押し子の部分で樹脂キートップが支持されない場合であっても、押し子の周囲の部分が支持されているため、樹脂キートップの撓みを防ぎ、樹脂キートップの割れを防止することができる。また、金属薄板をベースシートなどの他部材に固着する際に、金属薄板の透孔を押し子に係合させて金属薄板を位置決めすることができ、組立を簡単に正確にすることができる。なお、押し子は、ベースシートの裏面から接点スイッチに向けて突出するように備えることもできるし、樹脂キートップの裏面から接点スイッチに向けて突出するように備えることもできる。
【0013】
押し子が金属薄板の裏面側に固着されたゴム状弾性体又は硬質樹脂製の押し子とすることができる。こうした押し子の材質にかかわらず、上記金属薄板を有するため、押し子を有するキーシートについて樹脂キートップの割れを防止することができる。
【0014】
押し子が金属薄板と同材質でなり金属薄板と一体に形成されたものとすることができる。押し子を金属製とすれば、金属薄板の形成と押し子の形成を同時に行うことができ、金属薄板と押し子を別々に形成する場合と比べ加工工数を削減することができる。
【0015】
金属薄板と同材質で形成した押し子を中空形状とすることができる。中空形状とすれば、金属薄板を軽量化することができ、キーシートの重量を軽減することができる。
【0016】
ベースシートの操作面側に、樹脂キートップと並べて配置するフレームシートをさらに備えることができる。こうしたフレームシートを設けることにより、キーシート全体の装飾性やキーシート全体の形状保持性を高めることができる。このフレームシートは、樹脂キートップの外枠に相当するものとして設けることができるが、一の樹脂キートップの周りに必ずしもフレームシートが備わるものでなくても良い。即ち、複数の樹脂キートップが狭間で配置され、隣接する樹脂キートップ間にフレームシートが存在しない態様も含まれる。
【0017】
また、前記キーシートについて、樹脂キートップと押し子の間に衝撃吸収板を備えることができる。薄肉の樹脂キートップは耐衝撃性が小さく、衝撃を繰り返し受けると割れるおそれがある。しかし樹脂キートップと押し子の間に衝撃吸収板を備えれば、衝撃吸収板が衝撃を吸収して樹脂キートップを割れ難くすることができる。
【0018】
さらに金属薄板が衝撃吸収性を有すれば金属薄板とは別に衝撃吸収板を備えること無く衝撃を吸収することができ、部品点数を増やさずに樹脂キートップを割れに難くすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、薄肉であっても樹脂キートップが割れ難いキーシートとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態で共通する部材、材質、構成、製造方法、作用効果については重複説明を省略する。
【0021】
第1実施形態〔図1,図2〕: 第1実施形態のキーシート9を図1,図2に示す。図1はキーシート9の平面図、図2はキーシート9の断面図である。第1実施形態のキーシート9は、樹脂キートップ10、フレームシート11、ベ−スシート12、金属シート13、押し子14を備えている。
【0022】
樹脂キートップ10は押圧操作を行う操作釦であり、平面視矩形で薄板状に形成されている。この樹脂キートップ10における操作面側の押圧面とは反対の裏面側には文字、記号などを表す表示層(図示せず)が設けられており、後述するベ−スシート12の操作面側に接着層15で固着されている。なお、樹脂キートップ10の厚みは薄型のキーシート9を実現するために、0.2mm〜0.6mmが好ましい。
【0023】
フレームシート11は樹脂キートップ10の周囲に設けられ、樹脂キートップ10とともにキーシート9の表面に表れるデザイン的にも重要な要素である。また、フレームシート11は、樹脂キートップ10のランナー切断痕を隠し、樹脂キートップ10とベースシート12との接着部分を保護する働きも有している。このフレームシート11には樹脂キートップ10を露出する透孔11aが形成され、後述するベ−スシート12の操作面側に樹脂キートップ10と並んで接着層15で固着されている。デザイン上、樹脂キートップ10とは異なる色調に加飾されていることが好ましい。なお、フレームシート11の厚みは樹脂キートップ10の厚みと同等か又はやや薄いことが好ましい。しかし、0.1mmより薄いと割れ易くなるため、0.1mm以上が好ましい。樹脂キートップ10の厚みが0.4mmに対してフレームシート11の厚みを0.3mmとすることは好ましい実施態様である。
【0024】
ベ−スシート12は樹脂キートップ10やフレームシート11を載置して固着する基部である。樹脂キートップ10の押圧時には、回路基板8に配置された接点スイッチとしての皿ばね7が押し込まれるように撓み変形する。ベ−スシート12の厚みは薄型のキーシート9を実現するために、0.15mm以下が好ましい。0.05mm程度は好ましい実施態様である。
【0025】
金属シート13は樹脂キートップ10の割れ防止のため、樹脂キートップ10の撓みを抑制するものである。この金属シート13は本実施形態では一枚板状の金属薄板であり、樹脂キートップ10の仕切り位置に樹脂キートップ10を押圧した際に金属シート13の面方向に沿って生じる応力を絶縁する「スリット」としての仕切溝13aが、図3で示すように平面視で舌片状に形成されている。なお、図3では樹脂キートップ10の存在位置を波線で示している。図3で示すように、樹脂キートップ10を押圧した際に屈曲する舌の付け根部分13bは樹脂キートップ10外縁より外側の仕切り位置に形成している。本実施形態では金属シート13をベースシート12に固着していないが、例えば接着剤を用いて両者の外縁の一部に固着箇所を設けてもよい。金属シート13の厚みは0.03mm〜0.5mmが好ましく、0.03mm未満では剛性が小さく樹脂キートップ10の押圧方向への撓みを抑えることが難しい。0.5mmを超えると薄型のキーシート9を実現することが難しくなる。厚みが0.4mmの樹脂キートップ10に対して、金属シート13の厚みを0.1mmとすることは好ましい実施態様である。
【0026】
押し子14は皿ばね7を押圧するもので、一例として、円錐台形状に形成することができる。本実施形態では、押し子14の基端が金属シート13の裏面に樹脂キートップ10ごとに固着されている。
【0027】
接着層15は樹脂キートップ10やフレームシート11をベースシート12に固着するものであり、印刷により形成されることが好ましい。なお、照光式のキーシートとする場合には、透光性の接着性インクを用いて形成する。
【0028】
こうしたキーシート9を備える押圧スイッチについて説明する。図2で示すように、キーシート9の裏面側には皿ばね7を配置した回路基板8が備えられ、この皿ばね7は固定シート16によって回路基板8に固定されている。そして樹脂キートップ10を押圧すると、ベースシート12が撓み変形するとともに金属シート13に押圧力が加わり、金属シート13の仕切溝13aで仕切られた舌片状部分が舌の付け根部分13bで屈曲して押圧方向に傾き、押し子14が皿ばね7を押圧することで入力が行われる。
【0029】
次に、キーシート9の各構成部分の材質について説明する。薄板状の樹脂キートップ10については、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などの硬質樹脂が用いられる。例えば、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PBT樹脂やこれらのアロイ系樹脂などが挙げられる。
【0030】
フレームシート11については、耐摩耗性の高い樹脂フィルム、金属薄板、合成皮革、布などが用いられる。樹脂フィルムでは、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、フッ素フィルム、アイオノマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどが挙げられる。
【0031】
ベ−スシート12については、樹脂キートップ10が押圧された際に、撓んで皿ばね7を押圧できるものである。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、フッ素フィルム、アイオノマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどの樹脂フィルムが挙げられる。また、照光式のキーシートとする場合には、透光性の樹脂フィルムで形成する。
【0032】
金属シート13については、薄くても剛性を有する金属が用いられる。例えば、ステンレス、アルミニウム、クロム、金、銀、銅、ニッケル、錫、鉄などが挙げられる。
【0033】
押し子14については、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂などの硬質樹脂、又は熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーなどのゴム状弾性体が用いられる。例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、PBT樹脂やこれらのアロイ系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられ、光硬化性樹脂としては硬化時間が比較的短い紫外線硬化性樹脂がよく、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。熱硬化性エラストマーとしては、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等が挙げられ、熱可塑性エラストマーは、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0034】
接着層15については、加熱により、軟化又は溶融するものが好ましい。例えば、加熱により軟化又は溶融するアクリル系、塩ビ系、ポリエステル系、ウレタン系などの樹脂、ワックス、ゴムなどが挙げられる。印刷により形成するため、インキとしての形態は、塗工時には印刷できるだけの流動性を有し、その後、固形状態を保つ性質を有するものであり、溶剤に溶解または分散させた溶剤希釈型インキや、常温で固化状態の固形物を熱溶融させて液状としたタイプのホットメルトインキを用いることができるが、樹脂キートップ10などの所定の面に精度良く繊細に印刷するという印刷適正の観点や、直ぐに溶剤が蒸発し印刷直後に固形状態になり印刷された形状が保持されるという観点から、溶剤希釈型インキを用いることが好ましい。中でも、加熱、押圧による接着工程での接着層15のだれ、変形を抑制する観点からは、加熱により溶融するタイプよりは軟化するタイプの材質を用いることが好ましい。
【0035】
このようなキーシート9を製造するには次のように行う。まず、型成形によって樹脂キートップ10を形成し、抜き加工によってフレームシート11、ベ−スシート12、金属シート13をそれぞれ形成する。次に、必要に応じて着色層や蒸着層(図示せず)を設け、樹脂キートップ10やフレームシート11に表示部や装飾部を形成する。そして、接着層15をスクリーン印刷、パッド印刷、凸版印刷、グラビア印刷などにより樹脂キートップ10、フレームシート11に形成する。その後、ベースシート12と、樹脂キートップ10、フレームシート11を位置合わせして、熱圧着機などでベースシート12側から所定の領域を加熱、押圧し、ベースシート12と樹脂キートップ10、フレームシート11とを接着する。他方、光硬化性樹脂をガラスなど透光材質でなる押し子14成形用の透光型に充填した後、この透光型を金属シート13と整合して透光型側から光を照射し、押し子14を金属シート13に対し一体成形する。次いでベースシート12と金属シート13とを整合してキーシート9を得ることができる。なお、金属シート13の形成方法において、エッチング加工、切削加工、レーザー加工を採ることもできる。また接着層15の印刷から固着に至る過程において、ベースシート12側に接着層15を設ける方法を採ることもできる。
【0036】
接着工程における加熱、押圧する条件については、接着層15として用いる材料、接着層15の層厚、ベースシート12の厚さなどにより変化するが、押圧を受ける部位の表面温度が120℃〜220℃、より好ましくは140℃〜170℃であり、押圧時間が1秒〜20秒、より好ましくは5秒〜10秒、圧力が30kg〜500kg/20〜25cm、より好ましくは50kg〜300kg/20〜25cmである。また、ベースシート12側から加熱することとしているが、樹脂キートップ10及びフレームシート11側から加熱することも可能である。
【0037】
次に、キーシート9の作用、効果について説明する。
【0038】
舌片状の仕切溝13aを有する一枚板状の金属シート13を備えているため、樹脂キートップ10の押圧操作時には、舌の付け根部分13bを支軸として金属シート13が上下方向に可動となり、樹脂キートップ10の押圧荷重を高くすることなく、樹脂キートップ10の押込みを行うことができる。また、図3で示すように、樹脂キートップ10の裏面全体を金属シート13が支持している。このため、樹脂キートップ10を押圧する際に、押し子14に伝わる局部的な反力を金属シート13が受けて拡散させることができ、樹脂キートップ10の撓みを抑えることができる。こうして樹脂キートップ10の割れを防止することができる。また、金属シート13を金属で形成するため、金属シート13が荷重変化や衝撃をほぼ減衰することなく伝えることができ、クリック感の良好な押圧操作を実現することができる。さらに、仕切溝13aは、樹脂キートップ10を押圧する際に、隣接する樹脂キートップ10が波打つように動いてしまったり、ぐらついてしまったりといった樹脂キートップ10どうしの干渉を起き難くすることができる。
【0039】
ベースシート12の操作面側に、樹脂キートップ10と並べてフレームシート11を備えるため、キーシート9全体の装飾性やキーシート9全体の形状保持性を高めることができる。
【0040】
上述の金属シート13のほか、金属薄板については種々の変形例があるので、こうした変形例について次に説明する。
【0041】
金属薄板(金属シート13)の第1変形例〔図4〕: 金属シート13では、「スリット」を仕切溝13aとする例を示したが、第1変形例の金属シート17では平面視で舌片状の仕切線17aを形成している。図3で示す仕切溝13aとの相違点の一つは、仕切溝13aに幅があるのに対し、仕切線17aではほとんど幅がない。また、切断線17aの端部に円孔17bを形成し、金属シート17の付け根部分が繰り返される押圧操作によって屈曲しても切断線17aの端部に亀裂を生じ難くしている。この仕切線17aは、前述の仕切溝13aと同様に隣接樹脂キートップ10の押圧により生じる応力を絶縁することができる。さらに切断線17aの縁部分は相互に接触しているため、前述の仕切溝13aと比べて金属シート17を面方向へ撓み難くすることができる。また、抜き加工やレーザー加工で切断線17aを形成できるので、エッチングなどを用いる仕切溝13aよりは安価に製造できる。
【0042】
金属薄板(金属シート13)の第2変形例〔図5〕: 第2変形例の金属シート18は一枚板状で「スリット」として樹脂キートップ10の四角形状に対応する4辺位置にそれぞれ平面視で直線状の仕切溝18aを形成することができる。各仕切溝18aは、樹脂キートップ10との固着部分の四方向を囲むように設けてあり、4辺の部分でその周囲からの拘束を解くことができ、隣接樹脂キートップ10の押圧により生じる応力を絶縁することができる。本実施形態における金属シート18では、押圧操作時における樹脂キートップ10の撓みを無くすことはできないが、押圧操作時に押し子14が受ける反力を金属シート18で拡散させることができるため、樹脂キートップ10における押し子14の周囲に応力が集中することがなく樹脂キートップ10の割れを防ぐことができる。
【0043】
金属薄板(金属シート13)の第3変形例〜第5変形例〔図6〕: 金属薄板の第3変形例は、図6(A)で示すように、金属薄板19を、樹脂キートップごとに分割して設けた金属片19としている。この金属片19は、樹脂キートップ10の裏面方向投影位置内に納まるように設けられており、樹脂キートップ10の外形よりやや小さい外形となっている。このようにしても、隣接する樹脂キートップ10の仕切り位置に金属部分を無くすことができ、金属薄板19を変形させる必要がないため、樹脂キートップ10を押圧する際にベースシート12を撓ませる押圧荷重で、樹脂キートップ10を押圧することができる。よって押圧荷重を小さくすることができ、操作者のクリック感を高めることができる。なお、第3変形例の金属片19は、ベースシート12に対し接着剤や粘着剤で固着する必要がある。また金属片の外形は樹脂キートップ10の外形と相似形状である必要はなく、第4変形例では図6(B)で示すように角に丸みが形成されている金属片19aとしている。また、第5変形例では、図6(C)で示すように切り込みが形成されている金属片19bとしている。
【0044】
第2実施形態〔図7〕: 第2実施形態のキーシート20の断面図を図7に示す。第1実施形態のキーシート9が金属シート13に別材料の押し子14を設けた構成としているのに対して、第2実施形態のキーシート20は、押し子が形成されている押し子シート21を金属シート13の裏面側に設けた構成としている。
【0045】
押し子シート21はゴム状弾性体でなり、シート状のベース部21aとベース部21aより回路基板8に向かって突出する円錐台状の複数の押し子部21bとで形成されている。押し子部21bは金属シート13の舌片状部分ごとに形成され、ベース部21aでこれら複数の押し子部21bを一体化している。そしてベース部21aの平坦面側が金属シート13の裏面に対し接着層22によって固着している。なお、本実施形態の押し子シート21では、ベース部21aと押し子部21bを同一材料のゴム状弾性体で形成しているが、ベース部と押し子部を別材料で一体に形成することもできる。
【0046】
キーシート20の製造方法について説明する。第1実施形態のキーシート9と同様に、樹脂キートップ10、フレームシート11、ベ−スシート12、金属シート13をそれぞれ形成する。そして、接着層15を樹脂キートップ10、フレームシート11に形成し、ベースシート12と位置合わせして、熱圧着機などでベースシート12と樹脂キートップ10、フレームシート11とを接着する。第2実施形態では、型成形によって押し子シート21を形成し、金属シート13に形成した接着層22で押し子シート21を固着する。次いでベースシート12と金属シート13とを整合してキーシート20を得ることができる。
【0047】
第2実施形態のキーシート20によれば、複数の押し子部21bをシート部21aで一体化しているため、樹脂キートップ10ごとに必要な押し子部21bを金属シート13の裏面に対して簡単に固着することができる。
【0048】
第3実施形態〔図8〕: 第3実施形態のキーシート23の断面図を図8に示す。第3実施形態のキーシート23が第1実施形態のキーシート9と異なるのは、金属シート24に透孔24aが設けてあり、押し子14がその透孔24aを通じて樹脂キートップ10の裏面側に突き出している点である。
【0049】
本実施形態における金属シート24は第1実施形態の金属シート13と同様に、平面視で舌片状の仕切溝24aが設けられているが、第1実施形態の金属シート13と相違して、さらに肉厚を貫通する透孔24aが形成されている。この透孔24bの孔内には押し子14が貫入している。そしてこの金属シート24のベースシート12対向面はベースシート12の裏面に対し接着層22によって固着している。なお、押し子14はその基端がベースシート12の裏面に固着し、先端は金属シート24の回路基板8対向面より回路基板8に向かって突出している。第3実施形態では第1実施形態のキーシート9と異なり、樹脂キートップ10と押し子14の間に金属シート24が介在していない。このため樹脂キートップ10を押圧する際に、押し子14による局部的な作用を樹脂キートップ10が受ける。そこで金属シート24をベースシート12に固着し、樹脂キートップ10と金属シート24を間接的に固着している。
【0050】
キーシート23の製造方法について説明する。第1実施形態のキーシート9と同様に、樹脂キートップ10、フレームシート11、ベ−スシート12、金属シート24をそれぞれ形成する。そして、接着層15を樹脂キートップ10、フレームシート11に形成し、ベースシート12と位置合わせして、熱圧着機などでベースシート12と樹脂キートップ10、フレームシート11とを接着する。第3実施形態では、光硬化性樹脂をガラスなど透光材質でなる押し子14成形用の透光型に充填した後、この透光型をベースシート12と整合して透光型側から光を照射し、押し子14をベースシート12に対し一体成形する。次いで接着層22を形成した金属シート24をベースシート12に対し押し子14で位置決めして固着しキーシート23を得ることができる。
【0051】
第3実施形態のキーシート23によれば、金属シート24をベースシート12に固着する際に、金属シート24の透孔24bを押し子14に係合させて金属シート24を位置決めすることができ、正確な組立を簡単にすることができる。
【0052】
第4実施形態〔図9〕: 第4実施形態のキーシート25の断面図を図9に示す。第4実施形態のキーシート25は、樹脂キートップ26自体に押し子部26aが形成されており、その押し子部26がベースシート27や金属シート24を貫通して、金属シート24の裏面から突出している。
【0053】
樹脂キートップ26は第3実施形態の樹脂キートップ10と同様に、平面視矩形に形成されているが、樹脂キートップ26の裏面側より回路基板8の皿ばね7に向かって突出する押し子部26aが形成されている点で相違する。この押し子部26aは後述するベ−スシート27の透孔27a及び金属シート24の透孔24aを通って、その先端が金属シート24の回路基板8対向面より突出しており、押し子部26aを除く裏面がベ−スシート27の操作面側に接着層15で固着されている。そして押圧面には表示層(図示せず)が設けられている。
【0054】
ベースシート27には肉厚を貫通する透孔27aが形成されており、この透孔27aには前述した樹脂キートップ26の押し子部26aが貫入している。
【0055】
キーシート25の製造方法について説明する。第3実施形態のキーシート23と同様に、樹脂キートップ26、フレームシート11、ベ−スシート27、金属シート24をそれぞれ形成する。そして、接着層15をベースシート27に形成し、樹脂キートップ26、フレームシート11と位置合わせして、熱圧着機などでベースシート27と樹脂キートップ26、フレームシート11とを接着する。第4実施形態では、接着層22を形成した金属シート24をベースシート27に対し押し子部26aで位置決めして固着しキーシート25を得ることができる。
【0056】
第4実施形態のキーシート25によれば、樹脂キートップ26の押し子部26aの先端が金属シート24の回路基板8対向面より回路基板8側に突出しているため、キーシート25をいわゆるバックライト照光式とした場合に、押し子部26aの先端側で集光した光を押し子部26aで効率よく樹脂キートップ26の押圧面へ伝えることができ、樹脂キートップ26を明るく照光することができる。
【0057】
第5実施形態〔図10〕: 第5実施形態のキーシート28の断面図を図10に示す。第5実施形態のキーシート28は、金属製の押し子部29の形成された金属シート29を用いている。
【0058】
金属シート29は第1実施形態の金属シート13と同様に、平面視で舌片状の仕切溝29aが設けられているが、さらに舌片状部分には回路基板8対向面より回路基板8に向かって突出する中実で円錐台状の押し子部29bが形成されている点で相違している。本実施形態では金属シート29をベースシート12に固着していないが、接着層で固着することもできる。
【0059】
キーシート28の製造方法について説明する。第1実施形態のキーシート9と同様に、樹脂キートップ10、フレームシート11、ベ−スシート12をそれぞれ形成する。そして、接着層15を樹脂キートップ10、フレームシート11に形成し、ベースシート12と位置合わせして、熱圧着機などでベースシート12と樹脂キートップ10、フレームシート11とを接着する。第5実施形態では、金属板をエッチング処理して仕切溝29aと押し子部29bを同時加工し金属シート29を形成する。次いでベースシート12と金属シート29とを整合してキーシート28を得ることができる。
【0060】
第5実施形態のキーシート28によれば、金属シート29が押し子部29bを有するため、金属シート29の形成と同時に「押し子」の形成することができ、金属シートと押し子を別々に形成する場合と比べ加工工数を削減することができる。
【0061】
第6実施形態〔図11〕: 第6実施形態のキーシート30の断面図を図11に示す。第6実施形態のキーシート30では、金属シート31と同一素材で形成されている押し子部31bを中空形状としている。
【0062】
金属シート31は第5実施形態の金属シート29と同様に、平面視で舌片状の仕切溝31aが設けられているが、金属シート29と異なり、さらに舌片状部分には回路基板8対向面より回路基板8に向かって突出する中空で円錐台状の押し子部31bが形成されている。第6実施形態では金属シート31をベースシート12に固着していないが、接着層で固着することもできる。
【0063】
キーシート30の製造方法について説明する。第5実施形態のキーシート28と同様に、樹脂キートップ10、フレームシート11、ベ−スシート12をそれぞれ形成する。そして、接着層15を樹脂キートップ10、フレームシート11に形成し、ベースシート12と位置合わせして、熱圧着機などでベースシート12と樹脂キートップ10、フレームシート11とを接着する。第6実施形態では、金属板に対してプレス機を用いて仕切溝31aの抜き加工と押し子部31bの圧縮成型を同時に行い金属シート29を形成する。次いでベースシート12と金属シート29とを整合してキーシート28を得ることができる。
【0064】
第6実施形態のキーシート30によれば、押し子部31bが中空形状であるため、金属シート31を軽量化することができ、キーシート30の重量を軽減することができる。
【0065】
各実施形態に共通する第1変形例: 第1実施形態〜第6実施形態(変形例を含む)のキーシート9,20,23,25,28,30では、金属シート13,17,18,24,29,31、又は金属片19をベースシート12,27の裏面に備える例を示したが、第1変形例として樹脂キートップ10,26の裏面に備えることもできる。なお、キーシート28,30では、金属シート29,31にそれぞれ押し子部29b,31bが形成されているため、肉厚を貫通する透孔27aが形成されているベースシート27を用いている。
【0066】
各実施形態に共通する第2変形例: 第1実施形態〜第6実施形態(変形例を含む)のキーシート9,20,23,25,28,30では、フレームシート12を備える例を示したが、第2変形例としてフレームシート12を省くことができる。
【0067】
各実施形態に共通する第3変形例: 第1実施形態、第2実施形態、第5実施形態、第6実施形態(変形例を含む)のキーシート9,20,28,30について、キートップ10と、金属シート13,17,18,29,31又は金属片19との間に、ELシートを備えれば、照光式キーシートとすることができる。
実験例
【0068】
実験例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
【0069】
1.キーシートの製造: 実験例となるキーシートを以下のとおり製造した。
【0070】
実験例1: ポリカーボネート樹脂を用いて射出成形によって厚さ0.4mmの矩形(10mm×5.6mm)樹脂キートップを形成し、厚さ0.05mmのウレタンシートでなるベースシートにアクリル系接着剤でなる接着層にて固着した。他方、厚さ0.3mmのステンレス板をエッチング処理して高さ0.2mmの押し子部を有する厚さ0.1mmの薄板を形成し、さらに抜き加工によって図4で示すように「スリット」として平面視で舌片状に仕切線を設け金属シートを形成した。そして、0.05mmの両面テープを用いてベースシートと金属シートを貼り合わせ、総厚0.8mmとなる試料1のキーシートを製造した。
【0071】
実験例2: 「スリット」の形状を図3で示すように平面視で舌片状に仕切溝に変更した以外は実験例1と同様とした試料2のキーシートを製造した。
【0072】
実験例3: 押し子部の高さを0.1mmに変更した以外は実験例2と同様とした試料3のキーシートを製造した。
【0073】
実験例4: 金属シートを樹脂キートップごとに設ける金属片に変更し樹脂キートップと同寸法の10mm×5.6mmの矩形金属片とした以外は実験例3と同様とした試料4のキーシートを製造した。なお、金属片の面積割合は樹脂キートップの100%である。
【0074】
実験例5: 金属片の寸法を8.5mm×4.1mmに変更した以外は実験例4と同様とした試料5のキーシートを製造した。なお、金属片の面積割合は樹脂キートップの62%である。
【0075】
実験例6: 金属片の寸法を8.0mm×4.0mmに変更した以外は実験例4と同様とした試料6のキーシートを製造した。なお、金属片の面積割合は樹脂キートップの57%である。
【0076】
実験例7: 金属片の寸法を7.0mm×3.9mmに変更した以外は実験例4と同様とした試料7のキーシートを製造した。なお、金属片の面積割合は樹脂キートップの49%である。
【0077】
実験例8: 金属片の寸法を6.5mm×3.4mmに変更した以外は実験例4と同様とした試料8のキーシートを製造した。なお、金属片の面積割合は樹脂キートップの39%である。
【0078】
実験例9: 金属シートを削除して、高さ0.15mmの押し子部を有する厚さ0.2mmのシリコーンゴムでなる押し子シートを用いた以外は実験例1と同様とした試料9のキーシートを製造した。
【0079】
2.キーシートの評価: 上記実験例で製造した試料1〜試料9の各キーシートのいくつかについて、その打鍵試験、押圧荷重測定を以下の方法で測定し評価した。
【0080】
「打鍵試験」; 試料1〜試料9の各キーシートについて打鍵試験を行った。打鍵試験は、各キーシートを試験板上に載せ、押し子部の下の試験板上には外径4mm、ピーク荷重1.27±0.2N、クリック率40±10%の皿ばねを配置した。そして、硬度60のシリコーンゴムでなる試験子(直径6mmの中実棒で先端半球形状)を用いて、荷重22.6N、押圧速度2回/秒の条件で樹脂キートップの真上から押圧を行い樹脂キートップの割れを判定した。表1に判定結果を示す。割れていないものを「○」、割れたものを「×」と判定した。
【0081】
「押圧荷重測定」; 打鍵試験と同様に試料1〜試料4、試料9のキーシートを皿ばねを配置した試験板上に載せ、打鍵試験と同様の試験子を用いて押圧速度10mm/minで樹脂キートップを押圧し、クリック荷重を測定しクリック率を算出した。表2に測定値及び算出値の結果を示す。またクリック感が良好なものを「○」、やや鈍いものを「△」と判定した。
【0082】
表1で示すように、厚さ0.4mmの樹脂キートップを備えるキーシートにおいて、試料1〜試料7のキーシートでは、10万回の打鍵試験でも樹脂キートップに割れが生じなかった。これら各試料における金属薄板(金属片)の面積割合は樹脂キートップの49%以上である。試料8のキーシートでは、金属片の面積割合が樹脂キートップの39%であるため、5万回の打鍵試験まで樹脂キートップに割れが生じなかった。試料9のキーシートでは、打鍵回数2千回で樹脂キートップに割れが生じたため以降の試験を中止した。
【0083】
表2で示すように、試料2〜試料4のキーシートでは、クリック感が良好であった。さらに試料4のキーシートでは、金属片を備えていても金属片を備えていない試料9の押圧荷重と同等であった。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】第1実施形態のキーシートを示す平面図。
【図2】図1におけるSA−SA線断面を備える押圧スイッチの説明図。
【図3】第1実施形態のキーシートに備える金属薄板の部分拡大平面図。
【図4】金属薄板における第1変形例の部分拡大平面図。
【図5】金属薄板における第2変形例の部分拡大平面図。
【図6】金属薄板における第3変形例〜第5変形例の平面図であり、分図(A)は第3変形例の平面図、分図(B)は第4変形例の平面図、分図(C)は第5変形例の平面図。
【図7】第2実施形態のキーシートを示す図2相当断面図。
【図8】第3実施形態のキーシートを示す図2相当断面図。
【図9】第4実施形態のキーシートを示す図2相当断面図。
【図10】第5実施形態のキーシートを示す図2相当断面図。
【図11】第6実施形態のキーシートを示す図2相当断面図。
【図12】従来のキーシートの縦断面図。
【図13】従来のキーシートを備える押圧スイッチの説明図。
【図14】従来の押圧スイッチを押圧した際の部分拡大図。
【符号の説明】
【0087】
1 ベースシート
2 樹脂キートップ
3 フレームシート
4 接着層
5 キーシート(一従来例)
6 押し子
7 皿ばね(接点スイッチ)
8 回路基板
9 キーシート(第1実施形態)
10 樹脂キートップ
11 フレームシート
11a 透孔
12 ベ−スシート
13 金属シート(金属薄板)
13a 仕切溝(スリット)
13b 舌の付け根部分
14 押し子
15 接着層
16 固定シート
17 金属シート(金属薄板)
17a 仕切線(スリット)
17b 円孔
18 金属シート(金属薄板)
18a 仕切溝(スリット)
19 金属片(金属薄板)
19a 他の金属片(金属薄板)
19b 他の金属片(金属薄板)
20 キーシート(第2実施形態)
21 押し子シート
21a ベース部
21b 押し子部
22 接着層
23 キーシート(第3実施形態)
24 金属シート(金属薄板)
24a 仕切溝(スリット)
24b 透孔
25 キーシート(第4実施形態)
26 樹脂キートップ
26a 押し子部
27 ベースシート
27a 透孔
28 キーシート(第5実施形態)
29 金属シート(金属薄板)
29a 仕切溝(スリット)
29b 押し子部
30 キーシート(第6実施形態)
31 金属シート(金属薄板)
31a 仕切溝(スリット)
31b 押し子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状の樹脂キートップと、樹脂キートップを操作面側に固着するベースシートと、樹脂キートップの裏面側で基板上の接点スイッチを押圧する押し子と、を備えるキーシートにおいて、
押圧操作による樹脂キートップの撓みを抑制する金属薄板を樹脂キートップ裏面側にさらに備えることを特徴とするキーシート。
【請求項2】
薄板状の樹脂キートップを複数備えるものであり、
金属薄板が、一枚板状の金属シートであって、樹脂キートップの仕切り位置に樹脂キートップを押圧した際に金属薄板の面方向に沿って生じる応力を絶縁するスリットを有する請求項1記載のキーシート。
【請求項3】
スリットが金属薄板に対する平面視で舌片状に形成されている請求項2記載のキーシート。
【請求項4】
金属薄板が、この金属薄板に対する平面視で樹脂キートップの裏面方向投影位置内に納まる金属片である請求項1記載のキーシート。
【請求項5】
金属薄板がその肉厚を貫通する透孔を有するものであり、押し子がこの透孔を通じて樹脂キートップ裏面側に金属薄板から突き出ている請求項1〜請求項4何れか1項記載のキーシート。
【請求項6】
押し子が金属薄板の裏面側に固着されたゴム状弾性体又は硬質樹脂製の押し子である請求項1〜請求項4何れか1項記載のキーシート。
【請求項7】
押し子が金属薄板と同材質でなり金属薄板と一体に形成されたものである請求項1〜請求項4何れか1項記載のキーシート。
【請求項8】
ベースシートに、樹脂キートップと並べて配置するフレームシートをさらに備える請求項1〜請求項7何れか1項記載のキーシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−70665(P2009−70665A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−237162(P2007−237162)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】