説明

キーシート

【課題】従来の均熱用キーシートでは、照光にむらが生じやすかった。
【解決手段】スイッチ部11とボタン部13との間に設けられたキーシート14であって、キーシート14は表面が白色の反射シート15と、熱伝導シート16と、絶縁シート17が積層されたものであり、光源に対向する位置の反射シート15および熱伝導シート16には開口部18が設けられ、開口部18以外の反射シート15又は絶縁シート17は、遮光性を有しているもので構成したもので、むらのない照光を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話のキーパッドの部分に用いられる均熱化と放熱特性の改善を図ったキーシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年携帯電話の小型化、薄型化、多機能化等により、電子回路で発生した熱で、筐体やボタン部が熱くなってしまうという課題が発生してきている。これに対してボタン部とスイッチ部との間に熱伝導シートを挟むことによって、発生した熱を均熱化あるいは放熱させるということが行なわれている。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−310035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらスイッチ部の間にLED等の光源を設け、キーパッド全体を照光しようとすると、光源から出た光が熱伝導シート等で反射し、照光にむらができやすいという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決し、キーパッドの均熱化と放熱特性の改善を図るとともに、キーパッド部分の照光にむらが生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は複数個のスイッチ部と、このスイッチ部間に設けられた光源と、スイッチ部に対応する位置に設けられたボタン部とを備え、スイッチ部とボタン部との間に設けられたキーシートであって、キーシートは表面が白色の反射シートと、熱伝導シートと、絶縁シートが積層されたものであり、光源に対向する位置の反射シートおよび熱伝導シートには開口部が設けられ、開口部以外の反射シート又は絶縁シートは、光源の光に対して遮光性を有しているように構成したものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、電子回路で発生した熱を効率良く均熱化、放熱することができ、キーパッドの一部が局部的に熱くなることを防止するとともに、光源から出た光が内部で散乱することによりキーパッド部分の照光にむらが出ることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態におけるキーシートを用いた携帯電話のキーパッド部分の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態におけるキーシートについて、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態におけるキーシートを用いた携帯電話のキーパッド部分の断面図であり、図1(a)は携帯電話のキーパッド部分の断面図であり、図1(b)は、キーシートの断面図の拡大図である。
【0012】
図1(a)に示すようにキーパッド部分は、スイッチ部11とその間に光源12としてLED素子を実装した基板19と、スイッチ部11に対応する部分に設けたボタン部13との間にキーシート14が挟まれている。キーシート14は図1(b)に示すように、反射シート15と、熱伝導シート16と、絶縁シート17が積層されたものであり、反射シート15は黒色のPET(ポリエチレンテレフタレート)シート20の表面側(ボタン部13側)に白色の塗料21が塗布されており、熱伝導シート16はグラファイトシートからなり、絶縁シート17は透明のPETからなっている。また、光源12に対向する位置の反射シート15および熱伝導シート16には開口部18が設けられ、光源12から出た光が開口部18を通って出射される。そのため絶縁シート17が透明であれば、開口部は設けなくても良い。
【0013】
ここで、熱伝導シートの大きさを反射シートの大きさよりも小さくしている。均熱化、放熱の効果のためには熱伝導シートが大きい方が望ましいが、グラファイトシートのような熱伝導シート自体高価なものであるため、これを大きくすると全体として高価なものになってしまう。このため熱伝導シートの大きさを均熱化、放熱の効果を得るための最小限の大きさにすることが望ましいが、熱伝導シートの大きさを反射シートの大きさよりも小さくすると、熱伝導シートがない部分で不要光が漏れて照光にむらが生じ易い。
【0014】
本実施の形態では反射シート15の表面が白色となっているため、キーシート14の上に出た光は反射シート15の上でも反射され、ボタン部全体を照光することができる。さらに反射シート15は黒色のPETを用いているため、遮光性を有している。ここで遮光性とは光源12の光に対して、透過率が0.6%以下のものをいう。さらに透過率が0.01%以下のものがより望ましい。表面に白色の塗料を塗布しただけのものでは、通常透過率が10%以上となり、完全に遮光することができず、グラファイトのようなものでできた熱伝導シート16は光を通さないため、熱伝導シート16がある部分とない部分で光の強度の差が出てしまい、また基板19とキーシート14との間に漏れた光が反射することにより、外から見たときにむらとなって見えてしまう。
【0015】
これに対し本実施の形態では、反射シートのスイッチ部側は遮光性を有しているため、ボタン部が内部回路の発熱によって局部的に熱くなるのを防ぐとともに、基板の方にもれた光がキーシートからもれてくるのを防ぐことができ、均一な照光を行なうことができる。
【0016】
なお本実施の形態では、黒色のPETシートの表面側に白色の塗料を塗布したが、白色の塗料を塗布する代わりに、黒色のPETシートに白色のシートを貼り合せたものであってもかまわなく、この方が工程を簡略化することができる。この場合も、白色のシートをボタン部側にすることで、同様の効果を得ることができる。
【0017】
また、本実施の形態では、黒色のPETシートを用いたが、黒色でなくても、光源から出る光を遮光できるものであれば良い。但し、光源の光を多色にする場合、あるいは別の色の光源を用いるものに使用する場合等を考えると、黒色にしておいた方が、共用化が図り易いため、より望ましい。
【0018】
また、本発明は光源の光に対して遮光性を有することによって、熱伝導シートの有無による照光むらを防ぐという効果が得られるものであるが、さらに光源の光に対する反射率が小さいことが、より望ましく、反射率が80%以下であることが望ましい。このようにすることにより、基板側で反射する光の影響を低減することができる。
【0019】
また、本実施の形態では、絶縁シートに透明なものを用いたが、絶縁シートに遮光性を有したものを用いても良い。絶縁シートに黒色のシートを用いることにより、熱伝導シートによる反射の影響もなくすことができ、より望ましい。なおこの場合は、反射シート、熱伝導シートに設けた開口部と同じ部分に開口部を設けておく必要がある。このようにすることにより、ボタン部が内部回路の発熱によって局部的に熱くなるのを防ぐとともに、均一な照光を行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係るキーシートは、電子回路で発生した熱を効率良く均熱化、放熱することができ、キーパッドの一部が局部的に熱くなることを防止するとともに、光源から出た光が内部で散乱することによりキーパッド部分の照光にむらが出ることを防ぐことができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0021】
11 スイッチ部
12 光源
13 ボタン部
14 キーシート
15 反射シート
16 熱伝導シート
17 絶縁シート
18 開口部
19 基板
20 PETシート
21 白色の塗料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のスイッチ部と、このスイッチ部間に設けられた光源と、前記スイッチ部に対応する位置に設けられたボタン部とを備え、前記スイッチ部と前記ボタン部との間に設けられたキーシートであって、前記キーシートは表面が白色の反射シートと、熱伝導シートと、絶縁シートが積層されたものであり、前記光源に対向する位置の前記反射シートおよび前記熱伝導シートには開口部が設けられ、前記開口部以外の前記反射シート又は前記絶縁シートは、前記光源の光に対して遮光性を有しているキーシート。
【請求項2】
前記反射シートは、前記光源の光に対して吸収性を有している色のシートの表面に白色の層を形成したものである請求項1記載のキーシート。
【請求項3】
前記反射シートは、黒色のシートの表面に白色の層を形成したものである請求項2記載のキーシート。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−22869(P2012−22869A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159423(P2010−159423)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】