説明

ギャップ調整用ライナプレートとそれを用いた構造物及び各種プラント並びに構造物の固定方法

【課題】本発明の目的は、Uボルトで支持される対象物間のギャップを容易に且つ速やかな取り付けが可能な手段によって調節できるギャップ調整用ライナプレートとそれを用いた構造物及び各種プラント並びに構造物の固定方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、金属製平板の一方の側に開放した2つのストレート溝を有し、前記平板は前記溝の開放側がその内側よりも厚さが薄く、前記溝の周囲はその厚さが一定であるざぐりが設けられていることを特徴とするギャップ調整用ライナプレートにあり、又そのギャップ調整用プレートを介して対称物を所定の支持部材に固定された構造物及び各種プラント並びにその固定方法にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なギャップ調整用ライナプレートとそれを用いた構造物、再処理プラント及び原子力発電プラント並びに構造物の固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラント、原子燃料再処理プラントの各種配管は、据え付け時の誤差、溶接による変形が原因で、配管とその支持構造物との間に隙間ができる。この支持構造物は配管自身の自重を支える目的で設けられるものであるので、Uボルトによって締結される対象物間に生じるギャップ調整して両者を接するようにすることが必要である。又、配管と構造物とは異材であり、両者が接触することが電食の原因が考えられる。
【0003】
この対策として、従来、ギャップ調整部材をその間隙に挿入させ、溶接によって固定することが行われている。
【0004】
特許文献1は、隣接するセグメント型枠間にライナプレートを介在させて固定具によりセグメント型枠同士を繋ぐ際にライナプレートの枚数を調整すること、特許文献2には、隣接する配管同士をUボルト拘束プレートに設けられたUボルト貫通孔を通して所定の間隔で固定することが示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−30240号公報
【特許文献2】特開2001−82636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のギャップ調整用ライナプレートは、取り付けの際、溶接による取り付けに多大な時間が必要であるという問題点があった。
【0007】
又、前述の引用文献1及び2においては、間隙の形成によって生じる配管自身の自重を支えると言う特定の課題及び固定方法は示されていない。
【0008】
本発明の目的は、Uボルトで所定の部材に支持される対象物と部材との間のギャップを容易に且つ速やかに取り付けが可能な手段によって調節できるギャップ調整用ライナプレートとそれを用いた構造物、再処理プラント及び原子力発電プラント並びに構造物の固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、金属製平板の一方の側に開放した2つのストレート溝を有し、前記平板は前記溝の開放側がその内側よりも厚さが薄く、前記溝の周囲はその厚さが一定であるざぐりが設けられていることを特徴とするギャップ調整用ライナプレートにある。
【0010】
即ち、本発明のUボルトギャップ調整用ライナプレートは、一辺に対してUボルト両脚部径に合うサイズでライナプレート内側に両脚部間距離分離れて平行に伸びる2本の溝と、その溝の周囲に厚さ一定の平らなざぐりを入れられ、前記溝に対して相似形の形状を持ち、かつ、溝の開口側の板厚は薄く、反対側は板厚が厚いテーパーを有する形状を持つことを特徴とし、ナット等のUボルト固定具を緩めて、Uボルト根元部分に滑り込ませ、平らになったざぐり部分に固定具を締めるだけで抜け落ちることなく取り付けることが可能となる。また、板圧にテーパーがついていることにより、ギャップ調整高さが自在となる。
【0011】
更に、本発明は、Uボルトを用いて配管を所定の支持部材にギャップ調整用プレートを介在させて固定される構造物において、前記ギャップ調整用プレートは前記Uボルトの挿入位置に対応した2つの貫通孔を有し、且つ前記配管の材質と同種の材質を有することを特徴とする。
【0012】
本発明は、Uボルトを用いて対称物を所定の部材にギャップを形成するギャップ調整用プレートを介在させて固定された構造物において、前記ギャップ調整用プレートは前述に記載のギャップ調整用プレートからなること、前記プレートは前記対象物との間に電蝕を起こさない材質を有すること、前記プレートは前記対象物の材質と同種又は同じ材質を有すること、曲がり溝とストレート溝の幅はUボルトの径より若干大きく、終端部はUボルトの径に相似形になっていることが好ましい。
【0013】
又、本発明は、複数のUボルトを用いて対象物を所定の部材に固定する構造物の固定方法において、前記対象物を固定している前記Uボルトに対して前記対象物と部材との間にギャップ調整が必要な部分に前述に記載のギャップ調整用ライナプレートを介在させて前記固定を行うことが好ましい。
【0014】
本発明は、複数のUボルトを用いて対象物を所定の部材に固定する構造物の固定方法において、前記対象物を固定している前記Uボルトに対して前記対象物と部材との間にギャップ調整が必要な部分の前記固定を緩め、該緩められた前記Uボルトにギャップ調整用ライナプレートを設置し、次いで前記固定を行うことを特徴とする。
【0015】
その具体的なギャップ調整用ライナプレートとして、金属製平板の一方の辺に開放した溝に対して交わる方向に連続して形成された曲がり溝と、前記一方の辺に対して直角に交わる辺に開放したストレート溝とを有し、前記曲がり溝はその終端側が前記ストレート溝と同じ方向に形成されていることを特徴とする。
【0016】
又、その具体的なギャップ調整用ライナプレートとして、金属製平板の一方の辺に開放した溝に対して直角方向に連続して形成されたL字型溝と、前記一方の辺に対して直角に交わる辺に開放したストレート溝とを有し、前記L字型溝はその終端側が前記ストレート溝と同じ方向に形成されていることを特徴とする。
【0017】
更に、その具体的なギャップ調整用ライナプレートとして、金属製平板の一方の辺に開放した溝に対して交わる方向に連続して形成された曲がり溝と、前記一方の辺に対して直角に交わる辺に開放したストレート溝とを有し、前記曲がり溝の開放側が前記ストレート溝を有する側に対して反対側の向きに形成され、前記曲がり溝はその終端側が前記ストレート溝と同じ方向に形成されていることを特徴とする。
【0018】
即ち、本発明のUボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレートの具体的な平面構造として、一辺からライナプレート内側方向に伸びる溝と、その溝に連続してその溝に垂直な方向に、ライナプレートの外側に伸びる溝をもち、他辺から、その辺に垂直にUボルト脚部径に合う形状でライナプレート内側方向に真っ直ぐに伸びる溝を持つことを特徴とし、ナット等のUボルト固定具を緩めて、Uボルト根元部分に滑り込ませ、固定具を締めるだけで取り付けることが可能となる。また、途中で曲がる形状の溝を持つことにより、抜け落ちにくさを保持することが可能となる。
【0019】
又、本発明のUボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレートの具体的な平面構造として、一辺に対してライナプレート内側方向に伸びる溝と、その溝に連続してその溝に対して傾斜した方向にライナプレートの外側に伸びる溝とを持ち、また他辺に対してその辺に垂直にUボルト脚部径に合う形状でライナプレート内側方向に真っ直ぐに伸びる溝を持ち、前記傾斜した溝は前記他辺に設けられた溝に対して反対の方向に傾斜していることを特徴とし、ナット等のUボルト固定具を緩めて、Uボルト根元部分に滑り込ませ、固定具を締めるだけで取り付けることが可能となる。また、途中で曲がる形状の溝を持つことにより、抜け落ちにくさを保持することが可能となる。
【0020】
更に、本発明においては、ギャップ調整用ライナプレートとして、以下に示す平面構造を有すると共に、その材質を、Uボルトで締結される対象物のうち、Uボルトにより支持される側の材質に電蝕が起こらないように支持される側の材質に対して同種又は同じ材質を適用することにより、支持される側の部材の電蝕を防ぐものである。
【0021】
本発明は、使用済核燃料を、ウランとプルトニウムを含む溶液と、核分裂生成物を含む溶液の廃棄物とに処理し、回収されたウランとプルトニウムを再び原子炉で燃やす燃料となる精製処理と、前記廃棄物からの高レベル廃液濃縮処理、酸回収処理及び低レベル廃液処理とを有する再処理プラントにおいて、前記各処理経路を繋ぐ各種配管を前述に記載のギャップ調整用ライナプレートを介在させて支持部材にUボルトによって固定されていることを特徴とする。
【0022】
又、本発明は、原子炉によって発生した水蒸気を蒸気タービンに送り回転させ、該蒸気タービンより出た水蒸気を給水加熱器に送給し、次いで給水ポンプによって前記原子炉に送給すると共に、前記蒸気タービンの回転によって発電機を回転させて発電する原子力発電プラントにおいて、前記各機器を繋ぐ各種配管を前述に記載のギャップ調整用ライナプレートを介在させて支持部材にUボルトによって固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、Uボルトで支持される対象物間のギャップを容易に且つ速やかな取り付けが可能な手段によって調節できるUボルトギャップ調整用ライナプレートを提供できるものである。又、再処理プラント及び原子力発電プラントの各種プラントにおける配管の支持部ではUボルト取り付け部分に厳しいギャップ管理が要求されるが、本発明のギャップ調整用ライナプレートの適用により、取り付け工数の大幅な低減が実現できる。
【0024】
更に、本発明によれば、ギャップ調整用ライナプレートの材質をUボルトにより固定されている対象物の材料と同じ材料とすることにより、電蝕を防ぐことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体的な実施例によって説明する。
【0026】
(実施例1)
図1は、本発明のUボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレートの形状を示す概要図である。Uボルト部のギャップ調整用ライナプレート1は、金属製長方形状平板の一辺に対してギャップ調整用ライナプレート内側(B方向)に伸びる溝13と、その溝13に連続して、垂直な方向にギャップ調整用ライナプレートの外側(A方向)に伸びる溝14を持ち、また、前述の一辺に対して直角に形成された他方の辺に対してUボルト脚部径に合うサイズでギャップ調整用ライナプレート内側(B方向)に伸びる溝15を持つ形状を有する。いずれの溝もUボルト脚部径より若干大きい幅を有し、各溝の終端部はUボルト脚部径と相似形になっている。
【0027】
図2は、本発明のギャップ調整用ライナプレートをUボルトに挿入する手順を示す工程図である。予め、対象物を固定しているUボルト2で、ギャップ調整が必要な部分に対して、上ナットを緩め、Uボルト2の片脚部に、ギャップ調整用ライナプレート1を、先ず、(a)の溝13の内側(B方向)に伸びる部分に合わせて滑らせ、直角に曲がる部分まで到達したら、(b)のA方向に合わせて滑らせる。このとき同時にもう一方のUボルト2の脚部を溝14に合わせてA方向に滑らせる。次いで、(c)のギャップ調整用ライナプレート1をB方向に滑らせ所定の位置に設定される。
【0028】
図3は、Uボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレートの取り付け状態を示す断面図である。最終的には上ナット3を締めることにより図3に示される状態に取り付け固定される。図3に示すように、Uボルト2により固定される対象物4と、Uボルト2の取り付け部材5とのギャップにギャップ調整用ライナプレート1を適用するにより対象物4と取り付け部材5との間のギャップを調節することができる。
【0029】
本実施例によれば、予め固定されているUボルト支持部の固定具を緩めて、ギャップ調整用ライナプレート1を滑り込ませ、再び固定具を締めるという方法で、速やかにギャップ調整が可能となる。従って、各種プラントにおける配管の支持部ではUボルト2の取り付け部材5に厳しいギャップ管理が要求される場合があるため、図1に示すギャップ調整用ライナプレート1を適用することにより、取り付け工数の大幅な低減が実現できる。
(実施例2)
図4は、本発明のUボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレートの形状を示す平面図である。図4におけるUボルト部ギャップ調整用ライナプレート10は、金属製長方形状平板の一辺に対してライナプレート内側に伸びる溝13と、その溝13に連続し斜め方向に形成され、ギャップ調整用ライナプレート10の外側(A方向)に伸びる溝16を持ち、また、他辺に対して図4で示されるようなUボルト脚部径に合うサイズでギャップ調整用ライナプレート10の内側(B方向)に伸びる開放した溝15を持つ。溝16は溝15に対して反対方向に向いた傾斜溝である。溝15には溝16と同じ傾斜した傾斜部17を有する。本発明のギャップ調整用ライナプレート10は、特に小さいサイズのUボルト支持部のギャップ調整を行う際、実施例1における形状のギャップ調整用ライナプレート10では、Uボルト2で固定される対象物とライナプレートの接地面積が小さくなり、十分にギャップ調整ができない場合にも、斜めの溝15形状によって対象物とライナプレートの接地面積を十分広くし、ギャップ調整が可能となる。いずれの溝もUボルト2の脚部径より若干大きい幅を有し、各溝の終端部はUボルト2の脚部径と相似形になっている。
【0030】
図5は、Uボルト取り付け部分へのギャップ調整用ライナプレートの挿入手順を示す工程図である。先ず、予め対象物を固定しているUボルト2で、ギャップ調整が必要な部分について、上ナットを緩め、ギャップ調整用ライナプレート10の溝16を、(a)のUボルト2の脚部の片側に合わせて滑らせ、溝方向が変わる部分まで到達したら、(b)のその溝16に合わせてA方向へ滑らせる。このとき同時にもう一方のUボルト2の脚部を溝16に合わせてA方向に滑らせる。次いで、(c)のギャップ調整用ライナプレート10をB方向に滑らせ所定の位置に設定される。
【0031】
最終的には図3に示される状態に据え付けられ、上ナット3を締め固定される。図3中、Uボルト2により固定される対象物4と、Uボルト2の取り付け部材5とのギャップにギャップ調整用ライナプレート10を適用することにより、対象物4間のギャップを調節することができる。
【0032】
本実施例によれば、ギャップ調整用ライナプレート10形状を適用することにより、予め固定されているUボルト支持部の固定具を緩めて、ギャップ調整用ライナプレート10を滑り込ませ、再び固定具を締めるという方法で、容易に且つ速やかに取り付けができると共に、ギャップ調整が可能となる。例えば各種プラントにおける配管の支持部では、口径の大小にかかわらず、Uボルト取り付け部分に厳しいギャップ管理が要求される場合があるが、本ギャップ調整用ライナプレート10は、特に口径の小さい配管の支持部に対しても、斜めに設けられた溝形状により、対象物とギャップ調整用ライナプレートの接地面積を十分広くし、ギャップ調整が可能となる。又、本ギャップ調整用ライナプレート10の適用により、取り付け工数の大幅な低減が実現できる。
【0033】
(実施例3)
図6は、本発明のUボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレートの形状を示す平面図(a)及び側面図(b)である。本実施例2のギャップ調整用ライナプレート12は、図6(b)のように、金属製長方形状で、板厚にテーパーが付いていて、Uボルト2の両脚部径に合うサイズでギャップ調整用ライナプレート12の中心方向に両脚部間距離分離れて平行に伸びる2本の溝19、20を持ち、その溝19、20の周囲に相似形に一定の厚さの平らに形成されたざぐり21を持つものである。予め対象物4を固定しているUボルト支持部のうち、ギャップ管理が必要な場合について、ナット等のUボルト固定具を緩めて、ギャップ調整用ライナプレート12をUボルト2の両脚の根元部分に滑り込ませ、Uボルト2で固定される対象物4とギャップ調整用ライナプレート12の上面が接する位置で、平らに形成されたざぐり21に固定具を締めるだけで取り付けることが可能となる。いずれの溝19、20もUボルト2の脚部径より若干大きい幅を有し、各溝の終端部はUボルト2の脚部径と相似形になっている。
【0034】
本実施例によれば、ギャップ調整用ライナプレート12の形状に図6の形状を適用することにより、Uボルト支持部の固定具を緩めて、ギャップ調整用ライナプレート12を滑り込ませ、再び固定具を締めるという方法で、容易に且つ速やかにギャップの微調整が可能となる。例えば各種プラントにおける配管の支持部では、Uボルト取り付け部分に厳しいギャップ管理が要求される場合があるが、本形状のギャップ調整用ライナプレート12は、板厚にテーパーがついていることにより、ギャップ調整高さが自在となり、微調整が可能となる。又、本実施例のギャップ調整用ライナプレート12の適用により、取り付け工数の大幅な低減が実現できる。
(実施例4)
本実施例は、実施例1〜3に用いたUボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレート1、10、12の材質を、図3中に示されるUボルトにより固定される対象物4に対し、対象物4の材料と同材質にしたものである。このように、両者を同材質にすることにより、特に隙間等によって生じる対象物への電蝕を防ぐことが可能となる。即ち、ギャップ調整用ライナプレート12の材質をUボルトにより固定されている対象物の材料と同じ材料とすることにより、電蝕を防ぐことが可能となる。
【0035】
(実施例5)
図7は、Uボルトによって締結される配管と支持部材との間に生じるギャップ調整のための貫通穴タイプのギャップ調整用ライナプレートの平面図である。図7に示すように、金属平板にUボルト2の脚部の径サイズ、両脚間距離に合った貫通穴18を2つ持つ貫通穴タイプのギャップ調整用ライナプレート11である。図7に示す形状のギャップ調整用ライナプレート11、取り付けの際、Uボルト両脚根元部分のナット、座金等の固定具をすべて一旦取り外してからギャップ調整用ライナプレート11を取り付け、その後固定具を取り付け直さなければならず、取り付けにやや時間が要である。
【0036】
本実施例は、Uボルト取り付け部分のギャップ調整用ライナプレート11の材質を、図3中に示されるUボルト2により固定される配管の対象物4に対し、対象物4の材料と同材質にしたものである。このように、両者を同材質にすることにより、特に隙間等によって生じる対象物への電蝕を防ぐことが可能となる。即ち、ギャップ調整用ライナプレート11の材質をUボルト2により固定されている対象物4の材料と同じ材料とすることにより、電蝕を防ぐことができる。
【0037】
(実施例6)
図8は、再処理プラントの構成図である。図8に示すように、原子カ発発電所から出た使用済核燃料は、再処理プラントに搬入されると、輪送容器(キャスク)から取り出され、貯蔵プールで冷却貯蔵される。一定期間、冷却貯蔵された使用済燃料は、5cm程度の小片にせん断され、溶解槽へ送られ、硝酸にて溶解される。溶解した使用済燃料は、ウランとプルトニウムを含む溶液と、核分裂生成物を含む溶液に分けられ、このうち核分裂生成物を含む溶液は廃棄物として安全に処理される。またウランとプルトニウムを含む溶液は、さらにウランを含む溶液とプルトニウムを含む溶液に分けられ、それぞれ精製されて、ウランを含む溶液は三酸化ウラン粉末に、プルトニウムを含む溶液は硝酸プルトニウム溶液になり、それぞれ再処理プラントの最終製品になる。このように、再処理をへて回収されたウランとプルトニウムは、このあと加工され、再び原子炉で燃やす燃料としてよみがえることになる。
【0038】
本実施例は、前述の実施例1〜5のいずれかに記載のギャップ調整用ライナプレートを各処理を繋ぐ各配管で生じたギャップを埋めるのに用いられ、実施例1に記載と同様にUボルトによってUボルト取り付け部材に固定される。ギャップ調整には、種々の厚さの異なるギャップ調整用ライナプレートを予め用意され、そのギャップの大きさに応じてギャップ調整用ライナプレートが選択される。ギャップ調整用ライナプレートを重ねて用いることもできる。又、配管と支持部材との間のギャップが無くなることにより配管自身の自重よる荷重が無くなり、電蝕も防止される。
【0039】
(実施例7)
図9は、原子力発電プラントの構成図である。図中、(a)が沸騰水型原子力発電プラント、(b)が加圧水型原子力発電プラントである。
【0040】
本実施例は、前述の実施例1〜5のいずれかに記載のギャップ調整用ライナプレートを本プラントの各配管で生じたギャップを調整するのに用いられ、実施例1に記載と同様にUボルトによってUボルト取り付け部材に固定される。ギャップ調整には、種々の厚さの異なるギャップ調整用ライナプレートを予め用意され、そのギャップの大きさに応じてギャップ調整用ライナプレートが選択される。ギャップ調整用ライナプレートを重ねて用いることもできる。又、配管と支持部材との間のギャップが無くなることにより配管自身の自重よる荷重が無くなり、電蝕も防止される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のギャップ調整用ライナプレートの平面図。
【図2】本発明のギャップ調整用ライナプレート挿入手順を示す工程図。
【図3】本発明のギャップ調整用ライナプレートの平面図。
【図4】本発明のギャップ調整用ライナプレート挿入手順を示す工程図。
【図5】本発明のギャップ調整用ライナプレートの平面図及び側面図。
【図6】本発明のギャップ調整用ライナプレートの取り付け構造を示す断面図。
【図7】本発明の貫通型ギャップ調整用ライナプレートの平面図。
【図8】本発明の再処理プラントの構成図。
【図9】本発明の原子力発電プラントの構成図。
【符号の説明】
【0042】
1、10、11、12…ギャップ調整用ライナプレート、2…Uボルト、3…上ナット、4…Uボルトにより支持される対象物、5…Uボルトを取り付ける部材、6…オス型偏心ナット、7…メス型偏心ナット、8…ばね座金、9…下ナット、13、14、15、16、19、20…Uボルト部ギャップ調整用ライナプレート溝、17…溝傾斜部、18…貫通穴タイプUボルト部ギャップ調整用ライナプレート貫通穴、21…ざぐり、30…原子炉、31…燃料、32…再循環ポンプ、33…蒸気ドラム、34…給水ポンプ、35…蒸気タービン、36…給水加熱器、37…発電機、38…復水ポンプ、39…二次蒸気発生器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製平板の一方の側に開放した2つのストレート溝を有し、前記平板は前記溝の開放側がその内側よりも厚さが薄く、前記溝の周囲はその厚さが一定であるざぐりが設けられていることを特徴とするギャップ調整用ライナプレート。
【請求項2】
請求項1において、前記金属製平板は固定対象物に対して電蝕を防止する材質からなることを特徴とするギャップ調整用ライナプレート。
【請求項3】
Uボルトを用いて対象物を所定の支持部材にギャップ調整用プレートを介在させて固定される構造物において、前記ギャップ調整用プレートは請求項1又は2に記載のギャップ調整用ライナプレートからなることを特徴とする構造物。
【請求項4】
請求項3において、前記ギャップ調整用ライナプレートは前記対象物に対して電蝕を防止する材質からなることを特徴とする構造物。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記ギャップ調整用ライナプレートは前記対象物の材質と同種又は同じ材質からなることを特徴とする構造物。
【請求項6】
Uボルトを用いて配管を所定の支持部材にギャップ調整用プレートを介在させて固定される構造物において、前記ギャップ調整用ライナプレートは前記Uボルトの挿入位置に対応した2つの貫通孔を有し、且つ前記配管の材質と同種の材質を有することを特徴とする構造物。
【請求項7】
使用済核燃料を、ウランとプルトニウムを含む溶液と、核分裂生成物を含む溶液の廃棄物とに処理し、回収されたウランとプルトニウムを再び原子炉で燃やす燃料となる精製処理と、前記廃棄物からの高レベル廃液濃縮処理、酸回収処理及び低レベル廃液処理とを有する再処理プラントにおいて、前記各処理経路を繋ぐ各種配管を請求項1又は2に記載のギャップ調整用ライナプレートを介在させて支持部材にUボルトによって固定されていることを特徴とする再処理プラント。
【請求項8】
原子炉によって発生した水蒸気を蒸気タービンに送り回転させ、該蒸気タービンより出た水蒸気を給水加熱器に送給し、次いで給水ポンプによって前記原子炉に送給すると共に、前記蒸気タービンの回転によって発電機を回転させて発電する原子力発電プラントにおいて、前記各機器を繋ぐ各種配管を請求項1又は2に記載のギャップ調整用ライナプレートを介在させて支持部材にUボルトによって固定されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項9】
複数のUボルトを用いて対象物を所定の部材に固定する構造物の固定方法において、前記対象物を固定している前記Uボルトに対して前記対称物と部材との間にギャップ調整が必要な部分に請求項1又は2に記載のギャップ調整用ライナプレートを介在させて前記固定を行うことを特徴とする構造物の固定方法。
【請求項10】
複数のUボルトを用いて対象物を所定の部材に固定する構造物の固定方法において、前記対象物を固定している前記Uボルトに対して前記対象物と部材との間にギャップ調整が必要な部分の前記固定を緩め、該緩められた前記Uボルトにギャップ調整用ライナプレートを設置し、次いで前記固定を行うことを特徴とする構造物の固定方法。
【請求項11】
請求項10において、前記ギャップ調整用ライナプレートは、金属製平板の一方の側に開放した曲がり溝と、前記一方の側の開放した側に対して直角に交わる側に開放したストレート溝とを有し、前記曲がり溝はその終端側が前記ストレート溝と同じ方向に形成されていることを特徴とする構造物の固定方法。
【請求項12】
請求項10において、前記ギャップ調整用ライナプレートは、金属製平板の一方の側に開放したL字型溝と、前記一方の側の開放した側に対して直角に交わる側に開放したストレート溝とを有し、前記L字型溝はその終端側が前記ストレート溝と同じ方向に形成されていることを特徴とする構造物の固定方法。
【請求項13】
請求項10において、前記ギャップ調整用ライナプレートは、金属製平板の一方の側に開放した曲がり溝と、前記一方の側の開放した側に対して直角に交わる側に開放したストレート溝とを有し、前記曲がり溝の開放側が前記ストレート溝を有する側に対して反対側の向きに形成され、前記曲がり溝はその終端側が前記ストレート溝と同じ方向に形成されていることを特徴とする構造物の固定方法。
【請求項14】
請求項11〜13のいずれかにおいて、前記ギャップ調整用ライナプレートは前記対象物に対して電蝕を防止する材質からなることを特徴とする構造物の固定方法。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれかにおいて、前記ギャップ調整用ライナプレートは前記対象物の材質と同種又は同じ材質からなることを特徴とする構造物の固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−147077(P2007−147077A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4076(P2007−4076)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【分割の表示】特願2002−46095(P2002−46095)の分割
【原出願日】平成14年2月22日(2002.2.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】