キースイッチ構造
【課題】キートップの操作性を損なうことなく薄型化を図ったキースイッチ構造を提供する。
【解決手段】接点部を有するメンブレンシート26の上部に樹脂シート25を配設し、この樹脂シート25に第1の支持部28と第2の支持部29を形成する。第1の支持部28は短冊状部材28aとともに弾性部28cを有し、短冊状部材28aに平板状に形成された第1リンク部材21の端部21cが重ね合わされて固着される。第2の支持部29は短冊状部材29aを有し、この短冊状部材29aに同じく平板状に形成された第2リンク部材22の端部22cが回動可能に装着される。
【解決手段】接点部を有するメンブレンシート26の上部に樹脂シート25を配設し、この樹脂シート25に第1の支持部28と第2の支持部29を形成する。第1の支持部28は短冊状部材28aとともに弾性部28cを有し、短冊状部材28aに平板状に形成された第1リンク部材21の端部21cが重ね合わされて固着される。第2の支持部29は短冊状部材29aを有し、この短冊状部材29aに同じく平板状に形成された第2リンク部材22の端部22cが回動可能に装着される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機器、測定機器、医療機器などにおける入力装置として用いられるキーボードのキースイッチ構造に関し、特に操作性を損なうことなく薄型化を図ったキースイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可搬型のパーソナルコンピュータ等に用いられるキーボードにおいては、キートップのどの部分を押下してもキートップが傾くことなく下降する所謂操作性を確保するようにしている。そのために従来のキースイッチ構造においては、キートップの下部にリンク機構を備えている。キートップの下部にリンク機構を備えたキースイッチ構造としては、例えば、特開2001−229764号公報に開示されるものがある。
【0003】
図16に上記文献に開示されるリンク機構を備えた従来のキースイッチ構造を示す。図16において、従来のキースイッチ10は、キートップ11と、キートップ11に対して回転可能に設けられた第1リンク部材12、キートップ11に対して摺動可能に設けられた第2リンク部材13、キートップ11が押下されることにより屈曲し、押下力が排除されるとキートップ11を元の位置に復帰させるラバードーム(弾性部材)14、第1、第2リンク部材12、13を保持するホルダー15、ラバードーム14の直下に接点部を有するメンブレンシート16、ホルダー15の溶着用ピン15aを固定する穴を有するバックプレート17とにより構成されている。第1リンク部材12と第2リンク部材13によりリンク機構が構成される。
【0004】
以上のキースイッチ構造においては、仮にキートップ11の端部が押下された場合でも、第1、第2リンク部材12、13からなるリンク機構によりキートップ11は水平状態を維持しながら下降する。例えば、図16に矢印で示すキートップ11の端部の位置が押下された場合、まず第1リンク部材12の右端部が下降する。これにより第1リンク部材12の左端部は矢印で示すように左側へ移動する。これにより第1リンク部材12の中央部は下降し、中央部で第1リンク部材12と連結されている第2リンク部材13も下降する。第2リンク部材13の下降によりキートップ11の左端部も下降する。このようにキートップ11の端部を押下してもキートップ11が水平状態を保ったまま下降することで、押下位置による操作感の差異がないように、即ち、操作性を確保するようにしている。
【特許文献1】特開2001−229764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のキースイッチ構造においては、キートップ11、第1、第2リンク部材12、13およびホルダー15が層状に重なる構造となっており、またホルダー15がある程度の厚みを要する複雑な構造になっているので、薄型化に限界があり、携帯性が要求されるPDA(personal digital assistant:携帯情報端末)や小型パーソナルコンピュータに用いることができないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、キートップの押下位置による操作感の差異がないという操作性を損なうことなく薄型化を図ったキースイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、キートップと、接点部を具備するメンブレンシートと、前記キートップと前記メンブレンシートの間に配設され、第1のリンク部材と第2のリンク部材から成り、前記キートップを上下動可能に支持するリンク機構とを備えたキースイッチ構造において、前記メンブレンシートの上部にシート状部材を配設し、前記シート状部材に、該シート状部材の面方向に移動可能で、前記第1のリンク部材の平板状に形成された一端部が重ね合わされて固着されることにより前記第1のリンク部材を支持する第1の支持部と、前記第2のリンク部材の平板状に形成された一端部が固着され、該第2のリンク部材を回動可能に支持する第2の支持部とを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メンブレンシートの上部にシート状部材を配設し、このシート状部材に、該シート状部材の面方向に移動可能で、リンク機構を構成する第1のリンク部材の平板状の一端部を重ね合わせて支持する第1の支持部と、第2のリンク部材の平板状の一端部を回動可能に支持する第2の支持部を設けたので、操作性を損なうことなく、キースイッチ構造の薄型化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図であり、図2は本実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【実施例1】
【0010】
図1、図2において、実施例1のキースイッチ20は、キートップ21と、キートップ21に対して回転可能に設けられた第1リンク部材22、キートップ21に対して摺動可能に設けられた第2リンク部材23、キートップ21が押下されることにより屈曲し、押下力が排除されるとキートップ21を元の位置に復帰させるラバードーム(弾性部材)24、第1、第2リンク部材22、23を保持する樹脂シート25、ラバードーム24の直下に接点部を有し、樹脂シート25の下部に配設されたメンブレンシート26、メンブレンシート26の下部に配設されたバックプレート27により構成されている。
【0011】
キートップ21の裏面には、第2リンク部材23の一端部23aに形成された孔23bに挿入される支持部21aと、第1リンク部材22の一端部22aを回転可能に支持する支持部21bが設けられている。支持部21bは、図2に示すように、第1リンク部材22の一端部22aに形成された孔22bに回転可能に挿入される係止部21baと、第1リンク部材22の一端部22aが係止部21baから外れるのを防止する抜け止め部21bbから構成される。
【0012】
第1リンク部材22は、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第1リンク部材22の他端部22cは、後述するように、樹脂シート25に一体に形成された第1の支持部に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第1リンク部材22は平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。第1リンク部材22の中央部には段差部22dが形成され、段差部22dの内側には切り欠き部22eが形成されている。切り欠き部22eは第2リンク部材23の切り欠き部23eと噛み合うことにより、互いに回転可能に連結される。
【0013】
第2リンク部材23は、第1リンク部材22と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第2リンク部材23の他端部23cは、後述するように、樹脂シート25に一体に形成された第2の支持部に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第2リンク部材23が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。第2リンク部材23の中央部には段差部23dが形成され、この段差部23dの外側には切り欠き部23eが形成されている。切り欠き部23eは第1リンク部材22との連結用に設けられている。
【0014】
ラバードーム24は、ゴム等を素材として略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部24a(図2に示す)が下方に向けて突出形成されている。ラバードーム24は上方から押下されると屈曲し、接点押下部24aがメンブレンシート26の接点部26gを押下する。ラバードーム24は第1および第2リンク部材22、23の内側に設けられる。
【0015】
樹脂シート25は、メンブレンシート26全体の上部に設けられ、各キースイッチ毎に、第1の支持部28、第2の支持部29および接点孔25aが設けられている。第1の支持部28は、樹脂シート25の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)28aが2個設けられている。短冊状部材28aは、第1リンク部材22の2個の他端部22cに対応して設けられ、この他端部22cがそれぞれ固着される。短冊状部材(切出部)28aの三方には切り欠き部28bが形成され、また短冊状部材28aを湾曲状に折り曲げることにより弾性部28cを形成している。
【0016】
この弾性部28cが形成されることにより、短冊状部材28aは図3(a)に示す矢印A方向(樹脂シート25の面方向)に移動可能となる。短冊状部材28aは矢印A方向に移動させられた後、弾性部28cの復帰力により元の位置に復帰する力を付与される。第1リンク部材22の他端部22cは、図3(b)に示すように、短冊状部材28aに接着剤30により接着される。接着された状態において、第1リンク部材22の他端部22cは矢印A方向に移動可能である。
【0017】
樹脂シート25に形成された第2の支持部29には、樹脂シート25の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)29aが2個設けられている。短冊状部材29aは、第2リンク部材23の2個の他端部23cに対応して設けられ、他端部23cがそれぞれ固着される。
【0018】
図4は第2リンク部材23の他端部を固着する様子を示す。図4において、短冊状部材29aの三方には切り欠き部29bが形成され、短冊状部材29aは板厚方向に撓み可能となっている。短冊状部材29aと第2リンク部材23の他端部23cは、図4(a)に示すように、接着剤31により重ね合わさるように接着される。接着後の第2リンク部材23の他端部23cは、図4(b)に示すように、矢印方向に、即ち、樹脂シート25の板厚方向に撓み可能である。また図1に示す接点孔25aは、メンブレンシート26の接点部の上部に位置し、ラバードーム24が入り込む大きさとなっている。
【0019】
メンブレンシート26は、図2に示すように、2枚の可撓性シート26a、26bと、この2枚の可撓性シート26a、26bに挟まれたスペーサシート26cから成り、このスペーサシート26cには複数のキーに対応して複数の貫通穴26fが設けられている。貫通穴26fは2枚の可撓性シート26a、26b間に空間を形成し、この空間内で互いに対向して位置するように、バックプレート27側の可撓性シート26bには固定接点26dが、ラバードーム24側の可撓性シート26aには可動接点26eがそれぞれ設けられている。固定接点26dと可動接点26eで接点部26gを構成する。またバックプレート27は、以上の各部品を搭載するように下部に配置される。
【0020】
次に実施例1の動作を説明する。図2はキートップ21が押下されていない状態を示す。この状態において、メンブレンシート26とキートップ21の間には、樹脂シート25と第1、第2リンク部材22、23とラバードーム24が配設されているが、この間の高さを決定する要素は、樹脂シート25の厚さと第1、第2リンク部材22、23の高さである。樹脂シート25は薄い樹脂で形成されており、また第1、第2リンク部材22、23は平板状の部材で形成されているので、メンブレンシート26とキートップ21の間の高さを低くすることが可能となり、キースイッチ20の薄型化が可能である。
【0021】
図2に示す状態から、キートップ21を上方から任意の荷重で押下すると、例えば、図2に矢印で示す右端部の位置でキートップ21を押下すると、押下された部位のキートップ21は下方に移動する。これにより第1リンク部材22の一端部22aが下降し、第1リンク部材22は、第2リンク部材23と連結している中央部を中心として、図2における時計回り方向に回転する。このとき第1リンク部材22の一端部22aに形成された孔22bにキートップ21の支持部21bの係止部21baが遊嵌しているので、第1リンク部材22は回転可能である。また第1リンク部材22の他端部22cは、第1の支持部28の短冊状部材28aとともに図3(b)に示す矢印A方向に移動する。短冊状部材28aはこの移動により弾性部28cを押圧する。
【0022】
第1リンク部材22の回転に伴って、第1リンク部材22と中央部で連結している第2リンク部材23は、連結部である中央部を中心として、図2における反時計回り方向に回転し、一端部23aが下降する。ここで第2リンク部材23の他端部23cは、可撓性を有する第2の支持部29の短冊状部材29aに固着されているので、第2リンク部材23は良好に回転する。一端部23aの下降により、第2リンク部材23の一端部23aと係合しているキートップ21の反対側(図に示す左側で、押下位置の反対側)も第2リンク部材23に引っ張られて下降する。このようにキートップ21の端部が押下されてもキートップ21は水平状態を維持しながら下降する。
【0023】
キートップ21が下降することによりラバードーム24が屈曲し、ラバードーム24の接点押下部24aが、図5に示すように、メンブレンシート26の接点部26gを押圧する。これにより可動接点26eが固定接点26dに接触してスイッチ閉状態となる。なお図5はキートップが押下された状態を示す断面図である。
【0024】
キートップ21に対する押圧を解除すると、ラバードーム24の復帰力によりキートップ21は上方に押し上げられ、押下前の状態に戻る。またこのとき、樹脂シート25に形成された第1の支持部28の弾性部28cの復帰力により第1リンク部材22の他端部22cが押し戻され、この力もキートップ21を押し上げる力となる。
【0025】
以上のように実施例1によれば、平板状部材で形成される第1リンク部材22と第2リンク部材23でリンク機構を構成し、第1リンク部材22を樹脂シート25に一体に形成した第1の支持部28の短冊状部材28aに固着し、第2リンク部材23も樹脂シート25に一体に形成した第2の支持部29で支持するようにしたので、キースイッチ20の薄型化が可能になるとともに、キートップ21の端部を押下してもキートップ21が水平状態を維持したまま下降する操作性のよいキースイッチを提供することが可能になる。
【実施例2】
【0026】
次に実施例2を説明する。図6は実施例2の第1リンク部材を示す斜視図である。図6において、実施例2の第1リンク部材31は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第1リンク部材31の一端部31aには、キートップ21に形成された係止部21baが挿入される孔31bが形成され、第1リンク部材31の他端部31cは、後述する樹脂シート33に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第1リンク部材31が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0027】
第1リンク部材31の他端部31cには、孔31fが形成されている。孔31fには後述する樹脂シート33に形成された第1の支持部34の切り起こし部34aが嵌入される。第1リンク部材31の中央部には段差部31dが形成され、この段差部31dの内側には切り欠き部31eが形成されている。切り欠き部31eは第2リンク部材32との連結用に設けられている。
【0028】
図7は実施例2の第2リンク部材を示す斜視図である。図7において、実施例2の第2リンク部材32は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第2リンク部材32の一端部32aには、キートップ21に形成された支持部21aが挿入される孔32bが形成され、第2リンク部材32の他端部32cは、樹脂シート33に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第2リンク部材32が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0029】
第2リンク部材32の他端部32cには、孔32fが形成されている。孔32fには後述する樹脂シート33に一体に形成された第2の支持部35の切り起こし部35aが嵌入される。第2リンク部材32の中央部には段差部32dが形成され、この段差部32dの外側には切り欠き部32eが形成されている。切り欠き部32eは第1リンク部材31との連結用に設けられている。
【0030】
図8は実施例2の樹脂シートを示す斜視図である。図8において、樹脂シート33は、メンブレンシート26全体の上部に設けられ、各キースイッチ毎に、第1の支持部34、第2の支持部35および接点孔33aが設けられている。第1の支持部34には、樹脂シート33の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)34bが設けられ、短冊状部材34bには弾性部34cが設けられ、さらにその先端部には垂直方向に突出した切り起こし部34aが形成されている。短冊状部材34bは第1リンク部材31の2個の他端部31cに対応して設けられ、他端部31cがそれぞれ固着される。
【0031】
また第2の支持部35には、樹脂シート33の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)35bが設けられ、短冊状部材35bの先端部には垂直方向に突出した切り起こし部35aが形成されている。短冊状部材35bは第2リンク部材32の2個の他端部32cに対応して設けられ、他端部32cがそれぞれ固着される。
【0032】
図9は実施例2の第1の支持部を示す斜視図である。図9において、第1の支持部34の短冊状部材34bには弾性部34cが形成され、短冊状部材34bは矢印A方向に伸縮可能となっている。短冊状部材34bと第1リンク部材31の他端部31cは、図9(a)に示すように、他端部31cの孔31fに切り起こし部34aが嵌入されて固着される。嵌入された後、図9(b)に示すように、切り起こし部34aの先端部が折り曲げられて固着される。固着後において第1リンク部材31の他端部31cは、矢印A方向に、即ち、樹脂シート33の面方向に移動可能である。
【0033】
図10は実施例2の第2の支持部を示す斜視図である。図10において、第2の支持部35の短冊状部材35bの三方には切り欠き部35cが形成され、短冊状部材35bは板厚方向に撓み可能となっている。短冊状部材35bと第2リンク部材32の他端部32cは、図10(a)に示すように、他端部32cの孔32fに切り起こし部35aが嵌入されて固着される。即ち、嵌入された後、図10(b)に示すように、切り起こし部35aの先端部が折り曲げられて固着される。固着後において第2リンク部材32の他端部32cは、矢印方向に、即ち、樹脂シート32の板厚方向に撓み可能である。その他の構成は実施例1と同様である。
【0034】
実施例2のキースイッチの動作は前記実施例1と同様である。実施例2においても、キースイッチの薄型化が可能になるとともに、キートップ21の端部を押下してもキートップ21が水平状態を維持したまま下降する操作性のよいキースイッチを提供することが可能になる。
【実施例3】
【0035】
次に実施例3を説明する。図11は実施例3の第1リンク部材を示す斜視図である。図11において、実施例3の第1リンク部材41は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第1リンク部材41の一端部41aには、キートップ21に形成された係止部21baが挿入される孔41bが形成され、第1リンク部材41の他端部41cは、樹脂シート43に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第1リンク部材41が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0036】
第1リンク部材41の他端部41cには、丸孔41fが形成されている。丸孔41fには後述する樹脂シート43に一体に形成された第1の支持部44の打ち出し部44aが嵌入される。第1リンク部材41の中央部には段差部41dが形成され、この段差部41dの外側には切り欠き部41eが形成されている。切り欠き部41eは第2リンク部材42との連結用に設けられている。
【0037】
図12は実施例3の第2リンク部材を示す斜視図である。図12において、実施例3の第2リンク部材42は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第2リンク部材42の一端部42aには、キートップ21に形成された支持部21aが挿入される孔42bが形成され、第2リンク部材42の他端部42cは、樹脂シート43に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第2リンク部材42が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0038】
第2リンク部材42の他端部42cには、丸孔42fが形成されている。丸孔42fには後述する樹脂シート43に一体に形成された第2の支持部45の打ち出し部45aが嵌入される。第2リンク部材42の中央部には段差部42dが形成され、この段差部42dの外側には切り欠き部42eが形成されている。切り欠き部42eは第1リンク部材41との連結用に設けられている。
【0039】
図13は実施例3の樹脂シートを示す斜視図である。図13において、樹脂シート43は、メンブレンシート26全体の上部に設けられ、各キースイッチ毎に、第1の支持部44、第2の支持部45および接点孔43aが設けられている。第1の支持部44は、樹脂シート43の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)44bが設けられ、短冊状部材44bには弾性部44cが形成され、さらにその上部には打ち出し部44aが形成されている。短冊状部材44bは第1リンク部材41の2個の他端部41cに対応して設けられ、他端部41cがそれぞれ固着される。
【0040】
第2の支持部45は、樹脂シート43の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)45bが設けられ、短冊状部材45bの上部には打ち出し部45aが形成されている。短冊状部材45bは第2リンク部材42の2個の他端部42cに対応して設けられ、他端部42cがそれぞれ固着される。
【0041】
図14は実施例3の第1の支持部を示す斜視図である。図14において、第1の支持部44の短冊状部材44bには弾性部44cが形成され、短冊状部材44bは矢印A方向に伸縮可能となっている。短冊状部材44bと第1リンク部材41の他端部41cは、図14(a)に示すように、他端部41cの丸孔41fに切り起こし部44aが嵌入されて固着される。嵌入された後、図14(b)に示すように、切り起こし部44aの先端部が潰されて固着される。固着後において第1リンク部材41の他端部41cは、矢印A方向に、即ち、樹脂シート43の面方向に移動可能である。
【0042】
図15は実施例3の第2の支持部を示す斜視図である。図15において、短冊状部材45bの三方には切り欠き部45cが形成され、短冊状部材45bは板厚方向に撓み可能となっている。短冊状部材45bと第2リンク部材42の他端部42cは、図15(a)に示すように、他端部42cの丸孔42fに打ち出し部45aが嵌入されて固着される。嵌入された後、図15(b)に示すように、打ち出し部45aの先端部が潰されて固着される。固着後において第2リンク部材42の他端部42cは、矢印方向に、即ち、樹脂シート42の板厚方向に撓み可能である。その他の構成は実施例1と同様である。
【0043】
実施例3のキースイッチの動作は前記実施例1と同様である。実施例3においても、キースイッチの薄型化が可能になるとともに、キートップ21の端部を押下してもキートップ21が水平状態を維持したまま下降する操作性のよいキースイッチを提供することが可能になる。
【0044】
本発明の上記の各実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施例で説明した樹脂シートとして、高弾性を有する材料を用い、短冊状部材を任意の角度で切り起こし、短冊状部材に固着した第2リンク部材を起こす力、即ち、キートップが押下された状態から元の位置へ復帰させる力を持たせるようにしてもよい。また樹脂シートの代わりにバネ性を持つ金属を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図2】実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【図3】実施例1の第1の支持部を示す斜視図である。
【図4】実施例1の第2の支持部を示す斜視図である。
【図5】実施例1におけるキートップが押下された状態を示す断面図である。
【図6】実施例2の第1リンク部材を示す斜視図である。
【図7】実施例2の第2リンク部材を示す斜視図である。
【図8】実施例2の樹脂シートを示す斜視図である。
【図9】実施例2の第1の支持部を示す斜視図である。
【図10】実施例2の第2の支持部を示す斜視図である。
【図11】実施例3の第1リンク部材を示す斜視図である。
【図12】実施例3の第2リンク部材を示す斜視図である。
【図13】実施例3の樹脂シートを示す斜視図である。
【図14】実施例3の第1の支持部を示す斜視図である。
【図15】実施例3の第2の支持部を示す斜視図である。
【図16】従来のキースイッチ構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
20 キースイッチ
21 キートップ
22、31、41 第1リンク部材
23、32、42 第2リンク部材
25、33、43 樹脂シート
28、34、44 第1の支持部
29、35、45 第2の支持部
28a、34d、44d、29a、35d、45d 短冊状部材
28c、34c、44c 弾性部
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機器、測定機器、医療機器などにおける入力装置として用いられるキーボードのキースイッチ構造に関し、特に操作性を損なうことなく薄型化を図ったキースイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可搬型のパーソナルコンピュータ等に用いられるキーボードにおいては、キートップのどの部分を押下してもキートップが傾くことなく下降する所謂操作性を確保するようにしている。そのために従来のキースイッチ構造においては、キートップの下部にリンク機構を備えている。キートップの下部にリンク機構を備えたキースイッチ構造としては、例えば、特開2001−229764号公報に開示されるものがある。
【0003】
図16に上記文献に開示されるリンク機構を備えた従来のキースイッチ構造を示す。図16において、従来のキースイッチ10は、キートップ11と、キートップ11に対して回転可能に設けられた第1リンク部材12、キートップ11に対して摺動可能に設けられた第2リンク部材13、キートップ11が押下されることにより屈曲し、押下力が排除されるとキートップ11を元の位置に復帰させるラバードーム(弾性部材)14、第1、第2リンク部材12、13を保持するホルダー15、ラバードーム14の直下に接点部を有するメンブレンシート16、ホルダー15の溶着用ピン15aを固定する穴を有するバックプレート17とにより構成されている。第1リンク部材12と第2リンク部材13によりリンク機構が構成される。
【0004】
以上のキースイッチ構造においては、仮にキートップ11の端部が押下された場合でも、第1、第2リンク部材12、13からなるリンク機構によりキートップ11は水平状態を維持しながら下降する。例えば、図16に矢印で示すキートップ11の端部の位置が押下された場合、まず第1リンク部材12の右端部が下降する。これにより第1リンク部材12の左端部は矢印で示すように左側へ移動する。これにより第1リンク部材12の中央部は下降し、中央部で第1リンク部材12と連結されている第2リンク部材13も下降する。第2リンク部材13の下降によりキートップ11の左端部も下降する。このようにキートップ11の端部を押下してもキートップ11が水平状態を保ったまま下降することで、押下位置による操作感の差異がないように、即ち、操作性を確保するようにしている。
【特許文献1】特開2001−229764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来のキースイッチ構造においては、キートップ11、第1、第2リンク部材12、13およびホルダー15が層状に重なる構造となっており、またホルダー15がある程度の厚みを要する複雑な構造になっているので、薄型化に限界があり、携帯性が要求されるPDA(personal digital assistant:携帯情報端末)や小型パーソナルコンピュータに用いることができないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、キートップの押下位置による操作感の差異がないという操作性を損なうことなく薄型化を図ったキースイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、キートップと、接点部を具備するメンブレンシートと、前記キートップと前記メンブレンシートの間に配設され、第1のリンク部材と第2のリンク部材から成り、前記キートップを上下動可能に支持するリンク機構とを備えたキースイッチ構造において、前記メンブレンシートの上部にシート状部材を配設し、前記シート状部材に、該シート状部材の面方向に移動可能で、前記第1のリンク部材の平板状に形成された一端部が重ね合わされて固着されることにより前記第1のリンク部材を支持する第1の支持部と、前記第2のリンク部材の平板状に形成された一端部が固着され、該第2のリンク部材を回動可能に支持する第2の支持部とを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メンブレンシートの上部にシート状部材を配設し、このシート状部材に、該シート状部材の面方向に移動可能で、リンク機構を構成する第1のリンク部材の平板状の一端部を重ね合わせて支持する第1の支持部と、第2のリンク部材の平板状の一端部を回動可能に支持する第2の支持部を設けたので、操作性を損なうことなく、キースイッチ構造の薄型化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図であり、図2は本実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【実施例1】
【0010】
図1、図2において、実施例1のキースイッチ20は、キートップ21と、キートップ21に対して回転可能に設けられた第1リンク部材22、キートップ21に対して摺動可能に設けられた第2リンク部材23、キートップ21が押下されることにより屈曲し、押下力が排除されるとキートップ21を元の位置に復帰させるラバードーム(弾性部材)24、第1、第2リンク部材22、23を保持する樹脂シート25、ラバードーム24の直下に接点部を有し、樹脂シート25の下部に配設されたメンブレンシート26、メンブレンシート26の下部に配設されたバックプレート27により構成されている。
【0011】
キートップ21の裏面には、第2リンク部材23の一端部23aに形成された孔23bに挿入される支持部21aと、第1リンク部材22の一端部22aを回転可能に支持する支持部21bが設けられている。支持部21bは、図2に示すように、第1リンク部材22の一端部22aに形成された孔22bに回転可能に挿入される係止部21baと、第1リンク部材22の一端部22aが係止部21baから外れるのを防止する抜け止め部21bbから構成される。
【0012】
第1リンク部材22は、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第1リンク部材22の他端部22cは、後述するように、樹脂シート25に一体に形成された第1の支持部に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第1リンク部材22は平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。第1リンク部材22の中央部には段差部22dが形成され、段差部22dの内側には切り欠き部22eが形成されている。切り欠き部22eは第2リンク部材23の切り欠き部23eと噛み合うことにより、互いに回転可能に連結される。
【0013】
第2リンク部材23は、第1リンク部材22と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第2リンク部材23の他端部23cは、後述するように、樹脂シート25に一体に形成された第2の支持部に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第2リンク部材23が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。第2リンク部材23の中央部には段差部23dが形成され、この段差部23dの外側には切り欠き部23eが形成されている。切り欠き部23eは第1リンク部材22との連結用に設けられている。
【0014】
ラバードーム24は、ゴム等を素材として略カップ状に形成され、内面中央部に接点押下部24a(図2に示す)が下方に向けて突出形成されている。ラバードーム24は上方から押下されると屈曲し、接点押下部24aがメンブレンシート26の接点部26gを押下する。ラバードーム24は第1および第2リンク部材22、23の内側に設けられる。
【0015】
樹脂シート25は、メンブレンシート26全体の上部に設けられ、各キースイッチ毎に、第1の支持部28、第2の支持部29および接点孔25aが設けられている。第1の支持部28は、樹脂シート25の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)28aが2個設けられている。短冊状部材28aは、第1リンク部材22の2個の他端部22cに対応して設けられ、この他端部22cがそれぞれ固着される。短冊状部材(切出部)28aの三方には切り欠き部28bが形成され、また短冊状部材28aを湾曲状に折り曲げることにより弾性部28cを形成している。
【0016】
この弾性部28cが形成されることにより、短冊状部材28aは図3(a)に示す矢印A方向(樹脂シート25の面方向)に移動可能となる。短冊状部材28aは矢印A方向に移動させられた後、弾性部28cの復帰力により元の位置に復帰する力を付与される。第1リンク部材22の他端部22cは、図3(b)に示すように、短冊状部材28aに接着剤30により接着される。接着された状態において、第1リンク部材22の他端部22cは矢印A方向に移動可能である。
【0017】
樹脂シート25に形成された第2の支持部29には、樹脂シート25の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)29aが2個設けられている。短冊状部材29aは、第2リンク部材23の2個の他端部23cに対応して設けられ、他端部23cがそれぞれ固着される。
【0018】
図4は第2リンク部材23の他端部を固着する様子を示す。図4において、短冊状部材29aの三方には切り欠き部29bが形成され、短冊状部材29aは板厚方向に撓み可能となっている。短冊状部材29aと第2リンク部材23の他端部23cは、図4(a)に示すように、接着剤31により重ね合わさるように接着される。接着後の第2リンク部材23の他端部23cは、図4(b)に示すように、矢印方向に、即ち、樹脂シート25の板厚方向に撓み可能である。また図1に示す接点孔25aは、メンブレンシート26の接点部の上部に位置し、ラバードーム24が入り込む大きさとなっている。
【0019】
メンブレンシート26は、図2に示すように、2枚の可撓性シート26a、26bと、この2枚の可撓性シート26a、26bに挟まれたスペーサシート26cから成り、このスペーサシート26cには複数のキーに対応して複数の貫通穴26fが設けられている。貫通穴26fは2枚の可撓性シート26a、26b間に空間を形成し、この空間内で互いに対向して位置するように、バックプレート27側の可撓性シート26bには固定接点26dが、ラバードーム24側の可撓性シート26aには可動接点26eがそれぞれ設けられている。固定接点26dと可動接点26eで接点部26gを構成する。またバックプレート27は、以上の各部品を搭載するように下部に配置される。
【0020】
次に実施例1の動作を説明する。図2はキートップ21が押下されていない状態を示す。この状態において、メンブレンシート26とキートップ21の間には、樹脂シート25と第1、第2リンク部材22、23とラバードーム24が配設されているが、この間の高さを決定する要素は、樹脂シート25の厚さと第1、第2リンク部材22、23の高さである。樹脂シート25は薄い樹脂で形成されており、また第1、第2リンク部材22、23は平板状の部材で形成されているので、メンブレンシート26とキートップ21の間の高さを低くすることが可能となり、キースイッチ20の薄型化が可能である。
【0021】
図2に示す状態から、キートップ21を上方から任意の荷重で押下すると、例えば、図2に矢印で示す右端部の位置でキートップ21を押下すると、押下された部位のキートップ21は下方に移動する。これにより第1リンク部材22の一端部22aが下降し、第1リンク部材22は、第2リンク部材23と連結している中央部を中心として、図2における時計回り方向に回転する。このとき第1リンク部材22の一端部22aに形成された孔22bにキートップ21の支持部21bの係止部21baが遊嵌しているので、第1リンク部材22は回転可能である。また第1リンク部材22の他端部22cは、第1の支持部28の短冊状部材28aとともに図3(b)に示す矢印A方向に移動する。短冊状部材28aはこの移動により弾性部28cを押圧する。
【0022】
第1リンク部材22の回転に伴って、第1リンク部材22と中央部で連結している第2リンク部材23は、連結部である中央部を中心として、図2における反時計回り方向に回転し、一端部23aが下降する。ここで第2リンク部材23の他端部23cは、可撓性を有する第2の支持部29の短冊状部材29aに固着されているので、第2リンク部材23は良好に回転する。一端部23aの下降により、第2リンク部材23の一端部23aと係合しているキートップ21の反対側(図に示す左側で、押下位置の反対側)も第2リンク部材23に引っ張られて下降する。このようにキートップ21の端部が押下されてもキートップ21は水平状態を維持しながら下降する。
【0023】
キートップ21が下降することによりラバードーム24が屈曲し、ラバードーム24の接点押下部24aが、図5に示すように、メンブレンシート26の接点部26gを押圧する。これにより可動接点26eが固定接点26dに接触してスイッチ閉状態となる。なお図5はキートップが押下された状態を示す断面図である。
【0024】
キートップ21に対する押圧を解除すると、ラバードーム24の復帰力によりキートップ21は上方に押し上げられ、押下前の状態に戻る。またこのとき、樹脂シート25に形成された第1の支持部28の弾性部28cの復帰力により第1リンク部材22の他端部22cが押し戻され、この力もキートップ21を押し上げる力となる。
【0025】
以上のように実施例1によれば、平板状部材で形成される第1リンク部材22と第2リンク部材23でリンク機構を構成し、第1リンク部材22を樹脂シート25に一体に形成した第1の支持部28の短冊状部材28aに固着し、第2リンク部材23も樹脂シート25に一体に形成した第2の支持部29で支持するようにしたので、キースイッチ20の薄型化が可能になるとともに、キートップ21の端部を押下してもキートップ21が水平状態を維持したまま下降する操作性のよいキースイッチを提供することが可能になる。
【実施例2】
【0026】
次に実施例2を説明する。図6は実施例2の第1リンク部材を示す斜視図である。図6において、実施例2の第1リンク部材31は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第1リンク部材31の一端部31aには、キートップ21に形成された係止部21baが挿入される孔31bが形成され、第1リンク部材31の他端部31cは、後述する樹脂シート33に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第1リンク部材31が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0027】
第1リンク部材31の他端部31cには、孔31fが形成されている。孔31fには後述する樹脂シート33に形成された第1の支持部34の切り起こし部34aが嵌入される。第1リンク部材31の中央部には段差部31dが形成され、この段差部31dの内側には切り欠き部31eが形成されている。切り欠き部31eは第2リンク部材32との連結用に設けられている。
【0028】
図7は実施例2の第2リンク部材を示す斜視図である。図7において、実施例2の第2リンク部材32は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第2リンク部材32の一端部32aには、キートップ21に形成された支持部21aが挿入される孔32bが形成され、第2リンク部材32の他端部32cは、樹脂シート33に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第2リンク部材32が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0029】
第2リンク部材32の他端部32cには、孔32fが形成されている。孔32fには後述する樹脂シート33に一体に形成された第2の支持部35の切り起こし部35aが嵌入される。第2リンク部材32の中央部には段差部32dが形成され、この段差部32dの外側には切り欠き部32eが形成されている。切り欠き部32eは第1リンク部材31との連結用に設けられている。
【0030】
図8は実施例2の樹脂シートを示す斜視図である。図8において、樹脂シート33は、メンブレンシート26全体の上部に設けられ、各キースイッチ毎に、第1の支持部34、第2の支持部35および接点孔33aが設けられている。第1の支持部34には、樹脂シート33の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)34bが設けられ、短冊状部材34bには弾性部34cが設けられ、さらにその先端部には垂直方向に突出した切り起こし部34aが形成されている。短冊状部材34bは第1リンク部材31の2個の他端部31cに対応して設けられ、他端部31cがそれぞれ固着される。
【0031】
また第2の支持部35には、樹脂シート33の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)35bが設けられ、短冊状部材35bの先端部には垂直方向に突出した切り起こし部35aが形成されている。短冊状部材35bは第2リンク部材32の2個の他端部32cに対応して設けられ、他端部32cがそれぞれ固着される。
【0032】
図9は実施例2の第1の支持部を示す斜視図である。図9において、第1の支持部34の短冊状部材34bには弾性部34cが形成され、短冊状部材34bは矢印A方向に伸縮可能となっている。短冊状部材34bと第1リンク部材31の他端部31cは、図9(a)に示すように、他端部31cの孔31fに切り起こし部34aが嵌入されて固着される。嵌入された後、図9(b)に示すように、切り起こし部34aの先端部が折り曲げられて固着される。固着後において第1リンク部材31の他端部31cは、矢印A方向に、即ち、樹脂シート33の面方向に移動可能である。
【0033】
図10は実施例2の第2の支持部を示す斜視図である。図10において、第2の支持部35の短冊状部材35bの三方には切り欠き部35cが形成され、短冊状部材35bは板厚方向に撓み可能となっている。短冊状部材35bと第2リンク部材32の他端部32cは、図10(a)に示すように、他端部32cの孔32fに切り起こし部35aが嵌入されて固着される。即ち、嵌入された後、図10(b)に示すように、切り起こし部35aの先端部が折り曲げられて固着される。固着後において第2リンク部材32の他端部32cは、矢印方向に、即ち、樹脂シート32の板厚方向に撓み可能である。その他の構成は実施例1と同様である。
【0034】
実施例2のキースイッチの動作は前記実施例1と同様である。実施例2においても、キースイッチの薄型化が可能になるとともに、キートップ21の端部を押下してもキートップ21が水平状態を維持したまま下降する操作性のよいキースイッチを提供することが可能になる。
【実施例3】
【0035】
次に実施例3を説明する。図11は実施例3の第1リンク部材を示す斜視図である。図11において、実施例3の第1リンク部材41は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第1リンク部材41の一端部41aには、キートップ21に形成された係止部21baが挿入される孔41bが形成され、第1リンク部材41の他端部41cは、樹脂シート43に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第1リンク部材41が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0036】
第1リンク部材41の他端部41cには、丸孔41fが形成されている。丸孔41fには後述する樹脂シート43に一体に形成された第1の支持部44の打ち出し部44aが嵌入される。第1リンク部材41の中央部には段差部41dが形成され、この段差部41dの外側には切り欠き部41eが形成されている。切り欠き部41eは第2リンク部材42との連結用に設けられている。
【0037】
図12は実施例3の第2リンク部材を示す斜視図である。図12において、実施例3の第2リンク部材42は、実施例1と同様に、全体が平板状の部材から成り、全体が略U字型に形成されている。第2リンク部材42の一端部42aには、キートップ21に形成された支持部21aが挿入される孔42bが形成され、第2リンク部材42の他端部42cは、樹脂シート43に固着される部分で、この部分も平板状に形成されている。第2リンク部材42が平板状に形成されることによりキースイッチ構造の薄型化に寄与する。
【0038】
第2リンク部材42の他端部42cには、丸孔42fが形成されている。丸孔42fには後述する樹脂シート43に一体に形成された第2の支持部45の打ち出し部45aが嵌入される。第2リンク部材42の中央部には段差部42dが形成され、この段差部42dの外側には切り欠き部42eが形成されている。切り欠き部42eは第1リンク部材41との連結用に設けられている。
【0039】
図13は実施例3の樹脂シートを示す斜視図である。図13において、樹脂シート43は、メンブレンシート26全体の上部に設けられ、各キースイッチ毎に、第1の支持部44、第2の支持部45および接点孔43aが設けられている。第1の支持部44は、樹脂シート43の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)44bが設けられ、短冊状部材44bには弾性部44cが形成され、さらにその上部には打ち出し部44aが形成されている。短冊状部材44bは第1リンク部材41の2個の他端部41cに対応して設けられ、他端部41cがそれぞれ固着される。
【0040】
第2の支持部45は、樹脂シート43の一部を切り出すことにより形成した短冊状部材(切出部)45bが設けられ、短冊状部材45bの上部には打ち出し部45aが形成されている。短冊状部材45bは第2リンク部材42の2個の他端部42cに対応して設けられ、他端部42cがそれぞれ固着される。
【0041】
図14は実施例3の第1の支持部を示す斜視図である。図14において、第1の支持部44の短冊状部材44bには弾性部44cが形成され、短冊状部材44bは矢印A方向に伸縮可能となっている。短冊状部材44bと第1リンク部材41の他端部41cは、図14(a)に示すように、他端部41cの丸孔41fに切り起こし部44aが嵌入されて固着される。嵌入された後、図14(b)に示すように、切り起こし部44aの先端部が潰されて固着される。固着後において第1リンク部材41の他端部41cは、矢印A方向に、即ち、樹脂シート43の面方向に移動可能である。
【0042】
図15は実施例3の第2の支持部を示す斜視図である。図15において、短冊状部材45bの三方には切り欠き部45cが形成され、短冊状部材45bは板厚方向に撓み可能となっている。短冊状部材45bと第2リンク部材42の他端部42cは、図15(a)に示すように、他端部42cの丸孔42fに打ち出し部45aが嵌入されて固着される。嵌入された後、図15(b)に示すように、打ち出し部45aの先端部が潰されて固着される。固着後において第2リンク部材42の他端部42cは、矢印方向に、即ち、樹脂シート42の板厚方向に撓み可能である。その他の構成は実施例1と同様である。
【0043】
実施例3のキースイッチの動作は前記実施例1と同様である。実施例3においても、キースイッチの薄型化が可能になるとともに、キートップ21の端部を押下してもキートップ21が水平状態を維持したまま下降する操作性のよいキースイッチを提供することが可能になる。
【0044】
本発明の上記の各実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記各実施例で説明した樹脂シートとして、高弾性を有する材料を用い、短冊状部材を任意の角度で切り起こし、短冊状部材に固着した第2リンク部材を起こす力、即ち、キートップが押下された状態から元の位置へ復帰させる力を持たせるようにしてもよい。また樹脂シートの代わりにバネ性を持つ金属を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す分解斜視図である。
【図2】実施の形態の実施例1のキースイッチ構造を示す断面図である。
【図3】実施例1の第1の支持部を示す斜視図である。
【図4】実施例1の第2の支持部を示す斜視図である。
【図5】実施例1におけるキートップが押下された状態を示す断面図である。
【図6】実施例2の第1リンク部材を示す斜視図である。
【図7】実施例2の第2リンク部材を示す斜視図である。
【図8】実施例2の樹脂シートを示す斜視図である。
【図9】実施例2の第1の支持部を示す斜視図である。
【図10】実施例2の第2の支持部を示す斜視図である。
【図11】実施例3の第1リンク部材を示す斜視図である。
【図12】実施例3の第2リンク部材を示す斜視図である。
【図13】実施例3の樹脂シートを示す斜視図である。
【図14】実施例3の第1の支持部を示す斜視図である。
【図15】実施例3の第2の支持部を示す斜視図である。
【図16】従来のキースイッチ構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
20 キースイッチ
21 キートップ
22、31、41 第1リンク部材
23、32、42 第2リンク部材
25、33、43 樹脂シート
28、34、44 第1の支持部
29、35、45 第2の支持部
28a、34d、44d、29a、35d、45d 短冊状部材
28c、34c、44c 弾性部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、接点部を具備するメンブレンシートと、前記キートップと前記メンブレンシートの間に配設され、第1のリンク部材と第2のリンク部材から成り、前記キートップを上下動可能に支持するリンク機構とを備えたキースイッチ構造において、
前記メンブレンシートの上部にシート状部材を配設し、
前記シート状部材に、該シート状部材の面方向に移動可能で、前記第1のリンク部材の平板状に形成された一端部が重ね合わされて固着されることにより前記第1のリンク部材を支持する第1の支持部と、前記第2のリンク部材の平板状に形成された一端部が固着され、該第2のリンク部材を回動可能に支持する第2の支持部とを設けたことを特徴とするキースイッチ構造。
【請求項2】
前記第1の支持部は、前記シート状部材の一部が弾性部を有するように切り出された切出部であり、前記第1のリンク部材の前記一端部は該切出部に固着される請求項1記載のキースイッチ構造。
【請求項3】
前記第1のリンク部材の前記一端部と前記切出部は接着されることにより固着される請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項4】
前記切出部に切り起こし部を形成し、該切り起こし部を前記第1のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入することにより前記第1のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項5】
前記切出部に突出部を形成し、該突出部を前記第1のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入し、さらに前記突出部を変形させることにより前記第1のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項6】
前記第2の支持部は、前記シート状部材の一部が切り出された切出部であり、前記第2のリンク部材の前記一端部は該切出部に固着される請求項1または請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項7】
前記切出部に切り起こし部を形成し、該切り起こし部を前記第2のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入することにより前記第2のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項6記載のキースイッチ構造。
【請求項8】
前記シート状部材は高弾性部材で形成され、前記第2の支持部は、前記シート状部材の一部が任意の角度で切り起こされた切り起こし部であり、前記第2のリンク部材の前記一端部は該切り起こし部に固着される請求項6記載のキースイッチ構造。
【請求項9】
前記切出部に突出部を形成し、該突出部を前記第2のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入し、さらに前記突出部を変形させることにより前記第2のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項6記載のキースイッチ構造。
【請求項1】
キートップと、接点部を具備するメンブレンシートと、前記キートップと前記メンブレンシートの間に配設され、第1のリンク部材と第2のリンク部材から成り、前記キートップを上下動可能に支持するリンク機構とを備えたキースイッチ構造において、
前記メンブレンシートの上部にシート状部材を配設し、
前記シート状部材に、該シート状部材の面方向に移動可能で、前記第1のリンク部材の平板状に形成された一端部が重ね合わされて固着されることにより前記第1のリンク部材を支持する第1の支持部と、前記第2のリンク部材の平板状に形成された一端部が固着され、該第2のリンク部材を回動可能に支持する第2の支持部とを設けたことを特徴とするキースイッチ構造。
【請求項2】
前記第1の支持部は、前記シート状部材の一部が弾性部を有するように切り出された切出部であり、前記第1のリンク部材の前記一端部は該切出部に固着される請求項1記載のキースイッチ構造。
【請求項3】
前記第1のリンク部材の前記一端部と前記切出部は接着されることにより固着される請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項4】
前記切出部に切り起こし部を形成し、該切り起こし部を前記第1のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入することにより前記第1のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項5】
前記切出部に突出部を形成し、該突出部を前記第1のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入し、さらに前記突出部を変形させることにより前記第1のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項6】
前記第2の支持部は、前記シート状部材の一部が切り出された切出部であり、前記第2のリンク部材の前記一端部は該切出部に固着される請求項1または請求項2記載のキースイッチ構造。
【請求項7】
前記切出部に切り起こし部を形成し、該切り起こし部を前記第2のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入することにより前記第2のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項6記載のキースイッチ構造。
【請求項8】
前記シート状部材は高弾性部材で形成され、前記第2の支持部は、前記シート状部材の一部が任意の角度で切り起こされた切り起こし部であり、前記第2のリンク部材の前記一端部は該切り起こし部に固着される請求項6記載のキースイッチ構造。
【請求項9】
前記切出部に突出部を形成し、該突出部を前記第2のリンク部材の前記一端部に形成された孔部に挿入し、さらに前記突出部を変形させることにより前記第2のリンク部材の前記一端部と前記切出部が固着される請求項6記載のキースイッチ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−293923(P2008−293923A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140968(P2007−140968)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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