説明

キーパッド及び操作スイッチ

【課題】厚みを薄く形成しても、各キートップの面方向の変位を確実に防止することが可能であると共に剛性を確保し易いキーパッドを提供する。
【解決手段】複数のプランジャ部35が突設された弾性体シート30と、弾性体シート30の表部平面部33のプランジャ部35に対応する各位置に、互いに縁部が隣接するようにそれぞれ接合された複数のキートップ50と、複数のプランジャ部35がそれぞれ透過する複数のプランジャ透過孔43を有し、各プランジャ部35の周囲を含む弾性体シート30の背部平面部31に接合され、プランジャ部35の突出量より薄く、弾性体シート30より硬質で弾性変形可能な補強シート40とを備え、弾性体シート30と複数のキートップ50との間を接合する複数の表部接合領域52と、弾性体シート30と補強シート40との間を接合する背部接合領域42とが、平面視において各プランジャ部35の周囲で重なるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のキートップが互いに縁部が隣接して配置されたキーパッドと、そのキーパッドを用いた操作スイッチとに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末等の操作スイッチのキーパッドとして、複数のキートップが狭い間隔で配置され、各キートップの縁部が互いに隣接するように設けられたものが知られている。
【0003】
このようなキーパッドでは、各キートップ毎に周囲が仕切桟等で仕切られていないため、各キートップが浮き上がり易く、一方のキートップが他方のキートップの背面側に潜り込むなどの不具合が生じ易かった。
【0004】
このような不具合を解消するため、例えば、下記特許文献1には、弾性体からなるベースシートに、キートップを押圧変位可能に浮動支持する複数の浮動支持部を設け、キートップの狭間配置に対応する浮動支持部同士の隣接箇所に、補強シートを設けたキーシートが提案されている。このような構成により、一方のキートップが他方のキートップの背面側に潜り込むなどの不具合を防止できるとされている。
【0005】
また、下記特許文献2には、複数のキートップと、キートップの裏面を隙間なく固着する平坦で可撓性のある固着フィルムと、固着フィルムの面構成を補強する補強部材を有して固着フィルムの裏面と固着する表面が平坦に形成された弾性体からなるベースシートとを備えたキーシートが提案されている。ここでは、キートップの周縁側が、キートップを支持するベースシートから離間している場合に、押圧操作の際、その隙間に爪などが入り込み、キートップが脱落することがあるため、これを防止できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−10981号公報
【特許文献2】特開2008−16220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、複数のキートップが狭い間隔で配置された従来のキーパッドでは、キートップの押圧操作を可能にするために、キートップを支持する弾性体を、キートップ間の狭い範囲で幅の狭い補強部材により補強していた。
【0008】
このような補強部材を用いたキーパッドでは、特に、厚みを薄く構成する場合には、使用時に各キートップに押圧方向以外の力が作用したときに、各キートップの変位を十分には防止できていなかった。
【0009】
即ち、このような構造では、補強部材が細いため、補強部材と弾性体との間の接合強度も弱くなり易く、長期間の使用で各キートップ間の補強部材と弾性体との剥離が生じた場合には、各キートップの変位が生じる。
【0010】
また、補強部材と弾性体とが十分な強度で接合されると共に、弾性体とキートップとが十分な接合強度で接合されていたとしても、各接合部分の間の弾性体が変形することで、各キートップの変位が生じる。
【0011】
その結果、使用時に隣接するキートップ同士が離間して使用者の爪が入り込んだり、キートップ同士が当接したり、乗り上げる可能性が残っていた。
【0012】
しかも、このような構造では、複数のキートップの配置部分では、補強部材が存在しないため、キーパッドの剛性が他の部分に比べて不足し易く、その部分では使用時に局部的な変形等が生じ易かった。
【0013】
そこで、この発明は、キートップが狭い間隔で押圧操作可能に配置されたキーパッドにおいて、厚みを薄く形成しても、各キートップの面方向の変位を確実に防止することが可能であると共に剛性を確保し易いキーパッドを提供することを課題とし、更に、そのようなキーパッドを備えた操作スイッチを提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する請求項1に記載のキーパッドは、表面に連続した平面からなる表部平面部を有すると共に、背面に連続した平面からなる背部平面部を有し、前記背部平面部内に複数のプランジャ部が突設された弾性体シートと、前記表部平面部の前記プランジャ部に対応する各位置に、互いに縁部が隣接するようにそれぞれ接合された複数のキートップと、前記複数のプランジャ部がそれぞれ透過する複数のプランジャ部透過孔を有し、前記各プランジャ部の周囲を含む前記弾性体シートの前記背部平面部に接合され、前記弾性体シートより硬質で弾性変形可能な補強シートとを備え、前記弾性体シートと前記複数のキートップとの間を接合する複数の表部接合領域と、前記弾性体シートと前記補強シートとの間を接合する背部接合領域とが、平面視において前記各プランジャ部の周囲で重なることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載のキーパッドは、請求項1に記載の構成に加え、前記複数のキートップは、前記補強シートより硬質に形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載のキーパッドは、請求項2に記載の構成に加え、前記表部接合領域と前記各キートップの縁部との間に、前記キートップと前記弾性体シートとが非接合状態で対向する非接合部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載のキーパッドは、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記弾性体シートの表部平面部に接合されたパネルシートを備え、該パネルシートには、前記複数のキートップが内側に配置されるパネル開口部を有し、前記背部接合領域及び前記補強シートは、前記キートップに対応する位置と前記パネルシートに対応する位置とに連続して配置されて接合されていることを特徴とする。
【0018】
請求項5に記載のキーパッドは、請求項1乃至4の何れか一つに記載の構成に加え、前記弾性体シートが、一枚の連続したシートからなり、前記弾性体シートの背面に、前記複数のプランジャ部及び前記背部平面部を囲んで前記補強シートより突出する環状リブが突設されていることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載のキーパッドは、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記補強シートは、透明材料からなり、該補強シートの面方向に導光可能であることを特徴とする。
【0020】
請求項7に記載のキーパッドは、請求項1乃至6の何れか一つに記載の構成に加え、前記弾性体シートは、絶縁材料からなり、前記補強シートは、補強シート本体と、前記補強シート本体に設けられた導電パターンからなる静電容量検出電極とを備えることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載のキーパッドは、請求項1乃至7の何れか一つに記載のキーパッドが、筐体の開口部に装着され、前記筐体内に前記キーパッドに沿う方向に配置された基板を有し、前記基板の前記プランジャ部と対向する位置に、前記プランジャ部により押圧されて離接可能な接点部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
請求項9に記載の操作スイッチは、請求項8に記載の構成に加え、互いに縁部が隣接する前記キートップの間に対応する位置の前記補強シートと前記基板との間が離間していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この発明の請求項1に記載のキーパッドによれば、弾性体シートと複数のキートップとの間を接合する複数の表部接合領域と、弾性体シートと補強シートとの間を接合する背部接合領域とが、平面視において各プランジャ部の周囲で重なるので、弾性体シートを介して各キートップを補強シートに対して十分な力で固定することができる。
【0024】
そのため、薄く軟質で変形し易い弾性体シートに、複数のキートップが仕切られることなく、縁部を互いに隣接させて接合されていても、横方向の応力が各キートップに負荷された際、各キートップの変位を確実に阻止することが可能である。その結果、使用時にキートップ間が離間して使用者の爪などが入り込んだり、各キートップが他のキートップ上に乗り上げるようなことを確実に防止できる。
【0025】
同時に、各プランジャ透過孔の周囲で、弾性体シートを介して各キートップと補強シートとが十分な力で固定されて連結されるので、補強シートに複数のプランジャ透過孔が設けられていても、複数のキートップと補強シートとの連続的な構造によりキーパッドの剛性を確保することができ、キーパッドの安定性を確保することが可能である。そのため、より薄肉のキーパッドを実現し易い。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、複数のキートップが補強シートより硬質に形成されているので、各キートップの押圧操作時に、各キートップが変形せずに背面全面で補強シートを弾性変形させることができ、操作感を向上し易い。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、表部接合領域と各キートップの縁部との間に、キートップと弾性体シートとが非接合状態で対応する非接合部が設けられているので、各キートップの押圧操作時に、隣接するキートップの非接合部を離間させることで、押圧操作されたキートップが下方へ変位し易く、押圧操作時の操作性を向上することができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、弾性体シートの表面に接合されたパネルシートを備え、パネルシートには複数のキートップが内側に配置されるパネル開口部を有し、背部接合領域及び補強シートは、キートップに対応する位置とパネルシートに対応する位置とに連続して配置されて接合されているので、弾性体シートがキートップ又はパネルシートと補強シートとの間に配置される。そのため、弾性体シートを保護することができて薄肉形成し易い。しかも、補強シートがキートップに対応する位置とパネルシートに対応する位置とに連続して配置されるため、繰り返しキートップが押圧操作されても、キートップとパネルシートとの間に対応する位置の弾性体シートに応力が集中することによる切れを防止することができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、弾性体シートが一枚の連続したシートからなり、この弾性体シートの背面に、複数のプランジャ部を囲んで補強シートより突出するように環状リブが突設されているので、環状リブの全長を被当接部に連続して当接させることで、補強シートと被当接部とを離間して配置することが可能であり、各キートップの押圧操作時に補強シートを変形し易くできる。また、弾性体シートの背面側の気密性を高めることができ、弾性体シートで覆われる部位の防塵防水性を確保し易い。
【0030】
請求項6に記載のキーパッドによれば、補強シートが透明材料からなり、この補強シートの面方向に導光可能であるので、キーパッドを用いて操作スイッチを構成する際、導光のための構造をキーパッドとは別に設ける必要がなく、操作スイッチを薄く構成し易い。
【0031】
請求項7に記載のキーパッドによれば、弾性体シートが絶縁材料からなり、補強シートが補強シート本体と、補強シート本体に設けられた導電パターンからなる静電容量検出電極とを備えるので、キートップの押圧操作でプランジャ部を介してスイッチ入力を行えると共に、キートップやパネルシートの接触操作で静電容量検出電極により静電容量の変化を検出してスイッチ入力を行うことができる。そのため、キーパッドを用いて複数のスイッチ操作機能を実現できる。
【0032】
請求項8に記載の操作スイッチによれば、使用時にキートップ間が離間して使用者の爪などが入り込んだり、各キートップが他のキートップ上に乗り上げるようなことを確実に防止でき、しかも薄肉の操作スイッチを提供することが可能である。
【0033】
請求項9に記載の操作スイッチによれば、互いに縁部が隣接する前記キートップの間に対応する位置の前記補強シートと前記基板との間が離間しているので、各キートップを押圧操作した際、補強シートが撓み易く、各キートップが滑らかに変位できて、操作感を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施の形態1のキーパッドの平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1のキーパッドの背面図である。
【図3】この発明の実施の形態1のキーパッドを示す図1のA−A断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1のキーパッドを示す図1のB−B断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2のキーパッドを示す図1のA−A断面相当図である。
【図6】この発明の実施の形態3のキーパッドの平面図である。
【図7】この発明の実施の形態4のキーパッドを示す図1のA−A断面相当図である。
【図8】この発明の実施の形態5のキーパッドを示す図1のA−A断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0036】
(発明の実施の形態1)
【0037】
図1乃至図4はこの実施の形態1を示す。ここでは、キーパッドを組み込んだ操作スイッチとしての携帯電話の例について説明する。
【0038】
携帯電話10は、筐体11のキーパッド開口部12に複数のキートップ50を有するキーパッド20が装着されて構成されており、筐体11内にはキーパッド20と略平行に被当接部としての基板13が配置されている。基板13には、表面に固定接点部15が設けられると共に、固定接点部15上にドーム状の可動接点部17が設けられており、可動接点部17が弾性変形されて固定接点部15と接触することで導通されるように構成されている。
【0039】
キーパッド20は、キーパッド開口部12の略全体を覆う大きさで形成されて、キーパッド開口部12の周囲の筐体11に接着されている。このキーパッド20は、連続した平面からなる表部平面部33及び底部平面部27を有する板状本体部25と、板状本体部25の可動接点部17に対向する位置に突設された複数のプランジャ部35と、板状本体部25の表部平面部33の各プランジャ部35に対応する位置にそれぞれ接合された複数のキートップ50と、表部平面部33の複数のキートップ50を除く位置に接合されたパネルシート60とを備える。
【0040】
板状本体部25は、弾性体シート30と補強シート40とが積層して接合されて構成されている。
【0041】
弾性体シート30は、表面側には表部平面部33を有すると共に、背面側には、連続した平面からなる背部平面部31と、背部平面部31から突設された複数のプランジャ部35と、複数のプランジャ部35及び背部平面部31を囲んで弾性体シート30の周縁からキートップ50の押圧方向に突設された環状リブ37とを有する。なお、中間部分には開口38が設けられており、開口38の周縁にも環状リブ39がキートップ50の押圧方向に突設されている。この実施の形態では、環状リブ37、39が無端状に連続しており、環状リブ37と環状リブ39のと間のプランジャ部35及び背部平面部31の全周囲が完全に囲まれている。
【0042】
このような弾性体シート30は、プランジャ部35や環状リブ37、39を含む全体が弾性体により一体に成形された1枚の連続した成形体からなる。
【0043】
弾性体としては、プランジャ部35により可動接点部17を押圧可能な剛性を有すると共に、押圧操作時に適度な操作感が得られる程度の弾性が得られる材料であるのがよい。キートップ50の背面側から照光して表面側へ光を放射させる照光式キーパッド20の場合には、光を透過可能な材料であることが必要である。
【0044】
このような材料としては、例えば、シリコーンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム等の熱硬化性エラストマー、スチレン系、エステル系、ウレタン系、オレフィン系、アミド系、ブタジエン系、エチレン−酢酸ビニル系、フッ素ゴム系、イソプレン系等の熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーと熱可塑性エラストマーとを接合した複合品などが挙げられる。
【0045】
このうち、シリコーンゴム、ウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマーであれば、反発弾性が高くて、永久歪み耐久性が高く、更に、透明性を有するため、弾性体シート30に特に好適に使用可能である。
【0046】
弾性体シート30として、シリコーンゴム等のように、他の部材との接着性が低い材料を用いる場合、弾性体シート30の表面に、シランカップリング剤等を用いたプライマー処理、紫外線、電子線、コロナ、プラズマ、火炎などを用いた表面改質処理、アクリル系、ウレタン系のコーティング剤を用いたコーティング処理などを施すことが好ましい。
【0047】
このような弾性体シート30では、表部平面部33と背部平面部31との間の厚み、即ち、プランジャ部を除く薄肉部位36の厚みは、キーパッド20の厚みを薄く形成するためには、薄い程好ましい。このキーパッド20では、後述するように、薄肉部位36が補強シート40とキートップ50との間に挟まれた状態で配置されるため使用時に破損し難く、成形可能な範囲で極めて薄く形成することも可能である。特に制限されるものではないが、薄肉部位36の厚さとしては、例えば50μm以上500μm以下としてもよい。
【0048】
また、プランジャ部35の突出量は、キーパッド20として組み込まれた状態で、押圧操作時に可動接点部17を確実に固定接点部15に押付け可能な量を確保できる範囲で、短い程、携帯電話10の薄肉化が図り易くて好ましい。プランジャ部35の突出量が過剰に少ない場合、キートップ50の押圧操作時の操作感が悪化し易く、適度な操作感を得るための最小突出量を確保することがより好ましい。このキーパッド20では、後述するように、薄肉部位36が補強シート40とキートップ50との間に挟まれた状態で配置されるため、その最小突出量を表面平面部33から先端部までの長さで確保することができる。
【0049】
次いで、この実施の形態の補強シート40は、弾性体シート30の環状リブ37と環状リブ39との間の背部平面部31と略同じ大きさに形成されており、一方の面に弾性体シート30の背部平面部31に全面で密着可能な平面を有すると共に、他方の面に底部平面部27を有し、プランジャ部35の突出量よりも薄い平板状に形成されている。
【0050】
弾性体シート30のプランジャ部35に対応する位置には、それぞれプランジャ部35が透過可能なプランジャ透過孔43を有している。このプランジャ透過孔43は、プランジャ部35の外形に近似する大きさに形成されており、プランジャ透過孔43の内周縁とプランジャ部35の根本部分の周縁とが近接している。ここでは、弾性体シート30の薄肉部位36の各キートップ50に対応する各範囲において、プランジャ部35の周囲を含む広い範囲に補強シート40が配置されて接合されている。特に限定されるものではないが、例えば、キートップ50の背面の面積の65%以上、より好ましくは75%以上の範囲に補強シート40が配置されていてもよい。
【0051】
また、この補強シート40は、弾性体シート30より硬質に形成されている。弾性体シート30と接合されて板状本体部25が構成された状態で、キートップ50の配置部位の形状を補強シート40の剛性により維持されている。
【0052】
更に、この補強シート40は弾性変形可能に形成されており、弾性体シート30を構成する材料よりも弾性率が高くなっている。各キートップ50の押圧操作時に、補強シート40が弾性変形して各キートップ50変位及び復元が可能となっている。ここでは、塑性変形が防止されている。
【0053】
このような補強シート40を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、これらの樹脂のポリマーアロイ、ABS樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。このうち、厚みが例えば50μm以下となるような薄肉の補強シート40の場合、靱性や透明性が高く、入手が容易であるという理由で、特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂が好適である。
【0054】
このような材料を用いた補強シート40の厚みは、上述のような剛性や弾性が得られる範囲とするのが好ましく、例えば15μm以上100μm以下、好ましくは25μm以上50μm以下とするのが好適である。厚みが過剰に薄いと、例えば、各キートップ50が浮き上がり等が生じ易くなり、各キートップ50を所定位置に保持し難くなる。一方、過剰に厚いと、キーパッド20の厚みが厚くなり易く、また、各キートップ50押圧操作時に反発力が強くて操作感が低下し易くなる。
【0055】
この補強シート40は、弾性体シート30の環状リブ37、39間の背部平面部31に略全面が密着した状態で、接着手段41により背部接合領域42に接合されている。この背部接合領域42とは、弾性体シート30と補強シート40との間が接合されている領域であり、この実施の形態では、接着手段41が存在する領域である。
【0056】
この接着手段41としては、光硬化型接着/粘着剤、シアノアクリレート系接着剤、ホットメルト接着/粘着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系両面テープ、ウレタン系両面テープ、シリコーン系両面テープなど、各種の接着剤、粘着剤、両面テープなどを用いることができる。これらのうち、広い面積を均一に接合し易いという理由で、両面テープや紫外線硬化型接着剤を用いるのが特に好適である。
【0057】
ここでは、各キートップ50に対応する薄肉部位36の広い範囲に背部接合領域42が形成されている。特に限定されるものではないが、例えば、キートップ50の背面の面積の60%以上、より好ましくは70%以上の範囲に背部接合領域42が形成されていてもよい。
【0058】
また、この板状本体部25では、補強シート40及び背部接合領域42がキートップ50に対応する位置とパネルシート60に対応する位置とに連続して設けられ、弾性体シート30と補強シート40とがこれらの位置で連続して接合されている。この補強シート40は、キーパッド20が装着された状態で、互いに隣接するキートップ50の間に対応する位置で基板13と離間して配置され、その間に空間が形成されている。
【0059】
次いで、この実施の形態のパネルシート60は、平面視で弾性体シート30より大きく形成されており、複数のキートップ50が配置されるパネル開口部62が設けられている。この実施の形態では、図1に示すように、複数のキートップ50を縦に配列して配置可能な3つのパネル開口部62が設けられている。
【0060】
このパネルシート60は、補強シート40より硬質でキーパッド20の剛性を確保できる材料により形成されている。具体的に、パネルシート60を構成する材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の熱硬化性樹脂、ステンレス鋼、鉄、ニッケル、錫、チタン、アルミニウム、金、銀等の金属若しくはこれらの合金、ガラスなどのセラミックスなどが挙げられる。このパネルシート60は、材料自体が補強シート40より硬質の材料からなるものであっても、補強シート40より厚肉に形成することで補強シート40より硬質に形成されていてもよい。
【0061】
このパネルシート60は、弾性体シート30の表部平面部33の対向面全面に密着した状態で接着手段51により接合されている。この接着手段51としては、弾性体軟質シートと補強シート40とを接合する接着手段41と同様のものを使用することが可能である。
【0062】
次いで、この実施の形態の複数のキートップ50は、各種の表面形状で補強シート40より硬質に形成されている。各キートップ50は、材料自体が補強シート40より硬質の材料からなるものであっても、補強シート40より厚肉に形成することで補強シート40より硬質に形成されていてもよい。
【0063】
キートップ50を構成する材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の熱硬化性樹脂、ステンレス鋼、鉄、ニッケル、錫、チタン、アルミニウム、金、銀等の金属若しくはこれらの合金、ガラスなどのセラミックスなどが挙げられる。照光式キーパッド20の場合、透光性を有する樹脂、セラミックスなどが好ましく、特に成形性や透明性に優れるという理由で、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が好適である。
【0064】
この実施の形態では、各キートップ50は、透光性を有する材料により、背面が平面に形成され、印刷、塗装、蒸着、メッキなどにより、表面側から視認可能な加飾層53が設けられている。
【0065】
各キートップ50は、背面全面を弾性体シート30の表部平面部33のプランジャ部35に対応する各位置に接合されている。ここでは、複数のキートップ50が、弾性体シート30に接合された状態で、互いに縁部が隣接するようにそれぞれ配置されると共に、他の縁部がパネル開口部62の縁部に隣接するようにそれぞれ配置されている。
【0066】
各キートップ50と弾性体シート30の表部平面部33とは、表部接合領域52において、弾性体軟質シートと補強シート40とを接合する接着手段41と同様の接着手段51により接合されている。表部接合領域52とは、キートップ50と弾性体シート30との間が接合されている領域であり、この実施の形態では、接着手段51が存在している領域である。
【0067】
この表部接合領域52は、接着手段51のはみ出しを防止する必要上、接着手段51がキートップ50の各縁部から多少離間した範囲に配置されるため、表部接合領域52はキートップ50の縁部から多少離間して形成されている。
【0068】
なお、接着手段51をキートップ50の背面に設けるには、接着手段51の配置面積を正確に制御する必要があるため、両面テープの貼り付け、スクリーン印刷、パッド転写印刷などの方法により行うのが好適である。
【0069】
このようにキートップ50と弾性体シート30とが接合されていることで、キートップ50の背面と弾性体シート30の表部平面部33との間には、キートップ50と弾性体シート30とが非接合状態で対向する非接合部55が設けられている。
【0070】
このような表部接合領域52は、背部接合領域42に対して所定の位置関係となっており、平面視において各プランジャ部35の周囲で表部接合領域52が背部接合領域42と重なる位置関係に形成されている。
【0071】
表部接合領域52と背部接合領域42とが平面視で重なると、弾性体シート30の薄肉部位36を挟んでキートップ50と補強シート40とが連結される。そのため、この範囲が広い程、板状本体部25の剛性を確保できる。そのため、このキーパッド20では、表部接合領域52と背部接合領域42とが平面視で重なる位置の面積を、例えば、キートップ50の背面の面積の30%以上、より好ましくは40%以上の範囲とするのが好適である。
【0072】
このような構成を有するキーパッド20は、筐体11のキーパッド開口部12に装着されて使用される。装着された状態では、図1に示すように、操作パネルの3つのパネル開口部62に複数のキートップ50が互いに縁部を隣接させて配置されている。
【0073】
この実施の形態では、キーパッド20を基板13に対して支持する構造は特に限定されない。板状本体部25が剛性を有するため、板状本体部25の剛性とプランジャ部35を可動接点部17に当接させることでキーパッド20を安定して配置可能であれば、基板13に対して支持する構造を設けることなく装着することが可能である。
【0074】
そして、複数のキートップ50の一つを押圧操作すると、板状本体部25の弾性体シート30及び補強シート40がキートップ50に対応する位置の周囲で撓むことで変形し、プランジャ部35が下降する。このとき、隣接するキートップ50の非接合部55が離間して板状本体部25が変形するため、キートップ50を容易に下降できる。
【0075】
この押圧操作時に各キートップ50に横方向に力が作用した場合、キートップ50に対応する位置の表部接合領域52と背部接合領域42とが平面視で広い範囲で重なるため、キートップ50に作用した横方向の力を補強シート40により受けることで、各キートップ50の横方向への移動が阻止される。
【0076】
また、キートップ50と補強シート40とが、表部接合領域52、弾性体シート30、及び背部接合領域42を介して、同一位置で広い範囲で接合されていて十分な剛性や接合強度を有するため、互いに縁部が隣接しているキートップ50間の間隙に局部的な変形や応力の集中が起こることがない。
【0077】
その後、押圧状態を解除すれば、可動接点部17の復元力や補強シート40の復元力等によりキートップ50は元の位置まで復元される。
【0078】
次に、このようなキーパッド20の製造方法を具体例を用いて説明する。
【0079】
まず、ポリカーボネート樹脂を所定形状の成形型を用いて射出成形し、複数のキートップ用樹脂成形品を作製した。各キートップ用樹脂成形品の平坦な背面に、アクリル系、ウレタン系等の印刷インクを用いてスクリーン印刷し、文字、記号、数字等の形状や背景色などの加飾層53を形成し、キートップ50を作製した。
【0080】
シリコーンゴムコンパウンドKE−9610U(信越化学工業株式会社製、商品名)100質量部と、架橋剤C−8(信越化学工業株式会社製、商品名)2質量部とを配合し、所定の金型にて、成形温度170℃、成形時間5分間、成形圧力200kg/cmの条件で圧縮成形し、厚さが250μmの薄肉部位36、突出高さが300μmで直径が1.5mmのプランジャ部35、突出高さが0.45mmの環状リブ37、39を有する成形品を成形し、その後、余分なバリを裁断して弾性体シート30を作製した。弾性体シート30の表面処理を施し、弾性体シート30の両面にウレタン系塗料を厚さ20μmでコーティングした。
【0081】
厚さ0.25mmのポリカーボネートのシートの裏面にスクリーン印刷により、キートップ50と同一の背景色の加飾層53を設けた。このシートを外形及びキートップ50形状に合わせて裁断した後、加飾層上に紫外線硬化型アクリル系接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、紫外線を照射して粘着層からなる接着手段51を付与した。その後、外周部のみをマスキングフィルムを貼り付けて、治具を用いて弾性体シート30の表部平面部33に圧着固定した。
【0082】
また、厚さ38μmの透明PETシートを準備し、弾性体シート30のプランジャ部35に対応する位置に直径2.9mmのプランジャ透過孔43と、環状リブ39に対応する位置よりも0.5mm内側にオフセットした位置を裁断して補強シート40を作製した。厚さ25μmのアクリル系接着剤の両面テープからなる接着手段41を準備し、補強シート40よりも0.3mm内側にオフセットした形状で裁断して補強シート40に貼り付けた。この補強シート40を弾性体シート30の背部平面部31に配置し、治具により補強シート40の両面テープ面を圧着固定してキーパッド20を製造した。
【0083】
以上のようなキーパッド20によれば、弾性体シート30と複数のキートップ50との間を接合する複数の表部接合領域52と、弾性体シート30と補強シート40との間を接合する背部接合領域42とが、平面視においてプランジャ部35の周囲で重なるように形成されているので、弾性体シート30を介して各キートップ50を補強シート40に十分な力で固定することができる。
【0084】
そのため、薄く軟質で変形し易い弾性体シート30に、複数のキートップ50が仕切られることなく、縁部を互いに隣接させて接合されていても、横方向の応力が各キートップ50に負荷された際、各キートップ50の変位を確実に阻止することが可能である。
【0085】
そのため、例えば押圧操作時に使用者の押圧方向が斜めになったり、操作時に爪などが複数のキートップ50間に引掛かるなどにより、各キートップ50に横方向に力が作用しても、そのキートップ50に作用した横方向の力を補強シート40により受けて各キートップ50が横方向に移動することを阻止できる。
【0086】
その結果、使用時にキートップ50間が離間して使用者の爪などが入り込んだり、各キートップ50が他のキートップ50上に乗り上げるようなことを確実に防止できる。
【0087】
また、各プランジャ透過孔43の周囲で、弾性体シート30を介して各キートップ50と補強シート40とが十分な力で固定されて連結されるので、補強シート40に複数のプランジャ透過孔43が設けられていても、複数のキートップ50と補強シート40との連続的な構造によりキーパッド20の剛性を確保することができ、複数のキートップ50が配置されている部位でも、キーパッド20の安定した剛性を確保することが可能である。そのため、より薄肉のキーパッドを実現し易い。
【0088】
また、このキーパッド20によれば、複数のキートップ50が補強シート40より硬質に形成されているので、各キートップ50の押圧操作時に、各キートップ50が変形せずに背面全面で補強シートを弾性変形させることができる。そのため、操作感を向上し易い。
【0089】
更に、表部接合領域52とキートップ50の縁部との間に、キートップ50と弾性体シート30とが非接合状態で対応する非接合部が設けられているので、各キートップ50の押圧操作時に、隣接するキートップ50の非接合部が離間することで、押圧操作されたキートップ50が下方へ変位し易く、押圧操作時の操作性を向上することができる。
【0090】
また、このキーパッド20によれば、弾性体シート30の表面に接合されたパネルシート60を備え、パネルシート60に複数のキートップ50が内側に配置されるパネル開口部62を有し、背部接合領域42及び補強シート40は、キートップ50に対応する位置とパネルシート60に対応する位置とに連続して配置されて接合されているので、弾性体シート30がキートップ50又はパネルシート60と補強シート40との間に配置されるることで、弾性体シート30を保護することができて薄肉化し易い。しかも、補強シート40がキートップ50に対応する位置とパネルシート60に対応する位置とに連続して配置されるため、繰り返しキートップ50が押圧操作されても、キートップ50とパネルシート60との間に対応する位置の弾性体シート30に応力や疲労が集中して切れなどが生じることを防止することができる。
【0091】
更に、このキーパッド20によれば、弾性体シート30が一枚の連続したシートからなり、この弾性体シート30のパネルシート60に対応する位置の背面に、複数のプランジャ部35を囲んで補強シート40より突出するように環状リブ37が突設されているので、環状リブ37の全長を基板13に連続して当接させることで、補強シート40と基板13とを離間させた状態で配置することが可能であり、各キートップ50の押圧操作時に補強シート40を変形し易くできる。
【0092】
また、弾性体シートの背面側の気密性を高めることができ、基板13の弾性体シートで覆われる部位の防塵防水性を確保し易く、複数のキートップ50間の隙間やキートップ50とパネルシート60との間の間隙から塵埃や水分が内部に侵入し、基板表面に到達することを防止できる。
【0093】
この実施の形態の場合、そのような環状リブ37がパネルシート60に対応する位置に設けられているため、パネルシート60により環状リブ37を被当接部に確実に押付けて装着し易く、弾性体シート30の背面側を密閉することが容易である。特に、ここでは、環状リブ37、39が無端状に連続して形成されており、環状リブ37、39によりプランジャ部35及び背部平面部31の全周囲が完全に囲まれているので、顕著に防塵防水性を確保することが可能である。
【0094】
そして、この携帯電話10によれば、キーパッド20が筐体11のキーパッド開口部12に装着され、筐体11内にキーパッド20に沿う方向に配置された基板13を有し、基板13のプランジャ部35と対向する位置に、プランジャ部35により押圧されて離接可能な接点部が設けられているので、使用時にキートップ50間が離間して使用者の爪などが入り込んだり、各キートップ50が他のキートップ50上に乗り上げるようなことを確実に防止でき、しかも薄肉の操作スイッチを提供することが可能である。
【0095】
また、この携帯電話10では、互いに縁部が隣接するキートップ50の間に対応する位置の補強シート40と基板13との間が離間しているので、各キートップ50を押圧操作した際、補強シート40が撓み易く、各キートップ50が滑らかに変位できて、操作感を向上することが可能である。
【0096】
なお、上記実施の形態は、この発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記では、キーパット20として、パネルシート60を有する例について説明したが、特に限定されるものではなく、例えば、パネルシート60を設けることなくキーパッドを構成し、弾性体シート30のキートップ50が設けられていない表部平面部33の一部又は全部を、パネルシート60の代わりに筐体11により覆うように構成することも可能である。
【0097】
また、上記では、環状リブ37、39として無端状に連続して形成されたものについて説明したが、特に限定されるものではなく、環状リブ37、39が不連続に形成されたものであってもよい。無端状に連続していなくても補強シート40と基板13とを離間して配置することが可能であり、また、補強シート40と基板13との間の気密性を十分に高めることが可能だからである。
【0098】
(発明の実施の形態2)
【0099】
図5は、実施の形態2のキーパッド20を示す。
【0100】
この実施の形態2のキーパッド20では、補強シート40のプランジャ透過孔43の内周縁とプランジャ部35の外周縁とが接して設けられており、各プランジャ部35の周囲に隣接する弾性体シート30の背部平面部31に補強シート40が密着して配置されている。そして、背部接合部が各プランジャ部35に隣接する位置まで設けられて、補強シート40が弾性体シート30と接合されている。その他は、実施の形態1と同様である。
【0101】
このようなキーパッド20でも、発明の実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。特に、各プランジャ部35に隣接する位置に補強シート40が接合されているので、補強シート40を弾性体シート30のより多くの面積に接合できてキーシートの剛性をより確保し易いことに加え、弾性体シート30の各プランジャ部35と薄肉部位36との接続部分を十分に補強することが可能である。そのため、弾性体シート30の薄肉部位36をより薄肉に形成するような場合、プランジャ部35を長く、或いは細く形成するような場合であっても、プランジャ部35との接続部分の切れの発生を防止し易くできる。
【0102】
(発明の実施の形態3)
【0103】
図6は、実施の形態3のキーパッド20を示す。
【0104】
この実施の形態3のキーパッド20では、複数のキートップ50が縦横にマトリックス状に配置されており、縦横に隣接する各キートップ50が互いに縁部を隣接させて、各プランジャ部35に対応する弾性体シート30の表部平面部33の各位置にそれぞれ接合されている。また、パネルシート60には、複数のキートップ50が配置されるパネル開口部62が一つ設けられている。
【0105】
その他は実施の形態1と同様である。
【0106】
このようなキーパッド20であっても、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。特に、この実施の形態3では、複数のキートップ50が縦横に狭い間隔で仕切なく配置されることでパネル開口部62が大きく形成されているが、この発明を適用することで、弾性体シート30を介して各キートップ50と補強シート40とが十分な力で連結されて連続的な構造を有しているため、パネル開口62の内側でも十分な剛性を確保することができる。そのため、多数のキートップ50を一つのパネル開口部62に配置していても、局部的にキーパッド20の剛性が不足するようなことがなく、キーパッド20を薄肉に形成して使用することが可能である。
【0107】
(発明の実施の形態4)
【0108】
図7は、この実施の形態4のキーパッド20を示す。
【0109】
この実施の形態4のキーパッド20では、補強シート40が透明材料からなり、透明性接着剤61により弾性体シート30の背部平面部31に接合され、図示しない光源から補強シート40の面方向に光が導かれて、各キートップ50を背面側から照光可能に構成されている。また、補強シート40のプランジャ透過孔63の内周面に光を乱反射させるための微細な凹凸部65が形成されており、各キートップ50に対応する表面には、シボ加工面や高反射率又は高拡散率の材料等からなる乱反射面67が形成されている。
【0110】
更に、このキーパッド20では、弾性体シート30が熱硬化性エラストマーと熱可塑性エラストマーとを接合した複合品により形成されている。具体的には、例えば、表部平面部33を構成するウレタン系熱可塑性エラストマーである熱可塑性ウレタン樹脂層37と、プランジャ部35及び背部平面部31を構成する熱硬化性エラストマーであるシリコーンゴム層39とが積層された積層構造体からなる。
【0111】
その他は、実施の形態1と同様である。
【0112】
このようなキーパッド20でも、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。
【0113】
しかもこの実施の形態4のキーパッド20によれば、補強シート40が透明材料からなり、この補強シート40が背部平面部31等の表面に沿う方向に導光可能であるので、キーパッド20を用いて操作スイッチを構成する際、基板13上の一部にLED等の光源を設け、この光源からの光を補強シート40に表面に沿う方向に入射させれば、補強シート40により広い範囲に導光して光を放射することができる。そのため、導光のための構造をキーパッド20とは別に設ける必要がなく、操作スイッチの構造を簡単にでき、操作スイッチを薄く構成することができる。
【0114】
また、キーパッド20が弾性体シート30が熱硬化性エラストマーと熱可塑性エラストマーとの複合品からなるので、薄肉部位36を例えば50μm以下のように極薄肉に形成してもプランジャ部35を設けることが可能である。そのため、補強シート40を100μm以上の厚肉にして導光性能を向上させても、板状本体部25の厚みを薄く抑えることが可能である。
【0115】
(発明の実施の形態5)
【0116】
図8は、この実施の形態5のキーパッド20を示す。
【0117】
この実施の形態5のキーパッド20では、弾性体シート30が絶縁材料からなり、補強シート40が、補強シート本体73と、補強シート本体73に設けられた導電パターンからなる静電容量検出電極75とを備えて、接着剤により弾性体シート30の背部平面部31に接合されている。
【0118】
ここでは、補強シート40の材料としては、絶縁性を有する材料を用いるのが好適である。また、導電パターンは、導電性インクを用いてスクリーン印刷、インクジェットによる印刷などにより所定形状に形成することができる。この導電性インクとしては、カーボンインク、銀系インク等を用いてもよく、酸化インジウム錫、導電性高分子等の透明性を有するインクを用いてもよい。
【0119】
その他は、実施の形態1と同様である。
【0120】
このようなキーパッド20でも、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
【0121】
しかも、このキーパッド20によれば、弾性体シート30が絶縁材料からなり、補強シート40が補強シート本体73と、補強シート本体73に設けられた導電パターンからなる静電容量検出電極75を備えるので、キートップ50の押圧操作でプランジャ部35を介してスイッチ入力を行えると共に、キートップ50やパネルシート60の接触操作で静電容量検出電極75により静電容量の変化を検出してスイッチ入力を行うことができる。そのため、キーパッド20を用いて操作スイッチを構成する際、キーパットにより複数のスイッチ操作機能を実現することができる。
【0122】
なお、上記では、静電容量検出部75が補強シート本体73の基板13側の表面に積層された例について説明したが、補強シート本体73の弾性体シート30側の表面に積層されていてもよく、補強シート本体73の両面に積層されていてもよい。
【符号の説明】
【0123】
10 携帯電話
11 筐体
13 基板
20 キーパッド
25 板状本体部
27 底部平面部
30 弾性体シート
31 背部平面部
33 表部平面部
35 プランジャ部
37、39 環状リブ
40 補強シート
42 背部接合領域
43 プランジャ透過孔
50 キートップ
52 表部接合領域
60 パネルシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に連続した平面からなる表部平面部を有すると共に、背面に連続した平面からなる背部平面部を有し、前記背部平面部内に複数のプランジャ部が突設された弾性体シートと、
前記表部平面部の前記プランジャ部に対応する各位置に、互いに縁部が隣接するようにそれぞれ接合された複数のキートップと、
前記複数のプランジャ部がそれぞれ透過する複数のプランジャ部透過孔を有し、前記各プランジャ部の周囲を含む前記弾性体シートの前記背部平面部に接合され、前記弾性体シートより硬質で弾性変形可能な補強シートとを備え、
前記弾性体シートと前記複数のキートップとの間を接合する複数の表部接合領域と、前記弾性体シートと前記補強シートとの間を接合する背部接合領域とが、平面視において前記各プランジャ部の周囲で重なることを特徴とするキーパッド。
【請求項2】
前記複数のキートップは、前記補強シートより硬質に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキーパッド。
【請求項3】
前記表部接合領域と前記各キートップの縁部との間に、前記キートップと前記弾性体シートとが非接合状態で対向する非接合部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のキーパッド。
【請求項4】
前記弾性体シートの表部平面部に接合されたパネルシートを備え、該パネルシートには、前記複数のキートップが内側に配置されるパネル開口部を有し、前記背部接合領域及び前記補強シートは、前記キートップに対応する位置と前記パネルシートに対応する位置とに連続して配置されて接合されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載のキーパッド。
【請求項5】
前記弾性体シートは、一枚の連続したシートからなり、前記弾性体シートの背面に、前記複数のプランジャ部及び前記背部平面部を囲んで前記補強シートより突出する環状リブが突設されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載のキーパッド。
【請求項6】
前記補強シートは、透明材料からなり、該補強シートの面方向に導光可能であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載のキーパッド。
【請求項7】
前記弾性体シートは、絶縁材料からなり、前記補強シートは、補強シート本体と、前記補強シート本体に設けられた導電パターンからなる静電容量検出電極とを備えることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一つに記載のキーパッド。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一つに記載のキーパッドが、筐体の開口部に装着され、前記筐体内に前記キーパッドに沿う方向に配置された基板を有し、前記基板の前記プランジャ部と対向する位置に、前記プランジャ部により押圧されて離接可能な接点部が設けられていることを特徴とする操作スイッチ。
【請求項9】
互いに縁部が隣接する前記キートップの間に対応する位置の前記補強シートと前記基板との間が離間していることを特徴とする請求項8に記載の操作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−218816(P2010−218816A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62873(P2009−62873)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】