説明

キーレスエントリシステム

【課題】キーレスエントリシステムにおいて、搭乗者の意図なくステアリングシャフト等が解錠されることを防止するともに、その利便性の向上を図る。
【解決手段】キーレスエントリシステムは、搭乗者によって携帯される携帯機と、前記携帯機について認証処理を実行し、認証処理の結果に基づいて車両に搭載された施錠対象装置を施錠又は解錠する車両制御装置とを含む。携帯機は、搭乗者の指示に従って、施錠対象装置の解錠を制限するよう指示する指示情報を車両制御装置に送信する。車両制御装置は、携帯機から前記指示情報を受信した場合には、施錠対象装置を施錠した状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両のキーレスエントリシステムにおいて、エンジンやステアリングなど制御対象となる装置の解錠を制限する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動二輪車などの鞍乗型車両において、キーをキーシリンダに差し込むことなく、エンジンの始動等を可能にするキーレスエントリシステムが利用されるようになってきている。キーレスエントリシステムは、予め設定された識別情報を保有し搭乗者によって携帯される携帯機と、車両に搭載され、ステアリングを施錠/解錠したり、エンジンの始動を規制/許可したりする車両制御装置とを備える。
【0003】
鞍乗型車両のキーレスエントリシステムでは、一般的に、携帯機が車両に接近し通信エリア内に入った後、搭乗者が所定のスイッチ操作を行うと、車両制御装置が携帯機から識別情報を受信して、当該識別情報に基づいて携帯機の認証処理を実行する。そして、車両制御装置は、携帯機が予め車両制御装置に登録された正規のものであると判断すると、ステアリングの施錠を解除したり、エンジンの始動を許可したりする。
【0004】
ところが、このようなキーレスエントリシステムでは、搭乗者の意図なく、ステアリングの解錠等が行われる可能性があった。例えば、搭乗者が車両の近くで他の作業等を行っていてステアリングの解錠等を意図していない場合でも、携帯機が通信エリア内にあり、且つ搭乗者でない者が上述した所定のスイッチ操作を行った場合には、携帯機の認証処理が実行され、ステアリングが解錠される可能性がある。
【0005】
従来、このような事態を防止するために、車両制御装置との通信機能を停止するスイッチを携帯機に設けたキーレスエントリシステムが提案されている(特許文献1参照)。このシステムでは、搭乗者が携帯機のスイッチ操作によって通信機能を停止させている場合には、携帯機から車両制御装置へ識別情報が送信されないため、携帯機の認証処理も実行されず、搭乗者の意図なく他者によってステアリングの解錠等が行われることを防止できる。
【特許文献1】特開2005−104197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1で開示されるキーレスエントリシステムでは、搭乗者の意図なくステアリングの解錠等がなされることを防止するために、携帯機の通信機能が停止されるため、利便性が低下する場合があった。例えば、キーレスエントリシステムには、暗がりで搭乗者に車両の位置を案内するために、搭乗者が携帯機の所定のスイッチ操作をした時に、携帯機がその旨を示す信号を車両に送信して、車両のライトを点灯させる機能を備えるものがある。しかしながら、上記特許文献1に開示されるキーレスエントリシステムでは、携帯機の通信機能が停止している時には、搭乗者はこのような機能を利用することができなくなっていた。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、鞍乗型車両のキーレスエントリシステムにおいて、搭乗者の意図なくエンジンやステアリングなどの制御対象となる装置が解錠されることを防止するともに、その利便性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るキーレスエントリシステムは、搭乗者によって携帯される携帯機と、前記携帯機について認証処理を実行し、当該認証処理の結果に基づいて車両に搭載された施錠対象装置を施錠又は解錠する車両制御装置と、を含む。前記携帯機は、搭乗者の指示を受け付ける入力装置を有し、当該入力装置によって受け付けた搭乗者の指示に従って、前記施錠対象装置の解錠を制限するよう指示する指示情報を前記車両制御装置に送信し、前記車両制御装置は、前記携帯機から前記指示情報を受信した場合には、前記施錠対象装置を施錠した状態を維持する。
【0009】
本発明によれば、携帯機の通信機能を停止することなく、搭乗者の指示に応じて車両の施錠対象装置を施錠した状態を維持でき、キーレスエントリシステムの利便性を向上できる。
【0010】
本発明の一態様では、前記携帯機は、前記指示情報の送信時には、当該指示情報とともに当該携帯機に固有の識別情報を送信し、前記車両制御装置は、前記携帯機の前記識別情報に基づいて前記認証処理を実行する。この態様によれば、車両制御装置は、指示情報を送信した携帯機を識別できる。
【0011】
本発明の一態様では、前記携帯機は、前記施錠対象装置の解錠を制限する旨の搭乗者の指示を前記入力装置が受け付けた場合に、その旨を示す情報を指示受付情報として記憶する記憶装置をさらに備える。前記車両制御装置は、前記携帯機に対して応答を要求する要求情報を送信し、前記携帯機は、前記記憶装置が前記指示受付情報を保持している時に前記車両制御装置から前記要求情報を受信した場合には、前記指示情報を前記車両制御装置に送信する。この態様によれば、車両制御装置から要求情報が送信された時に、携帯機は制御対象装置の解錠を制限する指示があったことを車両制御装置に通知できる。
【0012】
また、この態様では、前記携帯機は、前記記憶装置が前記指示受付情報を記憶している旨を搭乗者に通知する通知装置をさらに備える。このようにすれば、携帯機を携帯している搭乗者は、制御対象装置の解錠の制限を指示した後においても、そのことを知ることができる。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記携帯機は、前記車両制御装置との間で前記携帯機又は車両の状態に関する状態情報を送受信する。この態様によれば、キーレスエントリシステムの利便性が向上する。また、この態様では、前記携帯機は、当該携帯機の駆動電源である電池の残量を検知する電池残量検知回路をさらに備え、前記電池の残量に関する情報を前記状態情報として送信してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の例であるキーレスエントリシステム1を適用した自動二輪車100の側面図である。図2は、キーレスエントリシステム1及び当該キーレスエントリシステム1に含まれる自動二輪車100に搭載される車両制御装置10の構成を示すブロック図である。
【0015】
図2に示すように、キーレスエントリシステム1は、車両制御装置10の他に、搭乗者によって携帯される携帯機30を含んでいる。自動二輪車100は、図1に示すように、エンジンコントロールユニット(ECU)2と、ステアリング施錠装置3と、給油口施錠装置4と、フラッシャ5と、収納部施錠装置6と、表示装置7と、スイッチ群8と、バッテリ9と、上述した車両制御装置10とを備えている。まず、自動二輪車100について説明する。
【0016】
ECU2は、ROM(Read Only Memory)や、RAM(Random Access Memory)を含み、これらに格納されるプログラムに従ってエンジン101を制御する。例えば、ECU2は、エンジン101の点火タイミングや、エンジン101に供給される燃料の噴射量を制御したり、エンジン101を始動したりする。本実施の形態では、ECU2は、車両制御装置10の制御によってバッテリ9から電力が供給されることによって、その動作が可能な状態となる。なお、エンジン101の駆動力は、ベルトや変速機を含む駆動力伝達機構102を介して、後車輪103に伝達される。
【0017】
自動二輪車100の前部には、前車輪104が設けられている。前車輪104は、フロントフォーク105の下端部によって支持されている。フロントフォーク105の上部には、搭乗者のハンドル操作を前車輪104に伝達するためのステアリングシャフト106が配置されている。ステアリングシャフト106に隣接して、ステアリング施錠装置3が配置されている。ステアリング施錠装置3は、アクチュエータ3aと、当該アクチュエータ3aから動力を受けて作動する施錠機構3bとを含んでいる(図2参照)。アクチュエータ3aは車両制御装置10から供給される電力によって動作し、ステアリングシャフト106が回転しないように当該ステアリンクシャフト106を施錠機構3bによって施錠したり、当該施錠機構3bによる施錠を解除したりする。
【0018】
ステアリングシャフト106の上部には、ハンドル107が設けられている。ハンドル107の前方には、表示装置7が設けられている。表示装置7は、例えば、デジタル表示のスピードメータや、タコメータなどが設けられている。本実施の形態において、表示装置7は、このような計器の他に、車両制御装置10から供給される電力によって点灯するインジケータランプ(例えば、LED(Light Emitting Diode))7aを備えている(図2参照)。このインジケータランプ7aは、携帯機30や自動二輪車100の状態を搭乗者に通知するものであり、例えば、携帯機30の電池残量が低下した時に点灯して搭乗者にその旨を通知する。
【0019】
ステアリングシャフト106の後方には、開閉可能なフロントトランク108が設けられている。フロントトランク108は、この例では、手前側(搭乗者が乗車する側)に開けることができるようになっている。エンジン101の上部には、開閉可能に設けられたシート109が配置されている。シート109の下方には、トランク110が設けられている。またシート109の下方には、トランク110に隣接するように収納部施錠装置6が配置されている。
【0020】
収納部施錠装置6は、種々の物品を収納するために開閉可能に設けられた収納部を施錠又は解錠する装置である。本実施の形態では、収納部施錠装置6は、アクチュエータ6a,6bと、アクチュエータ6aから動力を受けて作動するシート施錠機構6cと、アクチュエータ6bから動力を受けて作動するフロントトランク施錠機構6dとを備えている(図2参照)。アクチュエータ6aは車両制御装置10から供給される電力によって動作し、シート施錠機構6cによってシート109を施錠したり解錠したりする。また、アクチュエータ6bは車両制御装置10から供給される電力によって動作し、フロントトランク施錠機構6dによってフロントトランク108を施錠したり解錠したりする。なお、フロントトランク108とシート109は、例えばワイヤ(不図示)を介して、収納部施錠装置6に接続されている。収納部施錠装置6は当該ワイヤを介して、フロントトランク108及びシート109を施錠したり解錠したりする。
【0021】
シート109の前方には、燃料タンク111が配置されている。燃料タンク111は、その上部に給油口111aを有している。給油口施錠装置4は、給油口111aに隣接して設けられている。ここで説明する例では、給油口施錠装置4はソレノイド4aを含む(図2参照)。ソレノイド4aは車両制御装置10から供給される電力によって動作し、給油口111aのふたを施錠したり解錠したりする。
【0022】
フラッシャ5は、車体の前部と後部に取り付けられており、自動二輪車100の進路方向を案内するために搭乗者のスイッチ操作に応じて点滅する。また、ここで説明する例では、フラッシャ5は、搭乗者に自動二輪車100の駐車位置を案内するために、車両制御装置10から供給される電力によって点灯する。
【0023】
ハンドル107の下方には、複数のスイッチからなるスイッチ群8が設けられている。ここで説明する例では、図2に示すように、スイッチ群8は、起動スイッチ8aと、フロントトランク開閉スイッチ8bと、シート開閉スイッチ8cと、給油口開閉スイッチ8dとを含んでいる。各スイッチは、搭乗者のスイッチ操作に応じた信号を車両制御装置10に入力する。
【0024】
シート109内にはバッテリ9が配置されている。図2に示すように、バッテリ9は、車両制御装置10とECU2とに接続されており、これらに電力を供給する。ECU2とバッテリ9との間には、リレー回路9aが設けられている。リレー回路9aは、車両制御装置10から入力される信号によって作動し、ECU2への電力供給をオン/オフする。ECU2は、リレー回路9aがオン状態にあるときに、バッテリ9から電力が供給されて、その動作が可能となる。
【0025】
車両制御装置10は、携帯機30について認証処理を実行し、その認証処理の結果に基づいて車両に搭載された制御対象となる装置(以下、施錠対象装置とする)を施錠又は解錠する。ここで、車両制御装置10による施錠対象装置の施錠は、当該施錠対象装置の作動を規制することであり、施錠対象装置の解錠は当該施錠対象装置の作動を許容することである。また、この例では、ECU2、ステアリングシャフト106、給油口111a、シート109、フロントトランク108が、車両制御装置10によって施錠/解錠される施錠対象装置であるものとして説明する。例えば、上述したように、ECU2は、バッテリ9の電力が供給されることによって、その作動が許容され、電力が停止されることでその作動が規制される。また、ステアリングシャフト106は、ステアリング施錠装置3の施錠機構3bによって、その回転が許容又は規制される。
【0026】
ここで、車両制御装置10と携帯機30の構成について説明する。まず、図2を参照して車両制御装置10の構成について説明する。同図に示すように、車両制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、無線インターフェース部13と、入力回路14と、電源回路15と、リレー駆動回路16と、アクチュエータ駆動回路17,18と、ソレノイド駆動回路19と、フラッシャ駆動回路21と、インジケータランプ駆動回路22と、を含んでいる。
【0027】
記憶部12は、ROMやRAMなどを含み、制御部11が実行するプログラムを保持している。また、この例では、記憶部12は、携帯機30に予め設定された識別情報を保持している。この識別情報は、複数の携帯機がある場合に、それらを識別するための情報であり、例えば製造段階などにおいて各携帯機に対して個別に設定される。この識別情報は、制御部11において実行される携帯機30の認証処理に供される。
【0028】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を含み、記憶部12が保持しているプログラムを実行して、車両制御装置10の全体を制御する。制御部11が実行する処理については、後において詳細に説明する。
【0029】
無線インターフェース部13は、無線通信アンテナを含み、制御部11から入力されるデジタル信号を変換・増幅して電波信号として送信するとともに、携帯機30から受信した電波信号を変換・増幅しデジタル信号にして制御部11に出力する。本実施の形態では特に、無線インターフェース部13は、制御部11の指示に従って、携帯機30との間で、識別情報の送信を要求する情報や、上述した施錠対象装置の解錠を制限することを指示する情報、携帯機30又は自動二輪車100の状態を示す状態情報等を送受信する。
【0030】
入力回路14は、スイッチ群8に含まれる各スイッチに接続されており、各スイッチから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して制御部11に入力する。
【0031】
電源回路15は、バッテリ9から供給される電力を、車両制御装置10を構成する各部の動作電圧に変換して供給する。なお、図2において、電源回路15と各部を結ぶ接続線は省略されている。
【0032】
リレー駆動回路16は、リレー回路9aに接続されている。リレー駆動回路16は、制御部11から入力される信号に基づいて、リレー回路9aに供給する電気信号を制御することで、リレー回路9aをオン状態又はオフ状態に設定する。アクチュエータ駆動回路17は、上述した収納部施錠装置6に接続されている。アクチュエータ駆動回路17は、制御部11から入力される信号に従って、アクチュエータ6a,6bにそれらの駆動電力を供給する。アクチュエータ駆動回路18は、上述したステアリング施錠装置3に接続されている。アクチュエータ駆動回路18は、制御部11から入力される信号に従って、アクチュエータ3aにその駆動電力を供給する。ソレノイド駆動回路19は給油口施錠装置4に接続されている。ソレノイド駆動回路19は、制御部11から入力される信号に従って、ソレノイド4aにその駆動電力を供給し、給油口111aのふたを施錠又は解錠する。フラッシャ駆動回路21は、フラッシャ5に接続されており、制御部11から入力される信号に従って、フラッシャ5に電力を供給し、当該フラッシャ5を明滅させる。インジケータランプ駆動回路22は、表示装置7に接続されている。インジケータランプ駆動回路22は、制御部11から入力される信号に従って、表示装置7のインジケータランプ7aに電力を供給し、当該インジケータランプ7aを明滅させる。
【0033】
次に、携帯機30の構成について説明する。図3は、携帯機30の構成を示すブロック図である。同図に示すように、携帯機30は、制御部31と、記憶部32と、無線インターフェース部33と、電池34と、電池残量監視回路35と、操作部36と、表示部38とを含んでいる。
【0034】
記憶部32は、ROMやRAMなどを含み、制御部31が実行するプログラムを保持している。また、この例では、記憶部32は、当該携帯機30の製造段階などにおいて個別に定められた識別情報を保持している。
【0035】
制御部31は、CPUを含み、記憶部32が保持しているプログラムを実行して、携帯機30の全体を制御する。制御部31が実行する処理については、後において詳細に説明する。
【0036】
無線インターフェース部33は、無線通信アンテナを含み、制御部31から入力されるデジタル信号を変換・増幅して電波信号として送信するとともに、車両制御装置10から受信した電波信号を変換・増幅しデジタル信号にして制御部31に出力する。本実施の形態では特に、無線インターフェース部33は、制御部31の指示に従って、携帯機30の識別情報や、車両制御装置10による施錠対象装置の解錠の制限を指示する情報、電池34の残量を示す情報等を送信したり、識別情報の送信を要求する情報を受信したりする。
【0037】
電池34は、例えば、小型の2次電池や1次電池などであり、携帯機30の各部に動作電力を供給する。なお、図3において、電池34と、携帯機30の各部を結ぶ接続線は省略されている。
【0038】
電池残量監視回路35は電池34に接続されている。電池残量監視回路35は、例えば電池34の出力電圧を監視し、電池34が出力する電圧が予め定める閾値を下回ったときには、電池残量が少なくなったものと判断して、その旨を示す信号を制御部31に入力する。
【0039】
操作部36は、携帯機30を携帯する搭乗者の指示を受け付ける操作ボタン36a,36bを含み、搭乗者のボタン操作に応じた信号を制御部11に入力する。本実施の形態では特に、操作部36は、施錠対象装置(ここでは、ECU2、ステアリングシャフト106、給油口111a、シート109、フロントトランク108)の解錠を制限する旨の指示を受け付け、その指示に応じた信号を制御部11に入力する。なお、操作部36から出力される信号は、不図示のアナログデジタル変換回路においてデジタル信号に変換された後、制御部11に入力される。
【0040】
表示部38は、例えば、LEDを含み、制御部31から入力される信号に従って明滅する。
【0041】
ここで、車両制御装置10の制御部11が実行する処理、及び携帯機30の制御部31が実行する処理について説明する。まず、制御部31が実行する処理について説明する。図4は、制御部31の機能ブロック図である。同図に示すように、制御部31は、機能的には、解錠制限処理部31aと、応答処理部31bと、状態監視処理部31cと、遠隔操作処理部31dとを含んでいる。
【0042】
解錠制限処理部31aは、操作部36が施錠対象装置の解錠を制限する旨の指示を受け付けた場合に、その旨を示す情報(以下、指示受付情報とする)を記憶部32に格納する。その後、解錠制限処理部31aは、操作部36が解錠制限を解除する旨の指示を受け付けた場合に、指示受付情報を記憶部32から解消する。また、解錠制限処理部31aは、記憶部32に指示受付情報が格納されている時には、その旨を搭乗者に通知するために、表示部38を予め定める態様で点灯させる。
【0043】
応答処理部31bは、無線インターフェース部33によって車両制御装置10から応答を要求する情報を受信した場合に、当該要求に応える処理を実行する。例えば、無線インターフェース部33が識別情報の送信を要求する情報(以下、応答要求情報とする)を受信した場合には、応答処理部31bは、記憶部32に予め格納されている識別情報を送信する。
【0044】
また、応答処理部31bは、記憶部32に指示受付情報が格納されている場合には、車両制御装置10から要求された情報(ここでは、識別情報)とともに、施錠対象装置の解錠を制限する指示を示す情報(以下、解錠制限指示情報)を車両制御装置10に送信する。この処理は、例えば次のように実行される。
【0045】
応答処理部31bは、無線インターフェース部33によって車両制御装置10から応答を要求する情報を受信した時に、記憶部32に指示受付情報が格納されているか否かを判定する。そして、指示受付情報が格納されている場合には、車両制御装置10から要求された情報とともに、解錠制限指示情報を送信する。なお、車両制御装置10は、起動スイッチ8aや、フロントトランク開閉スイッチ8b、シート開閉スイッチ8c、給油口開閉スイッチ8dなどが搭乗者によってオンされる度に、応答要求情報を携帯機30に送信する。
【0046】
状態監視処理部31cは携帯機30の状態を監視する。そして、記憶部32に解錠制限指示情報が格納されているか否かに関わらず、当該状態を示す状態情報を無線インターフェース部33によって車両制御装置10に送信する。ここで、状態情報は、例えば、電池34の残量に関する情報(以下、電池残量情報)である。この場合、状態監視処理部31cは、電池残量監視回路35から入力される信号に基づいて、電池残量を監視する。そして、例えば電池残量が所定の閾値を下回った時に、その旨を示す情報を電池残量情報として車両制御装置10に送信する。
【0047】
また、状態監視処理部31cは、車両制御装置10から携帯機30の状態に関する状態情報(例えば、上述した電池残量情報)の送信を要求する情報を受信した場合に、当該要求に応えて状態情報を車両制御装置10に送信してもよい。
【0048】
また、状態監視処理部31cは、携帯機30の状態に関する状態情報を送信する場合に、記憶部32が指示受付情報を保持しているか否かに応じて、状態情報とともに解錠制限指示情報を送信してもよい。具体的には、状態監視処理部31cは、車両制御装置10に状態情報を送信しようとする時に、記憶部32に指示受付情報が格納されているか否かを判定する。そして、指示受付情報が格納されている場合には、車両制御装置10から要求された状態情報とともに解錠制限指示情報を送信する。この場合、車両制御装置10は、施錠対象装置の解錠の制限が解除された後に、状態情報が示す内容を搭乗者に通知してもよい。車両制御装置10によるこの処理については後において説明する。
【0049】
また、状態監視処理部31cは、車両制御装置10から送信される情報に基づいて、自動二輪車100の状態を監視してもよい。この処理は例えば、次のように実行される。
【0050】
車両制御装置10は、起動スイッチ8aや、フロントトランク開閉スイッチ8b、シート開閉スイッチ8cなどが連続してオンされ、その度に携帯機30に識別情報の送信を要求する。そして、車両制御装置10は、単位時間内(例えば、十数秒)に予め定める回数だけ、応答処理部31bから識別情報とともに解除制限指示情報を受信した場合には、その旨を示す情報(以下、盗難警告情報)を携帯機30に送信する。盗難警告情報を受信した携帯機30の状態監視処理部31cは、自動二輪車100が盗難される可能性があると判断して、その旨を搭乗者に通知するために、例えば表示部38を所定の態様(例えば、点滅)で明滅させる。
【0051】
遠隔操作処理部31dは、搭乗者によって所定のボタン操作がなされ、操作部36から自動二輪車100の遠隔操作を指示する信号が入力された時に、当該遠隔操作の内容を示す情報(以下、遠隔操作情報)を送信する。遠隔操作情報は、例えば、暗がりなどで自動二輪車100の位置を搭乗者に案内するためにフラッシャ5の点灯を指示する情報や、シート109の解錠を指示する情報である。
【0052】
また、遠隔操作処理部31dは、遠隔操作情報の送信時に記憶部32に指示受付情報が格納されているか否かに基づいて、当該遠隔操作情報に解錠制限指示情報を付帯させてもよい。すなわち、遠隔操作情報の送信時に、遠隔操作処理部31dは、記憶部32に指示受付情報が格納されているか否かを判定し、指示受付情報が格納されている場合には、遠隔操作情報とともに指示受付情報を車両制御装置10に送信してもよい。
【0053】
なお、遠隔操作処理部31dは、記憶部32に指示受付情報が格納されている場合には、一律に遠隔操作情報とともに解錠制限指示情報を送信してもよいし、遠隔操作情報が指示する内容に応じて、解錠制限指示情報を付帯させてもよい。例えば、遠隔操作情報がシート109の解錠を指示する情報である場合には、当該遠隔操作情報とともに解錠制限指示情報を送信し、遠隔操作情報がフラッシャ5の点灯を指示する情報である場合には、記憶部32に指示受付情報が格納されているか否かに関わらず、解錠制限指示情報を付帯させることなく遠隔操作指示情報を送信してもよい。
【0054】
次に、車両制御装置10の制御部11が実行する処理について説明する。図5は、制御部11の機能ブロック図である。同図に示すように、制御部11は、機能的には、解錠処理部11aと、状態監視処理部11bと、遠隔操作応答部11cと、を含んでいる。
【0055】
解錠処理部11aは、携帯機30について認証処理を実行し、当該認証処理の結果と、携帯機30から解錠制限指示情報を受信したか否かとに基づいて、施錠対象装置を解錠する処理を行う。解錠処理部11aによるこの処理は、例えば次のように実行される。
【0056】
解錠処理部11aは、起動スイッチ8aや、フロントトランク開閉スイッチ8b、シート開閉スイッチ8c、給油口開閉スイッチ8dが搭乗者によってオンされると、まず識別情報の送信を要求する応答要求情報を送信する。解錠処理部11aは、携帯機30から識別情報を受信すると、当該識別情報に基づいて認証処理を実行する。具体的には、解錠処理部11aは、記憶部12に予め格納されている識別情報と、携帯機30から受信した識別情報とが一致するか否かを判定する。そして、それらが一致する場合には、携帯機30が予め登録された正規の携帯機であると判断する。
【0057】
また、解錠処理部11aは、携帯機30から受信した識別情報に解錠制限指示情報が付帯されているか否かを判定する。そして、解錠処理部11aは、携帯機30が正規の携帯機であると認められ、且つ、受信した識別情報に解錠制限指示情報が付帯されていない場合には、施錠対象装置を解錠する処理を行う。例えば、起動スイッチ8aがオンされた時には、リレー駆動回路16にリレー回路9aをオン状態にするよう指示する信号を出力するとともに、アクチュエータ駆動回路18にステアリングシャフト106の解錠を指示する信号を出力する。また、シート開閉スイッチ8c又はフロントトランク開閉スイッチ8bがオンされた時には、アクチュエータ駆動回路17にフロントトランク108又はシート109の解錠を指示する信号を出力する。また、給油口開閉スイッチ8dがオンされた時には、ソレノイド駆動回路19に給油口111aの解錠を指示する信号を出力する。
【0058】
一方、解錠処理部11aは、受信した識別情報に解錠制限指示情報が付帯されている場合には、リレー駆動回路16や、アクチュエータ駆動回路18,17、ソレノイド駆動回路19に、上述した信号を出力することなく、フロントトランク108や、シート109、ECU2、ステアリングシャフト106、給油口111aを施錠した状態を維持する。
【0059】
状態監視処理部11bは、携帯機30から受信する状態情報に基づいて、携帯機30の状態を監視し、当該状態情報が示す内容を表示装置7に表示する。例えば、無線インターフェース部13が携帯機30から電池残量が所定の閾値を下回ったことを示す電池残量情報を受信した場合には、状態監視処理部11bは、インジケータランプ駆動回路22にインジケータランプ7aの点灯を指示する信号を出力する。
【0060】
また、状態監視処理部11bは、無線インターフェース部13が状態情報とともに解錠制限指示情報を受信した場合には、上述したように、その受信時に状態情報が示す内容を表示装置7に表示することなく、施錠対象装置の解錠制限が解除された後に、状態情報が示す内容を表示装置7に表示してもよい。この処理は、例えば次ぎのように実行される。
【0061】
状態監視処理部11bは、無線インターフェース部13が状態情報とともに解錠制限指示情報を受信した場合には、当該状態情報を記憶部12に格納する。その後、例えば、スイッチ群8に含まれる何れかのスイッチがオンされたことによって、解錠制限指示情報が付帯していない識別情報を無線インターフェース部13が受信し、且つ、当該識別情報に基づく認証処理の結果、携帯機30が正規の携帯機であると認められた時に、記憶部12に格納した状態情報を示す内容を表示装置7に表示する。例えば、状態情報としての電池残量情報が記憶部12に格納されている場合には、状態監視処理部11bは、インジケータランプ駆動回路22にインジケータランプ7aの点灯を指示する信号を出力する。
【0062】
また、状態監視処理部11bは、自動二輪車100の状態を監視し、その監視の結果、得られた情報を携帯機30に送信する。この処理は、例えば次のように実行される。
【0063】
起動スイッチ8aや、フロントトランク開閉スイッチ8b、シート開閉スイッチ8cなどが連続してオンされると、解錠処理部11aは、その度に識別情報の送信を要求する応答要求情報を携帯機30に送信する。状態監視処理部11bは、識別情報とともに解錠制限指示情報を携帯機30から受信する頻度を計数する。そして、単位時間内に予め定める回数だけ解除制限指示情報を受信した場合には、自動二輪車100が盗難される恐れがあると判断して、その旨を示す盗難警告情報を携帯機30に送信する。
【0064】
遠隔操作応答部11cは、携帯機30から受信する遠隔操作情報と、当該遠隔操作情報に解錠制限指示情報が付帯しているか否かとに基づいて、自動二輪車100を制御する処理を実行する。例えば、遠隔操作応答部11cは、収納部施錠装置6によるシート109の解錠を指示する遠隔操作情報を携帯機30から受信すると、当該遠隔操作情報に解錠制限指示情報が付帯しているか否かを判定する。そして、解錠制限指示情報が付帯していない場合には、アクチュエータ駆動回路17にシート109の解錠を指示する信号を出力する。一方、遠隔操作情報に解錠制限指示情報が付帯している場合には、遠隔操作応答部11cは、上述した信号を出力することなく、シート109を施錠した状態を維持する。
【0065】
なお、遠隔操作応答部11cは、遠隔操作情報によって指示される遠隔操作の内容に応じて、解錠制限指示情報が付帯しているか否かに関わらず、当該遠隔操作情報に基づく処理を実行してもよい。例えば、遠隔操作応答部11cは、フラッシャ5の点灯を指示する遠隔操作情報を受信した場合には、当該遠隔操作情報に解錠制限指示情報が付帯している場合であっても、フラッシャ駆動回路21にフラッシャ5を点灯させるよう指示する信号を出力してもよい。
【0066】
ここで、携帯機30及び車両制御装置10が実行する処理の流れについて説明する。図6は、携帯機30及び車両制御装置10が実行する処理の例を示すシーケンス図である。
【0067】
施錠対象装置(例えば、上述したECU2、ステアリングシャフト106、給油口111a、シート109、フロントトランク108)の解錠を制限する搭乗者の指示を操作部36が受け付けると、解錠制限処理部31aは、指示受付情報を記憶部32に格納する(S101)。その後、起動スイッチ8aや、フロントトランク開閉スイッチ8b、シート開閉スイッチ8c、給油口開閉スイッチ8dが搭乗者によってオンされると、車両制御装置10の解錠処理部11aは、識別情報の送信を要求する応答要求情報を携帯機30に送信する(S102)。携帯機30の応答処理部31bは、記憶部32に指示受付情報が格納されているか否かを判定する。ここでは、S101において、指示受付情報が格納されているので、応答処理部31bは、携帯機30の識別情報とともに解錠制限指示情報を車両制御装置10に送信する(S103)。車両制御装置10の解錠処理部11aは、携帯機30から受信した識別情報に基づいて携帯機30について認証処理を実行するとともに、当該識別情報に解錠制限指示情報が付帯しているか否かを判定する。ここでは、識別情報に解錠制限指示情報が付帯しているので、解錠処理部11aは、ステアリングシャフト106、ECU2、給油口111a、シート109、フロントトランク108等を解錠するための信号を、アクチュエータ駆動回路17,18、ソレノイド駆動回路19、リレー駆動回路16に出力することなく、これらを施錠した状態を維持する(S104)。
【0068】
その後、携帯機30の遠隔操作処理部31dは、フラッシャ5の点灯指示を操作部36が受け付けると、その旨の遠隔操作情報を車両制御装置10に送信する(S105)。ここでは、未だ指示受付情報が記憶部32に格納されているので、遠隔操作処理部31dは、遠隔操作情報とともに解錠制限指示情報を送信してもよい。車両制御装置10がフラッシャ5の点灯を指示する遠隔操作情報を受信すると、遠隔操作応答部11cは、フラッシャ5の点灯を指示する信号をフラッシャ駆動回路21に出力する(S106)。
【0069】
また、携帯機30の遠隔操作処理部31dは、シート109の解錠指示を操作部36が受け付けると、未だ指示受付情報が記憶部32に格納されているので、シート109の解錠を指示する遠隔操作情報とともに解錠制限指示情報を送信する(S107)。遠隔操作情報を受信した車両制御装置10の遠隔操作応答部11cは、遠隔操作情報に解錠制限指示情報が付帯しているか否かを判定する。ここでは、遠隔操作情報に解錠制限指示情報が付帯しているので、シート109を解錠するための信号をアクチュエータ駆動回路17に出力することなく、施錠した状態を維持する。
【0070】
また、携帯機30の状態監視処理部31cは、電池残量監視回路35から電池残量が所定の閾値を下回った旨を示す信号が入力されると、未だ指示受付情報が記憶部32に格納されているので、その旨を示す電池残量情報とともに解錠制限指示情報を車両制御装置10に送信する(S108)。車両制御装置10の状態監視処理部11bは、電池残量情報に解錠制限指示情報が付帯しているので、当該電池残量情報を記憶部12に格納する(S109)。
【0071】
その後、施錠対象装置の解錠制限を解除する搭乗者の指示を操作部36が受け付けると、解錠制限処理部31aは、指示受付情報を記憶部32から解消する(S110)。そして、起動スイッチ8aや、フロントトランク開閉スイッチ8b、シート開閉スイッチ8c、給油口開閉スイッチ8dが搭乗者によってオンされると、車両制御装置10の解錠処理部11aは、応答要求情報を携帯機30に送信する(S111)。携帯機30の応答処理部31bは、指示受付情報が記憶部32から解消されているので、解錠制限指示情報を付帯させることなく識別情報を車両制御装置10に送信する(S112)。車両制御装置10の解錠処理部11aは、識別情報に基づいて携帯機30について認証処理を実行するとともに、当該識別情報に解錠制限指示情報が付帯しているか否かを判定する(S113)。ここでは、識別情報に解錠制限指示情報が付帯していないので、解錠処理部11aは、ステアリングシャフト106、ECU2、給油口111a、シート109、フロントトランク108等を解錠するための信号を、アクチュエータ駆動回路17,18、ソレノイド駆動回路19、リレー駆動回路16に出力して、施錠対象装置を解錠する(S114)。また、状態監視処理部11bは、記憶部12から電池残量情報を読み出し、インジケータランプ駆動回路22にインジケータランプ7aの点灯を指示する信号を出力する(S115)。
【0072】
以上説明したキーレスエントリシステム1によれば、搭乗者が所定のボタン操作を行って、自動二輪車100の施錠対象装置(以上の説明では、ECU2、ステアリングシャフト106、給油口111a、シート109、フロントトランク108)の解錠を制限した場合でも、携帯機30は車両制御装置10との間で状態情報や遠隔操作情報を送受信できるので、キーレスエントリシステムの利便性が向上する。
【0073】
なお、本発明は、以上説明したキーレスエントリシステム1に限られず、種々の変形が可能である。例えば、以上説明したキーレスエントリシステム1では、施錠対象装置の解錠を制限する指示が搭乗者によってなされたことを示す指示受付情報は携帯機30の記憶部32に格納されていた。しかしながら、この指示受付情報は、車両制御装置10の記憶部12に格納されてもよい。そして、記憶部12に指示受付情報が格納されている場合には、解除処理部11aが携帯機30についての認証処理を実行しないようにすることで、施錠対象装置の解錠が規制されてもよい。また、この場合、記憶部12に指示受付情報が格納されているか否かに関わらず、携帯機30と車両制御装置10との間で状態情報や遠隔操作情報が送受信されてもよい。
【0074】
また、このように記憶部12に指示受付情報が格納されるように車両制御装置10が構成されている場合に、状態監視処理部11bは、記憶部12に指示受付情報が格納されているか否かに基づいて、自動二輪車100の状態を携帯機30に通知してもよい。例えば、状態監視処理部11bは、起動スイッチ8aがオンされた時に、記憶部12に指示受付情報が格納されているか否かを判定する。そして、指示受付情報が格納されている場合には、起動スイッチ8aが正規の搭乗者以外の者によってオンされた可能性があるので、当該起動スイッチ8aがオンされた旨を示す情報を盗難警告情報として携帯機30に送信する。盗難警告情報を受信した携帯機30は、表示部38を予め定められた態様で点灯させる。また、携帯機30に予め音響器を設けておいて、当該音響器によって警告音を発するようにしてもよい。
【0075】
また、以上の説明では、状態監視処理部11bによる自動二輪車100の状態を監視する処理の例として、起動スイッチ8a等がオンされたか否かが監視されていた。しかしながら、状態監視処理部11bによる処理は、これに限られない。例えば、自動二輪車100に車体の傾斜角に応じた信号を出力する傾斜角センサを取り付けておいてもよい。この場合、状態監視処理部11bは、傾斜角センサから入力される信号に基づいて、車体が転倒したか否かを判定する。そして、車体が転倒したと判断する場合には、その旨を示す情報を状態情報として携帯機30に送信する。この状態情報を受信した携帯機30は、記憶部32に指示受付情報が格納されているか否かを判定する。ここで、指示受付情報が格納されている場合には、搭乗者が車体から離れた位置に居て、車体の転倒を見てない可能性が高い。そこで、携帯機30の状態監視処理部31cは、車体が転倒したことを通知するために、表示部38を予め設定された態様で点灯させる。また、上述したように、記憶部12に指示受付情報が格納されるように車両制御装置10が構成されている場合には、状態監視処理部11bは、車体が転倒したと判断する場合に、記憶部12に指示受付情報が格納されているか否かを判定してもよい。そして、指示受付情報が格納されている場合に、車体の転倒を通知する情報を状態情報として携帯機30に送信してもよい。
【0076】
また、以上の説明では、車両制御装置10と携帯機30との間では、自動二輪車100又は携帯機30の状態を示す状態情報や、自動二輪車100を遠隔操作するための遠隔操作情報が送受信されていた。しかしながら、送受信される情報は、これに限られず、自動二輪車100の外部環境についての情報が車両制御装置10から携帯機30に送信されてもよい。例えば、自動二輪車100の外部環境を検知するために、予め温度センサを車体に設けておいてもよい。この場合、車両制御装置10の制御部11は、携帯機30からの要求に応じて、温度センサから入力される信号に基づいて外部の温度を検知し、その結果得られた温度情報を携帯機30に送信してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態の例であるキーレスエントリシステムを適用した自動二輪車の側面図である。
【図2】上記キーレスエントリシステム、及び車両制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】上記キーレスエントリシステムが備える携帯機の構成を示すブロック図である。
【図4】上記携帯機の制御部が実行する処理を表す機能ブロック図である。
【図5】上記車両制御装置の制御部が実行する処理を表す機能ブロック図である。
【図6】上記キーレスエントリシステムにおいて、上記車両制御装置及び上記携帯機が実行する処理の例を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0078】
1 キーレスエントリシステム、2 エンジンコントロールユニット(施錠対象装置)、3 ステアリング施錠装置、4 給油口施錠装置、5 フラッシャ、6 収納部施錠装置、7 表示装置、8 スイッチ群、9 バッテリ、10 車両制御装置、11 制御部、12 記憶部、13 無線インターフェース部、14 入力回路、15 電源回路、16 リレー駆動回路、17,18 アクチュエータ駆動回路、19 ソレノイド駆動回路、21 フラッシャ駆動回路、22 インジケータランプ駆動回路、30 携帯機、31 制御部、32 記憶部、33 無線インターフェース部、34 電池、35 電池残量監視回路、36 操作部(入力装置)、38 表示部(通知装置)、100 自動二輪車、101 エンジン、102 駆動力伝達機構、103 後車輪、104 前車輪、105 フロントフォーク、106 ステアリングシャフト(施錠対象装置)、107 ハンドル、108 フロントトランク(施錠対象装置)、109 シート(施錠対象装置)、110 トランク、111 燃料タンク、111a 給油口(施錠対象装置)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭乗者によって携帯される携帯機と、
前記携帯機について認証処理を実行し、当該認証処理の結果に基づいて車両に搭載された施錠対象装置を施錠又は解錠する車両制御装置と、を含み、
前記携帯機は、搭乗者の指示を受け付ける入力装置を有し、当該入力装置によって受け付けた搭乗者の指示に従って、前記施錠対象装置の解錠を制限するよう指示する指示情報を前記車両制御装置に送信し、
前記車両制御装置は、前記携帯機から前記指示情報を受信した場合には、前記施錠対象装置を施錠した状態を維持する、
ことを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯機は、前記指示情報の送信時には、当該指示情報とともに当該携帯機に固有の識別情報を送信し、
前記車両制御装置は、前記携帯機の前記識別情報に基づいて前記認証処理を実行する、
ことを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯機は、前記施錠対象装置の解錠を制限する旨の搭乗者の指示を前記入力装置が受け付けた場合に、その旨を示す情報を指示受付情報として記憶する記憶装置をさらに備え、
前記車両制御装置は、前記携帯機に対して応答を要求する要求情報を送信し、
前記携帯機は、前記記憶装置が前記指示受付情報を保持している時に前記車両制御装置から前記要求情報を受信した場合には、前記指示情報を前記車両制御装置に送信する、
ことを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯機は、前記記憶装置が前記指示受付情報を記憶している旨を搭乗者に通知する通知装置をさらに備える、
ことを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯機は、前記車両制御装置との間で前記携帯機又は車両の状態に関する状態情報を送受信する、
ことを特徴とするキーレスエントリシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のキーレスエントリシステムにおいて、
前記携帯機は、当該携帯機の駆動電源である電池の残量を検知する電池残量検知回路をさらに備え、前記電池の残量に関する情報を前記状態情報として送信する、
ことを特徴とするキーレスエントリシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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